【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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309話

「やるぞ!!タルップル!!アップリュー!!」

 

 

「リュオオオォォォッ!!」

「タルウウウゥゥゥッ!!」

 

 

 長い首を伸ばし、真っすぐゼルネアスを見つめ、天高く声をあげるタルップルとアップリュー。その姿は、どこか遠い地方で噂程度には聞いていた、カジッチュのもう1つの進化先の姿に少し似ていた。

 

 漂う甘い香りはとても重く、この匂いをダイレクトに受けているゼルネアスは少し辛そうな顔をしている。一方で、同じくこの匂いが支配する空間に一緒にいるぼくたちは、この匂いの影響は受けていない。そこはタルップルとアップリューがうまく調節してくれているみたいだ。

 

(さて、このゼルネアスを止める方法だが……)

 

 ゼルネアスの今の状態を振り返ってみる。

 

 今のゼルネアスのパワーの源は間違いなく周りに輝く光の柱ではあるが、おそらくもうあの光に意味はなく、今から頑張ってあの光をつぶしたところで、残念ながらゼルネアスの能力を落とすことはできないだろう。そして、先ほどの攻撃の嵐から、ゼルネアスの何の能力が上がったのかは何となく察することが出来た。

 

(あの『ムーンフォース』の威力と速度から、特攻と素早さの2つは確実に上昇している。プラスで、地面にぶつかって爆発した『ムーンフォース』の爆風が自身に返ってきたとき、最初の時よりも平気そうな見た目をしていた……その点から、おそらく上がったのは先の2つに特防を加えた3つ。それも、ただ1段階上がっただけじゃなくて、2段階上昇したとみていいんでしょうな……でなきゃ、パワフルハーブまで使って得た結果が『ちょうのまい』と一緒じゃあ、割に合わなさすぎる)

 

 今までの経験と、今起きた事への観察力をもとに、ゼルネアスの身に何が起きたのかの大まかな予想を立てたぼくは、すぐさま対抗策を練り上げていく。

 

(素早さに関しては問題はない。ワタシラガが『わたほうし』を仕掛ければそれだけでどんどん下げらますからな。それよりも問題は火力の方……)

 

 既に2回も受けたムーンフォースの雨。単純に威力の上がったこれを何回もやられるだけで、こちらはとんでもない被害を被ってしまう。これをどうにかしないと、どちらにせよこちらの体力はどんどん削られていくことになるだろう。

 

(そのためにも理想は、またあれをやられる前に倒し切ること!!)

 

 勿論、この理想はあくまでも自分に一番都合のいい展開だから、そうそう簡単に実現できるとは思っていない。しかし、どちらにせよ長時間戦えば先に尽きるのはこちら側だ。短期決戦を決めるためにも、こういう心意気で戦う方が大事だろう。

 

 

「ルアアアァァァッ!!」

 

 

 そんなことを考えているうちに、ゼルネアスも攻撃準備が整ったのか再び天に向けて声を放つ。すると、空から3つの星が落ちてくるのが見えた。

 

「次は『ダイフェアリー』か!!ならこちらは、『キョダイカンロ』と『キョダイサンゲキ』!!」

 

 

「リュオオオォォォッ!!」

「タルウウウゥゥゥッ!!」

 

 

 空から落ちてくる攻撃に対し、こちらは地面から合計6つのリンゴを生やし、それを天に向かって打ち上げる。

 

 空中でぶつかり合ったリンゴと星の攻撃は、互いに威力を相殺し合い、空中で大きな衝撃と爆音を響かせる。しかし、そんなことに気を取られている暇なんて1つもないので、この隙にできることをとにかく指示してく。

 

「ワタシラガは『わたほうし』でチェリムは『はなふぶき』!!」

「ワッタ!!」

「チェリ!!」

 

 ワタシラガが生み出した白色の綿を、チェリムがはなふぶきで打ち上げ、ゼルネアスにまとわりつかせ、さらに素早さを落としていく。

 

 

「ルアッ!!」

 

 

 この綿を嫌ったゼルネアスは、全ての綿を追い払うためにサイコキネシスを発動。念動力による斥力を用いて全ての綿を弾いた。そのせいで、思ったよりゼルネアスの行動力を阻害することは出来なかった。

 

「アマージョ!!『トロピカルキック』!!」

「アマッ!!」

 

 しかし、その行動をとられることを予想はしていたこちらは、その隙にアマージョによる奇襲を指示。足元まで潜り込んだアマージョが、ゼルネアスの足に向かって渾身の一撃を放っていく。

 

 この攻撃はゼルネアスの死角を完全に突いていたため、しっかりとクリーンヒット。あまり意味は無いけど、追加効果の攻撃力ダウンを起こしながら、決して小さくないダメージを刻み込むことが出来た。

 

 

「ルアッ!!」

 

 

「チェリム!!退路用に『はなふぶき』!!」

 

 攻撃を受けたゼルネアスは、タダでやられる訳には行かないと、ほぼ反射的に足元にいるアマージョに向かってムーンフォースを発射。自身を巻き込むことなんて一切考えていないその一撃はまっすぐ下へと突き進んでくる。その勢いが強すぎて、このままだとアマージョの退却が間に合わないので、その行動を応援するべく、チェリムのはなふぶきと、ダーテングが残してくれたおいかぜを合わせ、アマージョの行動をサポートしてあげる。これによって、アマージョはギリギリ攻撃範囲から逃れることに成功し、そのままゼルネアスから離れ始める。

 

 

「ルアアアッ!!」

 

 

 逃げていくアマージョが気に入らないのか、苛立ったように声を荒らげながら、逃げていくアマージョに追撃するようにムーンフォースを構えるゼルネアス。せっかく逃げたのにまだ狙ってくるその姿勢に、アマージョは少し冷や汗をかく。が、そんな状況に追い詰められてもアマージョは焦っている訳では無かった。

 

 むしろ、狙いどうりと言わんばかりに、不敵に笑っている。

 

「よそ見しているとは余裕ですな!!タルップル!!アップリュー!!『キョダイカンロ』と『キョダイサンゲキ』!!」

 

 アマージョに気を取られすぎて、他に目がいっていないゼルネアスに向かって、タルップルとアップリューが、渾身の一撃を打ち出した。

 

 確かに伝説のポケモンと呼ばれるだけあって、能力も知能もかなり高い。しかし、それでもひとりで闘うには限界があるし、こういう視野の狭さは、野生ポケモンならではと言ったところが強い。そんなポケモンに対して、このような連携はしっかりと刺さる。

 

 

「ルアッ!?」

 

 

 ゼルネアスの意識外から打ち出されたこの2撃はしっかりと直撃し、ゼルネアスの身体を大きく揺らすことに成功した。

 

「チェリム!!『はなふぶき』!!ワタシラガは『リーフスト━━」

 

 

「ルアアアァァァッ!!」

 

 

 ここがチャンス。そう思い、チェリムとワタシラガにさらに追撃してもらうために、高火力技を指示したところで、ゼルネアスが大きく声を荒らげ、天に向かってピンクの光を発射。チェリムとワタシラガの攻撃が自身に突き刺さることなんてお構い無しに力を解き放ち、空からムーンフォースの雨を降らせてきた。

 

 しかもただ降らせただけではなく、この攻撃に重ねるようにもう一度力を解き放つ事によって、空からの流れ星も3つ、しっかりと視認できた。

 

 ムーンフォースとダイフェアリーによる弾幕攻撃。

 

 このスタジアム全てを覆い尽くす、破壊の絨毯爆撃が襲いかかる。

 

「少し追い詰めすぎたか……生命を司るポケモンが破壊行動なんてシャレになっておらんですよ……タルップルとアップリューは『ダイフェアリー』を止めるんじゃ!!『キョダイカンロ』と『キョダイサンゲキ』!!ワタシラガチェリム、そしてアマージは……すまぬ、まだ残っている『おいかぜ』と『はなふぶき』を利用して頑張って避けてくれ!!」

 

 この攻撃全てに対処することは不可能だ。威力と攻撃範囲が広すぎて、こちらからできることに限りがある。だから何ができて何ができないか、そして何をしなくてはいけないかを直ぐに判断。結果、相手の本命択であるダイフェアリーを止めることにリソースを割き、他は気合で避けてもらうことにした。

 

 正直厄介さで言うのであれば、ダイフェアリーよりもムーンフォースの方が上だ。しかし、こちらに対処するには、威力も範囲も規格外すぎて明らかに人手が足りない。タルップルたちのダイマックス技も、あと一度しか放てないということ考えれば、確実に相殺できるダイフェアリーに対処するしかない。むしろ、身体が大きい今の状態はムーンフォースの絶好の的だ。なら、いっそここで使い切って身体を小さくし、避けることに専念した方が絶対に生存率は高い。そんなぼくの狙い通り、空中で相殺したダイフェアリーは盛大に爆発し、この爆風によって一部のムーンフォースが消えているうちに、元の大きさに戻ったタルップルとアップリューが必死に距離をとる。相変わらずタルップルの素早さに難があるために、これでも不安は拭えないが、少なくともキョダイマックス状態で雨に晒されるよりはグッと生存率が上がっているはずだ。

 

(生きてさえいれば反撃はできる!!幸い、防御力が高くなっている訳じゃないから物理で殴れば倒せるはず。それにこの攻撃は、おそらくここまでの攻撃が想像以上に身体に響いているからこその苦し紛れの反撃。むしろ、ここを耐えれば絶好の反撃チャンスが来るはずじゃ!!そのためにも……っ!?)

 

 1人でも多くのポケモンをこの雨の中から生かす。そう考え、必死に落ちてくるムーンフォースの弾道を予想していると、ゼルネアスの周辺に変化が起きた。

 

 その変化は、ゼルネアスを囲う光の柱の数。

 

 10本あったそれが倍の20となり、増えたばかりの光の柱は、最初の10本のものと並ぶために少しずつ成長しようとしていた。

 

(またあの積み技をするつもりか!?)

 

 こちらが回避に専念せざるを得ない状態というのを知ってか知らずか、その間に自身をさらに強化させようと技を構えるゼルネアス。しかも、丁寧にもあの赤い葉っぱ……パワフルハーブもしっかりと育て始めていた。

 

 もう一度能力を上げられたら、いよいよ止められない。

 

「あれだけは絶対に阻止を━━」

「チェリッ!?」

「チェリム!?」

 

 ゼルネアスの行動に目を奪われた一瞬の隙間。そのせいで判断が一瞬遅れてしまったチェリムが、ムーンフォースに被弾して吹き飛ばされ、戦闘不能。これでこちらの手持ちのポケモンは4人となり、残ったこのメンバーでゼルネアスのこの技を止めなければならなくなった。

 

(大丈夫、このメンバーならまだ間に合う!!落ち着くんじゃ……こんな時こそ、農作業の粘り腰を思い出すんじゃあ!!)

 

 チェリムが倒されたことはとても大きいが、まだ何とかなる範囲ではある。ぼくの頭の中にあるあの計画さえうまくいけば、盛り返すことは可能だ。

 

(言い方は悪いが、倒れたのがチェリムでまだよかった。もしここで戦闘不能になっていたのが()()()()()()()ほぼ詰みだった……すまないチェリム。後で美味しいきのみジュースを沢山のもう)

 

 倒れていったチェリムに詫びを入れながら、しかしムーンフォースの雨が降る中でボールに戻す行動をとることはできないので、チェリムをその場に置いたまま空から落ちて来る攻撃を見極めつつ、自分がするべき行動を瞬時に判断して指示を出す。

 

「ワタシラガ!!『グラスフィールド』!!」

「ワタッ!!」

 

 その最初の一手がワタシラガによるフィールド作成。ワタシラガが種を周りにばら撒いた瞬間、その種たちが一斉に芽吹き、地面一帯に草原のフィールドが出来上がる。このフィールド上では、くさタイプの技の威力が上がり、草原の癒しは、地に足をつけているポケモンたちの体力を徐々に回復していく。

 

 此方のパーティは全員くさタイプ。それゆえ、このフィールドの恩恵を強く受けることができる。それでも能力値ではまだまだ勝てはしないが、こちらの攻めが一段階加速することに変わりはない。

 

「アップリュー!!『Gのちから』!!タルップルは『りんごさん』!!」

「リュオッ!!」

「タルッ!!」

 

 が、残念ながらこの草原はずっと生えてくれるわけではない。なので、この恩恵をしっかり利用しきるために、未だに降り注ぐムーンフォースの雨を受ける危険を覚悟したうえで、パワーの上がったアップリューとタルップルが攻撃を発射。重力を乗せた小さなリンゴと、リンゴに内包されている酸性の液体が、ムーンフォースの雨の合間をすり抜けて、ゼルネアスに向かって真っすぐ突き進む。

 

 この攻撃はグラスフィールドによって強化されているのは勿論だが、タルップルの放っているりんごさんは、相手の特防を1段階下げる効果ももっている。既に何回も放っているこの攻撃によって、おそらくあの技によって上昇している分はしっかりと下げることが出来ていると思う。このままこの攻撃が当たれば、すでにそこそこ減っているゼルネアスの体力をさらに削ることができるだろう。

 

 

「ルアッ!!」

 

 

 勿論ゼルネアスはこの攻撃を止めるべくサイコキネシスを構える。これにより発生する斥力をもって、攻撃を全て弾こうとしてきた。

 

 いくらグラスフィールドで強化されているとはいえ、ゼルネアスの攻撃を貫通するほどの火力を持っていない。アップリューとタルップルの攻撃はこの攻撃になすすべもなく阻まれることとなり……

 

「今じゃアップリュー!!『じゅうりょく』!!」

「リュオッ!!」

 

 アップリューがじゅうりょくを行うことによって、タルップルとアップリューの攻撃が急速落下。ゼルネアスのサイコキネシスにぶつかる寸前のところでその高度を下げた2つの技は、そのままゼルネアスの足元へと落ちていく。

 

 その先にあるのは、ゼルネアスが丹精込めて育てている赤い葉っぱ。

 

 

「ルアッ!?」

 

 

 自身の能力強化の要となるアイテムを狙われていたことに驚いたゼルネアスは、最初の時と同じように身体を攻撃と葉っぱの間に滑り込ませる。これによって、再びパワフルハーブを守ることは出来たけど、代わりにりんごさんとGのちからが突き刺さり、ダメージが加速する。

 

 

「ルア……ッ!!」

 

 

 今まで蓄積されてきたダメージと、今受けたダメージが合わさって、ゼルネアスの態勢が大きく崩れた。

 

「きみにとってそのアイテムは大切なもの……だから絶対に守りに来ると思っていたんですよ!!ワタシラガは『リーストーム』!!アップリューは『Gのちから』でタルップルは『りんごさん』!!これでとどめじゃあ!!」

 

 ゼルネアスの能力を強化する光は未だに完成しておらず、態勢を崩しているゼルネアスに、力の入った反撃をすることはできない。今落ちてきているムーンフォースも、残りちょっとになってきたおかげで弾道はすべて見えており、そのおかげもあって、今現在ワタシラガたちがいる場所に落ちてこないこともわかっている。

 

 間違いなく詰み盤面。これでワタシラガたちの攻撃が突き刺されば、ゼルネアスの体力を削りきることができる。そう信じ、全員で全力の攻撃を放っていく。

 

 

「ル……アアアァァァッ!!」

 

 

「っ!?」

 

 ワタシラガたちの攻撃がぶつかろうとする。が、その瞬間に伝説の意地か、はたまた野生の本能か、突如声をあげたぜルネスの角が強く発光。よろけた態勢では空を見ることしかできていないはずのゼルネアスが放ったサイコキネシスは、飛んできた攻撃に対してピンポイントで発動。吸い込まれるようにサイコキネシスに捉えられたアップリューたちの攻撃は、そのままゼルネアスにあたる前に技の軌道を操られ、技同士をぶつけ合うことで相殺。全ての攻撃を一瞬のうちに無力化させてしまった。

 

 

「ルアッ!!」

 

 

「っ!?まずい!!」

 

 さらに、たった今発動したサイコキネシスをそのまま利用したゼルネアスは、今現在落ちてきている最後のムーンフォースたちをも操り、その落下の起動を少しずらすことで、ワタシラガ、アップリュー、タルップルに直撃するコースに無理やり変更してきた。

 

「みんな!!避けるんじゃあ!!」

 

 この場所なら大丈夫と思っていた場所が、急に危険地帯になってしまったことに反応できたのはアップリューのみ。軌道が変わったことに反応できなかったワタシラガと、そもそも避ける行動すら間に合っていなかったタルップルはこのムーンフォースに直撃してしまい、そのままダウン。攻撃していた組で唯一避けることのできたアップリューも直撃をまのがれていただけで、地面に着弾した際の爆風はもろに受けてしまい、地面にたたきつけられてしまう。戦闘不能にこそなってはいないものの、これでは大ダメージはまのがれない。

 

「……っ」

「りゅ……ぅ……っ!!」

 

 ゼルネアスの最後の抵抗によって、パーティはほぼ壊滅。こちらからできることがいよいよ無くなってしまう。しかし、それでも諦める訳にはいかないと、残り少ない体力を振り絞って、アップリューが身体をゆっくりと持ち上げていく。

 

 

「ルア……」

 

 

 満身創痍。それでも立ち上がろうとしているこちら側を確認したゼルネアスは、そんな最後の灯火を消すつもりで、ゆっくりと態勢を立て直し、そのままパワフルハーブを摂取しようと首をしたに下げ、しかし最後まで用心しているのか、視線をアップリューの方へと向けた。

 

「りゅ……っ!?」

「アップリュー……」

 

 あの光の柱がもう一度完成したらいよいよ手をつけられない。それを理解しているアップリューは身体を引きづって、無理やりにでもこれを止めようとする。しかし、既にボロボロの身体は言うことを聞いてくれず、アップリューの身体はひとつも前に進むことは無い。

 

 もはや、相手にする必要すらない。

 

 そう判断したゼルネアスは、アップリューを一瞥し、改めてパワフルハーブの方へと首を向ける。

 

「タルップルもワタシラガも、お疲れ様じゃ。本当によくやってくれた」

 

 あとはこのパワフルハーブを摂取し、能力を強化。そしてとどめの攻撃を放つだけ。

 

 決着は着いた。そう確信したゼルネアスは、ゆっくりとパワフルハーブへと首を持っていき……

 

 

「……ルア?」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「おかげで……1番通したかった本命択に繋がった!!」

「アマッ!!」

 

 

「ルアッ!?」

 

 

 固まってしまったゼルネアスから少し離れたところで聞こえてきた力強い言葉。その言葉に目を向ければ、そこには赤い葉っぱを口に咥え、不敵な笑みを浮かべる女王様がいた。

 

 地面に生い茂るグラスフィールドを利用し、ゼルネアスがワタシラガたちに気を取られている間に、アマージョはグラススライダーで地面を高速で滑り、パワフルハーブを奪って自分で摂取していたという訳だ。これで光の柱を作らせる時間を延長することが出来た。

 

 そしてこのパワフルハーブがあれば、こちらの最高火力の技を、ノーチャージで解き放つことが出来る。

 

「準備はいいか!!アマージョ!!」

「アマッ!!」

 

 その証拠に、アマージョの右足が強い黄緑色に発光しており、この輝きを見せつけるように、アマージョは右足を天に向かって真っ直ぐ伸ばす。

 

 その足から伸びていくのは巨大な剣。

 

 ダイマックスしているゼルネアスの身長を越す勢いで伸びたその剣は、ブラックナイトと言う暗い夜の中でも、燦然と輝きを放ち、辺りを優しく照らしていた。

 

 準備は万端。

 

 予想外の展開に襲われたゼルネアスに、この攻撃を避ける術も、防ぐ手段も存在しない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アマージョ!!『ソーラーブレード』!!」

「マ……ジョオオオォォォッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 叫び声とともに、かかと落としの動作によって振り下ろされる黄緑の大剣。

 

 真っ直ぐ振り下ろされたその剣は、ゼルネアスの力が込められたパワフルハーブのおかげか、いつもよりも鋭い一撃となってゼルネアスを縦に切り裂く。

 

「ル……ア……」

 

 攻撃を受けたゼルネアスは、小さく声を上げながら身体を小さくしていき、そして身体の周りを囲っていた光の柱も消滅していく。

 

 これで、ターフタウンを守りきることが出来た。

 

「ウオオオォォォッ!!」

「マ、ジョオオオォォォッ!!」

 

 辺りに響くのはぼくとアマージョの雄叫び。

 

 空はまだまだ暗く、ブラックナイトは終わってはいない。

 

 けど、伝説のポケモンを抑え、大切な街を守ることができたと言うこの達成感は、しばらく抜けそうになかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヤローVSゼルネアス

 

 勝者、ヤロー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ソーラーブレード

威力125、命中100。1ターンの溜めの後に放つ、くさタイプ最強の物理技。またの名を、約束された勝利の剣。(違う)




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