【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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301話

「ファイヤーとサンダーとフリーザーまで来てくれたのね。これなら足の問題もパスできそうね」

「最高のタイミングで登場だな!!」

「あたしたちのために来てくれたの、本当に嬉しか!!」

 

 急に空から現れた飛行のプロフェッショナル(約1人、羽が退化しているため若干怪しいが)である3人の鳥ポケモンの登場により、ボクたちは一気に盛り上がる。

 

「これがファイヤーたち……なのか?おれの知ってるポケモンと姿が違うけど……」

「彼らはリージョンフォームしたファイヤーたちなんだ。だから、一般的に知られているファイヤーたちと似てるけど、違うところも多いんだよ」

「なるほど、これがガラル地方に適応し、リージョンフォームしたファイヤーたちなのか……」

「正確にはちょっと違うらしいんだけど……まぁ、今は説明している場合じゃないしいいや」

 

 一方で、このファイヤーたちを初めてみるコウキは、自分の知識と近しいものの、それでも全然姿の違う3人を見て、その表情を驚愕に染めていた。確かに初めてこの姿を見たらこんな風に驚くだろう。現に、ボクたちも吃驚した気がする。そんなコウキのためにボクが改めて説明すると、コウキはすぐに納得がいったような表情を見せた。どうやらリージョンフォームという名前はしっかりと聞いて覚えていたらしい。

 

 もっとも、正確には渡り鳥である彼らは、別にガラル地方に住んでいる訳では無いので、そもそもリージョンフォームなのかすら怪しいが、今は関係ないので置いておく。兎に角、これで目的地であるワイルドエリアまでひとっとびできるようになった。なら、ここは任せてボクたちは早く飛び立つべきだろう。その考えはみんな一緒だったようで、ボクとマリィはファイヤーに、コウキとヒカリはフリーザーに、そしてジュンはサンダーの背中に急いで乗り込んだ。打ち合わせをすることなく自然とこう別れて動いたあたり、ボクたちの考えは本当に深いところまで繋がっているみたいで、その事が少し嬉しい。

 

 ちなみに、ここでトゲキッスやムクホークに頼らないのは、単純にファイヤーたちの方が飛ぶのが速いから。渡り鳥である彼らなら、ワイルドエリアの荒い気候でも問題なく飛べるし、ボクたちも力を温存できるからね。

 

「ディアルガ!!改めて任せたぞ!!」

「パルキア!!このバトルが終わったらポフィン沢山あげるからね!!」

「ギラティナ!!またみんなで遊ぼう!!だから絶対に勝って!!」

「ギュアアアァァァッ!!」

「ディアアアァァァッ!!」

「パルウウウゥゥゥッ!!」

 

 ボクたちの声を聞いた神様たちは、答えるように咆哮を上げながら、ダイマックスしているレシラムたちに真正面から立ち向かう。その頼もしい背中を見届けたボクたちは、今度は少し離れたところで、同じように激戦を繰り広げているマスタードさんたちに声をかける。

 

「マスタードさん!!ボクたちはワイルドエリアに向かいますけど、ここを任せて大丈夫ですか?!」

「ああ!!ここの守備は任せろ!!完璧にこなすから安心して突き進め!!」

「ありがとうございます!!」

 

 ボクの声に対して、マスタードさんは獰猛な笑顔を浮かべながら溌剌とした声で返事をする。その言葉に偽りはなく、今現在も、大量の紫色のポケモンに襲われているのに、その全てをウーラオスと、さらに追加で呼び出したコジョンドとジャラランガに巧みに指示を出して捌いていた。これなら安心して任せることが出来る。

 

「マサルさん!!ミカンさん!!気をつけて!!」

「はい!!コウキさんも、お元気な姿になられて良かったです!!そのまま明るく頑張ってください!!」

「もちろん!!全部終わったら、本来の性格に戻ったシンオウチャンピオンとまた戦わせてくださいよ!!」

 

 次にやり取りをしたのは、すっかり前の調子に戻ったコウキと、そんな彼と共にガラル地方にやってきたミカンさんとマサルさんの3人。この3人の間にどんなやり取りがあったかは知らないけど、少なくとも、あのコウキをここまで連れてくることが出来ているくらいには、お互いに何かしらの繋がりがあるのだろう。

 

(後でその辺も話せたらいいな)

 

「あと……フリアさん!!」

「え?あ、はい!!」

 

 コウキのこれまでについて少し気になっていると、突如名前を呼ばれてびっくりする。その声の発生源は、今しがたコウキと戦う約束をしていたマサルさんだ。去年のリーグ優勝者と言うだけあって実力はかなり高く、マスタードさんのウーラオスとは少し構えのちがうウーラオスに指示を出して、見事に戦い抜きながらボクにまっすぐ視線を向けるマサルさんは、その瞳にとても強い意志を帯させながら、ボクをじっと見つめてくる。

 

 その視線に、無意識のうちに喉を鳴らす。

 

 何を言われるのか、マサルさんを見つめ返しながら彼の発言を待っていると、程なくして口が開かれる。

 

「妹は……ユウリは、今どこにいますか?」

 

 その内容は、妹の安否確認。

 

 大切な家族のことだ。兄としてこう思うのは自然で、今も本当はここで戦うよりも、すぐに駆けつけてあげたいのだろう。そんなマサルさんの気持ちを受け取ったボクは、マサルさんを安心させるためにはっきりと言葉を伝える。

 

「ユウリ……さんなら大丈夫です!!今はホップと一緒に、この騒動を止める切り札を一緒に探しに行ってもらってます!!その後で合流する予定もつけてますし、ムゲンダイナにはダンデさんと一緒にみんなで挑むつもりです!!」

「そっか……」

 

 ボクの答えは果たして満足いくものなのか。不安を解消するに足るものなのか。ボクの返事を聞いて、小さくそうつぶやくマサルさんの表情からは、判断をすることが出来なかった。

 

 返事を聞いて、少しだけ流れる気まずい時間。どうすればいいのか分からないボクは、ただひたすらにマサルさんに視線を向けて固まっていた。

 

「妹を……頼みます!!」

「っ!?」

 

 そんなボクに対して、ゆっくりと、しかしはっきりと告げられたのは、ユウリを任せるという言葉。

 

 その言葉には色々な感情が込められており、たった一文にも関わらず、まるで全身にじゅうりょくを受けたのではないかと言うほどの重いプレッシャーがのしかかる。それだけユウリが、大切な家族なのだということなんだろう。兄弟姉妹がいないボクとしては、その関係はちょっと羨ましい。

 

 そして同時に、その言葉を投げられた瞬間、ボクの心が激しく跳ねる。

 

 いつもより早く鐘を打つこの心臓が思っている感情は、託されたことによる嬉しさか、はたまた失敗は許されないという緊張か。

 

 もしくは、自分を認めてもらえている嬉しさか。

 

 少なくともマイナスの感情では無いこの鼓動に確かな意志を載せて、ボクもマサルさんに返事をする。

 

「はい!!必ず守って、一緒にこの夜を越えます!!」

 

 ボクの万感を込めたこの返事はしっかりとマサルさんに届いたらしく、嬉しそうに頷いて視線を戦場に戻していく。

 

 これでもう、ここで話すことは無いだろう。あとは、全部終わったあとだ。

 

「みんな戻って!!ファイヤー!!お願い!!」

「頼むぜサンダー!!」

「行くわよフリーザー!!」

「ギャォ!!」

「キキィ!!」

「フォォ!!」

 

 レシラムたちと戦うために出していたポケモン全員をボールに戻し、ボクとジュン、ヒカリが合図を出すと同時に、3鳥は羽と足を勢いよく動かして、この地から弾かれるように移動を開始。ガラル地方を南下するために、高速で動き始めた。

 

「バニニ……」

「ゴーリィ」

「ギギギ」

 

 そんなボクたちの動きを止めるかのように立ち塞がってきたのは、野生のバイバニラ、オニゴーリ、ギギアルの3人。ボクたちの不意を着くように現れたこともあって、背中に乗っているボクたちは3人への反応が少し遅れてしまう。しかし、そんなボクたちのミスは、ファイヤーたちがフォローしてくれた。

 

「ギャォ!!」

「キキィ!!」

「フォォ!!」

 

 バイバニラに対してはファイヤーが黒色の焔をぶつけ、オニゴーリに対してはサンダーが雷を纏った飛び蹴りを放ち、ギギアルに対しては、見てるだけで背筋が凍りそうな光線をフリーザーが目から放って叩きつけ、すぐさま障害物を排除していく。

 

「ありがとうみんな」

 

 迅速な対応に礼を言うと、嬉しそうに3鳥が返事をしてくれ、そのまま真っ直ぐ南へ突き進む。

 

「うぇ、はっ!っとと!?そういえばお前空飛べ無かったな!?振動やばくてつらいぞ!?」

「でも多分、3人の中で1番速い子よ。せっかちになあなたにはピッタリじゃない」

「そうなのか!?じゃあオレが最速で最強だな!!」

「……時々あんたが無敵なんじゃないかって錯覚する時があって困るわ」

 

 3鳥の中で唯一空を飛べない代わりに脚力が強くなったため、爆速で地面をかけているサンダーの背中で、想像以上の揺れに悪戦苦闘しながらもそれでも何とか乗りこなしているジュン。少し心配だったけど、ヒカリといつも通りの会話を繰り広げられるくらいの余裕がある当たり気にする必要は無いのだろう。この辺りの順応力の高さは素直にジュンの凄いところだ。

 

 そんなサンダーに合わせるために、ファイヤーとフリーザーも高度をわざと下げて飛んでくれているため、ボクたちは高速で移動しながらも会話をなんとかすることが出来ている。風の抵抗もあるためいつもよりも声を張ってのそれとなるが、3鳥全員が気を配ってくれて近づいているのでわりと聞きやすい。このうちに、ボクたちの次の行動について話し合っていく。

 

「まずはどこから見に行くかだな。地図で見た限り、ワイルドエリアってありえないほど広そうだし、どういうルートで回るか最初から決めておかないと時間ロスが凄そうだ」

「『げきりんの湖』みたいな端っこまで見る必要は無さそうだけど、ある程度全部を駆け巡るとなるとかなり時間かかるものね。できることなら最高効率を選びたいものだけど……」

「それに、ワイルドエリアを回ってはい終わりってわけじゃないもんな。サンダーたちの体力も気遣いたいし、先のことを考えてもヒカリの言う通り効率のいいルートを取りたいぜ」

「……驚いた、ジュンが未来のことを考えてる。明日はだいもんじでも降ってくるのかしら?」

「うぉい!!オレの評価おかしすぎだろ!!」

「……なら、ダンデさんの援護という最終目標から逆算すればよかと。ナックルシティをゴールとするなら、ナックルシティはワイルドエリアの1番北。なら、1番南にある駅から北上していくのが1番良さそうと」

「……なんか、マリィのスルースキルが成長しているぞ」

 

 ボク以外の4人が言葉を交わし、みんなの考えを聞いて、おそらく1番効率がいい方法をマリィが纏めて提案する。先も言った通り、ワイルドエリアはガラル地方の中部から南に向かって伸びている。その中で、今ムゲンダイナがいるナックルシティへ続く道は、ワイルドエリアの最北端にあるため、マリィの言う通り、ワイルドエリア駅や、うららかそうげんなどがある南側から北上すれば、ワイルドエリアの見回りを終了すると同時に、ダンデさんへの援護に直ぐに向かうことが出来る。その事は地図を見れば簡単に分かるので、この地方に来てまだ日が浅いコウキも、納得といった表情を持って頷いた。

 

「じゃあまずはワイルドエリア駅ってところに移動でいいんだな?」

「あたしはそう思ってるけど……フリアはどうと?」

「うん……」

 

 納得したコウキが最終確認のために改めてみんなに質問を投げかけ、これに対して提案者であるマリィが肯定の意見を出すけど、最後にボクの方に向かって質問をなげかける。さっきまでしっかり行っていた議論に対して、ボクだけが一言も喋っていなかったことに気づいているマリィが、もしかしたらボクに何か考えがあるのでは?と危惧しての確認行為だ。普段から冷静で優しく、視野の広い彼女だからこそのこの行動。そして、そんなマリィの考えはかなり当たっている。

 

「ごめん、南から行くのが最高効率っていのは分かっているんだけど……でも、どうしても一番最初に行かないといけない所があるんだ。そこを先に行っちゃうと、時間は少し使っちゃうんだけど……」

 

 しかし、ボクの頭の中にある別プランは、さらに効率のいい行動という訳ではなく、個人的にどうしても気になる場所があるという利己的なものだ。いや、もしボクの想像通りに進んでいるのだとしたら、効率以上に大事な可能性も高いのだけど、不確定要素ではあるため自信を持って提唱しづらい。だから、少しだけ歯切れの悪い返事をマリィに返してしまう。

 

「フリアがそう言うってことは、本当に大切なことなんでしょ?なら、そっちを優先するわよ」

「え?」

 

 けど、そんな判断に迷っているボクを一蹴するかのようにバッサリと決断したのは、フリーザーの頭を撫でながらこちらをじっと見つめるヒカリ。

 

「あんたがそんな表情をする時は、いつも自分じゃない誰かの安否を気遣う時よ。……いるんでしょ?このワイルドエリア内に、フリアがお世話になった人が」

「ヒカリ……」

 

 まるでボクの心を見透かしたかのようなその発言に呆気にとられてしまう。いくら長年の付き合いがあるとはいえ、さすがにここまでズバリと当ててくる人はそう居ない。そのことに驚いていると、この反応をコウキたちも是と取ったみたいで、すぐに意見を変えていく。

 

「ワイルドエリア内にいるってことは、今頃襲われている可能性があるかもしれないってことだな。じゃあ人命優先。最初の目的地はそこで決まりだな」

「そういうことなら早く言うと!!お世話になった人たちなら、しっかりと恩返しせんとね!!」

「優しくしてくれた人を守る戦い……おーし、燃えてきたぁ!!場所はどこだフリア!!すぐ行くぞ!!」

「そういことよ。効率も大事だけど、人との繋がりはもっと大事よ。フリアの心に引っかかった時点でそれはみんなの優先事項。だから気にせず貫きなさい」

「みんな……ありがとう!!」

 

 みんなからの肯定の言葉に本当に感謝しながら、ボクは改めてその場所を頭の中に思い浮かべる。

 

 その場所は、ユキハミと出会い、そしてキルリアがエルレイドへ進化するためのきっかけをくれた場所。

 

「じゃあ、行こう!!目標地点は━━」

 

 きっと今頃、大変な事になっているであろう、お世話になった人たちを助けるために、ボクたちはファイヤーたちに指示をして、軌道を少し変えて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アニ……もう………………」

「あき………な………は…………に…………」

 

「っ!?聞こえた!!」

 

 シュートシティを飛び出し、改めて目的地を設定したボクたちは、ファイヤーたちにお願いしてとにかく全速力で向かっていた。そのおかげか、ジムチャレンジの時は何日もかけてゆっくり歩いていた景色は一瞬で流れさり、その甲斐もあってか想像以上に早い時間で目的地近辺に到着することが出来た。これは全部問題が解決したら、ファイヤーたちにもお礼をしなくてはいけないね。

 

 高速で目的地周辺までたどり着いたボクたちの耳に入ってきたのは、激しい戦闘の音と男の人2人の話し声。まだ若干距離があるため、会話の内容を全て聞き取ることは出来ないけど、声色はかなり焦っているように感じたため、恐らくそんなに余裕のある状況では無いのだろう。そう判断したボクは、到着と同時にポケモンを呼び出してすぐに戦闘できるように、右手にボールを構える。

 

 声が聞こえるほど近いということは、残りはファイヤーたちにとっては秒で終わる距離だ。そのため、ボクがボールを構え終わった頃には、ファイヤーはもう減速を始めており、目的地の直前に到着していた。

 

「メガヤンマ!!『むしのさざめき』!!モスノウ!!『ふぶき』!!」

「ピクシー!!『ムーンフォース』!!マニューラ!!『つじぎり』!!」

 

 ファイヤーとフリーザーの背中から急いで飛び降りたボクとコウキは、すぐさまポケモンを呼び出して技を指示。かすかに聞こえた声の主を今まさに襲っていたマルヤクデとイオルブ、シュバルゴ、アギルダーに向かって、こちらの技を横からぶつけて思いっきり吹き飛ばす。

 

 声の主からしてみれば、もうすぐ襲われそうというところで、いきなり目の前を攻撃の嵐が通り過ぎて、敵を吹き飛ばしていったものだから、急な場の動きに驚いて固まってしまている。それは彼らのポケモンも同様で、あと少しで倒れそうなセキタンザンとドリュウズも、驚いたような顔を浮かべたまま固まっていた。

 

 そんな4人の時を動かすかのように、ボクはその人たちに声をかける。

 

「サイさん!!クツさん!!助けに来ました!!大丈夫ですか?!」

「……はっ!?今何か凄い攻撃が……って君は!!あの時の少年ではないか!!」

「久しぶりだな!!元気にしていたか?……って聞くまでもなかったな!!」

「はい!!お陰様で!!」

 

 ボクの声を聞いて、止まった時が動き出すと同時に嬉しそうな声を上げる男性2人組。その正体はサイさんとクツさん。

 

 ボクとユウリ、セイボリーさんとサイトウさんが吹雪で足止めを受けていた時に、一緒に燃料を取りに行き、そしてボクにめざめいしの埋め込まれた石をプレゼントしてくれた情熱の双子兄弟。そして、そんな彼らが必死に守っていたものが、その後ろに聳え立つ大きな建築物。

 

 そう、ボクが一番最初に来たかったのは、ボクがワイルドエリアの最中で吹雪に襲われた時にお世話になった場所………ワイルドエリアの預かり屋さんのことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フリア選手!!来てくれたのかい!?」

「お久しぶりですオーナーさん!!大丈夫でしたか?」

 

 外で粘っていたサイクツ兄弟を助け、コウキたちとサイクツ兄弟それぞれに今の事情と知り合った経緯を説明したボクは、外での戦闘を一旦落ち着かせたところで預かり屋さんの中に入り、オーナーさんに挨拶に向かった。すると、向こうもボクのことを覚えててくれていたみたいで、ボクを見かけるやいなや、嬉しそうな表情を浮かべながら駆け寄ってきてくれた。

 

 少し嬉しくてこそばゆい。

 

 これだけでも少し嬉しかったのに、ここでボクはさらに嬉しい再会が待っていた。

 

「フリアさん!!マリィさん!!」

「っ!?その声は……アオイ!!久しぶり!!元気しとうと?」

「アオイさん!?なんでここに!?」

 

 それはここではなく5番道路の預かり屋で知り合った女の子のアオイさん。ブラッキーとの出会いのきっかけをくれ、ここにはいないけどユウリとホップも一緒にお世話になった友達が、同じく嬉しそうな声を上げながらこちらに駆け寄ってきた。

 

「お2人の活躍、テレビで見てました!!かっこよかったです!!」

「あはは、ありがとう。ダンデさんとのバトルも頑張るよ」

「あたしは負けちゃったけどね」

 

 友達であるボクとマリィは再会を喜び挨拶を交わす。アオイさんとはジムチャレンジが始まってすぐの頃に出会ってそれっきりだったから本当に懐かしい。出会えたことと、そしてなにより、この事件の中でも無事だったことが本当に嬉しい。と、ここで感傷に浸って忘れてはいけないことを思い出してアオイさんに質問をする。

 

「スミレさんとヒマリさんは大丈夫なの?」

「お母さんとおばあちゃんなら大丈夫!!私と一緒に━━」

「あら、フリア君にマリィちゃんじゃない!!久しぶり!!無事で安心したわ!!」

「外の音が少し収まったことと、あなたたちが来たこととを合わせると、また助けて貰ったみたいですね。本当にありがとうございます」

 

 一瞬嫌な可能性として頭をよぎったものを打ち砕くかのように声をかけてくれたのは、アオイさんの母と祖母であるヒマリさんとスミレさんだった。アオイさんと同じく、元気そうな姿でキズぐすりやらきのみやらを運んでいる姿は、忙しそうではあるものの、その身体の無事を十分に確認できる内容だったため、ボクとマリィはほっと一息。本当に、あの嫌な想像が現実にならなくてよかった。

 

「私たち、あの中継を見て直ぐに全員でここに移動してきたんです。1番近いターフタウンに行くことも考えたんですけど、ターフタウンだとタマゴの保管が不安だったのと、もしかしたら、ここがワイルドエリアの人たちの緊急避難場所になるんじゃないかって思ったから、その手伝いのために、預かり屋のつながりで私たちだけが使える業務用の大きなエレベーターを使ってこっちに……」

「そういう事ね」

 

 ワイルドエリアの預かり屋と5番道路の預かり屋は、一見凄い距離が離れているように感じるかもしれないけど、その実ターフタウンとバウタウンを繋ぐ橋の上と下という位置関係であるため、直線距離で考えるのなら実はそんなに離れてはいない。そして、今しがたアオイさんが言っていた、職員だけが使えるエレベーターがどうやらその端についているらしく、であれば移動は想像以上に楽だ。同じ預り屋を経営している人同士で繋がりもあるだろうし、そういうことを色々加味すると、なるほど確かに納得がいく。預かっているポケモンもボールに入れれば運べるし、1箇所に纏まった方が守りやすいしね。タマゴの運搬だけは不安が残りそうだけど……この元気そうな表情を見せてくれている当たり、こっちも問題なかったということだろう。

 

「……本当に、色々あったんだな」

「まあね」

 

 久しぶりの再会に花を咲かせているボクに対して、しみじみとつぶやくコウキ。ボクがここで歩んだ道のひとつに触れ、ボクがここに来たがっていた理由を理解してくれたらしい。

 

 さぁ、感動の再会はこの辺にして本題に入ろう。

 

「改めて、オーナーさん。ボクたちはみんなを助けにここに来ました。現状を聞いてもいいですか?」

「ええ。あなたたちがいればこちらも安心です。……では、順番に話していきますね」

「お願いします!!」

 

 オーナーさんの言葉より始まった会議に、ボクたちは真剣に耳を傾けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




預かり屋組

懐かしすぎてびっくりなメンバーですね。サイクツ兄弟にアオイさんたち、全員が、今のフリアさんの手持ちのポケモンに、何かしら関係のある人たちです。こうしてみると、本当にいろいろ旅してきましたね。これにはコウキさんもほっこりです。




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