【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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潜影の準決勝
276話


「見事なものね……初めて会ってみた時とは見違えるわ……」

「私も、強くなると思っていはいたけど、ここまで強力なものになるとは思わなかったわね」

「共有化現象……大変興味深いです」

 

 たった今行われたフリアVSルリナの試合を現地でに来て観戦していた私たち。今まではフリーズ村のテレビからの中継でしか見ることがなかったけど、こうやって現地に来て、改めて生の目で観戦すると、やはり中継とは違う心地いい空気を肌で感じることが出来る。

 

(こういう熱い戦いを目の前にすると、戦いたくて仕方がないのはポケモントレーナーの性……かしらね)

 

 ふと横に視線を向ければ、カトレアは勿論のこと、あのコクランでさえ少し身体を震わせているように見える。やっぱり、芯の底に刻み込まれているこの本能には逆らえないみたいだ。

 

「ビートに続いてルリナまで突破……ユウリとのバトルに勝ってから……さらに波に乗っているわね……」

「それでも今回のバトルはかなりギリギリのように見えました。ガラル地方のレベルの高さも同様にうかがえますね。……いえ、もしかしたら、フリア様に影響されている可能性も、或いは」

「大いにあるでしょうね。もし私が彼らの立場なら、飛んで喜んじゃうかもしれないわ。環境保護のためにポケモンを制限していることを考えたら、外からの挑戦者と言うのは他地方以上に少ないでしょうし」

 

 例え挑戦してくることがあっても、その人たちの大半は自分のポケモンを連れてくることが出来ないため、ここで戦うにおいてはその戦力を大きく下げることとなる。この地方にきてすぐのフリアがその典型例だ。

 

 けど、フリアはそんな状況であっても、この場へと昇り詰めてきた。そんな姿を見せられたら、燃え上がらないなんて嘘になってしまうだろう。

 

(なんなら、フリアに関してはシンオウにいたころよりも大きく成長している……おそらく……いえ、間違いなく、今の彼はスズラン大会の頃よりも何倍も強くなっている)

 

 ヨノワールと絆を紡ぎ、自らの心を大きく成長させ、さらに新しい仲間を向か入れた今の彼は、下手をすれば四天王になってもおかしくないレベルまで到達している。ガラル地方に来たことによって受けてたポケモンの制限と言う枷を、逆に自身の成長材料に変えてここまで来たその功績は、それほどにまで大きなものになっていた。ここまで成長してきた彼なら、今からシンオウ地方に戻り、手持ちのポケモンを昔のポケモンたちに戻したとしても、今大会で見せいてる姿と遜色ないレベルでバトルを行うことが出来るだろう。

 

 傍から見たら大きな成長だ。人によってはここまで来るのを目標にしている人もいるだろうし、ここで満足する人なんてそれこそたくさんいる。

 

(けど……フリアのゴールはここじゃない。あなたは、まだまだ満足してなんかいない)

 

 ここまで強くなって、自身もつき始めているけど、彼の夢はまだまだ遠く、そして果てしない。正直、今の私でさえも、今のフリアがどこまでその夢に近づけているのか把握できない。それほどまでに、フリアは過酷な夢を追い求めている。

 

 その過酷さに追い詰められ、一時期は心を折ってしまっていたほどなのだから。

 

「それでもこうやって戻ってきて、そしてその分強くなって帰ってきた。そのうえでようやく見えてきた夢の背中……ふふ、満足するわけなんてないわよね」

「急にどうしたの……怖いわよ……」

「何でもないわよ。ここまで成長したのなら、チャンピオンにも勝って、このガラル地方を荒らしてほしいと思っただけ。やっぱり、師匠として弟子の活躍は期待したいもの」

「そこに関しては同感……あたくしの時間をここまで使ったのだから……しっかり結果を残してもらわないと困るわ……」

「……師匠と言うよりは、そこはかとなく母親目線のような気もしなくありませんが」

「「何か言ったかしら?」」

「……失礼しました」

 

 私とカトレア、そしてコクランが、漫才じみたやり取りをしている間に退場していくフリア。その姿を見送りながら、私はこの先のバトルについて期待を抱いて行く。

 

(さぁ、どんどん駆け上がりなさい。あなたがどこまで行くのか、その果てまでしっかりと見守ってて上げるわ。……それが師匠としての役目だもの)

 

 新しい世代の行く末。その先に期待を込めながら、私は次のメロンVSオニオンのバトルへと、視線を向けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次はオニオンさんとのバトル……」

 

 目を瞑りながら、深呼吸をするボクは、つい先日行われた第1回戦の結果を頭の中で振り返っていた。

 

 ボクとルリナさんが戦った後の3つの試合は、残念ながらリアルタイムで見ることはできなかった。理由は言わずもがな、共有化による反動のせいだ。

 

 左腕は噛みつかれすぎたことによる痛みで、右腕は殴り続けたことによる麻痺によって感覚が全然なく、あの時したルリナさんとの握手も、手を動かせはしたものの、握っていた感覚は全くなかったというなかなかの問題状態だったため、そのまま休憩室に直行。めでたくジョーイさんのお世話となり、またみんなからちょっとした注意を受けることとなったので、見ることが出来なかったというわけだ。

 

 まぁ、さすがにみんな理解はしてくれているから、怒るというよりは心配の色の方が強かったんだけどね。正直これだけはもうどうしようもない。ボクにできるのは、みんなに心配されないように元気な姿を見せ続けることだけだ。

 

 とまぁ、今はそんなことはどうでもよくて……大事なのはそのボクがリアタイ出来なかった試合の結果だ。

 

 第2試合 メロンVSオニオン

 

 第3試合 キバナVSヤロー

 

 第4試合 ネズVSカブ

 

 以上の3試合が行われたわけなんだけど、ボクの対戦相手となる第2試合の勝者が、先ほどボクが述べた通りオニオンさんだ。

 

「まさか、オニオンさんが勝つとは思わなかったなぁ……」

 

 ガラル地方のジムリーダーは、他の地方と違って挑むジムの順番が決められており、その順番は一番最初のヤローさんを除いて序列の低い順に並んでいる。そのため、上の試合を順位だけで表記するのであれば、5位VS3位、1位VS8(?)位、2位VS6位のバトルとなっている。となれば、基本的に勝つのは順位が高い方と言うのが普通の考えだろう。ヤローさんだけは正式な順位がわからないから、今回は形状8位とは置いているだけなので、実際はもっと高い順位なのだろうけど、さすがに1位はキバナさんから動くことはないことを考えれば、勝ち上がって来るのはメロンさん、キバナさん、ネズさんとなるはずだ。現に、ボクの反対側の山は、キバナさんとネズさんが勝って上がってきている。

 

「……意外ですか?」

「少しだけ……相手があのメロンさんと言う事を考えたらですかね」

 

 けど、深呼吸を終え、バトルコートの中心に立ち、ゆっくりと目を開けた時に目の前に立っているのは、アップセットを起こして勝ち上がってきたオニオンさん。

 

「……ボクも勝つつもりではいましたけど……勝てるとは思わなかったです……でも……今は勝ててうれしい」

 

 番狂わせを見せたオニオンさん。その表情はガラルサニーゴのお面によって見ることはできないけど、その声色から本当にうれしそうにしていることはよく伝わってきた。きっと、メロンさんとの闘いも、ボクと戦いたいという気持ちを強く前に出して乗り越えてきたのだろう。

 

 メロンさんは、ジムリーダーで一番強いキバナさんに一度も負けたことがないほど強いトレーナーだ。そんな人相手にアップセットで勝ち上がってきたということは、それだけボクに対して強い思いを持ってくれたという事。そう考えると、ボクの心が自然と熱くなる。

 

「そう思っていただけて、ボクも嬉しいです!オニオンさん!!」

「……同じゴーストタイプを切り札に添えている者同士……本気で闘いましょう!!」

 

 引っ込み思案で人見知りで、普段あまり自分から発信をすることがなさそうな性格をしているオニオンさん。そんな人から、ここまでの言葉をもらえることが嬉しくて、ボクもついつい拳に力が入っていく。

 

『お2人とも、バトルの準備をお願いします!!』

 

「「あ、ハイ!!」」

 

 そんな思いから、2人でじっと視線を合わせていると、実況の人から催促の言葉が上がり、自分たちがずっと目を合わせてて動いていないことに気づいた。そのことが少し恥ずかしく、その感情を隠すように少し駆け足で中心を離れたボクとオニオンさんは、すぐに定位置に辿り着いて振り返った。

 

「「ふぅ……」」

 

 肩で息をしながら、ゆっくりと息を落ち着け、改めて目線を合わせるボクとオニオンさん。

 

 その瞳には、どちらももう恥ずかしさは残っていない。

 

 

「……みんなに見られて……怖くて……隠れたいけど……それ以上にあなたとの戦いを楽しみたい!!」

「ガラル地方のジムリーダーにそこまで思ってもらえて光栄です。その期待に、応えます!!」

 

 

ジムリーダーの オニオンが

勝負を しかけてきた!

 

 

「お願い、エルレイド!!」

「……いくよ……デスバーン!!」

「エル!」

「スババ……」

 

 恥ずかしさを振り切り、真正面を向いてボクはモンスターボールを、オニオンさんはダークボールを投擲。それぞれのボールからは、初手となるエルレイドとデスバーンが飛び出してくる。

 

 両者フィールドに立つと同時に対戦相手をしっかりと睨み、声上げながら構えるその姿は、やる気満々と言ったところ。ここ最近ずっと死闘続きだけど、疲れは残っていないみたいで一安心だ。

 

「『サイコカッター』!!」

「……『いわなだれ』!!」

 

 第2回戦開幕。

 

 まずはお互いあいさつ代わりの牽制攻撃。エルレイドはピンク色の刃を放ち、デスバーンは岩の弾幕を放った。

 

 真っすぐ放たれたお互いの技は、両者の中間地点で相殺し合い、この時砕けた岩によってちょっとした土煙が舞うものの、それはお互いの姿を消すには至らず、ほんの数秒もすれば消えてしまう。

 

(デスバーンか……はじめましてのポケモンだけど……さて、どうしよっか……)

 

 そんな両者の挨拶を見ながら、ボクは対戦相手のポケモンをじっくり観察する。

 

 デスバーン。

 

 ハブネークやジジーロンを彷彿とさせるような絵が描かれた粘土板に身体を包まれたその姿は、近似種であり、ボクがよく知っているデスカーンと言うポケモンと同じく、物理方面に対して強い耐性を備えたポケモンらしい。つまり、エルレイドではちょっと分が悪い。

 

 ゴーストタイプのポケモンはどちらかと言うと特殊攻撃が得意なポケモンが多いので、それ対策としてエルレイド先発で挑んでみたのだけど、どうやら今回はその読みを外したみたいだ。

 

(もしくは、ボクのエルレイド先発率を読んでの行動……かな?)

 

「……『シャドークロー』!!」

「『サイコカッター』!!」

 

 オニオンさんならやりかねない。そんなことを考えていると、オニオンさんから攻撃の指示が飛んでくる。その声に反応して一度思考の海から頭をあげると、真正面から真っ黒色の斬撃が飛んできた。見た目の話だけを言うのであれば、サイコカッターの黒色版みたいな感じだ。

 

 それに対してこちらも再びピンク色の斬撃で反撃。先ほどと同じようにぶつかり合うピンクと黒の刃は、しかし先ほどよりもデスバーン側の威力が上がっているせいか、相殺した時の爆発が大きく、今度はお互いの姿が確認できないくらいの大きな土煙が発生。ちょっとした視界不良に襲われる。

 

「目くらまし……だとしたら、まずはここから何かを……っ!?エルレイド!!『アクアカッター』!!」

「エルッ!!」

 

 視界を奪われたことにより、ここを起点に何かを仕掛けて来ると判断したボクは、警戒度を一気に上げ、煙の先を注視した。すると、その煙の先から紫色の光が見えた気がしたので、エルレイドに慌ててアクアカッターを指示。ボクの指示に疑うことなくすぐに技を構えたエルレイドは、そのまま飛んできた紫色の焔に対して水の刃を振りぬき、一刀両断して消した。

 

「『おにび』……エルレイドをやけど状態にして、火力を消す狙いってことか……エルレイド!!まだまだ来るよ!!『アクアカッター』!!」

「エルッ!!」

 

 ゴーストタイプらしい搦め手を見せてきたことに、オニオンさんとバトルしているという感覚がより刺激されたボクは、そのまま土煙の中から連続で飛んでくる焔に対して、対応するようにエルレイドに指示。頷いたエルレイドは、肘から伸びた刃に水を纏わせて次々と焔を切り割いて行く。

 

(『おにび』はこれで何とかなる。……けど、この程度でオニオンさんの作戦のすべてってことはないはず……)

 

 さっきも言った通り、ゴーストタイプは搦め手を得意てしており、それはジムチャレンジの時から嫌と言う程体験した。あの時の時点でそうだったのに、本気を出している今回が、高々煙にまぎれさせておにびを放つなんてそんな簡単なことで終わるわけがない。

 

「次の手は……って、成程……そういう事だったのか……」

 

 エルレイドの方は大丈夫と判断して、すぐに他の所に視線を動かしていく。すると、ボクの視線にすぐに答えが入ってきた。

 

 エルレイドがおにびを弾いている間に土煙は晴れ、既に視界は良好状態。デスバーンの姿もしっかりと確認することができ、同時にデスバーン自身が1歩も動いていないし、変化も起こっていないことが確認できた。

 

 しかし変化は、デスバーン以外の場所で大きく現れていた。

 

「……『トリックルーム』……デスバーンの素早さを反転させる!」

「最初からこれが狙い……開幕から飛ばしてきますね……」

 

 エルレイドとデスバーンを取り囲むように現れた直方体のキューブ。セイボリーさんも使ってきたこのトリックルームの中では、足の速さが逆転してしまう。

 

 エルレイドの足は遅いわけではないけど、かといって特別速い方でもないので、この空間内で受ける身体の重さはそれほど強くはないだろう。

 

 問題はデスバーンの方だ。

 

「……『シャドークロー』!!」

「バァッ!!」

 

 オニオンさんの小さな指示に頷いたデスバーンは、その姿からは想像できない速さをもってエルレイドの真後ろに移動。一瞬で後ろを取ったデスバーンは、そこから影の両手を伸ばして、両腕でクロスを描くように上から振り下ろしてきた。

 

「っ!?前に走って反転!!後ろに向かって『サイコカッター』!!」

「エルッ!!」

「……避けて『いわなだれ』」

「バス~……」

 

 瞬間移動にも見えるその動きに何とか反応し、打開策を提示したボク。これを聞いたエルレイドはすぐさま前に走り出し、ギリギリのところでデスバーンの手が届く範囲から逃れ、すぐさま反撃のサイコカッターを放った。しかし、この攻撃すらも軽く避けたデスバーンは、今度は岩の雨を降らせて来る。

 

「『せいなるつるぎ』!!」

「……『シャドークロー』!!」

 

 飛んでくる岩に対して、今度は白色の光を肘の刃に宿したエルレイドは、飛んでくる岩全てを一瞬で切り裂いた。

 

「……速い!?」

 

 この間に再び後ろから奇襲を仕掛けようとしてきたデスバーン。しかし、思いのほかエルレイドの対処が速かったせいで、デスバーンが攻撃モーションに入る前にこちらも迎撃準備が整った。

 

「『つじぎり』!!」

「エルッ!!」

 

 影の手を振り上げて構えていたデスバーンに向き合い、黒色の刃を構えたエルレイド。いくらトリックルームによって素早さを上げられているとはいえ、ここまで接近しており、そして攻撃の準備を整えているのであれば、こちらの攻撃を今から避けるのは不可能だ。

 

(タイミングは完璧!!『きれあじ』のおかげで火力も負けてないし、タイプ相性も悪くない!!)

 

「叩き込め!!」

 

 斜めに振り下ろされるデスバーンの両手を屈んで避け、右腕の刃を右から左に一閃。漆黒の刃で、デスバーンの身体を真横に切り裂いた。

 

「バァッ!?」

「……流石に重い」

 

 いくら物理防御に定評があると言え、エルレイドのこの攻撃はかなり効いたらしく、身体を引きずりながら、大きく後ろに下がっていくデスバーン。ダメージの入り具合から、もしかしたら急所にも当たっているのかもしれない。元々急所に当たりやすい技だしね。

 

「よし、まずは先手を……」

「エル……?」

「エルレイド……?」

 

 先手を取れたことにほっとしていると、エルレイドが首をかしげながら、周りを少し見渡し始める。それが気になって声をかけると、エルレイドの周りに黒い靄が現れ始める。

 

「この靄……どこから……」

「エルッ!?」

「エルレイド!?」

 

 その黒い靄がしばらくエルレイドの周りを漂ったと思ったら、一気にエルレイドの向かって集中。自身を包み込むように集まってきた黒い靄に対して、必死にもがくエルレイドだけど、一向に靄が外れることはなかった。幸いダメージを受けている様子はないので、これが致命傷になるということはなさそうだけど、それはそれとしても見ていて気持ちがいいものではない。

 

「エル……?」

「あれ……消えた……?」

 

 黒い靄に対してどうすればいいのか悩んでいたら、いつの間にかその黒い靄は消滅。やはりエルレイドのに傷はなく、見えないダメージが入っているようにも見えなかった。

 

「本当に何だったんだろう……」

「……デスバーン……『いわなだれ』」

「って今はそういう場合じゃないか、『せいなるつるぎ』!!」

「エルッ!!」

 

 結局黒い靄が何なのかわからないままオニオンさんから攻撃の指示が飛んできたので、一旦黒い靄のことを頭から追い出して、飛んでくる攻撃に対して対処をする。

 

 しかし、ここで違和感が生じる。

 

「エル……?」

「『せいなるつるぎ』のキレが悪い……?」

 

 エルレイドが飛んでくる岩を次々と切り裂いて行くのだけど、その際の技のキレがさっきと比べてかなり悪い。その証拠に、いわなだれの処理時間が全然違い、明らかに遅くなっていた。

 

「バァス……」

「エ……ル……ッ!」

 

 別にエルレイドが手を抜いているわけでもない。そして、デスバーンが急激に強くなったわけでもない。なのに、明らかにエルレイドの火力が落ちている。そのことに対して、やはり先ほどの黒い靄が関わっていると判断したボクはすぐさま思考を回す。

 

(『おにび』を受けているわけではないのにここまで火力が下がっているのは間違いなくさっきの黒い靄が原因だ。そして、一度冷静になって考えてみたら、あの黒い靄の正体も何となくわかってきた……!!)

 

 デスバーンがデスカーンの近似種だというのなら、デスカーンが持っていた固有の能力に近しいものをデスバーンも持っている可能性が高い。となると、デスカーンが持っているもので一番特徴的なものが、特性『ミイラ』だ。この特性は、自分に触れたポケモンの特性を、強制的にミイラに変更するという性質を持ち、これによって相手の特性を没収することが出来る。

 

 勿論、デスバーンがこれと同じ特性を持っているとは限らない。けど、これに近しいものを持っているのだとすれば……

 

(今のエルレイドは『きれあじ』が没収されている状態……そのせいで、『せいなるつるぎ』の火力が全然出てないんだ)

 

 恐らく、ジムチャレンジの時にデスマスとジメレオンが闘っていた時もこの特性は発動はしていたのだろうけど、あの時は特性を頼りに戦っていなかったし、おそらくこの特性を受けたであろうジメレオンをすぐに下げ、イーブイに交代したからその変化に気づけなかったんだと思う。

 

「……気づいちゃった?……でももう遅いよ……デスバーン……『おにび』を『いわなだれ』に纏わせて発射!!」

「っ!?エルレイド!!下がって!!」

 

 ボクが答えに辿り着いたことを悟ったオニオンさんは、それでも決して焦る様子無く攻撃を指示、その指示に従ったデスバーンは、エルレイドの真上へ移動し、そこから紫色の焔を纏った岩の雨を大量に降らせてきた。

 

「カブさんみたいな戦い方……!!」

 

 1つ1つがやけどを与えて来る炎の隕石。どれか1つにでも当たったらおしまいなこの攻撃は、きれあじがない今のエルレイドでは処理しきるのが難しいので慌てて回避。トリックルームのせいでいつもの速度で動けないことに難儀しながらも、何とか避けきったエルレイドは、ボクの近くまで戻ってきた。

 

「エル……」

「強いね」

 

 防戦一方。

 

 特性を奪い、速度を奪い、流れを奪う。

 

 実にゴーストタイプらしい、いやらしい戦い方だ。

 

「対処するには……うん、こうがいいかも。戻って!エルレイド!!」

 

 このままエルレイドで押し切るのはよくないと判断したボクは、一度エルレイドを戻し、2人目の仲間を繰り出した。

 

「頼むよ、ブラッキー!!」

「ブラッ!!」

 

(この交換をもって、奪われた最初の流れを取り戻す!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デスバーン

さまようたましいに関して、ジムチャレンジではあまり効力を発揮する場面がなかったので、ここで深堀。あの時もちゃんと発動はしていました。今読み返してみたら、あの時のデスマスは『おにたた』戦法なんですよね。おにび以外は原作と同じ技構成なのですが……デスバーンからは考えられない戦い方ですね。




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