【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

332 / 374
長らくお待たせしまた。次回からいつも通り投稿できると思います。そして、このお話が今年最後のお話になりますね。


332話

 走る電撃の音と風きり音。そして、空間がねじ曲がる不協和音。

 

 途切れることなく聞こえるこれらの音が、今シュートスタジアムで起きているバトルの苛烈さをこれでもかというくらい表現していた。

 

 空中から降り注ぐ紫色の弾幕。その球1つ1つが、当たれば即戦闘不能の必殺の一撃。それが雨のように降り注いでいるのだから、傍から見ればこれだけでも腰を抜かしてしまいそうな壮絶な光景。が、その攻撃に晒されている肝心の2人のポケモンは、この攻撃に一切当たることなく駆け抜ける。

 

 片方は小さい身体を懸命に動かし、駆け抜け、飛び跳ね、身体をひねり、攻撃と攻撃の隙間をでんこうせっかで縫うように移動して捌き切る。そしてもう片方は、大きな翼を広げて空を飛び回り、身体を傾けたり、羽ばたきと同時に刃を飛ばして攻撃を逸らしたりと、テクニックを持って華麗に避けていく。

 

 破壊の雨の中を突き進む2人は、一切被弾する気配が見られない。あれだけの攻撃の中にずっと身を置いているというのに、危なげすら感じさせないその戦い方は、もはや芸術と言っても差し支えないだろう。人によってはお金を払ってでも見たい光景のはずだ。

 

 だが、この光景を前にした相手も、ただこの展開を見つめているだけでは無い。紫の弾丸が当たらないことを察した相手側の片方が、今度は思いっきり地面に拳を打ち付けてエネルギーを流し込む。すると、地面から岩の柱が次々と隆起。空から降り注ぐ攻撃に、地面からの攻撃までもが加わって、攻撃の密度がさらに倍になった。

 

 これならさすがに避けられまい。

 

 相手側のそんな声が聞こえてくるような雰囲気。しかし、この攻撃を受ける2人は、そんなことなんてお構い無しと動き回る。

 

 地面を走る影は、足の裏で振動を感じ、次にどこに岩の柱が生えてくるのかを予め察知。そして自身の近くで次に柱が生えてくる位置を把握したその影は、その柱が伸びるところに予め移動し、伸びてきた柱を足場として利用することで、回避する位置を空中に移動。同じく、地面から伸びる柱を、空を羽ばたいて避けるもう1つの背中に飛び乗って、一緒に飛行することで回避を始めていく。

 

「あ、お前!!ずるいぞ楽すんじゃねぇ!!」

「…………」

 

 飛行するポケモンの背中に乗ることによって、回避するという動作をすべて任せることとなり、何もすることなく攻撃の隙間を抜けていく姿を見て、思わずそんな声をあげる1人のトレーナーは、しかし喋っている内容と声色が一致していおらず、その表情は明るい。そのことをもう1人のトレーナーも知っているからこそ、特に反論することなくじっとバトルフィールドを見つめていた。文句を言っていた方も、返事を最初から期待していなかったみたいで、軽口を叩いた後はすぐに戦場へと視線を向けている。

 

 もっとも、彼に関してはそもそも喋らない性格なので、例えもう1人の言葉が真に迫ったものだったとしても、特に喋ることはないのだろうが。

 

 とにかく、空飛ぶポケモンの背中に乗った小さなポケモンは、回避を味方に任せきって、自身は攻撃のチャンスをうかがい続ける。

 

 地面からせりあがる岩の柱と、上から降りそそぐ紫の弾丸の雨。この攻撃に挟まれた2人は、しかし、そんな危機的状況を危険とすら思わせることなく、攻撃の隙間を華麗に潜り抜け、そのうえで当たりそうな攻撃に関しては、背中に乗ったポケモンが電気を放ち、攻撃を反らすことで完全に攻撃をいなし切っていた。

 

 苛烈な攻撃をしてくるポケモン……メガミュウツーXとメガミュウツーYの目前で、踊るように回避続けるポケモン、ピジョットと、小さな見た目にそぐわない威力をもって、紫の弾丸をいなすポケモン、ピカチュウ。

 

 別段特別な力を持つというわけでもないメジャーなポケモン。しかし、そんなポケモンたちが織り成す異次元の動きと戦い方。それを可能にしているトレーナーこそが、今ミュウツーたちと対面している、伝説と言われるほどのトレーナー、レッドとグリーン。彼らの観察力と、時折繰り出される指示が、こんな絶望的な相手と戦っているというのにもかかわらず、一切の危機感を感じさせることなく、見事な立ち回りを演じて見せていた。

 

「攻撃のキレがねぇな……まだダイマックスが馴染んでねぇって感じだな。ならさっさと叩いちまうのが簡単だが……」

「…………」

「わかってるよ。いくら動きに慣れてないとは言ってもダイマックスして体力は増えてる。倒すのだって簡単じゃねぇ」

 

 だが、そんな立ち回りをしていながらも、一切の油断をせずにしっかりと状況を見極めている2人は、勝ちまでの最短距離をしっかりと見据えていく。

 

「沢山ポケモンを出せば、その分火力は上がるが……ここまで攻撃が激しいと、出せば出す分だけ回避に回すリソースが多きすぎて逆に時間がかかる……出せておれたちそれぞれあと1人ってところだな」

「…………」

 

 的確に状況判断を済ませた彼らは、今自分たちが出すことの出来る最高火力をすぐさま把握。そこから、今場に出しているポケモンと、もう1人しか出せないポケモンを厳選し、そのポケモンが入っているボールにそっと手を置く。そして……

 

「ま、それだけあれば十分だな!!」

「…………」

 

 その事実に、軽い笑顔を浮かべながら勝ちを宣言するグリーンと、その言葉に頷くレッド。何ら緊張しているそぶりを見せることなく、いつも通りのテンションで場を見る2人の指示には一切のよどみがなく、指示を受けているピジョットとピカチュウも、その指示を信じて疑わずに綺麗に駆け抜ける。

 

 降り注ぐ紫の雨に対して左右に蛇行しながら飛び回って攻撃を回避しながら、ピジョットは身体を上下反転させ、背中を地面側に向ける。これによって、ピジョットにしがみつき、宙ぶらりんになったピカチュウは、その状態のままアイアンテールを構え、下から伸びて来る岩に対して振るうことでシャットアウト。更に、岩が壊れたのを確認したピジョットが、その高度を落とすことで先ほど砕いた岩の破片の近くに移動。これをアイアンテールでさらに打つことによって、ミュウツーたちへ礫として襲い掛かる。

 

 ただ、この礫はダイマックスしている彼らにとっては何ら障害にはならない。全身にサイコエネルギーを纏うだけで簡単に弾かれる礫のことなんて気に留めることもなく、引き続き攻撃を再開する

 

 が、この全身に一瞬だけサイコエネルギーを溜めたこの隙があれば、近づくには十分だった。

 

「ピッカッ!!」

 

 自身で礫を弾いたと同時にピジョットの背中から飛び降りたピカチュウは、自身が打ち砕いた岩の柱の残骸に着地したと同時にでんこうせっかを発動。打ち出したばかりの礫を足場にし、空中を駆け巡ったピカチュウは一瞬で2人のミュウツーの中心へと踊り出る。

 

「…………」

「ピカッ!!」

 

 2人の中心に飛び込んだピカチュウは、その場で全身から電気を放出。その小さい身体からはとても想像できないほどの電力をもって周囲を攻撃。その火力の高さに、ミュウツーたちが一瞬の怯みを見せる。

 

「ピジョット!!『ぼうふう』!!」

「ピジョットォッ!!」

 

 その隙を的確に拾ったピジョットが起こす羽ばたきは、大きな竜巻となってミュウツーに襲い掛かり、それはダイマックスしているにもかかわらず、2人を同時に風の中に閉じ込めるほど強烈なものとなって現れる。しかも、暴れ出した風は先ほどピカチュウが放電した電気を巻きこむことによって、竜巻の中に結界を張るかのごとく、四方八方へと電気の線路を作り出した。

 

「…………」

「ピカッ!!」

 

 そして、ミュウツーたちと一緒に風に閉じ込められたピカチュウが、この電気の線路を足場にして再びでんこうせっか。ミュウツーたちに近づく時よりも更に素早さをあげた立体軌道をもって、ミュウツーの周りを駆け巡っていく。

 

 自身の視界に現れては消えていく黄色い閃光。その動きは、ダイマックスしているせいで小回りの利かないミュウツーたちにとって、視認が不可能と断定していいほど細かい動きで、死角を的確に通り抜けていくその動きによって、的確にフラストレーションを溜めていた。

 

「ピジョット!!」

「ピジョッ!!」

 

 そうやって視界を彼方此方揺らすミュウツー。それでも攻撃の手を休めることはない2人によって、未だに降り注ぐ紫の雨と岩の森の中、ピカチュウに気を取られている間に風に乗って近づいたピジョットが、つばめがえしによって両方のミュウツーの身体に1回ずつ突撃。ピカチュウに集中しすぎていた2人に大きなダメージを叩き込むことに成功する。

 

 ここに来て明確に生まれたミュウツーたちの動けなくなる時間。この時間を見逃すトレーナーなんかでは断じてない。

 

「…………!!」

「ピカピカピカピカッ!!」

 

 この瞬間を見て、でんこうせっかから更に速度を上げたピカチュウの全身を、包み込むに電撃が纏われていく。その電力はすさまじく、包まれているピカチュウの姿が白黒の陰でしか見えないほどの光を放ちながら駆け回る。

 

 ピチュー、ピカチュウ、そしてライチュウのみが使うことの出来る、でんきタイプの中でも屈指の威力を誇る物理技。

 

 自らの体力を犠牲に繰り出されるその一撃は、先ほどまで行っていたでんこうせっかとは比較にならない速度と威力をもってミュウツーの周りを駆け回ることとなり、空中に幾千もの黄色い軌跡を残しながら駆け回るピカチュウは、そこから連続でミュウツーたちに突撃を行っていく。

 

 

「「ヌ……ォォ……ッ」」

 

 

 超高火力による連撃。それは、ダイマックスして、さらにメガシンカをしたうえでもかなりのダメージを受ける攻撃であり、この攻撃にさらされているミュウツーたちは、思わず苦しげな声をあげる。しかも、ただダメージを与えるだけでなく、追加効果であるまひ状態も付与されたのか、攻撃を受け続けているミュウツーたちの表情が、そこからさらに苦悶のそれへと変わっていく。

 

 

「「ヌ……ォォォッ!!」」

 

 

「ピカッ!?」

 

 が、そこはさすが伝説のポケモン。これだけの不利状況にもかかわらず、全身に力を籠めるだけで、ピカチュウの全力の攻撃を相殺。空中で勢いを止められてしまい、ピタッと静止してしまったピカチュウは、無防備な姿をさらされてしまう事となる。

 

 

「「ヌオオォォォッ!!」」

 

 

 そんなピカチュウに向かって解き放たれる2人のダイサイコ。

 

 空中より真っすぐ落ちて来る2つのリング状の波動を避ける手段は、今のピカチュウには存在しない。いくら伝説のトレーナーの手持ちとはいえ、ピカチュウはピカチュウ。その体力は他のポケモンに比べれば若干の足りなさはあり、当然この攻撃だって受けてしまえば一発で戦闘不能だ。

 

「ピジョット!!」

 

 しかし、そんな危機的状況を素早く救い出すのがグリーンのピジョット。

 

 刹那の時をかけ、一瞬でピカチュウの下へと辿り着いたピジョットは、両足でピカチュウを背中からがっしり掴み、すぐさま離脱。そのまま竜巻の壁を突き抜けて、ぼうふうの範囲から外に出ることで相手のダイサイコから脱出することに成功する。

 

「やるなぁ。あれだけ『ボルテッカー』を受けてなおあれだけの反撃をしてくるか……いや、それだけダイマックスがやべぇってことだな」

「…………」

 

 そんなグリーンの言葉と共に、ダイサイコの爆発によって散らされるぼうふうの竜巻。

 

 ようやく自分たちを縛る攻撃から解放された彼らは、その怒りをぶつけるかのようにこちらをにらみながら、天から紫の球の雨と地面から岩の柱を呼び出しを再開。更に、それだけに飽き足らず、黒い球までも追加し、攻撃をさらに激化させる。

 

「『サイコブレイク』に『ストーンエッジ』、そして『シャドーボール』……攻撃のバーゲンセールだな」

 

 さっきまでの攻撃であれば避けることはそんなに難しくなかったが、そこにさらに攻撃が加わることによって、その難易度がアップ。いくら空中を自由に動けるピジョットと、岩を砕けるピカチュウの力があれども、ここまで攻撃の手が増えてしまえば避けるのは難しい。

 

 真上から落ちて来る紫の球に対して右にローリングしながら回避し、その際にアイアンテールを振ることによって下からの岩も打ち砕いたところで、真正面からピジョットの足をめがけて飛んでくる黒い球。これは羽ばたくだけでは避けられないと判断したピジョットは、慌ててピカチュウを投げ飛ばすことによって、自身の体重を軽くして機動力を上げる兼、ピカチュウを攻撃の範囲から逃すという2つの目的を同時に達成させ、黒い球からの攻撃まで何とか回避に成功。が、ピジョットは自由に動けるようになった代わりに、投げられたピカチュウはまたもや無防備な状態をさらすことに。

 

 そんな隙を見逃すミュウツーたちではなく、今度は無防備になっているピカチュウに向かって黒色の球を乱射。ボルテッカーによって傷つけられた恨みを返すかのように、ありったけの攻撃を飛ばしてくる。

 

 またもやピカチュウを襲っていく危機的状況。しかも今回はピジョットが離れるように移動しているため、ピカチュウを助けることが出来ない。

 

「…………」

 

 が、それでもレッドの表情は一切変わらない。

 

 なぜなら、ピカチュウを助けるために、別の影がすでに動いているから。

 

「グアァッ!!」

「ピカッ!!」

 

 その影は、赤い翼を広げてピカチュウの下へ駆けつけ、両腕でしっかりと抱きしめた後にすぐさま飛翔。安全な位置まで移動したことを確認したところで自身の背中に移動させ、そのまま高度をぐんぐん上へと上げていく。

 

 そのポケモンの正体はリザードン。

 

 ピカチュウと並ぶレッドの切り札のもう1人が、声をあげながら天空を舞っていく。

 

 

「「ッ!!」」

 

 

 高度を上げていくリザードンを視界に収めたミュウツーたちは、この行動を咎めるためにサイコブレイクを乱射。紫色の念動弾を何発も発射し、自由に行動をさせないようにしてきた。

 

 リザードンに迫っていく一撃必殺の火力の壁。そのどれか1つにでも当たってしまえば、墜落は免れない攻撃の弾幕は、しかしリザードンに到達する前に、巨大な根っこに全て受け止められる。

 

「フシギバナ!!その調子でもっと『ハードプラント』だ!!」

「バナァッ!!」

 

 リザードンを守るように伸びてきた根っこの正体は、フシギバナのハードプラント。

 

 此方もまた、グリーンが誇る自慢のポケモンの一角。そのポケモンによる強力な草タイプのエネルギーが、巨大な根となってありとあらゆる方向に張り巡らされ、ミュウツーたちの攻撃を阻害していく。

 

 この2人こそが、先ほどレッドとグリーンが握り締めたボールの中にいたポケモンであり、先ほどピカチュウがボルテッカーで大立ち回りを見せていた時に呼び出されたポケモンだ。

 

「ピジョットは『ぼうふう』でフシギバナは『ハードプラント』!!」

「…………」

 

 役者はそろった。ここから一気に攻めに転ずるべく、ピジョットは羽を羽ばたかせて嵐を起こし、フシギバナは至る所に根っこを伸ばし、小さな森を作り上げていく。

 

 巻き起こった嵐は落ちて来る紫の球を跳ね上げ、地面から伸びる強靭な根っこは、生えて来る岩の柱を抑制する。これによって、ミュウツー側から飛んでくるのは黒色の球のみとなる。

 

 ここまで攻撃の手が休まれば、対処できないなんてことはない。

 

「ピカッ!!」

「グアァッ!!」

 

 張り巡らされた木の根を足場に駆けまわるピカチュウと、根っこの隙間を飛び回るリザードン。

 

 片方はでんこうせっかにて駆け回ってミュウツーへの距離を縮めていき、もう片方は、隙間を飛び回りながらだいもんじを発射。飛んでくる黒い球に対して的確に放つことによって相殺し、ピカチュウが駆け抜ける道を作り上げる。

 

 道が開けたところで、再びボルテッカーを発動したピカチュウは、全身を電気に包みながら突進。木の根とだいもんじ、そしてシャドーボールがぶつかり合うカオスな空間をものともせず走り抜けたピカチュウが、再びミュウツーの下へとたどり着く。

 

 

「「ヌオォォッ!!」」

 

 

 しかし、向こうもただでやられるわけにはいかない。

 

 電気のはじける音を聞いて、再びボルテッカーが来ることを予想していたミュウツーたちは、Yは両腕にサイコブレイクの、Xは頭部にしねんのずつきの準備を整えて向かえ打ってくる。

 

 いくらピカチュウの火力が高いとはいえ、相手も自慢の技を全力で構えており、そこにダイマックスによるパワーが加わるということを考えれば、打ち勝つことはまずできないだろう。

 

「フシギバナ!!『ハードプラント』!!ピジョットは『ぼうふう』!!」

「…………」

 

 しかし、ピカチュウは1人で闘っているわけではない。

 

 ピカチュウの後ろを追いかけるように、根と風、そして焔が飛んできて、次々とミュウツーたちに突き刺さっていく。

 

 ピカチュウのボルテッカーに対して準備を整えていた2人にとっては、この攻撃は予想していなかったもので、そのうえで無視するわけにもいかないものだ。そのため、サイコブレイクを構えている両腕を前に突き出してぼうふうとだいもんじを、しねんのずつきを構えている頭を振ることによってハードプラントを相殺して、何とか被ダメージを抑えていく。

 

 しかし、そうなってしまうとピカチュウのボルテッカーを止めるものは何もなく、2人のミュウツーのお腹に一発ずつ、強烈なタックルが突き刺さることとなる。

 

 

「「ヌゥ……ッ」」

 

 

 突き刺さる強烈な痛みに苦悶の声をあげるミュウツーは、それでも反撃をするためにすぐさまエネルギーを溜めるが、その準備が整う前にピカチュウはリザードンによって回収されており、既に攻撃の射程範囲外に逃げられていた。

 

 正しく一方的。

 

 ミュウツー側の攻撃は届かず相手の攻撃は受け続ける。

 

 気性が荒く、目の前のポケモンを倒すことしか考えていないとされるこのポケモンにとって、自身の攻撃が通じないというのはこの上なく尊厳を傷つけられる、許されない現象だ。

 

 このまま終わるわけにはいかない。

 

 

「「ヌ……オオォォォッ!!」」

 

 

 ここまで何も出来ないことにイラつき、力をため込み、さらに暴走させていくミュウツー。

 

 その力は周りに放出していいないのに、ため込むで周囲の空気を震わせ、独特の緊張感を漂わせていく。

 

 普通の人どころか、ジムリーダーたちですら尻込みするであろうその迫力。が……

 

「あちらさんもやる気みたいだな……んじゃあ、おれたちもギア上げるか!!」

「…………」

 

 やはりこの2人の表情は変わらない。

 

 力をため込むミュウツーを前に、石が埋め込まれたバングルを掲げながら、いつも通りの声色で言葉を発するグリーンと、その彼の言葉に頷くレッド。

 

「グアアァァァッ!!」

「バナアアァァァッ!!」

 

 そのバングルが掲げられると同時に、リザードンとフシギバナが虹色の光に包まれ、レッドとグリーンのバングルから放たれる光と繋がっていく。

 

 辺りに広がるのは、ミュウツーたちにも負けないほどの力の奔流。

 

 虹色の卵のようなものに包まれたリザードンとフシギバナは、その中でどんどんと力を溜め、溜まり切ったと同時に解放。虹色の卵を内側からやぶるように姿をさらし、さらに大きな雄たけび声をあげていく。

 

 リザードンは体色を黒色に変え、翼が巨大化。そして口から青色の焔を零し、今すぐにでも暴れださんとする力強い姿に変化し、フシギバナは頭部とお尻の部分に新しく花が咲き、背中に合った花は更に成長して小さなヤシの木とでも呼べるようなものへと成長。そして、これらの花たちを支えるべく、足腰も強靭なそれとなり、さらにどっしりとした頼もしい姿へと変わっていった。

 

 メガリザードンXとメガフシギバナ。

 

 ミュウツーと同じく、進化を越えたメガシンカを果たした2人が、ピカチュウとピジョットと共に、目の前の敵に向かって真っすぐ視線を向けていく。

 

「さぁ、最終ラウンドのスタートだぜ!!」

「…………」

 

 揃った役者の後ろに控える伝説のトレーナー2人。

 

 彼らの浮かべる笑顔は、どこまでも自身の勝利を疑っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




と言うわけで、前書きでも言った通り、今回が今年最後のお話です。

今年もこの作品がお世話になりました。来年もよしなにしていただけたら嬉しいです。

では、よいお年を。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。