【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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ポケモンユナイト出ましたね。
どうもゼラオラが大暴れみたいで……
個人的には大好きなゲンガーで頑張ってみたいのですがこちらはあまり評価がよくない模様……まぁ気にせず使うんですけどね。


34話

 あれから3人で合流をしてとりあえずのお祝いとして少し豪華な食事を食べるためにエンジンシティのレストランを探して歩いていたボクたちは、なかなか良さそうなお店を見つけたのでそこに向かっていた。

 

 さすがにバウタウンのシーフードレストランまでとは行かないものの、それでも普段のボクたちの生活からしたらかなり豪華に感じるそのお店。

 

 バイキング形式らしく、色とりどりの料理が並ぶその様はかなり壮観で見ているだけでお腹が減ってきた。ユウリなんかはもう目がきまっててビーストモードに突入だ。……うん、ちょっと怖い。

 

(けど、これはちょっと凄いなぁ)

 

 ふと横を見ればセイボリーさんまでもが待ち遠しそうにうずうずしている。

 

(……いや、このうずうずは絶対にそんな理由じゃないなこれ)

 

 確かにうずうずしているし、ボクも今すぐに料理を取ってきて食事をしたい。けどそれ以上に対面の席から感じるほのかなプレッシャーというか、存在感というか、色々な圧力のせいで少し席を動きづらい。どれくらい動きづらいかと言うとあのユウリまでもが我慢して席に着いているくらいだ。

 

 そしてその圧力の正体がボクたちの目の前に3人並んでいる。

 

「あはは、そんなに緊張されるとこちらもなんか緊張しますなぁ」

「だからいきなり声掛けはやめといた方がって言ったのよ……」

「だが、明日の朝出発となるとぼくたちで送り出すことが出来なくなるからね。それに今日は皆もう仕事はないから丁度いいと思ったんだけど……」

「す、すいません……緊張する必要はないとはわかってはいるんですけど……さすがにびっくりしちゃって……」

「わたしがあなたたちの立場なら同じようになってたから気にしないで」

 

 柔らかな微笑みを浮かべながらこちらを気遣うような発言をするのはバウスタジアムのジムリーダーであるルリナさんだ。さて、ここまで来たら察しのいい人なら気づくと思うけど、今ボクたちの目の前にいるのはヤローさん、ルリナさん、カブさんの、世間で言われているいわゆるジムチャレンジ前半組とくくられる御三方だ。つまり、今ボクたちは三人のジムリーダーと一緒にレストランで相席をしているということになる。

 

 なぜこうなったかというと、どうもカブさん自身が自分のジムの難易度をしっかりと理解しているみたいで、自分のジムを突破したチャレンジャーのことはエンジンシティから次のジムに向けて旅立つ時に、こうやってヤローさんとルリナさんを呼んで三人で見送るのが一つの流れというか、お約束みたいなものになっているらしく、ここエンジンシティでも割といろんな人に周知されていることだったりするらしい。今日もその例に倣って、突破して次の街に進むであろうボク、ユウリ、セイボリーさんの三人を見送るために集まってくれたんだとか。

 

 じゃあなんで今一緒にご飯を食べているかというと……さっきも言った通りボクたち三人を見送るためにヤローさんたちは集まってくれたんだけど、ボクたちの予定では、今日はもう疲れを取る日としてゆっくり休み、明日の朝から万全な状態で次の街に行こうと計画を立てたわけだ。現にこの後の予定はレストランで食事してホテルに戻るだけだったしね。

 

 そうなると当然ヤローさんたちはボクたちを見送ることができなくなってしまう。では明日の朝にすればいいのでは?と思うかもしれないけど……忘れてほしくないのは三人はジムリーダーだということだ。当然明日だってジムチャレンジャーは挑戦しに来るのだから朝はその対応をしなければならない。そうなると朝に見送ることもできなくなってしまう。こうなってしまうとボクたち三人を見送ることはどうやってもできなくなってしまう。

 

 そこでカブさんからの提案で、見送るかわりにここのレストランのお代をおごらせてくれないかと言われたのだ。まさかのルリナさんに続きカブさんからもおごりのご飯である。セイボリーさんはともかくとしてユウリは一緒におごってもらっている仲なので流石に遠慮がちになってしまうものの、カブさんからの少し強引な誘いの前には断るのも失礼かなと思ってしまい……

 

 結果、先程の会話のようになっていたという訳だ。どうも他の人から見ても強引なのはわかっていたみたいで、少なくともヤローさんとルリナさんはほんのり苦笑いを浮かべている。ちなみに今回はどうやらカブさんが全額持ってくれるらしい。嬉しいのだけど同時にやっぱりどこかしらに不安は出てくるよね。

 

 補足しておくと、席順は……

 

 セイボリーさん、ユウリ、ボク

 ヤローさん、ルリナさん、カブさん

 

 の順番だ。

 

「ジムリーダーから直接のお誘い……ワタクシは何か言われるのではないかと戦々恐々なのですが……」

「普通に労いたいだけだから大丈夫だと思うよ?多分。きっと。メイビー……」

「……お腹空いた」

 

 セイボリーさんはセイボリーさんで初めて味わう境遇に混乱している模様。納得はできてしまうのでフォローもあまりできないのが辛いところだ。ユウリは一周まわっていつも通りになってしまっているけどね。

 

「なんだかすまないね……本当にただただ君たちを激励したかっただけなんだ。ボクのジムを抜ける選手はほんとに少ないからね。それに君たちは世間からだけでなくぼくたちジムリーダーからも目をつけられている注目選手なんだ。これくらい、むしろこちらからさせてもらいたいくらいなんだよ」

「なんだか、ほんとにかなり優遇されてるような気が……」

 

 あまりやりすぎると贔屓と見られかねないような気がしなくもない。そうなってしまうとジムリーダー的にもあまり世間からの風当たりがよくなさそうだからそのあたりはすごく気になるところではあるんだけど……

 

「なに、ガラル地方の人はそんなに器量の狭い人たちじゃないさ。それに、こういったことも別段初めてというわけではないからね」

 

 コップに組んだ水を全員に配りながらそう言うカブさんは、先ほど戦った時の迫力のある圧力など全くなく、ただただ世話焼きな優しい人というイメージしかない。なんか戦いの時とのギャップが激しすぎて頭がくらくらしてきた……。

 

「それにさっきも言ったけど三人とも注目選手だからね。なんせそれぞれ新旧ガラルチャンピオン、シンオウチャンピオン、からの推薦選手なんだ。それだけでも話題性があるというのに全員しっかりと実力が伴っていると来たものだ。だれも文句は言わないよ」

「ですかね……」

「ま、誰か文句をいうおうものならわたしたちが黙らせてあげるわよ」

「ははは、相変わらずルリナさんは言葉が激しいなぁ。まあ、彼女の言う通り、万が一何かあってもぼくたちが庇いますから大丈夫ですよ」

 

 三人からの心強い言葉に少しずつだけど不安の気持ちも薄れていく。

 

(これなら大丈夫……かな?)

 

「それに……」

 

 ルリナさんの言葉を聞きながら、その視線の先を見てみると……

 

「おな……か……す……いた……」

「ユウリ!?」

 

 机に顔を突っ伏してもう限界と言わんばかりのユウリの姿があった。おなかを抑えてうずくまる姿はなんだか痛々しく見えてしまい、同時にさっきまで警戒していたのがなんだかバカらしくなってきてしまった。

 

「フリア……早く……食べよ?」

「はぁ……ではユウリもこんな感じですし、今日はお世話になりますね」

「ああ、たくさん食べて明日に備えるといい!」

 

 ユウリの懇願するような声にこれ以上待たせるといよいよ大変なことになりそうだと判断してこちらが折れることに。みんなで机に突っ伏しているユウリを眺めながらというとてつもなくシュールな状況の中、ボクたちの晩御飯が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぐっ!あぐあぐ!!……んっ、おいひい~!!」

「防波亭でも思ったことだけど、相変わらずいい食べっぷりしているわよね……」

「あっはは、こうも美味しそうに食べてくれるとぼくも畑仕事を頑張った甲斐があるというものですわ」

「う~ん、エレガントなこの料理たち!!ワタクシの口の中で最高にはじけているのです!!」

「……うん、相変わらずのセイボリー節。何回聞いても意味が分かんないや」

「愉快でいいじゃないか。こちらも話していて楽しいし、若い子はこういう感じでもっと自分に素直じゃないとね」

 

 あれから各々が好きな料理を取ってきて机に並べていき、仲良く晩餐を楽しんでいた。どうもここの食品もターフタウンやバウタウンから取り寄せた新鮮な野菜や魚介類をふんだんに使っているみたいで、どれもとても美味しくついつい箸が進んでしまう。本当ならユウリの食べ方や、セイボリーさんの謎の言葉にもっと突っ込みを入れたいところなんだけど、ルリナさんたちも微笑ましそうに見ているし、何よりもボク自身もこの料理が美味しくてたまらないと感じており、他人のことを言えなくなってしまっている。そして何よりも美味しいだけじゃなくて、バイキング故に量を沢山食べることができるというのがボクたちの遠慮の枷を簡単に外していった。冒険やジムチャレンジを認められた年齢とはいえまだまだ成長期真っ盛りなボクたちとしては、ユウリほどではないにしろ食い意地はそれなりに張っている。今も口の中にオムライスを運び、そのおいしさに舌鼓を打っていた。

 

「そういう顔を見るとやはり君もまだまだ若いんだな」

「あ、あまり食事中じっと見つめられると恥ずかしいんですけど……」

「それはすまない。だが、ここまで勝ち上がってくるものは何かしら抱えているものが多かったり、むしろ勝ったことによって余計に気負ってしまう人も多いんだ。ぼくたちがこうやって応援するのは激励をしているのはもちろんだけど、気負ってほしくないって意味でもあるんだよ」

 

 オムライスをパクパク食べながらカブさんの言葉に耳を傾けるボクは、カブさんの視線がセイボリーさんに向けられているのに気が付いた。

 

「……セイボリーさんに何かあるんですか?」

「ふむ……やはり外の地方から来ているとだけあってやっぱり知らなかったんだね」

 

 カブさんの言葉を聞いてそっとスプーンを置いて話し合いに集中する。

 

「あまり個人情報をいうのもどうかと思いはするんだけど……一応知っている人の方が多いし、君には少し知っておいてほしいという気持ちもあるから話しておこう」

 

 カブさんの声の大きさが絞られていく。冗談とかではなく、本当に大事な話という事なのだろう。そして同時にボクにだけ聞いてほしい話らしい。

 

「セイボリー選手。彼はそこそこ有名な家の出でね?彼の家系はみんな……それこそ今だってエスパータイプのジムリーダーを務めているんだ」

「え?」

 

 まさかの言葉に一瞬視線をセイボリーさんに向けそうになるものの、あまり本人に感づかれるのもなんだか悪い気がしたのですぐさま視線を戻す。カブさんの顔に視線を戻したとき、少しだけカブさんの顔が曇っているようにも見えた。

 

「まぁ知らなかったことは無理もない。エスパータイプは今はマイナージムだからね。昔はメジャーリーグの一角を常に背負い続けているほど名門だったんだが……あ、マイナーとメジャーの違いはしっているかい?」

「はい、それくらいは……」

「他の地方とは色々勝手が違うからね。説明が少しややこしくてすまない」

 

 さて、気を取り直してと水を飲み、咳払いをして続きを話すカブさん。

 

「そう、彼の家系全員はエスパータイプジムリーダーになっているし、彼もそうなるように英才教育を受けているはずだ」

 

 成程、それなら確かに彼がここまで強いのも納得ができる。登竜門と呼ばれるこのジムだって、カブさんがジムチャレンジ用に調整したポケモンといえどもしっかりと攻略しているあたり、その地力の高さはしっかりと伝わってくる。

 

 セイボリーさんの意外な過去に少しびっくりだ。普段は少しおちゃらけているというか、不思議な発言が目立つ人なんだけど、その裏ではきっととても厳しい訓練や特訓を行っていたはずだ。

 

「ただそこで少し気になる点が一つあるんだ」

「気になる点ですか?」

 

 それに対してまるでここからが本題と言わんばかりのカブさんの声のトーン。一体何があるのか……思わず喉を鳴らしてしまう。

 

「マリィ選手がそうなんだが、身内や師匠がジムリーダーだった場合は大体そのジムリーダーから推薦状を貰って参加するんだ」

「成程……て、え?マリィさんてジムリーダーに師事してもらっていたんですか?」

「師事も何も、彼女のお兄さんがジムリーダーをしているんだよ」

「え、そうなんですか!?」

「長く一緒に旅をしていたと聞いたが知らなかったのかい?」

「あまりそういった深いというか、個人的なところまでは話してなかったので……」

 

 長いといってもまだまだ出会って数十日程度。濃密だから忘れちゃうかもだけどまだまだ日は浅いんだよね……。

 

(あ、だからあくタイプのポケモンで固められているのか……)

 

 だとすれば彼女のお兄さんはあくタイプのジムリーダーなのかもしれないね。

 

「まあ今はそこは置いておこう。さっきも言った通り身内や師がジムリーダーならそこから推薦状を貰うのが普通なんだ。しかし彼はさっき言った通りジムリーダーである親からではなく、旧チャンピオンからもらっている」

「むしろそっちの方が話題性あって凄いのではと思ってしまうんですけど……」

「事情を知らない人にとってはそうかもしれないが……」

 

 急に歯切れが悪くなってしまうカブさん。そのことに首を少しかしげてしまう。

 

「ぼくも詳しく知っているわけではないんだ。ただ、どうも最近メジャーリーグになかなか上がれないというのがかなりのプレッシャーになっているようでね。そういう事もあってかあまりよくない噂も少しあるんだ。勿論あくまで噂。そんなことに振り回されてはいけないというのはわかってはいるんだけど……」

 

 先ほど言った彼が推薦状を出してもらったのが親からではなく、旧チャンピオンからだという事。そして時折見せる彼のどこか苦しそうというか、真剣というか、どこか思いつめたような表情。これだけ条件がそろってしまうとたとえそうじゃないとしても邪推してしまう。

 

「杞憂ならそれはそれでいいんだ。むしろ何もないのが一番だがからね。だが……若い風がこういった大人の事情で苦しむというのはあまり見ていて気持ちのいいものではないんだ。……いや、この相談をしている相手も若い風だから一瞬で矛盾はしてしまってはいるんだが……」

 

 若干苦笑いを浮かべながら頭をかくカブさんはものすごく申し訳なさそうにそういう。何とかしてはあげたいんだろうけど、デリケートな問題だし、ジムリーダーとしての職務もあるため手助けできないからこそのこの言葉。

 

「まだほかの地方を旅した経験のある、少しだけ余裕を持って旅をしている君だからこそ頼みたいんだ。ほんの少しでいいから彼を気にかけてあげてくれ」

 

 カブさんの言葉を聞きながらセイボリーさんにまた視線を向ける。

 

「このワタクシにぴったりなスープ……実にエレガント……これは間違いなく素晴らしい素材を……」

「ああ、それは形が悪かったっり傷が入って商品にならなかったものを使っているからこういった場所で安く上がっているんですよ。なので残念ながら君が求めてるような素晴らしいものではないんですわ。すいませんね……」

「え、ええ勿論わかっていましたとも!!ただ、形が悪い程度では味が落ちることないどないのです!!やはりワタクシの舌に間違いなど……」

 

 いつものテンションでヤローさんと楽しそうにしゃべっているセイボリーさん。その表情ではとてもそんなに重いものを抱えているとは思えない。けど……

 

(やっぱり、人がなにか抱えているなんてぱっと見だとわからないものだね……)

 

 ボク自身がいろいろ訳ありでここにきているからこその視点。オムライスをまた一口、口に運びながらボクはカブさんに向けてそっと首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日のエンジンシティ、南側の入り口。

 

 ボクが初めてこのエンジンシティを訪れた時に通った大きな門。その下でボクとユウリとセイボリーさんが集まっていた。

 

 次のジムがある場所、ラテラルタウンまではこのエンジンシティから一度ワイルドエリアに出て東側へと進み、そこからバウタウンとターフタウンをつなぐ橋と、ガラル第二鉱山とエンジンシティをつなぐ橋の下を潜り抜けて北上。そのまま大きな丘を登ったうえで集めたジムバッジを見せてナックルシティに入り、さらにそこから西に向かって進み、6番道路を抜けてようやく到着することができる場所だ。聞いてわかるとおりここからかなり遠い場所にある。ワイルドエリアの歩く距離もかなり長いのでここからはかなり体力を使う厳しい旅になりそうだ。しっかりコンディションを整えて挑まないとね。

 

「ふわぁ……眠い……」

「昨日はしゃぎすぎていた罰では?」

「だってここからまた長時間の歩き旅路……あんなにおいしいものを食べられるのはナックルシティまでないんですよ!?」

「……この方の悪食度日に日に増してません?」

「気のせいじゃないですかね?」

 

 あまり深く突っ込むと今度はボクがかみつかれかねないのでスルーしておきます。かみつかれるのはセイボリーさんの役目なので触らぬ神に祟りなしである。

 

「まぁ、どうしてもっていうならポフィン沢山作っておいたから我慢しておいてくれとしか……」

「ポフィン!!」

 

 うん、困ったらとりあえずポフィンを投げておけば大丈夫そうだ。ポフィン最高。万能薬。

 

「まるでコントですね……」

「「セイボリーさんに言われたくはないですね」」

「サイコショック!?」

 

 さて、おバカなお話もそこそこにそろそろ出発しよう。まずはエンジンシティからワイルドエリアに出てすぐのキバ湖・東より東に直進した場所のミロカロ湖・北へと足を進めていく。

 

 ただ何もなしにそのまま歩いて行くとすぐに疲れたり飽きてきそうだから雑談をしながらまったりと。

 

(エンジンシティから列車でナックルシティまで行けたら苦労もないんだけどなぁ……)

 

 とそこまで考えた時ふと疑問が頭に浮かんだ。

 

「そういえば気になったんだけど、なんでエンジンシティからナックルシティの列車は使用できないの?」

「そこはワイルドエリアにもジムチャレンジの壁になってもらうためですよ」

「壁?」

 

 ボクの言葉に対して答えてくれるセイボリーさん。そのまま続きを説明してくれる。

 

「このワイルドエリアは大自然を前面に押し出しているのは知ってますよね?」

「それは……うん」

「それは裏を返せば自然の厳しさをそのままにしていると言い換えることもできるのです。そしてこのワイルドエリアには大きな特徴があります」

「そうなの?」

「あ、そういえば昔こんなことがあったんだけど……」

 

 何かを思い出したユウリが続きを引き継ぐ。

 

「ワイルドエリアに連れてきてもらって遊んでいたときにね?北の方には行っちゃダメだって強く言われていたんだ。昔は何とも思ってなかったんだけど……もしかして北と南で強さが違ったりするのかな?」

「どうです?セイボリーさん」

「その通りですよ」

 

 なんだ知ってるじゃないですかと呟きながらシルクハットのつばをそっと触るセイボリーさんはまた説明を続ける。

 

「ユウリさんの言った通りこのワイルドエリアでは北と南で野生のポケモンの強さが違うのです。もちろん一部地域に例外的なポケモンはちゃんといますが……」

 

 例外……ワイルドエリアに入って一番最初に出会ったイワークなどがそれに該当するのかな?

 

「平均的な強さが高いといった方が適切でしょうか。というのも北の方が高低差があったり、天候の変化がより激しかったり、人が簡単に足を踏み入れられるところが少なかったりと、厳しい環境がたくさんあるのです」

「そこで生き残るために野生のポケモンも強くなっていると……」

「その通りです。そしてそれと同時に委員会側がこう決めたのですよ。この自然も一つの壁として用意しようと。だからこそジムバッジを確認する検問はワイルドエリアにありますし、ジムチャレンジャーは列車の使用を禁止されているのです」

「……ようは、ここからもっと難しくなるから甘えるな、と」

「もしくはこれくらい超えられないとこの先通用しないとも言いたいのかもしれませんね。少なくとも、今のところワタクシたちが歩いてきた道は自然が多い方とは言え、人の手が入って舗装されていた道が多かったのですから」

 

 セイボリーさんの言葉を聞いて思い出すのは明らかに人によって作られた橋の上やトンネルの中を通ったり、鉱山の中とはいえ人が掘り進めて崩れないようになってきた道。確かに、奥まで手の込んだとは言えないが、それでも自然の道というには明らかにおかしな道ばかりだ。

 

「勿論、チャレンジャーを殺すつもりはありませんでしょうから最低限の保証はされているでしょうが……ここからは自然もしっかりワタクシたちの前に立ちふさがる。そのことをしっかりと覚えておきましょう」

 

 コクリとうなずくボクとユウリ。登竜門を抜けた。だがそれはあくまでジムバッジを三つ集めたに過ぎない。単純計算をするなら、ボクたちの挑戦はまだ半分すら行って無いのだ。

 

 次に向かうミロカロ湖。あそこは北と南のちょうど中間部分に当たる場所だと聞く。それはつまり、北にいるとされる強い個体がちらほらと姿を現してくるタイミングだ。

 

 人による壁の次は自然による壁。

 

 きっとまた違った敵が立ちはだかることだろう。

 

(気を引き締めないとね)

 

 勝って兜の緒を締めよ。リラックスは大事だけど緩みすぎないように。

 

「セイボリーさん、たまにはいいこと言いますね!」

「たまには余計ですよユウリガール!!」

「……何?その呼び方?」

「フリア、この人恐い……」

「ああ、うん……そう、だね?」

「もう嫌ですこの人たち!!」

 

 それを意識したボクたちは、けど気を引き締めすぎて疲れない程度に、自然体を維持しながらゆっくりと足を進めていった。

 

 そんなボクの心の中は、恐怖心よりもまだ見ぬ強敵やポケモンに対しても好奇心でいっぱいであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




セイボリー

また少し過去を公開。と言っても彼の家系がジムリーダーなのは原作設定ですけどね。
それを少し掘り下げてみました。
ちなみに旧チャンピオンというのは言わずともダンデさんの師匠であるあの方ですね。

ユウリ

どうしてこうなった……(n回目)
ま、まぁ原作でも何杯でもカレー食べれますしきっと大食いですよ彼女。
間違いありません。
でもそうなるとマサル君も大食いに……?
あの家族のエンゲル係数が気になります。

ワイルドエリア

あくまで個人的な意見と設定をつぎ足しに。
でも出てくるポケモンのラインナップを見ても南より北の方が強いですよね。
ゲームの進行上というメタ要素のせいなきもしますが。




まったく関係のない話ですが地味にキャプチャーボードとかの設定が完了しました。
もしかしたらダイマックスアドベンチャーとか、ポケモン対戦とか、ポケモンユナイトとか、その他ゲームの動画投稿やら生放送やらするかもしれないですね?需要があるかどうかとてもあやしい所なのでこの先どうするかわかりませんが……
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