「相手の実力を改めてしっかり認識して……その上でどう動くか……」
「相手が『かえんほうしゃ』を覚えているのがわかった今、あたしの守りも絶対とは言えないです。それに、相手の周りにはまだ野生のポケモンが残っています。同じことをされてさらに火力を上げられたら……」
改めて気合いを入れ直し、現状の把握をしてみると、なかなかどうして、厄介な状況になっているのがよくわかる。このまま持久戦をしていけば、いずれ相手に火力に押しつぶされることになるだろう。さっきまで楽に耐えられそうだった空気が嘘のようだ。
(これが侵略者の本来の力……本当に凄まじい……)
幸い、辺りに撒き散らされたダイアシッドは分散して放ったためか威力は低く、野生のポケモンたちも大きなダメージこそ負ってはいるものの、戦闘不能とまではなっておらず、危険を察したのか慌てて逃げ出して行く姿が見える。まだダイアシッドの射程範囲には残ってはいるけど、いずれこの付近から野生のポケモンは完全にいなくなるだろう。ブラックナイトの空気に当てられて混乱している子たちも、このバトルの余波で目が覚めて移動し始めているので、これ以上の被害は何とか抑えられるかもしれない。
(これ以上相手に調子づかせちゃいけない……なら、こちらがするべきは……!!)
「アアァァゴオォォォッ!!」
「ミカンさん!!野生のポケモンたちを援護できますか?」
「はい、任せてください!!ネール!!」
「成程……ならアーマーガア!!オヌシも一緒に行け!!ルガルガンとコジョンドも『ストーンエッジ』で援護!!」
「こっちも!!アーマーガアは援護に行ってくれ!!」
そこでまずは野生のポケモンが安全に逃げられるように援護を出しておく。ストーンエッジで野生のポケモンと紫の龍の間に大きなバリゲートを作り上げ、その隙間を耐性のあるアーマーガア、ハガネールが埋めることで、ダイアシッドが飛んでいくのを阻止。弾幕のように放たれた毒液は全て鋼の身体と岩の柱に防がれ、その間にできた時間で野生のポケモンたちが素早く逃げていく。これでもうダイアシッドによる無差別攻撃は起きないだろう。
「アアァァゴオォォォッ!!」
となれば次にあちらが取る攻撃は、炎による範囲攻撃。尻尾の針の穴から漏れ出す熱気が、毒を止めた鋼の身体を焼き尽くさんと構えられる。このままだと、先程と同じようなことが起きる可能性が高い。
「師匠!!」
「ああ!!」
勿論、そんな分かりきっていることを許しはしない。野生のポケモンを逃がした時点で、俺たちの頭の中には次の作戦がしっかりと組み立てられている。
「「ウーラオス!!『ダイジェット』!!」」
その対策はダイジェット。
尽くを吹き飛ばさんと発動させられた、2人のウーラオスによる巨大な竜巻は、紫の龍が放った炎全てを巻き込んで、紫の龍の方に帰っていく。
「アゴッ!?」
『べべッ!?』
当然その被害は紫の龍だけに収まることはなく、荒れ狂う炎の嵐はエイリアンポケモンの軍団を大量に巻き込んで飛んでいく。威力的には相手の炎の方が強かったが、こちらは2人でダイマックス技を放ったことと、炎を巻きとれる風で反撃したことが功を奏した形となっていた。竜巻に巻き込まれた炎は、送り込まれる空気の兼ね合いでさらに発火。火力が想像以上にあがったその焔は、放った本人を傷つける刃となって帰っていくこととなる。
「アァァゴッ!!」
このままでは自陣が壊滅してしまう。そう判断した相手は、慌てて尻尾の針に藍色のエネルギーを充填。ダイドラグーンとして発射し、こちらのダイジェットを無理やりかき消そうとする。
かえんほうしゃよりも数段威力が高い技であるそれは、相手の思惑通りしっかりと炎の竜巻を消すことには成功。こちらの連携技がしっかりと上書きされてしまった形となる。が、こちらのメンバーはそのことに対して一切の反応を示さない。むしろ、消されるのが当たり前だと想定したうえで次の行動に走っていた。
「エースバーン『でんこうせっか』!!イオルブとワタシラガは『サイコキネシス』と『ハイパーボイス』!!」
「レントラー『こおりのキバ』!!ジャラランガは『スケイルノイズ』!!」
「ドリュウズは『アイアンヘッド』でナットレイは『ジャイロボール』。ジバコイルは『ラスターカノン』です!!」
炎の竜巻が散らされると同時に、そこから飛び出していくのは俺たちのポケモン。この展開を予想していたことと、ウーラオス2人分のダイジェットが、親玉にこそ当たってはいないが、しっかりと群れの方には当たっているため、その恩恵である素早さ上昇を2回受けていたことが相まって、全員が予想以上の動きを持って群れの隙間を駆け抜けて、次々と技を振舞っていく。特に、エースバーン、レントラー、ドリュウズあたりの活躍は目覚しいものがある。
群れの隙間を駆け抜けながら、すれ違いざまに次々とタックルを当てて行くエースバーンと、これをきっかけに怯んだ敵に対して、その隙を狩るようにレントラーのキバとドリュウズの頭が突き刺さる。そうやって近距離部隊が自ずと役割分担することによって、ただでさえ半分以上削れている相手の軍団が更に削れていく。
そして、そこに追い打ちをするかのごとく飛んでいく遠距離部隊とナットレイの回転攻撃。こちらに対しても、軍団のまだ動ける面子が必死にベノムショックで反撃を行っており、そのどれもが特攻3段階上昇中の技という強力な技なのだが、素早さが上がっているこちらはその攻撃に当たらないし、素早さアップの恩恵が少ないナットレイに関してはそもそもどくタイプの技が効果が無い。
「アアァァゴオォォォッ!!」
自慢の技が当たらないか、もしくは当たったところで無効にされてしまう。そんな一方的な状況が完成され、これによって次々と軍団は落ちていく。こうなれば黙っていないのが親玉で、この状況を何とかするべく、尻尾に溜め込んだ炎の火力をさらに上昇。かえんほうしゃでは止められると判断したあちら側は、さらに上の技であるダイバーンを解き放つ準備を整えていく。
「『ダイバーン』……さすがにこれは簡単には止められない……」
「あたしも、あの技だけは……」
「ふむ、ではこういうのはどうだろうか?」
「「え?」」
どんどんと上がっていく温度に、嫌な予感と合わさって汗が滲み出す俺とミカンさん。それだけさっき放たれた炎の火力が印象に強く残っており、その上あれよりも更に火力の上がった攻撃をされるというのだから、否が応でも力が入ってしまう。
そんな緊張感に包まれている中、いつも通りのトーンで喋りだしたのは師匠で、俺たちと一緒にあの火力を体験したというのに、今は至って平気そうな声と顔で喋り続けている。いや、むしろ『こういうのはどうだろうか?』と、自分の考えが通じるかどうかを楽しそうにしている節があった。
その姿に困惑した俺とミカンさんは、呆気に取れらながら声を漏らし、しかし次の瞬間、師匠の紡いだ指示によって俺たちは……いや、ミカンさんは弾かれたように顔を上げ、すぐさま動く準備を整えた。
「ルガルガン、『すなあらし』」
その技の名前はすなあらし。天候をしばらくの間すなあらし状態に変えてしまうことによって、1部のポケモンに恩恵を与えることができ、逆にそれ以外のポケモンには小さい砂の粒がおそいかかることによって、視界不良や、礫による継続的なダメージに見舞われる。これは敵だろうが味方だろうが平等に訪れる現象であり、当然その恩恵を受けられるポケモンで固まっている訳では無いこちらの1部のポケモンは、視界不良と継続ダメージを受けることとなってしまう。
ここだけ聞くと、師匠がやったのは敵も味方も無差別に攻撃する、人によっては厄介と毛嫌いしてしまいそうな行動だ。が、今回においてはこれをすることによって、被害を受けることを差し置いてでも、大きな恩恵を受けられるポケモンたちがいる。
「グゥアアアァァァッ!!」
「ドリュゥッ!!」
その代表例として声をあげたのが、ドリュウズとハガネール。
ドリュウズは、天候がすなあらしだと自身の素早さをぐーんと上げることの出来る特性、すなかきを持っており、メガハガネールは、天候がすなああらしだと、いわ、じめん、そしてはがねタイプの技の威力を上昇させる特性、すなのちからを持っている。
ただでさえ強力なポケモンがダイジェットにより2段階素早さを上昇させているのに、そこから更にこの恩恵を受けることの出来るミカンさんのポケモンは、今この瞬間だけだけはどのポケモンよりも強力な切り札となる。
「ドリュウズ!!ネール!!」
「ドリュッ!!」
「グゥアッ!!」
2人が強化されたのを確認したミカンさんはすかさず2人に指示。同時に、跳ねるように動きだした2人のうち、ドリュウズは目にも止まらない速さでかけだした。
「アゴッ!?」
その速さを俺は目で追うことは出来ず、そして俺と同じだった紫の龍も、軍団の隙間をすり抜けて一瞬で目の前に現れたドリュウズに反応することが出来ずに、驚きの声を上げて動きを止めてしまう。
「『アイアンヘッド』!!」
懐に入り込んだドリュウズは、鋼の頭を尻尾の針に向かって、下から突き上げる様にぶつかることによって、射角を上方向に無理やり変更。解き放たれたダイバーンはあさっての方向に飛んでいき、遥か彼方にて派手な音を立てながら爆発。ただの無駄打ちとなる。
「アァ……ゴォッ!!」
「ドリュッ!?」
防がれてしまった自身の大技。その事実に多大なストレスを抱えた相手は怒りの声を上げながら、下から殴られた勢いを利用してそのまま後ろ宙返りをし、攻撃を終えたばかりのドリュウズの顎を、尻尾の先端でアッパーを叩きつけるように振って攻撃。まさかの反撃に反応できなかったドリュウズはこれを受けてしまい、身体が引っ張られているかのように、上に伸びた無防備な姿を晒してしまう。
その状態を逃さない紫の龍は、すかさず尻尾の針をドリュウズに固定。ハガネールが迫ってきていることから、時間的にダイバーンは間に合わないけどかえんほうしゃなら間に合うと判断し、炎を溜め込んで発射準備。これで今しがた邪魔してきたポケモンを排除しようと試みる。
「悪いがそれは許せんな!!」
「ガルッ!!」
しかしその行動は、突如横からアクセルロックにて突撃してきたルガルガンによって阻止。再び射角をずらされたことによって、この炎もまた、あさっての方向に飛んでいく。
ドリュウズとハガネールに目が行きがちだけど、このすなあらしを起こした張本人である彼もまた、特性すなかき持ちのポケモン。なんなら、こと素早さにおいてはドリュウズよりも速く走ることができるポケモンだ。その彼が素早くフォローに回ることによって、ドリュウズへの攻撃も不発に終わってしまう。
「ア、ゴォ……ッ!!」
2度連続で行われた妨害に、いよいよ怒りのボルテージが突き抜けてしまいそうなほどの気配を漂わせる紫の龍。その怒りを体現するかのように、身体中にダイマックスの赤と、ドラゴンの藍いオーラを纏い始めた彼は、全力でこちらを叩き潰す準備をしようとしだす。
きっとこの力が解き放たれたら、とてつもない破壊が周りを襲うのだろう。しかし、そんな状況を前にして、こちらが慌てることは一切ない。なぜなら……
「グゥアアアァァァッ!!」
天候を味方につけた巨大なてつヘビポケモンが、紫の龍の目の前に到着したから。
「みさなん下がって!!ネール!!『じしん』!!」
「グゥ、ガアアァァッ!!」
みんなが巻き込まれないために下がっていることを信じながら、尻尾を本気の力で地面にたたきつけたハガネール。それによって巻き起こるのは、ハガネールを中心とした災害。四方八方を無差別に攻撃するその技は、おそらくどくタイプを含んでいるであろう紫の龍にとっては、致命傷ですら足りない一撃を受ける技となる。
「ア、ゴォッ!!」
ひこうタイプもふゆうもおそらく持っていない相手に、この技を避ける術は無い。ならせめて、その威力を少しでも下げるべく、技をぶつけて相殺するしかない。そう判断した紫の龍は、今しがた身体に溜めていたオーラを解き放ち、地面に向かってダイドラグーンを発射。襲いかかる災害に対してありったけの力をぶつけ、抗う姿を見せる。
その威力は凄まじく、普通に受けたらひとたまりもないことが想像できる。しかし、今紫の龍を襲っているのはメガシンカして強力になり、その上すなのちからを発動させた一撃。紫の龍も、ダイアシッドのおかげで3段階も特攻が上がっているとはいえ、急に襲ってきたじしんに対する対処が若干甘かったせいで全力を出せておらず、どうやってもじしんのの威力に届かない。結果、紫の龍は地面を走る衝撃を受け、大きく後ろに吹き飛ばされる。
「グゥ……アァァゴォッ!!」
『べべべッ!!』
大きなダメージを負った相手は、それでも気合で何とか耐えきり、声をあげて周りの軍団に指示を出す。この声に応えるように、同じく大きな声を揃ってあげた軍団は、最初の時に比べれば随分とその数を減らしており、大体1/8くらいまでには減少している。しかし、それでも元の数が多かったせいでまだまだ軍団と呼べる数は残っており、油断が出来る状態ではない。
そんな油断できない軍団が、親玉の指示を聞いて1つの場所に集合し、一斉にベノムショックを構える。その毒液は今までのようにこちらに対して弾幕のように放たれるのではなく、全員が一か所に毒液を集中させて、1つの大きな塊を作り上げた。
残っている軍団全員の力を寄せ集めて作られたその攻撃は、もしかしたら親玉のダイアシッドよりも強力な可能性すらある。それほどまでに威力の込められた攻撃は、それだけでかなり圧力があり、見てるだけで圧倒されそうになる。
けど、これだけならまだ何とかなる、なぜなら、この攻撃はどこまで行ってもどくタイプの攻撃でしかないから。それならばミカンさんのポケモンで十分受け止められる。
(ま、当然ながらそこでは終わらないよな)
が、そんなことは向こうも承知。だからこそ、ここからさらにひと工夫が親玉の手によって付けくわえられる。
「ア、ゴォッ!!」
そのひと工夫が、親玉から放たれるかえんほうしゃ。
どうやらあの軍団によってつくられた毒液の塊は可燃性らしく、親玉がかえんほうしゃを放った瞬間、その塊が一気に発火。若干の焦げ臭いにおいと刺激臭を周りに漂わせながら、轟々と燃え上がるその火の球は、これによってどくタイプでありながら、ほのおタイプの効果も内包しているというとんでもない一撃となる。これでは、ハガネールたち鋼タイプのポケモンでも受け止めることはできないだろう。正真正銘、向こう側の最後の切り札だ。
「追い詰められたものはとてつもない力で反撃してくると言われているが……すさまじいな。が……まだ甘い!!」
しかし、そんな攻撃を前にしても、師匠は一切の怯みを見せずに指示を出す。
確かに炎の威力はすごく、触れるだけで火傷では済まないダメージを負うことになるだろう。なら……
「ウーラオス!!『キョダイレンゲキ』!!」
炎なんてさっさと鎮火させてしまえばいい。
師匠のウーラオスから放たれる水の連撃は四方八方から火に玉を襲いかかり、周りを覆う焔を削り取るかのように奪っていく。その速度は凄まじく、相手の龍が慌てて炎を追加しようとするものの、その頃にはもう、全ての炎が削り取られており、ただの毒液の塊に戻っていた。
自慢の攻撃があっさりと打ち破られたことに、相手は驚いて動きを止める。その隙に、こちらは更に攻撃を畳み掛ける。
「動かないのなら、お返しします!!ネール!!『アイアンテール』!!」
元の毒液の塊に戻ったところで、そこに近づくのはハガネール。
毒液の下までたどり着いた彼は、その場で大きく尻尾を振りかぶって、プロの野球選手もびっくりの強烈バッティングをかまし、この毒液を作り出した張本人たちにお返しした。
炎を削られただけでもびっくりなのに、そこから更に攻撃を返されたことにいよいよキャパオーバーとなり、声を上げることすら出来なかった軍団は、この毒液の塊を避けることなんて当然できずに直撃。同時に巻き起こった爆発によって、全員が散り散りになり……
「逃がさないぞ。イオルブ、『サイコキネシス』!!」
そうになった彼らを、イオルブが全てキャッチ。
「そのままひとつに固めろ!!」
そして、まるで逆再生をしているかのように軍団をまた集め、さっきの毒液のような塊を、今度は軍団たちを素材にし、こちらで作りあげた。
「2人とも!!」
「おう!!」
「はい!!」
『べ、べべ……ッ!?』
新しく出来上がった巨大な塊に対し、俺が声を上げると同時に一斉に攻撃。ラスターカノンやいわなだれ、はどうだん、エアスラッシュ、エナジーボール等、こちらのポケモンが覚えるありとあらゆる遠距離技をどんどん叩きつけられ、その度にエネルギーが爆発を起こし、色々な力が注ぎ込まれていく。
「さぁ、仕上げと行くぞ!!イオルブ!!『ねばねばネット』!!ありったけの網で包み込め!!」
そんな小さな花火大会が起こっている場所に投げ込まれていく粘着性の網。それは、ひとつに固められた軍団を、降り注いでくる攻撃ごと全て包み込み、爆発することを抑えながらどんどん締め付けていく。
『べ……べ……』
網が重ねられる度に声が小さくなり、はどうだんやいわなだれたちも一緒に網に閉じ込められたせいで爆発音もしなくなり、数秒もすればその花火は、大きな白い塊となって静かにその場に鎮座することとなる。
「ア……ゴォ……」
あれだけ騒がしかった空間が一瞬のうちに静かになる。そのことに相手の親玉も呆気にとられ、声を漏らすしかできない。
「マサル!!」
「マサルさん!!」
「ウーラオス!!『キョダイイチゲキ』!!」
「ウラアアアァァァッ!!」
その静かな空間を打ち破るように響く、俺の名を呼ぶ声。その声を合図に、ウーラオスに最後のダイマックス技を指示すると、ウーラオスは気合いの入った声を上げながら、真っ黒に染った正拳突きを白い塊へ叩きつけ、殴られた白い塊は、キョダイイチゲキのオレンジ色のオーラを纏いながらまっすぐ紫の龍へ飛んでいった。
「ッ!!アァ……ゴォッ!?」
急に迫ってきた白い塊に対して反撃をしようと技を構えるものの、それが間に合うことはなく紫の龍に直撃。その際、紫の龍の尻尾から炎が少し漏れ、それが白い塊に引火し、ねばねばネットを少し溶かした。
そして、これが原因となって、白い塊の締め付けが緩み、閉じ込められたものが一気に外に放出される。
一緒に閉じ込められていた、はどうだんたちの爆風も合わせて。
「ゴッ!?」
もはや悲鳴すらも聞こえないほどの爆音と衝撃。その全てが、ねばねばネットの封がとかれたことによって破裂し、紫の龍に襲いかかる。
キョダイイチゲキの威力と、白い塊の物量。そして、今しがた起きた爆発。これら全てをその身に受けた紫の龍は、ついに身体を支えることが出来ずに地面に落ちる。
部下も全員倒れ、残るは満身創痍な彼だけ。しかし、それでも親玉としての意地なのか、ダイマックスを切らせることなくこちらを睨み、最後の抵抗とばかりに、尻尾の針に藍色のエネルギーを溜め込んでいく。
(本当に強い子だ……だから、こっちもそんな君に敬意を評する!!)
決して諦めないその心意気に胸を打たれた俺たちは、お互いに頷きあって、これで決めるべく最後の技を指示する。
「ウーラオス!!『あんこくきょうだ』!!」
「ウーラオス!!『すいりゅうれんだ』!!」
「ネール!!『アイアンテール』!!」
「アアァァゴオォォォッ!!」
こちらの3人が飛び出すと同時に放たれる龍のオーラ。
最後の意地が込められたその攻撃はとても重く、圧がある。が、その圧を前に屈しない3人の攻撃が同時に藍色のオーラに突き刺さり、霧散。勢いを殺すことの無い3人の攻撃は、そのまま紫の龍にまで届き、ついにその体力を削りきる。
「アァ……ゴ……」
身体のサイズを元に戻しながら落ちていく紫の龍。
彼の最後の姿をしっかりと見届けた俺は、ようやく一息。
「ふぅ……なんとかなった……」
「一件落着……には早いが、とりあえずひとつは山を超えたな」
「この調子で頑張りましょう」
「はい」
とりあえず山場をひとつ超えたことを労いながら、俺たちは直ぐに次のことに意識を変えていく。
「……あっちも気にしないといけませんからね」
その視線の先には、未だに激しいバトルを繰り広げている伝説たちがいた。
マサル&マスタード&ミカンVSアーゴヨン&ベベノム軍団
勝者、マサル&マスタード&ミカン