【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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最近になってようやく黒バドレックスのA0厳選しています。
来月のルールに備えていきたいですね。


31話

「ふぅ……」

 

 ジムミッションを爆速でクリアし、むしろこれ大丈夫なのかなと色々な懸念に頭を悩ませながら過ごした1日も無事に終わり、次の日の大1番。音のない控え室で大きく深呼吸していまかいまかとその時をじっと待つ。

 

 やっぱり登竜門の名は伊達じゃないのか、対策として調べた動画の中では勝っている人をまだ見た事はない。単純に後でどれくらい強くなったかを直接見るのを楽しみにしておくために、ホップたちの試合を見ていないというのも大きな理由のひとつではあるんだけど、それにしてもやっぱり現状でカブさんを突破している人を見かけてはいない。1番最初に突破したのは誰なんだろう?なんて疑問が凄く気になるくらいには全く見ていないという状態だ。

 

(ただ、ホップたちは勝ってる。なら進まなきゃね)

 

 カブさんが負けている姿が想像できないのはその通りなのだが、だからと言ってそれがボクが負けていい理由にはならない。少なくとも、ボクか見かけていないだけでちゃんと勝っている人はいるのだ。なら、ボクだって越えられる。

 

「フリア選手。準備が出来ました。入場のほど、よろしくお願いします」

 

「はい!!……よ〜し!!」

 

 両手で頬を挟み込むようにぱちんと叩き気合を入れる。ほんの少し熱くなった頬と体に自分の体の状態が万全なことを教えて貰いながらエンジンスタジアムのバトルフィールド入場口へ、自動ドアをくぐって進んでいく。

 

 明かりのあまりない暗い通路。その先には眩しいくらいに鈍く輝く赤茶色のバトルフィールド。

 

 あそこに足を踏み入れたら、いよいよ始まる。

 

 目を閉じ、胸に右拳を当て、深く深呼吸してさらに集中力を高めていく。そんな時にボクの隣に人の気配。

 

「「すぅ……はぁ……」」

 

 隣からも聞こえる精神統一の呼吸音。正体なんて見なくてもわかる。この場所で一緒になる可能性のある人なんて一人しかいない。

 

「……ぼくがここにいることに驚かないんだね?」

「有名ですから。カブさんがジムチャレンジで入場する時は必ず挑戦者用の入口から入場することは」

 

 本来ならジムリーダーはジムチャレンジャーの入場口とは真反対の場所から入場する。まぁ、当然といえば当然のことだ。けどカブさんは違う。

 

 例えどんな人が来ようとも、必ずこうやって隣に立って、ジムチャレンジャーと一緒にバトルフィールドに入場していく。

 

「こうして隣になっていっしょに入場するとね……」

 

 深呼吸を終えたカブさんがそっとつぶやく。

 

「チャレンジャーの色々な表情を、感情をよく見ることができるんだ」

 

 その言葉を聞きながら、ボクはカブさんと並んで一緒に歩き出す。

 

「緊張、焦燥、恐怖、慢心、楽観、感動……十人十色のその感情は毎回見ていてとても飽きないよ」

 

 

『さぁ両選手の入場です!!ジムリーダーカブさんと昨日とんでもない早さでミッションを終わらせたフリア選手だぁっ!!』

 

 

 暗い道を抜けて赤茶色のバトルフィールドに足がかかる。同時にとてつもなく大きな歓声とアナウンスが響き渡る。鼓膜がビリビリと震える感覚を感じるが、不思議とカブさんの声ははっきりとボクに届いていた。

 

「けど、その誰もが必ずその感情の裏にぼくを倒すという確かな意志を持って挑んでくるんだ。その度に、当時のぼくはどうだったっけって思い出すんだ」

 

 バトルフィールドのラインを超えて真ん中へ。ここに来て初めてお互いが向かい合い顔を合わせる。

 

「ひたすらに前を向いてがむしゃらに走り続けたあの時を。挑戦者として挑み続けてたあの頃を思い出させてくれるんだ」

 

 じっとこちらを見つめてくるカブさん。不思議とその目から視線をそらせない。

 

「ぼくたちジムリーダーは壁であると同時にぼくたち自身もチャンピオンを目指す挑戦者だ。だからぼくはこうやってチャレンジャーと同じ場所から入って当時の気持ちを体に思い出させて、昂らせているんだ」

 

 放たれるプレッシャー。それはヤローさんよりも、ルリナさんよりも、はるかに強く、重いプレッシャー。

 

「フリア君……君の眼の奥にはあの頃のぼくよりも静かに。けど激しく燃える信念のようなものが見える……」

「ボクにだって、負けられない理由……ちゃんとあるんですよ?」

「……ああ。しっかりと伝わるよ。普段冷静で穏やかな君がバトルの時は毎回その瞳の奥にとんでもなく大きく熱いものを宿しているのを感じていた。それは、少なくともぼくが戦ってきたチャレンジャーの中で、誰よりも大きいものだった……」

 

 

 バチンッ!!

 

 

 空気を切り裂く弾けるような豪快な音。カブさんが頬をたたいた音。こちらまでそのしびれが届いてくる。

 

「だから、君と戦うのを心の底から楽しみにしていたよ」

 

 

『使用可能ポケモンは3体です!!では張り切って行きましょう!!』

 

 

 腰からハイパーボールを取りだし構えるカブさん。ボクもそれにならいモンスターボールを構え……

 

 

「その胸に秘めた熱い思い!!願い!!信念!!ぼくに見せてくれ!!ぼくも君を超える熱さで君という新しい風に挑ませてもらおう!!」

 

 

ジムリーダーの カブが

勝負を しかけてきた!

 

 

「いけ!!キュウコン!!」

「いくよ!!キルリア!!」

 

 カブさんが投げてきたハイパーボールから出てくるのは金色の美しい毛並みと九本の尻尾、それに赤く激しく煌めくその瞳が特徴的なきつねポケモンのキュウコン。対するボクの先発はキルリア。睨み合う両者は出てきた瞬間にボクたちトレーナーの迫力に煽られたのか既に臨戦態勢を取っており、いつでも戦える状態になっている。

 

 

『わああああああああっ!!!』

 

 

 いよいよ始まる注目の試合に観客のボルテージもいきなり最高潮。とてつもない盛り上がりを見せるスタジアム内は、まるで地響きでも起きたのでは無いかと思うほど振動していた。

 

 そして同時に変わる場の状況。

 

 キュウコンが場に出た瞬間少し予兆はあったけど、さらに時間が経った今になってその変化はより顕著になっていく。

 

(暑い……)

 

 空を見上げると燦々と輝く大きな光。

 

 誰がどう見てもひでりと呼ばれる天候に支配されていく。

 

「ひでりキュウコン……いきなりジム戦で見ない子が来ましたね……」

「ヤロー君もルリナ君も、君に対しては少しだけ本気で戦っているみたいだからね。ぼくもやらない訳には行かないさ」

 

 特性ひでりのポケモンは場に出た瞬間に天候を日差しが強い状態に出来る。そしてこの状態はほのおタイプのポケモンに多大な恩恵をもたらす。この日差しが強い状態では単純にほのおタイプの技の威力が上がる効果とほのおタイプが苦手とするみずタイプの技の威力を抑えるというふたつの大きな効果が存在する。つまりこの状況下では本来ボクの手持ちで1番活躍できるはずのジメレオンが満足に動けないことを意味する。だけど……

 

(まぁ、正直この展開は予想はできてたんだよね)

 

 今までのジムの傾向を見るにどうもボクとの戦いの時はだいたいどこかしら強化されているっぽい。そこまで大きく強化。なんてあからさまなことはしないけどこういった細かいところでは少しだけジムリーダー側が有利な場を作ることが多い。そのことを考えると1番思いつきやすいのが特性ひでりを持ったキュウコンを使うこと。だからこその先発キルリア。

 

 このひでりは強力ではあるが永続ではない。この強い日差しはいつか収まってくれるのだ。ならその期間を何とか耐えきってしまえば、むしろそこからジメレオンが大暴れできるという寸法。ただもちろんこのとこはカブさんだって理解しているからこの間に全力で攻撃を仕掛けてくることだろう。だからこそのキルリア。その猛攻をしのぎつつ、反撃を取る事も可能な子はこの子しかいない。

 

「キュウコン、『ひのこ』!!」

「キルリア!!『ひかりのかべ』!!」

 

 小手調べのひのこを打ち出してくるキュウコンだが小手調べと、そしてひのこと言うには明らかに出力の高いそれをひかりのかべを展開して何とか防ぎ切る。キュウコン自体は特殊の技を得意としているポケモンだけど特殊の威力が尖って高いわけでは無い。それなのにこの火力というのは、ひでりの状態がひとつというのとカブさんの育て方が上手いということ。それにキュウコン自体も最終進化のポケモンだ。ただのひのこもここまで来れば脅威となり得る。

 

 カブさんのジムが難しいと言われる所以のひとつがここにあり、1体目のキュウコンはもちろん、この先出てくるであろう2体目、3体目のポケモンも全員最後まで進化してある。旅を始めたばかりで進化している子が少ない状態で最後まで進化してある子たちに挑まなければならないのだ。当然素のスペックで劣っている可能性が高いのだから難易度が高いのは当たり前だ。

 

「キュウコン、『でんこうせっか』!!」

「キルリ━━って速い!?」

「キルッ!?」

 

 ひかりのかべを見るやすぐにでんこうせっかで突っ込んでくる。ひかりのかべは特殊技は防げても物理技は防げない。そこをついてきての突撃技。すぐに防御行動を取らせようとするも速すぎて間に合わずファーストヒットを譲ってしまう。

 

「『ほのおのうず』!!」

「『サイケこうせん』!!」

 

 さすがにこれ以上の被弾は絶対に避けるべき。サイケこうせんを纏わせた拳で器用に逸らしてキルリアが前に走る。

 

「『おにび』!!」

「コォンッ!!」

 

「来た……」

 

 キュウコンの周りを浮かび出す紫色の炎。相手をやけど状態に持っていく技であり、カブさんの得意とする戦法のひとつ。

 

 ほのおタイプのポケモンと戦うにあたってやけどと言うのは切っても切れない状態異常だ。やけど状態になってしまえばやけどの痛みから力を集中出来なくなり攻撃力が低下し、さらに継続的にダメージを受け続けてしまう。ではキルリアのシンクロで相手もやけどにすればいいのではと思うかもしれないがそもそも最初から燃えてるやつがやけどするはずがなく、ほのおタイプのポケモンはもれなくやけどに耐性をもつ。それが故にほのおタイプのポケモンというのはそれだけで攻撃面において優れていると言っても過言ではない。

 

 相手は進化しており、こちらもしてこそいるものの最終進化では無い。ただでさえ素の力でハンデを背負っているのにここでさらにやけどなんて貰ってしまえばそれだけでゲームセットになりかねない。幸いにもおにびは命中がいい技とも言いきれないのでなんとしてでも躱す。

 

「『かげぶんしん』!!」

 

 たくさん増えるキルリアにおにびがどれにぶつかればいいのか標的を迷ってしまいウロウロする。その間にサイケこうせんで遠くに吹き飛ばしてさらに前へ。

 

「『ほのおのうず』!!」

「『サイケこうせん』!!」

 

 迎撃に打ってくる火炎の竜巻はキルリアがサイケこうせんを両手に強く纏わせてそらしていく。ただほのおのうずの威力と範囲が強すぎるせいかかげぶんしんはかなりの数を失う。まだ残っているとはいえここまで減らされたら本体はすぐ分かる。

 

「キルリア、構えて!!」

「『でんこうせっか』!!」

「キルッ!!」

「コンッ!!」

 

 拳と頭が激しくぶつかり反動でお互いが離れる。仕切り直し。

 

「やはりその武闘家キルリア、いい動きだね」

「……ありがとうございます」

 

 お礼を言いながらも心中は穏やかではない。

 

(想像以上に晴れが厄介だ……ほのおのうずの威力がかなり高くなってる……)

 

 両手を使って何とかそらすことはできたもののキルリアの両手が少し震えている。それだけの威力だったということなのだろう。ただ距離さえあれば防ぐこと自体は難しくない。ひかりのかべの効果も相まってかなり時間を稼ぎやすい方だろう。

 

(ヤローさんやルリナさんの時と違って時間を稼いだ方が有利になる戦いだからここはいつも以上に慎重に……)

 

 最悪ひでりが収まるまでこちらから手を出す必要もないレベルだ。

 

「生半可な攻撃だとそらされる……なら……キュウコン、尻尾に『おにび』!!」

「え?」

 

 カブさんの指示に理解が落ち着かず一瞬止まってしまう。その間にキュウコンは高らかに叫びながら周りに9つの紫色の炎を浮かばせ、自分の尻尾に纏わせる。毛先がオレンジ色の9つの尻尾は紫の炎によりゆらゆら揺れた妖しくも美しい軌跡を残していく。

 

「さあキュウコン、行くぞ!!『でんこうせっか』!!」

「ちょちょちょ!?」

 

 紫の影を残しながら物凄い速さでかけてくるキュウコン。その鮮やかな軌跡のおかげで動き自体はまだ目で追えるけど、それ以上にあんな尻尾で殴られたらどうなってしまうのかと考えただけでも恐ろしい。

 

「キルリア!無茶せず引きながらいなして!!」

「キ、キルッ!!」

 

 目の前まで迫ってきたキュウコンが横回転しながら尻尾をたたきつけてくるのを宙に飛び、自分に当たりそうなものを拳で下に進行方向をそらしてよけようとする。しかしそこですべてのしっぽが振るわれているわけではなく、三本だけキュウコンの真上に待機しているのを発見。

 

「キルリア!横に振るわれている尻尾をつかんで!!」

 

 指示を聞いてはっとしたキルリアが何とか尻尾を掴み、尻尾に体を引っ張ってもらう形で横に水平移動する。尻尾の先のおにびがほんの少し当たっており、苦しそうな顔を浮かべるものの、直後に縦に振るわれた三本の尻尾による轟音と、おにびの力が乗った爆発音を聞いた後だとまだこっちでよかったとさえ思う。

 

(っていうかなんでおにびをまとっただけでこんなに尻尾の威力が上がるのさ!!)

 

 若干の文句を言いたくなるけどこんなことで待ってくれるカブさんではない。

 

「キュウコン、空中に振りほどけ!!」

 

 いつまでもつかませたままでいさせるはずもなく思いっきり尻尾を振るい、キルリアを空中に投げ出す。

 

「『ほのおのうず』に『おにび』を乗せて放て!!」

 

 紫と赤の炎が螺旋の軌道を描いて空中のキルリアめがけて襲い掛かる。この威力はさすがに逸らせないしひかりのかべでもうけられない。

 

「キルリア、『マジカルリーフ』!!」

「何?」

 

 ボクが指示するのはくさタイプの技。勿論この技をぶつければ負けは確定。そんなこと誰の目から見てもわかる。だからこそカブさんは怪訝な目を向けてくる。けどここではこの技が最善のはず。なぜなら……

 

「そのマジカルリーフを足場にするんだ!!」

 

 空中で固められる草たち。そのうちの一つに乗ったキルリアは次々とその足場の間を高速で飛び回る。空中を踊るように舞っていくキルリアの姿をキュウコンは追うことができずに攻撃をうまく当てられない。

 

「よし!」

「マジカルリーフをこう使うか!!」

 

 まさかの戦い方を見て驚くカブさん。キュウコンもまさかの光景に一瞬固まっている。この間にさらなる指示を飛ばす。

 

「キルリア、『かげぶんしん』からの『マジカルリーフ』!!」

「ッ!?キュウコン!!『ほのおのうず』で少しでもぶんしんを減らせ!!」

 

 何かに気づいたカブさんが慌てて指示を出すがもう遅い。空中の足場でどんどん数を増やすキルリアは数が減りながらもそれ以上のスピードで増えていき、そのぶんしん全員からマジカルリーフが放たれる。勿論全部が全部本物じゃないからすべての攻撃でダメージが入るわけじゃない。むしろぶんしんの方が数は多いんだから攻撃のほとんどは幻だ。相性不利もあってダメージが入るわけじゃない。けどこの行動は攻撃するために放っているわけではない。

 

 吹き荒れる草の嵐はフィールドを縦横無尽に駆け回り視界を埋め尽くしていく。ただ葉っぱが荒れ狂うだけならそこまで視界を奪うことはなかったかもしれないけど、ほのおのうずによって引火したものも一緒に舞っているため余計に視界を奪われる結果となっている。

 

「やはり……これが狙いか」

「ここまで視界が防がれたらカブさんからは状況把握できないはず!!」

「だがそれはフリア君も一緒のはず……」

「それはどうですかね?」

 

 カブさんの発言に対してにやりと笑いながら心の中で思いを浮かばせる。

 

(キルリア……お願い!今のうちにどんどん攻めて!!)

 

 細かい指示を飛ばすことは難しいから強く願う。口には出さない。だって口にすると相手に対策されちゃうから……それにキルリアにはこれで通じるはずだから。

 

 かんじょうポケモンであるキルリアはトレーナーの気持ちをキャッチすることに長けている。たとえ言葉に出さなかったとしてもこうやって強く祈っていればボクの思いは通じてくれると信じている。

 

 拳を胸に当てグッと祈りを込める。

 

「キルゥゥゥッ!!」

「コンッ!?」

「キルリア!!」

「キュウコン!?」

 

 突如聞こえるキルリアの迫真の声とキュウコンの叫び声。さらにズドンという何かがぶつかる衝撃音。ほのおと草の竜巻が消え去ったところでボクたちの視界に戦場の様子が目に入る。そこには尻尾を振り回して迎撃しようとしていたところをさらに懐にかいくぐって拳を叩き込んでいるキルリアの姿が。

 

「指示もなしに攻撃を!?」

「よしっ!!」

 

 ボクの攻めたいという感情をしっかりキャッチしてくれたキルリアがちゃんと攻撃してくれた。おかげで拳をしっかりと叩き込める範囲まで近づいている。

 

「キュウコン!尻尾を振り回して迎撃を!!」

「尻尾の付け根に飛び込んで離されないようにして!!」

 

 縦横無尽に駆け回る尻尾。だけどこの攻撃には明確な弱点がある。九つの攻撃はすべて尻尾で行っている以上その起点は尻尾の付け根。キュウコンは尻尾の長さも特徴的なポケモンだ。そうなってくると先ほど言っていた明確な弱点は付け根以外になく、さらにキュウコンよりも小柄なキルリアが近くを動き回りながらそこにもぐりこまれたとなればもはやキュウコン側に打つ手はない

 

「キルリア!!そのまま潜り込んで離れずにどんどん攻撃!!」

 

 キュウコンの尻尾の付け根近くを常に陣取りキュウコンの攻撃のさらに内側へ。がんばって攻撃しようにもキュウコンの視界から外れるうえ、尻尾による攻撃の内側にいるせいで尻尾の攻撃がそもそもやりづらい。対してキルリアは正確に一発ずつ的確にサイケこうせんを纏った拳を叩き込んでいく。

 

「キュウコン!『でんこうせっか』ではなれるんだ!!」

「キルリア!どこでもいいからつかまって!!絶対に逃がすな!!」

 

 たまらずに離れようとするキュウコンだけどここではなれたらチャンスはもうない。死ぬ気でしがみつくキルリア。一度引きはがされた記憶がまだ新しく、今度こそ捕まったまま倒し切ると決意をするキルリアの感情がよく伝わる。そのせいかしばらく駆け回るキュウコンだが一向に離れる気配がない。その間にも一撃、また一撃とキルリアが攻撃を当てていく。

 

「キュウコン!!」

 

 このままではやられる。

 

 焦って動きがどんどん雑になっていくキュウコンに対してカブさんの声が響き渡る。

 

「自分に向かって『ほのおのうず』!!」

「っ!まずい!!キルリア、離れて!!」

 

 何をしてくるのかわかって慌て退却の指示。しかし零距離まで近づいていたことが逆にあだとなって間に合わない。

 

「コオオォォォン!!」

「キ……ルゥ……」

 

 自分ごと焼きつぶさんと燃え上がるほのおのうずにキルリアも巻き込まれていく。

 

「キュウコン!もっと熱く!!」

「キルリア!!焼かれる前に倒し切って!!」

 

 日照りによって強化されたほのおのうずによる大火力と継続ダメージによって素早くキルリアを倒さんとするキュウコンと、炎の牢獄でやられる前にキュウコンを倒し切らんと攻撃をさらに加速させるキルリア。どんどんと激しく燃え上がっていくほのおの熱気に目を開けられなくなってしまい、顔を覆ってしまう。

 

 何分、何十分……中の状況がわからないままかなり長い時間たった気がする。

 

 炎が消え、熱気が消えようやく顔から腕を離せるようになる。

 

「っ!?キルリア!!」

「キュウコン!!」

 

 視界が明け、戦場を慌ててみる。そこには……

 

「キ、キル……」

「コォン……」

 

 目を回して倒れているキルリアとキュウコンがいた。

 

 

『両者戦闘不能!!』

 

 

 エンジンスタジアムジム戦。戦いはダブルノックアウトという波乱の幕開けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カブさん

カブさんが選手と一緒の入り口から入場するのがとても大好きです。

おにび

アニメでは明確な攻撃手段になってますよね。
ボルケニオンの映画で、おにびから逃げるピカチュウのシーンの作画が神過ぎてとでも大好きです。

ほのおのうず

なんだかこういう突飛な攻撃って主人公ならではって感じにしたいんですけど主人公にしっかりと苦戦してほしいとなると相手もこんな戦い方になってしまう……。

ダブルノックアウト

これもアニメならでは。
お互いの実力が拮抗している感じがしていいですよね。




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