【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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316話

「いくよラプラス!!」

「ルアアァァッ!!」

 

 腰からボールを取り出し、ラプラスに向かってリターンレーザーを放ってボールの中へ。そこからダイマックスエネルギーをバンドから送り込んで、ボールを大きくさせた状態へと持っていく。

 

 

「さぁ、氷河期の到来よ!!絶滅するまで何分かしら?」

 

 

 大きくなったダイマックスボール。そこから感じる暖かさと重さから、その中にあたしの大事なポケモンが入っているということを実感し、ついついいつもの癖で、そのボールに頬擦りをしてしまう。

 

「かあさん……」

「わかってるわよ!!」

 

 その事に、息子から少し白い目を向けられてしまうものの、こればかりはあたしの1つのルーティーンのようなものだから、何があっても譲らない。しっかりボールの中にいるラプラスに愛情表現をしたあたしは、改めて両手でしっかりとボールを抱えて、宙に向かって放り投げる。

 

 

「ラプラス!!キョダイマックス!!」

「ルアアアァァァッ!!」

 

 

 空中で割れたボールから飛び出してきたのはキョダイマックスしたラプラス。

 

 背中の甲羅が巨大化し、見た目は豪華客船を彷彿とさせるような形状に変更。内部も巻貝のような螺旋構造になっており、複雑化した甲羅の表面には無数の穴が開いている。そして何より特徴的なのが、ラプラスの周りをぐるりと囲むように漂う五線譜のリング。ここより奏でられる音色は、こちらのポケモンをやさしく包み込み、外敵からの攻撃を軽くではあるが弾いてくれる優しい守りとなる。

 

 そしてその守りは、ラプラスの行動でさらに強固となる。

 

「ラプラス!!『キョダイセンリツ』!!」

 

 

「ルアアアァァァッ!!」

 

 

 背中の甲羅に空いている穴から綺麗な旋律が奏でられ、それと同時に空に雲が発生。そして、その雲の中の水分が凝結することで巨大な氷塊となり、音楽が込められた隕石となって相手に向かって降りそそぐ。

 

 その数は全部で3つ。

 

 

「ウロ~……!!」

 

 

 そのうちの1つは、白いポケモンがいわタイプのエネルギーが具現化した弾丸の嵐によって打ち砕かれた。

 

 

「ツン……ゴゴゴゴ!!」

 

 

 そして2つ目は、レンガのポケモンがその自慢の身体で受け止めて、そのまま回転して砕いた。

 

 此方の攻撃の多くを防いできた相手のポケモンたち。しかし、それでも最後の1個を壊すまでの余裕はなかったのか、3つ目は地面に墜落し、それと同時にバトルフィールドをやさしい氷が包んでいく。

 

 その氷は、こちらのポケモンたちの身体の周りにオーロラの羽衣となって纏われていき、攻撃を肩代わりする盾のように広がっていく。

 

 同時に、敵と捉えている白とレンガのポケモンに対しては、致命傷を与えんと氷の刃となって突き刺さっていく。

 

 タイプ相性上、大ダメージを与えるとまではいかないものの、その攻撃の波動はしっかりと刺さっており、レンガのポケモンはともかく、白いポケモンに対しては少なくないダメージが入ったのを確認できた。

 

「マクワ!!これで好き勝手暴れられるよ!!」

「ええ!!攻め手はこちらが担います!!」

 

 相手のポケモンが少し怯み、こちらの防御が万端になったところで、マクワのポケモンたちが躍動する。

 

「ツボツボ、イシヘンジン、バンギラスは白いポケモンに『ストーンエッジ』!!ガメノデス、セキタンザン、アマルルガはレンガのポケモンを包囲です!!」

 

 マクワの指示に従って、白いポケモンに襲い掛かる複数の岩柱と、レンガのポケモンを取り囲む陣。オーロラの衣をまといながら素早く動いた彼らによって、次々と攻撃が飛び交っていく。

 

「ガメノデスは『シェルブレード』、セキタンザンは『フレアドライブ』、アマルルガは『メテオビーム』!!」

 

 白いポケモンに岩の柱が迫っていくのと同時に、レンガのポケモンに向かって集まっていく水と炎と岩の攻撃。完璧なタイミングで迫っていくこれらの攻撃は、キョダイセンリツによる対処をしていたことも相まって、相手のポケモンの動きの隙間を的確に突いて行く。

 

 

「ウロ~……!!」

「ツン……ゴゴゴゴ!!」

 

 

 しかし、ただでやられるつもりはない相手は、この攻撃に対して全部の攻撃をさばくことを諦め、被害を抑えることに集中した技選択をしていく。

 

 具体的な行動としては、白のポケモンは身体の中心部から全体に広がるように毒の波を発生させ、自身に迫ってくる攻撃を全体的に弱めていき、レンガのポケモンはジャイロボールを行うことで自身の守りをさらに強くして、来る攻撃に備えてきた。その効果はとても大きく、こちらの攻撃はほとんど抑え込まれており、とてもじゃないけどダメージが入っているようには見えない。

 

「そこであたしたちの出番って訳よ!!モスノウ、バリコオル、グレイシアは白い方に『ふぶき』!!ヒヒダルマとコオリッポは、レンガのほうにそれぞれ『つららおとし』と『たきのぼり』!!」

 

 しかし、これでこちらの攻めが終わった訳では無い。マクワの攻撃を止めるために動いていた相手を見て、その行動の終わり際を狙って追撃。これで終わりだとひと安心していたところに突き刺さっていく攻撃は、さすがに対処しきるのが難しいらしく、しっかりと直撃。どちらのポケモンも使っている技的にいわタイプを含んでいそうなため、レンガの方には特にコオリッポの攻撃が強く決まっているように見えた。……が。

 

「……全く効いているようには見えませんね。強いていえば、少しレンガのポケモンが後ろに下がったくらいでしょうか」

「『はらだいこ』をしっかりしている状態なんだがねぇ……」

 

 結果からいえば両者ともピンピンとしており、とてもじゃないけど一斉攻撃を受けた後には見えない。どうやらどちらも、あたしたちの想像以上に耐久面に秀でている可能性がある。

 

「こりゃあ長い戦いになりそうだね」

「こちらとしては勘弁願いたいんですがね……って、話している場合はなさそうですね!!」

 

 相手の防御に高さに愚痴をこぼしていると、急にレンガのポケモンがジャンプを始める。その行動に嫌な予感を感じたあたしたちは、すぐさま来る攻撃に構える。

 

 

「ゴゴゴ、ゴゴゴゴ!!」

 

 

 飛び上がり、そして地面に落ちたレンガのポケモンを中心に放たれたのはじしん。彼を中心に広がっていく破壊の波は、まさしく災害級の威力を誇っており、それは敵味方関係なく巻き込む無差別攻撃となって暴れていく。

 

 最も、そんな彼の唯一の味方である白いポケモンは、空中に浮いているため被害を受けることなく、悠々とこちらを見つめていたが。

 

「ヒヒダルマ!!『つららおとし』!!コオリッポは『たきのぼり』!!」

「バンギラス!!ツボツボ!!イシヘンジン!!『ストーンエッジ』!!」

 

 迫ってくる破壊の波に対して、こちらは技による防壁を作り出す。

 

 ヒヒダルマはつららを何本も地面に刺して、コオリッポは水を纏って地面に突進して相殺をめざし、マクワのポケモンたちは地面から岩を生やして守り面を強化していく。

 

 こちらの行った防御行動はしっかりと作用してくれたみたいで、レンガのポケモンが放ったじしんは何とかガード成功。技と技がぶつかりあった衝撃により、地面がめくり上がり、ストーンエッジが巻き込まれたことも相まって、至る所に岩石が散乱していく。

 

 

「ウロロ〜!!」

 

 

 お互いの攻撃が不発になったところで、次に動き出すのは白いポケモン。

 

 空中から見下ろすように見つめてくるそのポケモンは、自身の周りに複数の岩の弾丸を作成。その弾を、こちらを正確に射抜くパワージェムとして、一斉に掃射してきた。

 

「ガメノデス!!『シェルブレード』で岩を弾きなさい!!」

「モスノウとグレイシアは『ぼうふう』と『ふぶき』で逸らしていきな!!」

 

 落ちてくる岩に雨に対して、マクワは先程のやり取りで出来た地面に落ちている岩石を、ガメノデスが打ち上げて盾にすることで防御し、あたしはモスノウとグレイシアによって強風を発生させ、この風で攻撃を逸らしていく。

 

 これにより、ぶつかりあった岩同士は砕け散り、逸らされたパワージェムはあさっての方向に流れていく。

 

「バリコオル!!『サイコキネシス』!!」

「アマルルガ!!『フリーズドライ』!!」

 

 攻撃を弾いたところですぐさま反撃。バリコオルは空中で砕けて礫になった岩を操ってショットガンのように発射していき、アマルルガはその間を縫うように鋭い氷の一撃を放つ。

 

 手数も威力も申し分ない攻撃。相手の攻撃をも利用した素早い反撃は、しかしレンガのポケモンが立ち塞がるだけで全てを弾いてしまう。

 

「お互い決め手に欠けますね……」

「あっちの攻撃は『オーロラベール』だったり、こっちのポケモンの手数で止められているけど、こっちはこっちで、相手の防御力を突破出来ていないものね……」

「あの白い方はともかく、レンガの方が厄介です。どちらもいわタイプを持っているだけならいいのですが……『ジャイロボール』をあそこまで使いこなしているあたり、おそらくあのレンガのポケモンはいわとはがねの複合タイプなのでしょう。そうなると、こちらの得意技は基本的に通用することはないです」

「とはいっても、あのレンガの方をどうにかしないと、あいつが前に出て盾になる戦法を取り続けている以上、長期戦にしかならないわよ」

 

 既に何回も技のやり取りをしているというのに、お互いに致命打が全く入っていない。この状況を続ければひとまずお互いにダメージは入らないけど、ダイマックスの時間制限があるこちらの方が、最終的には押される可能性がほんの少し高い可能性がある。

 

 とはいっても、あくまでほんの少しくらいの差だ。なんせ今まではずっと引き分けることが出来たし、今はオーロラベールのおかげでむしろ有利になっているまである。こういうのはたいてい長期戦になるとこちらが不利になるものだけど、こと今回においては、むしろこちらの方が有利になっている節がある。それを理解しているマクワは、焦ることなく言葉を続ける。

 

「ですが、いくら防御が硬いと言っても、こちらの攻撃が全く聞いていないわけでもないでしょう。今のところこちら側だってダメージを受けていないことを考え見ても、例え相手がはがねタイプを含んでいたとしても、まだ焦る段階ではないですね」

「こっちに『オーロラベール』があることを考えても、ひとまずはこのままゆっくり攻めるでいいって事かしらね。……せっかくラプラスをキョダイマックスさせたんだし、本当はもっとガンガン攻めたいのだけど……」

「お願いですからラプラスで攻撃しないでくださいよ?攻撃できないのが不満なのはわかりますけど、あなたのラプラスの『オーロラベール』があるに越したことはないのですから」

「わかっているわよ。その分、攻めはヒヒダルマとコオリッポに任せるからね。安心おし」

 

 このバトルの現状についてマクワと話しながら、じっと戦況を見つめる。

 

 この間にもしっかりとバトルは進んでおり、レンガのポケモンが地面を大きく踏みしめると同時に、いたるところに岩の柱が発生。これらがモスノウやバリコオル、グレイシアと言った、いわタイプが苦手なポケモンたちをめがけて襲い掛かって来る。

 

 これに対して、狙われているこおりポケモンを守るようにイシヘンジン、バンギラス、ガメノデスがたち塞がり、同じようにストーンエッジを返したり、シェルブレードで切り裂いたりして相殺していき、空中に岩石の破片をまき散らしていく。

 

 散らばった岩の破片はそこそこの大きさがあり、ぱっと見で足場にできそうと判断したグレイシア、ヒヒダルマ、コオリッポがダッシュ。予想通り岩を足場として空中を次々と飛び回っていく3人は、立体軌道を用いてどんどん距離を詰めていく。

 

 このいきなりの進撃に対して取って来る向こうの行動は、白いポケモンによる毒の津波。空中に浮いている岩の破片全てを飲み込みかねないほどの規模の波を一気に発生させ、こちらを一気に攻めてきた。当然、空中にいるヒヒダルマたちは、これを避ける術を持ち合わせていない。

 

「モスノウ!!バリコオル!!」

 

 そんなヒヒダルマたちを援護するのはモスノウとバリコオル。

 

 ヒヒダルマたちが乗っている足場をサイコキネシスで操作して、高度を上げることによって毒の波の範囲から救出。更に、その岩に載っているみんなを、モスノウが後ろから風をおこくることで射出。ヘドロウェーブ打った後で隙が出来ている白いポケモンに対して一気にその3人を近づけていく。

 

 当然この接近を許さないレンガのポケモンが、この進撃をせき止めるために動きだし始める。

 

 が、その行動はマクワが許さない。

 

「イシヘンジン!!バンギラス!!ツボツボ!!レンガのポケモンの足元に『ストーンエッジ』です!!」

 

 白いポケモンの盾に行こうと走り出したレンガのポケモンの足元を、下から突き上げように生えていく岩の柱たち。これが、レンガのポケモンが一歩目を踏み出したタイミングとピタリと重なることによって、踏み出した一歩目の足が一気に持ち上げられ、バランスを崩し、そのまま大きく後ろに転倒。立方体に4つの足が生えたような姿をしているレンガポケモンは、この態勢から身体を起こすのに時間がかかり、身動きを取ることができない。

 

「今です!!セキタンザンは『フレアドライブ』!!アマルルガは『フリーズドライ』!!ガメノデスは『シェルブレード』!!」

 

 レンガのポケモンは身動きを取れず、白いポケモンは盾がないという、これまでで一番の攻撃チャンス。ここを逃さないために、あたしのポケモンは白いポケモンを、マクワのポケモンはレンガのポケモンをめがけて総攻撃。相手の耐久力の高さから、この程度の攻撃でとどめを刺すとまではいかないだろうけど、それでも少なくないダメージが入るはずだ。

 

 長期戦を覚悟していたところに突如降り注いだチャンスに、いやが応にも力が入る。

 

(これなら、想定よりも速く戦いを終わらせられるかもしれないわね……)

 

 少しだけ安心感を感じながら場を見つめるあたしは、しかしその考えをすぐに改めなくてはいけない事となる。

 

 

「ウロロ〜!!」

 

 

「っ!?ヒヒダルマ!!コオリッポ!!グレイシア!!今すぐその足場から飛び降りて後ろに下がりな!!」

 

 自身の身が危ないと悟った白いポケモンは、声をあげながら、全身を紫色のオーラに包み込んでいく。その姿を見て、背筋に嫌な予感を感じたあたしは、慌ててヒヒダルマたちに退却を指示。すると、3人が後ろに飛び出すと同時に、地面に紫色の湖が発生。そこから天を突かんと毒の柱が次々と生えていき、そのうちの3本が、さっきまでヒヒダルマたちが乗っていた岩を飲み込んだ。

 

「『ダイアシッド』……急に打って来るとは危ない━━」

 

「ルマッ!?」

「ッポ!?」

「シアッ!?」

「っ!?まだ攻撃は続いていたかい!!」

 

 危機一髪。何とか回避を成功したと思った瞬間、再び毒の柱が立ち上り、今度こそヒヒダルマたちに直撃した。オーロラベールのおかげでダメージこそ抑えることは出来ているものの、それでも少なくないダメージを負った3人は勢いよく空中に打ち上げられる。

 

その3人に対して、ダイアシッドの効果で特攻を強くした白いポケモンが、さらに追撃を入れるべく毒の柱を召喚。地面から次々と湧き出る毒液が、どんどんヒヒダルマたちを追い詰める。

 

「バリコオル!!」

 

 この窮地を脱出させるために、バリコオルが必死にサイコキネシスを行って、毒液の軌道を逸らしながら何とかヒヒダルマたちを回収。被害を最小限に抑えながら撤退することに成功した。

 

 

「ウロロロ!!」

 

 

 攻撃を避けられてしまった白いポケモンは、これでちょっとは落ち着いてくれる。そう思って一旦息を整えようと思ったけど、そんなことはなく、ヒヒダルマたちに逃げられたことを悟った白いポケモンは、さらに声を響かせながら紫のオーラを放出。同時に、毒液の勢いをさらに強め、今度は()()()()()()()()()()()()()()()()()ダイアシッドの毒柱を作り出した。

 

 いきなりのフレンドリーファイアに対して、一瞬仲間割れかと期待をしたけど、あのレンガのポケモンが予想通りはがねタイプを持つのなら、そもそも効果は無いのでダメージになることは無い。

 

 じゃあこの行動の意味はなんなのかと疑問に首を傾げそうになっていると、その答えは一瞬で出てきた。

 

 

「ゴゴ!?」

 

 

「くっ、この毒液、どれだけの力を込めているんですか!!いえ、それ以上に本当になんでこんな綺麗な連携ができるのですか!!」

 

 湧き出た毒液はレンガのポケモンの身体を下から押し上げ、少しづつ浮かせていき、さらにその状態から頭を持ち上げている部分の毒液の威力を増加。倒れていたレンガのポケモンの態勢が、気づけば元の正位置に戻っており、あと数秒もすれば再び行動可能になってしまうことがわかってしまった。

 

「攻撃が外れたと分かるや否や、すぐさまサポートって、その判断の早さは嫌になるわね」

「ですがまだ攻撃できる隙は━━」

「ダメよ!!すぐに下げなさい!!」

「っ!?みんな直ぐに撤退を!!」

 

 それでもまだ隙はあると信じて攻撃しようとするマクワ。しかし、あたしの背中に感じる嫌な予感を信じて、そんなマクワの行動をなんとか咎める。そんなあたしの迫力を信じてくれたのか、マクワも慌てて撤退の指示。それと同時に、毒液によって空中に浮かんでいたレンガのポケモンが、4つの足を鈍色に光らせながら勢いよく地面へと落下。激しい衝撃音と衝撃波を周囲に撒き散らしながら、レンガのポケモンの足元から、今度は液体化した金属が発生し出し、それらが次々と棘状となって地面から突き出してくる。

 

 自身の防御力を上げながら、相手にはがねタイプの攻撃を行うダイスチル。

 

 あたしたちのポケモンのほぼ全てに弱点を着くことの出来るその攻撃が、無差別に拡がっていく。

 

 あたしの声を聞いて慌てて進軍を止めたことによって、何とか攻撃を回避していくマクワのポケモンたち。余裕を持って回避行動に移れたため、この鋼の液体の攻撃範囲から何とか逃げ切ることに成功は出来た。

 

 ……1人を除いて。

 

「ガメッ!?」

「ガメノデス!?」

 

 攻撃を受けてしまったのはガメノデス。

 

 こちらのメンバーで数少ないはがねタイプの技を、ばつぐんでで受けることの無いポケモン。オーロラベールがあることも加味すれば、いくら攻撃が直撃したと言ってもまだ耐えることは出来るだろう。

 

「ガメノデス!!すぐに下がってください!!」

「ガメ……ッ!?」

 

 しかし、そんなガメノデスが引こうとする行動を、今度は白いポケモンが許さない。

 

 下がろうとするガメノデスに対して、白いポケモンがすかさず放ってきたのはパワージェム。白いポケモンの周りに浮かんだ岩の弾丸が一斉に飛んでいき、次々とぶつかっていく。

 

「モスノウ!!『ふぶき』で救いなさい!!」

 

 オーロラベールのおかげもあってまだ耐えることのできているガメノデス。しかし、このまま受け続けてしまえば倒れるのは時間の問題。そこで、そのガメノデスを助けるべくモスノウを前に出してふぶきを発射し、強風をもってガメノデスを無理やり攻撃範囲から逃がそうとしていく。

 

 攻撃技で無理やり動かそうとしているので、どうしてもガメノデスに追加でダメージが入ってしまうけど、このまま戦闘不能になるよりはよっぽどマシだと思ってもらうしかない。そんな思いの元、必死に翅を動かして風を送り、少しでもガメノデスを動かそうと頑張るモスノウ。

 

 そんな2人に対して差し込む、黒い影。

 

「っ!?かあさん!!モスノウを下げて!!」

「なっ!?モスノウ!!急いでバックを━━」

 

 その影を見て、マクワがすかさずガメノデスを見捨てる指示を出し、それを聞いてこの影の正体に気づいたあたしもすかさず退避を指示。しかし、そんなあたしの声が届くよりも速く、黒い影がそのまま2人に襲い掛かる。

 

 

「ゴゴゴゴゴ!!」

 

 

 その正体は、地面を踏みしめて、液体金属を放出させた反動を利用し、自力でジャンプをしたところから落ちて来るレンガのポケモンの姿。

 

 放つ技は、自身の身体と防御力を持って押しつぶす技、ボディプレス。

 

 ただでさえ防御が高そうなポケモンが、ダイスチルによって更に防御力を高めた状態で落ちて来る。

 

 ダイマックスによって範囲がとてつもなく広がり、威力も申し分ない最凶の一撃。そんな攻撃を当然耐えられるわけなんてなく。

 

「……戻ってください。ガメノデス」

「お疲れ様、モスノウ。すまなかったね……」

 

 倒れた仲間をボールに戻すあたしたち。そして……

 

 

「ウロ~……!!」

「ツン……ゴゴゴゴ!!」

 

 

 同時に身体を赤く光らせながら、声をあげる相手2人。

 

「……ここからが本番と言う事ですか」

「……みたいだね」

 

 その2人から感じる大きな圧に、あたしたちは思わず拳を握り締める。

 

 戦況が1つ、あちら側に傾いた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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