【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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278話

「マ……ホ……ッ」

 

 地面に拡がっているクリームの中心で、苦しそうに声を上げているマホイップ。体力を削られ、さらに呪われている状態でミミッキュの相手をしなくてはいけないという絶望も絶望の真っ只中、ボクの頭は未だにどちらの択が正解なのかを決め兼ねていた。

 

 攻めればこの優秀な耐久を誇っているマホイップを捨てることとなり、下げればのろいといたみわけのコンボで荒らされる。

 

 どちらにしたって手持ちのポケモンを一瞬で1人持っていかれかねない状況に、本当に悩んでしまっていた。

 

(どっちだ……どっちが正解だ……)

 

 いつもならこういう時は大体、ボクが気付いていないだけで1つや2つは隠された道が残されていたりする。けど今回においてはそれすらもなく、本当にどちらか1つを選ばなければいけない。

 

 こういう時に即決できない自分の甘さが、少し憎い。

 

 こうやって悩んでいる間にも、のろいはどんどんマホイップの身体を蝕んでいく。

 

(くそ……もう少し時間があれば、それぞれの手を選んだ時のメリットデメリットをしっかり吟味できるのに……)

 

「マホッ!!」

「っ!?」

 

 それでもまだ両方の選択肢の裏目のことが頭をよぎって、最後の判断をくだせないでいるボク。そんなボクに対して、突如大きな声を叩きつけられ、その声に反応して前を見る。

 

「マホマホッ!!」

「マホイップ……」

 

 するとそこには、苦しそうな表情を浮かべながら、しかし右手にクリーム、左手にマジカルシャインを纏い、今すぐにでもミミッキュに飛びかからんと構えているマホイップの姿があった。その姿から、ボクはまるでマホイップがこういっているように聞こえた。

 

 私を捨てて。私はここで、後ろに繋ぐバトルをするから。

 

 ボクの判断が遅い部分を、マホイップの覚悟が後押ししてくれている。それも、判断が遅いとボクを責める訳ではなく、ボクがどうして悩んでいたかを納得してくれた上での自己犠牲。

 

(本当にこの子たちは……)

 

「ありがとう。そしてごめん、マホイップ」

「マホ……!!」

 

 ボクの至らないところは、ポケモンたちがフォローしてくれる。そのことに大きな嬉しさを感じながらボクは前を見る。

 

「もう迷わない!!『マジカルシャイン!!』」

「マホッ!!」

「……っ!!……ブラッキーと言いマホイップと言い……ポケモンとの絆が凄すぎる!!」

 

 吹っ切れたボクの指示を聞くと同時に、左手を前に突き出して、貯めていたフェアリーのオーラを一気に解き放つマホイップ。片手で放っていることと、のろいによって体力が削れているせいで、威力こそは若干控えめであるものの、それでも覚悟と気合いとともに発射されたこの攻撃は、オニオンさんの意表を大きく突く形となる。

 

「……『シャドークロー』!!」

「キュキュ……!!」

 

 マホイップから迫ってくる光の波動に、慌てて影の手を伸ばして切り裂こうとするミミッキュ。身体から伸びた漆黒の手は、意表をつかれたことによって少し遅れながら、それでもなんとかマジカルシャインと撃ち合うように振るわれた。

 

「キュッ!?」

 

 けど、反応が遅れたことと、今回ミミッキュはのろいといたみわけという変化技を中心に戦う準備をしていたことが原因で十分な火力を発揮することが出来ず、ダメージこそ受けはしなかったものの、大きく身体を仰け反らせることとなる。

 

「マホイップ!!」

「マホッ!!」

 

 このチャンスをものにするべく、今度は右手を真っ直ぐ伸ばすマホイップ。その動きに合わせて、右手に貯められたクリームは糸のように真っ直ぐ伸びていき、バトルコート端の、ミミッキュの後ろの壁まで届く。

 

「引っ張って!!」

 

 少し質量のある水音を立てながら、クリームが壁にくっついたのを確認したボクは、この糸を巻き取る指示をマホイップに下す。すると、先程クリームを張りつけた位置までマホイップが引っ張られ、高速で飛び始める。

 

 モスノウがユキハミ時代に行った糸の立体機動のクリーム版だ。

 

「『マジカルシャイン』!!」

「……『シャドークロー』!!」

 

 クリームによる移動でミミッキュとの距離をぐんぐんと狭めていくマホイップは、左手に再び妖精の光を纏い、今度はこのまま殴りつける構えを取る。そんなマホイップに対してミミッキュも負けじと黒い手を伸ばし迎撃体制。そんな2人の攻撃は一瞬でぶつかり合い、その可愛らしい見た目からは想像できないような音を奏でる。

 

「キュ……!!」

「マホッ!?」

 

 しかし、ぶつかり合いの決着は思いの外速くつき、そしてそのぶつかり合いの敗者であるマホイップは、ミミッキュの攻撃に弾かれて空中に飛ばされる。やはり、近接戦ではミミッキュの方に分がある。けど、こちらもとけるを1度行っているので、受けるダメージ自体はそんなに大きくない。のろいによるダメージは大きくなっているけど、それでもマホイップはまだ動ける。

 

「『アシストパワー』!!」

「マホッ!!」

 

 空中にいるマホイップが、その位置から身体に光を集め一気に放出。自身の能力上昇具合によって威力が上がっていくアシストパワーを、ミミッキュに向かって思いっきり打ち下ろした。とは言っても、現状マホイップが出来た能力上昇はとけるによる防御2段階のみ。威力として見れば、とてもじゃないけど高いとは言えないだろう。

 

(でも問題ない!!)

 

「キュッ!?」

「……確実に『ばけのかわ』を崩しに来た!?」

 

 上から落ちてきたアシストパワーは、威力こそ足りてはいないものの、ミミッキュに対してしっかりと直撃した。同時に、ミミッキュの身体から何か異音が少し聞こえ、その音と共に、人形の首が少しこてんと倒れてしまった。

 

 ミミッキュが攻撃を受けたことによって、特性のばけのかわが発動し、攻撃をひとつ無効にした証拠だ。

 

(『ばけのかわ』を剥がすのに威力はいらない。なんでもいいから1つ攻撃を当てればそれで十分!!)

 

 これでミミッキュの厄介な特性は消えた。ここからは普通に攻撃技が通ることとなるし、なんなら、いたみわけで回復しているとはいえ、のろいで体力の半分は消費していることを考えたら、むしろ防御面はかなり脆い。

 

「マホイップ!!『マジカルシャイン』!!」

「マホッ!!」

「……くっ……『シャドークロー』!!」

「キュ……ッ!!」

 

 ばけのかわを剥がされたミミッキュに向けてさらに追い打ちをかけようと、今度は上空から妖精の光を落としていくマホイップ。これに対して影の手を伸ばし、光を飲み込まんと大きくてを広げるミミッキュだけど、マホイップの方が出力が高く、シャドークローが弾かれ、ミミッキュが態勢を崩すこととなり、絶好の攻撃チャンスとなる。

 

「今!!」

「マッホッ!!」

 

 ここで確実に取るために、マホイップに合図を出す。

 

 気合いの入った返事をしてくれたマホイップは、両手を空に突き出すことで、その先にクリームの塊を創造。どんどんでかくなっていくその塊は、もっと上空から落ちてくれば、隕石と相違ない見た目になっていただろう。

 

「……ミミッキュ!!……逃げて!!」

「キュキュ……」

 

 さすがにこのクリームはやばいと判断したオニオンさんは慌ててミミッキュに回避を指示。しかし、態勢を崩してしまっているミミッキュはすぐには逃げられず、また急に目の前に現れたクリームの星を前に圧倒されてしまい、動きがさらに鈍っていた。

 

 もう回避は間に合わない。あとはこのクリームを叩きつけて、ミミッキュの動きを完全に止め切る。そうすればマホイップの勝ちだ。

 

「マ……ホ……」

 

 勝利はもう目前。しかし、ここに来て急にマホイップの瞳がゆっくりと閉じていく。

 

「……ありがとう、マホイップ」

 

 どんどん力が抜けていくマホイップは、目が完全に閉じきると同時に、頭上に掲げていた腕とクリームを落としながら、自身の身体も地面へと逆さまに落下していく。その姿を確認したボクは、マホイップにお礼を言いながら、リターンレーザーを伸ばしてマホイップをボールへと戻した。

 

 

「マホイップ、戦闘不能!!」

 

 

 ミミッキュにかけられたのろいが、完全にマホイップの体力を削りきった。これによってマホイップは完全に気を失い、技の制御もできなくなってしまう。

 

 けど、これでいい。

 

「キュキュッ!?」

「……ミミッキュ!!」

 

 マホイップがボールに戻ると同時に聞こえてきたのはミミッキュの悲鳴。その声が聞こえた方に視線を向けると、クリームの塊に押しつぶされるミミッキュの姿が確認できた。

 

 マホイップが力尽きた場所はミミッキュの真上だ。そこでクリームの塊をつくりあげ、その状態で力尽き、自由落下が発生するのであれば、その落下先はミミッキュとなる。つまり、この一連の動きは、マホイップがクリームの塊を作り上げた時点で完成しており、マホイップが攻撃をしようがしまいが、ミミッキュには必ずクリームが当たる状況となっていたわけだ。

 

 自信が倒れることを覚悟して動いてくれたマホイップには本当に感謝しかない。

 

「……マホイップが倒れる時間を計算して……そのタイミングでクリームがミミッキュに当たるように計算してたの……!?」

「えへへ……エルレイド!!」

 

 今の行動を理解したオニオンさんが驚きの声を上げている間に、ボクは再びエルレイドを召喚。1度ボールに戻ることによって、特性きれあじが帰ってきたエルレイドは、肘の刃を真っ直ぐ伸ばしながら、クリームに身体の大半を埋もれさせて、もがいているミミッキュをしっかりとロックオン。

 

「『つじぎり』!!」

「エルッ!!」

 

 両腕の刃を漆黒に染めたエルレイドは、ここでミミッキュを確実に仕留めるべくダッシュ。動けないミミッキュとすれ違いざまに、両腕の刃を叩きつけ、渾身のつじぎりをミミッキュに刻み込んだ。

 

「キュ……キュ……」

 

 

「ミミッキュ、戦闘不能!!」

 

 

 のろいによって体力が減り、そしてばけのかわも剥がれているミミッキュにこれを耐えるだけの耐久は残っておらず、そのまま戦闘不能。これで5対4となる。

 

「……ありがとう……ミミッキュ」

「よし!!やったねエルレイド!!」

 

 倒れたミミッキュに声をかけるオニオンさんと、ミミッキュを倒したことを喜ぼうと声をかけるボク。

 

 ボールに戻っていくミミッキュを見送りながら、マホイップのおかげで勝ち取れた1本を、エルレイドと共に喜ぼうと思ってかけた言葉は、遠くでつじぎりを終えた状態で止まっているエルレイドにゆっくりと伝わっていく。

 

(本当に良かった。あのままミミッキュを倒せなかったら、この先むちゃくちゃ荒らされていた……)

 

 ふと頭の中でミミッキュが健在だった時の流れを想像すると、勝手に身体が震えていく。それほどにまで厄介で恐ろしい相手だった。

 

 けど、それもマホイップとエルレイドのおかげで乗り越えられた。その心理的余裕は、今のボクにとって大きなプラスとなる。

 

(リードも取れているし今の所いい感じ。もちろん油断はできないけど、この有利展開を維持できるように頑張ろう!!)

 

「エルレイド!!このまま次もお願いね!!」

 

 デスバーンとの戦いで若干体力は減っているものの、やけどは負っておらず、そしてきれあじも戻ってきたエルレイドなら、この先もまだまだ戦える。だからこのまま続投するべく、エルレイドに声をかけて鼓舞していく。

 

 この先もどんどん押し切るために。

 

 しかし、ここに来て、ボクは何かがおかしいことに気づいた。

 

「……エルレイド?」

 

 さっきから何回も声をかけているのに、未だにエルレイドからの返事がない。いつもの彼ならば、ミミッキュを倒した時点で声を上げたり、喜んだりするはずだ。例えそうじゃなくても、相手を倒したのであれば、技を振り終えた状態から構えを解き、ボクの近くに寄って来るくらいしたっていい。

 

 なのに、エルレイドは未だに、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……まさか」

 

 その姿のエルレイドを見て、ボクの頭の中に最悪の可能性が思い浮かぶ。

 

(いやでもありえない!!だって警戒はしてたし、させないために態々()()()()()()()()()()出来るわけが……)

 

 しかし、そんなボクの否定の気持ちをさらに否定するかのように、技を振り終えた姿で止まっていたエルレイドが、ゆっくりとその身体を地面に落とした。

 

 

「エルレイド、戦闘不能!!」

 

 

「な、なんで……」

 

 あれだけ元気に技を振っていたエルレイドの急なダウン。その理由が分からず、ボクはただ混乱することしか出来なかった。

 

 いや、正確には何が起きたのかは分かっていた。

 

(『みちづれ』……ジムチャレンジの時にも受けた技だ。あの倒れ方は『みちづれ』じゃないと説明がつかない。でも、だからこそ技を構えられないようにマホイップのクリームで動けないようにしたんだ……なのに……なんで……?)

 

「……『のろい』の時間を正確に把握しているのは……あなただけじゃない」

「っ!?」

 

 どうしてみちづれを成功させることが出来たのかを考えていると、オニオンさんからボソッと言葉が聞こえる。

 

 その内容は、今しがたボクが悩んでいたことに対する回答。

 

 ぱっと聞いただけではこれが回答と気づくことはできないかもしれないけど、ボクにはこれで十分だった。

 

「ボクは、マホイップが『のろい』で倒れる時間を計算に入れてクリームの塊を作ってた……それをオニオンさんもできていたのなら……」

「……ボク視点に立てば……マホイップに攻撃されることは絶対にないことが確定しています……そして……クリームに埋もれる前に『みちづれ』を構えてしまえば……あなたは必ず次のポケモンでとどめを刺しに来る……そうすれば……ボクは何もしなくても『みちづれ』を成功させられる」

 

 ボクがミミッキュを仕留められると確信した時点で、オニオンさんはマホイップの次のポケモンをみちづれ出来ることを確信していた。

 

(一歩上……歩かれている……)

 

 オニオンさんはゴーストタイプのエキスパートだ。それは何もゴーストタイプのポケモンをうまく扱えるというだけじゃない。ゴーストタイプの技だって、オニオンさんにとっては手足のように操ることの出来る技だ。そんな彼が、ボクにできることでできない事なんて存在しないと言っても過言ではないだろう。

 

(やっぱり搦め手が強い……わかっていたことだけど、ルリナさんとは強さの方向が別すぎて慣れるのが難しすぎる……)

 

 メロンさんをやぶっているところから、生半可な搦め手ではないことは理解していたけど、ボクの想像以上にやばい。これはメロンさんも負けてしまったのに納得してしまう。

 

「……ありがとう、エルレイド。ゆっくり休んで」

 

 改めてオニオンさんの恐ろしさを実感したボクは、エルレイドに謝罪をしながらボールの中に戻していく。

 

(本当に恐ろしい作戦だ……でも、最悪のケースは逃れることは出来た)

 

 オニオンさんは、あくまでもマホイップの後に出された誰かを狙ってみちづれを行った。つまり、ぼくがここでエルレイドではなく、ブラッキーや、まだ削れていないポケモンを出していたら、そのポケモンが一瞬でやられていたということになる。エルレイドには悪いけど、みちづれで持っていかれてしまったのが、体力をそこそこに削られているエルレイドだったのが不幸中の幸いだ。

 

(何も考えずにエルレイドを出していたけど、これがヨノワールだったら本当にやばかったかも……)

 

 そんな展開、想像するだけで身体が震える。本当にやばかった。

 

「すぅ……はぁ……」

 

 少し震えている身体を、深呼吸をひとつすることでゆっくりと抑えていく。

 

(落ち着け……その最悪な状況にはなっていないし、この『みちづれ』込みでも、まだまだ5分の勝負にはなっているはず。慌てるような時間じゃない)

 

 ifの世界線に怯えたところで、今オニオンさんとのバトルではなんの意味も持たない。そんな妄想をするよりも、今はこれからどうするべきかをしっかり考えた方がずっと建設的だ。オニオンさんの戦略性に思わず取り乱してしまったけど、こういう時こそしっかり落ち着いて前を見る。じゃないと、倒れていったエルレイドとマホイップに申し訳が立たない。

 

「……次……頑張るよ……シャンデラ」

「シャララ~」

「次はシャンデラか……」

 

 徐々に気持ちが落ち着いて、しっかり前を見れるようになったところで、場にいるポケモンが先に倒れたオニオンさん側が次のポケモンを呼び出した。

 

 そのポケモンはシャンデラ。シャンデリアのような見た目をしたその可愛らしい外見とは裏腹に、とてつもなく高い特殊攻撃力を秘めた恐ろしいポケモンだ。

 

「なら、こっちからはこの子だ」

 

 後で倒れたボク側にある、相手のポケモンを見てから選出できるというアドバンテージを利用して、シャンデラを確認したボクは、インテレオンのボールを掴んで放り投げる。

 

「レオッ!!」

「頼むよインテレオン!!」

 

 ゴーストタイプと一緒にほのおタイプを持つシャンデラに対して、純粋にタイプで勝っているインテレオンの登板。シンプルな理由だけど、だからこそ覆すのは難しいはずだ。

 

「『ねらいうち』!!」

「レオッ!!」

 

 お互いのポケモンが場に出て、準備完了と分かるやいなや、早速攻撃を指示。先手必勝と言わんばかりに右手人差し指に水を貯めたインテレオンは、弾丸のごとき速さでシャンデラに向かって弾を放つ。

 

「……シャンデラ……『エナジーボール』!!」

「シャンラッ!!」

 

 対するシャンデラは、緑色のオーラを集め、自身の目の前に球体として固め、ある程度の大きさになったところで発射。くさタイプの力を秘めたその一撃は、インテレオンのねらいうちとピッタリぶつかり、大きな爆発音を立てて相殺していく。

 

「やっぱり『エナジーボール』は覚えているよね……」

 

 ほのおタイプである自身の苦手な、みず、いわ、じめん全てにばつぐんを取れる、シャンデラにとっては優秀なサブウェポン。これに関してはボク対策ではなく、純粋に戦える相手を広げるという意味合いが強いのだろう。

 

「走って!!」

「レオッ!!」

「……近接に付き合わないで……下がりながら『エナジーボール』」

「シャラッ!!」

 

 エナジーボールとねらいうちによる相殺で起きた爆煙の中を突っ切り、一気に距離を詰めようと走り出すインテレオン。タイプは有利を取れているとはいえ、特殊攻撃の火力はシャンデラが上だ。そのうえ特殊耐久面も負けているとなれば、1番有効なのは、こちらが勝っているすばやさを利用した接近戦でのインファイト。インテレオンらしい戦いかと聞かれたら少し怪しいところだけど、今回においてはとにかく前に出た方が有利なのは間違いない。

 

 もちろんそれを理解しているオニオンさん側は、逆にインテレオンを近づけないために後ろに下がりながらエナジーボールを乱射。距離を詰められさえしなければ、火力で勝っているシャンデラの方が有利なので、その立場をキープし続けるための行動だ。

 

 ここに来て、さっきまでの搦手が嘘のようなシンプルな戦い。けど、別に搦手にばかり頼りっきりという訳では無いオニオンさんは、このシンプルな戦いでもその強さを発揮する。

 

 インテレオンが飛んできたエナジーボール3つに対して、身体を右、左、右とずらして紙一重で避け、次のボールをスライディングで潜り込んですれ違う。これで一通りエナジーボールは避けることが出来たので、思いっきり地面を踏み込んで、シャンデラに向かって飛び込む構えを取り……

 

「……シャンデラ……斜め上に『エナジーボール』!!」

「っ!?インテレオン!!ストップ!!」

 

 インテレオンがジャンプする先を読むようにエナジーボールが置かれ、それに気づいたボクは慌てて動きを止めるように指示。すんでのところで足を止めたインテレオンの顔面スレスレを、緑色の球が通過していく形となる。

 

(あと少し反応が遅れてたらやられてた……観察力もやばい……)

 

「……絶対に……勝ちたい!!」

「っ!!」

 

 こちらをしっかり見つめるオニオンさんの瞳。

 

 仮面越しに覗くその瞳から、確かな熱意を感じたボクは、思わず背中に冷や汗を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




みちづれ

道連れを行うと、みちづれ状態と言うものになり、次の自分のターンが来るまでの間に、相手の攻撃技で倒れた場合、攻撃者をみちづれします。この状態は次の自分の甲同ターンになると途切れ、この時、自身がまひなどで動けなくなっても解除されます。なので、実機準拠で行くのなら、今回はクリームに埋まっているミミッキュをしばらく放置しておけば、勝手に解除される形となります。そういう意味では、アニポケ時空なら、みちづれは使用してから何秒以内みたいな時間制限がありそうですね。




前回のあとがきに、なぜブラッキーのシンクロが奪われなかったかの説明を付け加えました。知らなくても特に問題はないですが、気になる方は見ていただけたらと思います。ちょっとややこしい仕様ですので、ちゃんと後書きに入れるべきでしたね。本編では流れ的に説明できなさそうでしたので、こういう形にしています。ご了承くださいませ。




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