「見えた!!あそこだ!!」
「明らかに物々しい扉とね……」
ナックルシティ入口に現れたポケモンをジュンとコウキに任せたボクたちは、そのままナックルシティを真っ直ぐ走り、ナックルスタジアムの入口へと駆け込む。すると、視界の右側にスタッフの人が言っていたように、お城のような見た目のこのスタジアムの雰囲気を壊すかのように、メタリックで物々しい扉が、ボクたちの道を塞ぐかのように佇んでいた。
この扉自体は隠されていた訳ではなく、むしろ堂々と置いてあったもので、なんならボクたちがジムチャレンジを受けるためにここを通った時にも確認はした。けど、その明らかな異様さから、無意識のうちに『関係者以外立ち入り禁止なのだろうなぁ』と判断していたため、特に意識することなく通り過ぎていた。扉の左側に、このガラル地方では有名な『マクロコスモス』の社名が書き込まれていたことも、そう思ってしまっていた要因の一つだろう。そのため、見た目的には凄く存在感はあるのだけど、誰しもが特に違和感を感じることなく通過していた。
けど、今回はこの中に用事あがある。
「あのスタッフさんが言っていた通り、鍵は空いているみたいとね」
「うん、扉の横のカードキーを通しそうな場所が緑に光ってるし、中に誰かが通った形跡はちゃんと見られるね」
おそらくこの先にダンデさんは入っていき、この屋上にてムゲンダイナと対峙していることだろう。早くその加勢に行って、直ぐにこの夜を止めに行きたい。
扉を見て一呼吸し、息を整えていざ扉の中へ。
「行こう、マリ━━」
「フリア!!危ない!!」
「え?」
扉を開け、中に入ろうとしたとき、横にいるマリィが声を上げながらボクに向かって飛びつき、そのまま2人一緒に地面に倒れ込む。すると、さっきまでボクたちが立っていたところに、ねっとうが打ち込まれてた。
あのままボクが立っていたら、このねっとうに撃ち抜かれて大火傷をしていたことだろう。
急に押し倒されたことで受身を取ることが出来ず、地面に身体を打ち付けてしまったためちょっとした痛みが走ったものの、それでも火傷するよりかはよっぽど軽傷だ。この攻撃を察知して、すぐさま反応してくれたマリィには感謝しかない。
「ごめんフリア。急に押し倒しちゃって……怪我はなかと?」
「……っつつ、ありがとうマリィ。助かったよ。マリィこそ、怪我してない?」
「あたしも平気と。なんとか間に合ったとね」
「全く、こんなところにまで邪魔してくるなんて……」
マリィと一緒にお互いの無事を確認しながら立ち上がっていると、少し離れたところから女性の声が聞こえてくる。そちらに視線を向ければ、そこには、白いリクルートシャツの上から赤いチューブトップ、黒のタイトスカートにストッキングと黒いハイヒール、白衣を上から羽織るという服装をした女性がおり、身長はヒール込みで180㎝くらいあるせいで、ボクたちよりも高い位置から見下ろしてくるその白い視線は、こちらを凍らせるのではないかと言うほどの圧力を持っていた。
「オリーヴさん……」
思わず後ずさりそうになる足を必死に抑えながら、ボクはねっとうを指示して攻撃した張本人の名前を呟く。
隣のミロカロスを撫でながら、まっすぐ冷たい視線を向けてきたのは、ローズさんの秘書であるオリーヴさんだった。
(どこかのタイミングで邪魔してきそうとは思ったけど、このタイミングか……)
常に冷静沈着で、綺麗と言うより怖いという印象を持たせる彼女は、しかし今はその表情を怒りに歪め、般若と言っても差し支えないほどの形相で言葉をぶつけてくる。
「さすが、シンオウチャンピオンと、スパイクタウンジムリーダーに推薦された人、あれだけのポケモンの暴動の中でも、ちゃんとここに来たことは褒めてあげます。……が!子供の突っ込んでいい話じゃないんですよ!!速攻帰ってくださいませ!!だってぇ、ローズ様の邪魔をするなんて、わたくし絶対に許せないんですものぉ!!」
「……っ」
いかにも仕事ができそうで、近寄り難い印象を受けたオリーヴさんの口からは到底想像できない言葉と口調で放たれた、ローズさんを信仰するかのようなセリフに、今度こそ思わず一歩下がってしまう。
申し訳ないけど、ここまでの姿を見せられたら、もはや狂気を感じてしまう。オリーヴさんがローズさんのことを慕っているのは分かってはいたけど、まさかここまでとは思わなかった。これは、この先に進むためにも、オリーヴさんは絶対に倒さないとすすめそうにない。そう思い、ボクは懐のボールを取りだして戦おうとする。
「フリア。先に行くと」
そんなボクの左手にそっと右手を重ね、マリィが1歩前に歩き出す。
「マリィ……」
「この人はあたしが止めるけん、ダンデさんの所にはやく行くと。大丈夫、この人に勝って、あたしも直ぐに追いかけるけん!!」
ボクの左手に乗せられた右手がかすかに震えているのを感じる。おそらく、マリィも先程のオリーヴさんの狂気の演説に小さくない恐怖を感じたのだろう。しかし、それでも自分にするべきことをしっかりと見据えて、それに勇気を持って立ち向かおうとしている。
ここは、マリィを信じて先に行こう。
「……わかった。先で待ってるから、絶対に来てね?」
「勿論と!!」
マリィからの力強い返事を聞いたボクは、すぐさま扉を操作して解放、中に入るために足を動かし始める。
「だからぁ!!邪魔させないって言ってるでしょうぅ!?ミロカロス!!『ねっとう』!!」
「それはこっちのセリフと!!ゾロアーク!!『あくのはどう』!!」
駆け出したボクを止めるべく、再びミロカロスにねっとうを指示するオリーヴさん。ボクを狙って放たれたその攻撃に対して、ボクはマリィを信頼してそちらの方に見向きもせずにダッシュ。すると、後方からゾロアークの声と、ねっとうがあくのはどうにぶつかって相殺された音が聞こえる。ボクの思い通り、マリィが守ってくれたのだろう。
「ああもう!!邪魔ばっかりして……オリーヴキレそう!!」
「もうキレてるに間違いじゃなかと?悪いけど、絶対に止めるとよ!!」
(ありがとう、マリィ)
伝説のポケモンと戦うのはもちろん怖いけど、こういう大人との戦いはまた別の恐怖に襲われる。けど、そんな怖い気持ちを抑えながらも、勇気を振り絞ってオリーヴに立ち向かうマリィに感謝の言葉を送りながら、ボクはとにかく足を動かした。
ダンデさんまでの距離は、あと少しだ。
☆
「……ここは」
マリィをナックルスタジアムの通路に置いてきて、扉に入り込み、エレベーターで地下におりて、そこから施設の中を少し駆け出したボクを待っていたのは、だだっ広い空間だった。
ドーム状に大きく開けた空間は、見方によってはバトルスタジアムのようにも見え、辺りを漂う赤い霧のようなものを視認できることと、現在進行形で腕に着けたダイマックスバンドが輝いていることから、おそらくここでもダイマックスが行えるのだろうということが想像出来る。しかし、ここは別にバトルするために作られた場所ではないということを、この空間の中心部以外の至る所に乱立している、発電機らしき装置が証明してくれていた。
ガラル地方は、街のエネルギー源としてダイマックスエネルギーを活用している。その事と、辺りを漂うダイマックスエネルギーの霧のことを組み合わせて考えるのであれば、十中八九これはダイナックスエネルギーを電力に変えるための装置だ。こんなところでポケモンバトルをし、流れ弾があの装置に当たろうものなら、一部の地域は停電になってしまうだろう。
けど、もしかしたら今回に関しては、その心配をしている暇は無いかもしれない。
「何をする気かな?最強のジムチャレンジャーくん?」
「ローズ委員長……」
この広い空間の真ん中で、壊れた黒色の卵の殻のようなものの前で、こちらに背を向けたままそうつぶやく声の主、ローズさんを見つめながら、ボクはぎゅっと拳を握りしめる。
オリーヴさんがいた時点で分かってはいた。
この騒動を起こした元凶である彼が邪魔してくる可能性。
ボクがダンデさんを助けるために超えなければならない、最後の壁。
「ダンデさんを助けに来ました」
その壁を見つめながら、ボクはここに来た目的を簡潔に伝える。するとローズさんは薄ら笑みを浮かべながら振り向き、ボクに言葉を返す。
「それは困るねぇ。ムゲンダイナを制御するのはチャンピオンである彼でないといけないからね」
「ムゲンダイナを捕まえて制御するのが目的なら、ボクが行っても構わないでしょう?」
「キミはよそ者じゃないか。そんなキミがムゲンダイナを捕まえたら、シンオウ地方に連れて帰ってしまうだろう?それじゃあ意味が無いんだよ」
「ですが、さすがのダンデさんでも、2人のムゲンダイナを同時に相手するのは厳しいはずです。ダンデさん1人に、背負わせすぎです」
「ははは、彼がこの程度の壁を越えられないわけが無いだろう?なぜなら彼はこのガラル地方が誇る最強のチャンピオンだからね!!この程度の壁、怖くないさ」
「けど、この間にもガラル地方の色んなところがたくさんのポケモンに襲われています。たとえダンデさんに勝てる力があるとしても、勝ち切る前にガラル地方が大きなダメージを受けてしまいます」
「そこも大丈夫。色んな場所でみんなが戦ってくれている。多少の犠牲はあるかもしれないが、私の愛するガラル地方は
(この人、悪い意味でガラル地方に愛を注ぎすぎている……)
ボクの言葉全てに対して、ガラル地方の愛を込めながら反論してくるその様は、この施設の入口にてローズさんに対して異常なまでの愛情を持って発狂していたオリーヴさんに似たようなものを感じた。
自分の地方を愛することはとても素晴らしいことだし、ボクだって地元のシンオウ地方のことは好きだ。その地方が滅ぶと言われたら、何がなんでも抗おうとする。そういう点では、ローズさんの気持ちが全く分からない訳では無い。けど、それにしたって行き過ぎているその思考は、今のボクには狂気にしか見えなかった。
「多少の犠牲って……なんですか……」
「フリア君。君はまだ子供だ。故に、現実の厳しさを知らない。先に進むためには犠牲はつきものだよ。大丈夫、このガラル地方がこの先永劫に繁栄するための礎だと理解したのなら、犠牲になった人も喜んでくれるさ」
「人の生き死にに、あなたが勝手に価値を決めないでください!!」
ローズさんの言葉に、苛立ちが募り始める。
ローズさんの言う通り、ボクはまだ大人じゃない。現実の厳しさも、挫折のおかげで少しは分かってはいるけど完全に理解しているわけじゃない。けど、それでも今ローズさんの言っていることが間違っているということだけはわかる。
だから、ボクは今頭に浮かぶ自分の信念に基づいて、反論をする。
「あなたにとっては小さい犠牲でも、犠牲者の家族にとっては唯一無二の存在なんです!!それを『多少』だなんて言葉で済ませないでください!!数千年後の電力が足りないなんて計算上で割り出しただけの未来のことなんかで━━」
「あなたこそ!!私が計算の結果だけでこの行動をしていると思わないでください!!」
「っ!?」
しかし、そんなボクの言葉に対して力強く返してくるローズさんの瞳には、何が何でも絶対にこの計画を成功させるという鋼の意思を感じた。
梃子でも動く気はないその姿勢に、ボクは逆に気になって質問を投げかけてしまう。
「なぜ……そこまでしてこんなことをするんですか……?」
「……何度も言いますが、私はこのガラル地方が大好きです。そんなガラル地方の滅亡を……
「……え?」
そんなボクの質問に返ってきた言葉は、ボクの予想を遥か斜め上に飛んでいく答えだった。
☆
私が
カンムリ雪原にて、更にダイマックスエネルギーを効率よく集め、そして知見を深めるために研究量を増やしつつ、それでいて沢山の観光客を集めることもできるアトラクションとして新しく設立されることとなったダイマックスアドベンチャー。そのプロジェクトの進行具合と、マックスダイ巣穴を改めて確認するために訪れたある日のこと。
私は、不用心にも1人で巣穴の中を歩き、どのようなポケモンがいるかの確認をしていた。その結果、急に目の前に現れたダイマックスポケモンの攻撃によって発生した落石の衝撃を受け、気絶してしまった。
幸い岩が直撃をすることはなかったので、外傷は存在しなかった。しかし、私を襲ったのはもっと衝撃的な現象だった。
「な、何なんだここは!?」
気絶からめざめ、辺りを見渡した私の視界に入ってきたのは、一面広がる大草原であった。
さっきまで洞窟の中で下見をしていたはずなのに、目を開けたら自然あふれる暖かい大地の上に寝転がっていた私。これが雪原の上ならまだわかった。なぜなら、マックスダイ巣穴があるカンムリ雪原は、その名の通り常に雪が降り積もる寒冷地だからだ。
しかし、そんな寒冷地とは180°違う暖かな草原は、深呼吸をするだけで心地よく、研究ばかりでいつの間にか疲れの溜まっていたらしい私の身体を心の奥から解していった。
「なんて心地いい場所だ……暖かく、それでいて懐かしさを感じてしまう程だ」
一面広がる草原は見ているだけで本当にリラックスでき、また、回りを駆けていくポケモンの姿もとてものびのびしており、ここの環境がとてもいいことを物語っていた。
まるで夢のような世界。
ガラル地方のワイルドエリアに迫るほどのその空気は、本当にここが現実なのかと疑ってしまう程だった。
「素晴らしい場所だ。私がなぜこんなところにいるのかが、どうでもよくなってしまう程には綺麗な場所だ」
理想郷とてもで言うべき場所を見渡しながら、ゆっくりと足を進めていく私。
横を駆け抜け、飛び回るポケモンを見送りながら、のんびりと散歩をする夢の時間。
至高の幸せとでもいうべき時間。
しかし、その時間は、ある時を境にゆっくりと瓦解していく。
「ん?あれは……建築物?」
ある程度足を進めていった私の目の前に映ったのは、人工的な建築物の塊だった。
至る所にツタが絡みつき、木が生え、一部は崩れ去っているその建築物の群れは、風化しているものの規模がすさまじく、おそらく昔はとても栄えている街だったのだろうと思わせるほど、広く沢山建てられていた。こういう建物が好きな人にとっては、たまらない場所だろう。かくいう私も、こういうものは嫌いではないので、ちょっとした冒険心をくすぐられる素晴らしい景色だった。
しかし、同時になぜか、私の胸に何か嫌な予感が渦巻き始める。
「ここまで風化するということは、かなり年月が経っていそうだ……しかし……なぜだろう、この建物……少し見覚えがある……」
崩れた建物の形を見て、とても馴染み深く感じてしまったことにどんどん嫌な想像を膨らませた私は、その建築群の中心へと足を踏み入れ、いちばん大きな建物に近づいていく。
その建物はお城のような外見で、石造りで建てられていたらしいその建物の前には、木製で作られた跳ね橋だったものも確認できた。
そして、そんな建物の近くに落ちていた、青と黒、そして赤色で象られた龍の顔をモチーフとしたマーク。
それは私が何度も見た、ナックルスタジアムを象徴するマーク。そのマークが、ここがかつてナックルシティであった場所ということを証明していた。
「なぜ……なぜナックルスタジアムが……こんなことに……っ!!ではまさか、私が今いるのは……っ!?」
それと同時に、私は今、未来のガラル地方にいるのだと、理解してしまった。
そんな私の頭上では、小人のように小さな身体に透明な一対の羽を生やし、妖精のように空を駆ける緑色のポケモンの姿があった。
☆
「未来の……ガラルを見た……?」
「時渡り。とある幻のポケモンがする習性なのだが、たまに人が巻き込まれて過去、若しくは未来に移動してしまうことが、ジョウト地方では度々あったらしい。どうやら私もそれに出くわしたようでね。そこで見たのだよ。未来のガラル地方の姿を」
空を見上げながら悔しそうに声をこぼすローズさん。その表情からは嘘を言っているようには見えず、今話したことが、実体験であることをしっかりと伝えてきた。
「そこから再び時渡りを受け、ガラル地方に戻った私は、未来で見た事と、今あるエネルギーと、その他もろもろを計算、シミュレーションし、いろいろなパターンを見てきた。勿論、ムゲンダイナを制御したあとの世界についてもね。しかし、そこまで考えてようやくわかったのだよ。私が時を渡り、見てきたあの光景が、ムゲンダイナを制御したあとの世界だということを」
「ムゲンダイナを制御した上で……未来ではガラル地方は滅んだと……?」
「ええ。どうやら未来に直面するエネルギー問題と言うのは、私の想像以上に大きな問題の可能性があるらしいですね」
「……だから、ムゲンダイナを2人……」
「そうです!!」
悔しそうな顔を浮かべていた顔が、2人目のムゲンダイナの話に変わった瞬間、一気に満面の笑みへと変わっていく。
「どうやっても滅ぶ未来を見据えた時、私は絶望していました。この未来からは逃れられないのかと。しかし、そこで私はふと思ったのです。かの幻のポケモンはジョウト地方近辺に住んでいるためガラル地方に来ることはまず無い。けど、私は確かにこの目で見て身体で体験した。……なぜ?」
ローズさんからの問いかけに、ボクは頭の中でひとつの仮定が浮かび上がる。が、そんなボクのことを気にせず、ローズさんの言葉は続いていく。
「その疑問を持った私は、あのポケモンに会える可能性を信じてマックスダイ巣穴に再び赴いた。その時は残念ながら幻のポケモンに会うことはかないませんでしたが、代わりにとんでもないものが見つかりました。それは、持つだけでポケモンの攻撃性が上がる代わりに、所持しているポケモンがその力に耐えられず混乱してしまうと言うとある遺伝子」
「……まさか!?」
その浮かび上がった仮定が、徐々にしっかりとした物に固められていくと同時に、預かり屋にて暴走していたバンギラスの姿を想起した。そのことに、自分でも隠せない驚きの表情が漏れだし、これを見たローズさんは満足そうな顔を浮かべながら、言葉を続ける。
「私も最初は同じように驚きました。しかし、偽物の可能性もあると思った私は、こっそりととある場所に流し、その効果を確認してみました。結果、その遺伝子が本物であるということが発覚。本来なら、カントー地方のとあるポケモンが持っているはずの遺伝子が、そのポケモンが居ないはずのガラル地方に2つ目として現れたという結果になったのです。そして、その結果を元に、私はついに出会うこととなったのです」
ここまで説明されれば、誰だって気づく。
ローズさんがこの時、どのような答えにたどり着いたのか、そして、この現象は誰が引き起こしてしまったのか。
「別の世界線からポケモンを呼び出すことの出来るポケモン……コスモッグと!!」
「……それで今回の計画を」
「ええ。あの時も言いましたが、足りなければ連れてくればいいのです。コスモッグの力があれば、それが可能ですからね」
嬉しそうに言葉を零すローズさんは、傍から見ているだけでも本当に幸せそうな顔を浮かべながら言葉を零す。
「本当に、天啓を授かったかと思いましたよ。これで、あの未来を迎えずに済む……そう思うと嬉しくてたまりません。……ですから、その未来を邪魔しようとしているあなたは、絶対に止めさせていただきますよ」
「っ!!」
が、その幸せそうな顔も、ボクを視界に収めた瞬間引き締まったものに変え、右手にモンスターボールを構えた。
ローズさんは、今でこそリーグの委員長と言う立場にいるけど、その昔はチャンピオンリーグ準優勝まで言った実力者だと聞いている。ブランクこそあるかもだけど、間違いなく強敵であることに変わりはない。
ここに来て痛い足止め。けど無視するわけにもいかない。
(ここはやるしか……)
「待ちなよ」
「え?」
そう思い、ボールを構えたところで、ボクの肩にそっと手が置かれる。
「あなたはここで、道草を食っている場合じゃないでしょう?ほら、速くチャンピオンの所に行ってきてください」
「あなたは……」
「ビート!!」
その声の主であるビートの登場に、ボクは思わず声をあげた。
ローズ
ここでようやくローズさんの行動原理……某作品に言うのなら、オリジンがわかりましたね。流れ的に言うのなら、ダイマックスポケモンの攻撃に驚いたコスモッグが力を暴発させ、セレビィが出現。今度は、このことに驚いたセレビィが時渡りを暴発。ローズさんがこれに巻き込まれ、未来に移動し、そこで滅んだあとのガラル地方を見た。と言う流れになりますね。ムゲンダイナ2人を呼び出したのは、この光景を見てしまったからとなります。
いでんし
正式名称、はかいのいでんし。第二世代のみで使われたアイテムで、所持しているポケモンが場に出た瞬間に、攻撃が2段階上がり、その後こんらん状態になる。というアイテムです。当時に猛威を振るっていたアイテムなため、知っている人はいるかもしれませんね。そしてこのアイテムなのですが、手に入る場所がななしのどうくつ付近であることから、ミュウツーの遺伝子の一部だと言われています。そして、この道具が本作品で使われた場所は、5番道路の預かり屋を襲った、ポケモンハンターの手持ちのバンギラス戦です。つまり、この事件も元をたどればローズさんが関わっているという事ですね。そしてもっと言うのなら、この遺伝子がその時点で出たということは、その頃からこの作品のどこかでミュウツーが出ることが決まっていたということになります。……何年ぶりの伏線回収なんでしょうかね?そのうえ微妙にわかりづらい……これが、コスモッグが出る前から何度ルナティックが確定していた。と言う理由です。
最後にお知らせです。諸事情により、次話の投稿が少し遅れる可能性があります。想定では2、3日ほどなのですが、場合によってはさらに伸びる可能性があります。できる限り遅れないようにしようとは思いますが、遅れてしまった時は、少し手が離せないのだろうなぁと思っていただけたら幸いです。