【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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260話

「『かわらわり』!!」

「『ぶんまわす』!!」

 

 白に光る両腕と、黒に光る触手が何度もぶつかり合い、その度に衝撃と快音を振りまいていく。

 

 激しく、それでいてどこか演武を踊っているような2人の攻防は、見ているものを思わず引きつける。けど、そんな素晴らしいバトルをしている当の本人は、決してそんなことを考えておらず、2人ともただひたすら楽しそうな顔を浮かべたまま戦況を見て、指示を出していた。

 

「フリアはともかく、ビートのあんな笑顔、初めて見たぞ……」

「うん……あんな風に笑うんだ……」

「少し、意外と……」

 

 その様子を見て、わたしと一緒に観戦しているホップたちが、少し戸惑ったような色を乗せながら言葉を紡ぐ。

 

 わたしはビート選手についてはまるで知らないためなんとも言えないけど、それでもバトルコートに入ってすぐの状態が彼の素なのだとしたら、ホップたちの言葉も何となく理解はできた。

 

(あのハイライトの乗っかっていなかった瞳……訳アリの子なのかしら?)

 

 何となく予想は立てることはできるけど、やはり彼を知らないわたしに考察できる範囲はそこまで広くない。なので、これ以上このことを考えても仕方ないので、今は目の前のことに集中する。

 

「『いわなだれ』!!」

「『サイコキネシス』!!」

 

 さっきまでの近距離戦から一転して、今度は岩と念動力が飛び交う超次元の世界へ。2人の楽しんでいるという心を技で表現しているかのごとく、バトルコートが荒れていく。

 

「……本当に楽しそうだな……羨ましいぜ」

「ええ。わたしたち以外にあんな顔をするの、珍しいんじゃないかしら?」

 

 その様を見て、わたしとジュンの表情が緩んでいく。今も、いつもの可愛い顔にはちょっと似合わない、少し威圧を含んだその笑みは、けどフリアの性格を知っているわたしたちは安心して見ることが出来る。

 

「フリアにとって、この試合はちょっと特別なのかもしれないわね」

「だな」

 

 まるでお互いの力を確かめるようなその動きは、もしかしたら1度手合わせをしたことがあり、その時の戦いをなぞっているのかもしれない。そう思わせるくらいには、お互いの技選びが、本気のバトルにしては少し不自然だった。勝負を決める気なら、もっと早く『ポルターガイスト』や『ムーンフォース』が見れてもいいはずだ。

 

「むぅ……」

「はいはい、妬かないと~」

「大丈夫よ。フリアにとって、間違いなくあなたも特別だから」

「ち、ちがっ!?」

 

 そんなバトルを見ながら頬を膨らますユウリを、マリィと2人がかりでいじっていると、バトルフィールドに大きな動きが現れる。

 

「戻って!!ヨノワール!!」

「戻りなさい、ブリムオン!!」

 

 フリアとビートの指示によってボールに戻っていくヨノワールとブリムオン。今まで順調に戦っていたのに、急にボールに戻っていく様を見てますます混乱していく観客たち。もちろん2人の戦いはレベルが高く、見ていて飽きるだったり不満が出る訳では無い。が、展開が予想外すぎて追いつけていないという感じなのだろう。

 

(ここに来てブリムオンとヨノワールを戻したというのなら、恐らく準備運動が終わったという合図。なら……)

 

「行くよ、マホイップ!!」

「行きなさい、クチート!!」

 

 ヨノワールとブリムオンの代わりに場にでてきたのはマホイップとクチート。この2人をみて、ようやく先鋒戦が始まるのだと言うことを理解する。

 

「始まるわね」

 

 わたしの独り言のように呟かれた言葉に頷くみんなは、ここから先の動きをしっかりと目に焼きつけるために、ひたすらじっと見続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マホッ!!」

「クチッ!!」

 

 場に出ると同時に元気な声を上げる両者は、相手を補足してすぐさま戦闘態勢に入る。

 

「チーッ!!」

「マホッ!?」

 

 まずはその挨拶としてクチートの特性『いかく』がマホイップを襲うけど、これには特に意味は無い。こちらに悪影響は何1つおきないからね。

 

 ヨノワールとブリムオンによる小手調べを終えたボクたちは、本気の切り札バトルを最後に取っておくために一時交代。『まだ早い』と心を落ち着けながら繰り出したポケモンは、またしても因縁のある組み合わせとなった。

 

「ふふ、本当に縁があるね」

「全くです。特に意識していた訳では無いのですが……まぁ、いいでしょう」

 

 口調は変わっていないのに、瞳の輝きと現在のビートのテンションの高さから全然受け取り方が変わるこの言葉に、思わず頬が緩んでしまう。

 

 今回の意組み合わせはジムチャレンジのミッション中に起きた対戦カードだ。あの時はボクが勝ちを収めたけど、ビートもフェアリータイプというポケモンの特性に触れたばかりで、まだ戦い方やクチートのことをよく理解していないときに行われたバトルだったため、今までのジムリーダとのバトル以上に参考にならない。

 

 きっとあのころと比べて、ポプラさんの下で修業したことで劇的な変化があるはずだ。

 

(さっきはヨノワールとブリムオンであんなことをしたけど、多分クチートとマホイップでは同じことはしないよね。……うん、ここからは本気だ!!)

 

 先ほどと違って、ビートの瞳は輝いたままだけど、微笑みは少し消えていることから、ここからは遊びがないことを察するボクは、警戒度を一段階あげる。

 

「クチート!!『アイアンヘッド』!!」

「マホイップ!!『マジカルフレイム』!!」

 

 あげたと同時にビートから聞こえた指示はアイアンヘッド。時間をかけてしまえば、クリーム展開やめいそうによってどんどん自分を強化され、手が付けられなくなると知っているからこその速攻作戦。額を鈍色に染めながら真っすぐ突っ込んでくるクチートは、こちらに何もさせないようにとにかく前に走って来る。それを見越したボクは、クリームによる展開は早々に諦めて迎撃の準備。クチートの弱点を突くことの出来る技で、手痛いダメージをあてに行く算段だ。

 

「標的変更!!地面へ!!」

「クチッ!!」

 

 このままではマジカルフレイムが直撃すると判断したビートは、攻撃方向をすぐさま変更。額を地面に叩きつけることで土砂を巻き上げて、煌めく焔を受け止める。これでマホイップの攻撃は無効化された。しかし、ビートが攻撃をあきらめたおかげで、こちらに攻撃のチャンスが生まれた。

 

「クリーム展開!!」

「マホッ!!」

 

 この隙に自分のフィールドを作り上げるためにクリームを周りに放ち、準備を整えた。これで攻撃も受け止めることが出来るし、逃げることも簡単になった。

 

「『かみくだく』でクリームを捕食!!」

「クチッ!!」

「……やっぱりそうくるか」

 

 そんなマホイップのためのフィールドを、クチートは自身の後頭部から生えている大きな口で次々とくらいつき、口の中にクリームをため込んでいく。いくら遠距離からクリームを操作できるようになったからとはいえ、さすがに口の中に含まれたクリームまでは、マホイップの操作の影響を及ぼすことが出来ない。あのクリームに関しては吐き出されるまでは放っておくしかないだろう。けど、たとえこれでクリームを除去できると言っても、食べることが出来る量に限りがある。クチートの口の中が埋まってしまったら、もうそれ以上に除去されることはないし、なんならクリームの重さのせいで機動力が落ちるはずだ。

 

 早速この間に攻撃を仕掛けようと技を構え……

 

「吐き出す!!」

「クチッ!!」

 

 マホイップが攻撃をする前にクチートが後頭部の口を吐き出し、クリームの塊をマホイップの方へと吐き出した。

 

「マホイップ!」

「マホッ!!」

 

 急に吐き出された塊に対して、すぐさまクリーム操作を行って自身に当たらないように軌道を操作。これによって、クリームは再びマホイップの周りに撒かれることとなるけど、その代わりに今度はこの隙をクチートが突いてくる形となる。

 

「『じゃれつく』!!」

「クチッ!!」

「マホッ!?」

 

 クリーム操作に夢中になっているところで夢中になっている間に懐に入り込んだクチートによる攻撃がマホイップに直撃。急に飛んできたクチートの最大火力は、マホイップの小さい身体を簡単に吹き飛ばす。

 

「マホイップ!!」

「マホッ!!」

「クチッ!?」

 

 しかし、吹き飛ばされたマホイップもされるがままでいるわけではない。飛ばされながらも右手をクチートの方に向けたマホイップは、細いクリームの糸を発射してクチートに付着。そのまま、自身が吹き飛ばされる勢いを利用して、クチートも一緒に引っ張り上げた。

 

「急いでクリームをかみちぎりなさい!!」

 

 飛ばされたマホイップに引っ張られるクチートは、それでも後頭部の大顎を振り回して何とかクリームを除去。しかし、既に空中に浮いており、マホイップの方向に飛んでいる最中の動きを止める術は無いため、クチートは依然マホイップに向かって飛んでいるままだ。

 

「マホイップ!!準備!!」

 

 クチートがクリームの糸を切っている間に、マホイップはステージ端の壁に無事着地。あと数秒も立たない間にクチートも同じ場所に突っ込んでくるものの、それでもほんの少しの時間の猶予が出来た。

 

「『マジカルフレイム』!!」

「マホッ!!」

 

 その猶予の間に、右手に虹色に煌めく炎を纏わせたマホイップが、飛んでくるクチートめがけて思いっきり振りかぶる。物理攻撃が得意なわけじゃないので、いつもの使い方よりも少し火力は下がってしまうものの、それでもこうかばつぐんをつくこの技は、クチートに良いダメージを与えてくれるはずだ。

 

「クチート!!身体をひねって『かみくだく』!!」

 

 これに対してクチートは、身体を左に倒しながらマホイップの方に背中の大顎をみせ、その状態で大きく口を開けて噛みついてくる。

 

 狙いはマホイップの右腕。

 

「クチッ!!」

「マホッ!?」

 

 接近するクチートに合わせて右腕を振り、伸びきったところに迫るクチートの大顎。それはマホイップの右拳部分のみを綺麗に避け、マホイップの身体の大きさに見合った短い腕の部分のみに、器用に歯を当てるようにしてかみついた。マホイップの拳はクチートの大顎の中にあるものの、これでは攻撃が当たっていないのでダメージはない。

 

(マホイップの腕だけにかみつくとか、とても器用なことを……いや、それが出来るくらいには、お互いのコンビネーションを鍛えてきたってことか……流石)

 

「そのまま投げ飛ばしなさい!!」

「クチッ!!」

 

 腕にかみついたクチートは、そのまま身体の小さいマホイップを力任せに振り回し、今度はステージの中央に向けて、ジャイアントスイングでもするかのように回転して投げ飛ばす。当然マホイップの力では、この投げに対抗する手段はない。

 

 けど、出来ることがないわけじゃない。

 

「マホイップ!!解放!!」

「マホッ!!」

「クチッ!?」

 

 クチートに投げ飛ばされる瞬間に、右腕に纏っていたマジカルフレイムを自分の意志で暴発。自身にもダメージは返って来るし、マジカルフレイムの追加効果であるとくこうダウンも、マホイップにしてみればかなり痛いけど、これでクチートにもようやくまとまったダメージが入り、投げ飛ばすために身体の態勢を少し不安定にしていたこともあって、大きくバランスを崩すこととなる。

 

「相打ち上等……そこまでしますか」

「そうしなきゃいけないほどの相手って思っているからね。『めいそう』!!」

「くっ、アフターケアは万全ですか……!!」

 

 マホイップは中央に飛ばされ、クチートはバトルコート端でたたらを踏んでいるこの状況。マホイップにもそこそこのダメージはあるけど、追撃されることは絶対にない状況が出来上がったのですかさずめいそう。下がったとくこうをすぐさま戻し、次の打ち合いに備える。

 

「これ以上させてはいけません!!『アイアンヘッド』!!」

「クリーム展開!!」

 

 このまま距離を離してしまうと、再びめいそうのチャンスを与えてしまうため、それを阻止するために走り出すクチート。これに対してマジカルフレイムを打つと、最初の時と同じになってしまうので今度はクリームの壁を作るマホイップ。鈍色に頭を染めたクチートは、急に現れた壁に対してすぐに反応すのは難しいため、そのまま壁に額をぶつけることとなる。

 

「からめとって!!」

 

 ベチャッ。という、クチートのアイアンヘッドがクリームに当たる音が聞こえたので、それと同時にクリームの壁を操作。クチートを包み込むように動かされたクリームは、一瞬にしてその形を球に変える。

 

「そのまま叩きつける!!」

 

 その球に対してすかさずクリームの糸を括り付けたマホイップは、力いっぱい引っ張り上げてその球を持ち上げ、そのまま地面に叩きつけるように動かしていく。これでさらにダメージを与えつつ、クリームを付着させることでクチートの機動力も奪うことが出来る、いいことづくめの攻めが可能だ。

 

「やはりそうくると思ってましたよ……クチート!!」

「クチッ!!」

「なっ!?」

 

 が、マホイップが地面に叩きつけようとクリームの糸を引っ張った瞬間に、マホイップの真上にまで持ち上げられたクリームの中から、何かが割れたかのような音が響き、同時に緑色の光と共にクリームが爆発四散した。

 

 中から現れたのは、相変わらず額を鈍色に輝かせたクチート。ニヒルな笑顔を浮かべたあざむきポケモンが、真下にいるマホイップに向かって真っすぐ突撃してきた。

 

「マホイップ!!『マジカルフレイ━━』」

「遅いです!!」

 

 急降下してくるクチートに対して、すぐさま対応しようと技を構えるけど、それよりも速くクチートがマホイップの下へ到達。焔を今まさに右手に集め始めたマホイップの顔を、真正面からクチートの額が襲ってきた。

 

「マホッ!?」

「マホイップ!!」

 

 弱点のタイプをクリーンヒットさせられたマホイップは、地面を転がりながらボクの方へ飛んできて、その身体を横たえる。

 

「マホ……ッ!!」

 

 まだかろうじて動ける状態ではあるものの、それでもダメージが大きすぎたみたいで、その身体はかなりボロボロだ。そんなマホイップの様子を見ながら、ビートはゆっくりと口を開く。

 

「ぼくが今まで誰の下で教えを請いていたと思っているんですか。クリーム操作に対する対策はばっちりですよ」

「みたいだね……でも、まさかそのためだけに『まもる』を仕込んでいるとは思わなかったけど……」

「……流石に、どの技で防いだかはバレたみたいですね」

 

 マホイップのクリームを防いだ技はまもるだ。緑色の球状のエネルギーを展開することで、あらゆる技をシャットダウンするこのバリアは当然クリームも無効化する。そのうえで、解除するときにこのバリアを弾けさせることで、バリアに付着していたクリームを弾いたという事だ。

 

(こうなって来ると、クリームによる妨害は難しいね……)

 

 クリームによる妨害行動は、技ではないためマホイップの自由に呼び出しが可能だ。ただ、その分普通の攻撃技に比べてどうしても技よりも展開速度に差が生まれてしまう。となると、こちらが攻撃を当てる前にまもるを展開するのは簡単だ。

 

 だからと言って、諦めるわけにはいかない。

 

「マホイップ!!『マジカルフレイム』!!」

「マ……ホッ!!」

「避けてください!!」

 

 ボロボロになりながらも煌めく焔を発射するマホイップ。しかし、真正面から正直に放たれた攻撃はいとも簡単に逃げられる。

 

(やっぱり、攻撃を当てるには足止めしなくちゃ難しい……なら!!)

 

「クリーム!!」

「無駄ですよ、『まもる』!!」

 

 相手の機動力を削るためのクリームは必須。そのために、マジカルフレイムを避けたところに再びクリームを放ち、クチートの足を奪う。が、当然ビートもすぐ反応して緑色のバリアを張り、それを破裂させることでクリームを霧散。同時に、マホイップに反撃するべく一気に間に走り出す。

 

「もう一度クリーム!!」

「マホッ!!」

「ちっ」

 

 これに対してこちらが行うのは再度のクリーム発射。2回も弾かれて、無駄だとわかっているはずなのにそれでもなお行われるこの行動に、観客たちはいぶかし気な表情を浮かべるけど、実際に攻撃を受ける側のビートは物凄く嫌そうな顔を浮かべる。

 

 まもるという技はあらゆる技を防ぐ力がある反面、連続で使用すると失敗しやすくなるというデメリットがある。もう一度確実にまもるなら、間に別の行動を挟まざるを得ないという事だ。

 

 つまり、先ほどまもるを使った今なら、ほぼ確実にクリームを通すことが出来る。

 

(押してダメならもっと押せ!!)

 

 クチートに向かって真っすぐ飛ぶ大きなクリームの塊。走り出していることと、クリームが大きいことから逃げることが出来なくなっているクチートは、このクリームを受けるしかない。

 

「けど、それも想定通りです!!クチート!!『アイアンヘッド』!!」

「クチッ!!」

 

 けど、こんな状況でも舌打ち以外の負の感情を見せないビートは、すぐさまクチートに行動を指示。すると、クチートはマホイップに背中を見せ、後頭部の大きな口全体を鈍色に染めながら突っ込んでくる。

 

「なっ!?」

「後頭部も頭です。なら、『アイアンヘッド』の対象でしょう?」

 

 小さなクチートの額と比べて何十倍も違うその質量を、持ち前の力を使って豪快に振り回す。ハンマー投げもかくやという迫力をもって振るわれたその技は、飛んできたクリームのすべてを、ホームランを打つ時みたいに吹き飛ばし、マホイップとの間に障害物の無い空間を作り出した。

 

「クチート!!」

 

 こうなってしまえばもうクチートの独壇場。残りの距離を詰めるべく、地面を強く踏みしめたクチートの動きを止めるものは何もない。

 

「『アイアンヘッド』!!」

「クッチッ!!」

 

 先ほどクリームを吹き飛ばした鈍色の大顎をそのまま振りかぶったクチートは、マホイップのすぐ目の前に到達すると同時に勢いよく振り下ろす。

 

 マホイップの目前まで迫られて振られたその一撃は、マホイップにとっては必殺の一撃だ。既にダメージを負ってボロボロのマホイップなら尚更。そんなマホイップにとっては死神の鎌のようにも見える最凶の一撃が、今まさに自身に向かって振られる。

 

「マホイップ!!」

 

 ボクの声と同時に振り下ろされる鉄の大顎。激しい衝撃音を立てながら巻き上がる土煙はすぐに消え、クチートの攻撃の結果がすぐ目に入る。

 

「な!?外れている!?」

「……よし」

 

 結果は、クチートの大顎がマホイップの目前の地面に突き刺さっている状態で固まっており、マホイップに隙だらけの姿をさらけ出すという形になった。

 

 そんなクチートの足には、わずかなガラクリームの糸が結ばれており、それがマホイップから離れるように伸びている。

 

「遠隔でクチートの足を!?」

「マホイップ!!『マジカルフレイム』!!」

「マ……ホッ!!」

「クチッ!?」

 

 絶好の攻撃チャンス。ここで仕留めるべく、全力の焔を宿したマホイップは、自分を巻き込むことをいとわない火力にてクチートを攻撃。先ほどクチートが放ったアイアンヘッド以上の衝撃音を奏でながら放たれた虹色の焔は、クチートをビートの足元まで吹き飛ばす。

 

 

『クチート、戦闘不能!!』

 

 

 飛ばされたクチートは目を回し、そのままダウン。これでビートは最初の1人目を失ったことになる。

 

「マホ……ッ!?」

「マホイップ!?」

 

 が、自身をも巻き込む勢いで炎を吐き出したマホイップの爆炎は、その想像通り自身の身体にも大きなダメージを残し、既に満身創痍だった自身の体力を完全に削りきる自爆技となってしまう。

 

 

『マホイップ、戦闘不能!!』

 

 

「お疲れ様です、クチート」

「ありがとう。ごめんねマホイップ……」

 

 戦闘不能になったお互いのパートナーをボールに戻すボクとビート。結果だけを見れば引き分けではあるけど、正直ボクとしてはこのバトルは完全にボクの負けとしか思えなかった。

 

 自爆技による無理やりの1対1交換。正直、ああしなかったらマホイップが一方的にやられていただろう。

 

「本当に、強くなったね……」

 

 手に汗を握りながら、ボクは次のボールを握る。

 

(辛いバトルになりそうだ……)

 

 しかし、同時にビートとこんなでバトルが出来ることを心から喜んでいるボクもいた。

 

 楽しいバトルは、まだまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ビートとフリア

というわけで、前回笑った理由の答え合わせ。実際にはちゃんと再現した方のですが、残念ながら成長して変わってしまった技もあるのでこのような結果に。真の決着はまだ先です。

クチートとマホイップ

此方も因縁のバトルではありますが、先の戦いと違い、こちらは小手調べ無し。ビートさんの成長具合がうかがえますね。




もう少しでポケモンday。何が発表されるか楽しみですね。




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