「ぐっ……インテレオン!!」
キバナさんとのバトルが開始してすぐ、いきなりキョダイマックスを切ってきたジュラルドンによるキョダイゲンスイ。
相手を攻撃しながら、龍の威圧によってスタミナを奪い取ってくるこの一撃は、スタミナどころか体力そのものを奪い去る程の火力を備えたものだ。それが、耐久力に自信が無いインテレオンに当たった現在では、この一撃で倒れていても不思議では無い。
(インテレオン……お願い……!!)
巻き起こる爆発と爆煙に巻き込まれたインテレオンの姿は、ボクの位置からでは確認することが出来ない。だから今は、まだ無事であることを祈ることしか出来ない。
果たして、その結果は……
「レオ……ッ!!」
「インテレオン!!」
煙が晴れ、ようやく確認できるようになったバトルコート。その中心には、げきりゅうが発動してしまうまで体力を削られながらも、それでも身体を青く光らせながら、両足でしっかりと立つインテレオンの姿があった。
「はっ、流石だな!!ジュラルドンのこれを耐えやがるか!!」
その姿を見て、さらに笑顔を強くするキバナさん。想像以上の耐久を見せるインテレオンに、ますますテンションが上がっているみたいだ。
しかし、こちらの頭の中はそれどころでは無い。
(天候操作をするでも、始動ポケモンを出すでもなく、いきなり切り札でダイマックス……そんな思い切りすぎてる択なんて読めなさすぎる……!!)
キバナさんが行った大胆な作戦によって、ボクの頭の中は一瞬でパニックに陥りかける。しかし、ここで取り乱してしまうとその時点で負けてしまう可能性がぐっと跳ね上がってしまうので、深呼吸をして無理やり落ち着ける。
(落ち着け。起きたことは仕方ないし、きっとキバナさんも読まれるはずがないと想定してこの手札を切っているはずだ。ならこれに関しては諦める。問題は、ここでボクもダイマックスを切るかどうかだ)
体力を大きく削られる前ならインテレオンに切っても良かった。けど、体力を大きく削られてしまった今となっては話が変わってくる。
(今インテレオンをキョダイマックスさせても、ダイマックスの時間を最大限生かせる気がしない……)
ダイマックス技は1度のダイマックスで3回まで発動できる。しかし、3回打ち切る前に倒されてしまえば、当然ダイマックス技を行うにダイマックスは終了してしまい、そのバトルの間は、もうダイマックスをすることが不可能になってしまう。さっきボクが頭の中で考えたのはこのことで、今のインテレオンでダイマックスを行えば、こうなってしまう可能性が凄く高い。
選ぶ道は2つ。
1つはこちらも対抗でダイマックスを切ること。こうすれば、少なくともジュラルドンを止めることはできるだろう。もっとも、切った上でできることはジュラルドンを止めることだけ。例え止めたとしても、その時にはもうインテレオンは戦闘不能になっている可能性が高く、またダイマックスをフルで生かせる保証が無い。
そしてもう1つが、いっそここは諦めて、別のタイミングでダイマックスを切ること。
相手のダイマックスにすきにさせる以上、こちらが受ける被害は甚大なものになるが、代わりに、こちらがダイマックスを切る時は、向こうはダイマックスが存在しない状態になっている。ここで受けた被害をそのままひっくり返すことが出来れば、逆転できる可能性もある。
もっとも、この作戦を取るということは、相手のジュラルドンに好き放題させるということになる。となれば、インテレオンは当然として、もう1人のポケモンを失うことになるだろう。その場合、こちらはダイマックスを切ったポケモンで3人は倒さないと逆転できない。
あのキバナさん相手に、一撃必殺を3回。正直、できる自信はあまりない。
安牌は前者。勝負を掛けるなら後者。しかし、どちらも後手に回ることは確定している盤面。
(さぁ……どうしよっか……)
悩む。
今までだってこういう二択は沢山あったし、その度に悩んできたけど、今回はことさら悩みが強い。
だって、ここで勝てば、ダンデさんへの挑戦権が得られるのだから。
絶対に負けられない決勝という大舞台。緊張で縮こまりそうな身体に喝を入れて、前をしっかり見据える。そのうえで、ボクは答えを見つけ出した。
(……そうだよね。これしかない!!)
「レオ……」
「……うん、わかってる」
後ろを振り向くインテレオン。どうやら彼も、ボクと同じ答えにたどり着いたらしい。
「ありがとう。そしてごめん。なんか、君はこういう立ち回りが多い気がするよ」
「レオッ!!」
メロンさんとのバトルでもそんな役回りを受けていたインテレオン。ボクがもっと色々思考できる人間ならばこうはならなかったのだろうけど、今回ばかりはどうしようもない。申し訳ない気持ちがどんどん膨れ上がってしまうけど、ここまで来たら貫くしかない。
「ジュラルドン!!『ダイサンダー』!!」
「インテレオン!!『れいとうビーム』!!」
「ジュラアアアァァァァッ!!!」
「レオッ!!」
猛るジュラルドンと、それに負けじと吠えるインテレオン。
ジュラルドンが叫ぶと同時に、フィールドに降り注ぐ無数の雷は、地面を掛けるインテレオンに次々と襲いかかる。
どれかひとつにでも当たってしまえば、それがそのままインテレオンへのトドメとなる一撃は、しかしダイマックスを切らなかったことによって、素早さを維持したままのインテレオンが、細かいステップをふむことで何とか避けていく。
1つ目の雷を左に飛び、2つ目を前に、そして回避先を読む形で落ちてきた3つ目を、急ブレーキをかけることで避け、同時に右人差し指をまっすぐジュラルドンに向けて、その指先から真っ白の光線をジュラルドンに向けて解き放つ。
はがねタイプがあるため、こうかばつぐんとまでは行かないものの、それでもこおりタイプの技は少なくないダメージが見込めるはずだ。ましてや、特殊防御があまり高くないジュラルドンにならまだ期待できる。
ダイマックスを切らないからと言って、インテレオンを簡単に差し出すわけにはいかない。せめて一矢報いる勢いで放たれたインテレオンの渾身の一撃。
しかし、この一撃は、空から降り注ぐ4つ目の雷に砕かれて、そのまま雷がインテレオンを直撃していく。
「レオ……ッ!?」
「インテレオン!!」
こうかはばつぐん。
キョダイゲンスイでスタミナを奪われたこともあって、耐えることの出来ないインテレオンは、身体をバチバチと痺れさせながら、ゆっくりと地面に横たわった。
「インテレオン、戦闘不能!!」
「ありがとう。ごめんねインテレオン……」
キョダイマックスジュラルドンによる開幕からの猛攻によってあっという間に倒されてしまったインテレオンに、感謝と謝罪の言葉を入れながらボールに戻して、懐にしまいながら戦況について考える。
初手ダイマックス。この戦法自体は初めての経験では無い。なぜなら、セイボリーさんがボクに対してこの戦法を取ってきたからだ。しかし、今回はあの時とは明確に違う点が存在する。
その違いは、ダイマックスを切った目的だ。
セイボリーさんがダイマックスを行った理由は、ブラッキーというどうやっても厳しい相手をとにかく犠牲を払わずに撃ち落とすためだ。自身の得意タイプが一切通じないポケモンに対して、無理やり突破するためという確かな目的があった。だから、初手と言っておきながらも、最初はヤドランで様子見をしていたし、ブラッキーが出てきたからギャロップに交代しながらダイマックスを行い、弱点であるフェアリータイプで攻撃してきた。
では、キバナさんはどうだろうか?
キバナさんがダイマックスを切ったのは最初も最初。なんなら初手のポケモンを出すと同時に切ってきた。しかも、セイボリーさんはギャロップという、本人の切り札では無いポケモンで行っていたのに対し、こちらはジュラルドンというキバナさんの1番の相棒だ。その様子から、たとえボクがどのポケモンを選んでいようが、お構い無しに最初から叩き込むことを考えているようにしか見えなかった。
文字通りの全力投球。
ペース配分なんて考えず、宣言通りこちらをスタジアムの外まで吹き飛ばす勢いで行われた特攻作戦は、見事にボクにぶっ刺さった。
(ここまで来たら次に出すポケモンにも、ボクはダイマックスを切りたくない。けど、普通に出したらそのままやられかねない……ならせめて、少しでも耐えられる可能性のあるポケモン……!!)
ここから反撃するために、ボクは相手のダイマックスが終わってからダイマックスを行いたい。なので、ここは意地でも耐える必要がある。そんな願いを叶えてくれそうな子は、ボクの手持ちだと1人だけだ。
「頼むよ、ブラッキー!!」
「ブラッ!!」
ボクが繰り出した次鋒はブラッキー。言わずと知れた耐久ポケモンで、その硬さはボクの手持ちの中でも随一で、ボクのパーティの防御の要を担うポケモンだ。これまでも数多くのバトルを乗り越えてくれたこの子であれば、相手がダイマックスしたポケモンであろうと耐えることができる。そう信じての選抜。
「『でんこうせっか』!!」
「ブラッ!!」
勿論ただ何もせずに受けるという訳ではなく、可能であるのなら少しでも被害を抑えたいため、ブラッキーは場に出ると同時に走り出し、的を散らせるためにジュラルドンの足元付近を高速で駆け回る。
ダイマックスをしている以上、足元の視認性は悪く、同時に死角になりがちな位置になりやすい。そう思っての一手だ。そのかいもあってか、足元付近で走り回るブラッキーの姿を見て、ジュラルドンは困惑したような表情を浮かべながら視線をさまよわせていた。
「『イカサマ』!!」
「ブラ……ッ!!」
ここまで完全に翻弄できているのであれば、こちらからも少しは手を出してもいいだろう。そう判断し、ブラッキーはイカサマを発動。地面にどしんと着いているジュラルドンの2本足のうち、右足の踵部分に向かって思いっきり前足をぶつけ、ダメージを与える。相手がダイマックスをしている以上、この攻撃によるダメージは微々たるものだろう。けど、これをコツコツと繰り返していけば、そのうち大きな山となってジュラルドンを襲っていくはずだ。
(持久戦はこっちのもの……!!)
こういうジリジリした戦いを何度も乗り越えてきたからこそ、ボクはブラッキーに絶対の信頼を置くことが出来る。その信頼にブラッキー自身も答えようと、全力で駆け回りながらイカサマを何度も発動。真っ黒に染め上げられた前足は、ジュラルドンの両足を交互に襲い、ちょっとずつジュラルドンへとダメージを積み重ねていく。
この連続攻撃にはジュラルドンもどうすればいいのかわかっていないみたいで、しかし見失うことだけはしたくないのか、必死に視線を動かしてはどうにかしようともがいていた。
「……よし」
ダイマックスをきらずにダイマックスポケモンを翻弄できている。その事にちょっとした手応えを感じたボクは、ぐっと拳を握りしめながら、しかし油断はせずにじっと前を見つめ、ひたすら集中力を練っていく。
なぜなら、こんな状況でもキバナさんの顔から、笑顔が消えていないから。
「ははっ!!ダイマックス無しでダイマックスに挑んで、しっかり効果出してるのはすげぇな!!ネズもそうだったが本当によくやるぜ!!」
「実際、ネズさんの動きは結構参考になりました!!」
ネズさんは何かこだわりがあるのかダイマックスを行うことがない。これはスパイクタウンがダイマックスできるパワースポットでは無いこととは別にネズさんが抱えている信念だ。だから、キバナさんは準決勝ではダイマックスを使わないネズさんを相手にしている。その試合を見たからこそ、今回ブラッキーでも何とか立ち回れている。ネズさんの動きに比べたら甘いなんてものじゃ無いけど、それでもかなりいい動きをしている筈だ。
「ああ、実際にあいつはマジで強かったぜ。あいつがダイマックスを使っていたら本気で負けたかもしれねぇ……だが、今この場にいるのはオレ様だ!!そんでもって、これからダンデに挑む以上、その時突かれた弱点を野放しになんざしねぇ!!ジュラルドン!!」
そんなボクの立ち回りを見て、準決勝のことを思い出したキバナさんは、嬉しそうに声を上げながらジュラルドンに視線を送る。
「地面に向かって『キョダイゲンスイ』!!」
「ジュラアアアァァァッ!!」
「「っ!?」」
走り回るブラッキーに対してジュラルドンが行ったことは至極簡単。自身の足元に向かって、自身にダメージが返ってくることも厭わない全力攻撃。キョダイマックスジュラルドンの口元から放たれた、濃く、そして深い藍色のエネルギー弾は、ジュラルドンの足元に突き刺さると同時に大爆発。スタジアムが一瞬のうちに爆煙に呑まれ、同時に物凄い衝撃がボクの身体を叩いてきた。
その威力は、最初にインテレオンが受けたキョダイゲンスイよりも明らかに高い。
「う……ぐ……むちゃくちゃ……!!」
「ブラゥッ!!」
「ブラ……キー……ッ!!」
衝撃と土煙のせいで前は見えず、そして下手に口を開けられない状況になってしまったけど、それでもブラッキーの鳴き声と、こちらに飛ばされているのであろうブラッキーが地面を転がっているような音が耳に入ってきた瞬間、そんなことお構い無しと無意識のうちに口が動いていた。しかし、衝撃が強すぎるせいでボクの声が届いていないのか、ブラッキーからの返事は無い。そのことに嫌な予感を感じながら、でも煙が晴れるまで何も出来ないボクは、数十秒後の煙が晴れた時まで、冷や汗を流しながら待っていた。
「ジュラッ!!」
煙が晴れてまず目に入ってきたのが、ダイマックスが終わり、元気な姿で声を上げるいつものジュラルドンの姿。
自分を巻き込む攻撃をしているため、身体の所々に傷は見えるものの、彼が上げている声から、まだまだ元気があることがよくわかる。これを見るに、イカサマのダメージを合わせたとしても、体力を半分も削ることは出来ていないのだろう。その事実に少し思うところはあるものの、今はそれ以上に気になるものがあるのでジュラルドンの確認は程々に、今度は煙が完全に晴れ、ようやく確認できたブラッキーの方へと視線を向ける。
「ブ……ラ……ッ!!」
「ブラッキー!!」
するとそこには、ジュラルドンに比べてボロボロで、今にも倒れそうな姿を見せながら、しかしそれでも耐えきり、4本の足でしっかりと大地に立っているブラッキーの姿があった。
「ありがとう……よく耐えた!!」
「まじか!?あれを耐えるのかよ!?」
いくら耐久力があるからと言って、さすがにここまで耐えられると思っていなかったキバナさんが驚いた表情を浮かべながら声を上げる。かく言うボクも、正直ダメなのでは?と思っていたので、耐えてくれたことが本当に嬉しくて、ついつい声を上げてしまう。
けど、ブラッキーが耐えられたというのはそれだけ大きな意味を持つ。なぜなら、ブラッキーは回復技を行うことができるからだ。
「『つきのひかり』!!」
「ブラッ!!」
よろよろの身体で、それでも耐えきったブラッキーが声を上げると、空に小さな月が現れ、そこから光がブラッキーへと降り注ぎ、ブラッキーの傷が癒えていく。とはいっても、さすがに受けた傷は深いため、全回復とまでは行かない。しかし、それでもかなりの量回復することは出来たはずだ。少なくとも、あと1発くらいならジュラルドンの攻撃を耐えられる可能性は出てきた。
(相手のダイマックスは切れた。ブラッキーも少し立て直せた……思ったよりも軽傷で済んでる!!)
「ブラッキー!!『でんこうせっか』からの『イカサマ』!!」
「ブラッ!!」
想像よりも被害を抑えることのできたボクたちは、その勢いが残っているうちに反撃をするためにすぐさま攻撃を指示。回復したおかげでまだ動けるようになったブラッキーは、すかさず地面を蹴ってジュラルドンに接近。両前足に再び黒いオーラをまとって、ジュラルドンへの攻撃準備を整えた。
(ジュラルドンはキバナさんの切り札だ。だから、この攻撃だけで落ちるとは思えない。けど、ここで沢山体力を奪っておくのは後半戦に大きく響いてくるはずだ)
ボクの予想ではこのジュラルドンはどこかのタイミングで下がると思っている。なぜなら、さっきも言った通りジュラルドンはキバナさんの切り札だからだ。
さすがのキバナさんでも、このまま切り札でボクのポケモン全員に勝てるとは思っていないだろうし、ボク自身、自惚れている訳では無いけど、そこまでキバナさんと実力が開いているとも思えない。となれば、キバナさん視点はまだダイマックスを残しているボクに対して、抗うための何かを準備しておく必要が出てくる。
その時に1番頼りにしたいのはやっぱり切り札だろう。
いざと言う時に頼れる相棒を残していきたいという心理は、キバナさんにだってあるはずだ。だから、ダイマックスが終わった今、ジュラルドンをどこかのタイミングで戻そうとしてくるはず。なので、その前に、できる限り多く体力を削っておきたい。
ボクの意図をしっかりとくみ取ってくれているブラッキーも、自身に求められている役割を遂行するために、ひたすらにジュラルドンに向けてダッシュをする。
身体を薄く光らせながら走り回るブラッキーの姿は、足が特別速い方では無いジュラルドンでは、せいぜい視線で追いかけるのは関の山。ここから行われるブラッキーからの連続攻撃に対し、完全に捌き切るのは不可能だ。
「いって!!」
「ブラッ!!」
そのことをしっかりと理解出来たところで、いよいよブラッキーの攻撃が開始。走り回ってジュラルドンの視線を翻弄したところで、ジュラルドンの懐を目標にダッシュ。黒い足を叩きつけようと振りかぶる。
「いい判断だ。耐久の高く、且つ回復もできるブラッキーでダイマックスをやり過ごし、オレ様がジュラルドンを残すことを見越して、倒すのではなく削ることに重きを置いた、小さな攻撃による連撃で攻撃してくる。初手ダイマックスなんざ行動に不意をつかれた人間が咄嗟に思いつく戦略としては100点満点だ。……けどなぁ?」
「っ!?」
ゾクリ。
キバナさんがボクの行動を丁寧に説明してくれている間に、ブラッキーの攻撃がジュラルドンに突き刺さる。攻撃を受けたジュラルドンも、少し表情を歪めたため、ダメージ自体はそこそこに入ってくれているのだろう。ボクの作戦が上手くいっている証拠だ。
しかし、どうにも背中を走る悪寒が止まらない。
(何が……いや、だからといってビビって行動を辞める訳には行かない!!)
「ブラッキー!!攻撃を続けて!!」
「ッ!!ブラッ!!」
ブラッキーも嫌な予感を感じたのか、ジュラルドンを攻撃した瞬間少しだけ足を止めてしまったけど、ボクの声を聞いて今の状況を思い出し、すぐさまでんこうせっかを再開。さっきは懐から突き上げるように攻撃したので、次は死角から攻撃するためにジュラルドンの真後ろへと回り込んだ。
(いい判断。そこからなら、ジュラルドンからの反撃もないはず!!)
でんこうせっかですぐに回り込んだこともあって、ジュラルドンが振り向くのは間に合わない。これでもう1回攻撃が突き刺さる。
そんな予想をした時、キバナさんの口がゆっくりと開かれる。
「高火力の技ってのは、何もダイマックス状態じゃなきゃできないわけじゃないぜ。……ジュラルドン!!『りゅうせいぐん』!!」
「「っ!?」」
何かが風を斬る音。その音に引かれ、空中に視線を向けると、そこには紫色のオーラをまとい、地面に向かって突き進む隕石の雨が確認できた。
りゅうせいぐん。
ドラゴンタイプのポケモンのみが覚える、ドラゴンタイプの奥義。
使用後、反動で自身の特攻がガクッと下がってしまうというデメリットこそあるものの、それを考慮してもなお強力な暴力の雨。
破壊の象徴とも言われるそんな攻撃が、ブラッキーの真上から降り注ぐ。
「避けてっ!!」
ボクが指示するよりも速く足を動かしたブラッキーが必死に隕石の回避を試みる。でんこうせっかも発動して動き回るブラッキーは降り注ぐ隕石を紙一重で何とか躱していくが、避けて地面にぶつかった隕石に衝撃が凄まじく、例え隕石本体を避けたとしても、地面にぶつかった余波によってブラッキーの身体はぐらついてしまう。
そうやって生まれてしまった一瞬の隙は、ブラッキーを仕留めるには十分な時間で。
「ブラッ!?」
一瞬動きが止まったところに、隕石の雨が集中砲火。派手な爆発音が、ブラッキーの声をかき消していく。
「ブラッキー!!」
堪らず声をかけるけど、返ってくる言葉ない。
数秒経って、煙が晴れたところには、身体を横たえるブラッキーの姿があるだけだった。
「ブラッキー、戦闘不能!!」
煙が晴れ、隕石が止んだフィールドに、審判のコールが響き渡った。
りゅうせいぐん
ドラゴンタイプのポケモン以外で覚えられるポケモンは、ミュウ、アルセウス、シルヴァディ、ジラーチ(配布のみ)の4人だけですが、アルセウスとシルヴァディはドラゴンタイプに変えられますし、ミュウはすべての技マシンを覚えられるという設定があるから覚えられ、ジラーチは先述の通り配布固体しか覚えないので、説明的にはドラゴンタイプしか覚えられないという説明で大丈夫だと思います。……ジラーチのりゅうせいぐんは、ちょっと似合うなと思ってしまいました。