【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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261話

(さて……次はどの子で戦おうか……)

 

 マホイップとクチートが相打ちとなり、その両者がモンスターボールに戻ることで、一時的に静かな時間が帰ってくることとなったバトルフィールド。勿論、ただ完全な無音空間になった訳ではなく、相変わらず観客からの歓声は止むことがないため、普通に騒がしくはあるのだけど、正直今のボクはそんなことに耳を傾けている場合では無い。

 

(決して油断してた訳じゃないけど、それでも1度勝った事のあるカードでここまで追い詰められるとは思わなかった……いや、言い訳はよくないね。普通に油断した……)

 

 マホイップ対クチートの内容は、ボクの主観から見ればとてもじゃないけどいいと言えるものでは無かった。それはボクの慢心と言われたらそれまでではあるのだけど、それ以上にビートの成長性がとてつもないことの方が重要だ。

 

(ポプラさんの下で無茶苦茶特訓したんだろうね……それも、今日のために……)

 

 今もキラキラと輝きながら、ギラギラと闘志を滾らせるビートの瞳を見ればよくわかる。それは、先日ホテルでボクにひとつの約束を持ってきたユウリが宿していたものと同じような種類で……

 

(キミも、こんなボクを目標にしてひたすら走ってきたんだ……)

 

 その事が嬉しくて、同時にその想いを中心に置いてここまで来ているのが恐ろしくて、そんな相反する気持ちに挟まれるボクの心は、さらに燃え上がる。

 

(なら、キミの方こそ、ボクにとっては等しく挑むべき壁だ!!……全力でキミを乗り越える!!)

 

 改めて気持ちを引き締めたと同時に、自然と誰を出すのかを決めたボクは、3人目の仲間をボールから繰り出す。

 

「お願い!!エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 現れたのはエルレイド。ボクの手持ちの中でとにかく前に出て殴り合うアタッカーを担う子で、同時に勢い付のために、最近ボクが先発で選ぶことの多い子。今回も、悪い流れを無理やり奪うために、このタイミングで登板させてもらった。

 

「エルレイドですか……」

 

 一方で、ボクの手持ちを確認してから次のポケモンを決めたかったらしいビートが、エルレイドの姿を見たと同時にすぐさま次のポケモンを繰り出す。

 

「行きなさい、サーナイト!!」

「サナッ!!」

 

 現れたのはサーナイト。エルレイドの分岐進化のもう片方の姿である彼女は、見る者を魅了する不思議な魅力を振りまきながら構えをとる。

 

 そんなサーナイトに対して、決して警戒を解くことをせず、むしろ肘の刃を伸ばして同じように臨戦態勢を整えるその姿は、一国の姫に対して挑む1人の騎士というちょっとした物語性を感じるかのような構図となっていた。

 

……いや、もしかしたらクーデターかもしれない。とまぁ、そんなことは置いておいて。

 

(サーナイト……タイプ相性上は不利だけど、能力的には有利……うん、また読みづらい相手だね……)

 

 サーナイトとエルレイドは、どちらも進化前がキルリアということもあって能力はかなり近い。具体的に言えば、2人の差はそれぞれの得意な攻撃方法が物理か特殊かという点だけだ。他の能力である体力や足の速さ、体力、そして、物理と特殊のどちらに対して耐性を持っているかという点まではほとんど酷似している。

 

 エルレイドとサーナイトは、特殊防御はかなり高いものの、物理防御に対してはあまり強くない。だからこそ、同じエスパータイプでありながら、フェアリーとかくとうという組み合わせのせいで不利なエルレイドだけど、相手が弱いとされる物理で殴ることが出来る点で、エルレイドもまだ戦える可能性があるというわけだ。

 

 もっとも、それを加味したとしても、タイプ相性が1番大事だと言うのは忘れてはいけないが。

 

「サーナイト。『シャドーボール』です!!」

「サナッ!!」

 

 2人が場に出揃い、戦闘態勢に入ったと同時にビートが指示。先手必勝とばかりに、闇の力を秘めた黒色に輝くの光球をエルレイドに向かって解き放つ。

 

 その数は4。その全てが、複雑な起動を描きながら飛んでくる。

 

「エルレイド!!『つじぎり』!!」

「エルッ!!」

 

 対するエルレイドは両腕の刃を黒く染め、飛んでくる黒色の珠に向かってその刃を降るって切り裂いていく。

 

「ダッシュ!!」

「エルッ!!」

 

 ゴーストタイプのエネルギーであるシャドーボールは、弱点であるあくタイプのつじぎりに面白いように切り裂かれ、真っ二つに割れたシャドーボールは全てエルレイドの後ろで爆発。その時に起こった爆風を推進力にし、いつもよりもほんの少し速くなったエルレイドがサーナイトに向かって走り出す。

 

「『ムーンフォース』!!」

「サナッ!!」

 

 走ってくるエルレイドを迎え撃つサーナイトは、今度はシャドーボールではなくムーンフォースを構えた。自身の最高火力であり、且つつじぎりに対してタイプ上でさらに有利を取り返すことの出来るフェアリータイプのこの技は、先程のシャドーボールと違って切り裂くことが難しい。

 

「『サイコカッター』!!」

「……やりますね」

 

 なので、この月の光珠に対しては黒の刃を消して、ピンク色の刃に変更して迎え撃つ。

 

 先程のシャドーボールと同様に4つ放たれたこの技に対して、再び切り裂くように両腕の刃を振って迎撃するエルレイド。しかし、先程と違って相手の技の威力が高く、またこちらが有利タイプの刃を準備できないということもあって切り裂くことが不可能だった。なので、ここは技を切るのではなく、そらすことで対応をしていく。

 

 真っ直ぐ飛んでくるムーンフォースに対して、右と左の刃を交互に振って受け流し、自分の後ろに飛ばしていくその様はとても洗練されており、この行動には敵側であるビートも思わず賛辞の言葉がこぼれる。

 

(あのビートから素直な言葉を引き出せただけでも、十分に嬉しいね)

 

 そのことに思わず頬が緩みそうになるけど、今回の勝利条件は相手を倒すことだ。

 

「感心してる場合?エルレイド!!」

 

 シャドーボールもムーンフォースも捌ききったエルレイドが、いよいよもってサーナイトの目前まで迫る。ここまで来れば、近接の得意なエルレイドの方が圧倒的有利。

 

「『つじぎり』!!」

 

 ムーンフォースのためにピンク色の光を宿していた刃を、再び漆黒に染めて技を構えるエルレイド。そんな彼が右腕を少しだけ後ろに引き、そこから思いっきり左に振るうことで、全力の斬撃をお見舞いする構えをとる。

 

「『リフレクター』!!」

 

 この直撃を受ける訳には行かないサーナイトは、エルレイドを前にして薄く光る壁を展開。物理に対して高い耐性を持つこの壁で、エルレイドの一撃を受け止めようという算段だ。

 

「エルッ!!」

「サナ……ッ!!」

 

 壁と刃がぶつかり、ギャリギャリと言う不協和音を奏でるバトルフィールド。その中心にて、エルレイドとサーナイトが気合いの入った声と共に鍔迫り合いを起こす。が、この天秤は思いのほか早くエルレイド側へと傾きを見せ始めていく。

 

 その理由は単純な技性能によるもののためだ。

 

 リフレクターという技は、あくまでも物理技の威力を落とすものであって、完全に防きるものでは無い。また、エスパータイプの壁対あくタイプの攻撃ということもあって、タイプ相性でもそんな強くないリフレクターが押されるのは想像に難しくない。その理論を証明するかのように、今現在も鍔迫り合い、そして押され始めているリフレクターから、限界を告げるかのようにきしむ音が響いてくる。

 

 あと少し押し込めば、リフレクターごと貫いてダメージを与えられる。

 

「エルレイド!!ガンバ……下がって!!」

「エルッ!?」

 

 が、その一押しをしようとした瞬間に嫌な予感が走り、少しエルレイドの周りに視線を動かした瞬間にボクの目にあるものが入ったため、慌ててエルレイドに下がる指示を下す。

 

 エルレイドも、困惑こそしていたものの、ボクの指示を疑うことなくすぐに反応して後ろに飛んでくれたおかげで、さっきまでエルレイドがいたところに突き刺さった攻撃に対して回避が間に合った。

 

「あっぶな……」

「ちっ、気づきましたか……」

 

 地面に突き刺さった攻撃の正体はムーンフォース。これは、エルレイドがサーナイトと鍔迫り合いをする前に弾いた残り物が原因になっている。

 

 エルレイドが逸らしたことによって明後日の方向に飛ぶはずだったムーンフォースは、その後サーナイトのサイコキネシスによって軌道を変更し、そのうえでボクの視界にも入らないように真上から襲い掛かるように調整していた。それが今の攻撃の種だ。

 

 そしてもっと気を付けなければいけないことが1つある。

 

 それは、エルレイドが弾いたムーンフォースが4つであるという事。

 

「エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 ボクが声をかけると同時に、下がり切ったエルレイドに向かって3つのムーンフォースが、それぞれ真正面、右後ろ、左後ろから飛んできた。

 

「サイコカッター!!」

 

 これに対してエルレイドは、まず真正面にサイコカッターの刃を発射し、1つ目のムーンフォースを破壊。続いて、すぐさま両腕の刃にピンク色の光をまた纏って、まずは右後ろに向かってダッシュ。片腕の攻撃では壊し切れないため、今回は両腕で無理やり破壊する方向で技を振るった。その甲斐もあってか、これで2つ目も破壊することに成功。

 

(弾いたらまた『サイコキネシス』で再利用されちゃうもんね……)

 

 この調子で最後のムーンフォースも破壊するべく、身体の向きを変えて、左後ろから狙ってきていた物に対して再びサイコカッターを構えた。

 

 唯一の不安要素として、2つ目を破壊している最中に後ろから襲われることを懸念していたんだけど、どうやら弾速自体はそれほど速いわけではなく、エルレイドの速度でも十分対応可能だったため、何とか迎撃は間に合った。

 

「これで最後!」

「エル!!……ッ!?」

「エルレイド!?」

 

 が、エルレイドの防御が間に合ったと思った瞬間、エルレイドのサイコカッターがムーンフォースに()()()()()()()()、エルレイドに直撃。幸い、腕をクロスしていたのがそのまま防御行動にもなっていたため、ばつぐんを取られたにしてはダメージを抑えることには成功していたものの、それでも少なくないダメージを受けたエルレイドは、衝撃で無理やり後ろに下げられたのちに膝を地面についていしまう。

 

 思わぬ大ダメージ。しかし、ボクはダメージの大きさよりも、なんでダメージを受けたかの方が気になっていた。

 

「なんで……確かに『ムーンフォース』は『サイコカッター』で防いだはずなのに……」

「ふっ……『ムーンフォース』!!」

「またっ!?エルレイド!!」

 

 なぜダメージを受けたのか。そのことに思考を回そうとしたところで、再びサーナイトからムーンフォースの弾幕。

 

 威力よりも数を優先したこの攻撃は、エルレイドの片腕の攻撃でも十分捌くことが出来るけど、それ以上に、先ほどエルレイドのサイコカッターが急に消えたことの方が頭にこべりついているせいで少しだけ行動が縮こまってしまう。そのため、威力の低い攻撃でもエルレイドの足は少しずつ後ろに下げられていた。

 

(……いや、ここで弱気になったらだめだ。まずはなんであんなことが起きたのか、しっかりと見極める!!)

 

 けど、このまま下がってしまうとただただ負けてしまう。ここまで来てそんな不甲斐ない姿は見せられないから、すぐ気に気持ちを切り替えて場を見つめる。

 

「エルッ!!」

 

 ボクの気持ちの切り替えを受け取ったエルレイドも、同じように気持ちを切り替えてムーンフォースの弾幕に立ち向かっていった。

 

 前から次々と飛んでくる攻撃に対して、ピンク色の刃を構えたエルレイドがその腕を振り回して1つ1つ丁寧に切り刻んでいく。

 

 その間も、ボクはエルレイドの周りを注視して、ビートが何をしてこちらを攻撃してきたのかを確認する。

 

(さぁ……見極めさせてもらうよ……!!)

 

 じっと戦況を見つめ、ビートが仕掛けてくるタイミングを待つ。すると、そのタイミングはすぐにやってきた。

 

「っ!!エルレイド!!次の『ムーンフォース』には『つじぎり』!!」

「ッ!?エルッ!!」

「……ったく、速すぎませんかね……」

 

 右から襲い掛かってきたムーンフォースに対して、すかさずつじぎりを放つエルレイド。すると、エルレイドの刃は、()()()()()()()()()()。その黒色の球の正体は……

 

「『シャドーボール』……これをムーンフォースの中に紛れ込ませていたんだね……」

「もう少し通じると思ってたんですがね……」

 

 エルレイドの刃からピンク色の光が消えた理由はシャドーボールだ。

 

 シャドーボールはゴーストタイプであるため、エスパータイプであるサイコカッターに対して、ちょっとした特攻を持つことになる。ビートはこれを利用し、ムーンフォースが防がれる瞬間にサイコカッターに対してシャドーボールをぶつけることによって、サイコカッターを無効化してムーンフォースを通したというわけだ。

 

「ですが、種がわかったところでこの攻めはさばききれないでしょう!!サーナイト!!『シャドーボール』と『ムーンフォース』の嵐を!!」

「サナッ!!」

 

 種が割れたことによって、シャドーボールを隠す必要がなくなったビートは、その数を増やし、月と闇の光が混ざった嵐を作り出す。それも、ただ真っすぐ攻撃を放つだけじゃなく、サイコキネシスによる軌道操作付き。それにより、かなり複雑な軌道を描いて、沢山の攻撃がエルレイドを襲っていった。

 

 シャドーボールとムーンフォースとサイコキネシスという、3つの技のによる同時攻撃。

 

「とんでもなく器用だね……本当、この短期間で強くなりすぎじゃない……?」

「それだけぼくがばあさんの下で修業したってことですよ」

 

 その言葉は嘘じゃない。今も、エルレイドの目の前で荒れ狂う攻撃の嵐が、その修行の成果をこれでもかと証明していた。

 

(本当に凄い……でも……ボクだって成長しているんだよ?)

 

「エルレイド。いけるよね?」

「エルッ」

 

 しかし、この程度で怯むボクたちじゃない。ボクの声に返事をするエルレイドは、両腕にサイコカッターを纏いながら、ゆっくりと弾幕の嵐に向かって歩いて行く。

 

 右から飛んできたムーンフォースをまずは右腕を振り下ろして切り裂き、次いで真正面からくるものを、左腕を左から右に奮って切断。その勢いを利用して回転切りすることで、周りから次いで来る3つのムーンフォースも切り割いた。

 

 今のところは順調に防げているけど、ここに来てこの攻撃の本領が発揮される。

 

「これならどうですか!!」

「サナッ!!」

 

 ビートが声をあげると同時に、右からシャドーボールが、そして左からムーンフォースが飛んでくる。

 

「エルレイド!!」

「エルッ!!」

 

 これに対してエルレイドは、右腕につじぎりを構え、左腕にサイコカッターを構え、同時に両方を切り割いた。

 

 ビートと同じく、2つの技の同時使用だ。

 

「……やはりできますか」

「ビートにできたのなら、ボクだって見せつけないとね!!」

「ですが、その程度ではぼくの攻撃は止められない!!」

 

 エルレイドが見せた行動に、しかし一切の動揺を見せないビートはさらに攻撃の手を速めてくる。

 

 真正面から飛んできたシャドーボールを右腕のつじぎりで一閃し、前へダッシュ。その動きを止めるようにムーンフォースの軍団が飛んできた。しかも、やらしいことにその軍団の中に、少しだけシャドーボールが混じっている。これでは、サイコカッターだけで防ぐということは不可能だ。

 

「エルッ!!」

 

 しかしエルレイドは特に臆することなく、引き続きこの攻撃にも真正面から対処していく。

 

 右腕を景気よく振り、次々とムーンフォースを切断。そのまま振り抜けばシャドーボールに当たってしまうというのに、それでも技を振り続けたエルレイドは……

 

「スイッチ!!」

「エルッ!!」

 

 ピンクの刃がシャドーボールにあたる瞬間だけ黒色に染まり、そしてrシャドーボールを切った瞬間またピンクの光に戻して、ムーンフォースとシャドーボールの群れを、右腕を振り切って全て切り伏せる。

 

「なッ!?」

 

 それからというもの、飛んでくるムーンフォースの全てを斬り伏せ、途中でまじるシャドーボールが触れる時だけつじぎりにシフトして、またサイコカッターに戻して突き進む。

 

 この行動にはさすがのビートも予想出来なかったらしく、思わず口を開けて固まってしまっていた。その間にもエルレイドは前に進み続け、あらゆる攻撃をさばきながらとにかく距離を詰めていく。

 

 真正面から来るムーンフォース、シャドーボール、ムーンフォースの順の攻撃を、左腕を右に振りながら、シャドーボールに触れる瞬間だけつじぎりに変え、シャドーボールを消したと同時にまたサイコカッターへと戻し、さらに最後のムーンフォースを切断とともにピンク色の斬撃を発射。前方から飛んできていたムーンフォースをいくつか破壊し、そこに生まれたスペースに身体をねじ込んで行く。

 

「どう?うちの子もなかなか器用なものでしょ?」

「サーナイト!!もっと密度を!!」

「サ、サナッ!!」

 

 その様子を自慢げに話すボクの声は焦っているビートには届かず、ビートは焦りのままサーナイトに次の指示を出す。これにサーナイトが答えた結果、攻撃の嵐はさらに強くなっていったものの、心に余裕がなくなっているのは確かみたいで、気づけばサイコキネシスによる軌道操作は消え去っていたため、むしろ攻撃が激化する前よりも気持ち避けやすくなっていた。

 

 前から来るムーンフォースを右腕で切り、次のシャドーボールをスライディングで潜る。次に前から飛んできたムーンフォースには、右腕をアッパーのように振り上げて切断し、その後に左右から飛んできたムーンフォースは屈んで避け、ムーンフォース同士がぶつかった衝撃を推進力にしてもっと前へ。同時にサイコカッターを飛ばすことで再び前方のムーンフォースを消していき、遂にエルレイドとサーナイトの間に、何も無い空間が生まれた。

 

 接近するなら、ここしかない。

 

「エルレイド!!」

「サーナイト!!『リフレクター』!!」

 

 前に走るエルレイドと、それを阻むサーナイトのリフレクター。

 

 恐らく、この壁で少しでも時間を稼ぎ、その間にサイコキネシスで周りのムーンフォースとシャドーボールをかき集め、弾幕の包囲網を作り上げるつもりなのだろう。今のエルレイドの力でも十分リフレクターは壊せるとはいえ、さすがに時間がかかってしまう。それだけの時間があれば、確かにその包囲網は作ることが出来る。そうなればこっちの負けだ。

 

「エルレイド!!『つじぎり』を突き刺せ!!」

「なぁっ!?」

 

 なら、その時間を与えることなく壁を破壊すればいい。

 

 右腕を大きく左後ろに引いたエルレイドは、そこから右腕で肘鉄を叩き込むようにリフレクターへと攻撃をする。こうすることによって、肘の刃の先端がリフレクターに触れ、一点集中で負荷がかかる。

 

 先程は面によって捉えていたが故に耐えられた攻撃。それが点の攻撃になれば防ぐのは不可能。

 

「サナッ!?」

 

 結果、一瞬でリフレクターは破壊され、遂に無防備な姿のサーナイトと対面する。

 

「もう1回……『つじぎり』!!」

「エルッ!!」

「サーナイト!!『ムーンフォ━━』」

「サナッ!?」

 

 サーナイトも、最後の抵抗としてムーンフォースの壁を作ろうとするけどもう遅い。既に懐まで潜り込んだエルレイドが、すれ違いながら右腕を振り抜き、サーナイトが構えていたピンク色の光を霧散させる。それと同時に、まるで糸が切れた人形のように、サーナイトが地面に伏していった。

 

 

『サーナイト、戦闘不能!!』

 

 

「よしっ」

「エルッ」

 

 これでサーナイト突破。先程と違って、明確にボクが流れを取って勝った結果に、思わず力が入る。エルレイドも、この結果には満足しているらしく、肩で息をし、少し膝を下げてはいるものの、それでも嬉しそうな声をあげていた。

 

「戻ってください。サーナイト」

 

 対するビートは、先ほど以上に悔しそうな表情を浮かべながらサーナイトを戻していく。が、そんな表情をすぐにしまい込み、次のボールを手にした。

 

(切り替えが速い……当たり前だけど、気は抜いちゃいけないね……)

 

「行きなさい!!ニンフィア!!」

「フィア!!」

 

 現れたビートの4人目はニンフィア。ピンク色のひらひらとしたリボンのような触角を揺らしながら、かわいらしい声をあげるその姿は、しかし瞳に宿している闘志から、見た目に引っ張られると痛い目に合うこと間違いなしだ。

 

「エルレイド、警戒を━━」

 

 そんなニンフィアを見て、エルレイドに注意を促そうとするボク。しかし……

 

「ニンフィア。『ハイパーボイス』」

 

 そんなボクの言葉を遮る形で声を出すビート。そして……

 

 

「フィ……アアアァァァッ」

 

 

「「ッ!?」」

 

 妖精の力を乗せた強力な音波が、響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ポケモンプレゼンツよかったですね。レジェンズの続編がとても楽しみです。




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