「モルペコは『オーラぐるま』でゾロアークは『あくのはどう』!!」
なんでもありの手で踊らされ、相手の気迫に押され、未だに自分のペースが上手く掴めず、ずっと乱されっぱなしのバトル。
(ここまで調子が狂うバトルなんて、初めてと……)
自分の当たり前が簡単に覆されるこの展開は、フリアやアニキみたいな格上と戦っている時のそれとはまた違った戦いにくさを感じていた。
これが非公式バトル。
勿論、みんながみんなこんなことをしてくる訳では無いのだろう。ジムチャレンジの道中やヨロイ島、そしてカンムリ雪原で、特訓という名目で行われたバトルも言ってしまえば非公式バトルだ。その問いだって、そういった手を使わないだけであって、フリアなんかは思いついていたりはしそうだから。
けど、彼らはそんなことはしない。だって、必要ないから。
勝つことが目的ではなく、成長することが目的で行われているバトルなのに、公式で出来ないことをして勝ったところで、それはなんの意味も持たない行動になってしまうから。
しかし、今回は成長なんかどうでもよく、勝てさえすればどうでもいい。そんな思いをひしひしと感じる。
故に、こうやって真っ直ぐ攻撃をしているこちらに対して、向こうがとってくる行動は突拍子もなく、考えたことすらないものだった。
「ミロカロス、ダストダス。『ディフェンダー』と『スペシャルガード』です。受け取りなさい」
「なっ!?」
それはアイテムによるドーピング。
ディフェンダーは防御を、スペシャルガードは特防を一時的にぐーんと強化するドーピングアイテムで、効果時間こそ長くは無いものの、その効力は凄まじく、てっぺきやドわすれしたときと何ら遜色ないレベルでポケモンの能力を強化できるアイテムだ。
勿論大会での使用は禁止されており、あたし自身も使う機会が無いため手に入れることはなく、今手持ちにもこの手の道具は持ち合わせていない。
つまり、これは相手だけが一方的に使用できるチートアイテム。その効果を証明するかのように、容器いっぱいに詰まった、丸い飴のようなものを、ミロカロスたちは口に含んで飲み込んで、オーラぐるまとあくのはどうを受けていく。
ここに来てまた姿を現す反則の一手を前に、反撃してやるという気持ちがまた押し込まれそうになる。
事実今しがた使われた道具のせいもあって、さっき指示したオーラぐるまとあくほはどうはしっかり相手に直撃しているのに、相手は何も気にしないかのように平気な顔をしてこちらを見てきていた。
(さすがにまずかと……アイテムってことはきっとまだ何個も持ってる。それに種類だって他にもある。この調子で他の道具も使われたらいよいよ勝てなくなると!!)
そんなことを考えている間にもオリーヴさんの手には新しい容器が握られており、それがさっき取りだした青色と灰色の道具ではなく、赤色と黄色の道具のを見たあたしは、次に使おうとしているのがプラスパワーとスペシャルアップという、攻撃と特攻をぐーんとあげる道具だと理解した。
既に防御面ではかなり差をつけられてしまっているのに、ここに来てそんなアイテムを使われたらたまったものでは無い。このアイテムの使用だけは、何がなんでも阻止する必要がある。
「そのためにも……使わせる時間さえも与えない!!モルペコは『オーラぐるま』でゾロアークは『あくのはどう』!!駆け回りながら連続攻撃すると!!」
「ペコッ!!」
「ゾラァッ!!」
あたしの指示を聞いて飛び出した2人は、ミロカロスとダストダスを中心に据えながら、その周りをアクロバティックに飛び回る。
今あたしたちが戦っている場所はナックルスタジアムの屋内なので、普段のバトルフィールドに比べて範囲が狭く、壁も天井も近い。そのため、足が速いポケモンならこれらを足場にして立体的な動きをすることが出来る。
今まではこの室内でのバトルという異質性を利用され続けてきたけど、ここに来てようやくあたしもその戦い方を取り入れたバトルをしかけていく。
縦横無尽にはね回るモルペコが、定期的にダストダスとミロカロスに突進を繰り出していき、小さいながらも確かにダメージを積み重ねていく。
そんなモルペコの攻撃に苛立ちを募らせ、これを止めようとダストダスとミロカロスがそれぞれダストシュートとねっとうの構えに入る。が、その行動を邪魔するかのように、今度はゾロアークの攻撃が2人顔面に横からヒット。ダメージこそ少ないものの、頬を殴るように飛んできたこの技によって技の向きを逸らされる結果となり、モルペコに当たることはなく消えていく。
そしてこれが大きな隙となって、再びオーラぐるまが1回ずつ突き刺さった。
「ちょこまかちょこまか……夏に見るあの虫の方がよっぽど落ち着きがありますわね……!!」
「あたしの相棒をあんなやつと一緒にしないで!!」
自慢の相棒をおぞましいものと比べられたことに対する苛立ちと、その姿を想起したことによるゾワゾワ感に背筋を襲われながら、それでもこちらの攻撃の手は辞めない。
掛ける黄色い閃光と漆黒の波動。
素早く連続で次々と突き刺さる攻撃たちは、決して大きなダメージを与えられている訳では無い。が、それでもチクチクとしたダメージは着実に積み重なっており、少しずつ流れがこちらに傾き始めてはいた。
(時間はすごくかかるかもしれんけど、今はこれが一番の近道と。ダメージを与えながら、アイテムを使う隙だけは作らせなか!!)
攻撃を続けながら、とにかくオリーヴさんの手の動きに注視する。
たとえ容器を渡されなかったとしても、中に入っている飴のようなものがミロカロスたちの口に投げ込まれた時点でアウトだ。だから、相手には口を開けさせるという行為すら許さないつもりで動くしかない。
「なるほど、さすがはリーグ参加者です。見事な作戦……ですが、それでも今、運が向いているにはこちらなんですよねぇ!!ダストダス!!『じだんだ』!!」
「ダァスッ!!」
「っ!?2人とも下がって!!」
が、この状況をさらに有利な方向へと利用していくのがオリーヴさんのポケモン。
オリーヴさんの指示を受けたダストダスは、明らかに怒りを内包した表情を持って大きく足踏みを始め、足が地面に叩きつけられる度に周囲に大きな揺れが発生。同時に、地面からめくれ上がった岩石たちが、次々とモルペコたちを襲ってきた。
じだんだ。
威力自体は普通……いや、全体的にみたら若干低いくらいの技だが、この技は直前に行おうとした技が不発、ないし失敗に終わった場合、その失敗による不満をトリガーにすることによって威力を倍にすることが出来る技だ。そして今回ダストダスは、飛び回るモルペコを攻撃しようとした際、ゾロアークのあくのはどうによって怯まされているため技が失敗した状態となっており、このじだんだの威力増加の条件を満たしてしまっている。
相手に行動させないように連続で攻撃していた弊害が、ここに来てこちらに牙を向いてきた。
「ペコッ!?」
「モルペコ!!」
慌てて下がるように指示したあたしだったけど、ちょうどダストダスに向かって突撃している最中だったモルペコは急ブレーキが間に合わず、じだんだの攻撃範囲と速度がかなり上昇していたのも相まってあえなく吹き飛ばされる。
「ゾロアーク!!お願い!!」
「ゾロアッ!!」
じめんタイプの技というモルペコにとっては致命傷となりえる攻撃を受けてしまい、そのまま壁に叩きつけられ勢いで吹き飛んでいく。しかし、その直前でゾロアークが間に入り込むことでしっかりと受け止め、衝撃を吸収してやわらげてあげた。これで少しはましになったはずだ。
「いい友情ね。けど、隙だらけだわ!!ミロカロス!!『ねっとう』!!」
「ゾロッ!!」
「ゾロアークッ!!」
が、受け止めた時にかかった衝撃が思いのほか大きかったみたいで、モルペコを受け止めてすぐのゾロアークは動くことが出来ない。そんな隙を見逃されるはずもなく、ここに向かってミロカロスのねっとうが飛来。これを見たゾロアークが、モルペコを庇うように身体を反転させ、背中でミロカロスの攻撃を受け止めた。
これにより、ゾロアークはやけどを負ってしまう事となる。
「形勢逆転、ですわねぇ?」
「……っ!!」
連続で叩き込まれていたこちらの攻撃がピタリと止み、そこから大きな反撃を受けてしまった。
これでもう、オリーヴさんの行動を止めるものが無くなった。
「さて、それではトドメと移りましょうか……ミロカロス、ダストダス。受け取りなさいな」
それを確認したオリーヴさんは、プラスパワーとスペシャルアップの蓋を解放し、中身のものをミロカロスとダストダスに向かって投げ込んだ。
これを摂取されてしまえば、ただでさえ防御と特防が上がっている状態なのに、そこからさらに攻撃と特攻が上昇していよいよ手の付けられない状態へと変わってしまう。
(かといって、こっちの被害が予想以上に大きいせいで、あのドーピングアイテムを止められない……!!)
あたしの目の前で、ゆっくりとミロカロスたちの口の中に飛んでいくそれぞれのアイテムたち。
これが飲み込まれた瞬間、始まるのはドーピングによるごり押しだ。そうなってしまえば、こちらは多分ポケモンを変えたとしても耐えきれるかどうかわからない。一応ドーピングが切れるまで逃げるという方法がないわけではないが、その作戦も向こうがまだまだこういうアイテムを持っていたら意味がない。
(どうすれば……)
打つ手なし。そのことに、どうしようもなさを感じていたその時。
「ぺッッッコォォォッ!!」
「え?」
「は?」
響き渡るのはモルペコの怒声。
急に響き渡ったその声に、発音こそは違うものの、同じ感情を持ったあたしたちは声を出しながら、つられるようにモルペコの方に目を向ける。するとそこにははらぺこスイッチが発動し、見た目を黄色から黒に変え、鬼の形相を浮かべるモルペコの姿があった。
「そう言えば、いろいろあってご飯とかおやつとか、全くあげられてなかったと……もう空腹を直すストックが……」
普段のバトル中だと、自身の懐におかしやご飯を忍ばせて、これを食べたり残したりすることでまんぷくもようとはらぺこもようを切り替えて戦っているのだけど、ブラックナイトが起きてからこのおやつを補充する暇もなくここまで来てしまったため、今モルペコの懐におやつがない。
別にまんぷくもようとはらぺこもようで何が変わるかと言われたら、オーラぐるまのタイプが変わるぐらいで、能力値に大きな変化が現れるわけではないから、バトルに支障が出るわけでは……
(いやいや、よくよく考えたらミロカロスの弱点を突きづらくなるし、本気で空腹になったら怒りで我を忘れてあたしの指示も聞こえなくなる可能性もあると!!)
無いと思っていたけど、深く考えれば考えるほど不安要素が出てきてしまう。
(せめて、1回だけでもまんぷくもように戻して、不機嫌になり切るまでの時間を……)
「ペッコォッ!!」
「モルペコ!?」
どうにかしてモルペコのお腹を満たさなくてはと考えていた矢先に、声をあげながら突撃を始めてしまったモルペコ。
ゾロアークの腕から飛び出したモルペコは、周りのことなんてなりふり構わず猛ダッシュ。本当に空腹の限界らしく、あたしの声も相手の状態も全く目に入っていない。
(……あれ?)
と、ここまで来てモルペコの視線の先に違和感を持ったあたしは、モルペコが今やろうとしていることに気づき、そして同時にある結論に至る。
(もしかして……モルペコはあれを狙っていると……!?なら、このままモルペコに任せた方がいいかも!!)
「モルペコ!!突っ込んじゃダメと!!」
モルペコのしたいことに気づいたあたしは、オリーヴさんにこのことを悟られないように、あたかもモルペコがあたしの指示を無視して走っているかのように演技。モルペコにもこの考え通じている……かは分からないけど、彼女はあたしの指示を聞くことなくダッシュし続けてくれている。
この様を見てオリーヴさんは、あたしたちが完全に連携が取れていないと誤認。そして、その状態から自身の有利状態が揺らがないと確信した彼女は、高らかに声をあげ、大笑いをする。
「アッハハ!!まるで連携が取れていない!!これでガラルリーグの進出者……こうやって質が落ちていくから、今もこうしてローズ様があの手この手で頑張っていらっしゃるのです。はぁ……しっかりしてくださいませ?ローズ様はこのガラル地方を愛しているのです。ですから、この敗北をしっかりと身に刻んで精進してください?そして、ローズ様に役立てる人間として成長してください。ミロカロス、ダストダス、準備を」
一通り笑い終えた後に説教みたいなことを述べ、最後にモルペコの迎撃準備を始めていくオリーヴさん。
その姿からは、すでに自分の勝利を確信しているような姿が見受けられ、こちらの考えに全く気付いていないことがよく分かった。
この間にも、モルペコはミロカロスとダストダスの
これでもう、モルペコが止められることはない。
「……本当に、気づかれなくてよかったと」
「はぁ?あなた、いったい何を言って━━」
「ペッコォッ!!」
「っ!?」
ある程度距離が詰まったところで、地面を思いっきり蹴りだしたモルペコ。
オーラぐるまを何回も行ったことによる素早さアップの恩恵を最大まで利用して行われたこのジャンプは、今までわざと遅めに走っていたことも相まってかなりのギャップがあり、バトル慣れしていないオリーヴさんはこの変化に追いつくことができず、反応が少し遅れていく。
「いっちゃえ!!モルペコ!!」
その間に駆け抜けたモルペコは、速度を維持したまま
「なっ!?まさかあなたは!!」
「『どろぼう』……これは公式バトルじゃなかと。なら、あんたが使う道具をこっちが使っても、文句は言えなかとよね?」
「なんてことを!!わたくしの大切な道具を……ッ!!オリーヴ、完全にブチギレだわ!!」
「好きなだけキレてればよかと。もうあんたに勝ち目はないからね!!モルペコ!!」
「ペコッ!!」
モルペコが道具を奪ったことに対して、またヒステリックに叫びながら暴れ出すオリーヴさん。
相変わらずその姿からは狂気と恐怖を感じるものの、そんな中でも自身の空腹を満たすためだけに道具を口に放り込み、もしゃもしゃと口を必死に動かしていくモルペコのいつもの姿に、いつの間にか恐怖心がやわらげられていく。
……むしろ、怪しい道具でお腹を満たそうとしているモルペコに、別の不安を感じてしまってはいるが。
「ペッコォッ!!」
「ま、まぁ、強くなったならよし!!」
とりあえず、あのドーピングアイテムを無事に奪ってお腹に入れたモルペコは、自身の身体を薄く赤色に光らせ、攻撃と特攻を漲らせながら、はらぺこもようからまんぷくもようへとフォルムチェンジ。同時に、自身の周りに赤と青のオーラでできた車輪を作り上げた。
「モルペコ!!『オーラぐるま』!!」
「ペコッ!!」
まんぷくもようになり、体内から電気エネルギーを放ちながら滑車を回し始めたモルペコは、そのまま1つの塊となってミロカロスに走り出す。
いくら防御が上がっているとはいえ、ここまでのバトルで消耗しており、さらにそこに速度の十分に乗ったでんきタイプの攻撃が突き刺さるとなっては、さすがのミロカロスも耐えることは難しい。
「ダストダス!!『ダストシュート』を━━」
「ゾロアーク!!右手に『あくのはどう』を構えてぶん殴ると!!」
それを理解してるオリーヴさんは、ミロカロスよりも耐えられる可能性の高いダストダスを前にし、毒の塊をぶつけることで相殺しようと画策。けど、そこを読んでいたあたしは、ゾロアークに接近戦を指示。右手に黒色のオーラをため込んだゾロアークは、その状態で右ストレートを放ってダストダスの横腹に攻撃。拳が着弾すると同時に爆発させることで、その衝撃をもってダストダスをモルペコの攻撃軌道線上から弾き飛ばした。
「くっ!?ミロカロス!!『ねっとう』!!」
「もう遅かと!!」
ダストダスの盾が消え去り、再びモルペコとミロカロスの1対1の状況へ。
もう逃げられないと悟ったミロカロスが慌ててねっとうを放つものの、ここまで来てしまえばもうモルペコは止まらない。
ねっとうを弾きながら走り抜けるモルペコは、そのままミロカロスの身体に突進。派手な電撃音をまき散らしながらミロカロスを思いっきり吹き飛ばし、通路の壁にたたきつけた。
「ミ……ロ……」
「ミロカロス!!」
ミロカロス戦闘不能。これで後はダストダスだけ。
「ゾロアーク!!『サイコキネシス』!!」
「くっ!!ダストダス!!『じだんだ』!!」
残ったダストダスもさっさと倒すために、ゾロアークで弱点をつける技で攻撃しようと指示。これに対して相手は、先ほどダストシュートを失敗したことを利用して、威力が倍になったじだんだをもって攻撃。サイコキネシスよりも強力なその一撃は、サイコエネルギーを弾きながら、そのうえでゾロアークに向かって直進していく。
「ジャンプ!!」
これを大きくジャンプして避けるゾロアーク。が、じだんだを行った際、地面から弾けた岩の破片が飛来し、飛んでいるゾロアークを打ち落とすように直撃。空中で受け身を取れなかったゾロアークがそのまま地面へと落とされた。
「ダストダス!!『ダストシュート』!!」
地面に落下したゾロアークの姿は、あちらから見たら隙だらけの状態。そこを狙って準備するのは毒の塊。これをぶつけてゾロアークにとどめを刺そうという算段だろう。
けど、忘れてもらっては困る。こちらには、道具によって強化されたもう1人の仲間がいることを。
「モルペコ!!『かみなり』!!」
「ペコッ!!」
ミロカロスを吹き飛ばし、その反動によって天井付近まで飛び上がっていたモルペコ。
道具によって、攻撃だけでなく特攻もぐーんと上がっている彼女は、全身に電気をチャージし一斉放電。指向性を持ったその一撃は、真下にいるダストダスに向かって真っすぐ突き進み、辺りに衝撃と光をまき散らす。
「ダスッ!?」
「こ……のッ!!ちょこまかとッ!!」
「ゾロアーク!!今度こそ『サイコキネシス』!!」
強力な電撃を受け、全身をダメージとまひが蝕み、思うように動けないダストダス。
そんなダストダスに向けて、ゾロアークが今度こそとどめの一撃になるサイコキネシスを発射。
どくタイプの弱点を突く強力な一撃を、ダストダスは避けることが出来ずに直撃し、ミロカロスと同じ場所まで後退。既に倒れて目を回しているミロカロスの上に、のしかかるようにして倒れ、目を回した。
ダストダス戦闘不能。
「はぁ……はぁ……これであたしの勝ちと!!」
「…………そう、ですか……わたくしの……負けですか……ローズさま……ごめんなさい……」
目を回し倒れている自分のポケモンを見つめ、負けを認めたオリーヴさんは、目の光を失いながら膝をつき、目を伏せながらひたすら謝罪の言葉を口にしていく。
その姿からは先ほどまで感じていた狂気と圧は一切感じられず、あたし自身が引導を渡したとはいえ、若干同情をしてしまいそうなほど。
けど、ローズ委員長とオリーヴさんがやったことは絶対許されないことだ。ゼッタイに止めないといけない。
(しっかりすると。もしかしたら、あたしの行動ひとつでガラルの未来が変わるかもしれんけんね)
「お~い!!マリィ!!」
「間に合ったぁ!!」
「ペアッ!!」
「っ!?ホップ!!ユウリ!!それに……そのポケモンどしたと!?」
意識を新たにしたところで後ろから聞こえてきたのはホップとユウリ、そして見たことないポケモンの姿。
時間にして1時間もかかっていないくらいの間なのに、やけに久しぶりの再会に感じ、同時にこれが、夜明けを迎えるかどうかの大事なタイミングになると、あたしの心は感じた。
マリィVSオリーヴ
勝者、マリィ