【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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第6章 ブラックナイト
296話


 突如シュートスタジアムの全てのスクリーンに映し出された満面の笑顔。その笑顔の持ち主は、このガラル地方に住む人なら誰しもが知っている人だった。

 

「ローズ委員長……?」

 

 その正体は、このガラル地方のリーグ運営を担っている会社のトップ、ローズさんだった。

 

 いよいよチャンピオンタイトルマッチが始まると言ったこの瞬間に、急に行われたこのサプライズに、この会場にいる8割くらいの人は喜びの声を上げ、2割くらいの人は困惑の声を上げながらも、少し期待しているような視線を向けていた。おそらく、つい先日ポプラさんが似たようなことをしていたため、今回も何か面白いことが起きるのではないかという期待を内包した行動なのだろう。それに、例えそういったものが無かったとしても、リーグの責任者として、バトル前になにか一言告げるというのは特に不自然な話ではない。だからこそ、ここにいる人は誰もがこの現象について疑問に思うことは無い。

 

 隣にいるダンデさん以外は。

 

「ローズ委員長……ッ!!」

「ダンデさん……?」

 

 ディスプレイに映るローズ委員長に向かって、これでもかというほど苦い顔を浮かべるダンデさん。そんな表情を浮かべるダンデさんなんて見たことがなく、困惑してしまったと同時に、今が決していい状態では無いことを悟ったボクは、心の中の不安が一気に膨らんだのを感じた。

 

(この感覚……まるでテンガンざんの時みたいな……)

 

 もはやバトルどころではなくなったボクたちは、視線を真っ直ぐディスプレイへ向け、ローズ委員長の言葉と動きをまっすぐ見つめる。

 

 決して、この人の一挙手一投足を見逃さないために。

 

『いやぁ、盛り上がっているねぇガラルリーグチャンピオンのタイトルマッチ。主催者側として、ここまで盛りあがっているのは本当に嬉しく思うよ。私自身、とても鼻が高い。……しかし残念だ。それだけに、今日この日の出来事を、ブラックナイトで上書きしなければならないという事実が……』

「ブラックナイト……それってソニアさんが調べてる、ガラル地方の伝承の……っ!?」

 

 ローズ委員長から告げられた、大昔にガラル地方を襲った厄災の名前。なぜ今ここでその名前が出てくるのかを考えようとした瞬間に、シュートスタジアムを……いや、ガラル地方全体を襲う大きな地震が発生した。

 

「な、何が……」

「フリア君!!危ない!!」

「うわっ!?」

 

 立つことすらままならない大きな揺れに戸惑い、その場で倒れそうになっているところに、慌てて駆けつけてくれたダンデさんが、そのままボクを抱き上げながら、バトルコートの中心から離れるように走った。すると、ボクたちが中心のサークルから離れた瞬間に、その位置から太く、強く、大きな赤い輝きが、天に向かって真っ直ぐ突き立っていく。

 

 もしダンデさんがボクを助けてくれなければ、ボクはあの光に飲み込まれていただろう。その結果どうなってしまうかは分からないけど、きっといい事は起きないはずだ。そのことを想像するだけで、少し身体が震えてしまった。

 

「大丈夫か、フリア君!!」

「は、はい。お陰様で……ありがとうございます……!!」

 

 しかし、今はifのことを考えて震えている場合では無い。自身の無事を確認できたボクは、視線を再びディスプレイへと向ける。するとそこには、シュートシティ以外のスタジアムが映し出され、その全てから同じような赤い光が空へと伸びていた。

 

 その光はどうやら相当強いみたいで、映像で確認して直ぐに、それぞれのスタジアムのある方角へ目線を向けると、ここからでも視認できるほど高く伸び上がる赤い光を確認できた。

 

(これ、下手したら宇宙まで伸びてるんじゃあ……)

 

『ダンデ君。君が素直に話を聞いてくれていれば、このようなことにはならなかったのにね。実に残念だ』

「ローズ委員長!!何故こんなことを!!」

『そのことに関しては何度も伝えているはずだよ』

 

 赤い光に目を奪われていたボクの横で、ダンデさんがローズ委員長と会話を繰り広げる。どうやらダンデさんは、この件について全く知らないという訳では無いらしい。けど、珍しく怒りの感情を表にしながら叫ぶその姿から、この状況が本意では無いことが伝わってくる。おそらくダンデさんは関係ないのだろう。

 

『ガラル地方は、この赤い光、ダイマックスエネルギーを活用して栄えた街だ。しかし、このエネルギーだって無限ではない。いつか必ず底をついてしまう』

 

 そんなダンデさんの気持ちをまっすぐぶつけられたローズさんは、しかし何一つ表情を崩すことなく言葉を続けていく。

 

『私はその事実が耐えられない。大好きなガラル地方には、永遠に栄えていただきたい。だから、このダイマックスエネルギーを生み出すこのポケモンの力を制御したいのだ』

 

 そして画面は、ナックルスタジアムへ変わっていき、そこからおそらくナックルスタジアムの地下と思わしき所へ移動。ガラスの柱がいくつも並んでいる少し不気味な空間が映し出され、その中心に、まるで龍の骨を思わせるような、大きく、そして黒いポケモンが、今まさにガラスの管を壊して外へ飛び出そうとしていた。

 

「何、あのポケモン……わわっ!?」

 

 映像に見入っていたら、再び発生する大きな地震。その揺れが起きたと同時に、画面の中のガラスが打ち砕かれ、中のポケモンがその地下施設の天井を突き破り、外へ飛び出していく様が映し出された。

 

 それはまるで、この地震の原因は自分だと吠えているようにも見えた。

 

 そして変化はそれだけに収まらず、そのポケモンが空に飛び出したと同時に、空の色が赤黒く変色していき、あれだけ綺麗に輝いていた空が、一気に暗く染っていく。

 

「これが……『ブラックナイト』……」

「くっ……ローズ委員長!!」

 

 場の空気が一気に変わってしまったことにより、観客席から困惑の声が上がるけど、今はそちらに対応している暇は無い。と言うより、できるほどの余裕が無い。未だにこの状況を理解しきれていないボクは、まだ少し何かを残していそうなローズ委員長の話に耳を傾けることしか出来ない。

 

『ダイマックスエネルギーを生み出しているポケモン、ムゲンダイナ。彼の力を制御下に置くことが出来れば、多大なエネルギーを手に入れることが出来る。実に素晴らしいことだ。しかし、彼1人の力では、私は()()()()()()()()。ではどうすればいいのか……答えは至って単純だ』

「……え?」

 

 誰に伝えるでもなく、独り言のように言葉をこぼすローズ委員長。そんな彼が言葉を紡ぎながら、右手で小さなカゴを持ち上げ、その中身を見せつけるように突き出した。

 

『ぴゅい……』

「あのポケモンは……なんだ?」

「ほしぐもちゃん!?なんで!?」

 

 カゴの中身に囚われていたのは、ボクたちの大切な友達であるほしぐもちゃん。

 

 ユウリが大切に抱えていたはずの子が、なんでローズ委員長の手元にあるのか分からなかったが、それ以上に急激に嫌なよ感がしたボクは、ディスプレイに向かって叫ぶ。

 

「ほしぐもちゃんに何をする気ですか!!」

『ほしぐもちゃん?ああ、このコスモッグのことかい?彼には、私の願いの最後の仕上げをしてもらうんだよ』

『ぴゅ、ぴゅい!?』

 

 ローズ委員長のその言葉と共に、ねがいぼしのエネルギーがほしぐもちゃんにも供給され始め、同時にほしぐもちゃんから驚きとちょっとした苦しみを伴ったような声が聞こえた。

 

 同時に観客席から、ユウリたちの叫び声も聞こえてくる。

 

『さぁ、コスモッグ。君の能力を、私に貸してくれ』

 

 しかし、ボクたちの声を無視してローズさんの儀式は続いていく。

 

 徐々に赤い光を吸収していくコスモッグは、その身体を白く発光させ、小さな身体に溜め込まれた不思議な力を解き放つ。

 

『ぴゅい〜〜〜ッ!!』

 

「ほしぐもちゃん!!」

 

 一際大きな声と共に、真っ白な光が画面を多いつくす。この光のせいで画面の奥で何が起きているのかを視認することは出来なくなったが、その代わりとでも言わんばかりに、今度はこちら側で異変が起きた。

 

「あ、あれは……!?」

「なんなんだ、あの穴は……」

 

 空中の至る所にぽっかりと空いた青白く光る穴。これを初めて見るダンデさんは、この穴に対して困惑した声を上げるけど、ボクたちはこの穴の正体を知っている。

 

 ヨロイ島やカンムリ雪原で、ズガドーンにデンジュモク、スイクンたちが通ってきたあの不思議な穴。その名前は━━

 

「ウルトラホール……!!」

 

 別の世界線からポケモンや、ウルトラビーストたちが通ってきたその穴が、ガラル地方の上空の至る所に開けられていた。

 

『おお、これがウルトラホール……!!これが平行世界への入口……!!』

 

 突如沢山現れたウルトラホールに呆気にとられていると、いつの間にか光が収まっており、ディスプレイを再び確認できるようになっていた。そこには、上空と同じく地下施設にも同じように空いていたウルトラホールを見て嬉しそうな声を上げるローズさん。

 

 そしてその横には、まるで眠るように目を閉じ、そして雲のような柔らかい身体を、繭のように硬い殻に閉じ込めて、微動だにせずに、檻の中に捕まったまま地面に横たわったほしぐもちゃんの姿。

 

「ほしぐもちゃん!!」

 

 その姿を見て必死に声をかけるけど、あの元気で明るい返事は一切ない。死んでしまっているようには見えないけど、あれだけのことをした結果の姿に、とてつもない焦燥感が身を襲ってくる。

 

 同時に、少しずつ心の中をせり上ってくる、ローズさんを許せないという気持ち。その気持ちを表すかのように、ボクの拳がどんどん力強く握り込められる。そして、ボクと同じことを思っているらしい手持ちのみんなもまた、ボールをカタカタと揺らしながら、意志を表明していた。

 

『ようやくだ。ようやく悲願が叶う……!!』

 

 けど、画面の奥のローズさんにこの気持ちは届かない。もはや中継していることすら忘れているのではないかと思われるほどウルトラホールに目が釘付けとなっているローズさんは、少年のように純粋な笑顔で、独り言のように言葉を重ねていく。

 

『ムゲンダイナ1人では、ガラル地方のエネルギーを永遠にまかないきれないかもしれない……ならどうすればいいのか。至極簡単だ』

 

 そんなローズさんの言葉に呼応するように、画面に映ったウルトラホールがその輝きを増していき、今まさに、その穴を通ってポケモンが外に飛び出そうとしていた。

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ムゲンダイナを、()()1()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ギュアアアァァァッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?」

「ムゲンダイナが……もう1人……!?」

 

 輝くウルトラホールから飛び出したのは、先程ナックルシティの地下から飛び出したムゲンダイナと呼ばれたポケモンと同じ姿をしたポケモン。但し、全く同じという訳ではなく、地下に佇んでいた黒色の骨格をしてた1人目とは違い、2人目のムゲンダイナの体色は、ダイマックスエネルギーと同じ赤色の骨格で構成されていた。言うなれば、色違いムゲンダイナというものだろう。

 

 突如2人に増えた、厄災を呼ぶポケモン。その姿を確認できたローズさんは、恍惚な笑みを浮かべながら、最後の言葉を述べていく。

 

『2人のムゲンダイナ……この両者を従えることが出来れば、今度こそガラル地方は未来永劫栄えるはずだ。その分、ブラックナイトはより激しく、苦しい試練となってガラル地方襲う事となるだろう。しかし、私は安心して待っていられる。何故なら、ガラル地方にはこんなにも優秀なトレーナーが沢山知るのだから!!だから、みなさん……』

 

 言いたいことはほとんど伝えた。そのことに満足感を抱いた様子のローズさんは、ゆっくりとカメラに目線を向けながら、慈愛に満ち、それでいて狂気と言っていいほどの愛情を内包した声によって、この中継を締めていく。

 

『ガラル地方の未来のために奮起し、この夜を乗り越えることを、期待しています』

 

 その言葉と同時にディスプレイはプツンと切れ、一瞬だけ全ての音が消えた無音の空間ができあがり、ズドンという大きな地響きが巻き起こると同時に音が再始動。観客席からパニックが広がり、悲鳴と怒号が鳴り響く地獄空間が作り上げられた。

 

「何とかせねば……フリア君!!」

「はい!!」

 

 この様子を見たダンデさんは、苦い顔を浮かべながら、しかし自分のするべき事をすぐに見極め、ボクに向かって声をかけてくる。それに対してボクは、次の言葉を何となく予想しながら返事を返す。

 

「他地方から来た、しかも未成年である君に頼むのは本当に心苦しいが……このガラル地方を救うために、力を貸してくれないか?」

「勿論です!!」

 

 そして予想通りのお願いを投げてきたダンデさんに対して、ボクはノータイムで答える。

 

 大昔にガラル地方を襲った絶望の夜を超えるために戦いが、幕を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、とりあえずこのスタジアム内の人たちの避難は終了したみたいだね」

「テレビ局への連絡も入れておいたから、緊急時の対応についても直に広まると思うわ」

「アーマーガアタクシーや、ジュンサーさんたちへの連絡もしときましたわ。これから各町の民家に住んでいる人たちの避難誘導も、連携をとって行うみたいですよ」

「それは良かったです!!3人とも、ありがとうございます!!」

 

 ローズさんによって突如引き起こされた厄災、ブラックナイト。その夜が起きるきっかけとなった中継が終わったと同時に、ダンデさんとボクは、すぐさま控え室に戻って服を着替え、シュートスタジアムのロビーに戻ってきた。すると、ロビーには既にカブさん、ルリナさん、ヤローさんが待っており、これからどうするべきかの相談をすぐさま持ちかけてきた。

 

 対処が早い3人の行動に感謝をしながらダンデさんが行ったのは、情報の拡散と避難誘導に伴う足の確保だ。このスタジアムの中にいる人ならまだ避難は楽なのだが、問題はこのスタジアムにおらず、自分の家で過ごしたり、この間もお仕事に精を出している頑張りやな人たちの避難についてだ。

 

 このブラックナイトという現象は、当然ながらガラル地方の全てを巻き混んで起きている。そして、このブラックナイトによってダイマックスエネルギーが至る所から溢れ出したことによって、ガラル地方の全ての場所で、野生や、ウルトラホールから出てきたポケモンが急にダイマックスして暴れだしていると言う状態になってしまっている。これがポケモンバトルに精通している人ならまだ対処は出来るかもしれないけど、みんながみんなそうという訳じゃない。もし一般人が、このダイマックスポケモンの暴動に巻き込まれてしまえば溜まったものでは無い。だからこそ、ダンデさんは足の確保も同時に行うようにしようと提案したというわけだ。この作戦に全面的に賛成だったカブさんたちは、すぐさま行動を開始し、連絡を入れ始める。

 

 では、それに対してボクとダンデさんが何をしているのかと言われると、それは自身のスマホに登録されている人たちに連絡を入れて、協力してくれる且つ、このスタジアム近辺にいる人をこのロビーに集めるというものだ。

 

 今このスタジアムにはたくさんの人が集まっている。ガラル地方で名をはせているトレーナーは勿論、他地方から有名な人も来ており、そういった人たちに集まってもらい、作戦をしっかり組み立てることで、ガラル地方のどこを誰に守ってもらうかをスムーズに考えていこうという魂胆だ。

 

 その結果、今ボクたちがいるロビーにはそうそうたる面子が集合しており、そしてたった今カブさん、ルリナさん、ヤローさんから連絡を通し終えたという報告を終えたのが、あの冒頭の話と言うわけだ。

 

 集まったのは、ポプラさん、ビート以外のジムリーダーに、シロナさん、コクランさん、カトレアさん。そしてホップ、ユウリ、マリィ、ソニアさんに、ジュン、ヒカリというメンバー。ボクにとっては全員知っている顔なうえほぼ全員がジムリーダー以上の実力を持っているという精鋭部隊だ。

 

 このメンバーなら、きっと乗り越えられるという安心感を凄く感じる。

 

「よし、それではまずは今このガラル地方がどうなっているかの現状把握をしていこう」

「そこについてはあたくしから話すわ……」

 

 全員の顔を確認して満足そうに頷くダンデさん。そんなダンデさんから次にしようと提案されたのは現状把握。今ガラル地方で、どんなことが起きてしまっているかの再確認をみんながいる前で行うことで、この後の作戦決めを円滑に行いたいという考えからの行動だ。

 

 これに対して手をあげて視線を集めたのはカトレアさん。目を瞑りながら、長い髪をふわふわとたなびかせているところを見るに、サイコパワーを活用していろいろな場所を遠視しているのだと思われる。そのことを理解したダンデさんは、首を頷かせることで是とし、カトレアさんに説明を促した。

 

「ウルトラホールが開いている場所について手短に話していくわよ……バウスタジアム以外のスタジアムに1つずつ……ヨロイ島の道場付近に1つ……カンムリ雪原のフリーズ村付近に1つ……そしてワイルドエリアのいたるところに複数……と言ったところね……いえ、待って……スパイクタウンの入り口にも1つ……今開かれたわ……そして最後……おそらくこのブラックナイトの元凶である2人のムゲンダイナ……彼らはナックルスタジアムの屋上で構えているみたいよ……ふぅ……」

「お疲れ様です、お嬢様」

 

 相当な力を使ってガラル地方の現状を大雑把に見通したカトレアさんは、小さくため息をつきながら、コクランさんから飲み物をもらって一息つく。

 

 始めて目の当たりにする他地方の四天王の能力に、ガラル地方のジムリーダー組は少し驚いた表情をするものの、そこはさすがの実力者たち。すぐに意識を切り替えて、意見を交換し始める。

 

「思ったより多いな……ジムの方は何とかなりそうだが……」

「ヨロイ島とカンムリ雪原、そしてワイルドエリアの方が怖いわね……」

「誰がどこに行くのか、しっかり決めておかないと被害が大きくなりそうですね」

「そこに関しては私が一任していいかしら?」

 

 キバナさん、メロンさん、ネズさんが、カトレアさんからの位置情報を聞いてすぐに問題点を洗っていく。

 

 各スタジアムの問題については、ここにいるジムリーダーたちが帰ることで何とかなるだろう。問題はスタジアム以外に出来上がってしまっているウルトラホールの対処だ。

 

 このウルトラホールからいろんなポケモンたちが飛び出し、さらに一部がダイマックスしてしまって暴れている今回の事件を抑えるには、根本であるウルトラホールを抑える必要があるのだけど、さすがに全部を抑えられるほどの人数は確保できていないため、必ずどこかが空いてしまう事となる。なので、誰をどう配置するかが大事になって来るのだけど、ここに手をあげたのがシロナさん。元チャンピオンとして、いろいろな問題を解決してきた経験のあるシロナさんは、カトレアさんからの報告を受けてすぐさま取るべき作戦を組み立てあげていたらしく、その考えを伝えて来る。

 

「まずは各ジムリーダーの方は自分のジムを守りに行ってください。穴がないバウタウンも、ワイルドエリアからバウタウンへのアクセスがあるでしょうし、スタジアムから出ている赤い光の管理も頼みたいのでお願いします。アラベスクスタジアムについては既にポプラさんが対処しているみたいなのでここは大丈夫。ヨロイ島についても、先ほどマスタードさんの門下生たちが対処できているという報告を受けているからこちらもOKね」

 

 まずは比較的対処がしやすい箇所について説明するシロナさん。ここに関してはみんな異論がないようで、頷いて続きを促す。シロナさんもこうなるのがわかっていたのか、特に気にすることなく続きを話した。

 

「次にカンムリ雪原。こちらは私とカトレア、そしてコクランが対処するわ。ダイマックスアドベンチャーの穴が近いことを考えれば、少し多めに戦力を投入した方がいいでしょう?」

「ああ、納得の意見だし、シロナさんたちにそこを担当してもらえるのなら、俺としても心強いです」

「任せてください。かわりにダンデさん、あなたにはムゲンダイナへの対処をお願いしたいです」

「こちらに関しても了承だ。今回の件、俺にも少なくない非があります。その責任は、俺がとります」

 

 次いで決まるのは、カンムリ雪原とムゲンダイナの対処。ここには2人のチャンピオンと、フロンティアブレーンに四天王という強力なカードを切ることで対処する。攻撃の特に激しい可能性のある場所と言うのを考えると、この采配もかなり納得のいくものだ。

 

「うん、今のところ疑問になる点はないようね。では、次にフリアたちお願いしたいことを伝えるわね」

 

 そして遂に振られるボクたちの役割。

 

 どこ行くことになっても、おそらく重要なことを任せられるだろうシロナさんからの指示に、知らないうちに緊張が走り、ボクの拳がぎゅっと握られる。

 

 暗く深い夜を、絶対にみんなで乗り越えるため、ボクはシロナさんからの言葉を絶対に聞き逃さないように、集中して耳を傾けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ほしぐもちゃん

姿が変わり、エネルギーが解き放たれ、世界中にウルトラホールが開きました。その反動で、今は眠るように目を閉じています。

ムゲンダイナ

開かれたウルトラホールより登場色違いムゲンダイナ。さらにウルトラホールから一般ポケモンも追加で迷い込んでくるため、襲い掛かって来るポケモンの数が増えています。単純に物量がすさまじいですね。もしぐもちゃんの影響で1つ難易度が上がっています。




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