【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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お待たせしました。今日より、またいつも通りの感覚で投稿できると思います。

では、続きをどうぞ。







298話

「……」

「……」

 

 ダイマックスポケモンと、その進行を止めるために抗戦するトレーナーたちの声が鳴り響く戦場で、しかしその一角では、まるでそこだけ別世界に隔離されているのではないかと言うほど音のない、静かな空間が出来上がっていた。

 

 その空間を作り出してしまっているのは、ボクとコウキ。

 

 同じ目標、同じ夢を掲げて歩き、そして駆け抜けきってしまった人と、挫折をしてしまった人。

 

 方や、気づけば周りに人がいないことに心が折れ、方や上との差の開き具合に心が折れ、足を止めてしまった2人は……いや、今コウキが何を考えているのかはさっぱり分からないため、あくまでもボクの視点のみでの話だけど、少なくともボク自身は、急に起きてしまったこの再会に対して、言葉を発することが出来ずにいた。

 

 それはジュンとヒカリも同じようで、いつもなら『だいじょうぶ、だいじょうぶ!!』や、『遅いぞ!!遅れたんだから罰金5000万円な!!』と明るく口を開く2人も、この瞬間はじっとボクたちのことを見つめていた。

 

(……何を言えば、いいんだろう)

 

 頭の中に渦巻くのはたくさんの言葉。

 

 ごめんなさい。久しぶり。おはよう。見ない間に成長したね。

 

 久しぶりに出会った人と人が、まず最初に交わすとされている代表的な言葉の数々は、しかしこの場においてはどれも適切では無い気がして……しかし、だからといってこの場に相応しい言葉は何かと問われても全く答えが出ることはなく、ボクの口は結局、金縛りにでもあったかのように動かない。

 

 そしてその時間は徐々に、ボクの心をマイナスの方向へ持っていこうとし始める。

 

(恨まれてないかな……呆れられてないかな……『おれを置いて何ひとりで楽しんでいるんだよ』とか言われたら……)

 

 出会いの言葉が通り過ぎた後に頭に現れ始めたのは、ボクがコウキ言われるのではないかと恐れている言葉たち。

 

 これらの言葉は、決して1度としてコウキの口から直接言われた訳では無い。だけど、急な展開に押しつぶされそうになったボクの心は、言われたことの無い言葉を、さも言われたことがあるかのように、脳内でコウキの声となって再生されていく。

 

 これを今ここで実際に言われてしまえば、また折れてしまうんじゃないか。そんな想像までもが、次々にやってくる。

 

 同時に芽生える、もう1つの気持ち。それは……

 

(……逃げたい)

 

 逃避。

 

 まだ、向き合うのは早い。そう脳内で唱える言葉に、全力で頭を頷かせたくなってしまっていた。それは、あと少しでも何かあれば、すぐにでもこの足を後ろに向けてしまうほどにまで、ボクの心を蝕んでいく。

 

(どうしよう、どうしよう……どうしよう……)

 

 頭の中がぐるぐる回る。気持ち悪さに吐き気を覚える。けど、未だに口と足は動かない。身体の自由が一切感じられない。

 

(助けて……誰か……)

 

 遂には関係ない他の人に助けを求めてしまうレベルに到達する。しかし、当然助けの手なんて伸ばしてもらえる状況なんかじゃなく、このままではまたあの頃に戻ってしまう。

 

 そう思ってしまった時だった。

 

『大丈夫だよ』

「え……?……あ」

 

 突如脳内に浮かんだ言葉。

 

 今までのネガティブな言葉を吹き飛ばすかのように浮かんだその言葉につい口を漏らしてい待ったボクは、何故か引かれるかのように視線を首元に動かされる。

 

 そこにあるのは、ユウリにプレゼントとして貰って、しかし壊れてしまったのでマクワさんに加工してもらい、それから常に僕ボクの首元にぶら下げられている宝物。

 

 うしおのおこうの欠片で作られたネックレス。

 

 そのネックレスから漂う香りがボクの心を落ち着け、同時にこのガラル地方での出来事をゆっくりと想起させてくれた。

 

 色んなポケモンと出会い、色んな人と出会い、新しい力をみにつけて、コウキの元に再び歩こうと決意した日々の出来事。その全てがゆっくりと、ボクの頭の中を駆け抜けていく。

 

(そうだ。何をビビっているんだ、ボクは……)

 

 同時に、身体にかかっていた金縛りが徐々に解けていき、むしろ拳にどんどんと力が込められていく。

 

(この気まずい出会いは、ボクのせいで起きたものだ。そして、コウキに再び会うって決めた時から、この出会いはいつかは迎えなきゃいけないことなんだ。だったら、コウキと向かい合うことを決めた時から、この気まずさへの覚悟は出来ていたはずなんだ)

 

 深呼吸をし、ボクがこの地方でしてきた覚悟を、成長を、改めて思い出す。

 

(逃げるな。前を向け。諦めるな。今度こそ、コウキの横に立つって……いや、追い抜くって、決めただろ!!)

 

 そもそも、ここでボクが逃げてしまえばこのブラックナイトはどうするというのか。

 

 もしかしたらボクがいなくても、みんな強いからなんとかなるかもしれない。けど、目の前にこんなことが起きているのに、それを無視して自分勝手に逃げるなんて絶対にしたくない。コウキからだけじゃなく、ガラル地方からも逃げてしまえば、コウキだけじゃなくて、ユウリたちにだって顔向けできない。少なくとも、ボクを尊敬してくれているユウリたちに、そんな姿を見せたくなんかない。

 

(逃げちゃ……ダメだ……!!)

 

 ネックレスを右手に握りしめ、そこから感じる気持ちを飲み込み、心と身体は熱く、けど頭は冷たく冷静に。大きく深呼吸をひとつ行い、自分の気持ちに整理をつけたところで、今度はまっすぐとコウキへ視線を向ける。

 

「っ!?」

 

 ボクの瞳を見て、表情を失い、色が欠けていたコウキの顔色が少しだけ歪む。

 

 それと同時に、コウキの背中に現れる1つの影。

 

「インテレオン!!『ねらいうち』!!」

「ドダイトス!!『ぶちかまし』!!」

 

 その影を見たボクは、すかさずインテレオンに攻撃を指示。すると、インテレオンの水弾と、ドダイトスの突進が綺麗に交差。すれ違ったお互いの攻撃は、それぞれボクとコウキの真後ろまで迫っていたマニューラへと突き刺さり、遥か彼方へと吹き飛ばす。

 

「トゲキッス!!『エアスラッシュ』!!」

「エンペルト!!『ハイドロポンプ』!!」

 

 そこへさらに飛んでくるのはトゲキッスとエンペルトによる援護射撃。マニューラを吹き飛ばしたインテレオンとドダイトスの、攻撃の後隙を狙って襲い掛かってきたバリコオルたちを的確に射抜き、マニューラと同じように吹き飛ばしていく。

 

「「「「ふぅ……」」」」

 

 そして、一連の攻撃を終えたボクたちは横一列に並んで前を向き、迫り来るポケモンたちに向けてじっと視線を向けた。

 

 久しぶりにこの4人で並んで立った。ともすれば、このように並んだのはそれこそ、フタバタウンから最初の1歩を歩き出した時以来かもしれない。

 

 あの時と比べて、お互いの立場も実力も年齢も、何もかもが変わっているけど、こうして改めて並ぶことが出来て、なんだか嬉しい気分になる。

 

 そして、どうやらそう感じていたのはボクだけではなかったみたいで。

 

「……ぷっ」

 

 ボクたち4人の中で、一番最初に声……というか、もはや空気を吹き出したのは、ヒカリだった。

 

 必死に堪えていた笑いを吹き出すかのように盛れたその空気音は、おおよそ1番この音を出さないであろう人が出したことによって、ボクたち4人に一気に拡がっていく。

 

「「「「ふ……あっはははは!!」」」」

 

 1度漏れだしたらもう止まらない。

 

 懐かしくて、心地よくて、嬉しくて。色々な感情が混ざった4人の笑いは、こんな絶望の夜の中でも明るく響き渡っていく。

 

(なんだ……簡単なことじゃん……)

 

 ここに来るまで沢山悩んだ。沢山壁にぶつかった。もう戻れないと絶望もした。再会した時、上手く笑えないんじゃないかとずっと考えていた。

 

 けど、こうやって出会って見ればなんて事はない。とても簡単で、今まで悩んでいたのがとても馬鹿らしく感じてしまうほど、あっさりと打ち解けていく。それだけボクたちの繋がりというものは、ボクたちが思っている以上に強力なものだったらしい。

 

(随分と、遠回りしちゃったなぁ……)

 

 ここに来るまでの道のりを改めて振り返ると、本当に長い道のりを歩いてきた。どうやらボクたちはとてつもなく不器用な人間の集まりらしい。けど、今回の件を通して、しっかりと目と目を合わせて向き合えば、怖いことなんて何も無いことがよくわかった。それを知れただけでも、今回ボクたちがぶつかり合い、離れたことに意味はあったのだろう。

 

 これでもう、同じ過ちをすることは無い。

 

「……フリア」

「……なに?」

 

 一通り笑い終えたボクたちは、ゆっくりと声を抑えていき、全員がしっかりと落ち着いたところで、コウキから言葉を投げかけられる。この声に返事をしながら、横にいるコウキに顔を向けると、コウキは昔のやんちゃな顔を取り戻しながら、ボクに向けて言葉を放つ。

 

「……今度こそ、待ってるからな」

「っ!?」

 

 その言葉は、ボクへの期待の言葉。

 

 このガラル地方に来て、幾度となくボクが口にした、目標や夢の対象がコウキのことであると自覚しているからこその発言。

 

 このガラル地方に来て、ボクの戦いをずっと観戦していたからこそ発言できる言葉。

 

(ずっと……見ててくれていたんだ……)

 

 その事がとても嬉しくて、思わず目元から何かが溢れてきそうになるのをぐっとこらえる。

 

(まだ……見せる時じゃない)

 

「うん。今度こそ、ちゃんと隣に立つから……ううん、なんなら追い抜いちゃうんだから……待ってて!!」

「……ああ!!」

「おいおい!!オレも忘れるんじゃないぞ!!」

 

 ボクの返事に嬉しそうに返すコウキ。そんなコウキの姿を見て、ボクと同じく嬉しそうな声を上げながらジュンがだる絡みをしていく。

 

「なんだ、ジュンもいたのか」

「なんだってなんだよ!!オレだって、お前に追いつくために沢山特訓したんだからな!!」

「でも今のところ、ヨロイ島に来て最初の頃を除いて、フリアには勝ててないわよね?」

「成程、じゃあ今もジュンよりもフリアの方が強いのか……これはジュンと戦うのはもうちょっと後になるかもしれないな」

「お前ら揃いも揃って~!!なんだってんだよ〜!!」

「ぷ……あっははは」

 

 そこから始まるボクたち4人の本来の絡み合い。それが面白くてついつい声を上げて笑ってしまう。

 

 本当に楽しい。予定とは大きく狂ったけど、こうやってまた笑いあえて本当に良かった。

 

(この時間をもっと続けていたい……コウキを、ユウリたちにも紹介したい……そのためにも!!)

 

 じゃれあいを終えたボクたちは、今1度真正面から迫り来るポケモンたちの群れに目を向ける。

 

「この夜を、絶対に乗り越える!!」

「ああ!!」

「おう!!」

「ええ!!」

 

 ボクの言葉に、コウキ、ジュン、ヒカリの順番で声を上げ、立ち向かう。

 

 この4人が揃えば、どんな困難だって乗り越えられる。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「負傷者は直ぐに交代!!焦らんでくださいね。ターフジムは農作業で培った粘り腰が持ち味!!持久戦はお手の物じゃあ!!」

「よし、エンジンシティの左右からの襲撃はだいぶ収まってくれたね。なら今度はスタジアム内とワイルドエリアへの入口に援軍を!!大丈夫、何があってもぼくがフォローに回るよ!!」

「……遺跡や倒壊の危険がある場所には近づかないように……南側は崖になっているので有利なはずです。……焦らずに守ってください!!」

 

 突如ガラル地方全土を襲った厄災、ブラックナイト。その影響は凄まじく、色々な街に向かって、パニックになったポケモンが攻め込むというとてつもない大事件へと発展して行った。しかし、ここガラル地方は、他の地方に比べてポケモンバトルという競技にストイックなため、ことバトルの実力においてはどの地方よりも高い水準を備えており、同時にジムリーダーという役職の人気と影響力も高いため、ジムリーダーを中心とした防衛陣はとても強固。故に、これだけの事件が起きながらも、被害は最小限にまで抑え込むことが出来ていた。

 

「さすがにこれだけ森の中に隠れた街なら、そんなにせめて来れないみたいだねぇ……これなら、あたし1人でも抑え込めそうさね」

「住民はみんなホテルに避難できたね。ならここからは思いっきり反撃といくよ!!建物に傷が着くのはこの際気にしなくてもいいよ。全部終わったら、あたしのお金で全部直してやるからね!!」

「シャッターは閉じてますね。なら、戦闘に自信の無いものはシャッターの中に避難を。それ以外の人はおれに着いてきてください。このシャッターがスパイクタウンへの大事な防壁です。しっかり守りますよ」

 

 各ジムリーダーは決して焦ることなく、この緊急事態を冷静に対処し、この背中を見ていた周りのトレーナーたちも、その姿に安心感を覚えることによって安定した防衛力を誇っていた。ダイマックスポケモンによる大行進は確かに恐ろしいものだったけど、ジムリーダーが先頭に立って立ち向かう姿のおかげで、自分たちも負けてられないと、無意識のうちに激励を受け、周りが奮起して戦うことにより、街の防衛はかなり安定していた。

 

「オラァッ!!ここはぜってェに通さねェかんなァ!!うちの大切な場所は、うちの手で守ってやるゥ!!」

「ワタクシはまだ、この道場で学びたいことが沢山あるのです!!それを壊させはしません!!さぁ、かかってきなさい!!」

 

「カトレア!!コクラン!!そちらの4人は任せるわ!!私はこちらの3人をまとめて受け持つ!!」

「任せて……コクラン……!!」

「かしこまりました!!」

「おうおう!!オレのダイオウドウも、シャクちゃんを守るために吠えさせてもらうぜ!!」

 

 また、ジムリーダーが不在で守りが薄い場所に関しても、その場所にたまたま来ていた強力なトレーナーが変わりに守りに入ったり、現地で特訓を積んだトレーナーが奮起することによって、高い防御力を誇っていた。

 

「さらに強くなったな、マサルよ!!」

「はい!!師匠の教えをしっかり守って、研鑽を積みましたから!!シンオウ地方でも沢山特訓をしました、その成果を見せます!!」

「わ、わたしも!!部外者ですけど、守るために戦います!!」

 

「フリア!!そっちは任せるぞ!!」

「OK!!なんでもフォローするから任せて!!」

「ほらジュン!!フリアとコウキがあんなに頑張ってるんだから、わたしとあんたも気張るわよ!!」

「わかってるっての!!あいつらにだけにいい顔にはさせねぇぜ!!」

 

 ガラル地方にいる沢山の人たちによって、この地を襲う絶望の厄災は、少しずつ押し返されることとなる。

 

 この地を守るために集まった沢山の人々は、こんな状況でも決して諦めることなく、希望の光を燃やして抗い続ける。

 

 順調だ。行ける。勝てる。このまま守り切れる。後はチャンピオンが、元凶を倒すのを待つだけだ。あの無敵のチャンピオンなら、絶対に元凶を抑えることができる。

 

 抗い続けるトレーナーはみな、そんな思いを秘めながら、この絶望に対して真正面から抵抗を続けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな、明らかにみんなの士気が高まっていく中、ブラックナイトは更に深い夜へとその色を変えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なんだ……?空中の穴がさらに増えて、しかも光り始めたぞ……?』

 

 誰が呟いたかわからないが、その声につられて空に空いている穴を見上げると、確かに空中に浮かぶウルトラホールの数が少し増え、さらにそこから強い光が放たれた。

 

 その光は視界を奪うほど強いものではないため、目を瞑る必要まではなかったものの、その不思議な光は、ここにいるすべての人とポケモンの視線を奪い、一瞬にして戦場から戦闘音を消し去った。

 

 一体あの穴に、どんなことが起きてしまうのか。それが、この夜にどんな影響を与えて来るのか、それが気になって仕方ないみんなは、じっとその穴を見続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、いよいよウルトラホールから、穴が光り出した理由が顔をのぞかせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穴から顔を出したのはダイマックスしたポケモン。しかし、全ての穴から同じポケモンが出てきたわけではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルアアァァァッ!!」

「なんじゃぁ……こいつは……」

 

 ターフスタジアムでは、青と黒で占められた鹿のようなポケモンが。

 

「ルタアァァァッ!!」

「この姿は……まさか!?」

 

 エンジンスタジアムでは、背面が黒で全面が赤色をした飛竜のようなポケモンが。

 

「マッシ……ッ!!」

「フュ~……」

「……何……あのポケモンたち」

 

 ラテラルスタジアムでは、華奢な女性を彷彿とさせる白と、筋骨隆々の男性を彷彿とさせる赤の、半人半虫のようなポケモンの2人組が。

 

「ザアアァァァッ!!」

「おやおや、これはまたとんでもないやつが来たねぇ」

 

 アラベスクスタジアムでは、とぐろを巻きながら空を飛ぶ、緑色の東洋龍のようなポケモンが。

 

「ウロ~……」

「ツン……ゴゴ……」

「なんだい……こいつら」

 

 キルクススタジアムでは、白色のクラゲのようなポケモンと、灰色のレンガを積み上げたようなポケモンが。

 

「ホワアアァァァッ!!」

「全く……本当に面倒ですね……」

 

 スパイクタウンの入り口では、朱色と黄色の羽を広げ、虹色の輝きを放つポケモンが。

 

「クジャアアァァァッ!!」

「へっ、まぁそんなに甘くはねぇよな」

 

 ナックルスタジアムでは、漆黒の身体に、全てを飲み込む大きな口を開けたポケモンが。

 

「ルギャアアァァァッ!!」

「な、なんかやばいヤツ来たんですけどォ!?」

「くっ……これはさすがに聞いていませんよ……」

 

 ヨロイ島では、真っ白の羽と、水かきのような大きな手を広げて吠えるポケモンが。

 

「グラアアァァァッ!!」

「キュアアァァァッ!!」

「……カトレア……コクラン……気合入れなさい」

「言われなくても……わかってるわ……」

「これは……とんでもないことになりましたね……」

「なんじゃこりゃあ!?ド・でけぇな!?」

 

 カンムリ雪原では、腹部は灰色、背中は赤色をした、二足歩行の装盾類をしたポケモンと、青色の身体に、何種類かの海洋生物の姿を掛け合わせた美しい姿をしたポケモンが。

 

「アーゴォォォッ!!」

『べべ……ッ!!』

「御一行様がぞろぞろと……ここからが本番と言う訳か」

「なんて数だ……親玉と取り巻きが一緒にいるのか……」

「取り巻きはダイマックスしてませんけど……この数は怖いですね……」

 

 シュートシティ入口、マスタードたちの前には、紫の身体に蜂と龍を掛け合わせたようなポケモンと、そのポケモンについて行くように、無数の小さなエイリアンのようなポケモンの群れが。

 

「シラアアァァァッ!!」

「クロオオォォォッ!!」

「キュアアァァァッ!!」

「ちょっと待って……このポケモンから感じるこの圧って……」

「いやいや、なんでこんなことに……」

「おい、さすがにまずくねぇかこれ?」

「まずいなんてものじゃないわよ……」

 

 同じくシュートシティ入口、フリアたちの前には、雷を従えた漆黒のポケモンと、炎を従えた純白のポケモン。そして、氷を従えた灰色のポケモンが姿を現した。

 

 至る所に作り上げられたウルトラホール。そこから顔を出したるは、ガラル地方以外の場所で、数々の伝説や逸話、伝承を残してきたポケモンたち。そのすべてが、急に穴を通って別次元に飛ばされたことでパニックになり、声をあげながら暴れ出そうとしていた。

 

 コスモッグによって開けられた穴がきっかけで、規模が大きくなったブラックナイトは、それでも乗り越えられそうな気配を見せたところでさらに大きな影を落とす。

 

 まだ、日は落ちたばかり。本当の夜はここから始まっていく。

 

 ここからが本当のブラックナイト。

 

 始まっていく狂気の夜。

 

 伝説のポケモンたちと対峙する全員の頭に、自然とそんな言葉が浮かび上がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ブラックナイト・本番

と言うわけで、改めまして……歴代の伝説たち総登場により、難易度ルナティックのブラックナイト開始です。コスモッグを登場させた時点で、難易度がルナティックと言いましたが、その真の理由がこちらですね。実機でも、ダイマックスアドベンチャーにて伝説のポケモンに会える理由が、コスモッグの能力によるものと説明されているので、そこからいただいた発想になります。どの伝説がどの場所に現れているのかは何となく伝わっていると思っています。その場合、何人か出ていない方もいらっしゃいますが……そちらはもう少しお待ちを。沢山のトレーナーが集まっていて、割と楽勝ムードだったものが一気にひっくり返りましたね。ガラル地方が真面目に危険で危ない状態になりました。




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