「ぺリッパー『ぼうふう』!!ヌオーは『なみのり』でグソクムシャは『アクアブレイク』!!」
「ポ……ポ……」
空から降ってくる種の隕石に対して突風が吹き荒れ、その地点に向かって大きな波が向かい、その波に潜んでいたグソクムシャが、右腕に水を纏って突っ込んで殴り抜け、全ての種を相手に返品。直撃によって大爆発が起きた。
一見派手なやり取りで大きなダメージが入ったように見えるが、実際には緑のポケモンに大したダメージは入っていない。が、そんなことは分かりきっているこちらは、ダメージを与えることが目的ではなかったので気にしない。
この行動の真の目的は、爆煙による視界封鎖。ダイマックスのせいで細かいところを確認しづらくなっている所をこうすることによってさらに視認を難しくさせ、相手の攻撃のミスを誘発する算段。その考えがとりあえずは上手く決まったようで、この煙を見て慌てて放たれたタネばくだんは、明後日の方向に落とされており、地面に着弾した時の振動で車が少し跳ねる程度の被害で抑えることができた。
「カマスジョー!!アズマオウ!!」
この煙に紛れてさらに突っ込むのがカマスジョーとアズマオウ。
両者全身に水を纏い、カマスジョーはアクアジェット、アズマオウはたきのぼりを構え、特性すいすいの効果も乗せて、空中に水の軌跡を残しながら縦横無尽に泳ぎ回っていく。
まずはカマスジョーが緑のポケモンの目の前を素早く3往復し、意識をそらす。そして、その間に相手の身体の中心部の真下に入ったアズマオウが、水のアッパーを叩きつけるかのように上昇。ボディアッパーを叩き込むかのような攻撃が相手のお腹に突き刺さる。
相手の硬質的な身体は、こういった時によく表現される『身体がくの字に曲がる』みたいなことには一切ならないが、この時に聞こえた少し苦しそうな声がちゃんとダメージが入っていることを教えてくれる。これを好機と捉えたカマスジョーは、視線を誘導する動きから一転、自身の素早さを生かした連続突進を行う。
何度も身体に突き刺さるこの攻撃は、1発1発はアズマオウ程のダメージでは無いにしろ、手数が多いせいで小さな積み重ねが凄まじく、累計ダメージを見れば同じくらいのそれにはなっていた。雨が降ったことにより、攻撃のギアが何段階も上がったこちらの攻撃は、徐々に相手の鉄壁を崩し始める。
「ポポ……」
しかし、向こうもただでやられるわけじゃない。
全身に力を込めた緑のポケモンは、攻撃を受けながらも徐々にその高度を落下させ、ここにいる全てのポケモンを踏み潰す準備を進めていく。
2度目のヘビーボンバー。
あの時と違って、緑のポケモンの真下にまだ沢山仲間がいる状況になっている今、あの技を許したら一気にこちらのポケモンが倒される。
「カジリガメ!!『ダイロック』!!」
「ガメエエエェェェッ!!」
落ちてくる巨体と濃くなる影。それに対してこちらが行ったのは、地面から岩の柱を呼び出して、相手に落下を妨害するというもの。地面を大きく踏み締めたカジリガメからエネルギーを受け取った岩盤が隆起し、地面を振動させながら緑のポケモンに向かって伸びていく。
この時大きく揺れたせいで、また足元から「ちょっと!!」という声が聞こえたけど気にしない。そんなことよりも、今つくりあげた岩の柱が機能するかどうかの方が大事だ。
カジリガメの火力は信じている。が、ヘビーボンバーははがねタイプの技で、ダイロックは文字通りいわタイプ。タイプ相性の話をするのならぼろ負けもいいところだ。そしてその相性が教えてくれているように、岩の柱は緑のポケモンの体重を支えきれずに、徐々に上から崩れている。
が、それでも勢いは落ちている。
「みんな!!一斉攻撃!!」
ここまで勢いを殺せているのであれば、威力はだいぶ落ちている。この程度ならむしろ攻撃のチャンスだ。そこを狙って、ぺリッパーはハイドロポンプ、グソクムシャはアクアブレイク、ヌオーはなみのり、カマスジョーはアクアジェット、アズマオウはたきのぼりを同時に放つ。
「空に帰りなさい!!」
「ポ……ッ!?」
勢いの落ちたヘビーボンバーにこの一撃は完璧に突き刺さり、高度を落としていた相手を無理やり上空に押し返す。これで攻撃を無効にできたし、なんなら今の攻撃で大ダメージを与えられた。流れは確実にこちらへ向かい始めている。
「ポ……ポゥッ!!」
しかし向こうもタダでやられるつもりは無いらしく、空中に押し返されたことでヘビーボンバーは効かないと悟った相手は、全身に力を溜めて鈍色に発光。そして、自身の左右にあるロケットの噴出口を真下に向け、そこから鈍色の液体の塊をそれぞれ1つずつ発射。勢いよく打ち出されたこの技に反応できなかったわたしたちは、この液体が地面に落ちるのを阻止できない。
そして、その液体は地面に落ちると同時に物凄い速さで広まり、その広まった部分から次々と大きな棘が生えてきた。
「『ダイスチル』!!みんな避け━━」
技の正体に気づき、慌てて回避を指示したところで、わたしの目の前に鋼の棘が壁のように立ち上る。その様を見て驚きから一瞬身体が硬直してしまい、口が止まる。が、次の瞬間、身体が右に引っ張られる感覚に襲われたので、慌てて左に倒れ込むように身体を動かしてバランス確保。どうやらこの棘を避けるために、ソニアがハンドルを切った反動が来ていたらしい。
「ナイスよソニア」
「任せなさい!!けど、何度も避けられる訳じゃなさそうだから、あまり任せないで!!」
「どっちなのよ!!」
何とか避けたことを褒めながら自分のポケモンの様子を確認する。どうやらグソクムシャとアズマオウ、そしてヌオーは被弾をしてしまったらしいけど、タイプ相性のおかげか、ダメージは思ったより大きくは無い。まだまだ動ける気概を全員が見せてくれているのでそちらは問題ないだろう。
問題があるのは別の方面。
「防御が上がったわね……時間が無いってのに……!!」
ダイスチルの効果により自身の防御を成長させた相手は、更にバウタウンへの移動を速めていく。
おそらくあのポケモンはダイマックスの影響とタイプ相性のおかげで何とかしているタイプで、能力面に関しては実は思ったより突出したものが無い可能性がある。自身の体重を攻撃力に変えられるヘビーボンバーなどを無理やり主力技としているのがその証拠で、そういう点でいえばこちらのポケモンが倒される心配というのは実はそんなにしなくてもいいのかもしれない。
ただ、このバトルの1番の肝は制限時間があるということ。こちらの敗北条件は、負けることにプラスして、バウタウンに到着されることだ。そんな状況なのに、相手の耐久力がさらに上がってしまったとなると、よりこの敗北条件に近づいてしまう。
(これはなんとしてでも準備を早く進めないと……!!でも焦っちゃダメ、冷静に!!)
残された時間はどんどん減っていく。しかし、焦って動いても失敗の確率が増すだけだ。
ここは慎重に、けど素早く。
「ぺリッパー『ハイドロポンプ』!!ヌオーは『なみのり』!!」
ぺリッパーから放たれる激流と、ヌオーが呼び出した高波が緑のポケモンに襲いかかる。これに対して相手はタネばくだんを自身の周りに展開。そのタネを、身体の左右にある竹の形をしたロケットでぶん殴り、勢いをつけて飛ばしてきた。これによってハイドロポンプは相殺され、高波はその中心地点に大きな穴を開けられ、形を維持できなくなって崩れていく。更に、余分に出していた種はちゃっかりわたしたちを直接狙ってくる軌道を描いていた。
「グソクムシャ!!」
この攻撃は、間にグソクムシャが挟まることで何とかガード。アクアブレイクを構えながら割り込むことによって、飛んできた種をしっかりと受け止めたグソクムシャは、もう一度アクアブレイクを放って種を反射。これが相手へのダメージにはならないことは分かってはいるけど、ほんの少しでもダメージを重ねられるのなら、何もしないよりもましだ。
「ポ……ッ!!」
が、いい加減こうやって跳ね返されることにイラついているらしい緑のポケモンは、返されたタネにかえんほうしゃを放って燃やし、そのうえで右側のロケットで殴って更に跳ね返してきた。が、今は天候が雨の状態なので、その火力は高いわけではない。いきなりの展開に少しだけびっくりしたけどこれだったらまだアクアブレイクで跳ね返せる。
「カマスジョーとアズマオウも来なさい!!」
更に、今度は絶対に跳ね返させないように、3人分の力を乗せて跳ね返す準備をする。
跳ね返したところでダメージはないかもしれないが、もしかしたらこの燃える種のように、種に水を纏わせれば、今度こそちゃんとダメージが通るかもしれない。それを狙って、それぞれ水を纏わせながら飛んでくる炎の種に対して準備を整えて、攻撃の構えを取った。
「ポポ……ッ!!」
「ラリーの勝負でもする気?いくらでも付き合うわよ!!」
その動きに対して緑のポケモンも2つのロケットを構え、こちらとの球の打ち合いをするかのような動きを始めたように見えた。
正直、このままその勝負をしたところで負ける未来は一切見えない。相手が怒りで理性を失ってくれているのなら、こちらにとって有利でしかない。それを見込んでこちらは3人がかりで飛んでくる日の種に立ち向かった。
「ポ……ッ!!」
「って、そっち!?」
が、わたしが想像していた通りの動きはしてくれず、向こうがとった動きは、両側のロケットを地面に向かって射出と言うもの。地面に向かって勢いよく飛んでいく2つのロケットは、地面に突き刺さると同時に、周囲に地面エネルギーを放出。そのエネルギーの影響は、揺れと言う形で周りに伝搬していく。
「『じしん』!?まずっ!?」
その技の正体に気づいたときにはもう遅く、空を飛んでいるペリッパーと、ダイマックスしているカジリガメ以外には全員に攻撃が届いて行き、そこに先ほどの燃えたタネが着弾することで大きく爆発。戦闘不能まではいかないものの、かなり大きなダメージを受けてしまう。
いつもならまだ避けられた攻撃ではあるものの、予想していなかった攻撃と言うのが大きく、不意を打たれた形になってしまった故の被害。すぐに立て直さないと一気にこちらが崩れてしまう大ピンチだけど、残念ながらその対応をすぐにとることができない。
「ソニアッ!!」
なぜなら、全方位攻撃と言うことは、わたしたちの足である車にも攻撃が進んできているから。どうにかしてこれを避けないと、下手をすればわたしたち自身が行動不能になってしまう。指示を出すべき頭であるわたしと、今も空を駆けるあいつに追いつくためにも、ここで足を壊されるわけにはいかない。
「って言われても!!さすがにこれは避けきれな━━」
しかし、じしんと言う技の性質上、地面に足をつけているわたしたちに避ける方法なんてなく、地面を走るエネルギーは真っすぐ私たちに向かって迫っており……
「ガメエェッ!!」
しかし、そのエネルギーが届く前に、カジリガメがじしんと車の間に足を入れ込み、大きく踏みしめながらダイロックを放つことで何とか阻止。このときに発生した振動によって車が小さく跳ねたため、もしかしたら車のどこかにダメージは入っているかもしれないが、じしんに巻き込まれるよりは大分ましだろう。
「っつつ、ありがとうカジリガメ!!ソニアは平気?」
「え、ええ。大丈夫よ……それよりも、速く追いかけるわよ」
ソニアに言われて前を向けば、今のでわたしたちから距離を離してさらにバウタウンに近づいている緑のポケモンの姿。どうやらいよいよもって時間が無くなってきたらしい。それを確認したソニアは、慌ててアクセルを踏みしめて緑のポケモンを猛追していく。
その間に私の周りには、今のじしんでダメージを受けた仲間たちが集まってきたのでみんなの状態の確認を行う。幸いにも、わたしのポケモンたちは全員戦闘可能状態で、ダメージこそ大きいものの、まだまだやる気を見せてくれている。
しかし、順調とはなかなか言えない展開に、わたしとソニアの心は割と追い詰められている。そんな余裕のなくなってきた状況を前に、下から不安がるような声が聞こえて来た。
「全速力で追いかけるけど……大丈夫かしら?あなたの作戦を遂行する前に倒れちゃったら意味がないわよ?」
「そうね……時間もないし、ちょっと強引にも決める必要がありそう……」
状況を改めて見直しても、おそらく次の攻防が最後になると思われる。けど、あいつにとどめを刺すにはどうしてももう少しダメージと場づくりが欲しい。
具体的に言えば、あいつの身体をもっと水浸しにするイメージで。
「ソニア、申し訳ないけど、もっと出力上げるわよ!!」
「仕方ないわね……やるからには絶対に決めなさいよ!!」
「当り前よ!!ペリッパー!!」
「ペリッ!!」
もうなりふり構っていられない。これによってソニアへの負担が更に大きくなってしまうけど、そこは信じるしかない。そんな思いで私はペリッパーに声をかけ、この言葉に反応したペリッパーもまた、力強く声をあげながら、天に向かって思いっきり水を放ち、羽ばたく。すると、この子の特性であるあめふらしの効果が更に増加。さっきまででもなかなか強めな雨が降っていたのに、もはや豪雨と言ってもいいレベルの土砂降りが発生。とはいえ、別に雨の強さはみずタイプの威力上昇に関係あるかと言われたら別にそうではない。すいすいに関しても、あめが強ければ強いほど素早さ上昇の恩恵を受ける、だなんて話もない。
この雨の強化の目的はただ1つ。あの緑のポケモンをとにかくずぶ濡れにすること。
「ポゥ……」
突如身体に降り注ぐ大量の雨に、少しだけ嫌そうな声をあげる緑のポケモンは、しかし身体が濡れるだけなら別にいいかと、こちらに視線を向けることなく速度を上げて飛び始める。
「させないって言ってるでしょ!!グソクムシャ!!カマスジョー!!アズマオウ!!ヌオー!!」
そんな相手に対して、こちらは全力で足止め兼、相手に水をかけるために水技をとにかく打ちまくる。
それぞれ、アクアブレイク、アクアジェット、たきのぼり、なみのりをもって肉薄していくこちらのポケモンに対して、あちらもいい加減諦めて欲しいのか、今までで一番多くのタネばくだんを放出してきた。
ただ数が多いだけでなく、力も込められて放たれたらしいその攻撃は、今までで一番の威力と殲滅力を誇っており、くさタイプが苦手なこちらのメンバーに対してこれらの攻撃は、今までの蓄積ダメージもあってとてもじゃないけど受けきれるようなものじゃない。
けど、余裕のないこちらはここで勝負に出るしかない。だから、このタネばくだんに対して、一切の回避行動をとることなく、真正面からぶつかりに行く。
「ポッ!?」
ここに来ての特攻作戦。
何が何でも自分を攻撃してくるという気迫と覚悟は、空を悠々と飛んでいた緑のポケモンに少なくないプレッシャーを与えることに成功する。
種がぶつかり、発生した爆発のあおりを受けようとも真っすぐ突き進むグソクムシャたちは、少なくなっている体力を更に削りながらも、しかし倒れることだけはしないように、致命打だけは防ぎながら、着実にその距離を詰めていく。
「ポ……ッ!!」
そんな進撃して来る軍勢に対していよいよ無視できなくなった緑のポケモンは、自身の身体を鈍色に輝かせながら落下。ボディプレスにて、全てを踏みつぶそうとしてくる。
いくらみんなが特攻で突き進んでも、攻撃を受けている事実に変わりはない。そのせいで、フルパワーを維持できていない状態なので、流石にこの攻撃を止めることはできない。
だが、わたしのポケモンはこの4人だけじゃない。
「わたしたちの激しさを前に、いつまでその態度を貫けるかしら?『キョダイガンシン』!!」
「ガメエエエェェェッ!!」
「ポッ!?」
落ちて来る鋼の塊に対して、その勢いをそぐように飛んでいく岩の破片を含んだ激流。雨によってさらにその勢いを増されたその一撃は、緑のポケモンの落下をしっかりと止め、その高度を少し元に戻すことに成功。こちらの軍勢を押しつぶす技は不発に終わった。
「ソニア!!」
「待ってたわよ!!」
相手のヘビーボンバーが不発に終わり、キョダイガンシンに続くように攻撃を当てていくグソクムシャたち。その姿を見送ったわたしは、今こそ最後の仕上げの時と確信し、ソニアに合図を出して、同時にすぐ近くにペリッパーを呼び出す。
「頼むわよ。ペリッパー」
「ペリッ!!」
「最後のタイミング……任せるわよ!!ルリナ!!」
「ええ!!」
そこで最後の打ち合わせを終えたわたしは、ここまでの攻撃でダメージをかなり受け、全身が水にぬれた緑のポケモンに目を向ける。
ダメージも多いし、身体が濡れているせいで、自身の体重と合わせてかなり身体が重くなっているはずだ。それなのに、未だに速度を落とすことも無く飛び続けるその姿を見るに、やっぱりわたしの攻撃だけだと、あと一手足りないんだということを嫌でも痛感させてくる。
「ペリッパー!!『ハイドロポンプ』!!」
本当だったら、わたしの手で引導を渡してやりたいところなのだけど、残念ながらそれは難しい。とても悔しいし、自分の力不足感を突き付けられている感が凄くて本当に嫌だ。でも、町のためにもないものねだりをしている暇はない。
だから、今回は仲間を頼る。
「ペリッ!!」
指示を受けたペリッパーは、ハイドロポンプを発射。
散々攻撃を受けてきた相手のポケモンは、流石にこれ以上は濡れたくないと思ったのか、この光線に対して迎撃を行おうとする。が、ペリッパーの放ったこのハイドロポンプは、緑のポケモンの脇を抜けて、そのまま特性のあめふらしによって生まれた雲の中へと吸い込まれていった。
傍から見たら技が外れてしまった残念な一撃。緑のポケモンも、当たらないのなら関係ないと、この出来事からさっさと目を反らし、再び前に飛び立とうとする。
「ソニア……」
その姿を見て、勝ちを確信したわたしは、最後の合図をソニアに出した。
「今よ!!」
「ええ!!」
「ポ……?」
ソニアに合図を出すと同時に響き渡る、ゴロゴロと言うう体の芯から震えるような思い音。
空気を振動させ、更にバチバチと、何かが弾けるかのような音も合わせてあたらに聞こえて来るその音の元凶は、今しがたペリッパーがハイドロポンプを打ち込んだ雲の中から聞こえて来る。
この音に疑問を持った緑のポケモンは、疑問符を浮かべながら空を見上げた。
そこには、黒く大きな雲に、黄色い閃光を走らせている雷雲の姿。
「ポッ!?」
ここまでくれば、この雲から何が来るかなんて誰でもわかる。それに気づいた緑のポケモンは慌てて移動を始めようとするものの、その時にはすでに遅く、電気をため込んだ雷雲は、そのエネルギーを緑のポケモンに向かって解き放った。
(確かにわたしはあなたの弱点をつけない。けど、わたしは今ひとりじゃない。そして、そんなひとりじゃないわたしには、あなたの弱点をつけるポケモンがちゃんといる!!)
「ワンパチ!!『かみなり』!!」
「ワン……パッ!!」
このバトルで、わたしが最後を託したポケモンの正体。それは、ソニアの長年の相棒であるワンパチ。
ワンパチがぺリッパーの口の中に入り、ハイドロポンプと一緒に空に打ち出し、とどめを放つ。それがわたしの思いついた最後の作戦。
でんきタイプであるワンパチの得意技は、緑のポケモンの弱点を突くことの出来る攻撃。しかもただ弱点を突くだけでなく、かみなりを高威力で、規模を大きく放つための雲と雨を作り、電気をよく通すために相手の身体を水で浸したこともあって、この一撃はただばつぐんをつくなんかよりもはるかに威力の高い技として解き放たれる。
「ポポ……」
「させるわけないでしょ!!ペリッパー!!『ぼうふう』!!」
「ポッ!?」
突如襲い掛かる超火力。緑のポケモンはこの技に対応するべく、慌ててタネばくだんを上空に放とうとするが、その種をぼうふうの風で吹き飛ばし、かみなりへの壁を零にする。
「「いい加減、堕ちなさい!!」」
直撃するかみなりは、激しい音を立てながら緑のポケモンを直撃。
天から地面に向けて一直線に落ちた電撃は、緑のポケモンの身体の中心点を綺麗に貫いた。
「ポ……ポ……」
この技により、戦闘不能になった緑のポケモンは、そのまま地面に落下。激しい振動と音を奏でながら、元の姿に戻り、地面へと横たわった。
「ワンパッ!!ワンパッ!!」
その背中に着地したのは、このバトルの最後を決めたワンパチ。
背中で嬉しそうに跳ねる親友の相棒は、あの頃と同じ愛らしさで、あのころよりも格段に大きくなった頼もしさを纏いながら、勝利の勝鬨をあげていた。
「……ふぅ、よかった」
これで決着。大切なバウタウンを守ることが出来た。
その達成感から、車の屋根の上に仰向けで寝そべるわたし。
ブラックナイトはまだ終わっていないけど、それでも大きな山場を一つ越えることが出来た。
「お疲れ様ルリナ」
「ええ、ナイス『かみなり』だったわ。ソニア」
「あんたこそ、ナイスバトル」
その事を称えるように、わたしは仰向けに寝そべったまま、車から降りてきたソニアと拳を合わせて称えあう。
雨の降る中合わせた拳は、一緒にジムチャレンジをした時の熱を思い出させてくれた。
ルリナ&ソニアVSテッカグヤ
勝者、ルリナ&ソニア
ワンパチ
と言うことで、まさかのしめはイヌヌワンことワンパチさんに決めていただきました。アニポケのピカチュウみたいな活躍ですね。
前話のあとがきにてお知らせしたとおり、次話は遅れます。ご了承くださいませ。