【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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293話

「くっ……」

「うぐっ……」

 

 りゅうせいぐんとポルターガイスト。

 

 お互いが現状放つことの出来る最高火力による最後の力比べ。そのぶつかり合いの衝撃は凄まじく、離れているボクとキバナさんをも覆ってしまうほどの爆煙が一気に広がり、視認が一切出来なくなってしまった。

 

 唯一の確認方法として、共有化したボクがヨノワールの視界を借りるというものがあるのだけど、それすらも、このぶつかり合いのせいで起きた右腕に走る激痛のせいで共有化が解除されてしまい、視界を借りることが出来なくなってしまっていた。おそらく、ヨノワールの方も限界が来ているということなのだろう。この共有化解除が疲れから来るものであって、ヨノワールがダウンしたからでは無いことを祈るばかりだ。

 

 ちなみに聴覚で現場の音を確認することも不可能だ。理由としては、先のぶつかり合いの衝撃音が凄すぎて、一時的に聴覚が麻痺してしまっているから。正直、今もまだ耳がキンキンしていて痛いし、他の音が全然入ってこない。もしかしたら、観客の人も固唾を飲んで結果を待っているから誰も喋っていないだけかもしれないけど、残念ながらそちらの確認もこの煙のせいで一切確認できない。

 

 つまり、今のボクに出来ることは、この煙が晴れるのを待つだけで……

 

「はぁ……はぁ……ヨノ……ワール……」

 

 息も絶え絶えで、今すぐにでも寝転がりたいけど、それでも相棒の勝利を願ってじっと待つ。

 

 この煙が晴れた時、真ん中にたっているのがヨノワールであることを信じて。

 

 そんなただひたすらに待ち続けること数分。耳鳴りも収まり、上の方から煙が晴れていき、少しずつだけど周りを確認できるようになり始める。結果、まずは雨が止んだからか青い空が顔をのぞかせ、次に上の階の観客席がみれるようになった。

 

(ヨノワール……)

 

 そしてそのまま下の方も煙が晴れていき、気づけばボクの周りからも煙が消えていた。おそらく、キバナさんの周りにも煙はないことだろう。

 

(ヨノワール……!!)

 

 煙が減るのに反比例して、ボクの心臓が激しく鼓動を打つのを感じる。早く結果がみたくて、けど同時にそれがとても怖くて、痛いくらいに躍動する胸を抑えるために右手を胸に当て、それでも、どんな結果でも受け止めるために視線だけはそらさずに真っ直ぐバトルコートの真ん中へ注ぎ続ける。

 

「ヨノワール!!」

 

 その煙がいよいよ完全に晴れ、思わずボクが相棒の名前を口からこぼしたと同時に、バトルコートへの視界が通るようになった。

 

 果たして、その結果は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブリジュラス、戦闘不能!!」

「よってこのバトル、フリア選手の勝ち!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地面に倒れ、目を回すブリジュラス。そしてその目の前で、右腕を天に伸ばし、ぼろぼろでありながらも、凛々しくスタンディングを決めるヨノワールの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ワアアアァァァッ!!』

 

 

 審判の声が響き、一拍遅れて観客の声が破裂していき、そしてさらに一拍置いて、ボクの胸の中にゆっくりと言葉が染み込んでいく。

 

「や……」

 

 同時に、いつの間にか固まっていたボクの口が、ゆっくりと動いた。

 

「や……っ!!」

 

 もう、心臓も痛くない。

 

「……ッ!!」

 

 実感は正直まだ湧いていない。けど、それでもこの感情は止められなくて。

 

 

「やっ……たあああぁぁぁっ!!」

 

 

 溢れた感情は叫び声となって、バトルコートに鳴り響く。そして、この気持ちを早く相棒と共有したいと思ったボクは、飛び跳ね、喜びながらヨノワールへと走っていく。

 

「ヨノワール!!」

「……ノワ」

 

 ボクの接近に気づいたヨノワールは、上げていた腕をゆっくりおろしながらボクの方を向いてくる。けど、本当に体力の限界なのか、その動作だけでも酷くしんどそうで、今まで右腕を上げ続けていたのも気合いでもっていただけらしく、今はもうピクリとも動く気配を見せない。きっと、今すぐにでもボールに戻して、直ぐにジョーイさんに見せるか、スタジアムにある回復装置のお世話になった方がいいのだろう。そのことは、ヨノワールと同じように、麻痺して全く動く気配を見せないボク自身の右腕がしっかり証明してくれている。

 

 けど、例えそうだとしても、今はこの気持ちをヨノワールにぶつけたい。

 

「……ありがとう、ヨノワール」

「ノワ」

 

 ありったけの気持ちを込め、動かすことの出来る左腕を使って、ヨノワールに感謝に言葉を告げながらぎゅっと抱きしめる。この想いはヨノワールにも伝わっているらしく、ボクの気持ちに返すように、左腕でボクの身体を包み込んでくれた。

 

 その腕は霊体故に体温を持たないはずなのにとても暖かく、そして大きな安心感を与えてくれた。

 

 勿論、ここはまだゴールでは無い。この先にはダンデさんが待っているし、なんならボクの目標はもっと先にいる人だ。だからここで満足をするのはあまりよろしくない。

 

(けど、今だけは……少しくらい、この充足感に浸っても許される……よね?)

 

 マクワさんとの闘いから始まったガラル地方のリーグトーナメント。チャンピオンリーグまで駆け上がったボクは、ついにダンデさんへの挑戦権を獲得した。その達成感を強く感じながら、ボクはヨノワールと、腰元で揺れる5つのモンスターボールと、喜びを分かち合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました!!」

 

 ヨノワールとじっくり喜びをかみしめたボクは、左手でモンスターボールを操ってヨノワールを戻し、バトルコート中央でキバナさんと対峙していた。

 

「……はぁ、いろいろ言いてぇことはあるんだがな……」

 

 頭の後ろで手を組みながら少しだけ不服そうな、しかしどこかすっきりしたような、ちょっと矛盾した表情と感情を内包したキバナさんは、ボクに向かってゆっくり言葉を零し始める。

 

「とりあえずは、おめでとうって言っておくか」

 

 そういいながら左手をこちらに伸ばしてくるキバナさんに倣って、ボクも身体を起こしながら左手を伸ばし、固い握手を交わす。動かないボクの右腕を労わってのさり気ない優しさが少し嬉しい。

 

「あ~あ、メンバーもしっかり考えて、ジュラルドンを進化もさせて……オレ様としては本当に今までで一番気合を入れて臨んだ、今この瞬間の最強のオレだったんだけどなぁ……」

「実際、とても強かったです。いきなりダイマックスされたときは本当に頭が真っ白になりましたよ……」

「ああ、あれな。あの作戦もうまく決まったと思ったんだがなぁ……」

 

 しっかり握った手にお互いを称える暖かさを感じた後、ゆっくりと手を離しながら今回のバトルに関して話をするボクとキバナさん。やはり、今回のバトルに関しては、キバナさんからしてもちょっと特別だったみたいで。

 

「どうして、今回はそんなに気合を入れて挑んだんですか?」

「ん?そんなの決まってんだろ?他の地方からわざわざやってきてくれた奴がこんなにも盛り上げてくれてるんだ。なのに、オレたち地元民が何もしないなんてありえないだろ?しかも、来てくれた奴がむちゃくちゃ面白れえやつなんだぜ?熱くならないなんてのは、トレーナーじゃねぇだろ?」

 

 ニヒルな笑みを浮かべながらそういったキバナさんは、心からそう思っているのが伝わってきて、少しこそばゆい気持ちになる。ガラル最強のジムリーダーと本気でぶつかって、改めてそう言われると、本当にボクのことを高く評価してくれているんだということがわかって嬉しい。それに、前回はここで身体を維持できなくて、キバナさんに運ばれてしまったけど、今回は右腕は動かないとしても、こうやって自分の足でしっかりと向かい合って立てていることに、自分の成長も一緒に感じてどこか誇らしい。

 

「オレ様と、俺様の愛しいポケモンたちもまだまだ若いし、毎日成長しているはずなんだがな……全く、オレ様よりも若いやつらの成長速度ときたら、目を見張るものがあるな。良い勢いだ。このオレ様を倒したんだ、その勢いのまま、ダンデの奴もやってくれよ?」

「はい!!」

「おし、いい返事だ!!んじゃ、最後に1枚っと……ほれ、お前もいい笑顔してくれよ?」

「え?ってわわ!?」

 

 キバナさんに認められて事が嬉しくて、少しだけ誇らしい気持ちになっていると、いつの間にかボクの隣まで来ていたキバナさんが、ボクと肩を組みながらスマホロトムを前に呼び出した。

 

 内カメラモードになってこちらを見つめて来るロトムは、その画面いっぱいに、キバナさんの笑顔とボクの戸惑っていた顔を映していた。どうやら、この後SNSにあげるための写真を今ここで取ろうというつもりらしい。

 

 キバナさんの発信と言えば、かなり有名且つ人気のコンテンツだ。それに載るのなら、こんな戸惑った変な表情を乗せるわけにはいかない。自分が倒した相手の横で、笑顔を浮かべていいものか若干のためらいはあるけど、キバナさんがこう言う以上、笑った方がいいに決まっている。

 

 それに、この強豪ひしめくガラル地方でここまで勝ち上がれたことに、ボクの気持ちは抑えられそうになくて。

 

「……えへへ!!」

「っはは、いい笑顔じゃねぇか!んじゃ、撮るぞ!!」

 

 画面に映る満面の笑顔の自分に恥ずかしさを感じながらも、パシャリと言う音が響く前に表情を作り上げたボクは、キバナさんと1枚の写真を撮った。

 

 このバトルコートから離れた時に、改めて送ってもらったこの写真は、ボクの大切な思い出の1つとして、ボクの心に刻み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ改めて、今の気持ちをどうぞ!!」

「え、えっと……とにかく、優勝できてよかった!!この調子で、ダンデさんとのバトルも頑張るよ!!」

「おう!!アニキとのバトル、楽しみにしているぜ!!……んじゃ、主役の言葉ももらえたし……行くぞみんな!!せーの……」

 

 

「「「優勝おめでとう!!かんぱーい!!」」」

 

 

 キバナさんとのバトルを終え、チャンピオンリーグ優勝者として表彰を受け、いろいろやることを終えたボクはくたくたになり、しかし何とかホテル『ロンド・ロゼ』に帰るまでしっかりと耐えきって少し休憩。ホテルの部屋の中で昼寝をさせてもらって、体力がしっかり回復したところで、ホテル内の食事スペースの一角を少しお借りさせてもらって、ボクたちいつもの4人でささやかな祝勝会を開いてもらっていた。

 

 ユウリからのインタビューに何とか返したボクの言葉を受け、テンションが爆上がりしているホップが、ようやく迎えることの出来たお祝いの始まりに、声を高らかに挙げながら音頭を取る。けど、どうやらテンションが高まっているのはホップだけではないみたいで、ユウリは勿論のこと、珍しくマリィもテンションが上がっている状態で声をあげていた。

 

「あはは、ありがとうみんな。正直今でも半分くらいは実感が湧ききっていないや」

「でも、キバナさんに勝ったのは事実だよ。だから、もっと胸を張って!!」

「そうだぞ!!オレたちいつものメンバーから参加した選手が、そのままチャンピオンリーグを制覇って、実質オレたち挑戦者の勝利!!……ってのは、ちょっと言い過ぎかもしれないが、それでも、同期としてちょっとは一緒に評価されされるはずだからな。そんなオレたちの代表になるお前には、ちゃんと前を向いててほしいんだ」

「言われなくてもわかっているよ。大丈夫。そのあたりはちゃんと頭に入れているからさ」

「……ふふ、なんか、こうやって見てみるとフリアもしっかりと成長しているとね」

「や、やめてよそんな暖かい目で見るの……普通に恥ずかしいんだけど……」

「あ、やっぱりいつものフリアと」

「どういうことなのさ!?」

 

 祝勝会として並べられた、いつもよりも少しだけ豪華な料理と、質のいいきのみジュースをいただきながら、ボクたちは会話に花を咲かせていく。

 

 ボクたちの中から優勝者が出たことを喜び、そしてボクの性格のちょっとした変化を楽しみ、けど空気感は前と変わらない、落ち着いてゆったりとした会話。今までが今までずっとピリピリしていただけに、こうして柔らかな雰囲気の中おしゃべりするのがとても久しぶりで、一種の感動すら覚えてしまう程、ボクはこの時間に心地よさを感じていた。

 

 ボクがチャンピオンリーグに参加して、集中しているあたりからみんなもかなり気を使って接してくれていたため、その制約が消えたことによる反動も大きいのかもしれない。

 

「あ、フリア。右腕はもう大丈夫そう?キバナさんとのバトルの後すぐだと、凄く痛そうにしていたけど……」

「あ、そっちは全然大丈夫だよ。ほら」

 

 ユウリが思い出したようにボクの心配をしてくれたので、ボクは安心させる意味を込めて右腕を軽く回してみる。あの時みたいに全く上がらないということもないし、後遺症も全くないので、ダンデさんとのバトルにも特に弊害は起きないだろう。

 

 そもそも、ボクが受けているのはあくまでもフィードバックだけでしかないので、身体の機能がどこかおかしくなるなんてことはない。この確認ももはや一種のルーティーンみたいなものだ。

 

「一応私は本気で心配しているつもりなんだけど……」

「わかっているよ。けど、本当に大丈夫だからさ。みんなも元気だし」

 

 そういいながらボクが少し視線を逸らせば、そこには今日の激戦を戦い抜いた仲間たちが、ボクと同じように他のポケモンたちに持ち上げられながら賑わっていた。その姿には今日のバトルでついた傷や疲れなんてものは見受けられず、今日のバトルを称えられていることが純粋に嬉しいのか、みんな楽しそうに騒いでいた。珍しいことに、あのヨノワールでさえ、みんなの中心にはいないものの、ちゃんと顔を出しているほど。それだけ今日のバトルと言うのは、みんなにとっても大きな山場の1つだったというわけだ。

 

「……うん、本当に大丈夫そうだね。安心した」

「それはよかった」

 

 ボクたちの視線なんて気にすることなく大はしゃぎしているみんなの姿を見て、ボクが言っている言葉が決して嘘ではないということを感じ取ったユウリも、表情を柔らかくしながら頷く。これで本当に心置きなくテンションをあげて祝うことができると、安心しているのかもしれない。

 

「っておいおい、今はそんなしんみりした話をするんじゃなくて、フリアを楽しくお祝いする場だぞ!!もっと明るい話をしようぜ!!」

「そうそう。ユウリの気持ちもわからなくはないけど、リーグ期間中話せなかったことをたくさん話す場と」

「う、そう言われるとちょっと……」

「ボクは気にしていないからさ。ほら、そういうってことはホップは何か聞きたいことあるの?」

「お、良いのか聞いても?!」

「う、うん……すっごいがっつきだね……」

 

 ユウリの心配によって少しだけ落ち着いた空気を、ホップが元気よく質問を投げることで再び盛り上がる方向へと変えられていく。

 

 自分が話せるタイミングとわかったホップの目は、まるでバトルをしている時みたいにキラキラしており、ずっと聞きたくて仕方がなかったという空気をこれでもかと言う程体現していた。

 

「ずばりさ、ずばりさ!?ブリジュラス……戦っててどうだった!?」

「ブリジュラスについてかぁ……」

 

 そんなホップの興味は、今日のバトルでガラル地方の殆どの人が初めて目にした、ジュラルドンの進化系についてのものだった。

 

 今までは、少なくともガラル地方では確認することが出来ていなかったらしいその進化系の姿に、実際に戦っていたボク以外の人たちも、大きな動揺を受けていたらしい。外来からのポケモンに対して厳しい対処を取るガラル地方だからこそ、地元に元々いるポケモンとはいえ、そのポケモンの進化による新しいポケモンとの出会いというのは大きな衝撃だったに違いない。ホップも、そんな衝撃を受けた人の1人なのだろう。

 

「フリアはブリジュラスに対してそんなに驚いているように見えなかったし、すぐに特性とか理解していただろ?だから、実は知ってたりしてるのかなってさ」

「ああ、そう言う……」

 

 一方で、今回ブリジュラスと戦っていたボクは、頭の中では沢山考えてはいたけど決して口に出すことはしなかった。その様が、周りから見たらとても初見の反応ではなかったのだとか。ボクが他地方から来た人だから、元から知っていた説があるのでは?と思っての質問らしい。

 

「ボクも何も知らなかったよ。本当に初見のポケモンで、むしろジュラルドンが住んでいるこの地方でも見られたことがないってあとから聞いて、そのことに驚いちゃったよ」

「フリアも初見だったと?それであの対応力って……やっぱり流石とね……」

「うん。私だったら、『エレクトロビーム』に好き勝手されてたと思うなぁ」

「オレは『じきゅうりょく』に気づくことが出来なさそうだぞ……」

「どれも今までの経験のおかげかな」

 

 もちろんボクもブリジュラスというポケモンには初めてであったため、ホップの疑問には否定で返す。

 

 初めてのポケモンに勝つ。それは、ガラル地方のようなちょっと閉鎖的な空間では、実はかなり珍しいことなのだろう。最も、その常識は、ガラル地方の人間では無いボクにはあまり当てはまることは無い。なんせボクからすれば、ほとんどのポケモンが初めましてだからね。正直、見た事のあるポケモンの方が少なかったりする。そういう点では、ホップの感じた通り、ボクの反応というのは思ったよりも小さいと言われても納得だ。

 

「経験かぁ……こればっかりはポケモントレーナーを続けるしかないよなぁ」

 

 そんなボクの回答に、視線を宙に向けながらしみじみつぶやくホップ。それは、すぐ身につけることの出来ない技術に対して、少しだけもどかしそうにしているように見えた。ズルをしたい訳では無いけど、ホップとしても、すぐに強くなれる方法があるのなら、できる限り試してみたいと言ったところなのだろう。

 

「観察力は一朝一夕では身につかないからねぇ……その人の性格にもよるし……って、ボクが旅を始めたのも1年前だから、無茶苦茶先輩か?って言われたら、ちょっと首を傾げちゃうけどさ」

「その1年が大きか。……やっぱり強くなるには色々回ってみた方が良かと?」

 

 同じく、もっと強くなることを目指しているマリィからも、経験についての質問が飛んでくる。その横では、言葉にこそ出していないけど、ユウリも真剣な表情でこちらを見ていた。なんだかんだ、みんなもちゃんと先を見据えているということなのだろう。そんなみんなに少し感心しながら、ボクは真面目に回答を返す。

 

「ボクはおすすめするよ?実際ガラル地方に来てよかったって思ってるしね。こうしてみんなにも会えたわけだし」

「「「えへへ」」」

「何その可愛い反応」

 

 ボクの回答がそんなに嬉しかったのか、目に見えて幸せそうな笑顔をうかべる3人に、ボクもつられそうになるのをグッと堪えてツッコミを入れる。決してみんなに喜んで貰えているのが嬉し恥ずかしくて、それを照れ隠しするために突っ込んでいる訳では無い。断じて。

 

「それに、ブリジュラスって一番最初に見つかったのってイッシュ地方らしいから、もしかしたら他の地方に行っている時に、みんなの仲間の更なる進化が見つかるかもね?」

「……そっか、その可能性もあるのか!!……ってことは、どこか別の地方では、バチンウニやバイウールーももっと進化したり!?」

「夢、広がるとね」

「うん……これだけで凄くワクワクしてくるかも!!」

 

 そこから拡がっていくのはどこの地方に行きたいだとか、このポケモンに新しい進化があったらとかの、未来に向けた妄想話。その言葉全てが希望に満ちており、もはや未来の話に盛り上がりすぎて、本来主役であるはずなのにボクのことはもうそっちのけだ。けど、それでも傍から聞くだけで思わず微笑んでしまいたくなるようなお話に、自然と心が満たされていく。

 

 きっと、この明るい話も、ボクが前を走っているから、それに追いつこうという気持ちから来るものなのだろう。そう思うと、ガラル地方の未来は明るく、同時にボクも負けてられないなという気持ちになってきた。

 

(ダンデさんとのバトル……頑張るぞ!!)

 

 沸き上がる気持ちは、そのまま未来へのやる気に変換される。

 

 いよいよ、ダンデさんとのバトル。その未来へのワクワクを募らせながら、ボクはぎゅっと拳を握った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




チャンピオンリーグ編

と言うわけで、以上でチャンピオンリーグ終了です。……長かったですね。正直予想外の長さになってしまい申し訳ない気持ちです。けど、これでもそこそこ削った方だというあたり、自身の戦闘描写の構築不足が凄い気がします。書くのは楽しいんですが、流れと長さを考えるとなるとまた違った難しさがありますね。兎にも角にも、降るバトルラッシュ、ひと段落です。




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