【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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281話

「……戻ってくださいサニゴーン」

 

 ボクがブラッキーをボールに戻している間に、オニオンさんもサニゴーンをボールに戻していく。

 

 これで2対2。

 

 ボクとオニオンさんのバトルも、終盤戦を迎えることとなる。

 

「……お願いします。……ポットデス!!」

「いくよ、モスノウ!!」

 

 両者仕切り直しとなって繰り出したポケモンはポットデスとモスノウ。どちらも特殊攻撃を得意としているポケモンで、なおかつ、どちらも自身の能力を育てることを得意とするポケモンだ。

 

 となれば、お互いの最初の一手は決まっている。

 

「モスノウ!!『ちょうのまい』!!」

「……ポットデス……『からをやぶる』」

 

 場に出た瞬間に行われる、各々が自分を一番強化できる技の見せあい。

 

 モスノウはこおりのりんぷんをまき散らしながら空を舞い、ポットデスは自身がこもっているティーポットの鎧の一部を脱ぐことで能力を上昇させる。

 

 モスノウが上げるのはとくぼう、とくこう、すばやさの3つ。そしてポットデスが上げたのは、こうげき、とくこう、すばやさの3つだ。ただし、あげ方に少し違いがあり、モスノウは3つの能力を1段階上げたのに対して、ポットデスは3つの能力を2段階あげている。その分、ぼうぎょととくぼうを1段階下げるという犠牲を払ってはいるものの、強化具合だけで言えばポットデスの方が上だ。

 

 しかし、こちらにはこおりのりんぷんと言う対特殊技に対して大きな防御を持っている。これを考慮するのであれば、ポットデスの攻撃を受けるのはまだ可能だろう。むしろ、相手はとくぼうを下げているので、その分与えられるダメージ自体はこちらの方が上だ。

 

 火力で押し切るのが上か。はたまた、耐久しきるのが上か。

 

「『ふぶき』!!」

「……『シャドーボール』!!」

 

 お互い積み技を使ったところで早速攻撃開始。モスノウは翅を強く羽ばたかせ、氷の暴風をまき散らし、ポットデスは1つの大きな黒球を発射する。

 

 2つの攻撃はそれぞれの変化技によって強化され、大きな圧力をもってぶつかり合う。その結果、大きな爆風が巻き起こり、空中に身体を置く両者はその風にあおられてしまうことになったため、必死に今いる位置をキープしようと頑張っていた。

 

(能力上昇量自体はポットデスが上だし、多分能力値的にもポットデスが上だ。けど、技の威力はこっちが上だし、『ふぶき』に自分のりんぷんを混ぜることで、『シャドーボール』の威力を無理やり抑えることに成功している……けど、そこまでしてようやく互角なのか……)

 

 結果としてはお互いの力が拮抗した相殺という形になっているけど、技の工夫具合で言えばこちらの方が多く行っている。それは裏を返せば、相殺するのに必死にならないといけないのはこちらだという事だ。

 

 モスノウがりんぷんを混ぜて発射したという行為については、ボクは指示をしておらず、モスノウが勝手に行ったアレンジだ。迫りくるシャドーボールを見て、とっさにそうしないと相殺できないと判断したからこそのモスノウのアレンジ。そのおかげで今回は相殺できているけど、これはポットデス側がちょっとでも打ち方を変えてしまえば簡単に瓦解してしまう。

 

 例えば、今のふぶきに打ち勝とうとするのなら、シャドーボールを圧縮して1点突破型にしてしまえば、ふぶきの奥にいるモスノウに向かって大きな一撃を与えられるはずだ。その際、自身に向かってふぶきの一部が流れてくる可能性もあるかもしれないけど、そこはからをやぶるによってあげたすばやさに物を言わせて逃げればいい。

 

 ポットデスを持っていないボクでも、このくらいは思いつくのだから、きっとオニオンさんの中には他にも何通りもの突破方法が思いついていることだろう。

 

(ポットデス自体はユウリも持っているから、『からをやぶる』からの戦法はまだわかるけど……当たり前だけどユウリよりも練度が高いから、きっと当てにしない方がいいよね……)

 

 オニオンさん相手に先入観は厳禁。ここまで戦ってきたことでそれは痛いほどわかっているので、一旦ユウリのポットデスのことは頭から捨て去っておく。逆に、今までオニオンさんがしてきたことは頭に入れて、そちらの警戒度は常に保っていくように、脳の中のリソースを分けていく。

 

(この『ふぶき』と『シャドーボール』の打ち合いは、あくまでもモスノウとポットデスの能力差を確認するためだ。その気になれば、『シャドーボール』は虚空に打ち込むだけで十分だからね。となるとこちらのしたい事はもう一度『ちょうのまい』を行ってすばやさを育てることなんだけど……そんな悠長なことはさすがに許してくれなさそうだから……)

 

「モスノウ!!『ふぶき』!!」

「フィッ!!」

 

 ボクの指示とともに翅を羽ばたかせ、暴風雪を放つモスノウ。先ほど以上に範囲を広げ、そしてモスノウの特性であるこおりのりんぷんを混ぜて放たれたこの一撃は、まさに災害と言っても差し支えない規模でポットデスへと迫っていく。

 

「……下がりながら『シャドーボール』」

「ッポ!!」

 

 しかし、からをやぶるで大きくすばやさの上がっているポットデスは、これを大きく下がりながら上にあがることで余裕を持って回避し、今度はシャドーボールを3つ発射。それもただ単純に放つのではなく、1つは真正面へ放ち、2つは虚空へ放つことで軌道を消し、モスノウを色んな角度から攻めてくる。

 

「避けて!!」

「フィィ!!」

 

 虚空より現れる2つののシャドーボールが、モスノウの真上と真下から飛んでくるのが見えたところで、モスノウは身体から薄くりんぷんを散らせながら前進。先程自身が放ったふぶきの風に乗るように動くことによって、ちょうのまいで上がったすばやさを一時的にさらに伸ばし、初速をアップ。これによって死角からのシャドーボールを難なく回避する。

 

 不発に終わったシャドーボールは、そのままモスノウの真後ろでお互いがぶつかり合って小さな爆発を発生させた。そして、この風を利用することによってモスノウはさらに加速し、でんこうせっかでもしているのでは無いかという程の速度でポットデスへ向かって飛んでいく。

 

 もちろん途中に出会う最後のシャドーボールはしっかり回避。右ローリングしながら身体を右にずらす事で、シャドーボールを綺麗にいなしながら、ぐんぐんとポットデスとの距離を詰めていく。

 

「『ぼうふう』を纏って!!」

「フィッ!!」

 

 そこにさらに風の鎧を纏うことで、接近戦でも戦えるようにモスノウを強化。万全を期した状態で、ポットデスへ向かって流れ星のように突撃を敢行する。

 

「……ポットデス……両手に『シャドーボール』を構えて……こっちも突撃!!」

「ポッティッ!!」

 

 対するオニオンさんも、この状態ではからをやぶるをしているとしても逃げられないと判断し、真正面から戦うことを選択。両手に小さな黒球を携えたポットデスは、好戦的な笑顔を浮かべながら突進を始めた。

 

 すばやさをこれでもかとあげた両者による真正面からのぶつかり合い。それが起きるのに、時間は1秒も必要ない。

 

 お互いの攻撃準備が終わり、1回瞬きを終えた瞬間にはもう両者のぶつかり合いが始まっており、周囲に爆風を撒き散らす。その勢いは、離れているボクたちトレーナーにもしっかり届き、思わず腕で顔を覆ってしまう。しかし、その腕による一瞬の視界封鎖さえ致命的になるとわかっているボクとオニオンさんは、すぐさま腕を振り払って前を見る。すると、ちょうど2人のぶつかり合いが引き分けで終わったところらしく、ポットデスとモスノウの中間で爆風が巻き起こり、両者が同時に後ろに弾かれていく瞬間が目に入った。

 

「……『シャドーボール』!!」

 

 同時に後ろに弾かれていく両者。引き分けの結果によって引き起こったこの現象だけど、どうやら細かいところで差がついていたみたいで、後ろに吹き飛ばされている状態から1歩早く立ち直ったのはポットデスの方だった。

 

 先に自由に動ける権利を得たポットデスは、すぐさまシャドーボールを発射。その数は全部で6発で、その全てを虚空に送り込んで軌道を消す。

 

「フィ……」

「モスノウ!!構えて!!」

「ッ!?」

 

 ポットデスが技を準備している間に、モスノウも何とか態勢を整え、一息つく。しかし、次の攻撃が来るのを分かっているボクは、直ぐに気を引きしめるように声をかけ、声を聞いたモスノウも慌てて警戒態勢へ。そうやってモスノウが態勢を整えたところで、モスノウの周りの空間から黒い球が6つ出現。そのすべてが、モスノウを円形に囲み、中心にいるモスノウに向かって真っすぐ突っ込んでくる。

 

「フィ……」

「モスノウ落ち着いて!!指向性を持たせて『シャドーボール』の右半分に『むしのさざめき』!!」

「……フィッ!!」

 

 急に現れた全方位攻撃に一瞬怯んでしまったモスノウに声をかけ、すぐに安心させて複雑な指示を出す。

 

 立ち直ってすぐの指示だったので、もしかしたらうまく指示が伝わらない可能性もあったけど、モスノウはボクの指示をしっかりと汲み取って、翅を細かく振動させる。これによって緑色の波動が生まれ、その波動をさらに複雑に翅を動かすことで6つの振動の塊を作成。器用に作りあげたこの波動を、今自分に迫ってきているシャドーボールすべての右半分に当たるように調整して発射する。

 

 ゴーストタイプであるシャドーボールに対して、むしタイプであるむしのさざめきではタイプ相性も威力も勝てないので相殺することはできない。しかし、シャドーボールの端っこに技を当てることで軌道を反らすことはできる。それを狙って右端に放たれたむしのさざめきは、その仕事をしっかりとはたし、シャドーボールの軌道をほんの少しだけ左にずらしていく。

 

 結果、周りからモスノウに向かって飛んでくるシャドーボールは、そのすべてが、モスノウから見て左側を掠るようにして通り抜けていく。

 

「モスノウ、『ぼうふう』解放!!」

「フィッ!!」

「……とられた!?」

 

 更に、シャドーボールがモスノウの横を通り抜ける瞬間に、身体に纏っているぼうふうを解放。モスノウを中心に小さな竜巻を巻き起こすことによってシャドーボールを巻き取り、自身の周りに黒い球6つ全てを周回させる。

 

「もう1回『ぼうふう』!!」

「……『シャドーボール』!!」

「フィッ!!」

「ポッティ!!」

 

 ポットデスの攻撃を奪ったモスノウは、今度は前にぼうふうを発射。風に乗ったシャドーボールは、モスノウの周りからポットデスに向かって反旗を翻すように突っ込んでいく。これを受けるわけにはいかないポットデスは、モスノウが奪った6つのシャドーボールを相殺する分プラス、モスノウに攻撃するためを合わせた計7発ものシャドーボールを発射。ポットデスの技を奪って放ったシャドーボールは、当然ポットデスの能力を利用した攻撃なので、ポットデスが打ってきたシャドーボールと綺麗に相殺する。

 

 黒い球同士がぶつかり合って爆発し、黒い爆煙が巻き起こる中、ぼうふうを再度纏ったモスノウと、そのモスノウを狙って発射されたシャドーボールが遅れて煙の中に突っ込んだ。

 

「解放!!」

「フィッ!!」

 

 同時に、モスノウが纏っていたぼうふうを再び解放。爆煙をまとめて吹き飛ばしながら、再びシャドーボールを巻き取ろうと起こした竜巻は、先ほどモスノウが自身の周りに作り出していた物よりも規模が大きい。

 

「そのまま規模を広げて━━」

「……さっき見た攻撃は効かない……『シャドーボール』!!」

「ッ!?モスノウ!!右にそれて!!」

 

 竜巻の規模を広げ、シャドーボールを巻き込んだままポットデスすらも巻き込もうとしたところで、今度はオニオンさんが行動。シャドーボールを転送することで、竜巻の目となる中心部分に、真上からアプローチしてきた。

 

 いきなり死角から飛んできたものに何とか反応したボクは、すぐさまモスノウに回避を指示。モスノウも慌てて身体をローリングさせ、右に身体をずらすことで真上からの攻撃は避けたものの、行動を変えてしまったために竜巻は消失。せっかく巻き取ったシャドーボールは明後日の方向に飛んでいくこととなる。

 

「……ここ!!……『サイコショック』!!」

「っ!?モスノウ!!『むしのさざめき』!!」

 

 ぼうふうもシャドーボールも消えたこの隙を逃さないオニオンさんは、ここでサイコショックを放ってくる。

 

 サイコショックは、特殊技の攻撃でありながら、不思議な念波を実体化して攻撃する兼ね合いもあってか、物理防御で受ける必要があるというちょっと特殊な技だ。

 

 物理防御に攻撃するとは言っても、特殊攻撃であるのに変わりはないから、こおりのりんぷんで抑えることも可能ではあるけど、それでもモスノウの物理防御はかなり心もとない。半減したとしても大ダメージはまのがれないだろう。だからこそ、タイプで勝てるむしのさざめきで慌てて防御行動をとったんだけど、反応が少し遅れてしまったため、完全に抑えきることが出来ず、モスノウは後ろに吹き飛ぶ。

 

「……追撃……『シャドーボール』!!」

「ポッティ!!」

 

 ようやく入ったまとまったダメージ。ここを逃さないように追撃を仕掛けるポットデスは、シャドーボールを乱射。それも全部虚空に放つことによって、この間に何とか態勢を整えたモスノウの全方向から連続で攻撃してきた。

 

「『ぼうふう』を纏いながら避けて!!」

「フィ……ッ!!」

 

 態勢を整えた瞬間に、右から飛んできたシャドーボールを、風を右回りで纏って少し前に行くことで、自身の後ろ側へと流して回避。次いで真上と真下から飛んできたものを更に前に出て回避し、右前から飛んでくるものを高度を下げ、次の左上から飛んできたものを右に動いて回避。ここまで全部紙一重のギリギリで何とか直撃を避けていた。

 

「……『サイコショック』!!」

「フィッ!!」

 

 そんなギリギリ状況でさらに追い打ちをかけて来るオニオンさん。これによって、可視化された念波までもが黒い流星群に混じって飛んできた。

 

 これ以上受けてしまえばさすがにモスノウはやられてしまう。だからこそ、こちらも全力で防御行動をとる。

 

「『ぼうふう』と『ふぶき』!!ありったけ!!」

「フィィッ!!」

 

 もはや攻撃が激化しすぎて、自身の周りに数えきれないくらいの黒球と可視化された念波が渦巻く中。真っ白な嵐が一気に爆発。モスノウを中心に巻き起こった嵐は、全ての攻撃を巻き上げ、天高くに打ち上げた。

 

「ティッ!?」

「……くっ……まだこんな力を……っ」

「上昇!!」

「フィッ!!」

 

 周りの温度を一気に下げる極寒の嵐は、ポットデスの猛攻を一気に停止させ、ここまで押されていたモスノウの反撃のチャンスがやってきた。

 

 ここを逃さないように、今モスノウが出せる最高火力を叩き込むために、モスノウは打ち上げた嵐に乗って天高くまで一気に急上昇。さっき打ち上げたポットデスの攻撃全てを抜き去り、一番高い所まで上り詰めて、下に残っているポットデスに狙いを定める。

 

「叩きつけろ!!『ぼうふう』と『ふぶき』!!」

「フィッ!!」

 

 遥か空にて地面を見下ろすモスノウは、そこから地面に向けて全力で翅を動かし、最大出力でふぶきとぼうふうを発射。上空より落とされる強烈な風は、先程打ち上げられたシャドーボールとサイコショックをも巻き込み、宙にあったもの全てが地面へと降り注ぐ。

 

「……無茶苦茶な!!……ごめんポットデス!!……逃げて!!」

「ティ……ッ!?」

 

 雪が、嵐が、黒球が、念波が、ポットデスの待つ地上へと次々に降り注ぎ、その度にバトルコートの至る所で爆発音が響き渡る。傍から見れば1種の絨毯爆撃にしか見えないその攻撃は、いくらオニオンさんと言えどもすぐに対策を思いつくことはなく、彼にしては珍しい抽象的且つポケモンの気合いに任せる指示になってしまっている。それでもその指示に答えようとするポットデスは、からをやぶるにて上がったすばやさを活かして何とか逃げ延びようと走り出し、しかし近くに落ちてきた黒球の爆発に巻き込まれて態勢を崩してしまう。そこへ他の攻撃たちも殺到することで、小さな身体をもつポットデスは、攻撃が地面に落ちる度にどんどん拡がっていく爆煙に飲み込まれてその姿を確認できなくなってしまった。

 

 4つの技による破壊の雨は、ポットデスの状況が分からなくなっても続き、暫くは技が地面に当たる度に起きる爆発音のみが鼓膜を刺激していく。そんな状況が10秒ほど続いたところで、モスノウの体力切れと、空中に打ち上げられたシャドーボール及び、サイコショックの残弾が無くなったため、攻撃がストップ。あれだけうるさかったフィールドが一転して、一瞬で物音のしない静かな空間に変わっていく。

 

「「……」」

 

 攻撃が止み、徐々に煙が晴れていく中、ボクとオニオンさんはポットデスがどうなったのかを確かめるべく煙の中を凝視。さすがにあれだけの攻撃に晒されれば、からをやぶるで守備が弱くなっていることも含めて、倒れてくれていると思いたいけど、オニオンさんが相手だと、そんな希望的観測を持つことは憚れてしまう。

 

 そして、そんなボクの予想は、ピッタリ当てはまってしまった。

 

「……ポットデス!!……『からをやぶる』!!」

「……ティィィィッ!!」

「っ!?」

 

 まだ煙は晴れておらず、中の様子なんて全く分からないはずなのに、霊感の強いオニオンさんは先にポットデスの無事を心で感じとったのか、大声でからをやぶるを指示。同時に、今日1番の叫び声を上げたポットデスが、周囲の煙と一緒に、自身の鎧のティーポットの一部を破って吹き飛ばしていく。

 

 あれだけもうもうと漂っていた煙は、その衝撃により一瞬で吹き飛び、中には2回目のからをやぶるを終えたポットデスが出現。その姿は既に満身創痍で、身体中に刻まれた傷はポットデスが深手を負っていることをしっかりと物語っていた。

 

 下手をすれば、つつくだけでも倒れてしまいかねない程傷ついたポットデス。しかし、最後の粘りでしっかりと立っているそのポケモンの目は、一切死んでいなかった。

 

「モスノウ!!『ぼうふ━━』!!」

「……ポットデス……『シャドーボール』!!」

 

 立っているのならトドメを刺さなくてはいけない。そう思いすぐさま攻撃を指示するけど、からをやぶるを2回したポットデスの速度が明らかに速く、降りてきたモスノウが攻撃を構えた時には既にモスノウの真後ろにポットデスがおり、シャドーボールの発射準備が終わっているところだった。

 

「フィッ!?」

 

 とくこう4段階上昇。数字にしてみれば、凡そ3倍もの火力が、モスノウに襲いかかる。

 

 いくらこおりのりんぷんと、ちょうのまいによって特殊攻撃に耐久があると言っても、ここまで火力が上がった攻撃は受け切ることは不可能だ。

 

 結果、背中に巨大且つ強力な一撃を貰ってしまったモスノウは、纏っている風を失いながら、徐々に高度を下げ、地面へと身体を落としていく。

 

「……モスノウ、ごめん」

「フィ……」

 

 あのふぶきとぼうふうの雨で倒せなかったことに対して反応が遅れたボクのせいで負けてしまったことに、申し訳なさが溢れて口からこぼれた言葉。その言葉を聞いたモスノウは、ボクの方を見ながら小さく声を上げる。そして……

 

「フィ……イイイィィィッ!!」

「「ッ!?」」

 

 地面に突っ伏す間際、大声をあげたモスノウは、自身の身体に残っていたなけなしの暴ぼうふうを解放。今までのぼうふうの規模と比べると、そよ風とは行かないまでも、大した威力も出ていない弱い風だ。

 

「ボッティ!?」

 

 しかし、体力を極限まで減らされ、更にからをやぶるを2回してていたポットデスに対しては、この程度の威力で十分だった。

 

 唯一、この風を避けられることだけがネックだったものの、そこもここまで蓄積したダメージと、モスノウがのぼうふうが完全に予想外な行動だったために回避が出来ずに、ポットデスの身体に届く。

 

 最後のぼうふうに巻き込まれ、そのせいでシャドーボールの爆風にまで巻き込まれたポットデスは、そのまま大きく飛ばされで地面に落ちる。

 

「フィ……ィ……」

 

 そんなポットデスの姿を見届けたモスノウもまた、満足そうな声を上げながら、今度こそ身体を地面に落とす。

 

 

「ポットデス、モスノウ、戦闘不能!!」

 

 

 みちづれ、ほろび、そして相打ち。

 

 状況は違えど、またしてもダブルノックアウトという形で決着がつき、とうとう最後の1人同士のバトルとなる。

 

(……ありがとう、モスノウ)

 

 いよいよラストバトル。

 

 その前に、最後の意地でポットデスを倒してくれたモスノウにお礼を言いながら、ボクはモスノウをホールへ戻していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




サイコショック

特殊技なのにダメージ計算は相手の物理防御と行うという技なのですが、どうやら特殊技という分類は変わらないため、こおりのりんぷんには止まりますし、アイスフェイスやくだけるよろいはちゃんと発動しないらしいですよ。ややこしいですね。




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