【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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310話

「キュウコンは『だいもんじ』でエンニュートは『かえんほうしゃ』!!」

 

 真っ暗な空でありながら、太陽が輝いているかのようにひでりに照らされているフィールドに走る超火力。ひでりの効果で威力が底上げされているその火力は、掠るだけで大火傷間違いなしの威力を秘めたまま、まっすぐ漆黒の翼を広げるポケモンへと飛んでいく。しかし、この攻撃は当たることなく、黒の翼をはためかせ、高度を上にあげることで回避。放たれた炎技はそのまま観客席の方へと飛び、観客を守るバリアに阻まれて消えていく。

 

「ウインディは『しんそく』でコータスは『ボディプレス』!!」

 

 が、回避されることを読んでいたこちらは間髪入れずに攻撃を指示。空に浮かび上がり、攻撃を避けて安心している相手に向かって、下からは高速で走るウインディが、上からは自身の防御力をふんだんに活かしたコータスが、挟み撃ちをする形で敵に襲いかかる。

 

 

「ルタアアアァァァッ!!」

 

 

 安心したところで再び襲ってくる2つの攻撃。けど、相手はこの事に怯むことなく翼を広げてあくのはどうを発射。自身を中心に、円状に広がっていく漆黒のオーラは、近づこうしていたウインディとコータスを弾き飛ばしていく。

 

 

「ルタッ!!」

 

 

 今度こそ自身の安全が約束されたところで、相手は翼を広げてパワーをその中心へ集めていき、充分溜まったところで羽ばたきと一緒に黒色の光線を発射。見るだけでゾッとするような圧を含んだその攻撃は、まっすぐこちらへ向かって飛んできた。

 

「シャンデラは『かえんほうしゃ』でマルヤクデは『ほのおのむち』!!」

 

 この攻撃を防ぐためにこちらがとった行動は、近くにいたシャンデラとマルヤクデによる防御。本来なら防ぐことが難しい伝説の一撃は、晴れの下で発動している炎技のおかげで何とか相殺でき、爆発とともに散らしていくことに成功した。

 

「ふぅ……さすがに強いね……」

 

 爆発によって生み出された煙は、相手のポケモン……イベルタルの羽ばたきによって一瞬で消え去り、相手の姿が改めて視界に入る。

 

 イベルタル。

 

 カロス地方で伝わっている伝説のポケモンで、「破壊」と「死」を司ると言われているポケモンらしい。らしいというのは、エンジンジムに所属しているジムトレーナーの中に、こういった伝承を調べるのが好きな子がいて、その子から話を聞くことで知ることが出来た内容だからだ。なのでこの知識は全て受け売り。教えてくれた子本人も、あくまで伝承として知っている範囲だから、鵜呑みにはしないで欲しいと言っていた。が……

 

(こうして戦って見て思うけど、決して誇張表現なんかじゃないね……この子が放つオーラ……このせいで『あくのはどう』の威力もとてつもないものになっている。それに……)

 

 

「ルタ……ッ!!」

 

 

 翼から放った黒い光線。あれは、今回こそ完全に相殺することが出来てはいたけど、先程この光線にコータスが掠ってしまった時、そこから溢れた光がイベルタルに吸収されていき、イベルタルの傷が少し癒えているのが確認できた。おそらく、ギガドレインやドレインパンチ、ドレインキッスのように、相手の体力を吸収する効果を持っているということなのだろう。

 

(あの光線だけは確実に避けなくてはいけない……体力の回復だけはさせたくないからね)

 

 ただでさえ格上の相手。それに加えて体力まで回復されたら、回復手段を持たないこちらとの差がどんどん生まれてしまう。そうなってしまえば負けは確定だ。

 

 エンジンシティはガラル地方全体で見ても、上から数えた方が速いくらいには発展している。その分住んでいる人も避難してきている人も多い。そんな場所を任されている自分が負ける訳には絶対にいかない。

 

「辛い戦いだけど……みんなを信じているよ!!キュウコン!!」

「コンッ!!」

 

 ぼくの言葉を聞いたキュコンが、指示を受けるよりも早く尻尾におにびを携えて前に駆ける。

 

 少しでもダメージを稼ぐために、状態異常を利用して攻めていく算段だ。

 

 

「ルタッ!!」

 

 

「エンニュート!!シャンデラ!!『かえんほうしゃ』!!」

 

 このキュウコンの前進を止めるべく、イベルタルが放ってきたのはあくのはどう。最近ネズくんと戦ったため、見慣れているはずのその技は、しかしその時と比べて全く威力と迫力の違う姿となってこちらを襲ってくる。

 

 ネズくんのポケモンが放つあくのはどうが弱かったという訳では無い。むしろ、洗練されていて、とても鋭い一撃だった。が、こちらは単純に能力の高さによる暴力というのが凄い。

 

自身の力を最大限に生かした、とにかく押せ押せなスタイル。なるほどこの部分を見れば、破壊の神というのもうなずけるというものだ。

 

 いつもなら攻撃を見て避けるなりなんなり簡単に対処出来るその攻撃は、その威力の高さから、2人がかりで攻撃を放ってようやく相殺ができるレベルとなっている。しかも、ただ2つの技をぶつけるのではなく、晴れというこちらの火力を最大限活かせる状況かにおいてだ。

 

(本当に凄まじいほどの威力と勢いだ。まるで昔のぼくを相手にしている気分だよ)

 

 勢いと能力だけでとにかく押し切るゴリ押しスタイル。その姿は嫌いでは無いし、なんなら昔トレーナーになったばかりの自分の姿を想起させてくれる。しかし……

 

(だからこそ、その戦い方だけでは通用しない!!)

 

 ゴリ押しスタイルで戦い続け、途中で挫折し、ダーティープレイに走って、マイナーリーグに落ちたという、とても人様にお見せできない恥ずかしい過去を持つぼくだが、そんな経験をしたからこそ、今はこうして色々な戦いができるようになっているし、ゴリ押しだけでは通用しないということもわかっている。

 

 なら、まだ何とかなる。

 

「キュウコン!!安心して進んでくれ!!ウインディは『しんそく』でマルヤクデは『ほのおのむち』!!」

「コン!!」

「ガウッ!!」

「ヤクッ!!」

 

 あくのはどうとかえんほうしゃによるぶつかり合いで発生した煙の中を突っ切るウインディと燃え盛る触手は、あくのはどうを打ったばかりのイベルタルへと直進していく。技の後隙ということと、煙の中からという視界不良を利用した二重の奇襲攻撃に対して、イベルタルは反応が少し遅れていたが、それでも何とか反応しきったイベルタルは、翼を羽ばたかせて高度を上げることで何とか回避。寧ろ、避けられたことで隙を晒してしまったウインディに対して反撃しようと黒いオーラをを溜め始める。

 

「キュウコン!!今だ!!」

 

 その穴を埋めるように飛び出してきたのが、9本の尻尾におにびをまとった姿で飛び込んできたキュウコンだ。

 

 イベルタルに当たることのなかったほのおのむちと、ウインディの背中を足場にして高速で空中を駆け回っていくキュウコンは、あっという間にイベルタルの目の前に移動。

 

「『おにび』を含めて『だいもんじ』!!」

「コンッ!!」

 

 再び不意をつかれて固まってしまったイベルタルに向かって、尻尾のおにびを含んだ紫色のだいもんじを発射。不意をつき、ほぼゼロ距離で放たれたこの攻撃を避けられる訳もなく、直撃したイベルタルに確かなダメージと、やけどの状態異常を付与することに成功。これでイベルタルの体力を減らす速度が少し上がった。

 

「まだまだ畳み掛けるよ!!コータス!!キュウコン!!シャンデラ!!」

 

 しかし、これで満足することなくさらに畳み掛ける準備を進めていく。

 

 イベルタルを中心とし、キュウコンたちを三角形の頂点へ配置。そこから全員が、全身から炎を吹き出しながらイベルタルを見据える。

 

「『ほのおのうず』!!」

 

 準備が整ったところでぼくか出した指示はほのおのうず。3人のポケモンが放つ、灼熱の炎によって作り出された結界は、瞬時にイベルタルを包み込み、イベルタルを中心に合流すると同時に、決してイベルタルを外へと出さない強烈な嵐となって襲いかかった。

 

 

「ルタッ!?」

 

 

「よし、捉えたよ!!」

 

 ひでりの効果も相まって、とてつもない火力になった嵐が、ただでさえやけどでスリップダメージを受けているイベルタルに対して、さらにスリップダメージを刻んでいく。

 

 本来、ほのおのうずややけどによるスリップダメージで戦うというのは短期決戦には向いていないし、回復技を持っているポケモンが行うことで真価を発揮する戦法だ。しかし、ここまでお膳立てし、火力を上げてしまえば、ただのスリップダメージだってとんでもない火力になってくる。

 

(単純な力押しはどうやったって勝てないだろうからね。だけど、火力を出す方法は何もひとつじゃない。これは昔のぼくだと思いつかなかった戦法だ)

 

 イベルタルに過去の自分の姿を幻視したからこそ、まるでその頃の自分を超えるとでも言わんばかりに浴びせていく一癖ある戦法に、自分でも少し感慨深い気持ちになる。こんな形で自分のこれまでの軌跡を振り返ることになるとは思わなかった。

 

 

「ル……タッ!!」

 

 

「……って、そう簡単に行くわけはないよね」

 

 なんて感傷に浸っていたところに響くイベルタルの咆哮。こんな鎖では自分を抑えられるわけないとでも言いたげなその咆哮と同時に力強く翼を羽ばたかせたイベルタルは、暴風と共に自身を覆うほのおのうずの結界を吹き飛ばす。

 

 

「ルタアアアァァァッ!!」

 

 

 更に、そのまま翼を羽ばたかせることで自身の前に風の塊を発生。それに向かって翼を打ち付け、竜巻を横倒しにしたような攻撃をこちらに向かって飛ばしてくる。

 

 ダイマックスしたひこう技、ダイジェットだ。

 

「みんな集まって!!1つの大きな炎を作り出すんだ!!」

 

 これに対してこちらは全員を1か所に集めて……いや、正確には1番遠い所でほのおのうずの結界を維持していたキュウコンだけは距離の問題で集合していなかったが、それ以外の全員が集まって、今覚えているほのおタイプの技を駆使して1つの大きな焚火を作り出す。

 

 轟々と燃え盛る巨大な焔は周りの空気の温度を一気に上げ、ダイジェットに対する大きな障壁となる。しかもそれだけではなく、熱せられた空気は膨張し、周りの空気が軽くなったことで上昇気流が発生し、ダイジェットの軌道を上に逃す風が吹き荒れ始めた。

 

「キュウコン!!『だいもんじ』!!」

 

 ダイジェットと焚火がぶつかり合い、更に上昇気流によってダイジェットが上にそれ、何とか相手の攻撃をいなしたところで、この焚火に唯一くっついていなかったキュウコンがイベルタルの後ろに回り込み、そこからだいもんじを発射。完全な死角から放たれた一撃はしっかりとイベルタルに直撃し、確かなダメージを刻み込んだ。

 

 

「ルタッ!?……ル、タアアアァァァッ」

 

 

 背中に攻撃を受けたイベルタルは、そのことに怒りを感じたのかすぐさま振り返って雄たけびを上げ、あくのはどうを発射。キュウコンだけを狙ったその攻撃は、絶対に落とすという念をはっきり感じるほど広範囲に向かって広げられていた。

 

「『でんこうせっか』!!」

「コン……ッ!?」

「くっ、さすがに範囲が広いね……」

 

 この攻撃を避けるべく、でんこうせっかでとにかくフィールドを駆け回るキュウコン。しかし、攻撃範囲が広すぎて避けるのが間に合わずに被弾、そのまま壁に叩きつけられてしまう。が、残念ながらキュウコンを気遣っている暇がない。

 

 そして、そんな間にもイベルタルの攻撃は更に加速する。

 

 

「ルタッ!!」

 

 

 キュウコンが倒れたことを確認したイベルタルは、すぐさま振り返って再びあくのはどうを放ってきた。

 

 全方位に放たれた黒いオーラは、相変わらずとんでもない威力を伴って飛んでくる。

 

「一転集中だ!!『かえんほうしゃ』と『ほのおのむち』、『フレアドライブ』を束ねて打つんだ!!」

 

 どんどん広がっていく黒色のフィールドに対して、その壁の一点に穴をあけるように集中された技がぶつかっていく。その結果、ぼくの想定通りあくのはどうに穴をあけたこちらの攻撃は、そのまま勢いを殺すことなくイベルタルに向かって飛んでいく。

 

 このまましっかりダメージが入ってくれれば御の字だが、残念ながらあくのはどうに一度ぶつかっているため技の勢いはかなり落ちてしまっている。そのため、こちらの攻撃をイベルタルは、技を打つことすらなく、翼をたたんで自身の前に盾のように構え、受け止めた。

 

 

「ル……タァッ!!」

 

 

 しっかり攻撃を受け止めた後、声をあげながら翼を開くことで炎をすべて弾いたイベルタルは、そのまま口元に黒色の波動をどんどんため込み、ある程度時間をかけたところで一気に解き放ってきた。

 

「次は『ダイアーク』か……これはさすがにきつそうだね……」

 

 解き放たれた黒いオーラは、1度2つに分かれて、ぼくのポケモンたちのところでぴったり合流できるように円軌道を通って飛んでくる。

 

「みんな散会だ!!ウインディはコータスの回避を手助けしてくれ!!コータスは殻にこもって、ウインディはコータスの甲羅を足場にして『しんそく』をするんだ!!」

 

 あくのはどうにくらべて明らかに威力が違うその攻撃は、現状のぼくたちの力ではどうやっても受けきることが出来ないことが一目でわかるくらいにはとんでもない威力を秘めていた。これはたとえキュウコンがまだ戦える状態だったとしても変わらないだろう。そのため、一瞬で逃げることを判断したぼくは、全員いいますぐその場を離れることを指示。その中でも、足が一番遅いコータスだけはどうやっても逃げることが出来そうにないと判断し、ウインディに手伝ってもらうことにした。

 

 殻にこもり、地面を滑ることの出来る状態になったコータスの甲羅を足場に、思いっきりウインディが蹴りだすことで、ウインディがしんそくで走り出す反動を得たコータスが、ウインディとは逆方向に弾かれて飛んでいく。これで全員難なく攻撃を避けることができるだろう。

 

(コータスにはこの『ひでり』の状態を維持してもらう必要があるからね……この子がいなくては、こちらの火力が足りなくなってしまう……)

 

 ただでさえ火力で劣っているこちらが、ひでりまで失ってしまえばいよいよ勝負できなくなってしまう。それだけは絶対に許すわけにはいかない。そういう意味では、コータスはうちの生命線だ。多少無理しても、コータスだけは守る必要がある。

 

 

「ルタッ!!」

 

 

「くっ、分かっているってことか……エンニュート!!シャンデラ!!『かえんほうしゃ』!!」

 

 それをイベルタルも理解しているのか、ダイアークが不発になったことを確認した相手は、今度は羽ばたきと同時に黒いオーラを発射。体力を吸収する光線をコータスに向かって発射してきた。勿論これを許すわけにはいかないので、こちらもエンニュートとシャンデラの攻撃を下からぶつけることで、軌道を上へとずらし、コータスへの攻撃を許さないようにした。

 

「ウインディ!!マルヤクデを背中に載せて『フレアドライブ』!!」

 

 これでコータスを守れることを確認したぼくは、この間に反撃を指示。羽ばたいている間に懐まで潜り込んだウインディが、マルヤクデを背中に乗せたままその身体を炎に包みこんで走り出し、イベルタルの身体の中心に向かって直進する。

 

 これにすぐに気づいたイベルタルは、先ほどこちらのかえんほうしゃなどの集中攻撃を防いだ時と同じように、翼で自分の身体をくるんでガード態勢。ウインディの全力の攻撃に対して、しっかりと防御をしてきた。

 

「いまだマルヤクデ!!背中から飛び出して『ほのおのむち』!!」

「ヤックッ!!」

 

 ウインディとイベルタルによる鍔迫り合い。それはとても力強く、見ているだけで自然に拳に力が入ってしまいそうな状況だけど、そこに見とれることなくマルヤクデに指示。声を聴いたマルヤクデは、ウインディの背中から飛び出してイベルタルの真上をとり、身体から炎の触手を伸ばして攻撃を仕掛けていく。

 

 

「ルタッ!?」

 

 

 空から降りそそぐ触手の乱舞。それは、翼で身を包むことで前に対して防御行動をとっているイベルタルにとっては防御の隙間をついてくる攻撃だ。そのため、空から叩きつけられる無数の触手は、イベルタルに対して少しずつダメージを積み重ねていくことに成功している。ダメージこそ、フレアドライブやだいもんじに比べると少し控えめではあるものの、追加効果で相手の防御力を下げることの出来るこの技は、当てれば当てるほどメリットが大きくなる。それを意識して、威力よりも手数を意識して繰り出していることも、攻撃が沢山当たっている理由だろう。

 

 与えられたダメージこそ少ないが、イベルタルの身体が頻繁に薄い青色に光っているあたり、こちらの思惑通りにいっていることがよく分かる。やけどのダメージとほのおのうずのダメージも合わせれば、これでかなりのダメージが積み重ねられているはずだ。

 

(あと一手……とどめへの道筋は出来ているから、あと一押しが欲しい……!!)

 

 頭の中で、イベルタルに対するとどめの道を筋を思い浮かべる。

 

 これまでのダメージの積み重ねと、ほのおのむちによる防御ダウン。そして、コータスが起こしてくれているこのひでり状態に、マルヤクデのキョダイマックスを合わせれば、充分な火力が期待できる。……が、万全を期すにはどうしてもあと一歩、何かが足りない。

 

(その何かが速く見つかればいいのだが……)

 

 

「ルタアアァァァッ!!」

 

 

「っ!?エンニュート!!」

「ニュァッ!!」

 

 その何かを頭の中でどうしようかと考えている間に、イベルタルが行動を開始。盾のようにたたんでいた翼を広げ、ウインディを弾き飛ばしたのちに、身体をその場で前回りさせ、長い尻尾を縦に降り降ろし、空中にいるマルヤクデにたたきつけてきた。

 

 尻尾を叩きつけられたマルヤクデは、そのままスタジアムの壁まで突き飛ばされ、あわや壁に激突と言うところまで高速で突っ込んでいく。

 

「ニュッ!!」

「ヤ……クッ!!」

 

 キョダイマックスによるとどめをマルヤクデに一任することを考えている以上、ここでマルヤクデを落とすわけにはいかないこちらは、エンニュートがマルヤクデと壁の間に入ることで、壁への追突ダメージが入ることを阻止しようとする。しかし、フィジカルが強い方ではないエンニュートが間に入ったところで、マルヤクデの勢いを軽減できるわけではない。

 

 そこでエンニュートがとった行動は、自身の尻尾をマルヤクデに伸ばすこと。

 

 この尻尾に対して、マルヤクデが自身の触手を伸ばして絡ませ、そのままエンニュートがマルヤクデハンマー投げのように振り回すことで、マルヤクデの壁への追突を阻止しながら飛ばされた勢いを保持。そのまま、イベルタルに向かって投げ返せるタイミングて尻尾と触手を離すことで、マルヤクデは逆再生するかのように、イベルタルに向かって飛んでいく。

 

「『ほのおのむち』!!」

 

 飛ばされたマルヤクデは、再び触手に焔を宿して突撃。今回は先ほどのような手数ではなく、一撃に威力を集中させるために、自身の触手を束ねて、1つの大きな鞭として技を構えた。

 

 これに対してイベルタルは、全身から黒オーラを構えてあくのはどうの準備。飛んでくるマルヤクデに対するカウンターの準備を始める。

 

「シャンデラ!!コータス!!『かえんほうしゃ』!!」

 

 カウンターの邪魔をするために、力を溜めているイベルタルの左右から襲い掛かるのはコータスとシャンデラのかえんほうしゃ。急に左右から襲い掛かる炎の攻撃は、イベルタルの溜め動作を一瞬遅らせることに成功。この隙に、イベルタルの目の前まで接近していたマルヤクデが鞭を振るうことで、完全にあくのはどうを中断させた。

 

 

「ル、タアアァァァッ!!」

 

 

「『ぼうふう』!?シャンデラ!!コータス!!逃げるんだ!!」

「コ……ッ!?」

「シャンッ!?」

 

 

 自身の攻撃を防がれたイベルタル。しかし、ただではやられないのが伝説のポケモン。

 

 自身を殴ってそのまま後ろに飛んでいったマルヤクデを殴れないとわかったイベルタルは、攻撃の対象をすぐさま変更。その場で回転しながら翼を振り回すことで、左右に竜巻を発射し、今しがたかえんほうしゃを放ったばかりのコータスとシャンデラを狙ってきた。

 

 ここに来て一度も見せなかった大技の発動、そして何より、急に標的にされたことによって一瞬反応が遅れたコータスとシャンデラは、ぼくの声を聞きはしたけど、反応が間に合わず被弾。荒れ狂う大竜巻は、そのままコータスとシャンデラをスタジアムの壁に激突させ、戦闘不能へと追いやってしまった。

 

(まずい……コータスが落ちてしまえば、『ひでり』の維持が出来ない……!!)

 

 コータスが倒れたということは、今このスタジアムを照らしているひでりが時機に消えるという事。つまり、ぼくがイベルタルにとどめを刺すためには、このひでりが消えるまでに行わないとダメになったという事だ。

 

(どうする……まだ最後のピースが見つかっていない……!!)

 

 急に設定されてしまった時間制限に焦ってしまうぼくの頭は、それでも答えを導き出すことはできない。

 

 それでも諦めるわけにはいかないぼくは、必死に頭を働かせ……

 

「……ん?」

 

 腰元についている1つのモンスターボールが、揺れていることに気づいた。

 

「きみは……そうかっ!!」

 

 そのボールを見て、頭の中に最後のピースがはまった音が聞こえた気がした。

 

 これなら、最後のピースとして十分な火力補佐になる。

 

「……任せてもいいかい?」

 

 ぼくの質問に張り切って答えるように揺れるモンスターボール。この動きを見て、ぼくはその最後の仕上げを、この子に託すことに決めた。

 

「……よし、行くよ!!君を信じる!!」

 

 その想いを託し、ぼくはこのバトルを決める、最後のピースのポケモンを呼び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




誰かしらの主観の方が個人的には話しを書きやすいのですが、そうするとその人の知識をもとに話を書く必要があるので、専用技の名前をなかなか出せないジレンマ。このあたりの塩梅、難しいですね。




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