「シロナ……?何かあったの……?」
「いえ……急にこの子たちが動き始めて……」
目を離すべきでは無い圧倒的圧力を放つゲンシグラードンとゲンシカイオーガ。そんな彼らを前にしているのに、他の事に気を取られている私に気づいたカトレアはそのことを注意しようとして、しかし私のことを信頼してもいるためか、こんな状況でもなお気になってしまったこととは何かと、確認をするために言葉をなげかけてきた。けど私自身、なぜこうなっているのかがよくわかっておらず、返答に少しどもってしまう。
「グラアアアァァァッ!!」
「キュアアアァァァッ!!」
「ムクホークは『かげぶんしん』でエンペルトは『ラスターカノン』!!エルレイドは『サイコカッターです』!!」
「ボスゴドラ!!ニャイキング!!『アイアンヘッド』!!」
そんなことをしている間に、再びグラードンとカイオーガの攻撃が開始。大技を構えるふたりを前にして、ムクホークが眼前にてかげぶんしんを行い、的を散らすことで何とか被害を抑え、それでも村やこちらに当たりそうな攻撃は、カイオーガの分はエンペルトとエルレイドが、グラードンの分はボスゴドラとニャイキングが必死にそらす。
「ガブリアス!!『じしん』!!ミロカロスは『れいとうビーム』!!」
「メタグロス……『コメットパンチ』……ムシャーナは『サイコキネシス』……」
それでもなお、無理なものに関しては、話し合っていたせいで遅れた私たちも参戦し、全てしっかりと逸らしていく。
力比べなら勝てないけど、技の当て方を工夫して逸らすことならまだできそうでよかった。
「ルカリオ!!『はどうだん』を乱射!!」
「ランクルス……コウジンに向かって『サイコキネシス』……」
相手の攻撃を凌いだのなら次はこちらのターン。ルカリオに何発ものはどうだんを発射してもらったところに、ダイオウドウのキョダイコウジンによって生み出された、はがねタイプのステルスロックのような破片をサイコキネシスで操作して、その破片に跳弾させて、グラードンたちを四方八方から攻めていく。ひとつひとつのダメージは大きくは無いが、全方位から飛んでくる攻撃は向こうからすれば鬱陶しいはずだ。
そんな私の考えが当たったのか、グラードンは岩の柱、カイオーガは水の柱を周りに展開して、この攻撃に対して盾を作成。はどうだんの嵐を正確にシャットアウトしてきた。
この状態を見て次に動き出したのは、メタグロスとガブリアス、そしてエンペルトとミロカロス。
メタグロスとガブリアスは、岩に柱のひとつに爪をたたきつけて砕き、その破片をグラードンに飛ばして攻撃をし、ミロカロスとエンペルトは水の柱の中に飛び込んで、その中からエアスラッシュとれいとうビームを発射。相手の盾を逆に攻撃手段の足がかりとして利用する。
しかしそこは伝説。この柱を利用されることを想定していたのか、グラードンは岩を砕いた2人にソーラービームを既に構えており、カイオーガは水の柱を固まらせるべくれいとうビームを構えていた。
この攻撃を避けるべく、ガブリアスとメタグロスは地面を殴ってその反動で飛翔。ミロカロスとエンペルトも、柱を凍らされる前に水の中を上り、空中へと飛び出した。
が、この行動すらしっかりと読んでいたらしいグラードンとカイオーガは、先の4人が空中まで飛び出すのをしっかりと待っており、空を飛べるガブリアスとメタグロスはともかく、空中では身動きが取れないミロカロスとエンペルトが絶対避けることができないタイミングで攻撃を仕掛けてきた。しかも、この攻撃もただしかけてきたのではなく、グラードンとカイオーガは、自分を狙った方ではなく、相方を狙ったポケモンに向かって攻撃を放っていく。
つまり、れいとうビームはガブリアスとメタグロスに、ソーラービームはエンペルトとミロカロスに向かって飛んでくるということになる。
このままでは、ガブリアスとミロカロスにこうかばつぐんのとんでもないダメージが入ってしまう。
「ランクルス……!!ムシャーナ……!!『サイコキネシス』……!!」
そのピンチを救うべく動き出したのがカトレアのポケモンたち。
彼女のポケモンたちがサイコキネシスを使い、4人の動く軌道を無理やり操作して攻撃の範囲から無理やり逸らしたおかげで、何とか被弾をせずに済んだ。カトレアのアシストが光った瞬間だ。
攻撃を避けたのなら次はこちらの番。攻撃から避けると同時に、カトレアの指示によってメタグロスとガブリアスはグラードンの方へ、ミロカロスとエンペルトはカイオーガの方へサイコキネシスで移動していく。この間に、げきりんやコメットパンチに、れいとうビーム、ドリルくちばしを構え、一斉に突撃。グラードンたちの攻撃はさすがに間に合わないので、相手は両腕で身体を守るように包み、攻撃をしっかりと受け止める態勢へ。こうやってがっちり固められた防御は思いのほか固く、残念ながら大したダメージにはならなかった。しかし、流れは少しこちらに傾いたため、この僅かな差を手放さないように、エルレイドとルカリオは前に走り、はどうだんやせいなるつるぎにて攻めていき、ニャイキングやボスゴドラも、ストーンエッジやタネばくだんで援護を行い、小さな攻撃を着実に積み重ねていく。
そんな一瞬の気も緩められない緊張感あるバトル。そんな最中なのに、私の腰元のボールがさらに激しく揺れだすことで、結構な振動音を響かせており、私どころか他の人の意識までも少し引っ張ってしまっていた。
そのせいで、カイオーガのはなった水の光線の一部が、流れ弾として私たちの方に飛んできたことに、一瞬だけ気づくのが遅れる。
「っ!?……ランクルス……!!ムシャーナ……!!」
「ダイオウドウ!!鼻を伸ばせ!!」
私とコクランのポケモンは全て前線に出ているため、今からこちらに戻るのは間に合わない。だから、まだ近くに控えていたカトレアとピオニーさんのポケモンがすぐさま動き出した。
時間的には対処にはギリギリ間に合いそうなので、ヒヤリとした場面だけど何とかなるだろう。しかし、対処出来るポケモンが少ないので、余波までは完全に消すことは出来ない。なので、こちらに向かってくるだろうその衝撃を想像し、身体を守る態勢だけは作っておく私たち。
腰を少し落とし、腕で顔を守るように構え、そんな私たちの元へ水の光線の余波が飛んできた。
これを耐えて、またすぐに反撃だ。そう頭の中で考える私たちは、しかし、その思考を一瞬で停止させられる。
「……え?」
来ると思って構えたのに来ない衝撃。それは私だけでなかったみたいで、そのことに疑問を持ち、4人揃って顔を上げてみれば、そこには疑問の元凶が並んでいた。
「ジジ……ロロ」
「レジ……イイス」
「スチチ……」
「キキ……レレレ」
「ドド、ゴゴゴ」
「あなたたち……どうして……」
それは5人の巨人たち。
ホウエン地方で出会った3人と、ここで出会った2人が並びたち、私たちを守るように全員が技を構えていた。
いや、正確には私たちを守ったというよりは、外に飛び出した時にたまたま攻撃が飛んできていたから咄嗟に防御した。という表現の方が正しい気はするけど……どちらにせよ、無機物で機械的な彼らの表情は、私たちからすれば解読が一切不能であることに変わりない。一応、顔の部分に刻まれている点の発光具合でどのようなことを伝えようとしているのかはわかるらしいが、残念ながらその言葉の内容までは解読しきることは出来なかった。なので、今も顔を突合せ、点を光らせ合う彼らが何を伝えているのかは分からない。
お互いの顔を忙しなく光らせながら向かい合うその姿はやはり奇怪で、それはグラードンたちにとっても変わらないらしく、数秒の間、急に戦場に真ん中に現れた彼らが作り上げた場の空気にみんなして呑まれてしまう。
お互いどうすればいいのか分からないこの状況。しかし、そんな微妙な空気は、意外な形で終了を迎える。
「キキ!!」
「「「「ジジジ」」」」
「あ、ちょっと!!」
談合をしていたと思われた巨人たちの1人であるレジエレキが飛翔し、そのままどこかへ飛び去っていく。そして、この行動について行くように、他の巨人たちも浮かび上がり飛び去ってしまった。
まるで嵐のよう……と言うとちょっと違う気がしなくもないけど、空気をかき乱すだけ掻き乱した彼らは、そのままどこかへ行ってしまった。そのことに呆気にとられてしまった私たちは、何をすればいいのか分からず、固まってしまう。
「グラアアアァァァッ!!」
「キュアアアァァァッ!!」
「「「「っ!?」」」」
そんな場面で再び響くグラードンとカイオーガの咆哮。これをきっかけに、今はぼーっとしている暇はないと思い出した私たちは、すぐさま意識を切りかえて戦闘態勢に。
吠えながら放たれたストーンエッジとれいとうビームを前に、前者にはガブリアスとメタグロス、エルレイド、ニャイキングが対応し、後者にはミロカロス、エンペルト、ランクルス、ムシャーナ、ルカリオ、ボスゴドラが動くことで何とか対応。そして、この隙に前に出たムクホークがかげぶんしんを行うことでヘイトを集め、ダイオウドウはキョダイコウジンの準備。キョダイマックス技にて、一気に前線を押し上げる準備を整える。
「かませ!!ダイオウドウ!!」
ムクホークの分身に意識が向いた瞬間に、大きく地面を踏み締め、そこから緑がかった鉄のトゲが次々と地面から生えていき、その全てがグラードンたちへ襲いかかる。
タイプ相性がいいとは決して言えないものの、それでもこの規模の攻撃は無視できないのか、グラードンはだいもんじ、カイオーガはかみなりにて、この技を迎撃する。
さしものキョダイマックスといえども、さすがにこの2人からの攻撃には勝てず、あっさりと打ち負け、辺りに鋼に破片を撒き散らすに終わってしまう。
「ランクルス……ムシャーナ……!!」
「ルカリオ!!」
「ムクホーク!!」
しかしそんなことはここにいる誰しもが理解していることで、そのフォローは素早い。
サイコキネシスによって鋼の破片を1箇所に集めていくランクルスとムシャーナの前で、ルカリオがはどうだんを作成。そのはどうだんを核に、周りを鋼の破片でコーティングしていき、大きな鈍色の球を作り上げた。そして、これをグラードンたちに向けて発射し、そこにムクホークのぼうふうを乗せることで、この球を一瞬でグラードンとカイオーガの間に滑り込ませる。
「今よ!!」
その瞬間にルカリオに指示を出したことによって、はどうだんが爆発。これにより、はどうだんが纏っていた鋼の破片が周囲に飛び散り、その近くにいたグラードンたちに次々と刺さっていく。
ひとつひとつは小さな破片だけど、それが積み重なればさすがに無視できないみたいで、グラードンたちの態勢が僅かに揺れる。ここを見逃さないように、ガブリアス、メタグロス、エルレイド、ボスゴドラが前に詰め、追撃を仕掛けようと技を構えた。
「グラアアアァァァッ!!」
「キュアアアァァァッ!!」
しかし、グラードンとカイオーガの意地は凄まじく、態勢がズレているにもかかわらず、グラードンは無理やり地面を踏み締め、カイオーガは水を集めることで1番の得意技を強制発動。地面からはマグマの柱が次々と突き出し、空中からは水の柱が飛んでいく。
無理やり放ったせいでその威力は少し控えめらしく、最初にみた時よりかは威力はないように見える。しかし、それでも十分な破壊力が込められたその一撃は、急に繰り出されたこともあってこちらの進撃をしっかりと止めてしまう。その際、『ズシン』という大きな地響きとともに衝撃が撒き散らされ、ガブリアスたちは私たちの近くまで吹き飛ばされてしまう。
「グラアアアァァァッ!!」
「キュアアアァァァッ!!」
「まずい!!ミロカロス!!ルカリオ!!」
「ランクルス……ムシャーナ……!!」
「ムクホーク!!エンペルト!!」
「ニャイキング!!急げ!!」
距離が離れたことで態勢を整え、再び『ズシン』という地響きを鳴らしながら、今度は万全の状態でさっきの技を放つべく力を溜めていくグラードンとカイオーガ。
ガブリアスたち前衛組が先のやり取りでダメージを受けて暫く動けないため、残りのメンバーで慌てて攻撃を仕掛けていく。しかし、ずっしりと構えた2人にはダメージこそ入ってはいるけど、態勢を崩すまではいかず、技の発射を止めることは出来なかった。
また起きる『ズシン』という地響きとともに放たれるのは、今までで1番の威力が込められた、マグマの刃と水の柱。どちらか片方だけでも地形を変えかねない強力無比なその一撃が、2つまとめてこちらに襲いかかってくる。
ガブリアスたちはまだ動けないため、抗えるのは他のメンバーだけ。しかし、ミロカロスとエンペルトが欠けただけで止められなかった前科がある以上、今回の攻撃は止められる気がしない。それは私以外全員が思っていることで、それでも何もせずに突っ立っている訳には行かない私たちは、また聞こえてくる、心臓にまで届きかねない『ズシン』という地響きを受けながら必死に抵抗をしていく。
ぶつかり合う複数の攻撃が、鍔迫り合いのように押し合いを始める。しかし、やっぱりこちらの攻撃が少ないせいで、ぶつかり合った地点から押し返すことが出来ずに、ゆっくりとこちらに迫ってきてしまい、このまま攻撃が突破されるのは時間の問題に見える。それでも、途中からガブリアスたちが戻ってくれば、押し返すまではいかなくても、打ち消すことくらいはできるかもしれない。それを信じてミロカロスたちは必死に耐えているし、ガブリアスたちも傷む身体に鞭を打って起きようとする。
「頑張ってガブリアス!!」
「メタグロス……お願い……」
「エルレイド!!」
「気合見せろボスゴドラ!!」
がんばって起きようとするメンバーに向かって声をかけるものの、その動きは芳しくない。さっきから響いてくる『ズシン』と言う地響きのせいで、足元がおぼついていないのもなかなか起き上がることが出来ていない一因だろう。
(っていうか、さっきから起きているこの地響き、本当に鬱陶しいわね……いくら相手が伝説だからって、こんなに頻発するなんて……)
そんなことを考えている間にもまた、『ズシン』と大きな地響きが一回起きる。
(また地響き……でも……あれ?)
と、ここまで考えたところで、ようやく気付いた疑問点が浮かび上がる。
(さっきから聞こえてくる地響き。規模が大きいせいで真下から突き上げて来るから気づきにくかったけど……この地響きが聞こえてくる場所……もしかして……!?)
定期的に聞こえてきていたこの地響き。最初はグラードンたちの攻撃が激しいゆえにこうなっていたと思ったけど、こうやって冷静に音の鳴る場所を聞き分けてみると、その発生源が実は前ではなく、後ろから聞こえてきていたことに気づく。
気付いてしまったのなら、もうその先の行動は反射的だ。
これほどの地響きを起こす存在とあらば、さぞ大きい存在のはず。その正体が気になった私は、気づけば後ろを振り返っており……
「あれは……!!」
その視線の先にいたポケモン。それは、私が知っているポケモンだった。
長く太い腕、短い脚、胴と一体化した頭部と、歪ながらも力強さを感じさせる造形をしており、全身は白と黄色を基調とし、腕と脚、そして腰回りには文字と思わしき黒い帯があり、また肩と脚部分には植物が生えており、それはまるで、このポケモンが長き眠りについており、今しがた目覚めたばかりかのように見えた。
そのポケモンは、シンオウ地方では大陸をひとりで引っ張ったという伝説が残されており、かの創造神とも戦ったと言われている、伝説のポケモン。
「レジギガス……!!」
レジロック、レジアイス、レジスチル、レジエレキ、レジドラゴを携え、悠々と歩くその姿は、正しく巨人の親分と呼ぶにふさわしい姿をしていた。既にダイマックスをしており、ただでさえ大きな身体をより大きく見せているところも威厳を感じる要素だろう。
しかも、その大きく成り具合が尋常じゃない。そのサイズは、ゲンシカイキし、さらにダイマックスしているグラードンとカイオーガをさらに見下ろせるくらいには大きく、ダイマックスをしていることを差し引いても、私が知識として知っている、4m程のレジギガスとは全くサイズ感があっていない。具体的にいえば、グラードンの身長が現在、30メートルくらいなのに対し、レジギガスの身長はその倍には迫るのではないかと言うくらいの大きさだ。
きっとこの子は、ダイマックスをしなくても、10数mくらいの高さを誇っているのだろう。
「ギギギ……ガガガ……!!」
永き眠りより目覚めた巨人の王。そんな彼がここに現れ、声を上げながら始めた行動。それは、腕を思いっきり振り下ろすというシンプルな行動。
「「「「っ!?」」」」
ただそれだけ。技でもなんでもなく、ただ力任せに振るわれただけの簡単な動作で、私たちが必死に鍔迫り合いをしていたグラードンたちの攻撃がまとめてかき消され、同時に周囲にとんでもない規模の地震が発生。私たち全員が、その揺れに耐えきれず、手をついてしまう。
そのあまりにも強力な一撃は、ここにいるもの全てを畏怖させ、あのグラードンとカイオーガさえ、驚きで身体を硬直させてしまった。
それもそのはずで、自身にとってなによりも信頼できる技を、簡単にひとひねりできる存在が急に現れてしまったのだから、グラードンたちの反応は決しておかしくは無い。
しかし、忘れてはいけない。
今は戦闘中であって、少しの隙さえ許せば、それが致命的になるということを。
「ジジ……ロロ」
「レジ……イイス」
「スチチ……」
グラードンとカイオーガの動きが止まったわずかな時間。その間に動き出していたレジロック、レジアイス、レジスチルが、それぞれ地面より、岩、氷、鋼の棘を地面から次々と生やし、相手を串刺しにしていく。
急に行われた本気の一撃に、グラードンたちはたたらをふみ後退。しかし、こちらも伝説としての意地か、ふんばりを見せると同時に、今の攻撃で目が覚めたのか、こちらもマグマの柱と水の柱で応戦しようとする。
「キキ……レレレ」
「ドド、ゴゴゴ」
しかし、それでも1度止まってしまったというディスアドバンテージは大きく、グラードンたちがを放つよりも早く、レジドラゴとレジエレキが飛翔。レジドラゴはグラードンにドラゴンエナジーを、レジエレキはカイオーガにサンダープリズンを発動し、その圧倒的火力にて、グラードンたちの技を発生させる前につぶしきる。
「グラッ!?」
「キュァッ!?」
さすがにここまでの攻撃を受けてしまえば、グラードンたちでも態勢を崩してしまうし、そうなればさらなる攻撃のチャンスになる。ここを逃さない巨人たちは、追撃とばかりに5人揃ってげんしのちからを発動。数えきれない岩石が次々と降り注ぎ、グラードンたちの動きをどんどん封じていく。
ダメージを受け、岩に埋もれ、上手く動けない。そんな彼らに近づく1つの影。
その正体である巨人の王は、彼らを見下ろしながら、両の拳をゆっくりと握りしめる。
やはり技を発動している気配は一切感じない。ただ純粋に力を込めているだけ。それだけなのに、まるで空気が震えているかの如く、空気が重くなっていく。
この一撃はまずい。そう判断したグラードンたちも必死にもがくが、更にげんしのちからを追加されているせいで動けない。
「ギガ……ギギガガガッ!!」
身動きの取れないグラードンとカイオーガ。
その2人に落ちてくる、巨人の鉄槌。
大地を陥没させる勢いで振り下ろされた両腕は、グラードンとカイオーガに当たった瞬間、とてつもない衝撃と地震、そして爆煙を巻き起こし、大地に立っているもの全ての腰を落とさせた。
私たちのポケモンたちも、空を飛んでいるムクホークすらも衝撃で落とされ、全員が立つことを諦めて、地面に腰や手、膝をつけて、揺れに耐えることしか出来ない。
その様はまるで、巨人の王に跪いているかのようで。
「ギギ、ガガガアァッ!!」
その中心で雄叫びのごとく声を張り上げるレジギガス。
ここまでの大きさになれば、声ひとつで空気をふるわせ、周りに小さな衝撃を放ってしまい、そのせいで土煙が吹き飛び、レジギガスの足元が確認できるようになった。
「グラ……」
「キュァ……」
そこには、ダイマックスも、ゲンシカイキも解け、動くことすらままならないグラードンとカイオーガの姿。
「これが……創造神と闘ったと言われるポケモンの……全力……」
「どうやらわたくしたちは、彼の全力を見誤っていたようですね」
「なんかよくわかんねぇが……あいつは味方なんだよな!?うおおお!!助けてくれてありがとうなぁ!!」
私たちが苦労して戦っていた相手を簡単にねじ伏せたその姿に、カトレアとコクランは畏怖の、ピオニーさんは感謝の言葉をこぼした。
(本当に凄かった……長い眠りのせいで、基本的に現代でのレジギガスの発見報告では、『そんな力は無い』というのが全てだったのに……これは本当に貴重なデータね)
かくいう私も、この光景に見とれ、ついつい考古学者としてのモードに入ろうとしている。
まだブラックナイトは終わっていないのに、どうしても職業上引っ張られる。
(早く、あのレジギガスについてもっと調べたい!!そのためにもまずは……あれ?)
そしてとうとう思いが溢れ出し、私の足が前に走り出したその時だった。
私の視界に、何かが映る。
(あの子は……)
そちらに視線を移せば、そこに居たのは同じく伝説のポケモンでありながら、私たちにとって、今となってはレジギガス以上に馴染み深いポケモンの姿。
「……」
「バドレックス……?」
こちらをじっと見つめてくる彼は、今はピオニーさんを操っていないため、人の言葉を話せない。この状態で意思疎通できるのは、フリアかカトレアだけ。しかし、そんな状況でも、今だけはバドレックスがどんな感情なのかを感じることが出来た。
だって……
(なんで、そんな悲しそうな顔をしているのかしら……)
豊穣の神と呼ばれしポケモンが、その小さな身体を震わせながら、今にも泣きそうな顔を浮かべていたから。
シロナ&カトレア&コクラン&ピオニーVSグラードン&カイオーガ
勝者、レジギガス
レジギガス
と言うわけで、『レジワロス』や『ギガギガフンフンガガガガガ』等々、いい意味でも悪い意味でも愛されているレジギガスさんの活躍回でした。実機でも、剣盾で捕まえたレジシリーズを手持ちに入れておけば、レベル100のダイマックスするレジギガスと戦え、捕獲することが可能です。また、レジシリーズは唯一ブロックルーチンがかかっていないのですが、レジギガスもその対象であるため、彼の色違い厳選もできます。
本来の力
実機と比べて明らかに強さが違いますが、それは、レジギガスが昔アルセウスと戦っており、その時は今と比べて全力の力を持っていたのでは?という説から来ています。つまり、ここでのレジギガスは当時の力をダイマックスエネルギーのおかげで若干取り戻しているという状態ですね。そのため、ダイマックスが解かれれば、いつものスローな彼が返ってきます。身長が数十メートルあるのも、映画のレジギガスがそのサイズで登場していることと、ポケモンという生物自体が、自身の力が弱まると、身体を小さくして消費エネルギーを減らす能力を持っている(モンスターボールで捕まえられるのもこれが理由)から、本来はもっと大きいのでは?という説からです。実機ではまだ見ることはできませんがいつか本気の彼の姿が見られるといいですね。……レジェンズアルセウスでそれを期待したのは、私だけではないはずです。
バドレックス
未だ動かないガラル地方の土着神。彼の心は、どう動くのでしょうか。