【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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263話

「マシェード……さて、どうしようか……」

 

 バトルコートで見合うのはインテレオンとマシェード。インテレオンについてはもはや言うことなんてなくて、今日も瞳を煌めかせ、獲物をしっかりと見据えているその姿は1種の安心感を覚える。

 

 けど、問題は対戦相手のマシェードだ。

 

 マシェード。くさとフェアリーの複合タイプであるこの子は、くさタイプと言うだけあって色々な状態以上に精通しているポケモンだ。マシェードが持つ特性のうちの1つも、ほうしと言う、直接攻撃をしたポケモンに対してまひ、どく、ねむりの状態異常のいずれかを押し付けるという中々厄介な代物だ。このせいでこちらはアクアブレイクを打ちづらくなっている。

 

 が、正直これはまだまだ序の口で、真にヤバい技は別にある。

 

「『キノコのほうし』だけは絶対に貰ったらダメだね……」

 

 それはキノコのほうし。受けたポケモンを強制的に眠らせる強力な睡眠技だ。しかも、これがねむりごなやさいみんじゅつといった他の睡眠技と比べると、範囲と攻撃速度が尋常じゃなく速いため、避けるのがかなり難しい技となってしまっている。幸い、マシェード自体が速いポケモンでは無いため、接近にさえ気をつければまだ何とかなる可能性は高いけど……近づかれたら避けるのは不可能だと思って間違いない。

 

「インテレオン。いつもよりも距離をとってゆっくり戦うよ」

「レオッ……」

 

 人差し指を構え、集中力を高めるインテレオン。

 

 ひとつのミスで強制的に眠らせてくる可能性のある相手ということもあって、この集中力を高めるという動作ひとつとっても、かなり気を使って行われている。

 

「マシェード!!『キノコのほうし』!!」

「マーシュ……」

 

 そんなことをしていたら早速胞子を撒き散らし始めるマシェード。その胞子はかなりの密度で放たれており、マシェードの周りを守る一種の壁のようにも見える。勿論、壁と言っても胞子が集まっただけのものだから、こちらの攻撃で簡単に霧散させることが出来るだろう。

 

 ……もっとも、その霧散させるというのが一番の問題なのだが。

 

「……インテレオン、『きあいだめ』」

「レオ……」

 

 その様子を見て、ボクの考えはひとつに固まった。

 

(さっき言ったゆっくりは撤回。この戦いは時間をかけちゃいけない……やるなら……一撃!!)

 

 集中状態からさらに気合いを込めて、インテレオンは指先に技を集中させる。その証拠に、インテレオンの右人差し指が青色に輝き始める。

 

「『ムーンフォース』です!!」

「マシェ」

 

 一方のビートも、インテレオンの準備をただ見送っているわけじゃない。キノコのほうしの鎧を作り上げて終わったマシェードに指示を出し、それに従ったマシェードの前には、もう何度も見た月の光球が顕現。力を込めて作られたこの技は強力な光を放っており、それをマシェードが両手を前につきだすことで発射。喋り方や動きがゆっくりなマシェードからは想像できないくらいの速度で解き放たれる。

 

「避けて!!」

「レオ!!……ッ!?」

「……なるほど、そういう連携ね……」

 

 とはいえ十分に距離の空いているこの状況なら、インテレオンのすばやさをもってすればそんなに回避は難しくない。余裕を持って横にジャンプして回避を終えたインテレオンは、しかし自身が先程までいて、そしてムーンフォースが着弾した後の場所を見てその表情を驚愕に染めあげる。

 

 なぜなら、ムーンフォースが地面にぶつかると同時に、その地点にキノコのほうしが撒き散らされたから。

 

 おそらく、ムーンフォースの中にキノコのほうしを仕込んでいたのだろう。最初に自分の周りに巻いていたものを一緒に閉じこめることで、キノコのほうしを大量に詰め込め、さらに高速で打ち出す。これによってダメージを与えながら相手を眠らせることが可能な技というとてつもなく強力なものになりかわる。しかもこの技の厄介なところが、『大量の胞子と一緒に』放っているということ。少量であるのならば、ムーンフォースが爆ぜたと同時に胞子も霧散するけど、今回のように大量に埋め込まれていると……

 

「『ムーンフォース』が着弾したところが胞子の溜まり場になってる……」

「たとえ避けることが出来ても、あなたの足場はひとつずつ消させていただきますよ」

 

 発射された胞子は消えることなくひとつの地点に留まり続ける。もしあの場所に足を踏み入れよう物なら、一瞬のうちに夢の世界に誘われることになるだろう。

 

「やっぱり長期戦は無理!!『れいとうビーム』!!」

「レオッ!!」

 

 胞子のトラップはマシェードが簡単に作り出すことができるし、消えるまでの時間もとてつもなく長い。となれば、インテレオンの足場がそう遠くないうちに消えるのは自明の理だ。そうなると、こちらの1番の勝機は速攻しかない。

 

 きあいだめによって集中力を極限にまで研ぎ澄ませたインテレオンは、その瞳にマシェードの急所をしっかりと収め、真っ直ぐ向けた人差し指から1本の白い光線を解き放つ。

 

 周りの空気を凍らせながら突き進むその光線は、マシェードのゆっくりとした動きとの対比も相まって、とてつもない速度で突き進み、とてもじゃないけど回避が間に合うようには見えない。

 

(直撃する!!)

 

 そう確信し、実際に氷の光線が当たってはじける瞬間をこの目に映した。

 

「……ギリギリセーフですね」

「そんな表情には見えないけどね」

 

 しかし、実際にはマシェードに攻撃は当たっておらず、こちらの攻撃はマシェードの前に展開されていたムーンフォースを凍らせるだけに終わっていた。

 

「マシェード!!」

「マーシュ……!!」

 

 その凍ったムーンフォースは、マシェードが両腕を勢いよく叩きつけることで粉砕され、これによってその体積を小さくさせられた胞子が、小さくなることによって微風でも空を舞うようになってしまい、さらに胞子が漂う範囲を拡大させてしまう結果となる。

 

「徐々に行きましょう……『キノコのほうし』」

「マシュ……」

 

 その状態からさらに放たれるキノコのほうしは、マシェードを起点としてどんどん範囲を広げており、このまま行けばバトルコート全てを埋めつくしてしまうのではないかと思わせるほど、圧倒的な支配率を誇っていた。

 

(どうする……どうする……!!)

 

 じわじわと追い詰められるインテレオンを見ながら必死に頭を回転させるボク。

 

 キノコのほうしで1度でも眠ってしまえば、タイプ相性で弱点をつかれているインテレオンは間違いなく瞬殺される。かと言って、マシェードとここまで距離が空いてしまえばいくら攻撃したところでさっきみたいに防がれるのが落ちだ。いくらマシェードが遅いからと言って、反応できない距離はもう胞子で埋まっているから近づけない。こういった胞子に強いポケモンに交代するという手も、モスノウが倒れてしまっている以上取る事が出来ず、他のポケモンだってヨノワール以外は全員フェアリーが弱点なためやはり胞子を受けることは許されない。

 

(インテレオンの透明化もこんな状況じゃ意味が無いし、消えたところで濡れた身体に胞子が付着して、むしろ逆に目立っちゃう……やっぱり、この胞子をどうにかしないと……まって……『胞子』、か……だったらあれをすればもしかしたら……?いやでもそれだと……)

 

「レオ……ッ」

 

 じわじわと後ろに下げられたせいか、もうインテレオンの背中がだいぶ近づいてきた。いくら攻め手がないからと言って、ここで何もしなければそれはそれでゲームオーバー。もう残された時間はほとんど存在しない。

 

(ここでくよくよしていたら、小さい勝ちの確率だって逃しちゃう……だったら……やるしかない!!)

 

「インテレオン……少し、我慢してくれる?」

「レオッ!!」

 

 追い詰められたことで、ボクの頭の中に浮かび上がったひとつの作戦。それを遂行するためには、インテレオンには少し辛い思いをさせてしまうことになる。そのことを確認するべく声をかけると、インテレオンはノータイムで返事を返してくれた。

 

 ボクを信じてくれている。

 

 そのことに胸を熱くしたボクは、気を引き締めて、今思いついた薄い勝ち筋へのルートを走り出す。

 

「インテレオン!!まずは空中に『ねらいうち』!!たくさん水を集めて!!」

「表情が変わった……マシェード!!なにかする気です!!『ムーンフォース』を構えて警戒を!!」

 

 ボクの指示を聞いてインテレオンは、水をたくさん込めたねらいうちをマシェードの真上に発射。いつも以上に水を込めて放ったそれは、普段のねらいうちに比べて弾速は遅いものの、多量の水を含んだそれは確かに真っ直ぐ上空へと飛んでくれた。これに対してビートはマシェードに警告をしながら技を構えさせる。

 

 マシェードの前に、盾のようにして現れる月の光球は、こちらも相当な力が込められているのか、その発射のときを今か今かと待ち望むかのように少し震えていた。

 

(けど、まだ発射される兆しはない……なら大丈夫!!)

 

「インテレオン!!もう1回『ねらいうち』!!」

「マシェード!!来ますよ!!迎撃を━━」

「さっきの弾に向けて!!」

「何!?」

 

 ビートが攻めてこないと分かったボクは、先程上空に向けて打った水の塊に向けてもう1発ねらいうちを指示。この指示を正確に遂行するべく、インテレオンは真っすぐ指先を上に向けて弾丸を発射した。この行動の意図を感じ取ることが出来なかったビートは、反応が遅れてしまったためにインテレオンの行動を止めることが出来ず、インテレオンのねらいうちはしっかりと狙いの場所に着弾。すると、1つ前にインテレオンが打ち出していた水の塊が爆発。マシェードの真上で破裂したその水は、文字通りバケツをひっくり返したような雨となって降りそそいだ。

 

「そういう事ですか!!マシェード!!『ムーンフォース』を諦めて『キノコのほうし』の準備を!!」

 

 ここまで来てようやく狙いに気づいたビートは、この水を消すことが出来ないとみて、その先に対する対策を進めていく。相変わらずの判断の速さに舌を巻くけど、こちらの狙いの最初の段階が通ったことにひとまず安心する。

 

「マシュッ!?」

 

 インテレオンがマシェードの上空で水を爆発させたことによって落ちてきた水は、そのすべてがマシェードとその周辺に降りそそいだ。とはいっても、あくまでも水が落ちてきただけなので、マシェードがダメージを受けることはない。むしろ、ちょっとダイナミックな水やりと受け取るのなら、マシェードからしたら逆に嬉しい出来事だろう。現に、かかった水を首を振って弾くその姿は心なしか嬉しそうだ。

 

 ここまで言えば、マシェードにとってプラスのことしか起きていないけど、当然ボクたちが狙ったのはこれじゃない。狙いはその先だ。

 

「一時的に『キノコのほうし』を落とされましたか……」

「これで動ける!!インテレオン!!」

 

 降りそそいだ水は空中に漂う胞子を地面に叩き落し、一時的にキノコのほうしによって生まれた領域を消し去った。この隙に飛び込んだインテレオンは、マシェードの真正面まで躍り出る。

 

「構えて!!」

 

 水によって胞子が落ちてからインテレオンが飛び込んで来るまでの時間はほんの数秒。この速度ならマシェードは反応できないと思っての行動。インテレオンは、この隙に攻撃をするために指先に青色の光をためて飛び込む。しかし、インテレオンが水を打ち抜いた瞬間にキノコのほうしを準備していたビート側は、この状況においても冷静に指示を下す。

 

「落とされたならまた撒けばいい!!その『れいとうビーム』よりも先に『キノコのほうし』を━━」

「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」

「レオッ!!」

「なっ!?『れいとうビーム』じゃない!?」

 

 そんなビートの表情がまた崩れると同時に、指先に溜めていた青い光を水へと変え、自身の手を包むように展開。そのままマシェードの頭部を右から左に薙ぐように手刀を繰り出す。

 

「マシュッ!?」

「マシェード!!踏ん張りどころです!!」

「マ……シュッ!!」

「耐えた!?」

 

 急に飛んできた攻撃に思わず身体をのけぞらせるマシェード。しかし、こうかいまひとつであったのが災いしてすぐさま態勢を整えるマシェードは、のけぞった身体を無理やり前に戻し、今度こそ本命の技を通す。

 

「『キノコのほうし』!!」

「マシュッ!!」

「レオッ!?」

「インテレオン!?」

 

 態勢を整え、身体を完全に起こし切ったマシェードは、技を振り終えた後隙のせいで離れるのが遅れたインテレオンに対して、頭のキノコ部分を全力で振って胞子を飛ばし、インテレオンを夢の世界へ誘っていく。

 

「レ……オ……」

 

 全身を胞子で包まれたインテレオンは、瞳をゆっくりと閉じながら、身体を少しずつ地面へと倒してく。

 

「ようやく眠りましたか……では、マシェード!!『エナジーボール』を」

「マシュッ!!」

 

 徐々に身体を崩していくインテレオンは、マシェードからすれば隙だらけの的でしかない。そんなインテレオンにとどめを刺すべく、頭上に両腕をあげてエナジーボールをため、の準備を始めていく。

 

 その間もゆっくりと身体を倒していたインテレオンは、ついにその身体を地面へと横たえた。

 

「インテレオン……」

 

 ボクの呼びかけにインテレオンは答えない。身体をうつぶせにしたまま動くことの無いインテレオンは、マシェードの攻撃をただ待つだけの状態になっていた。

 

「とどめです」

「マシュッ!!」

 

 そんなインテレオンに向けて、ビートの無慈悲な指示と、それを遂行するために、ゆっくりと両腕を振り下ろすマシェード。

 

 マシェードの両腕の動きに合わせて、エナジーボールもゆっくりと落ちていき、地面に倒れているインテレオンへと向けて、ゆっくり振り下ろされ……

 

「インテレオン!!『れいとうビーム』!!」

「レオッ!!」

「なッ!?」

「マシュッ!?」

 

 マシェードが腕を振り下ろす瞬間に、身体を転がして横によけ、すぐさま身体を起こしたインテレオンがすかさずれいとうビームを放つ。

 

「シュゥッ!?」

 

 れいとうビームの直撃を受けたマシェードは、身体が徐々に凍っていくのを防ぐためにエナジーボールを地面にぶつけ、その反動で地面を転がって無理やりインテレオンの射線から逃げていく。ビートの指示もなくすぐさまこの回避行動をとったあたり、このマシェードはタイプ相性以上にこおりタイプが苦手なのかもしれない。

 

 パートナーに対する大ダメージ。しかし、ビートはそんなことに気を回す余裕がなく、インテレオンを見ながらありえないものを見たというような表情で言葉を零す。

 

「ありえない……マシェードの放つ『キノコのほうし』は、そんな簡単に起きれるほど甘い催眠作用ではないはず……なぜ……」

「さぁ……なぜだろうね……インテレオン!!」

「……レオッ!!」

「くっ!ならもう一度眠らせるだけです!!『キノコのほうし』!!」

「マ……シュッ!!」

 

 ボクの言葉に()()()()()()()()インテレオンは、それでもマシェードに向かって走り出す。これに対してマシェードは、もう一度インテレオンを夢の世界に誘うために胞子を撒き散らし始めた。

 

 インテレオンの目の前で一瞬にして広がる睡魔の弾幕。1度呼吸をすれば一瞬で意識を落とされる強力な睡魔の幕は、インテレオンの前進を阻むように降ろされ、このまま走ればまたインテレオンが倒れるだろうことは一瞬で想像出来る。しかし、もう前傾姿勢になってトップスピードまで速度を上げているインテレオンは止まることが出来ない。

 

 また眠らされる。

 

 誰もがそう思った次の瞬間。

 

「インテレオン!!『れいとうビーム』!!」

「レオッ!!」

 

 インテレオンは胞子の幕を、()()()()()()()()()()()()()()()()、右手人差し指から氷の光線を解き放つ。

 

「なッ!?」

「マシュッ!?」

 

 眠り攻撃をいとも簡単に乗り越えたインテレオンによる攻撃は、マシェードの身体をしっかりとつきぬけ、その全身に余すことなく氷のエネルギーを叩きつける。

 

 それと同時にまた崩れるビートの表情。しかしビートからすればこんなことはあってはならない出来事だ。

 

 ビート自身が言った通り、マシェードが放ったキノコのほうしには強力な睡眠作用がある。それは気合で乗り越えられるような代物ではなく、胞子が効かないくさタイプであったり、特性のやるきやふみんのようなそもそも寝ることがないポケモン以外で耐えられるポケモンは存在しない。そして、この耐えることのできないポケモンの中に、インテレオンも含まれている。

 

 なのに、その常識をたった今、目の前のインテレオンが覆してしまった。

 

「一体何がどうして……」

「インテレオン!!『アクアブレイク』!!」

「ッ!!マシェード!!『ムーンフォース』で迎撃を!!」

「マ……シュ……」

 

 なぜインテレオンが寝なかったのか。それを考えようとしかけた思考を、ボクが放った指示を聞くことによって、そんなことをしている場合じゃないと判断したビートが、その思考を一時的に放棄してマシェードに指示を出す。が、こうかばつぐんの技を受けたことと、思考してしまったために指示が遅れたほんの数秒のラグのせいで、マシェードの反撃が間に合わずにインテレオンの攻撃が炸裂。左手のアクアブレイクがお腹に突き刺さり、身体をくの字に曲げたマシェードを、今度は足に水を纏わせてからのサマーソルトキックによって、その身体を空中に打ち上げた。

 

「マシュ!?」

「レオ……ッ!?」

「インテレオン!頑張って!!『れいとうビーム』!!」

「レ……オッ!!」

「成程、そういう事でしたか……」

 

 打ち上げられたマシェードはもう、こちらの攻撃を避ける術を持ち合わせていない。そのため、次のインテレオンの攻撃は無条件で当たることとなる。この攻撃をとどめとするべく放たれたれいとうビームは3度マシェードの身体を捉え、その体力を確実に削りきる。

 

 ビートも、流石にここまでされれば耐えることは出来ないと悟っており、マシェードが倒れる姿を悔しそうにしながら見送る。

 

 

『マシェード、戦闘不能!!』

 

 

 そして同時に、今のやり取りでインテレオンがどうしてキノコのほうしを乗り越えたのかを理解した。

 

「……あなた、自分から『ほうし』を受けに行きましたね」

「……なんの事?『キノコのほうし』の事なら最初から━━」

「とぼけないでください。ぼくが言っているのは『キノコのほうし』ではなく、()()()『ほうし』のことです」

「そこまで言われたら、誤魔化せないか」

「レオ……ッ!!」

 

 ビートの追求とともにインテレオンの頭上に現れる紫色の泡。それは、インテレオンがどく状態になっている証だ。このどく状態こそが、インテレオンが眠らなかった証になる。

 

 どういうことかと言うと、ポケモンは一部の技を受けたり、持ち物を持たせると何かしらの状態異常になってしまうのだけど、この時、1つの状態異常を受けたポケモンは、他の状態異常に対して強い耐性を持ち、追加で状態異常にかかることは無い。詳しいことに関してはわかっていないが、一節によっては、状態異常になった瞬間に細胞が活性化し、これ以上衰弱しないように抵抗力を強めるためだと言われている。最も、これもあくまで仮設のひとつなので、真実かどうかは分からないけど……今はその原理のことはどうでも良くて、とにかく、ポケモンは2つ以上の状態異常にならないとだけ思ってもらえればいい。

 

 つまり、今のインテレオンはどく状態になっているから眠らない。という訳だ。

 

 では、その肝心の毒はどこから貰ったのか。

 

 その答えは、ビートが自分から口にする。

 

「マシェードの特性、『ほうし』を利用して、わざとどくになった……という訳ですか」

「正解だよ。さすが」

 

 特性、ほうし。

 

 冒頭でも説明した通り、この特性を持つポケモンに対して直接攻撃を行うと、そのポケモンからほうしが放たれ、どく、まひ、ねむり状態のどれかになる可能性が生まれてしまうという、本来なら厄介な特性だ。しかし、今回はその特性を逆に利用し、アクアブレイクでほうしを発動して、自分から毒の胞子を吸い込んだというわけだ。

 

 毒の胞子が生まれるかは賭けだったし、生まれたとしてそれが毒のものなのかの判断するのは完全にインテレオン任せだったけど、結果は成功。どくを患ったインテレオンは、ねむりにならないという大きな強みを得て、マシェードを倒したというわけだ。

 

 肉を切らせて骨を断つ。作戦は見事にハマった。

 

(けど、おかげでインテレオンの時間も僅かになった……)

 

「レオ……ッ!?」

 

 どくが回り始め、身体をふらつかせるインテレオンが、ボクの考えを裏付ける。だからこそ、勝っていても決して気は抜かない。

 

「戻ってください。マシェード。……やはり、あなたの覚悟はぼくの想像を超えていく……」

 

 そんなボクたちを見ながら、ビートはマシェードを戻し、次のボールに手をかける。

 

「そんなあなただからこそ、ぼくは勝ちたいんだ。ギャロップ!!」

「ルロォォッ!!」

 

 ビートから繰り出される6人目の仲間はギャロップ。

 

 猛々しいいななきを発するポケモンが、主に勝利を届けるために、その瞳に闘志を宿す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キノコのほうし

言わずと知れた睡眠技。キノガッサの代名詞でもありますね。私はポケモンの捕獲要因として重宝しています。

状態異常

実機でも、先にかかった状態異常を上書きして違うものになるのは『ねむる』くらいしかないと記憶しているので、その理由付けです。実際のところはどうなんでしょうね?

ほうし

ここだ放たれるほうしは、放つ側もどの症状を発するほうしか分かっていません。だからこそ、「いずれかになる」という表記だと思いますしね。そして、スパイがモチーフであるインテレオンなら、そのほうしも見分けられるのでは?という私の妄想です。




いよいよポケモンと初音ミクのコラボ曲も、3/9が最後ですね。ミクの日に合わせているところに趣があります。さて、個人的にメロメロイドが刺さりすぎている作者ですが、これを超えてくるものがてるのでしょうか?




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