「……『エナジーボール』!!」
「『ねらいうち』!!」
お互いから放たれる、お互いの弱点を着く攻撃。それはお互いの中心点でぶつかり、爆発音を奏でるだけで、両者に傷はひとつもつかない。インテレオンは自身と同じみずタイプの技を使うことで威力を底上げし、シャンデラは自身とは違うタイプではあるものの、飛んでくるみずタイプに強いくさタイプの技をぶつけることで綺麗な相殺を見せていた。こうやって文面だけを見るのであれば、今のバトルはとても綺麗な5分の勝負に見えるだろう。
しかし、現実問題はそんな簡単は話では無い。
「……『シャドーボール』」
「っ!!バックステップ!!その次はしゃがんで!!」
エナジーボールとねらいうちが相殺したのを確認して、オニオンさんが次の指示を繰り出す。すると、インテレオンの真上から突如黒色の球体が現れて落下。これに気づいたボクがすかさず指示を出してインテレオンを1歩後ろに下げ、さらに下がったところを右から狙って飛んできた黒球も避けるためにしゃがませる。
「前と後ろに『ねらいうち』!!」
ここまで避けたところで、今度は前と後ろから黒球が接近してきたので、右手を前に、左手を後ろに向けて構え、ねらいうちを発射。2つの黒球を相殺によって消していく。
「前に走ってシャンデラに詰めて!!」
「レオッ!!」
そうこうしている間に、今度はインテレオンを狙ってエナジーボールが飛んできていたため、これを大きく左に飛んで回避。避けたエナジーボールが地面に当たる音を聞き流しながら、インテレオンは着地と同時に前に走り出した。
(手数の差が大きすぎる……やっぱりどこかで詰めないとダメだ……)
単純な技と技のぶつかり合いならば、確かに5分の勝負だ。しかし、問題は相手の技の自由度の高さ。先程のやり取りを見てもらえればわかる通り、エナジーボールはともかくとして、急に死角から飛んでくるシャドーボールがとにかく厄介だ。最初のやり取りで、エナジーボールだけではいつかインテレオンに詰められると察したオニオンさんが、攻撃のレパートリーを増やすことで、こちらからの接近を完全に拒否していた。
(ゴーストタイプの性質をもつ『シャドーボール』の使い方にこんな方法があるなんて……)
この急な死角から現れるギミックは意外と単純で、シャドーダイブやかげうちのように、影の中に潜んだり、空間の隙間に身体を滑らせるのと同じように、シャドーボールという技をそこに隠すことで、技を秘密裏に移動させて、いい位置に到達したところでこちらの世界に顕現。そこからインテレオンに向かって飛ぶようにしているという感じだ。言葉にすれば、そんなにややこしいものでは無い。
もっとも、この操作技術をものにするのに、かなりの特訓は必要だけど……
(あるいはゴーストタイプへの適正か……オニオンさんはどっちも完璧なんだろうね)
それ故に、遠距離からの攻撃のレパートリーが多く、だからこそ遠距離戦ではそもそもこちらの分が悪い。やっぱり、シャンデラに勝つためにはこちらから距離を詰める必要があった。
けど、その距離を詰めるというのもかなり難しい。
(真正面から飛んでくる『エナジーボール』と、死角から飛んでくる『シャドーボール』……2つの攻撃のタイミングが絶妙で、この弾幕を潜りきれない……)
エナジーボールを避け、真っ直ぐ追いかけるインテレオンに対して、後ろにさがりながら3発のエナジーボールを放つシャンデラ。
「『アクアブレイク』!!」
対するこちらは、両手に水を纏いながらダッシュ。右手を左から右に振って1つ目をいなし、次に左手を左に振って2つ目ををいなし、最後のひとつを、左手を振った勢いを利用してそのまま左回転。尻尾に水を纏って、これを回転の動きに合わせて横に振っていなしてやり過ごす。
「『ねらいうち』!!」
「……『シャドーボール』!!」
エナジーボールをやり過ごしたところで、両手に纏っている水を指先に集中させ、そのままねらいうちを行う態勢へ。右人差し指と左人差し指からそれぞれ同時に1つずつ水弾を発射した。
その発射に合わせてシャンデラも攻撃を仕掛けており、自身の目の前に3つの黒球を召喚。そして呼び出したと同時に虚空に打ち込むことで黒球を消し、奇襲の準備を整える。
先に相手に到達するのはシャンデラの攻撃。
ねらいうちを打ち終えると同時にインテレオンの右側から突如黒球が現れ、インテレオンの頭目掛けて真っ直ぐ飛んでくる。これを、視線を向けることなく気配で感じとったインテレオンは、上体を仰け反らせて回避。自身の鼻先スレスレを黒球が通過していく。
紙一重の回避。しかし、まだ安心はできない。
上体反らしと言う不安定な態勢をしているインテレオンに向かって追撃するために、今度は真上から2つの黒球が飛んできた。この攻撃は今のインテレオンでは回避するのが難しいので、躱すのではなく弾く方向に思考を変える。
上体を反らしている態勢からさらに身体を後ろに倒し、そのままバク転の態勢へ。そして両足に水を纏いながら足をを振り上げることでアクアブレイクによるサマーソルトを敢行。飛んできた黒球それぞれに片脚ずつぶつけ、吹き飛ばしながら、また足から着地する。
これでシャンデラからの反撃はやり過ごせた。
そうやってインテレオンが回避行動を取っている間に、シャドーボールの打ち終わりを狙って放たれたねらいうちはシャンデラの元へ到達。技の後隙で身体が硬直しているシャンデラのすばやさでは避けきれない。
(当たれ!!)
「……『ちいさくなる』」
「なっ!?」
しかし、そんな危機的状況を、シャンデラは自身の身体を小さくすることによって回避。シャンデラに向かって飛んで行ったねらいうちは、シャンデラの身体のすぐ横を擦って通過していく。
ちいさくなる。
自身の身体を文字通り小さくして、技を回避する技。これにより、ますます遠距離での攻撃の打ち合いが不利になり、いよいよもって距離を詰めるしかなくなる。
(けど、オニオンさんの観察力を前にして距離を詰めるなんてやっぱりキツすぎる)
これまでの戦いを見てもらえればわかるけど、オニオンさんの適応能力が高すぎるせいで、いろんな形でトライしているけどそのすべてをしっかりといなされてしまっていた。恐らく、正攻法では全く通用しないだろう。
(よく考えるんだ……今のオニオンさんを崩す方法……このまま何も思いつかなかったら、間違いなく詰んじゃんうから……)
ちいさくなるは重ね掛けが出来る。すればするほど体積を小さくできるその技は、極限まで行ってしまえば、いよいよこちらの技が当たらなくなってしまう。そうなってしまえば、インテレオンはおろか、この先のボクの手持ちのポケモン誰一人勝てないなんて結果になりかねない。そうなる前に早急に対策を見つける必要がある。
(変化技を打たせなくする……ううん、『ちょうはつ』を覚えているポケモンはいない。じゃあ『つばめがえし』のような相手に攻撃を当てやすい技……ダメだ、それも憶えていない……)
ちいさくなるという技に対するメジャーな対策は、現状ボクの手持ちのポケモンが覚えることはできない。せめて天候があられ状態にでもなっていれば、モスノウのふぶきがこのちいさくなるの壁を突破するに足る技になるのはなるのだけど……
(いや……あとはダイマックス技か……)
と、ここまで考えてもう1つの対策であるダイマックス技が頭をよぎった。
ちいさくなるという技は、自身の的を小さくして、相手の攻撃の隙間に入ることで攻撃を避ける技だ。だから、攻撃範囲の広い技で全体をまとめて攻撃する技を放てば、当たる可能性はぐんと上がる。そういう点において、ダイマックス技と言うのはかなり有力な対処方法だ。これを行えば、間違いなくシャンデラは落とせる。
ただ、その代償があまりにも大きいが。
(ここでダイマックスを切るの?いやいや、いくら何でも先のことを考えてなさすぎる……キョダイマックスゲンガーが後ろにいるのが確定しているのに、ここで切れるわけない……)
その代償を払ってしまえば最後、ゲンガーに対する対抗策が消えてしまう。そうなってしまえば、間違いなく最後の競り合いでオニオンさんに負けてしまうだろう。今この対面に勝つためだけに、この勝負を捨てるのはいくら何でもダメすぎる。
(せめて、『ヒートスタンプ』とか『のしかかり』みたいな、上からつぶす技を再現できれば……あれ……?)
と、ここまで考えたところで、ボクはあるものが目に入る。と同時に、この状況を打開する一手が頭の中にひらめいた。
(……そうか!!これをすればもしかしたら!!)
「インテレオン!!こっちに来て!!」
「!?レオ!!」
頭の中に舞い降りたこの状況を打開する一手になるかもしれない作戦。それを伝えるべく、現在進行形でシャンデラに向かって走りながら、アクアブレイクでエナジーボールを弾いているインテレオンに声をかけ、一度ボクの前まで戻ってくるように指示。この言葉にすぐに反応して、インテレオンが飛んで戻ってきたところで、ボクはインテレオンに期待を込めながら声をかける。
「良い作戦を思いついた!!ついて来てくれる?」
「……レオッ!!」
ボクの質問に対して、何をいまさらと言わんばかりに、頼もしい笑顔を浮かべながら前を見るインテレオン。その背中に嬉しさを感じながら、ボクはインテレオンと共に身体が二回りほどちいさくなっているシャンデラを見つめる。
「……あの表情……何かしてきます……シャンデラ……警戒を!!」
「シャラッ!!」
ボクたちの表情を見て、警戒度を一気に跳ね上げるオニオンさん。
オニオンさん視点で言えば、ここでボクたちにダイマックスを切らせればほぼ勝てる盤面だから、何が何でもダイマックスを引き出させたいのだろう。だからこそ、こちらの作戦を全力で止めに来るはずだ。
けど、関係ない。正直、ボクがオニオンさん側に立って、この作戦に気づいたうえで、対処する方法が浮かばないのだから。
「行くよインテレオン!!『れいとうビーム』!!」
「レオッ!!」
「……『れいとうビーム』?」
早速その作戦を行うため、まずインテレオンが放ったのはれいとうビーム。シャンデラに対して絶対に通ることの無いこおりタイプの光線を見て、疑問を浮かべるオニオンさんを無視して飛んでいくその攻撃は、シャンデラを狙うことなく、先ほどミミッキュが埋まっていたクリームの塊に着弾し、クリームの塊が一気に凍っていく。
「……一体何を?」
「インテレオン!!今作った氷の塊に『アクアブレイク』!!」
「レ……オッ!!」
未だにこちらが何をしているのか理解できていないオニオンさんの声を聞きながしながら、ボクは更にインテレオンに指示。これに従ったインテレオンは、氷の塊の下へ一気に近づき、両手に水を溜め、同時にアッパーを繰り出して、固めた氷を空中に打ち出した。
「……もしかして!」
「インテレオン!!もう一回『れいとうビーム』!!」
ようやく何かに気づいたオニオンさんだけど、ここまで準備が出いたならもう止められない。打ち上げられた氷の塊を追いかけて、一緒に宙に跳びあがったインテレオンは、自分で打ち上げた氷の塊よりもさらに上に位置取り、そこから氷の塊に向かってれいとうビームを発射。空中にあげられた氷は、これによってその体積を更に膨らませることとなり、あっという間に空中に氷の星が出来上がる。その大きさは、先ほどマホイップが空中に作り上げていたそれよりも何周りも大きくなっており、クリームと違って氷と言う明らかに硬度の高い物質と言うことも相まってかなりの威圧感がある。
そんな大きな氷の星が空中に浮き続けられるわけもなく、その星は重力に従って真っすぐ、シャンデラが待つ地面に向かって落ちていく。
「……『ヒートスタンプ』のような質量攻撃……こんな方法でやって来るなんて」
「これならいくら回避が上がってても関係ないですよね!!」
ちいさくなるという技は確かに技を避けやすくなるけど、さっきボクが挙げたヒートスタンプやのしかかりと言った、相手を上から押しつぶすタイプの技に対してめっぽう弱くなるというデメリットがある。受けるダメージは上がってしまうし、身体が小さくなっているせいでこういった範囲技の範囲から逃れるのが遅れてしまうため、せっかく上げた回避力を生かし切れなくなってしまう。しかし、残念ながらインテレオン含め、ボクの手持ちポケモンにはこの手の技を覚えているポケモンはいない。
そこで、氷の塊を利用した隕石攻撃。
これなら、さっきの技を覚えていなくても似たような攻撃を行うことが出来るから、ちいさくなるに対して有利に立ち回ることが出来る。
「……本当は打ちたくないけど……絶対に止めるために!!……『オーバーヒート』!!」
「シャラッ!!」
急に現れた、自身を一撃で落としてきかねない強力な攻撃に、オニオンさんも苦い顔を浮かべながらもオーバーヒートを指示。この先の自身の火力を犠牲に放つ本気の焔が、シャンデラを起点に一気に発火。シャンデラが持つ最高火力は、遠くにいるボクの下までその熱を運んでくるほど強力だ。
そんな大火力を受ける氷の隕石は勿論無事ではすまない。氷に対して炎をぶつけているのだから当然その隕石は溶けていき、体積を徐々に小さくしていく。このままあぶられ続ければ、氷は完全に溶けてなくなってしまうだろう。そうなってしまえば、せっかくの質量攻撃が意味をなさない。
しかしそれは、この星が氷だけでできていればの話だ。
「……っ!?……クリームが!!」
「シャッ!?」
氷の星が氷だけでできていたのなら、シャンデラの火力があれば溶かしたうえで蒸発までさせることが出来ただろう。しかし、今回は核にマホイップのクリームを使用することで、溶けるまでの時間が少し伸びていた。勿論あぶられ続ければクリームだって溶けてなくなってしまうけど、それを補うために、ボクたちはれいとうビームの重ね掛けしていた。
巨大に成長した氷の星は、中のクリームを守るための鎧であり、本命はクリームによるシャンデラへの圧力攻撃。その姿は、形は少し違うけど、先ほどミミッキュをクリームの中に閉じ込めた時のそれと酷似していた。
まさか同じ戦法をさらに厄介なものへ変えて繰り返してくるとまでは思考が及ばなかったオニオンさんの反応が遅れ、ボクの思惑通りクリームの塊がシャンデラに降り積もった。
「……シャンデラ!!」
「シャ……ラ……ッ!?」
クリームに降られたシャンデラは、身体を小さくしていた弊害で完璧にクリームの中に埋もれてしまい、その姿を確認することが出来ない。オニオンさんの呼びかけに声こそ返してはくれたけど、相当深く埋もれてしまっているのか、その返答もかなりか細く、耳を澄ませてやっと聞こえるレベルだ。
「インテレオン!!もう一回『れいとうビーム』!!」
「レオッ!!」
クリームに埋もれて四苦八苦しているシャンデラに向かって、またもやれいとうビームを放つインテレオン。シャンデラを、上から落ちたクリームごと氷の中に閉じ込めて、熱で溶けていたクリームを再び凍らせていくことで、大きな氷の山がまたでき上がる。
「……シャンデラ!!……返事をして!!」
「…………」
氷の中に閉じ込められたことでさっきまで微かに聞こえていたシャンデラの声も聞こえなくなっていく。いくらほのおタイプのポケモンと言っても、こおり状態にならない訳では無い。ここまでの氷の中に閉じ込めてしまえば、いまひとつの相性とはいえ、それなりのダメージは入るはずだ。
「……インテレオン。『きあいだめ』」
「レオ……」
しかし、こんな状況であっても一切の油断をしないように決めたボクは、インテレオンにきあいだめを指示。インテレオンもこれでシャンデラが倒れるとは思っていないので、目を閉じ、最後の一撃を叩き込むための集中を行う。
(いくらダメージが入っているとはいえ、やっぱりこおりタイプの技ではシャンデラを倒し切るのは不可能だ。オニオンさんのシャンデラなら、この氷の山から必ず脱出する。でも、だからこそその瞬間が一番の攻撃チャンスになる)
さっきのシャンデラのオーバーヒートの火力を見れば、こんな氷に閉じ込めたところで、一瞬で脱出は可能だ。それは誰の目から見ても明らか。しかし、既にオーバーヒートを1回打っている今のシャンデラは、その火力を大きく落としている。いくら超火力を誇るシャンデラであれど、さっき溶かしたようなスピードで今の氷の山を溶かすことは出来ないはずだ。とくこうが下がった分氷の溶けるスピードは緩やかになり、その速度はボクたちがしっかり視認できる速さまで落ち着くはず。
それはつまり、氷の山の中から不自然に氷が溶けていく場所がはっきり分かると言うこと。
ちいさくなるによって体積を小さくし、回避力の上がったシャンデラが、氷から脱出するために周りを溶かしている時間。その間は、シャンデラが自身が、自分の今いる位置を教えてくれているのと同義である。
「……見つけた!!インテレオン!!」
明確な場所さえ分かれば、もうあとは簡単だ。クリームで身体を固められているシャンデラに回避行動を取ることは出来ず、そしていくら小さくても、場所が分かり、動けないのであれば、こちらが技を外す理由は無い。
「『ねらいうち』!!」
「レオ……ッ!!」
氷の山の中で、不自然に溶け始めている1箇所に、寸分違わず飛んでいく1発の水弾は、着弾すると同時に圧縮された水が大爆発。シャンデラがいたと思われる場所を中心に巻き起こったそれにより、氷もクリームも、何もかもを吹き飛ばす。これにより、インテレオンがつくりあげた氷の山は跡形もなく消し飛んだ。
「……シャンデラは……っ!?」
「レオッ!?」
今のインテレオンの放てる最高火力。さすがにこれを耐えれてはいないと思いながらも、戦闘不能のシャンデラを確認したくて視線を動かそうとするボクたち。しかし、その行動をしようとした瞬間、インテレオンの眼前に、黒い球が急に現れた。
「『シャドーボール』!?インテレオン!!大丈夫!?」
「レ……レオッ!!」
急に目の前に現れた攻撃に反応出来ず、直撃してしまうインテレオンは、それでも何とか踏ん張って攻撃を耐え、直ぐに前を見る。シャドーボールが飛んできたということは、信じたくは無いけどさっきのねらいうちを耐えられたということに他ならない。なら、今するべきは直ぐにシャンデラを視界に捉えてとどめを刺すことだ。
(今の攻撃を耐えたとして、ダメージはかなり入っているはずだ!!なら、今すぐに攻撃を叩き込めればまだ━━)
「シャンデラ、戦闘不能!!」
「……え?」
インテレオンが攻撃を受けた事から、どうやってかは分からないけどまだシャンデラが耐えていると思ったボクは、来るであろう追撃に警戒するべく慌てて視線を動かす。顔にシャドーボールを受けてしまったため、それなりのダメージと隙を晒してしまっているので、ここで追撃を受ければそれだけで倒れかねないからだ。
しかし、そんなボクたちを待っていたのは、シャンデラが倒れたと言う審判からの報告。それにつられて視線を向ければ、先程ねらいうちが着弾したところに、確かにシャンデラは倒れていた。誰がどう見ても戦闘不能状態だ。
「……ありがとうシャンデラ……ゆっくり休んで」
オニオンさんも、ダークボールへシャンデラを戻しながら言葉をこぼしているので、決着は間違いなくついた。この事から、シャンデラが最後にしたことがようやくわかった。
(自分が倒されるのが分かったから、自分の体力と引き換えにインテレオンを無理やり削りに来たんだ……)
もう助からないと悟ったからこそ、この状況でも相手に攻撃を与えられる、シャドーボールによる最後の一撃。
次のポケモンへ思いを繋ぐように放たれたその一撃は、その仕事をしっかりと遂行し切り、インテレオンにダメージを与えた。
「レオ……ッ」
「インテレオン……」
シャドーボールを受けたところから立ち直ったインテレオンは、身体をほのかに青色に光らせながら、再び戦闘態勢を取る。この様子から、インテレオンの特性、げきりゅうが発生したことがわかった。これで次からインテレオンの放つみずタイプの技が強力になってくれる。
しかし、裏を返せば、もうインテレオンの体力はほとんど残っていないという意味でもある。
「本当に、一筋縄では行かないね……」
シャンデラを超えたというのに、ボクたちの心は未だに、オニオンさんに掌握されているような感覚がした。
ちいさくなる
実機では嫌いな人が多そうな害悪戦法の1つですね。アニポケ風戦闘だと、なかなか描写が難しくもありましたが、シャンデラを出すならちょっとは触れてみたいと思いました。