「ガメエエエェェェッ!!」
「ノワアアアァァァッ!!」
バトルコート全体に響き渡るカジリガメとヨノワールの叫び声。
ヨノワールはいつもの姿から大きくなっただけだけど、相対しているカジリガメの姿は、バウタウンで戦った時と比べて違う形をしていた。四つん這いだった姿から二足歩行状態となり、胴体を守る岩の甲羅は頭部を覆うまで巨大化。また、二足歩行が可能になっているところからわかる通り、手足の筋肉量は増加しており、よりがっしりしたものとなっている。これで殴られたらさぞ痛いだろう。また、角も大きくなっており、突起物の数も増えているため、より攻撃的なデザインになっていた。
そして首元をに視線を動かせば、そこにはまるで何かを無理やり縮めて詰め込んでいるような形状になっている首が見える。その形状から、もし少しでも力を解放すれば、そこからラプラスのような長い首が一気に射出され、一瞬にして強力な顎で嚙みつかれてしまうだろうということが想像できる。
キョダイマックスカジリガメ。通常よりも攻撃的な姿になった彼が、すいすいで素早く動きながら攻めてくると考えたら、成程なかなかに圧のある姿だ。純粋な力比べなら、もしかしたらヨノワールよりも上かもしれない。しかし、このキョダイマックスカジリガメと戦っている最中は、少なくともこちらの方が動きやすい状態だと思っていた。と言うのも、これはカジリガメがキョダイマックスしたが故に手に入れた、キョダイマックス技が原因だったりする。
「ヨノワール!!『ダイロック』!!」
「カジリガメ!!『キョダイガンシン』!!」
「ノワアアアァァァッ!!」
「ガメエエエェェェッ!!」
ボクの指示を聞いて素早く地面を殴り、巨大な岩の壁を召喚するヨノワールと、ルリナさんの指示を聞いて、口元に岩の破片が混じった水をためていくカジリガメ。攻撃準備を先に終えたヨノワールが早く動き出し、それによって徐々に岩の壁が倒れていくものの、この岩の壁をカジリガメが口から発射した水の大砲によって打ち砕き、最初のダイマックス技は相殺という形で消え去っていく。
キョダイガンシン。
水の中に岩の破片が混じっていることから想像できるように、相手を攻撃しながらステルスロックをばらまくことが出来るという強力な技だ。ステルスロックと言う技の性質上、最後の1人同士となってしまっているこの状況では、残念ながら効力を発揮しきることは難しいけど、そもそも攻撃に岩が混じっているせいでただのダイストリームよりも破壊力が上がっており、ステルスロックを狙わずにただただ純粋に発射しても普通に火力を出すことの出来るようになっている。
ただでさえ攻撃的になっているカジリガメの攻撃力を更に強化するかのような攻撃。こう聞けば、とてつもなく強い技になっているようにも見えるけど、この技の重要なところは、ダイストリームがキョダイガンシンに変わっているという点だ。
ダイストリームがキョダイガンシンに変わることによって起きてしまう弊害。それは、雨を降らせることが出来ないという点だ。
キョダイガンシンと言う技は確かに強力なのだけど、カジリガメの特性であるすいすいのことを考えるのであれば、むしろ雨を降らせることの出来るダイストリームの方が有用な場面と言うのも確かに存在する。特に、今回のように対戦相手がダイマックス技で天候を変えることが出来る場合は、カジリガメでは雨の再展開が出来ないのでより一層の警戒をする必要が出てきてしまう。また、カジリガメ自身もみずといわの複合タイプだから、火力を出すのならダイロックを打ちたい時だってあるだろうけど、そうなると自分から雨を消さなくてはいけないから、自分からすいすいという強力な特性の発動を諦める必要が出てきてしまう。
こう言ってしまえばちょっとあれだけど、正直な感想は扱いづらそうに尽きる。少なくとも今のボクの力ではとてもじゃないけど扱い切れる気はしない。それでもこうやってジムリーダーとして勝ち上がっているあたり、ルリナさん自身の能力の高さもうかがえる。
(こっちの『ダイロック』を何が何でもせき止めて、無理やり雨の時間を延長させようって考えか……と言うことは、こっちがダイマックス技を打たない限り、絶対に返してくることはなさそうだね……)
すなあらしを起こさせてしまったらその時点で機動力が落ちる。それを防ぐための、ルリナさんの性格には似つかわしくはないけど、少し待ち気味の動きとなっていた。
(なら、こっちからガンガン攻めるだけ!!)
「ヨノワール!!『ダイナックル』!!」
「ノワアアアァァァッ!!」
相手から攻めてこないというのがわかってしまえば、ボクの方が動くのに自由が多い。ヨノワールもこの流れを悟り、自信満々に声を上げながら両手の拳にオレンジ色の光をまとっていく。
突撃準備完了。殴るたびに自身の火力をあげることの出来る拳をもって、立ちふさがるキョダイマックスカジリガメに向かって突っ込むヨノワール。カジリガメにいわタイプも含まれていること考えると、この攻撃は相手側からしたらかなりきつい行動のはずだ。
「かくとう技は受けたくないわね……カジリガメ!!『ダイアーク』!!」
「ガメエエエェェェッ!!」
オレンジ色の光を携えて突っ込んでくるヨノワールに対して、カジリガメは自身の牙に黒色のオーラを纏い、ヨノワールの動きをじっと待つ。
二足歩行になったことによって、ぱっと見は機動力が無くなっているように見えるその姿は、ヨノワールの攻撃を受け止めるにはかなりきつそうだ。
(あまり大きく動かすことの出来ない身体を狙ったら、まず避けるのは無理なはず!!)
ヨノワールもそれを理解し、まるでボディブローを叩き込むかのように右拳によるフックを低い軌道で放つ。
しかし、そんなボクの予想を上回る形でカジリガメが動いた。
「ガメッ!!」
ヨノワールのフックから逃げるように、ヨノワールの左側に高速で移動を行うカジリガメ。直立の状態から一切ぶれることなく、まるでスライドするかのように動く姿に若干のシュールさを感じはしたけど、カジリガメの足元に視線を向けると、かすかに波が立っているのが見えたので、どうやら足の裏に水を張ることで、この高速移動を実現したのだということが分かった。ブラッキーとの闘いでも思ったけど、このカジリガメはかなり器用なポケモンらしい。
「噛みつきなさい!!」
ヨノワールが振るっていたフックよりも速く動くことによって、攻撃は当たることなく、安全にヨノワールの左を取ることに成功したカジリガメは、そこから縮めていた首を一気に発射。すいすいで動いた時よりもさらに速い速度で、ヨノワールに向かって鋭い牙を突き立てようとしてきた。
「しゃがんでアッパー!!」
この攻撃に対して、ヨノワールは右フックを空ぶった勢いを利用し、身体を少し左に傾けながら屈むことで何とか噛みつきを回避。その状態から左拳によるアッパーを放つことで、伸びきった首を下から突き上げるように狙う。
「曲げなさい!!」
伸びきった首の真ん中を狙った放たれたヨノワールの拳。これが突き刺されば、弱点を突かれるのと同時に、伸びきった首と言う身体の中でも特に脆い所に攻撃が突き刺さることで大ダメージを与えられると狙っての攻撃だ。が、これに対してカジリガメは、自身の身体を左に思いっきりねじることで、伸びきった首の形を、ヨノワールから見て右にしなるように無理やり変更。首が曲ったことで、拳の軌道上から逸れた拳は、ばつぐんの技を受ける所をすんでのところで回避。ヨノワールのアッパーは、こちらから見てカジリガメの首の左側を掠るように通過するだけに終わる。
「逃がさないで!!」
「戻りなさいカジリガメ!!」
しかし、首が伸びきっている状態には変わらないので、ヨノワールは左手を振るった姿から、今度は右ストレートを放つ。と言うのも、曲っているのは首だけであって、頭の位置は変わらずヨノワールの目の前だ。なら、この顔面に右拳を叩きつければ十分なダメージを与えることが出来る。そう思っての追撃。
が、左アッパーを空ぶった時間さえあれば、カジリガメからしてみれば十分な時間があったらしく、ヨノワールの拳が届く前に首が元の位置に縮みながら戻っていく。
「なら、踏み込んで!!」
右拳による渾身のストレートは残念ながら空を切った。けど、ここで諦めるわけにはいかないこちらは、その首を追いかけるように前にダッシュ。首の戻りを見てすぐに行動したおかげもあってか、カジリガメの首が完全に元に戻ると同時に、ヨノワールはカジリガメの真正面まで移動することが出来た。
「叩き込め!!」
「ノワアァッ!!」
今度こそ、ダイナックルを叩き込むために右拳を腰の横に添え、溜めを作るヨノワール。これを正拳突きのような形で放つことで、よけづらいであろうお腹の中心を狙っていく。
「爆発させなさい!!」
「ガメッ!!」
「ノワッ!?」
対するカジリガメは、ヨノワールの眼前で黒いオーラを纏った牙を思いっきり閉じ、そこに溜めた力全てを爆発させる。こうすることであくタイプのエネルギーを拡散させ、ヨノワールに拳を振らせるよりも速く、無理やり衝撃をぶつけてきた。
あくタイプはヨノワールにばつぐんを取れる技だ。勿論こんな至近距離で無理やり爆発させているのだから、カジリガメにだって自傷ダメージは入ってしまうけど、それ以上にこちらの方が受けるダメージが少し大きい。突如自身を襲ってきた攻撃に、さすがのヨノワールもたたらを踏みながら半歩後ろに下がってしまった。
ダイアークの追加効果である、特防ダウンが、今回においてはあまり痛くないのが幸いか。
「ノ……ワッ!!」
「ガメッ!?」
そんな力が少し込めづらい状況になってしまったけど、それでも無理やり拳を突き出したヨノワール。踏み込みがない分当初よりはかなり威力が下がってしまってはいるものの、何とか拳はカジリガメのお腹に直撃。
ばつぐんを当てて来るのなら当て返す。そんな意地をこれでもかと見せつけてきたヨノワールの拳によって、カジリガメにダメージを与えながら、ダイナックルの効果で自身の攻撃力を上昇。お互いにばつぐんを与え合ったこの攻防は、威力という点ではカジリガメに、先のことを考えてという点ではヨノワールに軍配が上がることで仕切り直し。お互いが受けた衝撃のせいで後ろに下げられ、それぞれのトレーナーの目の前まで戻って来る。
打てるダイマックス技はあと1回。この攻撃は、もう相手の出方とか考えずに、今自身が打てる最高火力をもって使い切る。
「『ダイホロウ』!!」
「『キョダイガンシン』!!」
「ノワアアアァァァッ!!」
「ガメエエエェェェッ!!」
ルリナさんも同じ考えらしく、ダイマックス技最後の攻撃指示は、開幕と同じく同時に響く。
ヨノワールの周りに浮かび上がり、カジリガメに向かって飛んでいく紫のオーラと、カジリガメの口元より解き放たれる、岩の破片混じりの大洪水。方やダイナックルの効果で強化され、方や雨の効果で強化されたこの攻撃同士のぶつかり合いは、お互いの中心で爆音と衝撃を撒き散らかしながら衝突。その強さは、とてもじゃないけど何もせずに立っていることは不可能で、ボクは勿論、今まで身体をぶらすことがなかったルリナさんでさえ、少し腰を落として耐える姿を見せていた。
水と霊の衝突。その鍔迫り合いは数秒間綺麗に均衡し、お互いの中心でピタリと止まる。
完全なる互角。ともすれば、このままダイマックスが終わるまで続くかと思われた押し問答は、しかし観戦者にとって予想外な出来事で差が傾いた。
「ノ……ワッ!?」
「ヨノワール!?」
その原因は、水と霊のぶつかり合いによって弾けた攻撃の余波。その中でも、カジリガメの放っている水に混じっている岩の破片が運の悪い弾かれ方をし、ヨノワールの目の中にいくつか入ってしまった。そのせいでヨノワールの力が少しだけぶれ、いくつかのダイホロウが明後日の方向へ飛んでいってしまい、これによって力の均衡がカジリガメ側に傾いてしまう。
綺麗に均衡していた2つの力は、この少しのぶれによって水の勢いが一気に上がり、キョダイガンシンが一瞬でヨノワールの方へと到達。
「ノワッ!?」
もうダイホロウで押し返すことはできないとすぐに判断して、とっさに腕をクロスすることで何とか防御行動をとることに成功したヨノワールだけど、それでも直撃したことに変わりはない。両腕に重い一撃を受け、ヨノワールは大きく後ろに押されることとなる。
ここに来て手痛いダメージ。
防御の上から突き抜けてくるダメージに、呻きながら後ろに倒れるヨノワールは、ダイマックスの時間の兼ね合いもあって、徐々に身体を小さくしながら押し流される。
「ヨノワール!!」
「ノワ……ッ!!」
しかし、ただでやられるヨノワールではない。
ヨノワールの放ったダイホロウは、一般的な技と違って技を打った後もそれなりに制御ができるのが強みだ。そのため、先ほど目に岩が入って、ぶれて明後日の方向に飛んでいってしまったホロウたちも、まだヨノワールの制御兼にある。キョダイガンシンを受けながらも、この制御を生かそうと必死にホロウに指示を飛ばすことによって、離れていたホロウはその進路を一斉に変更。逸れていった合計5のうち4つが、カジリガメに向かって集合し始めた。
「っ!?殻にこもりなさい!!」
「ガメッ!?」
優勢だと思っていたのに飛んできたまさかの反撃に、ルリナさんが慌てて指示。これに反応したカジリガメも、ルリナさんの指示に従ってすぐさまからの中にこもろうとするけど、キョダイマックスして筋肉が成長してしまっているため完全に中に入りきることが出来ず、隠れきれなかったところに次々と被弾していく。
「ガメ……ッ」
ヨノワールと同じく、予想だにしない反撃にこちらもダメージを受けながら、身体のサイズを小さくしていった。
もう両者ダイマックスを維持するだけの体力はなく、徐々にいつも通りの姿に戻っていき……
「まだっ!!ヨノワール!!」
「ノワッ!!」
「なにを……っ!?カジリガメ!!」
もう終わってしまうという直前にボクはヨノワールに合図を出す。すると、先ほど逸れてしまったと説明した5つのダイホロウのうちの、唯一カジリガメにぶつけていなかったものが操作された。もうほとんど残っていないダイマックスエネルギーを使って、無理やり動かされたダイホロウを見たルリナさんは、まだこんなことが出来ることに驚いたのかその表情を驚愕に染め、慌ててカジリガメに声をかける。
「ッ!!」
カジリガメも、ルリナさんの声に返しはしなかったものの、状況に関してはしっかりと理解したため、元のサイズに戻ったことによってこもれるようになった殻の中にどんどん自分の身体を押し込めていく。これでダメージをかなり軽減できると考えているのだろう。
「上に!!」
「ノワッ!!」
「え?」
「ッ!?」
しかし、カジリガメへと軌道を変えていたダイホロウは、カジリガメに当たる直前にその軌道を更に変化させ、一気に上空へと昇って行った。
「一体何を……いえ、まさかっ!?」
襲ってくると思っていたものがあらぬ方向に飛んでいく様に一瞬疑問の表情を浮かべるものの、その先にあるものに気づいたルリナさんの表情が一気に変わる。けど、ここまで来てしまえばもうルリナさんにこれを止める術は無い。そのまま真っ直ぐ、
「……やってくれたわね」
「目の中に岩を入れられたので、そのお返しです」
雲が消え、ダイマックスも終わったことで、空には完全な青空が帰ってきており、暑く、そして眩しい光が燦々と降り注いだ。
これでもう、ルリナさん側にすいすいを発動させる方法は無い。
「行くよ、ヨノワール」
「ノワ」
ルリナさんが誇る武器は奪った。
キョダイマックスは凌いだ。
キョダイガンシンによって、周りに岩が浮かんではいるけど、これはさして問題では無い。
(あとは、このタイマンを勝つだけだ!!)
ヨノワールと声を掛け合い、心を繋ぐ。
視覚が、聴覚が、痛覚が、触覚が、次々にヨノワールと繋がり、同時にヨノワールの身体に黒いオーラが集まっていく。
「……来たわね」
ルリナさんの声が、重なって聞こえるこの感覚に、もはや一種の安心感を感じながら、ボクはゆっくりと前を向く。その頃にはヨノワールの変化も終わっており、モノアイは赤から青へ変わり、首元には黒いマフラーが巻かれ、お腹の口からは水色の焔が漏れ出た、ボクとのキズナによる変化が完了していた。
(キズナによる変化……そういえば、結局名前着いてないんだよね……安直だけど、『きずなへんげ』……『きずなヨノワール』って呼んでおこうかな)
ちょっと前にジュンが呼んでいたフリアヨノワールという単語を、恥ずかしさから一瞬で否定したという記憶を横流しにしながら、変化の終えたヨノワールと共に、目の前のカジリガメに視線を向ける。
「ガメ……」
「ノワ……」
睨み合う両者のダメージはそこそこに積み重なっており、それはカジリガメの表情と、共有化したことで肌を伝わるヒリヒリとした痛みによって察することが出来る。
(お互い半分以上は削れてる……かな)
ここまでで受けたダメージはほぼイーブン。強いて差をつけるのなら、ヨノワールの方がダメージは少なそうだ。しかし、ダイナックルとダイホロウを受けたことによりヨノワールは攻撃が上がり、カジリガメは防御が下がっている状態になっている。そこを加味するのであれば、天秤は大きくボクの方に傾くこととなる。雨がないことを考えれば、その傾きはさらに大きくなることだろう。
ジムリーダーのルリナさんに対して、圧倒的なまでのアドバンテージ。そこを理解しているからこそ、対面にいるルリナさんはとても苦い顔を浮かべていた。この状況のやばさに対して、かなりの焦りを感じているようだ。
(でも……油断だけは絶対にしない……)
しかし、こんな有利な状況になっても、ボクは一切警戒を緩めない。
だって、ルリナさんの瞳の焔は、こんな状況でも……否、こんな状況だからこそ、轟々と燃え上がっていた。
(絶対に諦めないって意思が伝わってくる……押し流してやるぞって心意気を感じる……!!)
ちょっとでも気を抜けば、一瞬で飲み込まれそうになる程のプレッシャー。恐らくルリナさんも無意識に放っているであろうそれは、今までに何回も見てきたし、そういう人は毎回奇跡的な逆転劇を演出してきた。
ここが最後の粘り所。
(ここまでエルレイドたちが繋げたバトンを最後まで繋ぎきるために、審判から勝敗宣言が出るまで気は抜かない!!)
「ヨノワール!!『いわなだれ』!!」
「カジリガメ!!『シェルブレード』!!」
「ガメッ!!」
ヨノワールと動きをシンクロさせ、右腕を上から下に振り下ろすと同時に、岩石の雨がカジリガメに降り注ぐ。これに対してカジリガメは身体を甲羅の中に詰め込み、回転しながら水の刃を展開。落ちてくる岩を切り刻みながらヨノワールの方へと突進し始めた。
「『ポルターガイスト』!!」
「ノワッ!!」
丸鋸となってこちらに来るカジリガメを見て、いわなだれで止まらないことを確認したボクたちは、すかさず左手を前に突き出しながら、今しがたカジリガメが刻んだ岩の破片へ力を注ぎ、ヨノワールの左手へ集合させ、大きな黒色の拳へと変えていく。
「叩きつけろ!!」
その左腕を大きく振りかぶって、渾身の力を持ってカジリガメに叩きつける。
水の刃と漆黒の岩。2つの力がぶつかり合い、拮抗する。
「ガ……メエエエェェェッ!!」
「ノ……ワアアアァァァッ!!」
叫び声を上げながら鍔迫り合う2人。そんな2人の思いを、ボクは左手の痺れという形で感じ取る。
お互い限界まであと少し。
第1試合の終わりも、もう目前まで迫っていた。
次回の投稿に関してのお知らせです。
次の更新日は、予定通りなら4/26なのですが、この日がもしかしたら更新できないかもしれません。定刻に投稿されなければ、次の日には投稿できると思いますので、4/27までお待ちいただけたらと思います。