【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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311話

「頼むよ……トロッゴン!!」

「ゴゴン!!」

 

 ボクの腰元で揺れ、合図を出していたポケモン……それはトロッゴン。ガラル第2鉱山で初めてフリア君たちに出会った時に、一緒にあの鉱山で特訓をしていた子だ。

 

 あの日からも、ジムチャレンジにチャンピオンリーグと忙しい日々のせいで中々時間を取る事は出来なかったものの、それでも少しずつ、確かな足取りで成長してきたこの子は、今まさに、さらなる成長の時を迎えようとしていた。

 

「ゴッゴーンッ!!」

 

 場に出るなり、何度も空に向かって声を上げるトロッゴン。すると、その身体が青白く光だし、姿形を変形させていく。

 

 十分な経験値を得たポケモンが至ることの出来る次のステージへの変身。ポケモンの神秘のひとつのである進化。その進化の時を本能で理解したからこそ、トロッゴンは……否、セキタンザンは、自分がまだまだここに立つには実力不足だとわかった上で場に出てきてくれた。

 

 進化することで、自分にしかできないことができるようになるとわかっているから。

 

「頼むよセキタンザン。君がぼくたちの火力の最後のピースだ!!」

「ダダァン!!」

 

 青白い光が収まり、新たな姿となったセキタンザンは、声を上げながらイベルタルを見据える。

 

 進化したばかりで力に慣れておらず、練度も足りていない故に、ぼくの本気のメンバーに比べたら当然その力は数段劣っている。だから、ひこうタイプを持っていそうなイベルタルに対しても、現状のセキタンザンでは、こうかばつぐんを突けたとしてもたいしたダメージにはならないだろう。

 

 けど、そんなことは分かりきっている。だからこそ、セキタンザンは今、自分のするべきことを完遂することだけ頭に浮かべている。そんな彼に対して今のぼくがするべきは、彼のやることをサポートすることだ。

 

「エンニュート!!()()()()()()()()()()()『かえんほうしゃ』!!」

「ニュァッ!!」

 

 そのサポートとしてぼくが指示したのは、セキタンザンに対するかえんほうしゃ。これにより、灼熱の炎がセキタンザンの全身を覆い、強力な熱で焼いていく。

 

「ダン……ッ!!」

 

 セキタンザンにとってほのおタイプの技はこうかはいまひとつのなかでもさらに高い耐性を持って受け切ることの出来る攻撃だ。しかし、レベル差があるせいでセキタンザンには思いのほかダメージが刻まれている。それでも、セキタンザンはこの攻撃に耐えて、しっかりと両の足で地面に立っていた。

 

 場に出るなり味方に攻撃をされるセキタンザン。この光景を他の人が見れば、いきなりの奇行に驚いてしまうだろう。しかし、今この場においては、これこそが1番の最適解となる。

 

「ダ……ダアアアアァァァンッ!!」

「よし、よく耐えたぞセキタンザン」

 

 全身に炎を受け、少なくないダメージを負ったセキタンザンは、それでも耐えきって、咆哮とともに自身を覆う焔を弾き飛ばす。そんなひと幕を見せてくれた彼は、炎に包まれる前と後では、その姿が少し変わっていた。

 

 身体の半分近くを覆う石炭は赤々と熱せられており、その部分からは白色の煙がモクモクとたちこめていく。

 

 特性、じょうききかん。

 

 この特性を持つポケモンが、ほのおタイプ、またはみずタイプの攻撃を受けた際、そのエネルギーを自身の力へと変換させ、能力を一気に急上昇させるというもの。

 

 そして、これによって上がる能力は素早さである。

 

「セキタンザン!!」

「ダァンッ!!」

 

 ぼくの声を聞いたセキタンザンは、声を上げながら飛び出していく。その速度はとてつもなく、残像が残ってみえるほどで、急に姿を消して走り始めたセキタンザンを見て、イベルタルも困惑の表情を浮かべていた。

 

 時間にすればたった数秒にも満たない刹那の時間。だけど、今のセキタンザンにとっては、その時間だけで十分。瞬きをしている間にイベルタルの真正面まで移動しきったセキタンザンは、その場で最後のピースを構える。

 

「セキタンザン!!『タールショット』!!」

「ダダァン!!」

 

 その技の名前はタールショット。

 

 粘性の高いタールを浴びせ、相手の素早さを下げると同時に、相手のほのおタイプの技に対する抵抗力を下げる効果を持つ技が、イベルタルの顔面へとぶちまけられた。

 

 

「ルタッ!?」

 

 

 突如自身の顔面を襲った黒い液体は、そのままイベルタルの視界までも奪っていく。どうやら顔面に技をぶつけたせいで、目にもいくらか入ってしまい、それによって一時的に視界不良に陥ったらしい。

 

 

「ル……タアアアァァァッ!!」

 

 

 視界が塗りつぶされたことにパニック半分、怒り半分の感情に支配されたイベルタルは、大声を上げながら翼を振り回し、自身を中心とした巨大な竜巻を発生させる。

 

 自分に向かってぼうふうを放ち、全方位を無差別に吹き飛ばそうという攻撃だ。

 

「ダッ!?」

「セキタンザン!!」

 

 タールショットをぶつけるためにゼロ距離まで近づいていたセキタンザンは、この技の被害を全身に受けることとなる。進化したばかりで、未だに未熟な点が多く、成長もし切っていないセキタンザンがこの攻撃に耐えられる訳がない。風に飛ばされ、じょうききかん状態で走っていた時と同じ速度でぼくの横に撃ち落とされたセキタンザンは、派手な衝撃音を立てながら地面に落ち、目を回して倒れてしまった。

 

 しかし、その口元はしっかりと仕事が出来たことに若干の満足感を感じたのか、少しだけ笑みを浮かべているような気がした。

 

「……ありがとうセキタンザン。君の託したバトン、決して無駄にはしない……!!マルヤクデ!!」

「ヤクッ!!」

 

 そんなセキタンザンにお礼を告げながら、懐から取り出したモンスターボールからリターンレーザーを飛ばし、マルヤクデに合図を告げる。

 

「……なんて『ぼうふう』だ。まさしく嵐だね」

 

 マルヤクデがボールの中に戻ったのを確認しながら、バトルコートの中心に目を向ければ、タールショットのせいで未だに視界が閉ざされた中、それでも必死にもがくイベルタルが翼を暴れさせ、ぼうふうの範囲をさらに広げている姿が確認できた。これによって起きた竜巻は、このまま放置しよう物なら、間違いなく記録的災害を引き起こしてしまうだろう規模にまで膨れ上がろうとしていた。

 

 今でこそ、観客席を守るバリアのおかげで何とかなっているものの、このままこの風を許せば、このバリアも破壊されかれない。そうなれば、エンジンシティは内側から壊されてしまうだろう。

 

「させないよ……ぼくたちの大切な場所を、壊させやしない……!!」

「ガウッ!!」

「ニュゥッ!!」

 

 その未来を阻止するために、いつの間にか傍に来てくれていたウインディとエンニュートの声を聞きながら、右腕のダイマックスバンドを光らせ、マルヤクデの入ったボールにエネルギーを注いで大きくさせる。

 

 エネルギーを吸収して大きくなったボールは、ほんのりとした熱と、ずっしりとした質量をぼくの両手に届けてきた。それを取りこぼすことのないように、しっかりと両手で掴んだぼくは目を閉じ、今一度意識を集中させてから、気合いを入れ直して声を上げる。

 

 

「カブよ、頭を、心を燃やせ!!勝てる道筋はもう見つかっている!!あとは炎と同じように、上を目指して燃え上がるだけだ!!」

 

 

 声を上げたことで心が引き締まり、自身の目に焔が灯った気がする。それはいつも試合の時に、ゾーンに入った時に感じる感覚で、絶好調の証だ。そのことに高揚感を感じながら、ぼくは両手で掴んだボールを天高く放り投げた。

 

 

「マルヤクデ!!燃え盛れ!!キョダイマックスで姿も変えろ!!」

「グヤアアアァァァグッ!!」

 

 

 風が荒れ狂う中、空中で割れ、姿を現したのは、キョダイマックスしたマルヤクデ。その姿は、ダイマックスエネルギーを吸収したことで変化しており、身体の節の数が大幅に増えたことで全長が伸び、それに比例したかのように発熱器官も成長したことで、発する温度も一気に跳ね上がっていた。イベルタルにダイジェットを防ぐ際に、全員で焚き火を上げて、強烈な上昇気流を発していたけど、今のマルヤクデなら、それくらいの熱は1人で発することが出来るだろう。

 

 その熱を、今度は攻撃としてイベルタルにぶつける。

 

 それも、ただぶつけるだけでは無い。

 

「エンニュートは『かえんほうしゃ』を、ウインディは『フレアドライブ』を、それぞれマルヤクデに放つんだ!!」

 

 そばにいたエンニュートとウインディが、近くに現れたマルヤクデに対して、現状放つことの出来る最高火力を持ってマルヤクデに攻撃を仕掛けていく。

 

 セキタンザンの時にもした味方への攻撃。本来なら躊躇するはずのその場面は、しかし、マルヤクデとぼくのことをしっかりと理解してくれている2人だからこそ、なんの躊躇いを見せることも無く、全力で攻撃を放つことが出来ている。

 

 一方で、攻撃を受ける側になっているマルヤクデは、セキタンザンの時とは違いダメージを受けているそぶりすら見せることが無い。セキタンザンの時と同じく、彼の特性が関係あるからこそこの行動を取っているのだが、その肝心の特性の名前は『もらいび』。これは、ほのおタイプの技を受けた時、その技を吸収し、次の自分が放つほのお技への糧とすることの出来る特性だ。つまり、今マルヤクデは、ウインディとエンニュート、2人分の炎を吸収して、最高火力を放つ準備をしているという訳だ。

 

 その思惑通り、熱をどんどん吸収していくマルヤクデは、身体の熱をぐんぐんとあげていき、トドメを放つ準備を着々と進めている。が、ここで少しだけ想定とは違うことが起きてしまう。

 

(想像よりもマルヤクデにたまる炎が少ない……!!ここまでに3人も仲間が犠牲になったのは大きすぎたか……)

 

 本来なら、最低でもここにコータスも入れて3人でマルヤクデのチャージをするつもりだった。しかし、コータスたちが倒れてしまった分こちらの火力が下がってしまっているため、その分チャージ時間と量が悪くなってしまっている。

 

 このままでは時間が足りないかもしれない。

 

(くっ、ここに来てあと一歩が……)

 

「フィィィッ!!」

「っ!?ウルガモス!?何故ここに!?」

 

 コータスが落ちたことによって生まれた穴。その補填をどうするか考えていた時に、新たに聞こえてきたウルガモスの声。この子は、フリア君たちがワイルドエリアで抑えた、ヨロイ島から追い出されて逃げた子だ。あれからうちで保護し、しばらく面倒を見ていたら懐いてしまい、結果ここにいつくことになったのだ。が……

 

「もう、震えは大丈夫なのかい?」

 

 あとから聞いた話、ウルガモスが逃げた相手は、今回イベルタルがでてきた穴を通ってきたポケモンが原因だったらしい。それはつまり、今ぼくが相対しているものは、ウルガモスのトラウマの一端という訳だ。だからなのか、ウルガモスはブラックナイトが起きた瞬間に隅で小さくなって震えていた。その姿を見ていたから、今回のバトルには参加させないようにしていた。けど、そのウルガモスが、今はこうしてほのおのまいを踊り、マルヤクデに火力を送っていた。

 

 その姿を見て、ぼくは大丈夫か?と聞いたが、大丈夫なわけが無い。だって今も尚、身体が震えているのが確認できるから。きっと今も、怖くて逃げ出したくて仕方が無いはずだ。

 

 けど、それでも……

 

「フィ、フィィィッ」

 

 震える身体を抑えて、マルヤクデに向かって必死に炎を送っていた。

 

 もう、逃げないために。

 

「ウルガモス……」

 

 そんな姿を見せられたら、こっちだって無意識のうちに力が入ってしまう。

 

「ありがとうウルガモス……君のおかげで、押し切ることが出来そうだ!!」

 

 

「グヤアアアァァァグッ!!」

 

 

 拳に力が入ると同時に、炎を完全に吸収し切ったマルヤクデが、大きな声をあげながら全身から焔を立ち昇らせる。特性のもらいびが最大まで発動した証だ。

 

「いくぞマルヤクデ!!」

 

 準備は整った。

 

 キュウコンの残したおにびは、イベルタルの体力をしっかりと削ってくれた。

 

 コータスの残したひでりは、最後の輝きとばかりにフィールドを照らし出してくれている。

 

 セキタンザンの残したタールショットは、その身を焦がしてくれる焔を今か今かと待っている。

 

 ウインディ、エンニュート、ウルガモスが送った炎は、マルヤクデに託されて、放出される瞬間を待っている。

 

 後は、最後の一撃をイベルタルに叩き込むだけだ。

 

 

「マルヤクデ!!すべての焔で敵を焼き尽くせ!!『キョダイヒャッカ』!!」

「グヤアアアァァァグッ!!」

 

 

 自身の発熱器官をフル稼働させ、大声をあげながら、溜めに溜めた炎を、未だにぼうふうの城に閉じこもっているイベルタルに向かって発射。ひでりの効果と、もらいびの効果によって、数倍にも膨れ上がった業火が真っすぐ解き放たれた。

 

 

「ルタアアアァァァッ!!」

 

 

 ぶつかり合う嵐と業火。その衝撃音はすさまじく、未だにタールショットで前が見えていないイベルタルも、この音によって、自身が危ない立場に立たされていることを理解し、声をあげながら嵐の勢いを更に強めていく。

 

「ぐっ……最後の抵抗か……っ!!」

 

 つばぜり合う嵐と業火。

 

 まき散らされる熱と風は、余すことなくぼくの身体にも叩きつけられている。

 

「ガウ……ッ!!」

「ニュゥッ!!」

「2人とも……ありがとう……」

 

 立っているのがやっとな状況に、思わず顔を守りながら、それでもぼくが倒れるわけにはいかないと耐えていると、ぼくの前にウインディとエンニュートが盾になるように立ちふさがってくれた。このおかげで、ぼくへと降りかかる熱と風が軽減された。そのことにお礼を言いながら、未だにつばぜり合う炎と風を見つめていく。

 

「頑張れ……マルヤクデ……!!」

「フィィィィッ!!」

「ウルガモス!?」

 

 ほぼ互角両者の攻撃。

 

 中間でぶつかり合って、どちらにも傾くことのない状況ではあるが、それはひでりが消えた瞬間に崩れてしまう。その前に最後の一押しをしたかったのだけど、その役目をウルガモスが担ってくれた。

 

 声をあげながら翅を羽ばたかせたウルガモスによって放たれたねっぷうが、最後の一押しとなって、マルヤクデのキョダイヒャッカの背中を押し、イベルタルのぼうふうを押し返していく。

 

 

「ル……タ……ッ!!」

 

 

 それでも何とか耐えようとするイベルタル。その粘り強さには伝説としての意地を感じるが、ここまで来たらもう負けない。ウルガモスによるダメ押しが最後の決め手となった風と炎の争いは炎側に軍配が上がり、徐々に風を押していくこととなる。そして、炎が最後まで押し切られた瞬間、イベルタルの身体についているタールに着火。ただでさえ、相手を拘束し、炎による締め付けを行う効果があったキョダイヒャッカの能力が更に強化され、イベルタルの全身を焼き切る。

 

 

「ル……ゥ……」

 

 

 その焔が決め手となり、ついにイベルタルは墜落。同時にダイマックが消え、風と熱が散っていった。

 

「……ふぅ」

 

 ようやく終わったバトルに一息。ため息をこぼしながら、ゆっくりと身体から力を抜いていく。

 

 そうやって感傷に浸っていると、キョダイマックスを解除したマルヤクデを皮切りに、ウインディ、エンニュート、ウルガモスが傍によってきて、嬉しそうな声を上げながら擦り寄ってくる。

 

「勝てたよ。みんな……ありがとう……!!」

 

 そんな彼らを撫でながら、今一度、噛み締めるように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カブVSイベルタル

 

 勝者、カブ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マッシッ!!」

 

 

「……ミミッキュは『シャドークロー』……シャンデラは『シャドーボール』……サニゴーンは『エナジ━━』」

 

 

「フュッ!!」

 

 

「……ごめんサニゴーン……やっぱり『パワージェム』を白い方に牽制で打って!!……ミミッキュとシャンデラは相殺じゃなくてそらすことを意識して!!……その間にポットデスは『ちからをすいとる』でデスバーンは『おにび』!!……ゲンガーは『ヘドロばくだん』でポットデスとデスバーンの援護!!」

 

 迫り来る赤色のポケモンからの、雷をまとった大きな拳に対して、ミミッキュ、シャンデラ、そしてサニゴーンの攻撃で妨害をしようとし、そこで視界の端に映る、高速で走る白色の影を確認。ダイマックスしているというのに、とてつもない速さで右側から奇襲をかけてこようとしていたので、こちらにも対応するべく、技を打たれる前にサニゴーンだけをそちら側に向けて攻撃をするよう指示する。

 

 サニゴーンが赤のポケモンの攻撃を受け止められない以上、このかみなりパンチは相殺は不可能なので、ミミッキュとシャンデラには、迫り来る拳の下から技をぶつけて、拳の軌道を上に逸らし、不発に終わらせるように指示する。

 

 一方で白のポケモンに対して、サニゴーンが放った岩の弾丸はいとも簡単に撃ち落とされた。ダイマックスをし、しかも素で強力な力を持っているポケモンが相手な以上、こうなってしまうのは仕方ない。けど、こうなることを事前に予知していたボクは、デスバーンとポットデスに、この隙に相手の妨害をするようにお願いをする。幸い相手はどちらも物理技を得意とするポケモン。そんな相手に、このおにびとちからをすいとるは有効に働くはずだから。

 

(……どちらも攻撃を終えたばかりの状態……後隙にぶつけるようにすれば……!!)

 

 相手が強力ならば、相手を弱体化させればいい。そう思って繰り出した2つの技と、それを守るように飛んでいくヘドロばくだん。

 

 

「マッシッ!!」

「フュッ!!」

 

 

 3つも打てばどれかひとつくらいには引っかかる。そう思って技を見守っていたけど、結果は全部不発。

 

 いや、正確にはちからをすいとるは当たっていた。しかし、ちからをすいとるに対して、自分が盾になるように前に出た赤いポケモンが、ちからをすいとるを受けたのを自覚した瞬間すぐさま『ビルドアップ』を発動し、下げられた攻撃をすぐさま回収してきた。そして、その間に迫っているおにびとシャドーボールに対しては、白色のポケモンが両足に氷を纏い、トリプルアクセルを放つことで蹴り飛ばし、かき消していった。

 

「……凄く器用……その上連携が取れてる……本当に野生なの?」

 

 おそらくはそう見えるだけで、単純にどっしり構え、耐えて戦う赤いポケモンと、素早く動き、翻弄して戦う白いポケモンという、互いの立ち回りが綺麗に噛み合っている結果なのだろう。両者とも、むしとかくとうの複合タイプみたいな見た目と技をしていることも、ちょっとしたシナジーがあるのかもしれない。けど、そんな奇跡は今のボクにとっては不運でしかない。

 

(……どうしよう……穴が無さすぎて……止められない)

 

 こちらの攻撃を打ち破った赤と白のポケモンは、再び自分の得意分野で勝負を仕掛けてこようとする。

 

 赤のポケモンは筋肉を膨張させて力をどんどん溜めていき、白のポケモンは残像を残す勢いでフィールドを駆け回り始めた。

 

(……『ビルドアップ』に『こうそくいどう』……どんどん追い詰められていく)

 

 早く倒さないと相手がどんどん成長していくのに、相手が2人だからどうしたって手が足りない。そのことに焦りが募り、その焦りが、集中力を削いでくる。

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

「……っ!?……まずっ!!」

 

 結果、白いポケモンの動きを目で追っていた一瞬の隙をついて赤いポケモンが目の前に移動。すぐさま拳に雷をまとって構えを取り、しかしそちらに驚いていると、今度はいつの間にか左側に来ていた白いポケモンが、右足に氷を携えて接近してきていた。

 

「……デスバーン!!……赤いポケモンの攻撃を受けて!!……ほかのみんなは━━」

 

 かみなりパンチをしてきている赤いポケモンに対しては、じめんタイプを持つデスバーンで受ければいいけど、そっちへの指示をしている間にもう白いポケモンは足を振り始めており、当たるまで秒読みとなっていた。

 

(……間に合わない!!)

 

 迫り来る氷の脚。せめて衝撃に備えようと、ここにいるみんなで受け止める構えを取る。

 

「カイリキー!!タイレーツ!!『インファイト』!!」

「リキッ!!」

「「「「「「へヘイッ!!」」」」」」

「……え?」

 

 しかし、その蹴りが襲ってくるより先に、拳の嵐が立ち向かい、白いポケモンを後ろにおいやった。

 

「お待たせしました。大丈夫ですか?」

「……ねえさん!!」

 

 声が聞こえた方向に反射的に振り向く。するとそこには、拳の嵐を放った張本人であるカイリキーとタイレーツ。そして、その2人のトレーナーである、サイトウねえさんがいた。

 

「スタジアムの様子を中継で見て、急いで飛んできました」

「……ありがとう……心強いよ」

 

 ボクの横に立ちながら構えを取るねえさん。

 

 こうして横に並ぶだけで、とてつもない安心感がボクを包み込んでくれる。

 

「さぁ、行きましょう!!」

「……うん……がんばる!!」

 

 それだけで、この状況も、何とかなる気がしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




トロッゴン

実機でも、鉱山で出会ったトロッゴン。なのに、マクワさんの切り札がセキタンザンのせいか、カブさんの手持ちとして出てきませんでした。そんな子を、ここでは出させてもらいました。タールショットのような技はアニメ映えしそうですよね。

ウルガモス

此方は吹雪編で闘ったあの子ですね。カブさんになついてしまいました。可愛いですね。




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