【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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337話

 辺りに響く衝撃と爆発音。

 

 その規模は凄まじく、飛ばされないように顔を覆いながら立っておくのが精一杯な状況となっているこの場は、爆発音のせいで音は聞こえず、爆発の光で目も見えず、一切の状況確認ができない状態となってしまっていた。

 

(こんな力……どこに隠して……っ)

 

 彼が得意技としていた緑の雨と比べてもその威力の差はとてつもなく、ディアルガのときのほうこうと同じ……いや、それよりも威力が高く見えるこの攻撃に、おれたちは何もすることが出来ない。

 

(せめて……1人でも多く無事でいてくれ……)

 

 もはや祈ることしか出来ないこちら側は、仲間のみんながちゃんと地面に足をつけている姿を願いながら、この爆発が収まるのを待つ。

 

 そんな不安な時間を抱えながら耐えること1分弱。

 

 無限にも思えたこの時間もようやく終わりを告げ、周りの音と景色が返ってきたのを感じたおれは、ゆっくりと目を開け、耳を傾け、顔を覆っていた腕を外した。

 

 

「ジッ……ガアアアァァァッ!!」

 

 

「……これが……伝説の本気か」

 

 そんなおれの視線に入ってきたのは、おれを悲しませまいと、ギリギリの体力で持ちこたえているおれの手持ちのポケモンたちと、何人か倒れているジュンのポケモンたちの姿だった。

 

 正確に言うと、おれの手持ちはドダイトスが根っこを伸ばすのがなんとか間に合い、ドダイトスと近くにいたブーバーンがそこそこのダメージに、そして、今の攻撃がドラゴンタイプだったらしく、ピクシーはノーダメージに抑えられたものの、他の子は全員ギリギリの状態。おれのポケモン特有の現象があった上で半壊状態で何とか耐えていた。

 

 そして、そんなおれ特有の現象を起こせないジュンの手持ちは、もっと酷いことになっている。

 

「くっ……みんな、戻って休んでくれ」

 

 エンペルトとカビゴン以外は戦闘不能。そして残った2人に関しても、かろうじて耐えているだけという感じで、その姿はおれのポケモンのギリギリで耐えてくれている状態と対して差がない。

 

 全滅とまでは行かないが、壊滅状態となったうちのパーティ。それがたった一撃によって引き起こされてしまったことに、思考が追いつかず、思わず硬直してしまう。

 

「これ……どうすればいいんだ……」

「……」

「おい、コウキ!!」

「っ!?」

 

 そんな放心状態のおれを、ジュンの言葉が現実に引き戻す。

 

 こんな状況でも何とかいつものテンションを維持しているジュンに感謝しながら、おれは頭を再起動してジュンに返答する。

 

「……とりあえず、またあの攻撃をさせる訳には行かない。止めないと……」

「ああ!!エンペルト!!『ハイドロポンプ』!!カビゴンは『じしん』だ!!」

「ガブリアスは『じしん』!!ピクシーは『アシストパワー』!!」

 

 再び胸元に光を溜めようとしていた緑の巨人に対し、とにかくあの攻撃を阻止するために攻撃を開始。現状放てる最高火力を持って、相手の行動を阻害しようと試みる。が……

 

 

「ジガガ……」

 

 

「まるで効いてないぞ!?」

「姿が大きくなって耐久も上がってるのか……」

 

 まるで効いた素振りを見せない緑の巨人は、何も気にすることなく力を溜め込む。

 

 このままではまずいと判断したおれたちは、ここに更に攻撃を追加して何とか止めようとするが、それでも緑の巨人のチャージは止まることは無い。

 

(くっそ……たとえ攻撃を受けても、多分おれのポケモンは絆で耐えてくれる。が、ジュンは間違いなく戦闘不能になる。そうなってしまえば、おれ1人じゃこいつを止められない!!)

 

 おれ1人耐えられたところで、それは負けないだけであって勝てる訳では無い。そうなればこの巨人を止めることは出来ず、最悪の場合、こいつが街に行って暴れ出す可能性すら出てくる。そうなってしまえば、沢山の人が被害にあう。

 

(せめてもう少し……何かがあれば……!!)

 

 ないものねだりの気持ちがどんどん溢れてきてしまうが当然この行動に意味はなく、その間も巨人はどんどんエネルギーを溜め、次のレーザーの準備を進めていく。

 

 先の一撃とピクシーの様子からやっぱり相手はドラゴンタイプは確定で入っているとみてよく、その場合ガブリアスとピクシー、そしてマニューラが相手に致命打を与えられるポケモンということを考えれば火力自体は足りている。なのに、ピクシー以外体力がない故に全力を出せず、そのせいで相手の攻撃を止めるのが難しくなってしまっていた。

 

「ガブリアスは『げきりん』!!マニューラは『つららおとし』!!ピクシーは『ムーンフォース』!!」

 

 それでも手を止める訳には行かず、最後の悪あがきとして自分の予想を元に、弱点をつけると思われる技で全力で殴りに行く。

 

 強力だがどこか弱々しい攻撃たち。それはゆっくりと巨人に吸い込まれ、やっぱり意味の無い攻撃として散らされ、反撃される。

 

 

「ジガァッ!?」

 

 

「ガブアァッ!!」

「ニュラァッ!!」

 

「え?」

 

 そう思っていたのに、前に目を向ければ巨人の一撃は中断されており、ギリギリの体力だったガブリアスとマニューラは、さっきまでのダメージが夢だったかの如く、きれいさっぱり治っていた。

 

(いや、2人だけじゃない!!他のみんなも……!!)

 

 この事に驚いたおれは、その原因を探ろうと周りを見ると、ジュンのエンペルトとカビゴン。そして俺の他のポケモンたちも全員回復しており、みんなやる気に満ち溢れた声を上げていた。

 

「おいコウキ!!回復技あるなら最初から言ってくれよな!!」

「いや、おれは何もしていな……ん?」

 

 その様子を見て、ジュンはおれが何かをしたと思ったらしく、嬉しさ半分不満半分といった感情でおれに詰め寄ってくる。が、当然おれは何もやっていないので、この言葉に対して否定をしながら視線を動かす。

 

「リリィ?」

「君は……」

「ん?アブリボンじゃないか!!」

「アブリボン?」

 

 すると、おれの目の前で翅の生えた小さなポケモンがホバリングしており、その子に声をかけたところ、隣のジュンが嬉しそうな、そしてどこか納得したような声をあげながらアブリボンに近づく。

 

「お前の『かふんだんご』でみんなを助けてくれたんだな!!ってことは……」

「お〜い!!ジュ〜ン!!」

「大丈夫ですか〜!!」

「やっぱり!!ホップ、ユウリ、来てくれたんだな!!」

 

 みんなが回復した理由をジュンの口から聞いて納得したところで、さらに響いてきた人の声。

 

 上空から聞こえてきた声の正体に目を向ければ、そこにはアーマーガアに乗った2人の影。ジュンが嬉しそうな声を上げているあたり、ここで知り合った人なのだろうかと思ったものの、よくよく見ればおれも知っている人たちであり、思わず言葉が漏れる。

 

「ユウリ選手に……ホップ選手……」

 

 それは、フリアが参加していたガラルリーグで、フリアと同じように白熱したバトルを繰り広げていた選手の姿。

 

 ガラルリーグの内容に関して、最初はぼんやりとしかみていなかったから記憶があまりないけど、フリアの宣言を聞いて、おれが忘れられている訳では無いことを理解して、色がもどり始めたところからはしっかりと記憶にある。2人とも大会で凄いバトルをしていたし、ユウリ選手に関しては、フリアにあと少しで勝てそうな程のバトルを見せていた。あのヨノワールを倒したというのも、大きな印象の1つだ。

 

 そして、どこかおれに似た空気を感じる人。

 

 こうやって真正面から向かい合うと、その気配をより強く感じてしまった。

 

「あなたは……コウキさんですね?」

「あ!!フリアの言ってた現シンオウチャンピオン!!」

「っ!?」

 

『フリアの言っていた』

 

 この一言が聞こえた瞬間、反射的に身体が硬直してしまう。

 

(フリアは、おれをどんな風に紹介したんだろう……もしマイナスなあれだったら、嫌だな)

 

 おおよそ無いであろう、しかし今までの関係からあってもおかしくない可能性を頭に浮かべ、どうしてもネガティブな方向へ思考が動く。

 

 そんなおれの考えを汲み取ったのか、目の前にいるユウリ選手は、表情を柔らかくしながら、言葉を紡ぐ。

 

「あなたが、フリアがずっと追いかけている、憧れの人なんですね」

「え?」

「初めまして、私はユウリと━━」

「オレはホップだ!!よろ━━」

 

 

「ジジガガガァッ!!」

 

 

 フリアがおれに憧れている。その言葉を聞いて、別の意味で固まったおれに頭に、2人からの自己紹介がさらに注がれようとした瞬間、今度は巨人の声が響く。

 

 次から次へと詰め込まれる情報に思わず頭がパンクしそうになるけど、整理している時間なんてない。今はとにかくこの人たちが仲間であるということさえ理解していればそれでいい。

 

「おれはコウキ。助けてくれてありがとう!!そしてフリアが世話になった!!積もる話は色々あるけど……今はこいつを倒すことを優先しよう!!」

「おう!!よろしくコウキ!!これが終わったら、シンオウの話を沢山聞かせてくれよな!!」

「私も気になります!!けど、今はこっちを優先して……戦法としてはコウキさんも2人もガンガン暴れて大丈夫!!回復は任せて!!」

「ユウリとホップも来てくれたなら安心だな!!負ける気がしないぜ!!」

 

 戦力が倍になった事でこちらの士気は一気に上昇。この勢いをさらに押し上げるために、ユウリ選手とホップ選手がバングルを光らせながらモンスターボールを構える。

 

 

「守るために、助けるために!!力を貸して!!キョダイマックス!!」

「オレのはち切れる想いと……おんなじデカさのキョダイマックス!!」

「バアァァスッ!!」

「グラアァァッ!!」

 

 

 巨大化したボールから飛び出すのは、キョダイマックスしたエースバーンとゴリランダー。

 

 リーグでも大立ち回りを見せたキョダイマックスポケモンがこうして肩を並べて立つ姿は、今見ても心にくるものがある。

 

「よし、行くぞ!!『キョダイコランダ』!!」

「『キョダイカキュウ』!!」

「ガブリアスは『げきりん』でピクシーは『アシストパワー』!!」

「エンペルトは『ハイドロポンプ』でカビゴンは『ギガインパクト』!!」

 

 

「ジッ……ガァッ!?」

 

 

 ホップ選手の言葉を合図に、それぞれが得意としている且つ、高威力の技を発動。再び胸元に緑の光を溜め始めている巨人に対して、その行動を阻害するように攻撃が飛んでいく。

 

 キョダイマックス技が追加されたことによって、一気に火力が上がったこちらの攻撃だけど、流石に相手の技としっかり相殺できるほどまで高まっているとは思っていない。だからこそ、まだチャージ中で発射されていないエネルギーに無理やり技をぶつけることによってその場で爆発させ、相手に自爆ダメージを与えていく算段。その狙い通り、沢山の攻撃を受けて不発となった衝撃は、ガブリアスのような近接キャラも巻き込まれてはいるものの、相手に大きなダメージを与えることに成功した。

 

「アブリボン!!『かふんだんご』!!」

 

 そして、巻き込まれたダメージはアブリボンが素早く回復。これでこちらだけが有利のあいこになる。

 

「ミロカロス!!『ねっとう』!!」

「ウッウ!!『なみのり』!!」

 

 此方の態勢が整ったところで、緑の巨人の目の前に大量の水を一気に送り込む。

 

 先ほどと比べて威力は抑え目なため、ダメージ自体はそんなに入りはしないもの、視界を一気に襲ってくる水は緑の巨人の情報源の1つを確実につぶしていく。

 

「ガブリアス!!」

「エンペルト!!」

 

 目をつぶされて怯んでいる緑の巨人。そうやって彼が隙を見せている間に、左右に別れたガブリアスとエンペルトが巨人を挟み込む位置に移動。

 

「『じしん』!!」

「『ハイドロポンプ』!!」

 

 そこから放たれる2人の得意技。

 

 これに対し、目が見えないながらも音で攻撃に気づいた巨人は、自分の左右に腕を伸ばして緑の雨を発射。左右に豪雨のごとく降らせることで衝撃をまき散らし、ハイドロポンプとじしんの両方を受け止めていた。

 

 目が見えないのなら音で。その機転はすさまじい。

 

「けど、相殺のための破壊音のせいでもう耳も聞こえないだろ!!『キョダイコランダ』!!」

「一気に攻めさせてもらうよ!!『キョダイカキュウ』!!」

 

 が、相殺させることこそが目的のおれとジュンの行動をしっかりと汲み取ってくれた2人が、ここでキョダイマックス技を発動。目も耳も機能していない緑の巨人にしっかりと突き刺さり、明確なダメージとなって刻み込まれた。

 

 

「ジガ……ッ!!」

 

 

 大ダメージのせいで後ろに下がっていく巨人は、しかし右手を地面につけることでその動きを抑制。ピタッと止まったところで、空いている左腕を地面にたたきつけてダイロックを発動し、巨大な岩の石板を作り出していく。

 

「「カビゴン!!」」

「ガブリアス!!」

「「「『じしん』!!」」」

 

 此方の目の前に反り立つ大きな岩壁。このままではこの岩壁につぶされてしまうので、こちらも対応するべく3人がかりでじしんを発動。立つことすらままならない強烈な揺れは、岩壁が倒れる前に完全に粉砕され、巨人の技の発動を未然に防いだ。

 

 

「ジガァ!!」

 

 

「っ!?次が来るぞ!!」

 

 が、どうやら向こうもダイロックが防がれることは百も承知だったらしく、岩壁で視線が遮られている間にジャンプしていた巨人が、両腕に茶色のオーラを纏った状態で急速落下。両手を組み、まるでハンマーを振り下ろすかのように地面にたたきつけることでダイアースを発動させ、こちらが3人がかりで起こしたじしん以上の揺れを叩きつけてきた。

 

「エースバーン!!『キョダイカキュウ』!!」

「ゴリランダー!!『キョダイコランダ』!!」

 

 さすがにこれはキョダイマックスポケモンじゃないと相殺できない。そう判断した2人がすかさず指示を出すことによって、炎の隕石と巨大な根っこが地面で爆ぜ、ダイアースもちゃんと相殺することが出来た。

 

 しかし、どうやら相手にとってはこのダイアースの相殺すらも念頭に入れていたらしい。

 

「まずい!!チャージしてるぞ!!」

 

 

「ジッ……ガアアァァァッ」

 

 

 ジュンの言葉につられて上を見てみると、そこには再び上空に飛びあがり、胸元に緑の光を集めている巨人の姿。

 

 今までの行動はすべて、このレーザーを討つための布石。

 

 このレーザーを止めるとしたら、キョダイマックス技を使わないととてもじゃないけど難しい。しかし、ダイマックス技は先ほど3回目を放ってしまったため、エースバーンもゴリランダーも元の大きさに戻ってしまっている。今から止めるのは難しいだろう。

 

 何よりも一番厄介なのが、相手が空中にいるという事。

 

「あんな高さにいられたら、攻撃が絶対に間に合わないぞ……」

「だからと言ってやらないわけにはいかないだろ!!『ハイドロポンプ』!!」

 

 それでもジュンは必死に抗うことを選択し、攻撃を再開。それにつられておれたちもアシストパワーやかえんボール、ドラムアタックなどを発動して、発動前に爆発させるのを狙ってみる。が、どうしても距離が空いているせいで万全の威力になっておらず、こちらの技はあちらに届く前に減衰が起きてしまい、巨人には少し当たっているものの、相手の攻撃を止めるにまでは至らない。

 

 そうこうしている間にも巨人のチャージは進んでいき、いよいよ発射準備完了の所まで進んでいた。

 

(くっ、間に合わ━━)

 

「ペアァッ!!」

「え?」

 

 もう間に合わない。誰もがそう確信したその時、どこからともなく聞こえてくる叫び声。その声に耳を傾ければ、そこには星空色の翼を広げた大きなポケモンの姿。

 

 額に月を浮かべ、広げた星空色の翼膜を真っ白に輝かせながら光を集めきったそのポケモンは、巨人よりも1歩早くチャージを終えたのか、巨人に急接近して光を解き放った。

 

 

「ジッ……ガァッ!?」

 

 

 この攻撃は、この場にいる誰もが想像していなかった攻撃。そのためこの技は、巨人のチャージを唯一止めることの出来る技となった。

 

 光線がぶつかり、緑の光は大爆発。チャージしていた巨人の目の前で起きたそれは、さっきよりも沢山の力が注ぎ込まれていたのか、おれたちが中断させた時よりも大きな威力を持っていた。

 

 緑の巨人に対し、明らかに大きなダメージが入った瞬間だ。

 

「ペアァッ!!」

「この声……うん、分かった!!」

 

 その様子に呆気に取られそうになっている時に再び響く夜のポケモンの叫び声。その言葉につられ、夜のポケモンを見ていると、この声を聞いて何かを感じとったらしいユウリ選手が、小さく頷きながら視線を巨人に戻す。

 

「あの子が『今のうちにトドメを!!』って言ってる!!だから決めるよ!!エースバーン!!アブリボン!!ミロカロス!!」

「OK!!じゃああの夜のポケモンは味方なんだな!!ゴリランダー!!ウッウ!!カビゴン!!」

「なら安心だ!!エンペルト!!カビゴン!!」

「……よく分からないけど、合わせればいいんだな?みんな、頼む!!」

 

 どうやら急に現れたあの夜のポケモンは味方らしく、この夜のポケモンが作ってくれた明確なチャンスを物にするために、すぐさま全員で一斉攻撃。

 

 自爆し、大ダメージを受け、空中に留まることが出来なくなった巨人が地面に落下しているところに次々打ち込まれるその攻撃に対して、相手はそれでも必死に両腕に緑のオーラをた纏い、クロスすることで耐えていく。

 

(本当に、凄まじい耐久だ。けど……これなら行ける!!)

 

 やがて地面に着地し、腕を思いっきり開くことによって衝撃を散らして、まだまだ戦えると戦意をみなぎらせる緑の巨人。

 

 

「ジガ……ッ!?」

 

 

 しかし、ここまでのダメージがさすがに響いたのか、ガクンと右膝を折った巨人は、右膝と右手を地面に着けた。

 

 あともう一押しだろう。

 

 

「ジッ……ガァッ!!」

 

 

 そんなことは相手も理解している。だからこそ、叫び声を上げながら全身に藍色のオーラを纏い、最後の攻撃とばかりに雄叫びをあげる。

 

 ここが正念場だ。

 

「ガブリアス!!『つるぎのまい』!!」

「ガブァッ!!」

「「「っ!?」」」

 

 雄叫びをあげる巨人に怯んでいたらしいジュンたちが、おれの指示を聞いて意識を取り戻し、同時におれが何をしようとしているのかを理解した。

 

 だからおれは、最低限の言葉だけを伝える。

 

「みんな……任せるぞ」

「……おう!!」

「ああ!!」

「うん!!」

 

 ジュン、ホップ選手、ユウリ選手と続いた返事に頷き、おれはもう一度つるぎのまいを指示。これでガブリアスの攻撃力は限界まで引き上げられた。

 

(おれだってチャンピオンの名を冠する人間なんだ。こんな時に頼れる存在でなくちゃいけないに決まっている。何より……こんなおれの背中を追って、駆けてくる奴がいるんだ。……少なくとも、そいつがちゃんとおれの隣に来るまでは……)

 

「かっこいいところ、見せなくちゃな、ガブリアス!!」

「ガブアァッ!!」

 

 おれの声を聞いて大声をあげるガブリアス。

 

 その声は図らずとも、緑の巨人とのバトルの、最後の合図となった。

 

「エースバーン『かえんボール』!!ミロカロス『ねっとう』!!アブリボンは『かふんだんご』!!」

「カビゴン『じしん』!!ゴリランダーは『ドラムアタック』でウッウは『なみのり』!!」

「エンペルトは『ハイドロポンプ』でカビゴンは『ギガインパクト』!!」

「ピクシー『アシストパワー』!!ブーバーンは『だいもんじ』でマニューラは『つららおとし』!!」

「ペアァァッ!!」

 

 

「ジッ……ガアアァァァッ!!」

 

 

 合図とともに放たれる、お互いの全力攻撃。

 

 ぶつかり合うダイドラグーンと、夜のポケモンまでもが加わった連合軍のぶつかり合い。

 

 2つの攻撃はお互いに中心で拮抗し、鍔迫り合いが発生する。

 

 ここまで追い詰めているのに、それでもなお互角。その事に、本当に伝説のポケモンの規格外さを思い知らされる。

 

(本当に凄い。けどごめんな。おれたちにも、負けられない理由がそれぞれにあるんだ)

 

 だから、この勝負を決める最後の指示を順番に下していく。

 

「フーディン、『テレポート』。そしてドダイトスは『ハードプラント』」

 

 

「ジガァッ!?」

 

 

 フーディンによって巨人の真後ろに移動したドダイトスが、巨大な根っこを操作して巨人の右足を大きく引っ張った。

 

 ダメージによって踏ん張りの効かない巨人は足を取られ、バランスを崩し、ダイドラグーンの維持ができなくなる。このせいで鍔迫り合いをしていたみんなの攻撃を止めることもできなくなり、その巨体に次々と攻撃が刺さった。

 

 

「ジッ……ガアアァァァッ!!」

 

 

 それでも気合いでまだ耐えようとする巨人。その姿はまるで、おれが絆を理由に耐えている仲間を見ているみたいで……だからこそ、自分と重なって見えたその姿を、自分自身が乗り越えるつもりで、トドメを言い渡す。

 

「ガブリアス……『げきりん』!!」

「ガブアアァァッ!!」

 

 天より振り下ろされる龍の激怒。

 

 舞によって極限にまで高められたその一撃は、何人たりとも耐えることは出来ない。

 

 それが例え、伝説であろうとも。

 

「あいつが約束の場所に来てくれるまで、おれは絶対に負けない。負ける訳には……いかない!!」

 

 ダイマックスが解け、地面に横たわり、巨人の姿すら維持できなくなった緑のポケモンに対して、おれは宣言するように言葉を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コウキ&ジュン+ホップ&ユウリ&ルナアーラVSジガルデ

 

 勝者、コウキ&ジュン+ホップ&ユウリ&ルナアーラ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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