「戻って、エルレイド……ありがとう」
バクガメスの下敷きになって倒れてしまったエルレイドに向かって、リターンレーザーを当てながら労いの言葉をかける。
(やっぱり、そう甘くはないか……)
エルレイドがバクガメスの懐に入り、せいなるつるぎを急所に当てた時、正直勝ちを確信してしまっていた。実際、エルレイドを倒しているバクガメスの姿を見ればもう満身創痍だ。戦闘不能にこそなってはいないものの、正直ここからまだ戦える未来と言うのが見えない。何かしらの技ひとつでも掠った瞬間に、バクガメスは倒れることになってしまうだろう。そういう意味では、このバトルの結果は、実質引き分けと言っていいだろう。だけど、あの状況からの引き分けはどう見たって此方の負けだ。ボクの油断から産まれたわずかな隙をつかれた、完璧な敗北だ。
「お願い、マホイップ!!」
「マホッ!!」
実質的な敗北に少し悔しい思いを募らせながら、しかし引きずるといいことはないので気持ちを切り替えて5人目の仲間を繰り出す。
ボクの呼び出しに快く答えてくれたマホイップは、未だに照り付けるひでりにも負けないようにぐっと力を込めて気合を入れた。
「マホイップか……すまねぇバクガメス。このまま頼めるか?」
「ガメ……!!」
その様を見て、バクガメスの限界を悟ったキバナさんが、ここでバクガメスを切る選択を取る。バクガメスもそのことをしっかりと理解しているからこそ、特に不満の声をあげることなく大声で返事をする。確かに、元気いっぱいのマホイップでは満身創痍のバクガメスだとどうやったって勝てないだろう。しかし、だからと言って簡単にやられるつもりはないらしく、いつもは背中を向けて戦うバクガメスが、甲羅側ではなく真正面を向けて構えた。
マホイップの攻撃手段が特殊攻撃である以上、得意のトラップシェルは発動しないし、急所をさらすことになるとはいえ、どうせあと一発でも攻撃を受けたら倒れてしまうのなら、マホイップの攻撃はどこに当たっても関係ない。ならば、やられることを前提とした特攻状態で問題がないというキバナさんの考えは間違ってはいないのだろう。珍しく真正面から相対しているバクガメスは、いつもよりも精度のいい攻撃が出来るはずだ。
「最後は派手に行くぜ!!『だいもんじ』!!」
「ガメェッ!!」
そんなバクガメスが放つ技はだいもんじ。天候の補正を強く受けたこの技は轟々と音を立てながら燃え盛り、マホイップに向けて真っすぐ飛んでいく。
ただでさえ天候のせいで温度が上がっているのに、だいもんじのせいでフィールド中心部の温度がさらに上昇。マホイップの得意戦法であるクリーム発射は、この状態だとすぐに溶けてしまってあまり役に立つことはないだろう。となると、機動力のあまりないマホイップでは、真正面からこの攻撃を避けるのは難しい。
先ほどバクガメスではマホイップに勝てないと言ったし、キバナさん自身バクガメスが倒れることを想定はしているだろうけど、可能ならマホイップにダメージを刻み込みたいという狙いはしっかりしている。そんな意志を強く感じる攻撃は、こうやって向かい合った状態では、一瞬飲み込まれてしまう程の圧力を感じる。
フェアリータイプの攻撃はほのおタイプの攻撃を止めるのに向いてはいない。だから、このまま受け止めてしまえば、キバナさんの希望通りマホイップに大きなダメージが入ってしまう。けど、それなら対処はまだ簡単だ。
「マホイップ!!後ろにクリーム!!」
「マホッ!!」
答えは、この攻撃に付き合わないこと。
炎の近くだとクリームが溶けてしまうのなら、炎が届かないところにクリームを飛ばして、そこを起点に活動をすればいい。自身の後ろの壁にクリームを飛ばして張り付けたマホイップは、だいもんじから離れるように飛翔。だいもんじはマホイップのいた場所に落ち、周りに炎をまき散らすだけに終わってしまった。
ある程度距離を開けたマホイップは、だいもんじの影響のない安全な場所に着地し、そこからクリーム展開。同時にクリームの弾をバクガメスに向けて発射していく。
いつものバクガメスなら、この程度のクリームは背中を自分から爆発させることで事なきを得ていただろう。しかし、今回バクガメスは背中ではなく真正面を向けているせいでその手を取ることが出来ない。結果、飛んでくるクリームを回避することが出来ずにそのまま被弾。クリームなのでダメージこそないものの、顔に張り付いたクリームは、バクガメスの視界を一時的に奪い去ってしまう。
「『マジカルシャイン』!!」
「マホッ!!」
「バクガメス!!真正面に『だいもんじ』!!」
「ガ……メェッ」
そんな視界不良に陥ったバクガメスに対して、マホイップから虹色の光が発射。目に付いたクリームを必死に離そうとするけど、未だに上手く取れていないバクガメスに真っ直ぐ飛んでいく。
このままでは視界を取り戻すのが間に合わないと判断したキバナさんは、視界が見えないまま攻撃を放つように指示。バクガメスも、キバナさんの言葉を信じて、とにかく真正面に向けてだいもんじを発射した。
これによってマジカルシャインとだいもんじがぶつかり合うこととなり、威力と天候ブーストで負けているマジカルシャインが押し負け、だいもんじの焔がそのまま突き進む形となる。
「よし、なんならこのまま後ろのマホイップにまで━━」
「『マジカルシャイン』!!」
「マッホ!!」
「……ってそうはいかねぇか。すまねぇ、バクガメス」
マジカルシャインを貫通しただいもんじが、そのままマホイップの元まで届くことを期待したキバナさん。しかし、これだけの時間があれば、マホイップがフィールドを作り上げるのは容易い。いつの間にか広範囲まで広げられていたクリームの海を泳いだマホイップは、このやり取りの間にバクガメスの左側に回り込んでおり、そこからもう一度マジカルシャイン。目の見えないバクガメスに、今から攻撃方向と技の指示をするのはとてもじゃないけど間に合わないと判断したキバナさんは、謝罪の言葉をひとつ落とす。
「ガメッ!?」
響くのはマジカルシャインの直撃音と、バクガメスの小さな悲鳴。
ここまで意地で耐えていたバクガメスの気力がついに切れ、その身体を地面へと落とした。
「バクガメス、戦闘不能!!」
ようやくバクガメスを撃破。これでキバナさんの残る手持ちは4人だ。
「サンキューな、バクガメス。ゆっくり休んでくれ」
バクガメスを労いながらボールに戻したキバナさんは、すかさず次のボールに手をかけ、4人目の仲間を解き放つ。
「行くぜヌメルゴン!!」
「ヌンメェ!!」
「次はヌメルゴンか……」
キバナさんのボールから飛び出したポケモンはヌメルゴン。薄紫色の体色をし、がっしりとした二足歩行の体格をしたその姿は見掛け倒しなんかではなく、高い耐久力を誇るポケモンだ。特に、特殊耐久の方面で高い耐性を持つポケモンなため、たとえばつぐんで攻撃できるとしても、マホイップの攻撃は何発かは余裕を持って耐えてくるだろう。また、ドラゴン以外のタイプこそ持ってはいないものの、自身が放つことの出来る技の種類はとてつもなく豊富だ。そのため、タイプで有利を取っていたとしても、相手は技範囲の広さでこちらの弱点をついてくることもある。なんなら、その範囲を広げるために、ドラゴンタイプの技すら覚えさせていない人もいるレベルで器用なポケモンだ。きっと、マホイップに対してもばつぐんを取れる技を仕込んでいるに違いない。
(どんな技で攻めてくるかが分からないね……けど、初手何をするかだけはよくわかる。なら、こっちも順当に進めていこうかな)
「ヌメルゴン!!『あまごい』!!」
「マホイップ!!『めいそう』!!」
ヌメルゴンに対して一通り情報を整理したボクは、そこに『相手がキバナさんである』ことを加えて初手の技を推理。もはや驚くこともしない天候操作に対して、こちらも自身の能力を育てる技を選択。奇しくも、その構図は先程行われたモスノウ対キングドラのものと酷似したものとなった。
バクガメスが起こしたひでりが消え、場には再び雨が降り注ぎ、だいもんじによって起きた灼熱地獄たちも煙を上げながら鎮火していく。
あめで冷えて、はれで暖められて、あめでまた冷やされる。
温度変化のジェットコースターに、本当にこの先の体調が大丈夫かの不安が出てきそうだ。
「冷たいあめが帰って来たぜ!!ヌメルゴン、おまえが進化した時もこれくらい気持ちがいい雨が降ってたよなぁ!!」
「ヌンゴォ!!」
降り注ぐあめに対して嬉しそうに声を上げるヌメルゴン。進化するのにあめが必要で、湿った環境を好むポケモンと言うだけあって、やはりこの状況こそがいちばん本気を出せる状況なのだろう。今回は関係ないけど、ヌメルゴンの特性がうるおいボディという、あめの下だと状態異常が勝手に治る特性を持っていると言うのも、この状況での強さに拍車をかけていた。
搦手が好きなボクだけど、その搦手先が状態異常を使ったものでなくて本当に良かった。
「クリームに飛び込んで!!」
「マホッ!!」
ヌメルゴンがあめを降らせて場を整えている間に、めいそうを行ってとくこうととくぼうを強化したマホイップは、その身体を地面に広げたクリームの中に落としていく。
ヌメルゴンというポケモンもまた、バクガメスと同じく機動力に難があるポケモンだ。高い耐久力はとても魅力的かつ強力だけど、ずっしりと構えて戦うポケモンである以上、このデメリットはしっかりとついてくる。最も、バクガメスと違って急所と呼ばれる弱点はないので、バクガメスに比べるとかなり打たれ強いポケモンではある。けど、機動力で翻弄するという手は、バクガメス同様にちゃんと通ってくれるはずだ。マホイップも決して速いポケモンではないけど、ボクの場合はそこをクリームで補っているので、まだ対抗できる材料は持っている。特殊攻撃を主体としているヌメルゴンに対して、こちらがめいそうを一回行えていることも大きいだろう。
(ドラゴンタイプだけあって、素の能力では勝てないけど、その分工夫で対抗する!!)
要はいつも通り。ボクらしく闘ってここを乗り切る。マホイップもそんないつも通りのボクの言葉に元気よく答えながらクリームの中に潜って、ヌメルゴンに向かって接近してく。
マホイップのコンディションも悪くないみたいで、これならヌメルゴンに対して臆することなく攻めていけるだろう。クリームのおかげで上がった機動力を生かし、マホイップがヌメルゴンの周りを素早く回遊し、ヌメルゴンの視界を翻弄する準備を始めていく。
(よし、このまま動き回って、且つクリームの範囲を広げていけば、マホイップのフィールドが━━)
「うろちょろめんどくせぇな!!ヌメルゴン!!『かみなり』!!」
「ヌンメェ!!」
「っ!?マホイップ!!空に『マジカルシャイン』!!」
「マホッ!!」
クリームを起点にバトルを組み立てようと動き始めたこちらに対して、キバナさんは獰猛な笑顔を浮かべながらかみなりを指示し、キバナさんの期待に応えんとヌメルゴンも珍しく獰猛な笑顔を浮かべながら天に向かって声をあげる。その動作を見て危機感を一気に募らせたボクは、すぐさまマホイップに攻撃技を指示した。
狙う先は降りそそぐあめの元凶である雲。
正確には、その中で蠢いている電撃。
天候によるフィルードの状況変化は、特性の発動や技の威力をあげるだけでなく、技の規模を拡大するものもある。例をあげるなら、あめ下でのぼうふうや、ゆき下でのふぶきがそれに当てはまり、技からわかる通りボクの手持ちだとモスノウがこの戦法をよく行う。
そんな天候の影響で規模の膨れ上がる技たちはほかにもいくつか存在し、今回ヌメルゴンが放ったかみなりも該当する技だ。ふぶきやぼうふうが特定天候下で範囲を広げるのと同じで、かみなりはあめの下で行うことで、その規模を一気に拡大させることが出来る。
具体な変更点とは何かと言われればその答えは単純で……
「さぁさぁ降りそそげ電撃たち!!機動力がない?関係ねぇ!!数で圧倒すればいいだろ!!」
「ヌメェッ!!」
降りそそぐかみなりの数が、物凄く増える。
「マホイップ!!」
「マッホッ!!」
天よりマホイップめがけて降りそそぐかみなりの嵐。普段は数が少なく、予備動作もわかりやすい大技故に避けやすい技ではあるけど、その数が一気に増えてしまうとなると途端に避けるのが困難になる。だからこそ、避けるのではなく相殺するためのマジカルシャイン……なんだけど、めいそうで火力をあげ、且つこちらはタイプ一致による威力上昇を乗せた、範囲攻撃と言う守るにおいて強力な技を選択しているはずなのに、堕ちて来るかみなりの量が多すぎてこちらの攻撃がどんどん地面に押し込まれてしまう。
「マ……ホ……ッ!!」
「頑張ってマホイップ!!」
空から押しつぶさんとばかりに圧力をかけて来る電撃の雨をかろうじて受け止めるマホイップだけど、このままではいつマジカルシャインが突破されてもおかしくはない。すぐにでも手を打たないと、この雨が一気にマホイップに突き刺さることとなるだろう。
「……そうだ!!マホイップ!!クリームを柱状に伸ばして!!」
「ッ!!マホ!!」
そんな中、ふと頭の中に浮かんだアイデアをマホイップに実行してもらうべく、ボクはすぐさま指示を出す。
ぱっと聞き意味の分からない指示だけど、それでもボクを信じてくれたマホイップは、マジカルシャインを維持したままクリームを器用に操り、いろんなところにクリームの大きな柱を乱立させていく。
「さぁて……ヘンなものがいっぱいできたけど……何する気なんだ?」
「何もしないですよ。この柱はあるだけで仕事してくれますから!!マホイップ!!ヌメルゴンに『マジカルシャイン』!!」
「なに……?」
キバナさんの質問にさらっと答えながら、マホイップの攻撃技を放つ先を上からヌメルゴンへ変更。
普通こんなことをしてしまえば、上から落ちて来るかみなりの雨につぶされることになる。それはただの自殺行動でしかないため、この行動を見てキバナさんは怪訝な顔を浮かべた。
が、その答えはすぐに場に現れることとなった。
「成程、避雷針代わりか!!『ハイドロポンプ』!!」
「ヌメッ!!」
天高く伸びていったクリームの柱は、そのまま雷雲の中に突き進んでいき、同時にマホイップに向かって落ちていたかみなりが、マホイップが高く伸ばしたクリームの柱に吸い込まれ始める。キバナさんの言う通り、避雷針……と言うより、どちらかと言うとアース線のような役割を担うことによって、ヌメルゴンのかみなりを違う場所に逃がして対処を行ったというわけだ。これで攻撃に集中できるようになったマホイップは、ヌメルゴンに向かって心置きなく攻撃が出来るようになった。
一方キバナさんも、このままではこうかばつぐんの技を受けてしまうので、かみなりをやめてすぐさま別の技で反撃。ヌメルゴンの口元より放たれた水の奔流は、あめのお陰で威力が1段階上がった状態でマホイップの攻撃とぶつかり合う。
「マホ……ッ!!」
「ヌン……メッ!!」
光と水のぶつかり合いは、両者の中間で鍔迫り合いを演じ、しかし均衡することなく一瞬で片方に傾く。
「マホッ!?」
結果はマホイップ側の敗北。範囲を殴れるマジカルシャインと、一点集中のハイドロポンプでは、どうやらめいそうやらあめ状態やら、色んなものを加味してもハイドロポンプの方に軍配が上がるらしい。
水飛沫に当てられ、思いっきり後ろに吹き飛ぶマホイップ。そんな彼女の後ろには、彼女自身が立てた柱があり、その柱に向かって背中から打ち付けられそうになる。
「マホイップ!!クリームの柱を上手く使って接近!!」
「マ……マホッ!!」
が、そのクリームの柱を左右に分け、その間を貫通したマホイップは後ろに飛び出ると同時にクリームの糸を発射して、今しがた自分が貫通して来た柱に付着。そこを起点に、空中ブランコのように、振り子運動で柱の後ろから右側に回り込みながら前へ移動。さらに、前に飛び出したところで今度は別の柱にクリームの糸をのばし、柱と柱の間を立体機動で飛び回りながらヌメルゴンをめざす。
「本当にアクロバットだな!!『ハイドロポンプ』を薙ぎ払って柱を崩せ!!」
「ヌンメッ!!」
宙を縦横無尽に飛び回るマホイップに対して攻撃を当てるのは困難と感じたキバナさんは、攻撃の方向をクリームの柱に変更するように指示。ハイドロポンプを薙ぎ払うように打つことで、周りのクリームの柱をへし折って、機動力を奪うと同時に、再びかみなりを通しやすくするための状況に戻そうとした。
このキバナさんの意図を正確に汲み取ったヌメルゴンは、その場でくるりと回転しながら水を発射し、自身の周りに立っていたクリームの柱を破壊。空高く立っていた柱が次々と崩れ去り、同時に柱を起点に飛んでいたマホイップのバランスが崩れる。
「よし、あのマホイップに対して今度こそ━━」
「クリーム操作!!」
「マホッ!!」
しかし、クリームを崩されることを予想していたボクは、この展開に慌てることなく次の指示を出し、マホイップもすぐさま空へと掌を向け、崩れるクリームの柱に指示。これにより、崩れた柱全てが、ヌメルゴンに向かって倒れ始める。
「ッ!?ヌメルゴン!!標的変更だ!!柱を吹きとばせ!!」
「ヌメッ!!」
このままではクリームに溺れてしまうと理解したキバナさんは、ヌメルゴンへの指示を無理やり変更。真上から次々と倒れてくるクリームの柱に向かって、順番にハイドロポンプを行って弾き飛ばそうとしていく。が、倒れてくる柱とクリームの量が多すぎて、全てを弾くことは出来ずにそのままクリームが落下。溺れることは無かったものの、それでも大量のクリームに降られたヌメルゴンの下半身がクリームに埋もれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。
「マホイップ!!」
「ッ!!」
クリームでの固めに成功したマホイップは、クリームの糸をヌメルゴンの身体に付着させて引っ張り、ヌメルゴンとの距離を一気に縮めて眼前まで躍り出る。
「ヌメッ!?」
「『マジカルシャイン』!!」
「マホッ!!」
弱点タイプによるゼロ距離攻撃。これなら流石のヌメルゴンと言えども、かなりのダメージが突き刺さるはずだ。この展開まで想像していたボクとしては、何とか想像通りの流れになったことに少しだけプラスな気持ちになる。
「タダで返すなヌメルゴン!!見せてやれ、『ヘドロばくだん』!!」
「「っ!?」」
「ヌンゴッ!!」
しかし、簡単には譲らないキバナさんの反撃の一手がここで牙を向いてくる。
目の前まで来たマホイップに対してヌメルゴンは避けることも防御することも放棄。相打ち上等と言わんばかりに、口元にヘドロばくだんを構え、マジカルシャインを顔面で受け止めると同時に爆発。
「マホッ!?」
「ヌンゴッ!?」
マジカルシャインとヘドロばくだんによる派手な爆発は両者に平等に降り注ぎ、体重の軽いマホイップは宙を飛び、逆に重いヌメルゴンは後ろから引っ張られるように大きく後退していく。それでもダウンだけはしまいと意地を見せ、マホイップはクリームの糸を器用に操って足から着地し、ヌメルゴンは気合いで耐えきって倒れるのを拒否。お互いの距離が空いたところで、両者睨み合うような形で視線を絡ませる。
(完全に五分……だね)
両者1歩も譲らないぶつかり合いに手に汗握る。このまま行けば、ダブルノックアウトも十分に有り得る展開だろう。
しかし、その可能性が、次の一幕でガクンと下がる。
「マホ……ッ!?」
「ヌンメ!?」
「……これはちょっと嫌だなぁ」
仕切り直しとなった両者の表情が急に曇りだし、同時に両者の頭から紫色の泡が立ちのぼる。
先程ヌメルゴンが打ったヘドロばくだんの追加効果が発動してしまい、マホイップはともかく、自爆する形で巻き込まれたヌメルゴンにまでどく状態が付与されてしまった。これで時間と共にマホイップの体力は蝕まれることになるだろ。
「はは、こりゃ運がいいな!!ヌメルゴン!!」
「ヌンメェ……!!」
一方で、同じくどくを患ったヌメルゴンは、しかしそのどくをあめと一緒に洗い流してしまい、綺麗さっぱりな姿へと直ぐに戻った。特性『うるおいボディ』の効果で、状態異常を治してしまったみたいだ。
「さぁて……あめの対策を怠った罰は、きっちり受けてもらおうか!!」
「ヌンメッ!!」
「くっ……」
「マ……ホッ!!」
待ちの権利を失ったボクとマホイップ。そのことに、少なくない焦りを感じ始める。けど、ここで押し負ける訳には行かない。
あめが身体を冷やす中、それでも突破口を開くべく、ボクは頭を熱くさせ、思考をめぐらせていった。
うるおいボディ
実はこの時のキバナさんのヌメルゴンは、実機ではそうしょくだったりします。……なんでなんですかね?
今日はニンダイの日ですね。このお話が出ると同時に公開されているはずです。Z-Aの追加情報があったら嬉しいですね。