【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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304話

「あ、ありがとうございました!!本当に助かりました!!」

「いえいえ、間に合ってよかったです。気を付けてくださいね」

「おにいちゃん、おねえちゃん、ありがと~!!」

「うん、お母さんから離れずに、しっかりついて行くとよ?」

「うん!!」

「さあ此方へ、避難所までもうすぐですよ」

 

 ボクとマリィの声に対して、頭を下げる大人の人と、手を大きく振ってくれる子供たちが、スタッフの人に連れられてエンジンシティの中へと入っていく。中へと向かっていった人たちは、ようやく手に入れることの出来た安心感に、とても嬉しそうな笑顔を向けて、同時にボクたちに凄く感謝をしてくれており、見ているだけでこちらもほっとできるほど明るい表情を浮かべてくれていた。

 

 今ボクたちがいる場所は、ワイルドエリアの中の、エンジンシティの入り口だ。

 

 ワイルドエリアの南西に位置するこもれび林から見回りを開始したボクたちは、そこからワイルドエリア駅、及びうららか草原、キバ湖・西、見張り塔跡地、キバ湖の瞳、キバ湖東の順番で要救護者がいないかを、マップに記されたポイントを頼りに走っていた。

 

 幸いなことに、ポイントの数は多いというわけではなく、具体的な数を言うのであれば、各エリアごとに0~2人いるかどうかというところ。他のエリアでもこの調子なので、救助しなきゃいけない人自体はそんなに多くはない。恐らく、ブラックナイトが起きてすぐに、スタッフの人が迅速に対応した結果なのだろう。しかし、それでもすべてに手を届かせることは難しいため、取り残されてしまっている人は絶対に存在する。そういった人たちを助けるのが、今回のボクたちの役目だ。

 

 その役目の進捗具合は、たった今送り届けた人の数と、マップに映っているポイントの数が一緒であることが証明してくれている。

 

「フリア選手、マリィ選手、本当にありがとうございました。救援要請自体は受け取っていたのですが……いかんせん、状況が状況なだけに手を出せずに困っている状況でした……本当に、感謝します」

「いえいえ、こちらも状況はよく理解しています。こういう時はお互い様ですよ」

「他のエリアにもあたしたちの知り合いが行ってくれてるけん、心配しなくても大丈夫です」

「それはよかったです……本当に感謝します」

 

 ボクたちからの報告を受けて、安心感を覚えたらしいスタッフの人は、ほっと一息つきながら胸を撫でおろし、しかしすぐさま表情を引き締めて言葉を続ける。

 

「エンジンシティの防御は我々に任せてください。フリア選手とマリィ選手は、他の地点のお手伝いをお願いします」

「ありがとうございます。こちらとしても、他にもやりたいことがあったのでそう言ってもらえると助かります」

「お互い頑張ると!!」

 

 その内容は、ここは任せて他の所の手伝いをして欲しいという旨。

 

 本来であれば、ボクとマリィと言う強力なカードは手元に置いておきたいところだろう。その方が安心できるし、いざという時に頼れる存在がすぐそばにいることはとてつもないアドバンテージになるから。けど、そんなことに甘えることなく、ボクたちに他を当たって欲しいと言ってくれるこの人の、状況をしっかりと見極める能力には脱帽だ。本当によく見ている。

 

 ……いや、どこ目線だよって話ではあるんだけどね。

 

 とにかく、この申し出はありがたいので、ボクとマリィも頭を下げ、挨拶をしながらエンジンシティの入り口から東の方へと足を向けて走り出す。

 

「とりあえず、あたしたちの方はもうこれでいいとよね?」

「うん。ミロカロ湖の東側と南側はジュンとサンダーが見てくれているはずだから、そこは信じて一回預かり屋に戻る方がいいと思う」

 

 スマホに映し出されているマップと、点在する点を見ながら話し合うボクたち。

 

 この画像は、SOSを受けてポイントを映し出した後のマップの画像をコピーしたものなので、リアルタイムの状況を映し出しているわけではない。だから、今助けられた人や、この後に新しくSOSを出した人の反応まで見ることはできない。そこは、みんなが助け出してくれており、且つ新しい救助要請がないことを祈るしかない。

 

 一応の安心ポイントとしては、もし現在進行形で要請が入っているのであれば、先程話したスタッフの人が教えてくれるはずだ。こういう仕事に関わっている以上、あちらはリアルタイムのマップを持っているだろうから、もし何かあればボクたちにお願いするはず。それがなかったということは、安心していいということだと思いたい。

 

 どちらにしろ、ボクたちの足はもうミロカロ湖・北を越え、エンジンリバーサイドまで来てしまっているので、あとはスタッフの人を信じるしかない。急いで預かり屋さんの方へ戻って、みんなと合流しよう。

 

 1度通った道ということもあって、要請がないことも確定している以上ゆっくり進む必要も無い。守るべき人も、エンジンシティが近かったのでそちらに送り届けたこともあって、身軽状態であるボクとマリィはぐんぐんと突き進み、もうすぐで預かり屋さんというところまで駆け抜けた。

 

 勿論、この間も周りはしっかりとみており、見落としていることがないかは確認済み。ちゃんとみんな救出されているみたいで、人の声も気配も感じない。人の感情に敏感であるエルレイドを呼び出して念入りに探しておいたので、ここも間違いないだろう。

 

 

「ムクホーク!!『ブレイブバード』!!ロズレイド!!『リーフストーム』!!」

「キキィッ!!」

 

 

「あ、見えたと!!フリア!!」

 

 と、何とかなりそうなことに安堵しながら走っていると、マリィが前の方に何かを見つけたらしく声を上げる。そちらに視線を向ければ、そこにはポケモンの群れに立ち向かっている1人のトレーナーと、3人のポケモン。そして、そんな彼らに守られている5つの人の姿があった。

 

 どうやら、この先にある預かり屋の方に行きたいのに、ボクたちが突破した時よりもさらにポケモンが増えているせいで、あの時のようになかなか突破口が開けず、少し苦戦しているようだった。

 

「マリィ!!すぐに加勢するよ!!グライオン!!メガヤンマ!!」

「わかってると!!オーロンゲ!!モルペコ!!」

 

 その姿を見て、すぐさま加勢する判断を取ったボクたちは、ポケモンを呼び出して、トレーナーとポケモンが前の群れに集中している間に、横から救助者を狙っている小狡い子たちに向かって技を指示する。

 

「グライオンは『アクロバット』!!メガヤンマは『エアスラッシュ』!!」

「オーロンゲは『ソウルクラッシュ』!!モルペコは『オーラぐるま』!!」

 

 救助者を狙っていたのは3人のフォクスライ。イカサマでもしようとしているのか、右前脚を黒く染め、振りかぶりながら攻撃をしようとしている彼らに向けて、まずはメガヤンマのエアスラッシュが突き刺さり、3人同時に怯んだ。その隙を逃さないように、グライオンの翼とオーロンゲの拳、そしてモルペコの電気を纏った突撃が直撃し、3人同時に吹き飛ばしていく。

 

「大丈夫ですか!?」

「もう安心と!!」

「あ、ありがとうございます」

 

 いきなり襲われたと思ったら急に助けられるという、目まぐるしく変わる状況についていけず、目を白黒させている救助者に対して、声をかけて安心感を与えながら傍によっていくボクとマリィ。もしかしたら怯えさせてしまったかもなんて思ったけど、全員何とか両足で立って前を見てくれているので、とりあえずは安心だろう。再び奇襲を受ける可能性を考慮して、周りへの警戒を起きたら内容にしながら、預かり屋に向けての道を開けるのに苦戦しているトレーナー……ジュンと言葉を交わしていく。

 

「ジュン。状況はどう?」

「フリア!!今のは超助かったぜ!!サンキューな!!んで、状況なんだが……見ての通りだ。どうやらオレたちが駆け抜けた後に比べてさらにポケモンの数が増えたみたいでな……サンダーの『らいめいげり』も、野生の本能で警戒しているのか、シュバルゴとかビークイン、イオルブみたいな、耐久が得意なむしタイプのポケモンが自然と前に出て盾になり始めてる。今じゃちょっとした軍隊みたいな感じだぜ」

「統率が取れてる……相当に厄介とね……」

 

 ジュンに言われて前を見れば、確かにむしタイプのポケモンがよく確認できた。この近くにむしタイプのポケモンの巣穴が近いことも関係しているのだろう。こういうところを見ると、なんだかあの吹雪異変の再来を見ているような気分だ。けど……

 

「むしタイプ。それもシュバルゴが表立って守っているのなら、その解決方法は案外簡単かもね」

「本当か!?」

「明らかに厚そうな壁だけど……いけると?」

「ボクの想像が間違っていなければね。そのためにも、是非ともあの人の力を借りたいんだけど……」

「戻ったわよフリア」

「こっちの方の救助者はナックルシティが近かったから、そっちのスタッフに頼んだけど、良かったんだよな?」

「ナイスタイミング!!」

 

 あの時と比べてこちらの戦力はさらに多いし、敵が明確だ。なら対処は立てやすいし、その対処にうってつけの人物がちょうどここにいる。

 

「コウキ、力を貸して。コウキとならこの軍団を乗り越えられるから!!」

「……ああ、納得した。任せろ。手加減はいらないよな?」

「勿論。そこはきっとファイヤーかフリーザーが絶対に止めてくれるから。あ、でも一応射線は外してね?」

「そこはわかってるよ。いくぞ、ブーバーン!!」

 

 ボクの考えを言わずもがな納得して、すぐにブーバーンを呼び出すコウキ。

 

 むしタイプ……特に、はがねタイプとの複合であるシュバルゴに対しては、ほのおタイプの技は天敵と言っていい技だ。もしこれが野生のポケモンではなく、トレーナーが後ろで指示をすれば、この天敵のタイプに対して少なくない対処をすることができるだろうけど、野生のポケモンであるのならば、自身の本能に逆らうことが出来ず、自然と身体を避けてしまうはずだ。

 

 けど、それだけでは足りない。

 

 ブーバーンの放つ火力はとてつもなく高温で、シュバルゴ単体で見るのであれば一撃で倒し切ることができるだろう。しかし、今戦っている相手は1人ではなく、軍隊クラスの数が集まっているポケモンの軍団だ。1人を倒すことはできても、この群れを割るほどの攻撃を放つまでにはいかない。だからこそ、サンダーは苦戦しているわけだしね。

 

 ならどうすればいいのか。そんなの簡単だ。

 

「ブーバーンはボクが全力で援護するよ!!マホイップ!!」

「マホッ!!」

 

 両腕を伸ばして焔を溜めるブーバーンの横に、かわいらしく声をあげながらマホイップが現れた。

 

「マホイップ!!『デコレーション』!!」

「マホ~」

 

 現れたと同時に綺麗な飴細工を構えたマホイップは、そのままブーバーンの頭にそれを乗せ、さらに可愛らしくクリームを乗せてあげることで、ブーバーンの能力を一気に引き上げた。

 

「バーン……?バァッ!?」

 

 いきなり自身の能力がぐーんと伸ばされたことに驚くブーバーン。だけど、ボクのフォローはこんなものじゃない。

 

「メガヤンマ!!『エアスラッシュ』!!」

「シシィッ!!」

 

 ブーバーンの前に躍り出たメガヤンマが、自慢の翅を高速で羽ばたかせ、一直線の風の道を作りあげた。

 

 酸素の供給が十分になされているこの道は、炎が通るとなれば、さぞ大きな助けになるだろう。後は、この道に最大火力を叩き込んでもらうだけだ。

 

「コウキ!!」

「任せろ!!ブーバーン!!『だいもんじ』!!」

「ブ……バァッ!!」

 

 両腕の先端から放たれた、大の字を書いた炎が、デコレーションで強化され、メガヤンマの風の道を利用して、ボク知っているそれに比べて数十倍の火力となって真っすぐ解き放たれる。

 

「キキィッ!!」

「サンダー!?」

 

 その焔に対して、サンダーがらいめいげりをもってだいもんじを蹴りだすことによって、更に加速されて打ちだれた。

 

 速度も火力も十分の、全てを焼き尽くす渾身の一撃。

 

 さすがにこの攻撃は絶対に受けてはならないと本能で理解したポケモンたちは、サンダーがらいめいげりをした時と同じように慌てて左右に真っ二つに割れ始め、真ん中に大きな一本の道が再び完成した。

 

「おし!!道が出来たぞ!!」

「けど、これじゃあ渡れなかと!!」

「火力高すぎよ!!地面が大変なことになっているわよ!?」

 

 しかし、これによってできた道は、マリィとヒカリが焦りながら声をあげている通り、轟々と地面が燃え盛っているせいで、とてもじゃないけど人が歩くことができるようには見えない。せっかく道を作り上げたのに、これでは本末転倒だ。

 

 けど、そんなことは当然ボクの頭の中に考えている。

 

「グライオン!!『ストーンエッジ』!!」

「え?」

 

 この状況を前にして、ボクがグライオンに指示したのはストーンエッジ。この行動の意味をまだ理解し切れていないマリィから混乱したかのような声が聞こえるけどひとまず無視。ボクの指示を聞いたグライオンは、声をあげながら大きなハサミを地面にたたきつけて、地面から岩をどんどんと盛り上げていく。それも、ただ岩を生やすだけではなく、燃えている炎の道の左右を、ボウリングのレーンの形のように岩のを並べて生やし、預かり屋への一本の道を作成した。

 

 しかし、これで出来たのはあくまで道の横を守る壁だ。この壁があることによって、たった今作られた道を再び閉じられてしまう可能性はなくなっているけど、地面が燃えていることに変わりはないので、結局出来た道を渡ることは出来ない。

 

 だけど、それは逆に言ってしまえば、この炎を消しさえすれば、つぶされることのない道が出来上がるという事。

 

「あとは炎を消すだけ!!それなら簡単でしょ?ジュン?ヒカリ?」

「おう!!任せろ!!」

「ええ、もう準備は出来ているわよ!!」

「「エンペルト!!『ハイドロポンプ』!!」」

 

 ボクのお願いを聞いてすぐさま反応したジュンとヒカリは、エンペルトを呼び出してハイドロポンプを指示。燃え盛る地面に対して激流を放ち、一気に消火させて、綺麗な一本道を完成させた。

 

 これで安全に進めるようになった。

 

「さぁ今のうちに行くよ!!これで左右からの攻撃もほとんど気にしなくていいはずだよ!!」

「空からの攻撃は任せろ!!おれのフーディンで全部弾いてやる!!」

「先頭はオレがエンペルトとサンダーと一緒に走るから後ろは任せるぞ!!」

「任せてちょうだい。わたしとフリアで守るわ!!マリィ、あなたはみんなの誘導をお願い!!」

「わかったと!!」

 

 ここまで来てしまえばあとは進むだけだ。すぐさま役割分担を決めたボクたちは、救助者をしっかりと守るように並んで、迅速に、だけど丁寧に移動を開始する。

 

「……成程、火を消して岩で道を作るって順番だと、火が消えた後から岩が生えるまでのラグで道がつぶされる可能性があったから、先に『ストーンエッジ』で道を作っていたとね」

「まぁね。ちょっとでも確実に道を作るはこれしかないかなって」

「こういう時、経験の差を感じると……あたしもまだまだと」

「それだけ苦労してきたからね。……これになれるのが良いのかどうかは、ちょっと謎なところだけど」

 

 出来ればマリィたちには、テンガン山の時のような目にはあって欲しくは無いのだけど、多分マリィたちはそれでは納得しないだろうから塩梅が難しい。ボクが言えた義理では無いのだけど、ボク個人としては安全に生きて欲しいよね。

 

 なんて話をしていると、気づけばもう預かり屋の入口まで来ることに成功していた。

 

 さすがに今つくりあげた道の出口と、預かり屋の入口までは繋げることは出来ないので、唯一注意する場所はと聞かれたらこの最後の部分なんだけど、そこはしっかりとファイヤー、フリーザー、そしてモスノウの大群がしっかりフォローを入れてくれることによって、特に邪魔を受けることなく通過。はれて、ジュンが見つけた救助者を預かり屋に案内することに成功した。

 

「着いた!!あとはここのオーナーさんの指示に従ってください!!それで暫くは何とかなるはずです!!」

「あ、ありがとうございます!」

「この恩は忘れません!」

「気にしないでください。間に合って良かったです」

 

 ボクの言葉を聞いて次々と預かり屋の中に逃げ込んでいく救助者たちは、ボクたちにお礼を言いながら走り去っていく。その時の表情が本当に安心しきった顔で、それだけ怖い状況におり、そしてボクたちに救われたことに安堵しているのだと思うと、少しほっとした。

 

 けど、安心するにはまだ早い。もしかしたらこの間に新しい要救助者が増えるかもしれないからだ。

 

 エンジンシティから帰る時は確認方法がなかったために諦めざるを得なかったけど、今なら確認することが出来る。その結果如何では、また再出撃する必要がある。

 

「フリアさん!!みなさん!!」

 

 そうやって警戒しているボクらに対して、先程送り出した救助者とすれ違うようにしてこちらに来たのはアオイさん。腕を振りながら慌ててこちらに駆けてくる様子は、なにかの情報を伝えてくるためのそれに見えて、ボクたちは身構えた。

 

「救助ありがとうございます!!ひとまず、要請反応は消えたので、これで全員です!!」

「間に合ったぁ……本当に良かったぞ……」

「ええ、不幸中の幸いね」

「これで少しはゆとりが持てるな」

 

 しかし、アオイさんから告げられた言葉は全員救出という言葉。これを聞いてようやく完全に安心することが出来たジュン、ヒカリ、コウキは、一息つきながら言葉を漏らす。勿論、声に出していないだけでボクとマリィも同じ気持ちだ。これでワイルドエリア関連の問題はもう大丈夫だろう。

 

 あとは、ダンデさんの手伝いに行くだけだ。

 

「アオイさん、預かり屋のことはもう任せてもいい?」

「……はい、任せてください。……フリアさんは、まだやるべきことがありますもんね」

「本当にごめんと。本音は、ここに残って守りたいんだけど……」

「いえ!!わたしたちの仲間をしてくれているポケモンたちもいるので、大丈夫です!!」

 

 預かり屋ですることが無くなった以上、すぐさま移動をするべきだ。それをアオイさんも分かってくれているため、ボクたちを懸命に送り出そうとしてくれているけど、それでも少し怖いのか若干腕が震えている。そのことに気づいているボクとマリィは、つい動きが鈍ってしまう。

 

(もう少しここに残って、安心させてから動いた方がいいのかな……?)

 

「フリア、みんな、先に行きなさい」

「え?」

 

 そんな考えが頭の中を過ぎっていた時、ボクの肩にぽんと手を置きながらヒカリが言葉を告げる。

 

「ここの守備はわたしが担ってあげるわ。あんたたちは、ファイヤーとフリーザーの背中に乗ってすぐにナックルシティ入口に向かいなさい」

「ヒカリ……いいの?」

「大丈夫大丈夫。わたしの力は知ってるでしょ?これくらい平気よ。ファイヤーたちも、あんたたちを送り届けたら直ぐに戻るようにすれば、全然問題ないしね」

「……わかった、信じると」

「いつもの口癖があるのがちょっと不安だが……うん、今回は大丈夫そうだ」

「頼むぜヒカリ!!しくったら罰金5000万円な!!」

 

 自信満々に答えるヒカリに背を向け、すぐさまファイヤーとフリーザーの背中に乗り込むボクたち。この急に決まった出来事に着いて来れなかったのはアオイさんだけで、慌てて声を上げてくる。

 

「あ、あの!!わ、わたしのわがままで……」

「大丈夫よ。まだ関わりが浅いわたしが護衛って言うのは不安かもしれないけど、しっかり守るわ」

「い、いえ!!そういうことではなく……」

「アオイさん!!」

 

 自分のせいで計画が変わってしまったのではないか。それが不安で何とか弁明しようと慌てるアオイさん。優しい性格ゆえのそんな彼女の行動が微笑ましく、少しほっこりしてしまう。

 

 こんないい人を、困らせたままにしてはいけない。そう判断したボクは、慌てるアオイさんに一言、真っ直ぐ言葉を突きつける。

 

「ボクたちを……信じて?」

「っ!!」

 

 目を見て、心を込めて言葉を紡ぐ。

 

 これを受けたアオイさんは、はっと息を飲み、ゆっくりとボクたちの顔を見回していく。

 

 そんなアオイさんに対して、ボクたちは全員で笑顔を向ける。

 

「……わかりました」

 

 ボクたちの声と顔をみて、心が落ち着いたアオイさんは、不安そうだった顔を引き締めて、真っ直ぐボクたちを見つめ返してくる。

 

「ヒカリさん、ありがとうございます!!みなさんも……お気をつけて!!」

「うん……絶対に止めてくるから!!」

 

 もうアオイさんに迷いは無い。彼女からの激励を受けたボクたちは、ヒカリを残してナックルシティへと飛び立っていく。

 

 新しくできた、負けられない理由を胸に秘めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本作品のお話を章分けしました。これで少しは見返しやすくなったと思います。私も大助かりです。(???)




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