それとアニポケ見てたんですけどテンガンざんにレジアイスいるんですね……いよいよもってどこにでも居そうですね。
「イーブイは『スピードスター』!!ジメレオンは『みずのはどう』!!キルリア、『マジカルリーフ』!!マホミルは『あまいかおり』で落ち着かせて!!」
みんなを総動員して対応するべく、檄を飛ばしまくるボク。
場所は第二鉱山の少し道が細い場所。
途中からユウリたちとわざと離れるように動き、ここのモンスターたちを引きつけるように動き出したボクは、入り組んでいる細い道の中へとあえて見つかりやすいように逃げ込んでいた。というのも理由は簡単で、こちらの人数有利を作り出すため。
たくさんの相手と少数で戦う場合は何より大事なのは囲まれないこと。
囲まれてしまえば360度全てから攻撃が来てしまうから後ろや横にまで気を配る必要があり、とてもじゃないけど全ての攻撃を捌ききれない。しかし、これが細い一本道での戦いの場合は話が変わってくる。たとえ相手が50いようが細い場所では一対一、出来て2対2くらいが限度だからだ。数が沢山いても場所が狭ければそもそもその場所で戦える数が限定される。
そこでボクがとった作戦は細い通路を走り抜け、その出口で待機。細い道を通ってきたポケモンをこちら側に来る前に迎撃するという作戦。
こうすることでこちらは細い道を抜けているので開けた場所でたくさんの仲間と待ち伏せでき、相手は細い道に詰まっているため1匹ずつしか戦えない状況になる。こうなれば相手の数の有利というのは実質ないのと同じだ。これがトレーナーによるものだったら1番前が削られたら後ろとスイッチして、下がったところで回復してまた戦線復帰して……の無限ループを作れるけど、相手は野生。そこまでの知能や戦略性はない。さらに言えば、しばらく戦って勝てないと思わせることができれば相手も頭を冷やしてすぐに帰ってくれる。今回もその例にもれず、こうやって持久戦を繰り広げていくうちに1匹、また1匹とこちらのことを諦めて帰っていく野生のポケモンたち。そしてたった今、最後のカジリガメがボクたちのことを諦めて後ろに下がって行った。
「ふぅ……何とかなった、かな?」
「ブイ〜……」
「マミュ〜…… 」
「あはは、みんなお疲れ」
ジメレオンとキルリアはともかくとして、マホミルとイーブイは怪我こそおってないものの、ずっと戦ってて疲れたのか、ボクのため息でようやく力を抜き、同時に地面に突っ伏してしまう。特にイーブイは逃げ始める時から外に出ていたためボクにしがみついたり外を一緒に走って逃げたりと行動時間が1番長い。疲れも他の子たちよりも多く感じているだろう。
とりあえずみんなにオボンのみを渡していき、少しでも回復できるように尽くす。
「さて、と……これからどうしよっか」
みんなを休憩させながらこの先を考える。
もちろんまずは合流することが最優先ではあるんだけど、それにしても道は正直自信ないし、ユウリたちもかなり走ってると思うからどこまで離れているか分からない。それに……
(2人を守るためとはいえボク、自分から離れちゃってるからこれ合流したら怒られそうで嫌だなぁ……)
最近ユウリといいマリィといいなんか怖い雰囲気を纏う時があるので今から若干の恐怖があったりする。まぁ、怒られるにしても合流するにしてもまずは動かないと何も始まらない。
「みんな休憩出来た?」
「ブイ!!」
「キル!!」
「ジメ!!」
「マミュ!!」
「よし」
みんな元気になったのを確認してとりあえず合流をするべく、1度みんなをモンスターボールに戻してガラル第二鉱山の道を再び歩き出す。さっきまで3人でワイワイ話しながら歩いていたり、大量のポケモンに追いかけられたりしながらの大移動だったためか、物凄く静かで寂しさを感じる。鉱山内に広がっていくピチョン、ピチョンといった水の音が余計に寂しさを誇張していく。思えばこの地方に来て1人で旅をするのは飛行機でここに降りたってすぐくらいなもので、この静かに進む感覚は酷く久しぶりに感じた。
「一人旅だって嫌いじゃないはずなのになんだろう、凄く寂しい……」
シンオウ地方の時は合流して離れて、また合流しての繰りかえしだったけど、こっちではみんなと……特にユウリとはまどろみの森あたりからほぼずっと旅は一緒にしている。割とこんな長時間一緒に歩くなんてことは少なく、その空気感に満足もしていたからこうやっていざ離れてみると自分の思っている以上に誰かとの旅に染まっていたみたいだ。これを悪いとは言わないけど……なんだか丸くなったというか、もともと硬かったつもりはなかったけどさらに柔らかくなった気がするなって。
「うん、怒られるのは恐いけど早く合流したいな」
いつの間にか足が速くなっていく。
補装もされていない、本来なら歩きづらい道だけどそんなこと気にならずサクサク進んでいく。足の疲れも感じないほど調子がよく、このスピードならそんなに時間もかけずに合流できそうだ。根拠もないけどそんな予感がひしひしと感じてきた。
『…………!!』
『…………』
「おや?」
その予感を肯定するかのように聞こえてくる誰かの話声。この先に誰かがいるようだ。それも一人ではなく誰かと誰かが話しているような声。どうも周りの人たちを観察しているに、二人以上の団体で今回のジムチャレンジの冒険をしている人はかなり少なく、そうなってくると二人組以上の話声となると必然的にユウリとセイボリーさんの話声である可能性がかなり高い。
「案外離れてなかったんだね。よかったよかった」
道が曲がりくねっているから声の主がどんな状況かはよくわからないけど、セイボリーさんはさっきまでガラルマッギョにかまれていたということもあり、けがをしている可能性もある。ユウリ一人だとできることも限りがあるから、その手伝いもするために早く行ってあげよう。
声のする方に駆けだし、曲道を曲がりその先へ。細い道を抜けてついに声の主を視界に入れる。
「お~い、ユウ……リ?」
「マッスグマ、『つじぎり』!!」
「ポニータ、『ようせいのかぜ』です」
視界に入ってきたのはガラルポニータVSガラルマッスグマの光景。
つじぎりを仕掛けようと前に走ってくるマッスグマに対してようせいのかぜが直撃して押し返される。そのままダウンし、ボールに戻っていくマッスグマだが……
「次は私がたたかーう!いけ、フォクスライ!!」
「ちっ、本当にしつこいですね……」
すぐに出てくる二体目のフォクスライ。それも同じトレーナーからではなく違うトレーナーから。
一戦終わって、少しのインターバルを設けるなんて暗黙の了解を無視した間髪入れないその行動はいわゆるマナー違反と揶揄される行動だ。なぜそうかと言うと考えれば当然で、そんなことをすれば当然消耗が激しく、ポケモンにとんでもない負担がかかってしまうから。現に今も連戦を仕掛けられたポニータはもうかなり戦っているのか傷こそあまり見受けられないもののかなりふらふらしている。しかも……
「委員長から推薦されているってことはこれくらい余裕ですもんね?」
「……ええ、余裕ですよ。あなたたちみたいな取るに足らない存在、何人来ようとも全く関係ないんですよ。なのでいい加減、ぼくの道を邪魔しないでもらえませんかね。何日も粘着されていい加減鬱陶しいんですよ……『ようせいのかぜ』!」
ポニータから繰り出される桃色の強風がフォクスライを襲う。こうかばつぐんのその技を叩きつけようとして……
「レパルダス、『いちゃもん』です!」
「なっ!?」
「ポ二っ!?」
まさかの横槍。それにより桃色の風がかき消され不発に終わってしまう。
いちゃもんは同じ技を二回連続で繰り出すことができなくなってしまう状態にする技。先ほどマッスグマにとどめを刺したのにようせいのかぜを使ってしまっているためここでは繰り出せない。出すにしても間にひとつ別の技を挟まないとどうしようもないのだが、そんな隙を相手がゆるすわけもない。そもそも相手は一対一のところに横やりを入れてきている。ポニータ側からすればフォクスライと一対一のバトルをしようと気合を入れていたところにレパルダスからの邪魔。連戦で疲れているところに反応なんてできるはずがない。
「レパルダス、『みだれひっかき』!!」
そして当たり前のように攻撃に参加するレパルダス。
「何人来ても問題ないなら私が入っても問題ないですよね~?今は公式バトルじゃないからなんでもありであーる!!」
「ははは、こうやって選手の足止めをして邪魔をすれば、マリィが最後まで勝ちやすくなーる!!まさに最強の作戦!!」
爪を伸ばしてポニータに迫っていくレパルダス。ポニータもまずいと思い逃げようとするものの疲れから逃げきれそうにない。
(……こいつら)
明らかに悪意のある戦い方。正直見ていて気持ちのいいものじゃない。なら……
「キルリア」
「キル!」
「レパ!?」
「何ッ!?」
キルリアがレパルダスの横腹にドレインキッスのこぶしを叩き込む。こうかばつぐんの技をふいうちで貰ったレパルダスは想像以上に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「なんでもありならボクが混ざっても大丈夫だよね?エール団さん?」
「お前は、フリア選手!!」
「……あなたですか」
あまりにもモラルがないエール団に対して宣戦布告するように乱入していく。よくよく見ればエール団の後ろにさらにたくさんのエール団が控えていた。果たして何人を戦闘不能にしてきたのかはわからないけど少なくとも半分は戦闘不能になっていそうに見える。ガラル鉱山でもセイボリーさんに勝っていたしやっぱりこの人は強いという事だろう。そんなエール団を半分削った張本人にボクは向き直る。
「お邪魔だったかな?ビート選手」
「ええ全く。こんな奴ら、ぼく一人で十分なんですよ。横やりを刺さなくていいんです」
「あらら、手厳しい」
一人でここまで追いやった張本人、ビート選手。髪をかきあげながらつまらなさそうに呟く彼に失礼と思いつつも少し微笑んでしまいそうになる。相変わらず素直じゃないというかなんというか。この前と一緒でほんのり汗をかいている所を見るにやっぱりギリギリだったようで。それに先程の会話を思い出す限りに何日も粘着されているということはずっとこの鉱山を抜けるところでエール団の待ち伏せをくらってこの先に進めなかったと言ったところか。
そして負けてこそないものの、全滅させる頃にはみんなかなり消費させられて、さらに時間もかかっているため夜が近くなる時間となり仕方なくバウタウンへ帰還を余儀なくされる。そして次の日戻ってきたらまた同じように待たれて……の以下無限ループ。そのせいで多分ビート選手は先に進めていない。じゃないとボクたちよりもおそらく先にバウスタジアムを攻略しているであろう彼が今更こんなところにいる理由は無い。
さっさとエンジンシティに行きたいだろうに、こんなところで何日も足止めされていてはそのストレスは計り知れないだろう。エール団。はた迷惑な組織だ。けど……
(多分このまま普通に手を貸したらこの人の性格上納得しないだろうなぁ……)
本当に素直じゃないこの人にしっかりと禍根なく手をかすにはどうすればいいのか。言葉選びは慎重に。
「それでも一緒に戦わせてくれない?」
「しつこいです。必要ないんですよ」
「必要ないのは知ってる。問題なのはこんなくだらないことで時間を取られてるということだよ。こんなヤツらさっさと倒して先に進んだ方が効率的でしょ?」
「……」
「ビート選手が1人で全員倒せるなんて戦い方を見れば一目瞭然だよ。だからこそ、ここでボクも参戦すれば尚更この無駄な時間を短縮できる。どう?いい案だと思わない?」
相手の腕を尊重しつつ、そのうえでボクが手伝った際のメリットを提示する。こうすることによって彼のプライドを傷つけることなく手伝いをできるはず。
(これで上手いこと伝わってくれたらいいんだけど……)
「はぁ……」
ため息を零しながらやれやれと頭を振るビート選手。……どうでもいいけどなんか様になってるのがすごいなぁと。似合いすぎてて逆に悪印象を抱かない的な……?多分これはユウリに言っても伝わらないだろうなぁ。
「いいでしょう。あなたが言うことも一理くらいはあります。今回だけ許してあげますよ、フリア選手」
「ありがと」
これで即席のコンビネーション完成。一応自分の強さにもある程度の自負はある。ビート選手1人で半分も倒せるのなら、ボクと彼が手を組んだ今、彼らがどんな勢いで来ても負けることなんてないし、あっという間に倒しきることができるだろう。
「さて、こうなってしまってはあなた達に時間なんて一切かかりません。個人的になかなか恨みは募っているので覚悟しておいてくださいね」
「応援団って言うんだったら応援している人のためにちゃんとモラルは守らないと、マリィに迷惑がかかるっていい加減わかった方がいいと思いますよ?」
ビート選手がポニータを下げてミブリムを繰り出す。ボクはそのままキルリアに指示を。
「「さぁ、かかって来い」」
「子供ごとき、調子にのるーな!!」
なんだか楽しくなってきた。この戦い、いつも以上に動けそうだ。
☆
「ミブリム、『チャームボイス』です」
「リーム!!」
「くそっ、フォクスライ!よけーる!!」
ミブリムから放たれたチャームボイスを間一髪で避けるフォクスライ。が……
「キルリア、フォロー!!」
「キル!!」
外れたチャームボイスに手を添えて軌道を動かしフォクスライにぶつける。今度は避けきれず、ぶつけられたフォクスライは地面を転がって戦闘不能。
「ぐぬぬ、マッスグマ、『つじぎり』!!」
「キルリア、受け止めて!!」
マッスグマから放たれる黒と紫を混ぜたような禍々しい刀のような刃物による攻撃を、両手にドレインキッスを纏わせ、フェアリーであくタイプの技を上手く押し込めながら白刃取りのような形で止める。
「ミブリム、『マジカルリーフ』」
受け止められたことにより動けないマッスグマの横腹に突き刺さる数多の葉っぱたちは、急所に当たったのか想像以上にダメージを受けながらマッスグマが仰け反る。
「使いなさい」
「さんきゅ。キルリア!!」
そこを逃さないようにマッスグマに当たって辺りに舞い散るマジカルリーフをキルリアが集めて刀にし、マッスグマに切り掛かる。
「レパルダス、たすけーる!!」
キルリアの猛攻を止めようとレパルダスが駆け出してくる。このまま行けばキルリアがダメージを受けてしまうので下がらせ、しかしただで逃げるなんてことはせずに刀を投擲しレパルダスとマッスグマに1本ずつぶつける。
「ミブリム!!」
「リーム!!」
刺さったマジカルリーフがビート選手の合図で再び1枚1枚の葉っぱの状態に戻り、マジカルリーフの主導権がミブリムに戻る。そのままミブリムがマジカルリーフを操り葉っぱの竜巻を起こして、刀が刺さっていた場所を起点に荒れ狂う。攻撃の勢いが強すぎて動けないマッスグマとレパルダス。その隙を逃す手はもちろん無い。
「キルリア、『ドレインキッス』」
体力の残り少ないマッスグマに向かって駆け出し懐へ。マジカルリーフの嵐はキルリアの通り道だけを綺麗に開けていき、その隙間をかいくぐりドレインキッスを纏った拳をマッスグマに叩き込んで戦闘不能へ。
「さすが」
「当然です」
「調子にのるーな!!レパルダス、『あくのはどう』!!」
「『ひかりのかべ』!!」
「『チャームボイス』!!」
レパルダスからの2匹を狙った攻撃をキルリアが壁を展開して受け止める。その隙にチャームボイスを放ちレパルダスを攻撃。たたらをふむレパルダスにミブリムとキルリアが同時に駆け出し……
「「『『マジカルリーフ』』!!」」
2匹が同時にたくさんの葉っぱを集め巨大な大剣へと形を変え、それを2匹で抱えてレパルダスに叩きつける。圧倒的な威力を持った攻撃は問答無用でレパルダスを戦闘不能においやった。
40分にも及ぶ長時間の戦いがこれで終了。あれだけいたエール団の手持ちがキルリアとミブリムによってたった今壊滅した。
「ま、こんなものですよ」
「ボクたちが手を組めば……ねぇ?」
「し、信じられない……」
「くそ、ここはにげーる!!」
あまりの惨劇に思わず信じられないと驚きを隠せないエール団だけど全滅は紛うことなき事実。ボクたちに対する行動はもう逃げるしか残されておらず、慌てて全員がこの場所から走り去っていく。
「ふぅ……おつかれキルリア」
「キル〜……」
「戻りなさい、ミブリム」
「リム……」
こちらは被弾ゼロ。とは言うもののさすがに40分ぶっ続けでの戦闘は骨が折れる。キルリアもミブリムも勝ちに対する喜びよりもようやく終わったという安堵と疲れを綯い交ぜにしたような鳴き声を上げながらモンスターボールへと戻っていった。ボク自身も、ジム戦ほどとは言わないけど疲れがそこそこにある。ビート選手なんかはボクよりも長く戦っているから余計にだろう。
「おつかれビート選手」
「ぼくは疲れてなどいませんよ」
「ははは、そっか」
「ですが……まぁ、感謝はしときますよ」
「ん、どういたしまして」
素直じゃないビート選手からのまさかのお礼に驚きながらもしっかりと返す。なんだか少し嬉しいね。
「しっかし、やっぱり生で見ると強いね本当に」
「当然です。ぼくはローズ委員長に推薦されているんですから、むしろこれくらいが普通なんですよ」
成り行きでビート選手と共闘することになったけど真横で見てたビート選手の腕は確かなものだった。それは1人でエール団を半分倒してる時点で十分な証明になっていることだろう。なんせビート選手の手持ちはセイボリーさんと同じくエスパータイプで統一されている。これがどういうことかと言うと、エール団の手持ちは基本みんなあくタイプで統一されているのに半分倒してしまうほどの技術があるということだ。
エスパータイプはあくタイプに弱い。それも特別に。
受ける分にはばつぐんのダメージを貰い、攻撃においてはいまひとつどころか効果がそもそも無い。つまり、あのフォクスライやレパルダス、ガラルマッスグマに対しては1すらダメージが入らない。
自分たちのメインウェポンが効かない。それなのに軍団の半分を倒す。そんな人が弱いわけが無い。
今日はそんな彼の戦いを横で見ることが出来て良かった。これは戦う時が本当に楽しみだ。
「さて、それじゃ先進みますかね〜」
「待ってください」
「ん?」
エール団もいなくなり、ここに留まる理由も無くなったので先に進もうとした時に意外や意外、ビート選手から待ったの声がかかる。振り向くと顎に手を当てながらボソッと小さく、けどしっかり聞こえるように質問してきた。
「何故ぼくに手を貸したんですか?」
その内容はボクが手を貸した理由について。
「そんなの、なんかムカついたからだよ。正々堂々戦わないエール団がね。そんな卑怯者の集団にビート選手みたいなすごい選手が足止めされるなんて勿体な━━」
「御託はいいです。目がそれを嘘だと……いえ、その気持ちも無くはないみたいですが、本心は別にあると言っています。一体あなたの狙いはなんですか?」
「……」
ビート選手の追求に思わず黙ってしまうボク。
エスパータイプの使い手というのは総じてトレーナー本人も何かしら能力を持っていることが多い。セイボリーさんがモンスターボールを浮かばせるサイコキネシス紛いなことができるのがいい証明だろう。シンオウの四天王であるゴヨウさんも確か何かしら力を持っていたはずだ。その例に漏れずビート選手も何かしらの能力を持っているのかもしれない。
確かに手を貸したのには別の理由がある。と言っても隠すことのほどでもないし素直に話してしまおう。
「確かに別の理由があるけど聞いても面白くないよ?だって単に恩返ししたかったってだけだし」
「恩返し……?」
ボクの言葉が以外だったみたいで訝しげな顔をするビート選手。確かに本人からすれば何もしてないのに恩返しなんて言われたら首を傾げるだろう。けどよく考えたら分かることでもある。
ビート選手とエール団の話を聞く限りエール団の目的は選手を足止めし、マリィ以外のジムチャレンジャーの進行を止めること。言ってしまえばマリィ以外の選手がジムチャレンジを完走出来なければ無条件でマリィが優勝できるでしょという理論だ。無茶苦茶な理論だけどまぁ理にかなってはいる。しかし、そう考えた時に引っかかることがある。
なぜ戦っているのがビート選手だけなのか。
ビート選手以外にもバウスタジアムを突破してる人は沢山いる。ルリナさんに聞いた限りボク含めて2桁は超えているのは決まっている。それこそホップだって突破してるしね。なのにここにいないということは足止めされていないということだ。マリィ以外を脱落させたいのであれば全員を足止めするのが普通だ。なのに他の人の影は見当たらないし、ボクたちでさえもここでビート選手を見掛けるまではこの第二鉱山でエール団なんて1人も見ていない。もしかしたらマリィと一緒だから抜けられたという可能性や、そこまでマンパワーを割けないという可能性もあるけど、それだとビート選手だけが抜けられていない理由が無い。ではなぜ他の人は襲われなかったのか。
それはビート選手が1人でここに来たエール団全員を止めていたからでは無いだろうか?
他の選手に当たるはずだったエール団さえも本人の意思とは関係なしに引き受けてくれた。だからずっと残って戦っていた。だから他のみんなは安全に突破できた。
これに礼をしない方がおかしいだろう。
「君のおかげで少なくともこの第二鉱山は安全に抜けられた。だから恩返し。OK?」
「……」
まるで信じられないといった顔をするビート選手。まぁ、これはあくまでボクの頭の中での考察の結果だ。もしかしたら違うのかもしれない。けど、ほんの少しでも可能性があるなら、ここでお礼をしておくべきだ。
「あなたはバカですか」
「あはは、そうかもしれないね」
「はぁ……」
また聞くビート選手のため息。そこまで呆れられる程のものだろうか。ちょっと心外である。
「まぁ、ぼくとしても助かったのは事実です。改めて礼だけは言っておきますよ」
相変わらず少しひねくれた返答をしながら先に進むビート選手。ボクにここに留まる理由がないのと一緒で彼にももうない。彼の背中がゆっくりと離れていく。
「あと最後に2つだけ」
「ん?」
足を止め、ボクに語り掛けるビート選手。
「……ぼくのことはビートで構いません。ぼくもあなたをフリアと呼びますから」
「……りょーかい!」
「そして、次こそ出会ったらあなたを倒します」
「うん、楽しみにしてる」
「……では」
そして今度こそ離れるビート選手……いや、ビートの背中。けど、ほんの少しビートとの距離は近づいた。そんな気がした。
「さて、ボクもユウリと合流しなくちゃね」
ボクの足は、さらに軽くなっていた。
囲まれないこと
ここはポケモンダンジョンの戦い方を想像してもらえたらわかりやすいかなと。
モンスターハウスだ!
通路にまず逃げますよね。
ビート
まさかの共闘。
タッグバトルは書いてて楽しいですね。
最後の大剣はゼノブレイド2のバーニングソードを見まくった影響が。
ああいうバトルもののゲームなどは戦闘描写のいい資料になりますね。
気づけばあと少しで30話
定期更新考えると120日くらい?
あっという間ですね。
これからもよしなにお願いします。