【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

307 / 374
307話

「おやおや、誰かと思えば、アラベスクジムの新しいジムリーダーではありませんか。あなたはフリア選手に負けてすぐにアラベスクタウンに戻ったと聞いたのですが……こんなところまではるばる来て、いかがなさいましたか?」

「少しばかりこちらに野暮用があったのでお邪魔させてもらっただけですよ」

「そうですか。それは御足労を……ですがいいのですか?確か、アラベスクスタジアムにもダイマックスエネルギーの奔流と、ウルトラホールの発現、そして、伝説のポケモンの出現があったはずですが……」

「呼び出した張本人に心配されるのは些か不満ですが……まぁそこは気にしないでください。あんなきゅうりみたいなポケモン、ばあさん1人で十分対処可能ですから」

 

 突如現れたビートが、ローズさんと言葉を交わしながらゆっくりとボクの横を通り過ぎて前に歩いて行く。その動きだけで、ビートがぼくに何を言いたいのかがよく分かった。

 

「ビート……頼むよ」

「そんな言葉はいりませんよ。早く行ってください」

「うん……ありがとう!!」

 

 会話は最小限に、ビートへの言葉を返したボクは、身体の向きを反転させ、屋上へ向かうためのエレベーターのある方へと走り出す。この際、ビートが止めてくれると信じてはいるけど、オリーヴさんより間違いなく強いであろうローズさんからの妨害が少し怖かったボクは、ローズさんの方に視線を少し向ける。しかし、オリーヴさんの時と違って未だにボールからポケモンを出しすらしないローズさんは、ただただうすら笑みを浮かべながらボクを見送っているだけだった。

 

 その姿がとても気味が悪くて、ついつい足を止めてしまいそうになる。

 

(いや、それでも前に行かなきゃ……!!)

 

 けど、ここをビートに任せると決めた以上、ボクが足を止めるわけにはいかないので、その気持ちをぐっとこらえて前に走り続ける。

 

(ありがとう……みんな……!!)

 

 エレベーターに駆け込んだボクは、ここに来るまでに残って闘ってくれた人のみんなの顔を順番に思い浮かべる。

 

 預かり屋で残ってくれたヒカリ。

 

 ナックルシティ入口で残ってくれたコウキとジュン。

 

 オリーヴさんを止めるためにこの建物の入り口に残ってくれたマリィ。

 

 そしてたった今、施設内でローズさんを引き受けてくれたビート。

 

 その誰もが1人として欠けていたら、ボクはここに到達することが出来なかっただろう。

 

 勿論、この後きっとみんなここに追いついてくれるはずだ。だから最終的にここに集まる戦力の差が変わることはない。けど、今この状況において何よりも大事なのが、いかに早くダンデさんに手を貸すことができるかだ。

 

 ダンデさんへの援護が早ければ早いほど、この夜は早く明ける。そうすれば、この夜による犠牲者も減らせることができる。

 

 それに、見方によってはこの夜によって呼び出されてしまった伝説のポケモンたちも被害者である。いきなり知らない土地に呼ばれて、そのことにパニックを起こして暴れていたら、現地民に反撃されてしまう。仕方がないこととはいえ、間違いなく望まない戦いをさせられている状態だ。

 

(この場所に飛んできちゃった子も……ちゃんと返してあげないとだね……)

 

 そのためにも、いち早く援護に辿り着いたボクが、みんなが来るまでにムゲンダイナの体力をしっかりと削らないといけない。

 

「さぁ……あとちょっとだ……」

 

 エレベーターが上昇しきるまでの時間を、入口上部分にある、今エレベーターが何階にあるかを表示する電光掲示板を見つめながら心を整えていく。

 

 この扉が開けば、いよいよこの夜の元凶との対面だ。先に対峙しているであろうダンデさんが繰り広げている死闘に、ボク自身も参戦することとなる。

 

「頑張るよ……みんな!!」

 

 腰元にあるボールに手を添えながら声をかけると、返事をするようにカタカタと揺れた。その事から、みんなにもしっかりとやる気があることを感じたボクは、ぎゅっと握りしめながら、エレベーター内に響き渡る到着音に耳を傾ける。

 

「っ!!」

 

 音と同時に開いた扉から外を眺めると、視界に入ってくるのはかなり近くなった赤く、そして暗い空。重苦しい雰囲気を感じるその空を眺めたボクは、しかしそのことに意識を取られることなくすぐに外へと飛び出した。

 

「ダンデさんは……あっち!!」

 

 外に飛び出してすぐに耳に入ってきたのは戦闘音。技と技がぶつかる激しい爆発音を聞いたボクは、その音の発生源の方を直ぐに見極め、エレベーターから左に飛び出してすぐ左手に見える階段を駆け上がる。すると、階段を登りきったところで、2人のムゲンダイナが今まさに、ダンデさんが呼び出しているドラパルト、ギルガルド、リザードンに向かって、りゅうのはどうを打とうとしている直前の場面に立ち会った。

 

「メガヤンマ!!『エアスラッシュ』!!ネオラント!!『ハイドロポンプ』!!チリーンは『サイコキネシス』でグライオンは『ストーンエッジ』!!」

 

 これを確認したボクは、すぐさま4人の仲間を呼び出し、全員に攻撃を相殺することを指示。ボールの中にいた時から既に準備をしてくれていたみんなは、外に出るなりすぐに技を解き放ち、飛んでくるりゅうのはどうを綺麗に打ち落としていく。

 

「ドラパルト!!『ドラゴンアロー』!!ギルガルドは『シャドーボール』でリザードンは『だいもんじ』!!」

 

 自身を襲う技が消えたことを察知したダンデさんは、すぐさま攻撃技を指示し、技を妨害されて隙が生まれたムゲンダイナに対して反撃。自身の技を急に止められたことに反応できなかった2人のムゲンダイナに綺麗に攻撃が入り、2人揃って少し後ろに下げられることとなる。

 

「ダンデさん!!お待たせしました!!」

「フリア君!!ナイスタイミングだ!!」

 

 ムゲンダイナの行動が止まっているうちにダンデさんの横に並び立って挨拶をし、再びチリーンたちに攻撃の指示を出しながら、ボクたちは情報交換を行っていく。

 

「君が来たということは、色々片付き始めていると考えていいのかい?」

「はい、少なくともワイルドエリア内の人はみんな助けています。他のみんなも、それぞれが持ち寄っている場所が落ち着いたらこちらの援軍に来る手筈になっています!!」

「それは朗報だな!!」

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

 ボクが新しく参戦したことにストレスを感じたらしい2人のムゲンダイナが、空に向かって大きく吠えながら、攻撃の頻度を上げ始める。

 

「「インテレオン!!『ねらいうち』!!」」

 

 りゅうのはどうにかえんほうしゃ、そこへヘドロばくだんも混じえて行われるムゲンダイナの攻撃の嵐に対し、ボクとダンデさんは追加でインテレオンも呼び出して、2人によるねらいうちで的確な狙撃を行い、技の出はじめにちょっかいをかけ始める。これによって技の集中力を落とすことで、技そのものの威力を抑える作戦だ。この狙いはしっかり刺さり、手数が増えているはずなのに、その状況でもムゲンダイナ2人の攻撃を綺麗にいなすことに成功していく。

 

「いいぞフリア君!!やはり君のような味方がいると心強いな!!」

「それなら良かったです!!」

 

 戦況が良い方に傾き始めたことに、嬉しそうに声を上げるダンデさんに対して言葉を返しながら、ボクは視線を少し周りにめぐらせる。

 

 そこに広がるのは、ダンデさんがしてきたバトルの激しさを物語る痕跡。壁は崩れ、床は傷と煤が至る所に見受けられ、無傷なところを探す方が難しいほど。きっとボクの想像以上の激闘が行われていたのだろう。そう感じたボクは、ダンデさんに質問をなげかける。

 

「ダンデさん。残りのポケモンは何人いますか?」

「バリコオル、オノノクス、ガマゲロゲが倒されて7だな。正直、威勢よく飛び出したはいいが、いざ対面するとやはり2対1と言うのは存外辛くてな……フリア君のように援軍が来るのは想像できたから、動きも守備を多めにした故に、手持ちにはまだ余裕がある。本当に来てくれて助かった。それも、こんなにも早くだ。きっとたくさんの人が手を貸してくれたのだろう?」

「はい。みんなが、ボクをダンデさんの下へ連れていくために道を開けてくれました」

「だろうな。……本当に、俺たちはいい仲間に恵まれた」

 

 ボクの質問に答え、そして嬉しそうに喋るダンデさん。

 

 戦場への意識を維持したまま横目でダンデさんの表情を確認してみたところ、その表情はとても優しく、言葉以上に嬉しいという気持ちで溢れているのが窺えた。と、その表情に思わずこちらも少しつられそうになっていると、瞬きをした次の瞬間にはその表情はなりを潜め、真剣なまなざしでムゲンダイナを見つめていた。

 

「フリア君が来てくれた。これでようやく、俺の行動の割合を少し攻めの方に向けられるようになった!!さぁ、反撃開始だ!!……フリア君、しっかりついてきてくれよ?」

 

 ダンデさんからの挑発的な言葉に思わず身体が震えるボク。

 

 それは緊張か、はたまたダンデさんから感じる喜びの感情に当てられてか。

 

 少なくとも、隣にいるダンデさんからは、今すぐガンガン攻めたくて仕方がないという気持ちが強く伝わってきた。

 

(そんな気迫を見せられたら……こっちだって……!!)

 

「……勿論です!!ボクだって、この夜を早く超えて、ダンデさんと戦いたくて仕方がないですから!!」

「ふっ……そうだな!!」

 

 ダンデさんにつられて笑顔が自然と浮かんだボクは、拳に力をぎゅっと込めてムゲンダイナに視線を送る。

 

「さぁ、行くぞフリア君!!」

「はい!!」

 

 準備は万端。

 

 味方は最強のチャンピオン。

 

 そして今この瞬間、ボクとダンデさんの気持ちはしっかりと通じ合っている。

 

 今はそれだけで十分熱くなれる。

 

 ムゲンダイナとの勝負は、そのおかげもあってか、全然恐怖心を抱くことなく立ち向かう事が出来た。

 

「「いざ尋常に、勝負!!」」

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 至る所から聞こえてくる地響きと爆発音、そしてポケモンたちの叫び声。

 

 本来ならあまりポケモンも人もいないはずのここ、カンムリ雪原でも同じことがしっかりと起きており、奥まった場所でありながら、少し耳をすませば先に述べたものがしっかりと聞こえて来るし、少し遠くを見ればダイマックスしたポケモンたちが暴れている姿を確認することができる。

 

 そのダイマックしたポケモンたちが、一列に並んでフリーズ村に向かっている姿は、さながら巨人の行進の様で、以前あった悪夢のような事件をまさしく再現した出来事が起きてしまっていた。

 

(フリーズ村のみんなは……フリアたちは無事なのだろうか……)

 

 この夜の中、気になってしまうのは自身の友人とも、そして恩人とも呼べる人間たちのこと。

 

 信仰を力とし、人から認知され、信じられることで初めて存在と力を維持することの出来るヨ。しかし、今の時代誰からも認知されず、存在を忘れ去られて、何もすることの出来なかったヨ。そんなヨを見つけ、掬い上げて、あまつさえ全盛期に大分近い所まで力を取り戻させてくれたうえ、愛馬との再会すらもさせてくれた、神であるヨが本当に頭の上がらない人間たち。

 

 大切な大切なヨの友達。そんな彼らがこんな悪夢に巻き込まれて、果たして無事でいられるのだろうかと言う心配が、ヨの頭の中をずっと駆け巡っていた。

 

 この悪夢の正体については、ヨはよく知っている。

 

 この悪夢が凄く恐ろしく、そして簡単に乗り越えることが出来ないことをよく知っている。

 

 そんな友人たちの大ピンチ。本当ならば、ヨは一目散に駆けつけて、友人たちに手を貸すべきなのだろう。

 

 しかし……

 

(なぜ……なぜ……こんな状況なのに……ヨの身体は動ぬのだ……)

 

 動きたいのに、ヨの指はずっと痙攣して動かない。

 

 助けに行きたいのに、ヨの足は一歩も動かない。

 

 ヨの心が、動くことを拒否してしまっている。

 

(いや……『なぜ』なんて言葉で逃げるのはよくない)

 

 なんて、あたかもヨが悪くないとでも言いかねない言い方をしているが、原因なんてとうの昔に分かり切っている。

 

「シロォ―ス……」

「クロォ―ス……」

「ブリザポス……レイスポス……すまない……」

 

 そんなヨをみて、気遣うような声をあげながらこちらにすり寄って来る我が愛馬たちに、しかしそれでもヨの心は固まったまま動かない。

 

「やはりまだ……ヨは……」

 

 ガラル地方全土に充満するこの気配。

 

 頭をよぎるのは、この地面全てを鷲掴みするのではないかと思う程大きく広げられた掌。

 

 しかも、この気配を持つ存在が今回は2つもあると来た。

 

「ヨは……あの存在が……怖い……」

 

 その存在をはっきりと感知してしまったヨは、戦う前から負けてしまっていた。

 

「すまぬみんな……ヨは……戦えそうにない……っ!!」

 

 歯を食いしばり、それでも動かないヨの身体に改めて絶望を感じながら、ヨの目はおそらく元凶がいるであろう北の方向を見たまま固定される。

 

 そんなヨの呟きは神殿の中をこだまするだけで、誰の耳にも届くことはない。

 

「せめて……この身体さえ動いてくれれば……ヨは……っ!!」

「クロォースッ!!」

「シロォースッ!!」

「レイスポス!?ブリザポス!?どうしたのだ!?」

 

 誰にも届かない泣き言をただただ並べるだけの無意味な時間。そんな時間を過ごしていたら、突如として愛馬たちが声をあげ、ヨの首元に口を添えてきた。その事に、また昔みたいに愛想をつかされ、ヨの下を離れていくことを幻視したヨは、すがるような声をあげ、手を無意識のうちに伸ばし始めてしまう。

 

 怯え切ってしまっているこの状況で、愛馬たちに再び離れられたら、今度こそ存在が消滅してしまいかねないから。

 

 こんな時になっても、未だに友人の命よりも、自身の消滅を危惧していることにさらに嫌悪感を感じながら、それでも本能的によりどころを求めて伸ばしてしまう両手。しかし、その両手は空を切り、愛馬たちの首元に揺れる、キヅナのタヅナを握ることもできなかった。

 

(ああ……またヨは1人に……否……今度こそ消えてなくなるのか……)

 

 首元へ伸ばされる愛馬たちの口は、ヨへの攻撃の予兆。愛馬たちがヨから離れる時も同じようなことをされた覚えがある。

 

 これで2度目。

 

 今からまた居なくなってしまえば、3回目の出会いはおそらくないだろう。そうなってしまえば、ヨから力はまた失われ、フリアたちからも軽蔑的な目を送られるかもしれない。

 

(これでヨも終わり……ヨらしい、なんとも情けない最後であるな……)

 

 もはや抵抗する意思すらない。どうせ消え去るのであれば、このまま愛馬たちに消される方が幸せかもしれない。そう思い、ヨは目を閉じ、来るべき衝撃を受け入れる姿を取る。

 

 首元にかかる愛馬たちの鼻息が、ヨへの攻撃のカウントダウンのような役割へと変わり、ついに口がヨの首元にくっついた。

 

 あとは、このゼロ距離でシャドーボールとつららおとしを叩き込むだけ。それだけで、こうかばつぐんのふたつの技は、ヨの体力を削りきることが出来る。

 

(さらばである。みんな……)

 

 最後の言葉を思い浮かべながら、ヨは逝く覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 しかし、いつまでたっても衝撃は来ず、むしろ首元を襲ったのは、優しく甘噛みされるような、くすぐったい感覚だった。

 

 

 

 

「な、なに……を……うおっ!?」

 

 かと思えば、急に身体を浮遊感が襲い、視界がぐるんと大きく回転し、いきなりの出来事に対応できないヨは、自身の力で少しくらいなら宙に浮けるということも忘れ、素っ頓狂な声を上げながら、なにか冷たく、それでいて確かな優しさと温もりを感じるものの上に落ちて、座り込んでしまう。

 

 今の一連の動きが、愛馬たちが首元を起点にヨの身体を引っ張り、そのままレイスポスの背中に乗せるための行動だったと気づいたのは、レイスポスが歩き始め、神殿から外に出て数十秒経ったあとの事だった。

 

「オヌシら……一体何を……」

「クロォース」

「シロォース」

 

 未だに恐怖で身体が動かせないヨの手元に、ブリザポスが器用にレイスポスについているタヅナを誘導してゆっくりと握らせながら、優しく声を返し、ゆっくりと足を運んでいく愛馬たち。その姿から、色んなところで暴れ馬と呼ばれていた当時の荒々しさは何一つ感じることなく、純粋にヨを心配してくれている気持ちが伺えた。

 

「なぜ、ここまでしてくれるのだ?……いや、違うか」

 

 頭に浮かんだ疑問を素直に零すヨ。しかし、その質問の答えはすぐに頭に浮かんでしまった。

 

「オヌシたちも、フリアたちが心配なのであるな……」

「クロォース!!」

「シロォース!!」

 

 正解と答えるように元気よく吠える2人の愛馬。その姿に、ほんの少しだけ心が温かくなったヨは、夜が訪れて始めて笑顔を浮かべることが出来たような気がした。

 

「オヌシたちは……本当に強いな」

 

 愛馬いなければヨが全力で戦えないように、主がいなければ全力を出すことの出来ない愛馬たち。

 

 持ちつ持たれつの関係を持つヨたち故に、助けるために戦いたいとなると、役たたずだとしてもヨを連れていくしかない。だから、たとえ動けないとわかっていても、ヨを乗せて足を動かしていく愛馬たち。

 

 全ては、大切な人たちを救うため。

 

 その事を理解したヨは、愛馬たちにちょっとした誇りを感じながら、ゆっくりとフリーズ村へと進んで行く。

 

(ヨだって、フリアたちの助けになりたい。しかし、未だに身体は言うことを聞いてくれぬ。きっとこのまま参戦しても、何の役にも立つことはあるまい)

 

 フリーズ村へ向かう道中に襲ってくるポケモンたちを追い返していくブリザポスを見ながら、今の自分が出来ることを頭の中に思い浮かべていく。

 

(その時は、せめてフリアたちの肉壁となれるように準備をしておこう。……ふふ、こんなことをしていまえば、きっとフリアたちは怒るのであろうな)

 

 神であるヨに対して、一切臆することなく説教をしてくるであろうフリアたちを想像しながら、少しだけ吹き出してしまう。そんな未来を予想しながら、ヨたちはゆっくりとフリーズ村へと進んで行く。同時に、足を進める度に徐々に大きくなっていく戦闘音と人の声が、現在のヨとフリーズ村への距離を明確に教えてくれていた。

 

「あと少し……であるな」

 

 あと少しで、色んなところで起きている戦場のうち、ヨがいた場所から1番近い場所にたどり着く。そこには、ここからでもわかるほど大きな赤と青のポケモンが声を上げて暴れており、そのポケモンと呼応するように、空が晴れたり雨が降ったりと天候が激しく移り変わっていた。

 

 昔ヨと戦ったポケモンも恐ろしかったが、今ガラル地方全土で暴れているポケモンたちも、同じくらいに恐ろしいポケモンたちであるらしい。

 

(フリア……みんな……本当に、どうか無事でいてくれ……)

 

 そのことにますます心が折れそうになったヨは、ただただ祈りながら、ゆっくりと進むことしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

 ガラル地方の至る所で起きている激戦。それはとある人間がとある2人のポケモンの力を利用したことによって起きてしまった未曾有の大事件。

 

 その元凶のひとりである1人のポケモンは、空に舞い、自身と瓜2つの見た目をしたポケモンとともに吠え、ガラル地方全土にガラル粒子を振りまき、色んなポケモンを強制的にダイマックスさせていた。

 

 その姿は何かに怒っているように見え、実際にそのポケモンは、自身の唯一の友達を傷つけられたことに憤怒していた。

 

 その友達こそが、今回の事件の元凶のもう1人。

 

「…………」

 

 そのもう1人は、これだけの事件が起きているというのに、眠るように固まってしまい動かない。なんなら、脈動する様すら見受けられないその状態は、本当に生きているのかすら怪しいほどだった。

 

 だが、それでも確かに、分かる人やポケモンが見れば、内に秘められた力だけは感じることが出来るだろう。

 

「…………」

 

 ナックルシティはエネルギープラント地下施設。その一角にて、未だに地面に転がされて、繭の中で力をとにかく溜め込み続けているその姿。

 

 その力が放たれた時、一体何が起きるのだろうか。

 

 その答えは、この眠れる繭を求めて、懸命に世界を旅している1人のポケモンだけが、知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ムゲンダイナ

ようやく到達ムゲンダイナ×2。フリアさんも、伝説バトルの一員として立ち上がります。

バドレックス

一方で、この事件に対して一番怯えてしまっているポケモン。こうなってしまっている理由は、実機をプレイすれば、分かるかもしれませんね。



羽化の時は、まだ先。




投稿遅れてすいませんでした。次話からは、またいつも通りに戻れると思います。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。