【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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273話

「戻りなさいヌオー。よく戦ってくれたわ」

「戻って休んでね、インテレオン」

 

 ダブルノックアウトという形で決着が着いたインテレオンとヌオーのバトル。その結果を称えるように声をかけながら、ボクとルリナさんはポケモンをボールに戻していく。

 

 これで両者の残りポケモンは2人。

 

 ボクは残っているポケモンはどちらも体力万端の状態で残っており、これから戦うにおいては最高のパフォーマンスで動くことが可能だ。一方で、ルリナさんの残り手持ちのうち片方は、もう2回も場に出て戦っているぺリッパー。その体力はかなり削られているから、その面で見ればボクの有利だ。しかし、ぺリッパーは場に出るだけで雨を降らせるという最高のバトンを繋ぐことが出来る。最後のポケモンがあの子である以上、この雨は正しく恵みの雨となるだろう。

 

 万全のポケモンが勝つか、はたまた天を味方につけた方が勝つか。

 

(どちらにせよ、ここはしっかり勝ちきらないとね……)

 

 インテレオンのボールを腰に戻しながらフィールドに視線を向ける。

 

 ヌオーがいなくなったことで波は消え、地面からは水が流れ去っていき、インテレオンが全て砕いたことで氷塊も残っていない。マホイップのクリームも大量の水で流れたため、ボクたちの眼前には久しぶりの、いつも通りのバトルコートが目に入る。もしかしたら見かけ上だけで、湿っていたり滑ったりと、いつもの環境とは違うかもしれないけど、少なくとも現状は綺麗な状態に戻ってはいた。

 

 最も、次の瞬間にはまた水が溢れることになりそうだけど……。

 

(分かってはいるけど、もう止められない。なら、腹を括ろう)

 

 5人目のポケモンを構え、息を整える。

 

 対面のルリナさんも、次のポケモンはとっくに決めているので、1つのボールを右手に掴み、ボクの方に突き出しながら待っている。

 

「お願い!!ブラッキー!!」

「行くわよ、ぺリッパー!!」

「ブラッ!!」

「ペリ~……ッ!?」

 

 お互いのポケモンが決まったところで、両者同時にボールを投擲。出てきたのはブラッキーとぺリッパーだ。

 

 本日初登場であるブラッキーは元気いっぱいに声を上げているのに対して、ぺリッパーはここまでの戦いによるダメージのせいで少し苦しそうな声を上げている。体力もかなり減っているみたいで、ブラッキーが少し攻撃を与えたら直ぐに倒れてしまいそうだ。

 

「ぺリ~!!」

 

 しかし、そんなことなんてどうでもいいかと言うようにフィールドに響き渡るぺリッパーの咆哮。これにより、さっきまで晴れていた空がまた曇っていく。これで本日3回目の雨だ。

 

 そして恐らく、これが今日最後の雨でもある。

 

(さて、どっちのプランで行こうか……)

 

 ここでボクはどちらの選択肢を選ぶかで一度思考を巡らせる。

 

 1つはぺリッパーをさっさと落として、ブラッキーの体力を高く保って最後のポケモンと対峙すること。これによって、ボクはルリナさんの切り札に対してほぼ2対1という数的有利で戦うことが可能だ。シンプルに押し切りやすい陣形となる。

 

 そしてもう1つが、ここであえてぺリッパーを倒さずに耐えて、ゆっくり戦うという流れ。こうすると、ブラッキーの体力は削られてしまうから、ルリナさんの切り札に対して挑める戦力が少し減ってしまうけど、代わりにこの雨の時間を稼ぐことが出来る。この雨さえ止んでしまえば、ルリナさんの戦力も下がるため、結果的に戦いやすくなる可能性がある。

 

 どちらもメリットがあり、そしてどちらも相応のリスクがある。どっちが正解かは分からないけど、出来ればしっかり考えて答えを出したい。

 

 しかし、そんな時間をルリナさんは与えてくれない。

 

「『ぼうふう』!!」

「ペ……リッ!!」

「っ!!ブラッキー!!『でんこうせっか』!!」

「ブラッ!!」

 

 痛む身体に鞭打って、全力で羽を羽ばたかせるぺリッパー。その範囲は雨のせいでかなり広がっており、こんなものに巻き込まれようものなら一瞬で大ダメージを負ってしまうのは確実だ。1度見た攻撃ではあるけど、それでもこの光景は腰を抜かしそうになる程の迫力があった。

 

(こんな攻撃を前に耐えるとか無理!!プランは1つ目で行くしかない!!)

 

 この規模を前に耐えることを諦めたボクは、ぺリッパーを速攻で倒す方向に考えをシフト。やはり、この規模を耐えるにはモスノウクラスの特殊方面のエキスパートが必須だ。ブラッキーの場合、耐久は問題ないけど特殊火力が足りない。特殊攻撃の撃ち合いになると、こちらが耐えるだけで反撃ができないのだ。

 

(だからとにかく、近づいてさっさと攻め落とす!!)

 

 真っ直ぐ飛んでくる嵐に対して、身体を白く光らせたブラッキーは、一度大きく右に走って、嵐の範囲から逃れたことを確認した後に、進路をぺリッパーの方へ向ける。これに対してぺリッパーは、なんとしてでもブラッキーを突き放すために再びぼうふうを発射。先程と同じクラスの嵐が飛んできた。

 

「『イカサマ』!!」

「ブラッ!!」

 

 前に走っているところに放たれた2つ目の風は避けることが難しいと判断したボクは、ブラッキーにイカサマを指示。この意図を汲み取ってくれたブラッキーは、地面に黒く染った前足を叩きつけ、地面から塊を空中にひとつ浮かび上がらせる。

 

「『でんこうせっか』!!」

 

 その浮き上がった塊を足場としたブラッキーは、そこを起点に再びでんこうせっか。真っ直ぐ飛んでくるぼうふうの、ギリギリ上側をかすりながら、すれ違うようにして回避。かすったことで少しダメージは負ってしまったものの、おかげでぺリッパーとの距離はぐっと縮まった。

 

 万全のぺリッパー相手なら、こんな無理やりな接近は恐らく通らないのだろうけど、やはりここまでのダメージが祟っているようで、技にも動きにも精細さが欠けている。

 

「『イカサマ』!!」

「『ぼうふう』!!」

「ブラッ!!」

「ペリ~……ッ!?」

 

 先のやり取りで懐まで飛び込んだブラッキーによるトドメの一撃。これを阻止するべく無理やり羽を動かそうとするぺリッパーだけど、ここまで来てしまえばもうブラッキーが有利。痛みで動きが少し遅れたのもあり、ぺリッパーが風を起こす前にブラッキーの前足が直撃し、ぺリッパーがルリナさんの元まで吹き飛ばされる。

 

 

『ぺリッパー、戦闘不能!!』

 

 

「ふぅ……よし」

 

 ここでようやく、ルリナさんの起点役を倒すことに成功した。ブラッキーの体力もあまり減っていないし、かなり理想的なバトンを繋げただろう。

 

 けど、油断はしない。

 

(さぁ、ここからが本番だ!!)

 

「ありがとうぺリッパー。本当によく頑張ってくれたわ」

 

 ボクが気を引き締め直している間に、倒れたぺリッパーを戻すルリナさん。そのボールを腰に戻して最後のダイブボールを構え、目を閉じながら深呼吸をひとつ。

 

 ルリナさんにとって、この子が負けたら自身の敗北という後の無い状況だ。大切なチャンピオンリーグだからこそ、今一度呼吸を入れて、落ち着いて戦いたいということだろう。

 

 時間にすれば6秒ほどの行動。しかし、対面にいるボクにとっては数分の出来事かのように長く感じ、思わず手を握る。

 

 少し緊張し始めたボクに対し、深呼吸で落ち着きを取り戻し始めたルリナさんは、ゆっくりと瞳を開きながら、まるで自分を鼓舞するかのように声を上げる。

 

「この子は最後のひとりじゃない……ここから全てを押し流す、逆転の一手……隠し球のポケモンよ!!」

 

 元気よく、そして溌剌と発しながら勢いよく投げ出されるダイブボール。

 

「行きなさい!!カジリガメ!!」

「ガメェェェッ!!」

 

 雨が降る中、ダイブボールから解き放たれたのはカジリガメ。

 

 このポケモン自体はバウタウンでジムに挑んだ時にも確認したルリナさんの最後のポケモンだ。あの時もなかなかに苦戦した覚えがあるのだけど、今ボクの目の前に現れたこの子は、一目見ただけであの時戦った子とはまるで気迫が違い、ルリナさんが丹精込めて育て上げた最強の相棒だということがわかってしまうほど凛々しい姿をしていた。

 

 そんなただでさえ強烈な圧を放っているカジリガメが、ぺリッパーの残した雨を受けて、自身のパフォーマンス力をさらに磨き上げている。

 

「ブラッキー、気をつけてね」

「ブラ……」

「『くらいつく』!!」

「ガメッ!!」

 

 その圧に負けないように構えるブラッキー。何が来てもすぐに対応できるように警戒態勢を整えるボクたちだけど、そんなこちらの事なんて気にしないとでも言うかのように、ルリナさんは攻撃の指示を下した。それを受けたカジリガメも、一切の迷いを見せることなくダッシュ。雨のおかげですいすいも発動しているため、この攻撃は想像よりも速くこちらに飛び込んでくることになる。とは言っても、カジリガメの元の速度はそんなに速い訳では無い。そこからすいすいで速くなったとしても、カマスジョーのような速度にはならないからまだ反応できると踏んでいる。

 

「ブラッキー!!『イカサマ』準備!!」

「ブラッ!!」

 

 だから、突っ込んでくるカジリガメに対して前足を黒く染めて準備を整えた。もしこのままブラッキーに噛み付こうとしてくるのなら、その攻撃に対して1度前足で攻撃をいなし、その上でカウンターを叩き込む。カジリガメは攻撃力が高いポケモンだから、イカサマによるカウンターはかなり効くはずだ。

 

(来たっ!!)

 

 そんなボクの予定通り、真正面からすごい勢いで迫ってくるカジリガメ。すいすいで上がった速度は凄まじく、あの鈍重な見た目からは想像できない速度で、まるで地面を滑っているかのように接近してきたカジリガメは、大きな口を開け、ブラッキーの顔に向かって噛みついてきた。

 

「ブラッ!!」

 

 この噛みつき攻撃に対して、ブラッキーは右前足を前に出し、真正面からくるカジリガメの顔を左から添えるように当て、そのまま右に回転してカジリガメの顔を右に逸らす。これによってカジリガメの攻撃はブラッキーに当たることなく、ブラッキーの右側を通過していく。

 

 相手の攻撃を避けたブラッキーは、攻撃を逸らした勢いをそのまま利用して右に1回転。そのまま遠心力を乗せた右前足を、カジリガメの胴体に向かって叩きつけるように振るった。

 

 カジリガメの攻撃を利用して放つこの攻撃はさぞ痛いはずだ。それを期待したボクとブラッキーは、この一連の動きに対して力を込めて……

 

「カジリガメ!!」

「ガメッ!!」

「「っ!?」」

 

 ブラッキーの前足が空を切る。

 

 ほぼゼロ距離まで近づいていたブラッキーからしてみれば、カジリガメが目の前から一瞬で消え去ったように見えるだろう。一歩引いたところから場を見る事が出来るボクだからこそ、カジリガメがどういった動き画をしたのかをしっかりと確認することが出来た。とはいっても、正直説明することなんてほとんどない。単純に、くらいつくを逸らされた後にブラッキーの攻撃が当たる前に素早く移動し、ブラッキーの後ろに回り込んだ。ただそれだけだ。

 

 たったそれだけの動きのはずなのに、その動きが想像以上に速すぎた。

 

 すいすいは、基本的に素早さを2倍くらいまで引き上げる能力なのに、まるで3倍以上にまで膨れ上がっているようだった。

 

「ブラッキー!!後ろ!!」

「遅いわよ!!」

「ガメェ!!」

「ブラッ!?」

 

 その様子をしっかりと見ていたボクは、すぐさま後ろに攻撃するようにブラッキーに指示。この言葉通り、素早く後ろを振り向くブラッキーだけど、それよりも先にカジリガメの2撃目が飛んできて、ブラッキーの身体を左側から豪快に噛みつかれた。

 

「ガム……!!」

「ブ……ラ……ッ!!」

 

 強靭な顎でがっちりと噛みつかれているブラッキーは、少しでもこの拘束から抜け出そうと身体を動かすものの、カジリガメの力が強すぎて全く外れる気配がない。

 

「なら……『あくのはどう』!!」

「そのまま動きなさい!!」

 

 力で抜け出すことが出来ないなら、攻撃をぶつけて力を緩めようと考えるけど、これに対してカジリガメは、ブラッキーが攻撃を放つよりも速く移動を始めることで、ブラッキーの身体を揺らして集中させないようにしてくる。しかも、ただ走るだけでなく、噛んでいるブラッキーを地面に擦りながら爆走することで、くらいつくによるダメージだけでなく地面を擦る時のダメージも一緒に刻み込まれる。これのせいで、ブラッキーはダメージを受けたうえで、あくのはどうをうまく溜めることが出来なくなっていた。

 

(凄い連続攻撃……でも、この状態は逆に!!)

 

「ブラッキー!!」

「ブ……ラ……!!」

「投げ飛ばしなさい!!」

「ガメッ!!」

 

 カジリガメからの怒涛の攻撃に、いくら耐久に自信があるブラッキーと言えども、さすがに大ダメージは免れない。しかし、ここまで密着していれば、ブラッキーの奥の手を叩き込む絶好のチャンス。そう思ったボクは、すぐさまブラッキーに指示を出すけど、ブラッキーが準備を終える前に、ルリナさんが何かを察してカジリガメに口を離すように指示。カジリガメはすぐさまブラッキーを投げ飛ばした。

 

(『どくどく』のケアまで完璧……やっぱり、ビートとの戦いはしっかりと予習されている感じかなこれは……)

 

 インテレオンの透明化が通ってくれたことから、ブラッキーの性質もワンチャン見逃してくれないかと睨んでいたものの、こちらはしっかりと警戒されてしまっていた。

 

(相手が最後の1人であることを考えると、もうどく状態を与えるというのはとてつもなく大きなアドバンテージになるはずなんだけどな……いや、だからこそ警戒していたのか……)

 

 ルリナさんからしてみれば、この状況でもうどくを受けようものならその時点でゲームセットになってしまうため、最重要警戒項目にあげられてもおかしくはない。となると、このバトル中に毒を浴びせることはまず不可能と言っていいだろう。どくどくと言う技は、どくタイプのポケモンが使えば自由自在に操ることが出来るけど、どくタイプ以外のポケモンが使うと精度が悪くなってしまう。ブラッキーも、どくタイプのポケモンではないから、もうどくを当てるとなるとそれなりに近づかないと当てることが出来ないだろう。

 

 この精度では、とてもじゃないけどすいすいで機動力の上がっているカジリガメに当てることはできないだろう。少なくとも、このバトル中に当てるのは無理と見ていいはずだ。

 

(でも、逆にカジリガメは簡単に接近できないという事でもある。なら、まだ戦いようはあるはず!!)

 

「『あくのはどう』!!」

「ブラ……ッ!!」

 

 投げ飛ばされたところから受け身を取って、身体の向きをカジリガメに向けたブラッキーは、口元から黒色の波動を発射。勢い良く放たれたそれは、寸分たがわずカジリガメに向かって飛んでいく。

 

「避けて『ストーンエッジ』!!」

「ガメッ!!」

 

 しかし、今更そんな単純な攻撃が当たるはずもなく、こともなげに避けたカジリガメは、そのまま前足を力強く地面に叩きつけ、岩の柱を乱立させていく。

 

 カジリガメを起点に、ブラッキーに向かってどんどん生えてくるそれは、1つ1つが超強力な攻撃だ。できれば1つも当たりたくない。

 

「『でんこうせっか』!!」

「ブ……ラッ!!」

 

 地面から次々と生えてくる岩の柱たちに対して、ブラッキーは自身の身体を薄く白色に光らせながら高速でダッシュ。細かく左右にステップをふむことで、地面からの突き出しを避けながら、カジリガメに対して一定の距離を保つように移動をする。

 

「『あくのはどう』!!」

「ブラッ!!」

 

 この動きを数回行い、突き出た柱のひとつの上に乗ったブラッキーは、その位置からあくのはどうを発射。さっきと同じように、愚直に真っ直ぐカジリガメに向かって放つ。

 

「避けて『シェルブレード』!!」

「ガメェッ!!」

 

 これに対してカジリガメは、殻に籠って回転しながら高速で移動を行い、殻の隙間から水の刃を伸ばしながらブラッキーの方向へ突進。道中にある岩の柱を砕きながら、ぐんぐんと距離を縮めていく。その様はこちらを追尾してくる回転ノコギリだ。

 

「空中に『でんこうせっか』!!」

 

 このままでは足元を崩され、ノコギリに切り刻まれてしまうので、すかさず岩の柱から飛び出すブラッキー。この時、地面に向かって降りるのではなく、空中に飛び出すことによって、着地狩りをされないように移動。しかし、ただ空中に飛び出すだけでは結局身動きが取れずに追撃を受けてしまう。なので、ブラッキーは先程カジリガメが壊し、空中に舞っている岩の柱の残骸を足場にして、空中を立体的に移動する。

 

「ガ、ガメ!?」

「相変わらず芸達者ね」

「『イカサマ』!!」

「ブラッ!!」

 

 空中を細かく移動するのはさすがのカジリガメも驚いたらしく、思わず殻から顔と身体を出して視線をさまよわせる。ここをチャンスと捉えたボクはそのまま攻撃を指示。前足を黒く染めたブラッキーが、空中の岩たちを次々とカジリガメの方に発射する。

 

「『シェルブレード』!!」

 

 いきなり飛んでくる岩の雨。これに対してカジリガメは、再び殻の中に籠って回転。水の刃を撒き散らすことで、飛んでくる岩を次々と弾いていく。結果、カジリガメはすべての攻撃を防ぎきった。

 

「ブラッキー!!」

「ブラッ!!」

 

 しかし、岩を弾くことに力を使っている今なら、ブラッキーは自由に動ける。この時間を使って、カジリガメに急接近していくブラッキーは、今度こそ攻撃を当てるために黒色の前足を構える。

 

「『イカサマ』!!」

「ブラッ!!」

「ガメッ!?」

 

 水の刃に巻き込まれないように、少し斜め上から攻撃を仕掛けるブラッキー。その前足は綺麗にカジリガメに叩き込まれ、吹き飛んでいく。

 

「よし、そのまま『あくのはどう』!!」

 

 ようやくまともに入った攻撃に少し安堵しながら、このチャンスをものにする為にすかさず追撃を指示。イカサマによって飛ばされ、地面を滑っている最中のカジリガメのために、口元に黒いオーラを溜めていき……

 

「カジリガメ!!『くらいつく』!!」

「えっ!?」

 

 ブラッキーが攻撃を放つよりも速く、ブラッキーの目前にまで迫ったカジリガメが、その大きなアギトを持って喰らいついてくる。

 

 イカサマで殴られた時、甲羅の中に入ったままだったカジリガメは、地面を滑ったまま岩の柱に激突し、ピンボールのように跳ねていた。この跳ね返った時の反動が、すいすいによる速度アップも重ねることでさらなるスピードアップを起こし、ブラッキーが攻めるよりも速くブラッキーの足元に到達していた。

 

 その結果が、先ほどのカジリガメの高速攻撃の種。

 

 相手の攻撃を利用するイカサマを逆に利用し、自身の反撃の手段に変えるという機転。それが綺麗にはまったことにより、ブラッキーの頭がカジリガメの口の中につかまる形となる。

 

「叩きつけなさい!!」

「ブラッキー!『あくのはどう』!!」

 

 その状態から、顎の力だけでブラッキーを持ち上げたカジリガメは、ブラッキーを真上にあげたところから一気に振り下ろし、背中から地面に叩きつけた。

 

「ラ……ッ!?」

 

 せめて最後の抵抗をしようと口元に溜めていた黒色の波動も、この攻撃によって霧散し、ブラッキーはそのまま目を回しながら地面に突っ伏すこととなる。

 

 

『ブラッキー、戦闘不能!!』

 

 

「……ありがとう、ブラッキー。お疲れ様」

 

 ここまで頑張ってくれたブラッキーが倒れ、ボクの手持ちもついに最後の1人となる。

 

「カジリガメ」

「ガメ」

 

 そして、ボクがブラッキーをボールに戻し、懐のホルダーに引っ掛けている間に、ルリナさんもカジリガメをボールに戻す。

 

 その様子を見たボクも、最後のボールを構えながら、ルリナさんに視線を向けた。

 

「「…………」」

 

 泣いても笑っても最後の1人。ここで1回戦最初の敗北者が決定する。

 

「「っ!!」」

 

 その最後の1人に全てを託すために、ボクとルリナさんは右腕に巻かれているダイマックスバンドを同時に光らせ、手に持っているボールに吸収させて巨大化させる。

 

 

「スタジアムを海に変えましょう!!カジリガメ、キョダイマックスなさい!!」

「君にすべてを託す!!行くよヨノワール!!ダイマックス!!」

 

 

「ガメエエエェェェッ!!」

「ノワアアアァァァッ!!」

 

 

 解き放たれるキョダイマックスカジリガメと、ダイマックスヨノワール。

 

 2回戦進出をかけた、お互いの咆哮が重なった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




すいすい

実機では、ここで闘うカジリガメはすいすいではありませんが、すいすいの方が強力だと思ったので変更です。ここの間違いは、ルリナさんと初めて戦った時にも説明しましたね。キョダイガンシンがいわ技なら、凄くシナジーがあったんですが……惜しいですよね。




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