【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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312話

「前衛は任せてください。あなたは援護を。タイレーツ、『はいすいのじん』!!ネギガナイト、『きあいだめ』!!」

「……うん……後ろは任せて!!」

 

 1歩前に出ながら、カイリキーとネギガナイト以外のポケモンも呼び出したねえさんは、すぐさまタイレーツとネギガナイトに自己強化の指示を出し、臨戦態勢へ。その姿を見たボクも、この動きに遅れないように、みんなの位置を細かく動かしていく。

 

 さっきまでボク側に足りなかった攻め手に関しては、これ以上ない味方が来てくれた。ならあとは、ゴーストタイプらしく、影からじわじわと追い詰めていくことに集中すればいい。

 

「……デスバーン……ポットデス……君たちが鍵だよ……お願い」

「スババ……」

「ポッティ」

 

 ボクの言葉に頷くのは、相手に妨害を仕掛ける役目を担っている2人。特に、デスバーンのおにびさえ入れることが出来れば、物理攻撃の火力は大きく下げることが出来る。そうなれば、前で戦うねえさんも、立ち回りがぐっと楽になる。そのためにも、頑張ってこの技は通したい。

 

「ルチャブルは赤い方に『フライングプレス』!!ゴロンダとカイリキーは白い方に『バレットパンチ』!!」

 

 それを理解してくれているのか、その隙を作るためにねえさんは、まずは動きの速いルチャブルと、攻撃の速度が速いバレットパンチを使うカイリキーとゴロンダで軽いジャブをしかけていく。

 

 ……軽いジャブと言うには、ルチャブルの攻撃はいささか強力すぎる気もするけどね。

 

「チャボッ!!」

 

 声を上げながら天高く飛翔したルチャブルは、そのまま一直線に赤いポケモンの方に突っ込んでいく。かくとうタイプの技でありながら、ひこうタイプの性質も持つこの技は、おそらくむし、かくとうタイプであろう相手のポケモンに対してとてつもないダメージが期待できる。赤いポケモンも、この技から感じる気迫に何か嫌な予感を察したのか、気を引き締めて右拳を後ろに引き絞っていく。

 

 一方、相変わらず戦場を凄い速度で駆け回り、本当にダイマックスしているのかと疑いたくなってしまう白いポケモンに対しては、鈍色の拳をまとったゴロンダとカイリキーが、高速で拳を何度も打ち出す。すると、拳から鈍色の拳圧が放たれ、1種の弾幕となって白いポケモンを襲っていった。素早く駆け回っていたところに急に攻撃が飛んできたため、白いポケモンはこの攻撃を見て少し驚いた様子を見せてくる。

 

 新たに現れた敵を強敵と判断した相手2人は、自身に向かって飛んでくる攻撃に対して、赤いポケモンは右拳に雷を纏い、白いポケモンは右足に氷を纏って、迎撃の準備を整える。その力の込め具合から、技を受止め次第、そのまま反撃をするつもりなのだろうことが伺えた。

 

「……デスバーン!!……ゲンガー!!……『かなしばり』!!」

 

 

「「っ!?」」

 

 

 そんな強力な攻撃を持って迎撃に当たろうとしていた2人のポケモン。しかし、その両者の攻撃は発生することなく、氷と雷は技が放たれる瞬間に霧散。さらに、2人の動きがなにかに縫い止められるように硬直してしまう。

 

「……その技はさっき……ボクを攻撃するのに使ってましたよね?」

 

 相手が最後に使っていた技を一時的に封印するかなしばり。これにより、最後に出していたかみなりパンチとトリプルアクセルが封印された。

 

 出そうと思っていた技が上手く繰り出せなかったことによる困惑は、この場においては大きな隙だ。その隙をしっかりと突くように、赤いポケモンにはルチャブルの突撃が、白いポケモンには鈍色の弾幕が次々と突き刺さる。

 

「追撃!!オトスパスは白いポケモンに『アクアブレイク』!!タイレーツとネギガナイトは赤いポケモンに『インファイト』と『スターアサルト』!!」

 

 突き刺さった攻撃はダメージとして蓄積され、相手に更なる隙を産んでいく。そこを突くようにねえさんのポケモンがさらに躍動。耐久力が高そうに見える赤いポケモンの方を集中して攻撃を仕掛けていく。

 

 そんな大きなチャンスにボクも参加するために、こちらは遠距離から更なる追撃を狙っていった。

 

「……シャンデラ……サニゴーンは赤い方に『シャドーボール』!!……ミミッキュは白い方に『シャドークロー』!!」

 

 総勢6人による一斉攻撃。なんならこの一撃で勝負を決めるつもりで放たれたこれらの攻撃は、各ポケモンが現状込めることが出来る最大限の力を込めている。

 

 が、当然そんなに甘くは無い。

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

 自身の危険を感じた2人は、声を上げて力を込める。

 

 まず最初に動いたのが、素早さが高い白いポケモン。声をあげた後に、膝をぐっとたたんだそのポケモンはそのまま高くジャンプ。あっという間に高高度まで飛んでいってしまい、こちらの攻撃が当たる寸前で、ミミッキュとオトスパスの攻撃の軌道から姿そのものを消してしまった。

 

 一方の赤いポケモンは、声をあげると同時に筋肉を膨張させ、右腕を大きく上に振り上げ、そのまま勢いよく地面にたたきつけた。恐らくアームハンマーと思われる技によって殴られた地面は、そのあまりにも強力な衝撃のせいで沢山の礫や岩石、衝撃波を周りに撒き散らしてく。その衝撃や岩石たちは、赤いポケモンを襲っていたタイレーツとネギガナイト、そしてサニゴーンの攻撃を的確に弾いてきた。

 

 それぞれが得意とする能力の押し付けによって切り抜けられたこちらの攻撃。そのことに、ボクとねえさんはそろって声を漏らすけど、次の瞬間、その声を漏らす時間さえ取るべきではなかったということを思い知らされた。

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

 攻撃を反らし、自身の安全が確認できた2人は、さらに声をあげながら行動を開始。空に飛びあがった白いポケモンは、その場から急降下をし、眼下にいるオトスパスとミミッキュに向かって、白く輝かせた右足を振り下ろす攻撃、とびはねるを行ってきた。

 

 一方で赤いポケモンは、先ほど地面を揺るがした一撃をもう一回放とうと、再度右腕を振り上げてから叩きつける、アームハンマーの態勢へと入っていた。

 

「っ!!オトスパス!!ネギガナイト!!タイレーツ!!下がってください!!」

「……ミミッキュ……下がって!!」

 

 この攻撃に巻き込まれる範囲にいるのは、先の追撃のために至近距離に近づいていたミミッキュ、オトスパス、ネギガナイト、タイレーツの4名。明らかに受けてはまずいと直感でわかるその攻撃の範囲にいる4名に対して、ボクとねえさんはすぐさま回避を指示し、同じく、本能でこの技はやばいと感じ取っていた4名も、ボクとねえさんが言葉を言い終えるよりも前に、後ろに飛び出した。が……

 

「「「「「「ヘイッ!?」」」」」」

「キュッ!?」

「タイレーツ!!」

「……ミミッキュ!!」

 

 白いポケモンが繰り出す右足は予想よりも素早く、この攻撃の対象になったタイレーツが後ろに下がるよりも速くその身体に蹴りを叩き込まれ、タイレーツは吹き飛ばされることとなる。

 

 タイレーツが壁に叩きつけられている横では、赤いポケモンが地面を殴ったことによって発生した礫がミミッキュへど襲い掛かり、ダメージが叩き込まれる。しかも厄介なことに、この礫による攻撃は小さなダメージの積み重ねであるため、ミミッキュの特性が全く機能しない。ばけのかわは簡単にはがれ、そのうえでダメージを受けているミミッキュはどんどん体力を減らしていき、そんなミミッキュに対して、とどめとばかりに大きな岩石が襲撃。タイレーツと同じように壁にたたきつけられたミミッキュは、そのまま目を回しながら地面に突っ伏した。

 

 これにより、タイレーツとミミッキュが離脱することとなる。

 

「タイレーツ、お疲れ様で━━」

「……ミミッキュ……休ん━━」

 

 

「フュォォォォッ!!」

「マッ………シッ!!」

 

 

「「っ!?」」

 

 倒れたタイレーツとミミッキュをボールに戻しながら労っていると、再び鳴り響く赤と白のポケモンの雄たけび。

 

 空に向かって、この場所に降り立った時よりもさらに大きな声で雄たけびを上げた両者は、身体を薄く赤色に光らせながら、再び技を構えだす。

 

「身体が赤く光った……何かしらの能力が上がってます。オニオン、注意を!!」

「……うん……わかって━━」

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

 ねえさんの言葉を聞かずとも注意していたボクは、相手2人の動きをしっかりと目を向けている。けど、相手2人はそんなボクとねえさんの注意力を上回る力を持って行動を起こした。

 

 素早さに自慢のある白いポケモンは先ほどよりも更に素早い動きによって、一瞬でオトスパスの後ろに回り込み、力に自信のある赤いポケモンは、その筋肉をさらに膨張させて、今度は背中の翼を白く輝かせながらサニゴーンに向かって突っ込んだ。

 

「オトスパス!!『アクアブレイク』!!」

「……サニゴーン……『シャドーボール』!!」

 

 迫りくる赤と白のポケモンに対して、それぞれ狙われたオトスパスとサニゴーンが賢明に反撃をしようと技を構える。

 

 オトスパスは複数ある触手に水を纏い、サニゴーンは口元に黒色の球を構えることで準備を行った。

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

「パスッ!?」

「ゴン……ッ」

 

 しかし、そんな此方の準備なんてあざ笑うかのように、白と赤のポケモンはその迎撃用の技の上から攻撃を叩き込んで来る。

 

 白色のポケモンは、後ろに回り込んだ速度をそのまま威力に変換し、渾身の一撃を膝に込めてとびひざげりを放ち、赤色のポケモンは自身の筋肉に物を言わせて、自身の翅を2回振り回すダブルウィングを行い、1撃目で黒い球を切り割いた後に、2撃目をもって襲い掛かってきた。

 

 どちらの攻撃も、先ほどの能力上昇があったせいで想像以上の威力を秘めており、更にダイマックしているポケモンと言うこともあって、こちらの仕掛ける技とは天と地の差がある。当然そんな攻撃とぶつかり合って、こちらが勝てる可能性なんてまったくない。赤と白のポケモンに打ち負けたサニゴーンとオトスパスは、強力なとびひざげりとダブルウィングを受けてしまい、そのまま壁に激突。戦闘不能となってしまう。

 

「オトスパス……」

「……サニゴーン……」

 

 目を回し、突っ伏した2人に声をかけながらボールに戻していく。

 

 もしボクの反応がもっと早ければ、今の攻撃に対してもっと大勢のポケモンで対処できたはずだ。なのに、それが出来なかったからこそ、勝てないとわかっていながらも1人で迎撃するしか他がなかった。そして……

 

 

「フュォォォォッ!!」

「マッ………シッ!!」

 

 

 赤のポケモンと白のポケモンが、再び身体を赤く光らせながら咆哮を上げ始める。

 

「また、能力が上がりましたね……」

「……多分……『じしんかじょう』みたいな特性を……持っているんだと思う」

「わたしもその考えに賛成です。そしてそれが事実であるのなら、今ので白いポケモンは素早さが、赤いポケモンは攻撃が再び上がったということになります」

「……なによりも……これからも倒されるたびに……能力をあげられてしまうってことになっちゃう」

 

 赤のポケモンと白のポケモンが、こちらのポケモンを倒すたびに能力が強化されるのだというのなら、ここからのバトルは倒すことよりも倒されないことを意識する必要がある。しかし、だからと言ってこちらが攻撃の手を緩めてしまえば、相手はビルドアップやこうそくいどうをもって、違う方向で能力を強化し始めてしまう。そうなってしまえば、結局こちらのポケモンが倒される速度が上がってしまうだけだ。

 

 耐えることはできない。かといって攻めればこちらが倒されるリスクが上がってしまう。こうなっしまえば、ポットデスとデスバーンによる妨害も効果が薄いだろう。

 

 ならば、どうするべきか……

 

「……ねえさん」

「……奇遇ですね。わたしも同じことを考えていましたよ」

「……よかった……じゃあ……早速準備すよ」

「ええ、すぐに行動するとしましょう!!」

 

 ボクとねえさんが考え付いた答え。それは凄く単純なものだった。

 

「……ゲンガー!!」

「カイリキー!!」

「ゲンッ!!」

「リキッ!!」

 

 懐からボールを取り出して、ボクはゲンガーに、ねえさんはカイリキーにリターンレーザーを当てて、ボールの中に戻していく。と同時に、右腕に巻かれているダイマックスバンドを起動させ、ダイマックスエネルギーを放出。その力をボールに吸収させてダイマックスボールに変化させて構える。

 

 ボクとねえさんが思いついた作戦。それはゴリ押し。

 

 作戦と言っていいのかすら怪しい行動ではあるけど、正直、相手の素の力が強力すぎるせいで、そして相手の特性が酷くダイマックスと噛み合っているせいで、生半可な戦略なんて単純な力でひねりつぶされてしまう。

 

 どんな作戦だろうと意味をなさない。なら、こちらも同じ土俵に上がるしかない。

 

 幸い、本来ならダブルバトルであっても、ダイマックスできるポケモンは2人合わせて1人だけなのに、今はブラックナイトの影響か、ダイマックエネルギーが空間に満ちているので、2人揃ってダイマックスを行うことができる。そして、2人でダイマックスを同時に行うことができるのであれば、ボクとねえさんが考え付いた、ダイマックスによるごり押しと言う作戦も、実はそんなに悪い手ではないということになる。

 

 なぜなら、ダイマックス技による追加効果の意味がとてつもなく大きくなるから。

 

「……いくよ……ゲンガー」

「カイリキー、準備はいいですか?」

 

 力を込めて抱きしめているボールに対して声をかけ、その中からボクたちの声に応えるように返してきた返事を確かに受け取って前を見る。

 

 

「……闇より這い出て……恨めしいほどの想いを……!!」

「今こそ攻め入るべき瞬間!!戦況を変える一撃を!!」

「……ゲンガー!!」

「カイリキー!!」

「……「キョダイマックス!!」」

 

 

 万感の思いを込めた2つのボール。

 

 ねえさんのボールは空中で割れ、ボクのボールは地面に吸い込まれて地中で割れ、中からポケモンを呼び出した。

 

 

「ゲンゲェェェラァァァッ!!」

「リッキイィィィッ!!」

 

 

 片や、下半身を地面に沈め、お化け屋敷や幽霊トンネルを彷彿とさせるよ雲うな見た目をしたポケモン。片や4つの腕にあふれんばかりのエネルギーをため込んだ覆面レスラーの様な見た目をしたポケモン。

 

 ボクとねえさんの切り札と呼ばれる、一番の信頼を置けるポケモンの本気の姿、キョダイマックスゲンガーと、キョダイマックスカイリキーが、大声をあげながらバトルフィールドに登場した。

 

 計4人によるダイマックスが行われたフィールド。それは、いくらガラル地方のスタジアムがダイマックス用に広く作られているとしても、さすがに手狭さを少し感じてしまうくらいには圧迫された空間が出来上がってしまった。ダイマックスをしようと思った時は深く考えなかったけど、もしかしたらこれによって、白いポケモンの動きもある程度制限できるかもしれない。この点に関しては予想外の利点だ。

 

 けど、この利点はあくまでもおまけ。本題はここからだ。

 

 

「フュッ!!」

「マッシッ!!」

 

 

「ゲンガー!!『ダイナックル』!!」

「カイリキー!!『ダイアシッド』!!」

 

 かなしばりがとけ、再びかみなりパンチとトリプルアクセルができるようになった相手は、また使えるようになった嬉しさから、すぐさまその技を構えてきた。その攻撃に対してこちらは、ゲンガーがきあいだまを、カイリキーがどくづきを元にしたダイマックス技を発射。オレンジ色の拳は赤いポケモンへ、そして毒の柱は白いポケモンの足元から襲いかかっていき、相手のポケモンもこれに対応しようと技の方向を変え……

 

「……シャンデラ!!……ポットデス!!……『シャドーボール』!!」

「ネギガナイトは『スターアサルト』!!ルチャブルは『フライングプレス』!!」

 

 その進行が変わった技に対して、こちらは4人がかりで邪魔をしに行く。

 

 かみなりパンチに対してはシャドーボールの弾幕を、トリプルアクセルに対してはネギガナイトとルチャブルの全力の奥義を叩きつけることで、相殺とまではいかずとも、その勢いをかなり殺すことに成功した。

 

 ここまでやって、相殺できないところに凄まじい強さを感じはしたけど、ここまで威力を下げられたのなら十分ダイマックス技は通る。

 

 弱った相手のポケモンの技を弾いて突き刺さったダイアシッドとダイナックル。ダイマック技の中では威力が控えめな2つの技なため、ダメージこそは思った以上には入っていない。しかし、この技の1番の目的は追加効果だ。

 

 ダイアシッドとダイナックルは、攻撃が当たった時、それぞれ特攻と攻撃を1段階上昇させるという追加効果がある。そして1番の肝が、この追加効果は、ダイマックス技を当てた側のポケモン全員が恩恵を受けることが出来るという点だ。

 

 それはつまり、今こちらの場に立っている、ゲンガーとカイリキーを含めた8人のポケモン全員が、攻撃アップと特攻アップの恩恵を受けるということだ。

 

「……みんな一斉攻撃!!……シャンデラとポットデスは『シャドーボール』!!……デスバーンは『シャドークロー』!!」

「畳み掛けてください!!ルチャブルは『フライングプレス』!!ゴロンダは『アームハンマー』!!ネギガナイトは『つじぎり』!!」

 

 能力上昇を受けたこちらのポケモンは、その力を遺憾無く発揮するために、ダイアシッドとダイナックルを受けて少し怯んでいる相手に向かってさらなる追撃をしかけていく。

 

 先の攻撃よりもさらに一回り成長しているその攻撃は、溜め時間と反動が大きいネギガナイトの技以外は、どれもそれぞれが得意とする技で固められている。この攻撃を全ていなすのは至難の技だろう。事実、相手のポケモンはどちらも急に向けられてきた攻撃に面を食らっていた。

 

 怯んだところに真っ先に突き刺さるのはシャドーボール。しっかりと威力の込められたその一撃は、両者の顔面に突き刺さり、しっかりとしたダメージを刻み込む。この姿を見て好機と判断した他のメンバーは、さらに勢いよく足を動かし、追撃の態勢に入った。

 

 近接攻撃勢で一番最初に間合いに入ったのはルチャブル。赤いポケモンの前に飛び出した彼は、そのまま真っ直ぐ突き進み、渾身の一撃を放っていく。

 

 

「マッ………シッ!!」

 

 

 攻撃を受けてよろける身体。しかし、このままやられる訳にはいかないと判断した相手は、せめて受けるダメージを軽減させようと、全身に力を込めて筋肉を膨張。筋肉の鎧を持って何とか受け切る。

 

「チャボッ!?」

 

 その筋肉の鎧が、ビルドアップの影響もあって想像以上に硬かったためか、マッシブーンにダメージを与えながらも、ルチャブルは少し弾かれたせいで態勢を崩してしまい、身動きが出来ない状態になる。そんな場面をしっかりと確認した赤いポケモンは、右腕に雷を携え、思いっきりルチャブルに振り下ろそうとした。

 

「ギャモッ!!」

 

 その攻撃を止めたのがネギガナイト。筋肉の鎧で固くなろうと、きあいだめのおかげで相手の急所をしっかりと視認できるネギガナイトが、相手の腕の急所をピンポイントでつじぎり。そのせいで力が抜けてしまった赤いポケモンは、雷を霧散させ、同時に腕の動きを止めた。

 

「バ……ッ!!」

 

 そんなひと幕が起きている中、その横ではデスバーンが白いポケモンの目の前に躍り出て、黒い触手による斬撃を放っていた。

 

 怯んだところに刻み込まれる黒い鉤爪はしっかりとダメージを与え、白いポケモンを追い込んでいく。

 

 

「フュ……ッ!!」

 

 

 赤いポケモンよりも明らかに打たれ弱い白いポケモンは、この攻撃に押され、後ろに引いていた。けど、白いポケモンはそれでも意地を見せて反撃をしようと、左足によるトリプルアクセル繰り出そうとする。

 

「ゴロァッ!!」

 

 が、こちらもそんな相手の動きを許さないように、ゴロンダの強靭な右腕を白いポケモンの左足の脛に直撃叩きつけ、トリプルアクセルを不発に終わらせる。

 

 こちらの連携によって再び動きを止めた両者。その隙を、ボクとねえさんは逃さない。

 

 

「……『ダイナックル』!!」

「『ダイアシッド』!!」

 

 

 動けない2人を襲うのは、本日2回目となるオレンジの拳の隕石と、毒の間欠泉。

 

 そして、この攻撃が当たると同時に、こちらのポケモンの身体が薄く赤く光っていく。

 

 これでまた、こちらの攻撃のテンポが一段階上がっていく。

 

(……あと……少し!!……それで……勝てる!!)

 

 見え始めた光に、ボクは自然と強く、拳を握りしめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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