【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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324話

「ガブリアス!!『ストーンエッジ』!!ルカリオ!!『はどうだん』!!」

「メタグロス……ランクルス……『サイコキネシス』……」

「エルレイドは『サイコカッター』!!エンペルトは『ハイドロポンプ』です!!」

「ダイオウドウ!!『10まんばりき』!!ボスゴドラは『ストーンエッジ』だぜ!!」

 

 カンムリ雪原のフリーズ村近くにある氷点雪原。その中心点にて、私、カトレア、コクラン、ピオニーさんの4人で、自慢の仲間たちによる一斉攻撃を行っていた。

 

 自分で言うのもちょっとあれだけど、実力者しかいないこの場において、放たれている技はどれか1つだけでも1級品で、そんじょそこらの相手ならこの一撃だけで相手を沈められる自信がある。それほどまでに鍛えられ、洗練された攻撃。しかし、その攻撃たちは、相手の2人のポケモンの攻撃……ストーンエッジとれいとうビームに相殺される。

 

 

「グラアアアァァァッ!!」

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

「本当に、シャレにならない強さしているわね」

「なるべくしてなっている……生半可じゃ勝てないわよ……」

「単体ならまだしも、こうして並ばれるとえげつないですね……」

 

 その打ち消してきた張本人たちは、まるで怒り散らかすかのように咆哮し、同時にこの場を、カンムリ雪原において全く似つかわしくない、暑苦しいまでのひでりと、全てを流しかねないあめが一緒に発生するという無茶苦茶な天候に書き換えていた。

 

 グラードンとカイオーガ。

 

 ホウエン地方において、それぞれ大地の化身と海の化身と呼ばれている伝説のポケモンで、この2人は長きに渡り死闘をくりひろげ、その末に眠りについたと伝えられていた。

 

 その力は凄まじく、片や現れるだけで火山が噴火し、片や現れるだけで大雨を降らせるという、自然災害を片手間に発現させてしまうほどのとんでもないポケモンたち。

 

 大昔は仲が悪かったずなのに何故か今回は横に並び、一緒にこちらを狙ってきている。この辺りの理由はまるで分からないが、今はそんな理由を追求している暇は無いので、最悪のことを頭に想定して動いていく方がいいだろう。

 

 人によっては……特に、ホウエン地方出身であるカブさんあたりが見たら卒倒しそうな状況。かくいう私たちも、急に伝説のポケモンが組んで現れたことに対し、少なくない動揺を受けている。

 

「えげつねぇかもしれねぇが、後ろにはシャクちゃん含めたくさんの人間がいるんだ!!みんなを守るためにも、シャクちゃんにド・かっこいい姿を見せるためにも、ここは絶対に引けねぇ!!」

 

 しかし、そんな中でも娘への愛と言う純粋な気持ち1つで、いつも通りの空気をまといながら立ち向かうピオニーさん。

 

 どこへ行っても変わることの無い彼のスタイルは、いつもなら呆れる姿なのに、こと今回においては、無意識のうちに私たちの緊張を解し、背中を押してくれていた。

 

「たまにはいいことを言うのね……」

「ピオニー様に負けぬよう、わたくしたちも奮起いたしましょう」

「そうね……今一度気合いを入れ直しましょうか」

 

 私たちの1歩前に出ていたピオニーさんに遅れないように、隣に並びたち、いつもよりも少ない仲間たちを展開して前を向く。

 

 本当ならフルメンバーで挑みたいところなのだけど、生憎と今回のバトルは万全では戦えない。というのも、フリーズ村を守るのに、そちらに何人か仲間たちを残しているからだ。

 

 私の場合はガブリアスとルカリオ、そしてミロカロス以外を、カトレアの場合はランクルス、メタグロス、ムシャーナ以外を、コクランの場合はヘルガーとエンテイを、そしてピオニーさんの場合は、ハッサムとドータクンを村に置いてきて、野生のポケモンの進撃から守ってもらっている。

 

 村に若い人がおらず、守れる人がいないための処置。トレーナーの指示なしに戦うという、かなりやりづらいことをしてもらっているけど、それでもみんな奮起して頑張ってくれているはず。そのことも思い出せば、たとえ相手がなんであろうとも、私たちがここで躊躇するなんてできるわけが無い。

 

「絶対にここは通さないわ!!ミロカロス!!『ハイドロポンプ』!!」

「ムシャーナ……『サイコキネシス』……」

 

 決意を新たに攻撃を開始した私たちは、早速攻めを開始。激流を放つミロカロスの横で、サイコエネルギーを解放したムシャーナは、ハイドロポンプを自在に操り、グラードンたちの目の前で複雑な起動を描き、動揺を誘っていく。

 

 

「グラアアアァァァッ!!」

 

 

 目の前をチラチラ飛びまわる水の塊にストレスを感じたグラードンは、日光から力を吸収し、ソーラービームを構え、全てまとめて吹き飛ばそうと画策する。

 

「ムクホーク!!『かげぶんしん』!!」

 

 相手は伝説。故に、行動をダメージで抑制するのは至難の業。そこでコクランは、グラードンの目の前でかげぶんしんをすることを指示。目の前に、一瞬で何十人ものムクホークが一瞬で生み出されていくその様にはさすがの伝説も驚いたらしく、動きが一瞬硬直。見事、攻撃とは別口で相手の動きを縛ることに成功。

 

「ニャイキング!!『タネばくだん』!!」

「ムシャーナ……今よ……」

 

 そこにすかさず攻撃を指示するピオニーさん。懐に潜り込んだニャイキングによる、大きな種の弾幕が的確にダメージを与える。しかも、しっかりとグラードンに弱点をつけるくさタイプの技で攻撃しているため、確かなダメージを与えられている。そこにすかさずカトレアがサイコキネシスの操作に指示を入れることで、ハイドロポンプもしっかり直撃。こちらはひでりによって威力は下がっているものの、同じく弱点をつける技として、少なくないダメージを蓄積させていく。

 

 

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

 グラードンに対して何とか攻撃を当てられている順調な状況。しかし、今回はグラードンだけではなくカイオーガもいる。そんなカイオーガから放たれるのは一筋の真っ白い光線のれいとうビーム。全てを凍てつかせる攻撃は、グラードンのフォローをするかのように突き進んでいた。

 

「そんなもんじゃあド・硬ぇオレの守りを貫けねぇぞ!!ダイオウドウ!!『ヘビーボンバー』!!ボスゴドラは『アイアンヘッド』!!」

 

 大体の人間なら見ただけで怯んでしまいそうな程の冷気を内包した攻撃。しかし、これに対してピオニーさんのポケモンは恐れることなく突撃し、はがねタイプ自慢の防御力を持って、真正面から迎え撃つ。

 

「さすが歴代ガラルチャンピオンの1人、『はがねの大将』の名は伊達ではありませんね」

「よせやい。そんなのもう何年も前の話だっつーの」

「謙遜しないでください。ブランク込みでその実力なら尚更すごいです。こちらも負けていられませんね!!ワッハ!!」

 

 2人で攻撃を止めきったピオニーさんに触発されたコクランが、テンションの高い姿を見せながら指示を出していく。

 

「ムクホーク!!もう1度『かげぶんしん』!!」

 

 そしてそのコクランのテンションに合わせるように、コクランのポケモンたちも舞っていく。まずはその手始めとしてムクホークが行ったのはかげぶんしん。先ほどの気合の入った掛け声に呼応するように動き出したムクホークの分身は、先ほどグラードンの目の前で増やしたものと合わさって、三桁に届くのではないかと思われるほどにまで増えていく。

 

「分身たちよ!!『ブレイブバード』!!」

 

 その増えた分身たちが、次のコクランの出した指示と共に、一斉にカイオーガに向けて突撃。

 

 かげぶんしんは実態を持っていないため、この影たちがカイオーガに当たったところでダメージにはならない。しかし、100にも及ぶ影が一斉に突っ込んでくる様は、例えダメージを受けないとわかっていても恐怖を植え付ける。

 

 視界を一気に埋めていくムクホークの群れに、さすがのカイオーガも動きを止めてしまう。そんなカイオーガに次々と突き刺さるムクホークの影は、そのたびに姿を消してくことになるが、カイオーガの動きをしっかりと縛り、他のメンバーの攻撃チャンスを作りあげる。

 

「エルレイドは『せいなるつるぎ』!!エンペルトは『ドリルくちばし』です!!」

「ガブリアス!!『げきりん』!!」

「メタグロス……『サイコキネシス』……」

「ボスゴドラ!!『ストーンエッジ』!!」

 

 そのチャンスに対して、特に打ち合わせをするわけでなくすぐに反応し、波状攻撃を仕掛ける私たち。ここにいる全員が実力者であるからこそ、ラグを感じさせることなく発生する攻撃の数々は、的確にカイオーガにダメージを叩き込んでいく。

 

 

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

 数々の攻撃を受けて、いい加減反撃に出たいと動き出したカイオーガが、攻撃を受けながら天に向かって叫び声をあげる。すると、カイオーガの周りに降り注ぐあめを作り上げた雲より稲妻が走り出す。

 

 天候あめ下による必中かみなり。

 

 絶対避けられない攻撃を、カイオーガの火力で放たれる恐怖。じめんタイプ以外のポケモンだと、致命傷は避けられないだろう。しかし、そのかみなりが放たれることはない。

 

「ムクホーク!!今度はあなたが『ブレイブバード』を!!」

「ホークッ!!」

 

 先ほどまでかげぶんしんで相手を惑わしていたムクホークは、かげぶんしんに突撃させていただけで本体はまだ攻撃していない。そこで、かみなりの準備を始めたカイオーガに向かって素早く近づいたムクホークは、その顔面を横から強襲。ダメージこそそこそこだけど、意識外からの攻撃にびっくりしたカイオーガは大きくその態勢を崩し、かみなりの発生そのものを妨害させられる。そこからまたこちらが攻撃を続け、相手に何かをさせる前にこちらが攻撃をするという空気を作り続けていく。

 

 ここまでは順調。

 

 相手に攻撃をさせる前に攻撃を当てて、相手の意識を反らし続けることで混乱を起こし、ペースを乱し続ける。

 

 相手が規格外の能力を誇っているからこそ、その能力を発揮する前に封じ込める。そんな此方の作戦がしっかりと刺さり、こちらの被弾状況はかなり抑えることが出来ていた。このままいけば、特に問題なく抑えられることはできるだろう。が、伝説のポケモンがこのまま終わるとは思えない。

 

 グラードンが吠えると同時に地団太を踏むことで岩の柱が乱立。この柱を下がりながら避けるガブリアスたちは、しかしただ下がるだけではなく、下がりながらもストーンエッジやサイコキネシス、サイコカッターで打ち砕いて行く。

 

 そんな攻撃の隙間を塗って、今度はカイオーガが吠えながられいとうビームを放ってくるが、こちらはダイオウドウとボスゴドラが技と身体を使ってせき止め、いなしていく。

 

(今はまだ小手調べ。彼らもダイマックスに慣れていないでしょうし、本気はまだ出せていない。相手がこの状況に慣れてからが本番でしょうね。そしてこの予想が正しいのなら……きっともうすぐ……)

 

 

「グラアアアァァァッ!!」

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

「来たわね……!!」

 

 相手の攻撃をいなし続けること数分。だんだんと相手の攻撃パターンがわかりだしてきたところで、2人揃って大声を上げ始める。

 

 どうやら、ダイマックスでの戦い方に慣れ始め、更に、ここまで言いようにされていることにストレスを感じていることも合わさって、ここから本気を出していくと言う決意表明として吠えているらしい。

 

 この声を聞いた私たちも、ここからが本番であることをすぐに理解し、お互いに顔を合わせて向かうつ準備を行う。

 

 具体的に言うのなら、私とカトレアはキーストーンを構え、ピオニーさんはダイマックスバンドを袖から見えるようにしながら、ダイオウドウをボールの中へ戻していく。

 

 これでこちらは何時でも迎撃が出来る状態に整った。

 

「され、どうくるのかしらね……」

「何事もなければいいのですが……」

 

 私の声に返してきたコクランの声は、少し緊張しているのか硬い。

 

 伝説のポケモンの本気の姿。その恐ろしさは簡単に想像できるものではない。いくら警戒しても警戒のし過ぎと言うことはないだろう。特にカトレアの従者と言う立場であるコクランにとっては、カトレアは最重要護衛対象だ。そういう意味でも、私たちの中でも一番警戒心を高めているコクランは、相手の一挙手一投足を見逃さないように、特に警戒して見つめていた。

 

 そんな一切の油断も隙もない状態で、見つめられている当の本人たちであるグラードンとカイオーガは、それでも私たちのことなんて構わずに力を溜めていく。

 

 その証拠として、地面は揺れ、太陽はますます輝き、しかし雨はどんどん強くなり……

 

 矛盾している天候が戦場を徐々に荒らしていく中、その矛盾した天候を作り出している本人たちは、その身体をグラードンは紅の、カイオーガは蒼の殻に包みこんでいき、力を更に内側にため込んでいく。

 

 園からの表面には、何やら不思議な文字が浮かんでいく。

 

「『Ω』と……『α』……?……いや、まさか!?」

 

 殻の表面に浮かび上がったのは不思議な文字で、少なくとも私は見たことのない文字。当然読み方もよくわからず、記号としか感じることの出来ないその文字に頭をひねり、しかし、その答えを思い出した私は、その表情を無意識のうちに驚愕に染めていく。

 

「どうしたの……あれってそんなにやばいものなの……?」

「やばいなんてものじゃないわ」

 

 そんな私の様子を見てただ事じゃないと感じたカトレアは、視線を外すことなく私に質問を返してきたので、私は昔見た文献の記憶を引き出しながら、ゆっくりと説明していく。

 

「グラードンとカイオーガは、大昔に長い期間死闘を繰り広げていたと言われているのだけど、その時に姿を変えて戦っていたという話が残っているの」

「戦いのさなか姿が変わっただァ!?そりゃ、ダイマックスって事か?」

「それともメガシンカでしょうか?確か、両者の戦いを沈めたと言われているレックウザは、メガシンカが出来たという話をうっすらと聞いたことがあった気がしますが……」

「いえ、そのどちらでもないわ」

 

 私の話から予想して考えを口にするピオニーさんとコクラン。

 

 2人とも自身の知識をもとに、想像しやすいものを答えてくるけど、その両方を否定し、私は言葉を続けていく。

 

「グラードンとカイオーガは、自身の強化に自然エネルギーを使ったと言われているらしいわ。その姿はまるで、『彼ら本来の姿を取り戻したように見えた』と言われたことから、このように呼ばれているらしい。その名前は……」

 

 ゲンシカイキ。

 

 

「グラアアアァァァッ!!」

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

 私がグラードンたちの姿の正体を告げた瞬間に、グラードンたちを覆っていた殻が発光。完全に力を溜め切った殻は、輝きをさらに強めながら打ち破られ、その中から姿が変わったグラードンとカイオーガが、大声をあげながら力を解放していく。

 

 身体の表面のエネルギ-が光りながら流動し、その様はさながら流れ出すマグマの様で、身体のいろいろな場所に『Ω』のマークを光らせながら、周りの温度を一気に跳ね上げていくグラードン。

 

 身体の表面を透明度の高い組織へと変貌させ、グラードンと同じように、身体の至る所を『α』のマークに光らせながら、澄んだ海水のような美しくも深く、恐ろしい色を放っていくカイオーガ。

 

「カトレア!!ピオニーさん!!」

「ええ……!!」

「おう!!すぐに取り掛かるぜ!!」

 

 グラードンとカイオーガのゲンシカイキを目にした私は、すぐに行動を起こさないといけないと感じ、カトレアとピオニーさんに目配せ。2人も私と同じ考えをしていてくれたらしく、行動は迅速で、すぐさまポケモンの強化を始めていく。

 

「ガブリアス!!天に舞い、あなたの真の力を解き放ちなさい!!」

「メタグロス……あなたの知力と鋼鉄の身体をもって……この場を制圧なさい……!!」

 

 私とカトレアは、アクセサリーとして身に着けているキーストーンを光らせ、それぞれのポケモンが身に着けているメガストーンと反応を起こし、その身体を虹色に光らせていく。

 

「「メガシンカ!!」」

「ガブアアアァァァッ!!」

「メッタッ!!」

 

 私とカトレアの声が重なり、光に包まれたガブリアスとメタグロスが光を弾きながら、メガガブリアスとメガメタグロスとして顕現。お互い自慢の爪を打ち鳴らしながら高らかに吠え、目の前の伝説の声にも負けないように力を込めていた。

 

 

「鋼は硬さが命!!お前らなんかの攻撃じゃあへっこまねぇほどのド・硬ェ壁を、見せてやるぜ!!」

 

 

 一方でダイマックスバングルを光らせるピオニーさんは、気合を入れるように大声をあげながら、ダイマックスボールを空に向かって投擲。空中で割れると同時に、中から先ほどまでの姿とは変わったダイオウドウが顔を出す。

 

 

「パオオオォォォッ!!」

 

 

 キョダイマックスダイオウドウ。

 

 四つ足だった姿から一転し、後ろ脚だけで立ち上がった二足状態へと変わり、手足が小さくなった代わりにチャームポイントの鼻が肥大化。体格も完全な真四角となり、まさしく壁と言う少し異様な姿となっていた。

 

 

「グラアアアァァァッ!!」

「キュアアアァァァッ!!」

 

 

 メガシンカとキョダイマックスを終えて、こちらの準備が整ったと同時に吠えだした、ゲンシグラードンとゲンシカイオーガは、叫び出すと同時に、グラードンは地面を思いっきり踏みしめて岩の刃を作り出し、カイオーガは自身の周りに水の塊をたくさん生み出し、その全てから光線を放ってきた。

 

「ガブリアス!!『じしん』!!ルカリオは『はどうだん』でミロカロスは『ハイドロポンプ』!!」

「メタグロス……『コメットパンチ』……ムシャーナとランクルスは『サイコキネシス』……」

「エンペルトは『ハイドロポンプ』!!ムクホークは『ぼうふう』でエルレイドは『サイコカッター』です!!」

「ボスゴドラは『ストーンエッジ』でニャイキングは『タネばくだん』!!ダイオウドウは早速派手に行くぞ!!『キョダイコウジン』!!」

 

 相手からの明らかにやばい攻撃に対し、こちらもすぐさま全力攻撃にて迎撃。まさに災害ともいえるほどの強力な攻撃だけど、さすがにこちらもこれだけのメンバーがそろえば、迎え撃つことができるはず。

 

 そう思っていたのだけど……

 

「ミロッ!?」

「エンぺッ!?」

「ミロカロス!?」

「エンペルト!?……水が、蒸発している……!?」

 

 ミロカロスとエンペルトの攻撃だけは、水分が全て蒸発してしまい、攻撃そのものが消え去る結果となってしまった。

 

 なぜこんなことになってしまったのか、急に起きてしまったことに混乱しかけるものの、グラードンの頭上に輝く太陽をみて、すぐに答えに辿り着いた。

 

「ゲンシカイキしたことによって日差しがより強くなっているわ!!きっとあのせいでみずタイプの技が全部消されて……」

「だがカイオーガの攻撃は消えてねぇぞ!?」

「対等の力を持っている故に抗えるという事なのでしょう」

「笑えない冗談ね……」

 

 グラードンによって水が消えたということは、おそらくカイオーガの雨によってほのお技も消える可能性がある。こちらに関してはあまり使うことはないかもしれないが、警戒しておいて損はないだろう。

 

 それ以上に危ないのは、ミロカロスとエンペルトの攻撃が消えたことによって、本来なら相手の攻撃を受け止めるはずだった技が2つ減ったという点だ。これが相手の技とのぶつかり合いに影響しなければいいのだけど……

 

「っ!?みなさんわたくしの後ろに!!」

「ボスゴドラ!!前に出てみんなを守れ!!」

 

 案の定打ち合いに負けてしまったこちらの攻撃は、それでも何とか大半の威力を削ることに成功はしたものの、私たちの近くに着弾してその余波が飛んでくる。幸いこの余波に関しては、ボスゴドラが前に出て盾になってくれたおかげでそんなに被害を受けることはなかったものの、これだけの精鋭がいても、2つ攻撃が欠けただけで抑え込みが効かなくなるという事実は、中々こちらの心を追い詰めて来る出来事だった。エンペルトとミロカロスが半分くらい機能を封じられているのも大きいだろう。

 

(これは……想像以上に厳しくなりそうね……)

 

 原始の力。その一端に触れた私は、その力を前に、更に緊張感をあげていく。

 

 

 

 

 が、そんな私の気を散らす存在が現れた。

 

 

 

 

「……え?」

 

 その存在は、私の腰元のボールの中でカタカタと存在感を放っていた。

 

「あなたたち……一体何を……?」

 

 私の腰元で揺れる5つのボール。それはまるで、何かに惹かれるかの如く、主張を続けていた、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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