【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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294話

 

 

『ブリジュラス、戦闘不能!!』

『よってこのバトル、フリア選手の勝ち!!』

 

 

『━━こうして今回のチャンピオンリーグに決着が着くこととなりました。いやぁ、ブリジュラスVSヨノワール。このバトルは決着がわかった今見返してみても、とても熱い一戦でしたね!!どうでしたかフリア選手。この時の感想は?』

『は、はい!!宣告された瞬間は、全然実感なんてわかなくて、頭真っ白になったんですけど……徐々に心の奥から嬉しさが込み上げて……勝った嬉しさと、ここまで頑張ってくれたみんなへの感謝が沢山積み重なって……気づいたらヨノワールに飛びついていました』

『ヨノワールに感謝の言葉を告げながら、ゆっくり抱き合うシーンは感動的でしたね!その姿に感動を受けて、思わず泣いたファンの方もいたみたいですよ?私もすごく感動しました!!』

『そ、そうなんですか!?え、えっと……ちょっと恥ずかしいですね……ですけど、そう言って貰えて嬉しいです』

『そんな感動的で、ドラマティックなシーンを見せてくださったフリア選手ですが、チャンピオンリーグ制覇者には、あのチャンピオン、ダンデ選手への挑戦権が得られるわけですが……フリア選手。数日後に行われるこのバトルに向けて、なにか意気込み等はありますでしょうか?』

『はい。ずっとここを目標にして、リーグを駆け抜けてきました。そして、その目標の前に、やっと立つことが出来ました。……ボクの夢のためにも、胸を貸してもらう、なんて甘いことは言いません。……絶対勝ちます!!勝って、夢に向かってひた走らせてもらいます!!』

『熱いコメント、ありがとうございます!!これは絶対に目が離せませんね!!という訳で、今日のゲストは、チャンピオンリーグ優勝者、フリア選手でした!!続いてこのままフリア選手には━━』

 

 テレビから流れてくるフリア君へのインタビュー。その枠が一先ずの区切りを見せたところで、俺はテレビのリモコンを操作して電源を落とした。それにより、俺の部屋の中で唯一音を発していたものがなくなり、部屋の中が無音の空間となっていく。

 

 しかし、そんな空間に響くひとつの音があった。

 

 どくん、どくん……

 

(……まいったな。もう戦いたくてうずうずが止まらない)

 

 椅子に座ったまま少し前かがみの態勢になり、両膝の上に両肘を置きながら、両手をぐっと組む。

 

 目を閉じ、つい先日行われた激闘を脳裏に浮かべていくと、この組まれた両手に無意識に力が込まれていき、この力に比例するかのように、この部屋唯一の音源である心臓の音も速くなっていく。

 

 俺はポケモンバトルが大好きだ。それも、見るよりも自分で戦うのが特に大好きだ。観戦するのも勿論大好きではあるのだが、観戦をすると自分も思わず飛び入り参戦したくなってしまうあたり、やっぱり自分は見るよりも実践をしたがるタイプなのだと思う。

 

 しかし、全ての試合でその衝動に駆られる訳では無い。玄人同士のもので綺麗な試合であろうとも、それが全力のものでなければ発作は起きないし、俺の心を震わせるに足りないものなら、俺の心が燃え上がることは無い。だが、逆を言えば、お互いの全身全霊を込めた本気のぶつかり合いであるのならば、例えそれが新人同士で、お世辞にも上手いバトルと言えないようなものでも、俺は心を震わせてしまう。ポケモンをあげたばかりの、ホップとユウリのバトルがまさにそれにあたる。あの時の2人は、初めてのポケモンバトルということで、がむしゃらにひとつの技を貫こうとするとても初々しい内容となっていた。しかし、お互い全力で挑んだその戦いはとても熱く、俺の心を震わせてくれた。

 

 ようは、バトルに込められている気持ちが大事なのだ。

 

 相手に勝ちたい。負けたくない。楽しい。もっと戦いたい。

 

 そんなポケモンとトレーナーの思いが強ければ強いほど、自然と試合は熱く燃えるものになっていき、そして同時に俺の心に火をつけてくれる。

 

 そんなどうしようもない性を背負っている俺が見た……いや、見てしまった先の試合。

 

 方やパートナーと心を繋ぎ、姿までも変えて夢を目指そうと突き進む確固たる意思を持ち、方やこのバトルのために全てを見直し、そして上の人に頭を下げてまで相棒を次のステージへ連れて行くという貪欲さを持ち、そんな両者の全力がぶつかりあった最高の試合。

 

 あんなのを見せられて、燃えない人なんているのだろうか。

 

(ああ、本当に待ち遠しいな……最近は特に、俺の心を震わせるトレーナーが多すぎる……!!)

 

 少し前までは、俺に挑んでくるトレーナーなんてキバナしかいなかった。勿論キバナとのバトルはとても楽しい。彼自身が素晴らしいトレーナーだし、本気で俺を倒そうとぶつかってくる彼とのバトルはいつも心が踊っていた。しかし、逆に言えば俺とそれだけ戦ってくれているのはキバナくらいしかいなかった。たまにメロンさんやポプラさんが勝ち上がり、俺の相手になることがあったりもしたが、やはり確率は高くはなく、8割以上はキバナが対戦相手だったと思う。

 

 ここまで固定されてしまえば、彼には失礼かもしれないが、さすがに少しは別のトレーナーとも戦ってみたいという気持ちが芽生えても、ちょっとくらいは許して欲しいという気持ちがあった。

 

 そんな若干マンネリ化が進んでいた俺のトレーナー人生の中、去年のリーグで転機が訪れた。そう、ユウリ君の兄であるマサル君の登場だ。

 

 マスタード師匠の推薦のもと参戦した彼は、当時の参加者の中では目を見張るものがあり、そのままジムチャレンジとリーグを駆け抜け、俺に挑んできた。

 

 結果としては、このバトルでも俺は勝利を収めることが出来た。しかし、俺の想像を遥かに超えて挑んできた彼の実力は本物で、下手をすれば今この席にいるのは俺じゃなかったかもしれないと思わせるほどの物だった。久しぶりにキバナ以外の相手と、ここまで楽しいバトルができたのが本当に新鮮で楽しくて。あの時の感動と興奮は、今でも覚えている。

 

(その興奮を……また味あわせてくれるのか……!!)

 

 マサル君に引き続き、2年連続で起きたジムチャレンジャーからの突破者。ともすれば、再び現れた自身の足下を崩しかねない、可能性を多分に秘めた他地方からの挑戦者。

 

(ああ……本当に……楽しみだ)

 

 徐々に止まり始めていた自身の時計の針が、また動き始めたのを感じる。

 

 この疼きを解放できる今度の試合が、とてつもなく待ち遠しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついに……ついに来ちゃったね……」

「はい。目標もしっかりと確認できていますし、そのためのルートも構築済みです。当日の計画にはしっかりと間に合うかと」

「さすがの手際だね。頼りにしているよ」

「はい」

 

 ナックルシティの地下施設。関係者以外お断りの超機密地点にて、2人の人間が会話をしていた。

 

 方やスーツ姿と整えられた髭が特徴的な、少しだけふくよかな中年男性。方や白いリクルートシャツの上から赤いチューブトップ、黒のタイトスカートにストッキングと黒いハイヒール、白衣を上から羽織るという出で立ちをした女性という、組み合わせとしては少し不釣り合いのようにも見える2人は、今いる空間の中心にて、目覚めのときを待っているひとつの存在の前に並んで立っていた。

 

「1度起きてしまった時に使ってしまったねがいぼしのパワーも、ダイマックスアドベンチャーの施設のおかげで補給は充分。想定外のことはあれど、やはり想定通りの時間にこの子は起きることになるだろう」

 

 その視線の先には、龍の骨格そのものと言われても納得できるほど、異質な姿をしたポケモンが鎮座しており、そのポケモンに向かって、ねがいぼしより抽出されたエネルギーが注がれ続けていた。

 

 注がれる度に脈を打つその様は、彼らの言うとり、もうじきその存在が完全に目を覚ますことを予見させていた。

 

「この子を目覚めさせ、そして制御下に置くことが出来れば、ガラル地方の寿命がぐんと伸びる。私の愛するこの地はさらに繁栄する」

 

 そんな存在を前にして、男は表情を変えずにゆっくりと、しかしそのぶん声に気持ちを乗せて呟いていく。

 

「しかし、()()()()()()()()()()()()()

 

 1歩、また1歩と、その存在に向かって歩みを進める男は、徐々に感情を大きくしながら言葉を続けていく。

 

「確かに、このポケモンを制御出来れば寿命は伸びるが……それだけだ。未来の結果が変わる訳では無い。それではダメなのだよ」

 

 言葉を続けながら、ポケモンが閉じ込められている円柱のガラスの目の前にたどり着いた男は、そのガラスの手を添えながら、自身の見てきたものを思い出す。

 

「あんな未来を、私は認める訳には行かない。私が愛してやまないこのガラル地方が、あんな結末を迎えるなんて、あってはならないのだ……そのためにも……」

 

 一通り、自身の記憶を振り返った後に、男は横にあるモニターに目を移す。

 

「君の力が必要なのだよ」

 

 そのモニターには、4人の子供が映っていた。

 

 2人の少年と2人の少女が仲睦まじく話している姿はとても微笑ましく、きっと、男自身がいつも通りの状態であるのならば、この光景を見て微笑ましい感情に埋まっていたことだろう。きっと、彼ら彼女らのことを、我が子のように見守っていたであろう。

 

 しかし、今の男の瞳には、この4人の仲睦まじい姿は映っていない。この男の視線が注がれている場所はただ1つ。

 

 少女が大切そうに抱えている、星空のような煌めきを内包した、小さな雲のようなポケモン。

 

「……コスモッグ」

 

 そのポケモンの名前を呼びながら、男は決意をどんどん深めていく。

 

「君さえいれば、ガラル地方は未来永劫存在し続けることの出来る最高の街へと成長するのだ」

 

 傍から見たら、何かに取り憑かれているのではと疑ってしまいたくなるほど怪しい光を宿したその瞳を暗く光らせながら、男は自身の道を信じて歩こうとする。

 

「きっと、その過程でとても大変なことが起こってしまうだろう。しかし……」

 

 その男の歩みを止めるものはいない。唯一男以外の存在としてそばにいる女も、男の行動こそが正しいと信じているため、止める気配は一切ない。

 

「私の愛する地方に住むみんななら、乗り越えられると信じているよ」

 

 そんな彼らの歩みは、ゆっくり、しかし確かに、大きな転換期へと向けて進んでいく。

 

 果たしてその道の先に待つのは、希望に溢れた白い明日なのか、はたまた、絶望に塗れた黒い夜のなのか。

 

 その答えを知る時は、もう目前にまで迫っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?今、誰かに……?」

 

 どこからともなく視線を感じた私は、ふと後ろを振り返ってみる。しかし、そこには誰もおらず、それと同時に見られているような感覚も消えていき、ここ最近はずっとお世話になっているホテルの一室が広がっているだけだった。

 

「……気のせいかな?」

「ぴゅぴゅい?」

「ふふ、なんでもないよ」

 

 いつもと変わらない光景であることを確認した私は、私の腕の中で不思議そうに声を漏らしたほしぐもちゃんに、安心させるように声をかけながら、ゆっくりとベッドに腰を下ろしていく。

 

 今日は私、ホップ、マリィ、そしてフリアという、いつものメンバーでシュートシティをプチ観光していた。今となってはちょっとした有名人である私たちなので、服装を変え、帽子を深く被ったり、メガネをかけてみたりしてちょっとだけ変装紛いなことをして行った観光なのだけど、これがまた楽しくて、4人で小さく盛り上がりながらあちこちへと足を運んでいた。

 

 フリアはまだダンデさんとのバトルという1番大きくて、大切なバトルが後に控えているのだけど、リーグが終わった開放感と、連戦を続けてきた身体と心の休息のため、タイミングや時期が悪くてまだ行うことが出来なかったシュートシティ巡りを、せっかくだからこの際にやろうと言うことで計画された今回のお散歩は、とてもまったりと、それでいて凄く楽しい時間を過ごすことが出来た。

 

 何をするにしても楽しいこの4人なら、どこに行っても楽しめる、そんな予感を感じさせる素敵な時間だった。美味しいものを食べ、ブティックで服を選び、ガラル地方1の街をのんびり堪能した今日は、とても充実した1日となった。時間や注目度の関係上、遊園地の方には行けなかったのは少し残念だけど、それはまた今度の楽しみということにしよう。

 

 さて、こうして今日のことを振り返ってみて、ついつい思い出し笑いを浮かべてしまう私なんだけど、実は大きな問題を抱えていたりする。

 

「どうしよう……完全にタイミングを逃している……」

 

 それは、ガラルリーグが始める前に、私がフリアに向かって放った言葉。

 

『もし、私とフリアが戦って、その結果を見て、私自身が成長を感じることが出来たのなら、私からの大切な言葉を聞いてもらっていいですか?』

 

 正確には恥ずかしがったり、どもったりしたせいで、この言葉と一言一句同じことを言ったという訳では無いのだけど、要約するとこのような言葉を私はフリアに伝えている。この言葉に対してフリアは言葉こそ返してはくれなかったけど、首を縦に動かして、態度で肯定してくれていた。きっと、急に私が変なことを言ったから呆気にとられ、けど無視する訳には行かないから、何とか反応しなきゃという考えからの行動だと思う。

 

 そしてその約束の時を迎え、フリアとぶつかり合い、そして敗北した私は、自身の成長はすごく感じ、同時に覚悟も決まった。まだ隣に立てると自惚れるつもりは無いけど、それでもこの気持ちに嘘はつけないし、今の私なら、少なくとも思いを告げ、後ろをついていけるくらいの人にはなれているのではないかという自負がある。

 

 だから、あとはこの約束の通り、フリアに向かって大事な話をするだけ……なんだけど……

 

「うぅ、タイミングが無い……」

 

 現実はそんな甘くは無い。今の状況を振り返れば、ガラルリーグどころか、チャンピオンリーグまで終わってしまい、残すはダンデさんとのバトルのみという状態になっていた。にも関わらず、私は未だにフリアに、その『大事な話』というのを告げられずにいた。

 

 理由は簡単で、フリアの邪魔をしたくないから。

 

 リーグ期間中は短期間でバトルが行われ、しかもその相手が誰も彼もとんでもない実力者ばかりだ。間に休息日があるからと言って、その間もしっかり準備をしなければ、次の対戦相手に普通につぶされてしまう。そういう意味では、休息日と言うよりも調整日という側面が強く、実際私も決勝戦まで残っている時は、休息日は休みと言うよりも座学に時間を当てていた。そうなって来ると、本当に休める時間と言うのは実はほとんどなかったりする。

 

 特に、このリーグがトーナメントである以上、勝ち残れば勝ち残るほど次に戦う相手はより強い人になるのだから、尚更本当に休める時間と言うのは減っていたりする。ここ最近フリアが休みに付き合ってくれていたのも、単にリーグ中に比べて試合と試合の間が少し長めに取られているからだ。その期間と言うのも、数日増えているだけという話だから、明日からまたフリアはダンデさん対策のためにいろいろ準備を進めることとなるだろう。そうなれば、再び話す機会というのがなくなってしまう。

 

「う~ん……ここはいっそ、全部終わってからの方がいいのかなぁ……でもそれだとまたずるずる先延ばしに……下手したらフリアにこのことを忘れられる可能性も……」

 

 どのタイミングで話を切り出すのが最適なのかで迷ってしまう私。覚悟こそできてはいるんだけど、その覚悟も、時間が経てば薄くなっていきそうな気がして、そうなるくらいなら早く喋ってしまいたい。しかし、そうなるとどうしてもフリアの挑戦の邪魔をしてしまう可能性が出てきてしまう。

 

 自分の気持ちは伝えたいけど、それ以上にフリアの邪魔をしたくない。フリアの夢を知っているのであれば、その考えは尚更強く、そして根深く張り付いてくる。

 

「うん……もう少し我慢しよう。大丈夫。今まで何週間も待ったんだもん。あと数日待つだけなら、なんて事ない」

 

 結果、フリアの邪魔をしたくないという気持ちが勝った私は、一旦この気持ちに蓋をすることを決め、今はとにかくフリアを応援することに全力を注ごうと決めた。

 

「頑張って……フリア……!!」

 

 小さく、本人には聞こえない、けれど心からの声援を空中に溶かした私は、その言葉を発したことにどこか満足感を得る。

 

 今はこれでいい。少なくとも、この判断を間違えたとはひとつも思わなかったから。

 

「ぴゅい~……」

「あ、ほしぐもちゃん、もう眠たいの?……ってもうこんな時間!?」

 

 そんな満足感に数分ほど浸っていたら、私の腕の中から可愛らしい声が聞こえたので、そちらを見ると、首をかくん、かくんと動かすほしぐもちゃんの姿があった。大変可愛らしく、そして眠そうなその姿を見て時計の針を確認すれば、もう日付は回っており、夜もなかなか深い時間になっていた。

 

「ごめんねほしぐもちゃん。もう寝てていいからね?」

「ぴゅ~い~……」

「ふふ、可愛いなぁ……って私も早く寝る準備しないと……」

 

 既に半分夢見心地なほしぐもちゃんにまた時間を取りたくなる気持ちをグッと堪えて、すぐさま寝る準備を進める私。明日は明日で、観戦しに来ているらしいシロナさんたちとの予定があるので、遅れないように準備をしておかなくてはいけない。とは言っても、お風呂も歯磨きもスキンケアも、大事なことは全て済ませてあるので、やることは本当にちょっとした荷物の整理くらいだ。おなじみのカバンを開き、中身が大丈夫なことを確認して、ホテルのふかふかのベッドに身を沈めるだけ。その過程を終えるのに、数十分もかかることはなかった。

 

「よし、じゃあおやすみなさい」

「ぴゅぅ……」

 

 その頃には既にほしぐもちゃんは完全に夢の中へ飛びこんでおり、私の声なんてひとつも届いていない状態になっていた。そんなほしぐもちゃんの頭を優しく2回なで、ようやく私も身体を横に倒し……

 

「……なんだろう、やっぱり変な気分になる」

 

 先程も感じた誰かに見られているような、嫌な予感を感じて身体を起こしてしまう。が、その嫌な予感は、先程と同じようにすぐに消え去ってしまい……

 

「……?本当になんなんだろう?疲れてるのかな……?」

 

 心に変な引っ掛かりを覚えるけど、結局私にはどうしようもできないから、また身体を倒して、今度こそ睡眠の態勢へ。

 

「何事も……ありませんように……」

 

 思わずそんなことを呟きながら、私はほしぐもちゃんを追いかけるように、夢の中へと旅立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1年に1度、ガラル地方で行われる祭典、ジムチャレンジ及び、その突破者たちを交えたガラルリーグとチャンピオンリーグ。長い期間を設けて行われたこの行事も、いよいよ最後のタイトルマッチを残すだけとなる。

 

 待ち構える最強のチャンピオン。

 

 そのチャンピオンに挑む、夢に目掛けてひた走る少年。

 

 盛り上がるこの街を見て、なおさらこの作戦を成功させなければと闘志を燃やす男性。

 

 自分の気持ちを抑え、この祭典の結末を祈って待つ少女。

 

 数多の思考、思い、祈り、願いが複雑に交差していくこの街は、程なくしてついに、その時を迎える。

 

「ふふ、リザードン……気合いは十分か?」

 

「行こうヨノワール。今度こそ、追いつくんだ!!」

 

「おはようほしぐもちゃん。今日は応援頑張ろうね!」

 

「さぁ、目覚めのときだ……ムゲンダイナ……!!」

 

 フリアVSダンデが行われる日。

 

 幾人もの思考が重なるそのターニングポイントは、果たして、どのような結果を迎えることになるのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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