【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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257話

 ジムチャレンジを越え、シュートシティに辿り着いた8人の精鋭たちによる白熱したトーナメント、ガラルリーグトーナメント。その結果は、ボクの優勝という形で幕を下ろすこととなる。その結果にひとまず安心したボクは、その日の夜をみんなとの晩御飯の時間に使い、久しぶりの大人数による団欒を過ごした。

 

 大会でぶつかることを危惧して行われた会合の回避という制限がなくなったことによって、気兼ねなく顔を合わせられるようになったボクたちの会食は予想以上に盛り上がり、とても賑やかな時間を過ごすこととなる。結果、みんなのお腹がたまるよりも速く体力の限界が来てしまい、食べ物を残しはしなかったものの、普段食べている量と比べると少なめの量で食べ終わり、解散。各自、ホテルの部屋へと戻っていくこととなった。

 

 しかし、みんなのお腹は満足しているかもしれないけど、今日がっつり戦闘を行ったボクとユウリには少し物足りなかった。なので、休憩室でも約束した通り、2人でお話をするついでに足りない分を食べようという事にした。

 

「さてと……こんな感じで良いかな?」

「マホマホッ!!」

「うん、マホイップもありがとうね~」

 

 というわけで、ボクは自分に割り当てられたホテルの部屋にある、ちょっとした小さいキッチンを使って、マホイップのクリームを貰いながらお菓子を作っていた。あまり味が濃かったり、量を多くしたりしちゃうと身体によくないし、ユウリも女の子だから体重とか気にしそうな時間ということもあって、一応量は控えめに。……とはいっても、ヒカリがこの量を見たらなかなかに卒倒しそうだけど。

 

(というより、ユウリって普段あれだけ食べているのに、全然体系変わらないよね……どこに栄養行ってるんだろう?)

 

 かなり気になることだけど、これを本人に聞くといろいろ問題になりそうなので、ボクの頭の中だけの出来事として置いておく。

 

 

『フリア~。来たよ~』

 

 

「は~い、ちょっと待ってて~」

 

 なんてことを考えている間に、扉の方からノック音とユウリの声が聞こえてきた。そのユウリを迎えに行くために、オートロックの扉を開け、ユウリを迎え入れる。

 

「いらっしゃいユウリ」

「うん、来たよフリア」

 

 扉を開けると同時に、小さく手を振りながら挨拶をしてくるユウリ。昼の時のような焦った表情はもうどこにもなく、いつもの優しそうな表情を浮かべながら挨拶してきた彼女に、ボクも同じような表情を浮かべながら部屋に招いて行く。

 

「適当なところに座ってくつろいでて。お菓子の準備するからさ」

「うん、ありがと……あ、何人か出してもいい?」

「いいよ~。ほしぐもちゃんとか、今日全然ユウリと遊べてないからずっとうずうずしているんじゃない?」

「あはは、その通りなんだよね。……出てきて」

「ぴゅぴゅ~い!!」

「リリィ~」

「ティ~」

 

 ボクの言葉に頷きながらボールを3つ取り出したユウリは、そこからほしぐもちゃんと、アブリボン、そしてポットデスを呼び出した。その3人はユウリの周りを軽く跳んだあとは机の上に着地し、ボクが運んでいるお菓子を楽しみにしていた。

 

「マホマホ~」

 

 そんな3人の下へ駆け寄っていくマホイップ。その姿は、とてもじゃないけど今日激闘繰り広げていたポケモンの行動には見えない。特に、アブリボンとマホイップは直接戦った相手だというのに、もうそのことを忘れているかのように仲良くじゃれ合いをしていた。

 

 そんな2人のやり取りが微笑ましく、少し頬を緩めながら、ボクも席についてお菓子を並べていく。

 

「はい、お待たせ」

「わ~い!」

 

 今日作ったのは木の実を使ったタルトだ。そこにマホイップのクリームを少し乗せたものを準備してみた。とはいっても、そのままクリームを乗せてしまうと、クリームの水分がタルトの方に行ってしまうので、そこは表面に薄くホワイトチョコを塗っておくことで、浸透するのを阻止。……まぁ、この場ですぐに食べきっちゃうだろうから、こういう気づかいはあまり意味ないかもしれないけど……一応の対策だ。

 

「よし、じゃあ……」

「改めて、今日の試合お疲れ様兼、フリアの優勝を祝して……」

「その言葉をユウリに言わるのはちょっと罪悪感が……」

「いいのいいの。気にしないで。それよりも、速く食べよ」

「そだね。じゃあ改めて……乾杯」

「乾杯」

 

 ボクとユウリの間でこつんと音を立てた後に行われるささやかなパーティ。飲んでいるのはこの時のために準備した木の実ジュース。流石にツボツボが熟成して作ったそれに比べると勝てないけど、それでもヒカリに教わって覚えたオレンの実ジュースは自画自賛したくなるくらいにはいい出来だった。甘めのお菓子に対してすっきりした味わいのするこのジュースという組み合わせも存外悪くなく、飽きることなく飲めるというのもいい所だろう。

 

「ん~……やっぱりフリアの作るお菓子は美味しい~……」

「喜んでもらえて何よりだよ。ヒカリ直伝だから、ヒカリの方が美味しいけどね」

「私はフリアに作ってもらう方が好きだけどなぁ……」

「そうかなぁ……」

「そうだよ~、ね~?」

「ぴゅぴゅい!!」

 

 見てるこちらまでも頬が緩んでしまいそうなほど幸せそうな顔を浮かべながら食べるユウリと、そんなユウリにつられて一緒に声をあげるほしぐもちゃんたち。ユウリにはもちろんのこと、ポケモンたちにも評価は概ね良好で、みんな幸せそうな時間を過ごしていた。

 

「とりあえずお口に合って何よりだよ」

「うんうん~……幸せだよ~……」

「ふふ……」

 

 トリップ状態のユウリにつられながら、ボクも表情を緩ませ、お菓子を1つ。

 

(うん……美味しい)

 

 我ながらいい出来をしており、十分美味しいものが出来上がっていることに満足しながらもうひと口。木の実ジュースと違って少し甘めな味付けに、こっちはこっちで別の良さが広がっていく。マホイップのクリームのおかげでさわやかさも感じられるのが良い所だ。

 

(これなら別のものにも応用が効きそうだなぁ……今度ヒカリと話して色々考案するのもいいかも?その時はまたユウリに味見を頼もうかな)

 

「……いよいよここまで来たって感じだね」

「ん?」

 

 これからのお菓子作りに対する楽しみも思い浮かべながらフォークを進めていくと、ユウリから少し真剣みを帯びた声が聞こえてくる。そちらに対して視線を向けてみると、フォークを動かす手をいったん止めて、こちらをじっと見つめて来るユウリの視線とぶつかった。

 

「ハロンタウンから旅立って、全然時間が経ってないような、そうでもないような……そうやって時間間隔が狂っちゃうくらいには濃密で……」

 

 木の実ジュースをひと口のみ、喉を潤して一拍置き、続きを話す。

 

「私の冒険はひとまずの区切りを迎えたけど、でもフリアの冒険はまだ終わっていないからさ。最後まで見守りたいって思っちゃうと、なんだか別の感慨深さが広がっちゃって……」

「あはは、そういわれるとますます頑張らないといけないね」

 

 思い出を振り返るように言葉を零すユウリ。彼女の言葉を受けて、ボクの心が少し引き締まる。

 

 トーナメントの優勝者はボクで、先に進むことが出来るのはボクだけだ。それはつまり、ジムチャレンジに挑んで、しかしここまで来ることの出来なかった全てのトレーナーの代表者という意味になる。

 

 全員の想いを背負って立つ以上、初戦負けだなんて情けない結果で終わらせるわけにはいかない。

 

「初戦は一体誰になるんだろうね?」

「そこなんだよね~……」

 

 この後ボクが参加することとなるチャンピオンリーグは、ガラルリーグを優勝したボクと、ガラル地方のメジャーリーグジムリーダー全員を合わせた、計9名によって行われる。と、ここまで聞いて気になる点が、人数が合わないという点だ。トーナメントである以上偶数であるのが一番進行をしやすいのだが奇数でもシードをうまく使えば進行することはできる。が、それにしたって9人という数字はシードを取り入れたとしてもかなり中途半端な数字だ。

 

 では、どのようにしてこの数字を綺麗に整えるのかというと、メジャーリーグ8人のジムリーダーの中で抽選を行い、ガラルリーグの優勝者……今回で言うボクと、最初の一戦を行う人物を決めるという形で整えるみたいだ。

 

 例えば、このくじでヤローさんが選ばれたとしたら、ボクとヤローさんがバトルし、勝者を決める。そして、その勝者を組み込んだ8人でトーナメントを作り上げてバトルをするという方式だ。無茶苦茶言葉を悪くすれば、ジムリーダーから1人貧乏くじを引かせると言ったところだろうか。もっとわかりやすくいうな……なら逆シードって言い方で良いのかな?トーナメント表の名前を書くところの1つだけが、二股に分かれていて、そこにボクと選ばれたジムリーダーの名前がつく感じだ。

 

 挑戦者のバトル数を増やすというのは、このガラル地方がバトルに対してストイックで、とにかくたくさんの壁を用意する方式をとっているからだ。新参者で、未来に期待が大きく乗るホープだとしても、忖度なんてしないのが実にガラル地方らしい。

 

「誰が来ても苦戦は間違いないんだけど……う~ん……」

「フリア的には誰が一番来てほしくないの?」

「来てほしくない人か……」

 

 ユウリに言われて振り返っていくのは、今までボクが闘ってきたジムリーダーとの思い出。勿論あの時と比べて、手持ちは大会用のガチパーティに変わるのだから、ジムリーダーとして戦った時の調整用ポケモンとの思い出は無駄に先入観を植え付けて来るだけで、むしろ気にしない方がいいのかもしれないけど、だからと言って動きの癖とかが消えるわけではないと思うから、ボク的にはいろいろ考察の要素として入れておきたい。

 

(特にボクは謎に強い人認定されていたから、他の人と比べて少し難易度高かったしね……)

 

 というわけで、自分の経験からいろいろ考えて、ボクなりの戦いたくないランキングを作っていき、トップ3をユウリに告げる。

 

「うん……上から順番に、ポプラさん、ネズさん、オニオンさん……かなぁ……」

「やっぱり一番はポプラさんなんだ」

「こればっかりはね」

 

 今までの戦いを振り返って、ボクが一番絶望感を感じたのがポプラさんだったというのがやはり一番大きい。その時勝ったのだって、たまたまあのタイミングでインテレオンが進化してくれたからというのが大きすぎる。今もう一回闘ったところで、正直全力のポプラさんが突破できる未来が見えないというのが本音だったりする。

 

(ガラル地方のジムリーダーは、ヤローさん以外序列で並んでいるって噂だけど絶対に嘘でしょ……)

 

 あのマスタードさんとも頂点を巡って幾度となくぶつかり合ったという話も聞くし、今の4番目という地位すらも、調整して居座っているようにしか見えない。

 

「で、次に戦いたくないのがネズさんなんだ?」

「ダイマックスを使ってないのにあの順位って、誰だって怖いでしょ?」

「確かに……それに、ジム戦の時でも強かったもんね」

 

 闘いたくない理由は、ユウリの言う通り単純に強い。これに尽きる。

 

 ダイマックスがはびこっているこのガラルリーグにおいて、唯一ダイマックスをすることなく7番目という地位を守り続けているネズさん。それだけで十分凄いんだけど、やっぱりジムに挑戦した時にボク以外が誰も突破出来ていなかった瞬間があったというのも大きな要因だ。あくタイプという搦め手が得意なタイプというのも、ボクが少し手を引いてしまう理由でもある。

 

「搦め手を考えるのは得意なんだけどね~……」

「逆にされる立場になるとちょっと後手になっちゃうよね」

「そこをついてきた相手直々に言われると説得力が違うなぁ……」

 

 ユウリにもしっかりと突かれたボクの明確な弱点。リーグ中にも見ることが出来たそんな弱点を、ネズさんが許すはずもない。勿論他のジムリーダーも見逃してはないはずだけど、ネズさんは殊更そこを突いてきそうだ。

 

「とりあえず、2人までは私も何となく想像は出来たけど……最後のオニオンさんは意外かも」

「ここは単純に読めないって感じかな……ゴーストタイプの奇襲力と、オニオンさん自身の動きがわかりづらいっていうのがね……」

「そっか……オニオンさんって、フリアの共有化みたいにゴーストタイプと意思疎通が出来るもんね」

「あそこまで高い親和性を持っているのなら、全力で戦う時は指示すらなく行動できそうだからね……ジムリーダーとして戦ったのが4番目っていう比較的早い段階だったっていうのもあるかな……オニオンさんの本気……あの時とどれだけギャップがあるのかが一番読めないんだよね……」

 

 さっきも言った通り、ジムチャレンジの時に戦ったジムリーダーたちは全員その関門としての手持ちなため、全力のメンバーではない。となると、次のトーナメントでぶつかる時が一番の本気メンバーになるのだけど、そうなるとガラル地方にいなかったボクは、全員の本気パーティを知らない状態になる。となると、どうしてもジムチャレンジの時の情報を基にするしかなくなってしまう。勿論、そういう点で言えば一番ギャップが生まれるのはヤローさんなんだけど、それ以上に、ポプラさんと同じく運でねむり状態から脱出できたことによって勝つことの出来たオニオンさんの方が、ボク個人としてはいいイメージが持てずにいる。

 

「あの『さいみんじゅつ』はやばい……ああいうのをまたされたら今度こそ勝てない気がするんだよね~……」

「そっか……ふふ」

「ん?」

 

 なんて、これから行われるトーナメントについてのボクなりの感想を述べていると、対面から小さな笑い声が聞こえてきた。それがボク個人としてはよくわからなかったので、疑問の色を乗せてユウリに返すと、微笑みを隠すことなくユウリが言葉を返してくる。

 

「ううん、なんでもないよ。ただ……フリア、凄く楽しそう」

「……え?」

「気づいてないの?フリア、当たりたくない人の話をしながらずっと笑ってたよ?」

「あらら……」

 

 ユウリに言われて、思わず自分のほっぺをムニムニしてしまう。どうも、ユウリと戦っていろいろ気持ちに整理したところから、バトルに対する意識が変わり始め、且つその思いがちょっと先行している節がある。

 

(おかしいなぁ……そんなにボクはバトルジャンキーになっているつもりはないんだけど……)

 

 ただ、ボク自身が笑いを堪えられないというのもあながち間違っているわけではない。というのも、今さっき上げた3人は、ユウリに『戦いたくない人をあげて欲しい』という願いの元あげた3人ではあるものの、戦いたくない理由はあくまでも負けるビジョンが明確に思い浮かぶのがこの3人だったというだけで、正直誰と戦うことになっても構わない。

 

 むしろ、自分は挑戦者であるという気持ちを明確に芯に置いた今、誰が相手だろうとも、その戦いが楽しみで仕方がない。

 

「誰と戦うことになるんだろうね……」

「もう、笑顔隠す気なくなってるでしょ?」

「あはは……自分でもちょっと不思議。言っておくけど、これも全部ユウリのせいだからね?」

「私のせい!?」

「あれだけボクの心を焚きつけるようなバトルしておいて、その反応はなくない?」

「むぅ……あむ……」

 

 ボクがジト目で返してみると、ユウリはごまかすように視線を逸らしながらお菓子をひと口。何か言い返したいという気持ちがありながらも、ユウリ自身も今日の戦いは楽しくて、若干戦闘欲を刺激された節があるのか、特に言い返すことなくそっぽを向き続ける。

 

 ……まぁ、そんな微妙な顔も、お菓子のおいしさから表情を綻ばせているため、不満は一瞬で消え去っているんだけど……。

 

(そういうところが、可愛いというかなんというか……)

 

 ユウリの反応にほっこりしていると、ボクがユウリを見続けていることがばれ、先ほどまでの自分の表情を思い出したのか、若干頬を赤く染めながらユウリが慌てて話を逸らしていく。

 

「って、私のことはいいから!!……それで、対戦相手が決まるのって、明日だっけ?」

「そうだね」

 

 もうちょっとユウリをからかってもよかったのだけど、さすがに真面目な話に返ってきたからにはそちらを優先する。

 

 ボクがチャンピオンリーグで闘う相手は、明日のお昼からジムリーダーが8人集結し、そこでそれぞれが抽選を行うことで決めていく。この時、ガラルリーグ優勝者であるボクは参加する必要がない。だって、ボクが入る場所は既に決まっているからね。

 

 ボクが入る場所は、トーナメント表で名前を書くところで唯一二股に割れている所の片方でしかない。

 

「さて、誰が来るのかな?」

「誰が来ても、頑張ってね!」

「勿論。ユウリの分も背負って進むから、応援よろしくね」

「うん!!」

 

 それからも、ポケモンに関するあれこれで盛り上がるボクとユウリ。そんな2人だけのささやかな宴会は、日付が変わる直前まで、まったりと続けられていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「視聴者の皆さん!!こんにちは!!」

 

 定刻になり、この番組の司会者の声が大きく響き渡る。そして、その声に返すように、この会場に入っている観客の声が呼応し、一種のお祭り状態になる。

 

「元気な声をありがとうございます!!やはり皆さん、昨日のバトルを見たばかりなので、まだまだ興奮が冷めないようですね!!」

 

 昨日行われたフリア選手とユウリ選手のバトルは、今回のガラルリーグベストバウトとも名高い評価を受けるほどの大盛り上がりを見せていた。その盛り上は1日経った今でも冷めておらず、むしろ今日これから行われる事柄も相まって、さらに盛り上がっているようにも見える。

 

「見ている私も大変興奮してしまいましたあのバトル!!しかし忘れていけないのは、あのバトルで終わりではないという事!!本番はむしろこれからです!!」

 

 司会者の人が声をあげると同時に現れる大きなトーナメント表と、その前に並ぶ人のジムリーダーたち。その姿は圧巻で、開会式の時以上の迫力を感じる。

 

「ガラルリーグの優勝者が決まったということは、次はチャンピオンリーグが始まるという事……今日は、そんなチャンピオンリーグのトーナメント抽選を行います!!」

 

 司会者の声を聞いて更に盛り上がる観客たち。しかし、この話を聞いて盛り上がっているのは観客だけではない。

 

「さて、誰があの位置に行くか……楽しみですなぁ」

「毎回だけど、貧乏くじとか言いながら全然そんなことないわよね」

「新しい風とのバトルは、誰だって望むところだからね。ぼくも、叶うならば戦ってみたいさ」

 

 司会者と観客が騒いでいる中、ジムリーダーの間だけで行われる会話。それは、誰が先のトーナメントの優勝者と戦うかというものだ。それも、1回対戦回数が増えるというデメリットがあるうえで臨まれるという稀有なパターンでだ。その話のきっかけとして、ヤロー選手、ルリナ選手、カブ選手が口を開き、それに続くように他の人も言葉を続けていく。

 

「……ボクも……戦ってみたいなぁ」

「おや、オニオン君がそういうなんて珍しいね。なんだかんだあたしも戦いたいって思ってるし……う~ん、モテモテだね」

「当り前だろ?あのダンデとオレさまが認めてるやつだからな」

 

 オニオン選手、メロン選手、キバナ選手と続く優勝者の持ち上げはとどまるところを知らず、まだまだ上っていく。そんな中で、違う反応を示す人もいた。

 

「やれやれ、おれは故郷の人のためになるなら、正直こだわりはないんですがね……」

「の割には、ジム戦はずいぶん楽しんでいたそうじゃないか。相変わらずのアマノジャク……ピンクじゃないねぇ」

「あいにくおれはピンクに興味はないので……」

 

 観客と同じく盛り上がるジムリーダーたちの中で、自分のペースを崩さないのはネズ選手とポプラ選手。落ち着いた雰囲気の2人は、この状況を少し外から見ていた。

 

「実際どうなんだい?あんたの目からして、あのコはどう見えるんだい?」

「……彼は自分のことを過小評価しがちですけど、十分輝いている人ですよ。才能も十分。チャンピオンリーグでも、波乱を呼ぶんじゃないですかね?……いえ、もっと波乱を呼びそうな人がここにいますが」

「はて?何のことかさっぱりだね」

「……はぁ。その返答がすでに肯定なんですよ。これだから……」

 

 面倒くさそうに首を振るネズ選手と、すっとぼけた表情を打浮かべるポプラ選手。他のジムリーダーが盛り上がっているせいで、なかなかここに焦点が当たることがないけど、2人を知る人が見れば、全員がネズ選手に同情の意を示していたことだろう。

 

「さぁ、ではさっそく始めていきましょう抽選会!!今回は誰がガラルリーグ優勝者と戦うことになるのでしょうか!!」

 

「ほらほら、そんなことよりもそろそろ始まるみたいだよ」

「……せめて、大会が荒れないことを願いますよ」

 

 司会者の言葉を合図に、いよいよ抽選会が始まっていく。

 

 もう何回もやっている抽選会は滞ることなく進んだため、すぐに完成することとなる。

 

「ほほう、これはこれは……」

「……まさか、仕組んだとかないですよね?」

「なにを行ってるのかさっぱりだね」

「本当にこの人は……」

 

 その完成した表を見て、ネズ選手は頭を抱え、ポプラ選手はからからと笑い始める。

 

「これは……また一波乱ありそうですね……」

 

 ネズ選手の小さなその言葉は、空気にとけるように消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




トーナメント

実際の所、どうするつもりだったのでしょうかね?9人でトーナメントって物凄い組みづらいと思うのですが……

初戦

さて、フリアさんの最初の対戦相手は一体誰なんでしょうか?楽しみですねー()

約束

??「まだ、言う時じゃなさそう……かな?」




終わりが近いように見えて遠い。まだまだ続きそうですね。




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