【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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292話

(ブリジュラス……これがジュラルドンの進化系か……)

 

 新しい進化を果たし、先のステージへ進んだジュラルドンの姿をじっと見つめながら、現状わかることを整理していく。

 

 手足の末端にエネルギーの通り道があり、そこを電気が走っているところを見る感じ、タイプに変化はなくても、でんきタイプの技に精通するようになっている可能性は高い。そして、わざわざすなあらしからあめに天候を変えた以上、このあめが、ブリジュラスの手助けをすることも確かだろう。先程エレクトロビームを放つ時に、エネルギーラインが強く反応していたところを見るに、本来なら発射するのに時間がかかるところを、少し短縮して攻撃出来るみたいな効果があるのかもしれない。感覚としてはひでりの下で打つソーラービームのようなものだろうか。

 

 けど、そんな効果よりも気になるのが、先程攻撃した時にブリジュラスの身体が薄く光った点についてだ。あの赤い光は、何かしらの能力値が上昇した証。つまり、先程ブリジュラスは、電気の攻撃をしながら何かしらの能力値を上げたということだ。どこの能力をどれだけ上げたかが分からないのでなんとも言えないけど、少なくともこちらが有利になることは無いだろうから、あの技をされる前に仕留めるのが理想だろう。

 

(となると、進化してどこまで固くなっているか……だね)

 

 進化して、ますます屈強になった姿は、明らかに防御力も上がっていそうな見た目となっている。速く倒したいのにそれを許さないその体格は、こちらに少なくないプレッシャーを与えてきた。

 

 けど、ここで怯む訳には行かない。

 

「ジュラルドン!!もう1発行くぞ!!『エレクトロビーム』!!」

「ヨノワール!!『いわなだれ』!!」

「ジュラッ!!」

「ノワッ!!」

 

 一通り今わかることを頭の中でまとめたボクは、再び電気を貯め始めたブリジュラスを前に、とりあえずこの攻撃を防ぐためのバリゲートを作成。岩を積み重ねた盾を準備し、受け止める態勢を整えた。

 

 一方ブリジュラスは、目の前に盾が現れようが無視して電撃を貯め、すぐさま発射。ヨノワールに向かって、再び電気の光線が飛んでくる。

 

「……っ!?ヨノワール!!」

「ノワッ!!」

 

 その光線を見たボクは、すぐさまヨノワールに声をかけて思いを伝える。指示を口にしなくても心で繋がっているヨノワールは、ボクの声だけで意図を汲み取り、すぐさま地面の影の中にダイブ。そのまま岩のバリゲートから離れるように逃げていく。

 

 せっかく作った盾を放棄して移動することに、観客たちは少し首をひねりそうになるものの、ヨノワールが動いて、ブリジュラスの光線が放たれたと同時に、この場にいる全員がこの行動の意味を理解する。

 

 なぜなら、ブリジュラスから放たれた光線の威力が、先程と比べて明らかに上がっていたから。

 

(あの赤い光は特攻上昇か!!)

 

 2回打たれることでようやく理解することのできた、打つ度に自身の火力が一段階上がるというエレクトロビームの効果にうすら寒いものを感じる。このままブリジュラスに好き勝手されると、とんでもないことが起きてしまうだろう。

 

「ヨノワール!!『ポルターガイスト』!!」

「ノワッ!!」

 

 待つことが愚作ということを直ぐに理解したボクは、すかさず右腕を前に突き出して、ヨノワールと動きをシンクロさせながらポルターガイストを発動。エレクトロビームを防いだ時に、かろうじて原型を留めていた残りの岩たちを操作してブリジュラスに向けて発射。ヨノワールが影に潜り込んで回避行動を行ったおかげでこちらの姿を見失ってくれたのが功を奏し、ブリジュラスは攻撃の出処を掴みきる事が出来ずに、その身体に何発か紫色の岩が激突していく。回避行動を取る素振りも無かったことから、おそらく素早さはジュラルドンの頃からあまり変わっていないと見て問題ないだろう。ダイナックルでこちらのこうげきも少しは上がっているため、これは中々いいダメージが入ったように思えた。

 

「『ポルターガイスト』……へっ、やっぱりいい火力してるなぁ。けど、今のブリジュラスならへでもねぇ!!」

「ジュラッ!!」

 

 しかし、綺麗に攻撃を貰ったはずのブリジュラスは、まだまだ平気と言わんばかりに声を上げながらこちらを真っ直ぐ見つめてくる。やはり耐久力は上がっているとみて間違いないのだろう。

 

 しかし、それ以上に気になる現象が起きた。

 

(……ジュラルドンの身体が、また赤く光った……?)

 

 エレクトロビームを打つ前にも見た、能力上昇を意味する身体の発光現象が再び目の前で発生した。けど、今回は先程の発光とは違って、エレクトロビームの発射を準備していていた訳では無い。ブリジュラスが何をしたのかと聞かれると、ただ攻撃を受けただけとしか言うことが出来ない。

 

(攻撃を受けただけで能力が上がる……多分特性による効果だと思うけど……まさか!?)

 

「ヨノワール!!『じしん』!!」

「ノワッ!!」

 

 攻撃を受ける度に能力が上がる特性に1つ心当たりがついたボクは、ヨノワールと一緒に右手を地面に向かって振り下ろし、地面を大きく揺るがしていく。

 

 じめんタイプの大技であり、そしてダイナックルで火力が上がっているこの一撃なら、たとえ耐久力が上がっているであろうブリジュラスにも大きな一撃が入ると思っての攻撃だ。

 

(もしブリジュラスがボクの想像している通りの特性だったら長期戦はまずい!!『エレクトロビーム』の効果は確かに怖いけど、個人的にはこっちの方がもっとやばい!!)

 

「ブリジュラス!!『ラスターカノン』!!」

「ジュラッ!!」

 

 危機感を持って放ったこちら高火力技はブリジュラスに向かって真っ直ぐ突き進んでいく。対するキバナさんはこの攻撃に対して、地面に鋼の弾丸を放ち、着弾した時の衝撃を持って対応。タイプ相性と規模的に完全にじしんを消すことは出来てはいないものの、じしんがブリジュラスに届いた頃には大きく威力は下がっており、これを受けたブリジュラスはなんてことは無いと言った顔で、余裕で技を受け止める。

 

 そして、再びブリジュラスの身体が薄く発光する。

 

「へへっ、順調だなブリジュラス」

「ジュラッ!!」

 

(間違いない、『じきゅうりょく』だ)

 

 その姿を見て嬉しそうに笑うキバナさんの姿を見て、ボクは特性を断定する。

 

 その特性の名はじきゅうりょく。効果は、攻撃を受ける度に防御が1段階上昇すると言う、正しく長期戦に向いた堅牢な特性だ。

 

 そして攻撃方法が物理しかないヨノワールにとっては、天敵と言ってもいい程相性の悪い特性である。

 

(一撃で倒さないとどんどん固くなっていく。けど、一撃で落とされるのを、『エレクトロビーム』で上げた火力と本人の素の耐久力が許してくれない……!!)

 

 予めブラッキーが少し削ってくれているけど、そんなことなんて気にする必要が無いほどどんどん強くなっていくブリジュラスに、自然と焦りが募っていく。

 

(一撃で落とす……ってなるとやっぱり『ポルターガイスト』しかない!!)

 

「ヨノワール!!『いわなだれ』!!」

「ノワッ!!」

 

 このブリジュラスに勝つには、大きな一撃を叩き込むしかないと判断したボクは、まずは準備を進めるために場に岩を召喚。この技をブリジュラスに当ててしまうとまた防御が上がってしまうため、当てないように注意しながら周りに岩を積み立てていく。これでポルターガイストの弾は出来上がったし、岩を積む場所をバラけさせることで、エレクトロビームを防ぐ盾ともなってくれる。少なくとも、これでダメージを受ける心配はないだろう。

 

「……とか思ってんだろうなぁ?ブリジュラス!!甘い考えを吹きとばせ!!『りゅうせいぐん』!!」

「ジュラァッ!!」

「「っ!?」」

 

 そんなボクの考えを読み切ったキバナさんから指示されたのはりゅうせいぐん。ブリジュラスの叫び声が天に届くと同時に、そこを起点に数多もの隕石がヨノワールに向かって次々と降り注いでくる。

 

 このうちどれかひとつでも当たってしまえば、間違いなく致命傷だろう。そして、このりゅうせいぐんは広範囲に降り注ぐ攻撃だ。先程作り上げた岩の防壁には、なんの役にもたたない。

 

「ヨノワール!!『ポルターガイスト』!!」

「ノワッ!!」

 

 防御に使えないのならせめて相殺するための弾に使うしかない。そう判断したボクとヨノワールは揃って両手を空に掲げ、落ちてくるりゅうせいぐんに向かってとにかく霊弾を飛ばしまくる。

 

 ブリジュラスの特攻の上がり幅が大きいせいで、まともに撃ち合ったら間違いなく負けるので、ひとつの隕石に2つ以上の岩をぶつけることを意識しながら立ち回っているヨノワールは、地面にぶつかった時の余波を受けることも嫌って、上空に浮き上がりながらりゅうせいぐんを回避していく。

 

(ひとつひとつの威力は高いけど、避けられないわけじゃない。最初は焦っちゃったけど、これなら……!!)

 

「『ラスターカノン』!!」

「ジュラッ!!」

「っ、『かわらわり』!!」

「ノワッ!!」

 

 ポルターガイストによる相殺と、共有化によって敏感になった五感を利用した回避をしていたところに、ブリジュラスから鈍色の弾丸が3発発射された。この弾は全て空中にいるヨノワールを正確に狙ってきていたため、かわらわりで対処。1つ目を右手を縦に振って落とし、2つ目を左手を右から左に凪いで弾き、最後を右腕を左下から右上に振り上げて逸らす。

 

「よし……って危な!?」

「……ノワ」

 

 りゅうせいぐんの反動で特攻が戻っていたおかげで何とかはじき返すことに成功はしたけど、この間にもりゅうせいぐんとポルターガイストの打ち合いは続いており、ラスターカノンを弾ききったところに、頭すれすれに隕石が落ちてきたので慌てて首を右にかたむけて回避。ラスターカノンの威力は下がってても、りゅうせいぐんの威力は変わっていないので、これだけはやはり貰う訳には行かない。

 

「『エレクトロビーム』!!」

「ジュラッ!!」

「くっ、『ポルターガイスト』!!」

「ノ……ワッ!!」

 

 紙一重の回避劇。そんなギリギリの状況にいるボクに対して、しかしキバナさんは一切の容赦をすることなく次の攻撃を仕掛けてくる。再び特攻を上げながら口元より電撃の光線を解き放ってきたブリジュラスに対して、こちらはすぐ横を飛んでいたポルターガイストの岩を右手でつかみ、そのままダンクシュートを決めるかのように、迫ってくるエレクトロビームに叩きつける。

 

 ぶつかったふたつの技は派手な音と爆煙をあげて相殺。何とか右腕の痺れだけでこの攻撃を防ぎぎることに成功したので、すぐさま思考を空に向け、未だに落ちてくるりゅうせいぐんを警戒する。

 

(攻撃の手が休まらない!!このままじゃあずるずる持ってかれて……)

 

「あぐっ!?」

「ノワッ!?」

 

 キバナさんからの怒涛の攻めに精一杯になっていたところに、急に背中から激痛が走る。一体何があったと、慌ててヨノワールの背中に視線を向けると、そこには先程ヨノワールが弾いたはずのラスターカノンが突き刺さっていた。

 

「ぐっ、『りゅうせいぐん』の側面に跳弾させてヨノワールに……!!」

「さすが気づくのが速いな!!けど、一手遅ぇ!!『エレクトロビーム』!!」

 

 ラスターカノンを受けて態勢を崩したところにすかさず電撃を指示したキバナさん。これによって地面からは電撃が、空中からは隕石が迫ってくるサンドイッチ状態に再び追い込まれる。しかし、先程は乗り越えることが出来た盤面だったけど、今回はヨノワールが態勢を崩してしまったことと、ポルターガイストの弾が切れたことが重なってしまい、どうやったってなにかに被弾してしまう状況に変わってしまった。

 

(さっきと違って『ポルターガイスト』でどっちか相殺は間に合わない!!なら……覚悟を決めろ!!ヨノワール!!)

 

「ノワッ!!」

 

 ここまで追い込まれたら泣き言なんて言ってられない。覚悟を決めたボクたちは、この状況を打開するべく、全身に気合いを込めて、りゅうせいぐんに当たることを選択した。

 

「うぐぅ……っ!!」

「ノワ……っ!!」

 

 再び背中に走る激痛。しかもラスターカノンの時よりも更に痛い感覚のため、視界がぶれそうになる。けど、諦める訳には行かないボクはとにかく耐える。じゃなきゃ、わざわざ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「っ!?『りゅうせいぐん』を推進力に!?」

「ヨノワール!!首!!」

「ノワッ!!」

 

 背中にりゅうせいぐんが当たると同時に、ヨノワールの背中で大きな爆発が発生。この爆風を推進力に利用したヨノワールは、ブリジュラスに向かって物凄い勢いで突っ込んでいく。普段は決して速い方では無いヨノワールの急な加速は、同じく素早さが高くは無いブリジュラスにとっては、とてもじゃないけど回避出来る速度では無い。

 

「『ラスターカノン』!!」

「ジュ━━」

「遅い!!」

「ノワッ!!」

「ラッ!?」

 

 急接近してくるヨノワールに対して慌てて近接拒否の技を構えるブリジュラス。しかし、ヨノワールが想像以上に速かったことと、さっきまでエレクトロビームを打っていた反動が祟ってヨノワールの動きに間に合わせることが出来ていない。結果、口元に溜まった鈍色の弾丸は発射されることなく、その前にヨノワールの大きな手がブリジュラスの首根っこを引っつかまえる形となった。

 

「そのまま持ち上げて叩きつけろ!!」

「ノワッ!!」

 

 右手で首を掴んだヨノワールはそのままブリジュラスを右腕一本で持ち上げる。ジュラルミン合金でできているブリジュラスの身体は、見た目よりもよっぽど軽いということを知っているからこその判断。

 

 持ち上げられたブリジュラスは、この拘束から逃れるために必死に暴れるけど、てづかみポケモンであるヨノワールの握力がそれを許さなず、暴れるブリジュラスの行動を無視して思いっきり振り上げたヨノワールは、そのまま勢いよく地面へとブリジュラスを叩きつける。

 

「ジュッ!?」

「プラスで『じしん』!!」

「ノ……ワッ!!」

 

 地面にたたきつけられたブリジュラスは苦しそうな声をあげながら、地面に大きな亀裂を作った。けど、防御力が上がっているブリジュラスにはこの程度の攻撃ではまだ足りない。なので、さらに左腕に力を込めて、地面に押し付けたブリジュラスに向かって勢いよく振り下ろし、本来なら地面を揺るがす大きなエネルギーのすべてがブリジュラスに向かって襲い掛かる。これにより、ブリジュラスが叩きつけられたときにできた亀裂が更に広がっていき、同時にブリジュラスの大きなダメージが入った。

 

「ジュ……ラッ!!」

「かったいなぁ……!!」

「ノワ……ッ!!」

 

 けど、ブリジュラスを殴った左腕に来る大きな痺れが、上りにあがった防御によって、ヨノワールの攻撃をしっかりと受け止めた証拠となってしっかりと響き渡った。

 

「『ドラゴンクロー』!!」

「かわらわり!!」

 

 叩きつけとじしんのコンボをしっかりと受けきったブリジュラスは、今度こそ拘束から逃れるために両腕に藍色のオーラをため、それを爪状に伸ばして攻撃の構えをとる。一方のこちらも、拘束から抜け出させないために左腕に力を込め、白く光らせながらブリジュラスのドラゴンクローに対抗する。

 

 ブリジュラスの右腕によるドラゴンクローは左手のかわらわりで弾き、左腕によるドラゴンクローは、ブリジュラスを地面に押さえ込んだまま右腕を軸に180度回転し、柔道で言う上四方固めのような立ち位置になることで回避した。

 

「『じしん』!!」

「ノワッ!!」

 

 ブリジュラスの必死な抵抗を避けたこちらは再度左腕を叩きつけ、じしんのエネルギーをブリジュラスに叩き込む。けど、じきゅうりょくによってどんどん固くなっていくブリジュラスには、正直ほとんどダメージが通っているようには見えない。

 

(有利な状況なのに、決定打がない……!!)

(ノワ……ッ!!)

 

 態勢も状況も明らかにこちらが勝っているはずなのに、決定打となる技がないせいで何をしても致命打にならないのがとてつもなくもどかしい。けど、それでもダメージ自体は入っているので、それを信じてとにかく攻撃をし続けるしかない。

 

(やりたくは無いけど、長期戦覚悟でこのまま……)

 

「くっそ、さすがに拘束が強い……なら、こっちもやるしかねぇ!!ブリジュラス!!『りゅうせいぐん』!!」

「ジュラッ!!」

「っ!?避けて!!」

 

 コツコツ攻撃を積み重ねて倒そうと考えていた瞬間にキバナさんから飛び出したまさかの攻撃技。藍色のオーラを口元にためたジュラルドンは、目の前にあるヨノワールの身体に当たって、自分をまきこむ爆発が起きる可能性なんてお構い無しに攻撃を発射。これを、左半身を下げることで何とか避けることには成功したものの、天まで届いた藍色のオーラは空中で爆発し、そこから無数の隕石が降り注いできた。

 

(判断完璧すぎ……どうしよう……!!)

 

 その攻撃範囲はとても広く、その中にはブリジュラスも含まれているので、普通なら自滅しかねない打ち方だ。しかし、今ブリジュラスはヨノワールに上から押さつけられている。そのため、ブリジュラスに当たるものは、ヨノワールが全て引き受けることになってしまう。

 

 この状況だからこそ、あえてを巻き込む技。苦し紛れながらも、間違いなく今1番刺さる指示を繰り出したキバナさんに一瞬思考が止まりかける。

 

 しかし、この極限状態のバトルのおかげか、ボクの頭にもすぐに対抗策が思いついた。

 

「そうだ!!ヨノワール!!ブリジュラスを『りゅうせいぐん』に向かって投げて!!」

「ノワッ!!」

 

 それはブリジュラスをりゅうせいぐんにぶつけるというもの。

 

 ヨノワールを盾として使おうとしてくるのなら、逆にこっちが盾として使ってやる。

 

 ボクの指示に従って素早くブリジュラスを投げるヨノワール。飛ばされたブリジュラスは、そのまままっすぐ隕石に向かって突っ込んでいく。

 

(『りゅうせいぐん』は特殊技!!『じきゅうりょく』で上がった防御は関係ない!!いける!!)

 

 急にやってきた勝ち筋に対して思わず拳をぎゅっと握りしめるボク。このまま自滅してくれればボクの勝ちだ。

 

「やっぱそう来るよなぁ!!ならこっちも、腹くくるしかねぇ!!ブリジュラス!!隕石に向かって『ドラゴンクロー』を突き刺せ!!」

「ッ!?ジュラッ!!」

 

 しかし、この展開を予想していたらしいキバナさんは、ブリジュラスにとんでもない指示を下す。流石のブリジュラスも予想しなかった指示に思わず驚きの表情を見せるけど、その顔は直ぐに消して藍色に染まった右腕を、向かってくる隕石に勢いよく突き刺した。

 

「ジュラッ!?」

 

 自身の放った最高火力。当然そのダメージは自分にしっかり帰ってきており、ブリジュラスの表情が大きく歪む。しかし、この攻撃に耐えきったブリジュラスは、右腕に隕石を突き刺したまま、隕石の勢いに乗ってヨノワールに向かって突っ込み始めた。

 

「これで決めるぞブリジュラス!!『りゅうせいぐん』!!」

「ジュ……ラァッ!!」

 

 りゅうせいぐんの勢いと威力を右腕に乗せ、そのままこちらを殴りつける暴挙。

 

 失敗すれば負けてしまう賭けだと言うのに、それでも躊躇せずやりきる魂胆。

 

(そんなものを見せられたら、こっちだって応えるしかないじゃないか!!)

 

「ヨノワール!!」

「ノワ……」

 

 1つの大きな隕石となって突っ込んでくるブリジュラスに対して応えるべく、ボクとヨノワールは一緒に右腕を横に伸ばす。すると、これまでの戦いで荒れ果て、それによって地面に散らばった礫やら岩石やらが一斉に右の拳に集まり始める。

 

「……っ」

 

 右手に集まる礫たちは、そのままボクの拳を圧迫していき、ともすれば潰れるのではないかと言うほどの痛みが来る。けど、そんな痛みを無視してどんどんとヨノワールの拳に集まる塊は、集まると同時に紫色のオーラに包まれていき、おどろおどろしさを内包していく。

 

 その輝きは、世界を飲み込む闇のようにも見えた。

 

(これが、最後の一撃……これで決着が着く……!!)

 

「ヨノワール!!『ポルターガイスト』!!」

「ノワッ!!」

 

 準備が整ったと同時に、ヨノワールは重い右拳を気合いで持ち上げ、そのまま落ちてくるブリジュラスに向かって飛び上がり、右拳を突き出した。

 

「ジュ……ラアアアァァァッ!!」

「ノ……ワアアアァァァッ!!」

 

 天より落ちる龍の怒りと、地より登る霊の呪。

 

 このバトルの勝敗を決める、お互い全力の最後の攻撃が今、ぶつかりあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




じきゅうりょく

普通に考えてやばい技ですよね。タネマシンガンなどをブリジュラスに打ったりしたら、大変なことに……気を付けましょう。ちなみに、フリアさんがじきゅうりょくに気づいた理由は、バンバドロを知っているからですね。育て屋での一件はしっかり頭に残っているみたいです。




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