【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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335話

「エンペルト!!トゲキッス!!」

「キキィ!!」

 

 決意を新たにしたところで、まず動きだしたのはエンペルトとトゲキッス、そしてサンダーの3人。

 

 黒のポケモンを中心に据え、その周りを雷の音を放ちながら走り回るサンダー。そんな彼が攻撃をするタイミングを作り出すために、エンペルトたちが攻撃を放つ。

 

 

「ズアァァッ」

 

 

 これに対して黒のポケモンはダイロックを行い、自身の前に巨大な壁を建設。ハイドロポンプとエアスラッシュを受け止め、そのまま壁をこっちに向かって倒してくる。

 

「ミミロップ!!エテボース!!マンムー!!」

「ギャォ!!」

 

 この岩に対してこちらは、ミミロップがおんがえし、エテボースがダブルアタック、マンムーがつららおとし、そしてファイヤーがもえあがるいかりを放って迎撃。大きな岩の壁の真ん中に風穴を開けて、攻撃が通るようにした。

 

「フォォッ!!」

 

 その穴の中を突き抜けて飛んでいく、フリーザーのいてつくしせん。

 

 岩を撃ち抜いた時に起きた砂埃が目隠しとなって、奇襲の形で飛んでいったこの攻撃に対して、黒のポケモンはほんの少し反応がおくれ、両腕をクロスして防御するしかなくなった。

 

「キィッ!!」

 

 黒のポケモンが両腕を使えない今がチャンス。そう捉えたサンダーがすかさず飛び込み、両足による連撃態勢へと突入。いくらこうかがいまひとつとは言っても、積み重なれば大きなダメージになる。そんな気持ちが込められたその行動は、ネクロズマに対して大きなプレッシャーとなる。

 

 

「ズ、ズアァッ!!」

 

 

 これは早く対処しなくては。そう感じたらしい黒のポケモンは、慌てて両腕にシャドークローをまとっていてつくしせんを弾き、飛びかかってくるサンダーに向かい合う。

 

 まずはサンダーによる、右足のなぎ払い。

 

 右から左に、地面と水平に繰り出された一撃は、電撃をまといながらかなりの速度で打ち出される。

 

 対する黒のポケモンは、右腕を同じように振るってぶつけ合い、この攻撃を相殺。これによってお互いの足と腕は弾かれ、少しバランスを崩す形となる。

 

 

「ズア!!」

 

 

 となれば、先に態勢を取り戻すのは腕による攻撃をしていた黒のポケモン。

 

 足と違って、回転力の高い腕による攻撃をしていた黒のポケモンは、まだ空いている左腕を下から掬い上げるように振るった。

 

「キ……ィッ!!」

 

 黒のポケモンに対して、1手遅れて態勢を戻したサンダーは、防御するのは諦め、むしろこの攻撃に自分から突っ込む。が、別にわざと攻撃を受けに行った訳ではなく、下からアッパーのように上げられている相手の左掌の上に一瞬着地しに行き、上に上げられている勢いを利用しながら自分もジャンプ。こうすることで、相手の攻撃を避けながら、黒のポケモンの目の前まで飛んでいく。

 

 

「ズアッ!?」

 

 

「キキッ!!」

 

 急に目の前に近づかれたことに、黒のポケモンが驚いているところを見たサンダーが、その場で前宙返りをし、その勢いを乗せたまま、右足で渾身のかかと落としを繰り出す。

 

 両腕の防御が間に合わない黒のポケモンは、これに対して頭部にサイコエネルギーを纏うことで斥力を放ち、ギリギリの所で受け止める。

 

 踵とエネルギーの鍔迫り合い。

 

 タイプ相性では黒のポケモンが有利ではあるものの、威力においてはサンダーの方が数倍高い。それに、サンダーはしっかり技を放っているのに対し、黒のポケモンはただエネルギーをまとっているだけ。そのせいで、いつもなら簡単に弾けるはずなのに、止めるのに精一杯になっている。このまま行けば、いずれサンダーが押し切れるだろう。

 

 けど、そんな時間待ってられない。

 

「ダメ押し!!『ほっぺすりすり』!!」

「パチッ!!」

 

 サンダーの背中からひょこっと顔を出したパチリスがジャンプし、黒のポケモンの身体にひっつき、ほっぺを押し付けながら電気を放った。

 

 

「ズアッ!?」

 

 

 同時に起きた、小さなバチッと言う音は、黒のポケモンに微量の電気ダメージとともに、まひを付与。鍔迫り合いをしている最中、その集中力を削ぐ出来事が襲っていった。

 

 これにより、頭にまとっていた斥力の力はなくなり、痺れによって動きも一瞬硬直。黒のポケモンに、明確な隙が生まれる。

 

「キキィッ!!」

 

 

「ァァッ!?」

 

 

 そこに振り下ろされるかかと落としは、黒のポケモンに大きなダメージを与えて下がらせることに成功する。これによって、ほっぺすりすりで生まれた小さな隙は、ダメージによって怯むというもっと大きな隙に変更され、こちらの攻撃が加速する結果になった。

 

「エンペルト!!マンムー!!」

「ギャォ!!」

「フォォ!!」

 

 追撃として飛んでいくのはハイドロポンプ、つららおとし、もえあがるいかり、いてつくしせん。

 

 どれもこれも単体でさえ強い技がまとめて黒のポケモンに放たれる。

 

 これだけの技が直撃してしまえば、いくらダイマックスポケモンであろうとも、耐えることはかなり難しいであろうそんな攻撃たちが、寸分の狂いもなく突き進む様は、誰の見てからも脅威に映る。

 

 

「ズアァァッ!!」

 

 

 その技たちを抑えるべく、黒のポケモンが放った技はダイサイコ。

 

 空中より落ちてきたリング上の波動は、こちらが放った技たちをことごとく打ち消し、その上で貫通して襲いかかってくる。

 

「ちょ、威力高すぎ━━」

「ギャォッ!!」

 

 その威力の高さに驚いて反応が遅れてしまい、あわや技の直撃を貰ってしまうというところで、前に出てくれたのはファイヤー。どれだけ威力が高かろうが、あくタイプを内包する彼にとっては、この攻撃は効果がないものだ。それはダイマックス技であろうとも変わることはなく、ダイサイコはファイヤーに触れた瞬間かき消される。

 

「ありがとう。助か……」

 

 

「ズ、アアァァッ!!」

 

 

「ッたく、息付く暇もないわね!!マンムー!!エンペルト!!」

 

 わたしたちを庇ってくれたファイヤーにお礼を言っている最中に、さらに全身を輝かせる黒のポケモン。その様から、またあの虹色の雨が来ることを察したわたしは、すぐさまマンムーとエンペルトに迎撃の準備を指示。この準備が終わると同時に雨が放たれ、一斉に襲いかかってきた。

 

 無差別範囲攻撃であるこれは、さすがにファイヤーだけでは止められない。かと言って技で相殺も難しいので考え方を変えて、マンムーとエンペルトで氷の壁を作り、盾とすることで難を逃れようとしてみる。この間に3鳥のみんなも技を放って、少しでも雨の数を減らそうと頑張っているから、耐え切るくらいなら出来るはずだ。

 

 けど、そんなわたしの考えはあっさりと崩される。

 

「きゃぁ!?」

 

 あれだけ厚く作り上げた氷の壁はまさかの全損。大部分を抑えはできたものの、それでもいくつかの光線は壁をつきぬけてこちらに到達し、何発かがみんなに直撃する。

 

「……っ、マンムー!!エテボース!!」

 

 この攻撃により、マンムーとエテボースが脱落し、他のみんなも少なくないダメージを追ってしまう。

 

 いきなり戦力を削られてしまったことに、わたしのポケモンたちに動揺が走り、隙が生まれる。

 

「みんな落ち着い……」

 

 

「ズアァッ!!」

 

 

「キキィ」

「ギャォ」

「フォォ」

 

 そこに追撃を送ろうと技を構える黒のポケモンと、その攻撃からわたしたちを守ろうと前に出る3鳥たち。

 

(本当に助かるわね。この間に少しでも態勢を……)

 

 

「ズアァッ!!」

 

 

「「「っ!?」」」

「え?」

 

 これでまだ立て直せると感謝したわたしだったのだが、どうやらファイヤーたちが庇うのを最初から予想していたらしい黒のポケモンは、最初からわたしではなく彼らを狙っていたらしい。その証拠に、今解き放たれた技は、ひこうタイプを有する彼らに大ダメージを与えられる、パワージェム。

 

 唯一サンダーのみが何とか抗えはする攻撃だけど、わたしを守ろうと前に出てきたタイミングに合わせて打ち出されたこの技は、不意打ち気味に彼らに襲いかかってしまい、対抗する前に岩の雨が降り注いできた。

 

 結果、その雨に撃たれた3鳥たちは揃って地面に落とされて大ダメージを負ってしまい、倒れた彼らにトドメを刺さんと黒のポケモンが近づいていく。

 

「っ!!ミミロップ!!トゲキッス!!」

 

 

「ズアァッ!!」

 

 

 そんな彼らを今度はわたしが助けるべく、ミミロップとトゲキッスを向かわせ、とびはねるとエアスラッシュで攻撃を行う。が、こちらの攻撃に素早く反応した黒のポケモンは、両腕にシャドークローをまとってすぐさまガード。明確なダメージを与えることは出来ず、逆に黒のポケモンから輝く光球を放たれ、カウンターの形となって直撃。逆にミミロップとトゲキッスを戦闘不能にまで追い込まれる形となってしまう。

 

「……まずいわね。ここまで強いなんて」

 

 形勢が、一気に不利へと傾いていく。

 

 打開策を考えようにも、わたしにはメガシンカもダイマックスもないため、できる範囲で工夫するしか方法がない。だけどその方法も、現在エンペルトとパチリスしか残っていないため幅がなく、取れる行動に制限がある。

 

(何か……何かないの……?この状況を打破できる何か……!!)

 

 必死に頭を働かせるものの、そんな劇的な1手なんて簡単に思いつかない。

 

 そうこうしているうちに黒いポケモンは、足をゆっくりとナックルシティの方面へ向け始めた。

 

 どうやら、まだ夜にポケモンを諦めていないらしい。

 

(こっちがもう死に体だから興味を無くし始めてるって訳?くっ、何とかして興味を引き続けないと……)

 

 このまま放ってしまえば、ただでさえムゲンダイナの件でパニックになっている街の人が、さらに混乱の中に落とされる。それだけはなんとしてでも阻止しなくてはいけないのに、パチリスとエンペルトが今攻撃をしたところで、ミミロップとトゲキッスのように反撃されておしまいになる未来しか見えない。そのせいでなかなか手が出せず、どうしても指示を躊躇してしまう自分がいた。

 

(躊躇したところで何も変わらないってのに、何しても裏目になるに未来しか見えない……)

 

 どう動くのが最善なのかが全く分からないけど、なにかしなくちゃ始まらない。そんな考えがどんどんわたしを焦らせる。

 

(本当にどうしよう……)

 

「ギャォッ!!」

「っ!?」

 

 そんな堂々巡りな考えをしていたところに聞こえてきたのは、ファイヤーの怒ったような咆哮。

 

 ここまで攻撃を受けたことに対して、まるで逆ギレをするかのように怒声を上げた彼は、自身の身体をほんのり赤く光らせ、能力を上げながらもえあがるいかりを解き放つ。

 

 威力が少し上がったその技はさすがに受けられないと判断した黒のポケモンは、しかしこの攻撃も、パワージェムを盾のように展開することで防御。ファイヤーの攻撃は当たることなく、そしてもう自分の脅威にならないと判断した黒のポケモンはいよいよナックルシティの方へ進み始めた。

 

 その一幕を見たわたしは、今起こったことの現象の理由を思い出す。

 

(特性が発動したのね……)

 

 ぎゃくじょう。

 

 体力が半分を切った時、攻撃を受けた怒りを持って、自身のとくこうを強化する特性。

 

 わたしが戦った時もしっかりと発動したこの特性を思い出し、あの時も嫌だったなぁなんて、少し場違いなことを思い出す。

 

(ああいう特性は1度嵌ったら、そのまま流れを持っていくものがあるもの……ね……?)

 

 と、そこまで考えた時、あることを思い出したわたしは、今残っているポケモンたちに目を向けていく。

 

(エンペルト……サンダー……フリーザー……っ!!これよ!!)

 

 頭の中を急に駆け巡る、この状況の打開策。それを思いついたわたしは、すぐさまパチリスに向かってことを指示を出す。

 

「パチリス!!味方に向かって……いえ、これじゃあダメね。今だけエンペルトたちを()()()()()()『なきごえ』よ!!」

「パチ!?」

「いいから!!お願い!!」

「……パチッ!!」

 

 わたしからの急な言葉に混乱した声を上げるパチリス。

 

 気持ちは分かる。わたしだって、理由がわからなかったら、何言ってるんだって顔をすると思うから。けど、今この状況を打破するにはこれしか手がない。エンペルトたちに対して敵対心を持つことによって、てだすけによるサポートすら出来なくなってしまうけど、今のパチリスはてだすけするより、こっちの方がもっとみんなを助けられるから、そう命じる。

 

「パ、チィィィッ!!」

「ペルッ!?」

「キィッ!?」

「フォッ!?」

「ギャオッ!?」

 

 響き渡るパチリスの大きななきごえ。それは相手を威嚇するかのように圧を持ってエンペルトたちに直撃。全員の身体が薄く青色に光り、攻撃を等しく下げていった。

 

 急なデバフ付与。これにはエンペルトたちも驚き、なんで?という表情を浮かべる。

 

 当然だろう。味方だと思っていた人から急に威嚇されたのだから。

 

 まさにとち狂っているとしか言いようがない状況。ただでさえ追い込まれているのに、何をやっているんだって怒られても仕方ない出来事。

 

 けど、これこそが、この状況を打破する1手になる。

 

「ぺ、ルゥゥッ!!」

「キキィィィッ!!」

「フォォォッ!!」

 

 なきごえを受けたメンバーのうち、ファイヤー以外の3人が、身体を薄く赤色に光らせながら声を上げた。

 

「来た!!」

 

 急な能力成長。その正体は、3人の特性である『かちき』と『まけんき』によるもの。

 

 この特性は、自身の何らかの能力を相手に下げられた時に、かちきは特攻を、まけんきは攻撃をぐーんと成長させるという能力。

 

 なきごえによって攻撃を下げられた3人は、それに対抗するためにこの特性を発揮し、自身を成長させ、黒のポケモンへと向かい合う。

 

 これこそが、わたしが思いついた唯一の打開策。

 

「パチリス!!もっと『なきごえ』よ!!」

「パッ、チィィィッ!!」

 

 わたしに考えに気づいたパチリスは、迷うことなくなきごえを連打し、エンペルトたちの攻撃をどんどん下げていく。すると、それに対抗するように、下げられた分の倍の速度でエンペルトたちは、自身の力を成長させていく。この中では唯一そういう特性を持っていないファイヤーも、横でわるだくみを行うことで自身の能力を磨き、気づけばここにいる全員の能力が、最大まで強化されていた。

 

 さぁ、準備は整った。

 

「まだ、終わってないわよ!!こっちみなさいよ!!『ハイドロポンプ』!!」

「ギャオォォッ!!」

「キキィィィッ!!」

「フォオォォッ!!」

 

 能力が限界まで育ったポケモンたちによる攻撃。

 

 ハイドロポンプ、もえあがるいかり、らいめいげり、いてつくしせん。

 

 各々が得意とする技を、全力を持って解き放つ。

 

 

「ズア?……ッ!?」

 

 

 興味をなくしていた相手から飛んできた攻撃群。

 

 最初こそは、『まだあきらめてないの』なんて、依然興味のなさそうな態度をとっていたものの、技が近づいてくるにつれて、その技の威力に気づき、慌てて両腕をクロスして防御態勢。

 

 舐めていたせいで行動が遅れたため、技で相殺ができなかったがゆえの行動。その代償は大きく、ガードした腕の上からたたきつけられた強力な圧力は、防御を貫通してダメージが刻まれる。

 

「いくらでも舐めてもらっても構わないけど、その代償は高く払ってもらうわよ!!」

「ギャオォッ!!」

 

 黒のポケモンの興味を再びこちらに引き付けた所で、わたしの声に続くように叫んだファイヤーが翼を動かして風を発生。

 

 その風はわたしたちの背中を優しく押し、前に進むための手助けをしてくれるおいかぜとなる。

 

「『れいとうビーム』!!」

「フォォッ!!」

 

 その風に身を委ね、高速で動き回ったエンペルトとフリーザーは、黒のポケモンの両側からそれぞれ、氷の光線と白の光線を発射。かちきによって最大まで強化されたそれらの攻撃は、黒のポケモンを挟むように迫っていく。

 

 急に上がったバトルスピードに驚いた黒のポケモンは、またしても行動が1歩遅れ、両腕にシャドークローをまとってガードするのがギリギリになる。

 

 

「ズ……アァッ!!」

 

 

 それでも無理やり力を込めて、何とか攻撃を受けきった黒のポケモンは、この動きが功を奏して、ダメージを最小限に抑えることに成功。そこから反撃するためにすぐさま腕を動かそうとする。……が。

 

 

「ズアッ!?」

 

 

 その肝心の両腕が、凍ってしまって動かせなくなった。

 

 れいとうビームもいてつくしせんも、相手をこおり状態にする追加効果を持つ技だ。その追加効果が今発揮された。

 

「ギャオォォッ!!」

 

 急に使い物にならなくなってしまった両腕に困惑しているところに迫っていくのはファイヤー。

 

 わるだくみによって同じく火力がとんでもないことになった彼が、風に乗って一瞬で距離を詰めたところで、黒のポケモンの目の前で黒いオーラを爆発させる。その姿はまるで、今まで攻撃されたことに対する憂さ晴らしをしているみたいで、正しく、もえあがるいかりという技名に相応しい圧を持って、黒のポケモンに叩きつけられた。

 

 

「ズアッ!?」

 

 

 こうかはばつぐん。

 

 ここまで来れば、たとえダイマックスしていようがお構い無しに、大ダメージとなって襲いかかってくる。

 

 両腕は固まって動かず、身体は今の攻撃でボロボロ。おかげで、もう少しで倒れそうな所まで追い詰めることに成功していた。

 

 

「ズ……アァッ!!」

 

 

 だが、それでもまだ、夜のポケモンを諦めていないらしい彼は、全身を虹色の光に包み込み、自身の最も信頼をおける技を持って、この状況を打破するつもりらしい。

 

 黒のポケモンを包む光が、どんどん強くなっていき、辺りを虹色に染めていく。

 

 この力が解き放たれたら、この辺りの地形はとんでもないことになりかねない。下手をすれば、近くの預り屋さんまで巻き込んでしまう勢いだ。

 

 確かに、能力が育ちきっている今のみんななら、この攻撃にも抗えるかもしれない。けど、肝心の育て屋さんがダメになってしまえば実質負け。なんの意味もない。だから、この力が溢れる前にどうにかしないといけない。

 

「キキィッ!!」

 

 最も、そんな事をわざわざ言わなくても、ここにいるみんなはちゃんと理解してくれているから、一切の心配が必要ないのだけど。

 

 懐まで駆け込んだサンダーが、集中している黒のポケモンに対して雷の速度で蹴りを放つ。

 

 その対象は、凍ってしまってろくに動かせない両腕で、各腕に対し、一撃ずつ強力なものが叩き込まれた。

 

 

「アァッ!?」

 

 

 その2撃は、本来ならこうかはいまひとつなはずなのに、凍って使い物にならないと意識していなかったことと、蹴り砕かれたことによって飛び散った氷の破片が突き刺さってきたせいで、想定以上のダメージとなって黒のポケモンに襲いかかっていく。

 

 このダメージは、既に体力をかなり失っている黒のポケモンにとってはとても重く、その証拠に、虹色の光は霧散し、せっかく溜めていた力がなくなっていくのを感じる。

 

 決めるなら、ここしかない。

 

「エンペルト!!『ハイドロポンプ』!!」

「ペルッ!!」

「ギャオッ!!」

「フォォッ!!」

「キキィッ!!」

 

 最大出力。

 

 痛みで動けない黒のポケモンに対して、全力のハイドロポンプともえあがるいかり、そしていてつくしせんが飛んでいき、そして上空からは、先ほどの蹴りの反動で高く跳びあがった場所から、まさしく雷と化したサンダーがらいめいげりを構えながら高速落下。

 

 磨きあげられた4つの技が混じり、黒のポケモンへと突き刺さり、大爆発を巻き起こした。

 

 

「……ッ!?」

 

 

 舞う砂塵と衝撃音、そして風圧は、黒のポケモンの悲鳴すら飲み込んで荒れ狂う。

 

「パチィッ!?」

「くっ……これで……どうよ!!」

 

 その風圧を身体に受け、思わず倒れそうになるも、相手の戦闘不能を確認のせずにそんなことは出来ないと気合を入れ、パチリスを飛ばされないようにしっかり抱えながら前を向く。

 

 そんなわたしの言葉に対して、答え合わせをしてあげようと言わんばかりに払われていく砂埃。

 

 その光景を、固唾を飲みながら見つめるわたし。そこには……

 

「ズ……ア……」

 

 目を回し、ダイマックスも解かれ、完全に戦闘不能となった黒のポケモンの姿があった。

 

「………………はぁ〜……、勝てたぁ……」

 

 その様子を見て、ようやく夜のポケモンと育て屋さんを守れたことを理解したわたしは、緊張感が解け、思わず腰を落としてしまう。

 

「漫画とかヒーローなら、ここですぐ起き上がって、フリアたちを追いかけていくところなんでしょうけど……」

「ペル……」

「パチチ……?」

 

 ふと横に視線を向ければ、ぐったりと座り込むエンペルトと、心配そうに声をかけるパチリスの姿があり、さらに向こうには、地面に足をつけて、羽を休めて休憩している3鳥の姿も確認できた。

 

 幸い、黒のポケモンが暴れたせいで辺りが荒れたことにより、野生のポケモンの進撃は止まったものの、この状況もいつまで保ってくれるか分かったものでは無い。

 

 ブラックナイトは、まだ終わっていない。安心するのはちょっと早い。

 

「さすがに追いかけるのは無理ね……わたしも休憩が必要だわ……」

 

 以上のことから、わたしはナックルシティに行くことは諦め、ここに残ることを選択する。

 

「頼んだわよ……フリア……みんな……」

 

 ひと時の休みに息をつきながら、わたしはナックルシティを見つめ、そっと言葉を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒカリ&ガラル3鳥VSネクロズマ

 

 勝者、ヒカリ&ガラル3鳥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かちき、まけんき

実機では、相手からの技でないと発動しませんが、アニポケ時空だとこのあたりの判定はどうなるのでしょうか?きになりますね。




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