【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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315話

 進化を超えた進化、メガシンカを果たし、声を上げるメガレックウザ。

 

 そんな彼から放たれる攻撃はとても重く、一撃でこちらの面子を倒しかねない、まさに暴力とでも言うべき力を振り回していた。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

「ギャロップ。『じゃれつく』で迎え撃ちな!!ペロリームはその援護だよ!!」

 

 声を上げると同時に姿を消し去るレックウザ。それを見て、再びしんそくを行ったことを察したあたしは、こうそくいどうで速くなっているギャロップをぶつける。

 

 しんそくに負けないように、同じように姿を消して走り出すギャロップの勇姿を目に収めることは出来ないものの、恐らく2人がぶつかっているであろう事は、耳に響いてくる衝撃音と、身体に来る衝撃波が教えてくれた。

 

 ぶつかった回数は3回で、あたしからみて右前、左前、そして正面の順で衝撃が拡がっていくのを確認し、ギャロップが頑張っているのをしっかりと感じ取った。が、やはり簡単に勝てるなんてことはなく、3回目の衝撃が広がったと同時にギャロップの姿が視認できるようになり、こちらに向かって飛ばされて来ていた。

 

「ペロッ!!」

「ギャ……ルォ!!」

 

 そんなギャロップの援護に入ったペロリームは、飛ばされたギャロップの進行方向に予め移動し、コットンに包まれた身体でキャッチ。衝撃を吸収し、ギャロップへのダメージを減らしていく。

 

「ギャロップ!!ペロリームを右へ投げな!!ペロリームは『マジカルシャイン』!!」

 

 これと同時に、追い打ちをかけようとレックウザが迫ってくる気配を感じたあたしはすぐさま次に手を指示。受け止められたと同時に角にサイコパワーを貯めたギャロップは、ペロリームの左側に回ると同時に、角から斥力を放出し、ペロリームを右へはじき飛ばす。この際、ペロリームはマジカルシャインを放っており、その状態で飛んでいく彼女は、傍から見るとピンクの砲丸のように見えた。

 

 そんなペロリームの進行方向に現れるのは、追撃をしようと構えていたレックウザ。再びしんそくの動きを読まれた形となった彼は、しかし今度は冷静に、口元に焔を構えながら、ペロリームを逆に迎撃する準備を整えていた。

 

「トゲキッス!!」

「キィッ!!」

 

 解き放たれただいもんじ。それはまっすぐペロリームに方へ飛んでいき、しかし当たる寸前でトゲキッスが間に割り込み、わざと被弾しながら上へと飛ぶことで、だいもんじの軌道を上へと逸らす。

 

 障害がなくなり、これで今度こそ攻撃を当てられると構えたペロリームは、自身の身体の輝きをさらに強くしながら突っ込んでいく。が、そんなペロリームの目前には、想像よりも離れた場所にいるレックウザが視界に入る。

 

 どうやら、だいもんじを放った反動を利用し、後ろに思いっきり下がっていたらしい。

 

(トゲキッスに受け止められるのも念頭に置いての行動かい……どんどん賢くなるねぇ)

 

 学習スピードの速さに悪態をつきそうになるが、そんな暇は無い。

 

 ペロリームの攻撃から離れたレックウザは、標的をペロリームから今しがただいもんじを逸らしたトゲキッスへと変更し、だいもんじを受けて少しダメージをおっている彼女に対して追い打ちをかけるように動き始める。

 

「ギャロップ!!クチート!!」

 

 被弾したばかりで動きが鈍いトゲキッスにとどめを刺そうと飛びかかるレックウザに対し、こちらはその速度に唯一追いつけるギャロップが、背中にクチートを乗せながらダッシュ。トゲキッスとレックウザの間に入り混み、2人がかりでレックウザの邪魔をする。

 

「『じゃれつく』」

 

 選んだ技はじゃれつく。素早さをのせたギャロップと、デコレーションによって火力が全開のクチートによる全力のタックルは、同じく攻撃力が極まっているレックウザのしんそくと何とか相殺。とてつもない音と衝撃を撒き散らしながら、3人は大きく弾かれる。

 

「マタドガス!!ブリムオン!!」

「ガース……」

 

 

「リオオオォォォッ!!」

 

 

 何とか作り上げたレックウザの隙。

 

 ここを逃さないために、マタドガスとブリムオンが吠えながら技を構える。

 

「『マジカルシャイン』と『ダイフェアリー』!!」

 

 怯んでいるレックウザの近くに移動したマタドガスと、キョダイマックスを何とか維持しているブリムオンによる同時攻撃。レックウザを確実に仕留めるために放たれたピンクの光と黄色い流れ星は、寸分違わず、怯みを受けているレックウザにつき進んでいく。

 

(これで倒れてくれればいいんだがね……)

 

 タイミングも威力も申し分ない一撃。並の相手なら十分仕留め切れる大技連携だろう。

 

 しかし、相手は並という言葉で片付けられる相手では無い。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

 自身に向かって大技が沢山飛んできているのを確認したレックウザは、再び自身の身体を緑色に発光させて動き出し、まずその場で1度とぐろをまくように1回転し、マジカルシャインの光を打ち破った後に、今度は落ちてくるキョダイテンバツ目掛けて猛突進。目にも止まらぬ早さで突き進んだレックウザは、そのまま3つの流れ星全ての中心部を通り抜けて貫通。デコレーションで最大まで強化して放ったこちらの大技を、一瞬のうちに破壊してしまった。

 

「……やれやれ」

 

 そのあまりにも理不尽な展開に、こちらも呆れた声をこぼすしかない。

 

「リ、リオ……ッ」

 

 今の技がダイマックス後3回目の技ということもあって、ブリムオンもキョダイマックスを維持できなくなって元の姿に戻ってしまう。

 

 これでもう、キョダイテンバツを行うことも出来ない。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

 こちらの大技を無傷で切り抜け、さらにブリムオンのキョダイマックスが切れたことが影響してか、自身のテンションをあげるように吠えるレックウザ。そんな彼の心を表すかのように、彼の周りには風が集まりだし、アラベスクスタジアムを乱気流が包み込んでくる。

 

 この乱気流が、まるでレックウザを守る風の鎧のような役割を担い始め、パッと見ているだけで、生半可な攻撃は風に弾かれるだろうことを予想させた。

 

「マタドガス、トゲキッス、ブリムオン、ペロリーム、『マジカルシャイン』。その後に、ギャロップ、クチートで『じゃれつく』だよ」

 

 キョダイテンバツがない今、強力な攻撃をぶつけるのならみんなの力を合わせるしか方法がない。しかも、その上で風の鎧が邪魔をしてくるので、これも弾く必要を考えるのならば、大技を2連撃で叩き込む必要がある。そこで、特殊攻撃が得意な仲間で風を破り、物理攻撃が得意な仲間で直接攻撃という手段を行う。……というより、こうするしかない。

 

 そう頭で結論づけて行われたこの攻撃は、あたしの想定通り、乱気流の壁を打ち崩すことに成功し、風の鎧にできた穴を通って、クチートを乗せたギャロップが爆走。一瞬でレックウザの懐に飛び込むことに成功し……

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

 しかし、再びレックウザが吠えることによって風の鎧が復活。あれだけの速さで接近したというのに、それでも反応したレックウザが、風の鎧を纏うだけでギャロップとクチートは弾かれ、また振り出しに戻される。

 

 さらにそれだけでなく、風の鎧を復活させたレックウザは、自身の目の前に風の塊、ダイジェットを準備。そこに突っ込みながら技を構えることによって、嵐と一緒に緑の光も身にまとい、本日3度目にして、しかし今までとは比べ物にならない威力を秘めた、あの突進技を行い始める。

 

「とうとうダイマックス技と合わせ始めやがったかい。マタドガスとペロリームを先頭に、みんなで防御態勢を取りな!!」

 

 この一撃はまずい。そう感じた時には既にレックウザは動き出しており、回避行動は絶対に間に合わない。なので、防御の硬いマタドガスとペロリームを先頭に、みんなでマジカルシャインやらサイコキネシス、じゃれつく、サイコカッターを放ち、少しでも相手の技を抑えようと奮闘する。

 

 しかし、ここまでやってなお、レックウザを止めることは出来ない。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

「……」

 

 嵐をまとったことで、今までの2回とは比にならないレベルの火力となったその一撃は、こちらの攻撃なんて意に返さないとでも言うかのごとく、全てを突き抜けて突っ込んでくる。

 

 マジカルシャインもサイコキネシスも、じゃれつくもサイコカッターも、何もかもを簡単に薙ぎ払ったレックウザの本気の一撃は、一瞬にしてこちらのポケモンの悉くを貫いていく。その火力は想像をさらに超えているもので、この攻撃は防御力を完全に上げきっているペロリームでさえ受け切ることは出来ない。そんな攻撃が、ペロリーム以外のポケモンに受け止められる訳もなく……

 

「ぺ……ロ……」

 

 緑の光が通った跡。そこにはあたしのポケモンたちが倒れている姿だけが残っており、その中でも唯一意識があったペロリームも、たった今意識を手放し、戦闘不能となった。

 

 マタドガス、トゲキッス、ペロリーム、クチート、ギャロップ、ブリムオン。

 

 みんな、あたしがジムリーダーとして胸を張って繰り出すことの出来る自慢のポケモンたち。そんなあたしの人生を表すものの1つと言っても過言では無い、そんな仲間たちが、一瞬で倒れてしまった。

 

「本当に、伝説ってのは凄いねぇ」

 

 理不尽。

 

 ここまでやって、そのうえで一瞬のうちに叩き潰してくる、まさに厄災。そのスケールのデカさと強さに、もはや1周回って感心してしまうほど。それほどまでに、この状況というものに現実味がない。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

 6人ものポケモンを一撃で下し、自身の勝ちを高らかに宣言するレックウザ。

 

 もう自分をせき止めるものがないと判断したレックウザは、さっさとここを出て他の場所に行こうと、高度を上げてスタジアムを飛び出そうとする。

 

 もし、今のレックウザが外に解き放たれてしまえばまずいなんてものじゃない。あの火力を適当に振りかざすだけで、ガラル地方が滅茶苦茶になってしまう。だから、たとえどんな手を使ってでも、レックウザはここに留めなければいけない。それが例え、6人もの信頼出来る仲間を倒されて、戦力がなくなっているとしても。

 

 無理難題。誰もがそう口を揃えるこの絶望的な状況。

 

 そんな状況を前に、あたしは……

 

「やれやれ、どこへ行こうと言うんだい?」

 

 いつもと変わらない平坦な声を持って、メガレックウザへと言葉をなげかける。

 

 

「ザッ!?」

 

 

 同時に、今まさにスタジアムから外へ出ようとしていたメガレックウザの身体が、大きく右側へと弾かれ、スタジアムの観客席を守るバリアに叩きつけられる。

 

 突如自身を襲った強烈な一撃に対して、『敵は全員倒したはずなのに』とでも言いたげな驚いた表情を見せるメガレックウザは、慌てて視線を動かして今の攻撃をしてきた相手を探していく。

 

「ほらほら、早く見つけないと、また攻撃を喰らっちまうよ」

 

 視線をあちこちへと動かしているメガレックウザに対して煽るようにそう告げながら、こちらから再び攻撃を発射。目にも止まらぬ速さで飛んでいく()()()()()()()を、ギリギリのところで何とか見つけることのできたメガレックウザは、慌てて空へ飛び出して回避。避けられた攻撃はそのままバリアを壊して、観客席へと突き刺さった。

 

「あ〜あ、お前さんが避けるから、スタジアムが少し壊れたじゃないか」

 

 完全なとばっちりだと知っての発言。しかし、そんなあたしの言葉なんて聞こえていない相手は、攻撃を避けたあとも必死に視線を動かしていく。

 

 自身を攻撃する、最後の敵を見つけるために。

 

 そしてその最後の敵を、相手はようやく視認した。

 

「ようやく見つけたかい。遅かったねぇ」

「……マホッ!!」

 

 天に舞うメガレックウザの視線の先。そこには、飴細工を頭に乗せ、可愛らしい声を上げながら、しかし、()()()()()()()()()()()()()あたしの切り札、マホイップの姿があった。

 

 

「ザァ……ッ!!」

 

 

 身長0.3mに重さ0.5kg。ダイマックスしたメガレックウザと見比べれば、天と地ほどの体格差となる小さなポケモン。ここまで『米粒みたいな』と言う比喩がふさわしい状況も中々ないだろう。当然普通に戦えば、タイプ的に有利だとしても、1対1では勝つことの出来ないマッチアップ。

 

 しかし、そんな対面であるにもかかわらず、メガレックウザはこのマホイップとの睨み合いで押されていた。

 

 なぜ、メガレックウザ相手に、気迫だけでここまで追い込めるのか。その答えは、今のマホイップの能力状態にあった。

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

「クリームで防ぎな」

「マホッ!!」

 

 戸惑いながらも攻撃を開始するレックウザは、だいもんじを吐いた後に、しんそくで追撃しようと動き出す。

 

 普通なら受け止められない2つの技による連携攻撃。しかしそんな攻撃を、マホイップはクリームを展開して身に沢山纏うだけで、両方の攻撃を完全に受け止め切る。

 

 

「ザァッ!?」

 

 

「懐に入りな」

「マホッ!!」

 

 両方の攻撃を簡単に受け止められたことに驚くレックウザ。そんな彼の目の前から、()()()()()()姿()()()()()

 

 このことにさらに驚いた声をあげようとするレックウザだけど、それ以上に、彼の野生のポケモンとしての本能が、今すぐここから離れろと告げでもしたのか、しんそくを用いて慌てて逃げていった。

 

 直後、レックウザのいた場所を、物凄い勢いでピンク色の波動が突き抜けていく。

 

「勘がいいねぇ」

「マホッ」

 

 その波動を放っていた張本人であるマホイップは、さっきまでレックウザがおり、真後ろを取っていたはずの立ち位置で、可愛らしい声を上げていた。

 

 さぁ、ここまでいえば、今のマホイップがどういう状態なのか分かっていただけただろう。

 

 今のマホイップは、攻撃、特攻、防御、特防、素早さ、その全ての能力が、最大まで育っている状態になっている。

 

 数字で表すのなら、全部で合計30段階上昇。そんな状態で放たれるアシストパワーは、たとえ相手が伝説のポケモンの本気の一撃だったとしても、簡単にひねり潰せてしまうほどの火力を秘めている。

 

 ではなぜ、マホイップがこんなことになるまで成長することが出来たのか。それは、マホイップがみんなに使ったある技が原因だ。

 

 その技の名前は、じこあんじ。

 

 対象となった相手の能力変化を自分に映し込むことが出来るこの技を、マホイップはみんなに使っていたという訳だ。

 

 攻撃と特攻は、デコレーションで強化されたクチートとブリムオンから。防御は、コットンガードで強化されたペロリームから。特防は、ドわすれで強化されたトゲキッスから。素早さは、こうそくいどうで強化されたギャロップから。

 

 ここまで戦ってきて、そして倒れていった仲間たちが育てた力が、今はマホイップに受け継がれている。

 

 全ては、勝利という名のゴールにたどり着くためのバトンとして。

 

「奥の手っていうのは、先に切った方が負けなのさ。あんたの『ダイジェット』とその突撃技の組み合わせは確かに凄かったが……それはあたしの奥の手を使わせてから切るべきカードだったねぇ」

 

 あたしはこのカードを常に手札に置いていた。だから、レックウザがどう動こうが、あたしは自身の勝ちを疑わなかった。もちろん、理想はこの切り札を斬らずに勝つことだ。だから、これまでも必死に戦いはした。が、負け筋というのは必ず潰していかなければならない。今回のように、負けられない戦いなら尚更だ。

 

「もう、あんたの手札は全部見た。そして、そのカードに対して、あたしのカードで絶対勝てることもわかった。チェックメイトさね」

 

 

「ザアアァァァッ!!」

 

 

 あたしの言葉に対して、現実逃避でもするかのように叫び声を上げ、目の前に風の塊を作り出すレックウザは、自身の身体を激しく発光させながらその風に突っ込み、突撃をしてくる。

 

 荒れ狂う嵐と、レックウザ自身の速度も相まって、相変わらずとんでもない威力と音を立てながら突っ込んでくるその様は、人によってはトラウマにもなるかもしれないほどの火力を秘めている。

 

 しかし、やはりあたしの心は依然として落ち着いたまま。

 

 焦る必要は無い。だって、もう勝負は決まっているのだから。

 

「マホイップ。『アシストパワー』」

「マホッ!!」

 

 あたしの声を聞いて、元気よく声を上げるマホイップと、同時に放たれる強烈なピンクの光。それは嵐を吹き飛ばし、激しく緑色に輝いていたはずのレックウザの身体をもいとも簡単に包み込み、レックウザが発していた音と衝撃よりも何倍も大きい威力を持って叩き潰す。

 

 

「ザ……ァ……」

 

 

「あんた、その突撃技を使う度に身体を薄い青色に光らせてるけど……その技、使うと耐久が下がっているんじゃないかい?そんな身体じゃあ、尚更あんたに勝ち目はないさね」

 

 マホイップの渾身のアシストパワーを受けたレックウザは、メガシンカとダイマックスを解除しながら地面へと落ちていく。

 

「どうだい、これでわかっただろう?」

「マホマホッ!!」

 

 頭を逆さまにし、地面へと一直線に落ちていくその姿は、キョダイテンバツを受けて混乱をしながら落ちていく姿と似ていた。

 

 しかし、あの時と違うのは、レックウザが完全に意識を失っているということ。

 

 もう、復活することは無い。

 

「これがピンクの力さ。出直してきな」

「マホッ!!」

 

 地面に落ちた龍。

 

 その龍に対して、あたしはマホイップとともに、とどめの言葉を投げかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポプラVSレックウザ

 

 勝者、ポプラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グレイシア!!モスノウ!!『ふぶき』!!」

「イシヘンジン!!セキタンザン!!『いわなだれ』!!」

 

 

「ウロ~……!!」

「ツン……ゴゴゴゴ!!」

 

 

 此方が繰り出す雪と岩の嵐は、相手が繰り出したパワージェムと、地面から突き出してくるストーンエッジによってすべてかき消されていく。

 

「下がっちゃいけないよ!!ヒヒダルマは『つららおとし』でコオリッポは『たきのぼり』!!」

「ツボツボ!!バンギラス!!『ストーンエッジ』です!!」

 

 しかし、攻撃が防がれるのはここまでのバトルから想定していたので、相手が攻撃した後隙を狙うように追撃。つららを握り締めたヒヒダルマと、はらだいこを終えてパワー全開の水を纏ったコオリッポが前を走り、その後を追従するようにバンギラスとツボツボが生やした岩の柱が突き進んでいく。

 

 総勢4人による一斉攻撃。これに対してあちらは、灰色のレンガの塊のようなポケモンが前に出て来る。

 

 

「ゴゴ、ゴゴゴゴ!!」

 

 

 そのポケモンが前に出て行ってきた行動はジャイロボール。フィールドの中心で回転を始めることによって、自身の固い身体の性能をいかんなく発揮し、襲い掛かってくる攻撃全てを弾き飛ばしていく。特に、近接攻撃のために前に出ていたコオリッポとヒヒダルマは、勢いよく弾かれたことによって、無防備な姿をさらしてしまう。

 

 

「ウロロ~!!」

 

 

 そんなヒヒダルマたちに向かって攻撃してくるのは白いドククラゲのようなポケモン。そのポケモンが放ってきたヘドロウェーブが、未だに動くことの出来ないヒヒダルマとコオリッポに迫っていく。

 

「ガメノデスは『シェルブレード』!!アマルルガは『フリーズドライ』!!」

「バリコオルは『サイコキネシス』でラプラスは『れいとうビーム』だよ!!」

 

 その毒の波から味方を助けるため、こちらは他のメンバーで攻撃を相殺。ぶつかり合ったお互いの攻撃は、大きな爆発を生んで両者を少し後退させる。これで仕切り直しとなり、ひとまずの休憩タイムとなる。

 

「頑丈なタンク役と後方からの援護アタッカー……面倒な組み合わせだねぇ」

「本当に野生で、初対面なのか怪しいレベルですね」

 

 愚痴をこぼしながら改めて、逆さにした金魚鉢から触手が生えたようなポケモンと、灰色のレンガを積み重ね、その1つ1つに目玉を持っているという、一部の人が見たら発狂してしまいそうなポケモンの組み合わせを見つめていると、隣から息子のマクワも嫌そうな声をあげる。

 

 あたしのジムが襲われていると聞いてすっ飛んできたらしいかわいらしい息子のおかげで、何とか互角の戦いが来てはいるけど、相手が想像以上に盤石な戦法を取るせいでなかなか攻めることが出来ないでいた。

 

 これはどこかで、流れを変える必要がある。

 

「マクワ。あたしが守りを整えるから、あんたはガンガン攻めな」

「……わかりましたよ。壁は任せました」

「ええ、任せてちょうだい!!」

 

 息子からの言葉に元気よく答えながら、あたしはラプラスのボールを構える。

 

「さぁ行くよ!!」

「ええ」

 

 息子と共に、強敵へと立ち向かう。

 

 少し前では考えられなかったこの状況に、どこか高揚感を感じているあたしだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




じこあんじ

SVより、マホイップが新たに貰った技ですね。これにより、ますますダブルで活躍できるようになりました。




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