【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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344話

 ナックルシティの上空で起きた大爆発。

 

 それを起こした張本人であるリザードンとヨノワールがゆっくり降りて、ボクの横に並んできた。

 

「……どう思います?」

「分からない。が、いいダメージは入ったと思う」

 

 そんなボクたちの視線は、今しがた大爆発を受け、クリームに包まれたまま地面へと落下していく2人のムゲンダイナの姿。

 

 ボクとダンデさんの連携によって、何人かの犠牲を払いながらも致命的な一撃を叩き込むことに成功はした。

 

 ヨノワールと繋がっている時に得た感覚も、ダンデさんの表情からも、お互いがひとまずの手応えを感じたのは間違いないし、現に今も落下中のムゲンダイナたちの様子を見ても、かなり大打撃を与えられたこと自体は間違いがないと見ていい。

 

 と、そんなことを考えているうちに、ムゲンダイナたちはナックルシティ屋上の地面に不時着したみたいで、大きな音を立てた音が聞こえてきた。

 

「一先ず、様子を確認しよう。もし可能ならそのまま捕まえるのも視野に入れておかないとな。だが、油断はするなよ?もしかしたらやられたフリ、なんてこともあるかもしれない」

「ですね……警戒しておいて損は無いですもんね」

 

 落下しきったムゲンダイナたちの様子を確認するのはこの位置からは難しいため、とりあえずボクたちも地面におりてムゲンダイナたちの様子を確認しに向かう。

 

 ゆっくりと高度を落とし、ムゲンダイナたちから少し離れた位置に着地したボクとダンデさんは、周りに自分たちのポケモンを集めながらゆっくりとムゲンダイナたちに近づいていく。

 

「ギュ……ァァ……」

 

「……やはり、完全に戦闘不能という訳では無いか」

「さすが伝説上のポケモン、ですね」

 

 距離が徐々に詰まっていくと同時に、微かに聞こえてくるムゲンダイナの呻き声。その声からは未だにはっきりとした敵意が乗っかっており、まだまだ抗ってやるという意志を強く感じた。

 

 ボクとダンデさんのポケモン総勢21人による攻撃を仕掛けて、それでもまだ倒しきれていない。その事実に、ムゲンダイナの恐ろしさというのをより強く感じた。

 

 しかし、弱っているのもまた事実ではあり、現に今声を出しているのは色違いの方のムゲンダイナだけであり、通常色の方は声を出す余裕すらなさそうに見える。

 

 どうやら、身体に絡まっているクリームが想像以上に動きの阻害につながっているらしい。

 

「本当に、フリア君が居なかったらと思うとゾッとするな」

「ボクもですよ。到着までダンデさんが耐えてくれていなかった事なんて考えたくないです」

 

 お互いあったかもしれない未来のことを考えながら、しかし現状は一先ず安心出来る状況になっていることに少しだけほっとしながら、とりあえずこれからすることを話し合う。

 

「とりあえず、捕獲はできそうだな。さすがにゲットしても言うことを聞いてはくれなさそうだから、そのあとの扱いはどうにかしなくてはだが……一先ずは━━」

「フリア!!ダンデさん!!」

「え?」

 

 そんな最中後ろから聞こえてきた声に振り向けば、そこにはユウリにホップ、そしてマリィとビートが駆け寄りながら手を振っている姿が確認できた。

 

「みんな!!」

「ここに来たということは、他の街はしっかり守られているということだな。その上でここまでたどり着くとは……みんな、頼もしくなったな」

 

 元気そうに駆けてくる姿を見て、少なくとも悪い方向には傾いていないことを悟ったボクとダンデさんは、少し顔をほころばせながら迎え入れる。

 

「大丈夫!?……って、聞くまでもないさそう、かな?」

「さすがフリアとアニキだぞ!!ムゲンダイナに勝ってるだなんてな!!」

「ふん、飛んだ無駄足でしたね。平気なら平気と最初に言っておいてください」

「とか言って、エレベーターからここまで必死に走っとったくせに」

「あはは、ありがとね。ビート」

「……別に、お礼は必要ないですよ」

 

 みんなと別れて1時間も経っている訳では無い。なのに、酷く懐かしく感じる空気感に、本当に心地良さを感じる。

 

「ははは、君たちを見ていると懐かしさを感じるな。フリア君、こちらは大丈夫だと思うから、みんなでゆっくり話すといい」

「はい、ありがとうございます!!」

 

 それは傍から見ているダンデさんも同じで、ボクたちのやり取りを見て頬を緩ませた彼は、こちらに向けて一声かけて、ムゲンダイナの方に振り返る。

 

 ここまで話しているのに、それでもムゲンダイナが動きを見せなかったというのも大きいのだろう。一応警戒を解くことはせずに、視線だけは前に向け続けてはいるものの、みんなとする会話のおかげで緊張感は大分解れていた。

 

「改めて、ビートもマリィもありがとね。2人が引き受けてくれなかったら、ボクはここにこられなかったからさ」

「気にしなくてよかと。あたしも、役に立ててよかった」

「ぼくはたまたま通りかかっただけですよ。お礼は結構です」

「素直じゃないなぁ、ほんと……」

 

 ダンデさんが空のモンスターボールをムゲンダイナに向かって投擲しているのを眺めながら、ここに来るためにオリーヴさんとローズ委員長を引き受けてくれたマリィとビートにお礼を言うと、どちらもベクトルは違えど、気にしないでと言う旨の言葉を返される。特にビートは、絶対にボクたちを気にしてこちらに来てくれているというのが分かるのにそういう態度をとるものだから、相変わらずの素直じゃなさに思わず笑みがこぼれてしまう。

 

「しっかし、結局これを使うこと無かったな。せっかく取りに行ったのに……」

「だね……頑張ってまどろみのもりの奥まで行ったのに……これだったら、最初からみんなの手伝いに行った方が良かったかな?」

 

 そんな和やかな会話の中、ホップとユウリがカバンの中からボロボロの剣と盾を取り出した。

 

「なんですか?このボロボロのガラクタは」

「もうちょっとオブラートに……って言いたいけど、確かにボロボロって言葉がピッタリと」

「……もしかして、これがソニアさんの言ってた?」

 

 明らかに年季の入った、それでいて使うにはかなり心許ない道具を前に、ビートとマリィは明らかな困惑の表情をみせる。ボクだって、ソニアさんの話を聞いて、2人が予めちゃんとした目的のためにこれを取りに行っていたことを知っていなければ、ビートたちと同じ反応をしていただろう。マリィに関しては軽く聞いた上でも信じられないって顔をしているしね。

 

「分からない……でも、まどろみのもりであのポケモンと出会って、そのポケモンが消えたと思ったら、その奥にこれが落ちてて……」

「見て、そして触った瞬間に、これはなにか特別なものなんだって伝わってきたんぞ」

 

 そんな視線を向けられながらも、2人はこの剣と盾が、なにか深い意味を持つものだと確信しているらしく、とても大切そうに抱えていた。

 

 急に顔を出す真剣な表情と空気。それに当てられ、ここにいる全員が一瞬黙り込んでしまう。が、そんな硬い空気を作り出した本人であるホップが、打ち崩すように明るい声で喋り出す。

 

「ま!!さっきも言った通り、こいつに出番はなかったんだけどな!!あ〜あ、こいつの真価を見て見たかったぜ」

「贅沢言わないの。使わなくて勝てるのなら、それにこしたことはないでしょ?」

「ははっ、違いないな」

 

 ホップの言う通り、これに伝説の力が眠っているというのなら、その力を見て見たさはあるが、対するユウリの言葉も一理あり、こんな伝説に頼らなくては行けないほどの事件なんて起きない方が絶対にいい。

 

 ボールの中に吸い込まれているムゲンダイナが、ボールの中で小さく3回揺れ、もうちょっとで完全にボールに入り切るタイミングに差し掛かっているところを見送りながら、ボクたちは話を続けていく。

 

「んん〜、この夜を超えたら、まずは剣と盾を返して、みんなでご飯を食べたいな!!ビート、お前も来るだろ?」

「嫌ですよ。馴れ合うつもりはありませんし、それほど暇じゃありません」

「その前に、フリアのチャンピオン戦の日にち決めが先と」

「もう今日は出来そうにないからね……どれくらい延期を━━」

 

 みんなが口々に話していく、この夜が明けたあとのことについて。

 

 それは未来に待つ出来事を楽しみに待つという、希望溢れる会話だ。

 

 その会話を近くで聞いているだけで、とても微笑ましく思う。

 

 だからこそ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ピキッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「っ!?」」

 

 そんな希望溢れる時間を壊すかのように響いた、何かに罅が入るかのような音が聞こえてしまったボクとダンデさんは、警戒度を一気にMAXまで引きあげて、弾かれたように動き出す。

 

「リザードン!!」

「ヨノワール!!」

「「みんなを守れ!!」」

「「「「え?」」」」

 

 音が聞こえたと同時にボクとダンデさんが行ったのは、相棒にみんなを守ってもらうこと。

 

 ここに来たばかりでなんの準備もできていないみんなは、今から起こることに対しての対策が絶対に間に合わない。どうやら何が起きるのか分かっていないみたいだけど、例えわかっていたとしても、ポケモンを展開する暇なんて存在しないだろう。

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

「「っ!?」」

 

 なんて思考をしている間に、ダンデさんの投げたボールから飛び出した2人のムゲンダイナは、周囲に衝撃波を放ちながら再降臨。ボールに1度入ったことによって、逆にクリームの牢獄から脱出し、むしろ休憩時間を経て体力を少し回復したらしい彼らが、怒り狂ったかのような声をあげだした。

 

 その圧は凄まじく、ヨノワールとリンクしているボクは、自身とヨノワールにかかる2人分の圧を受け、思わず膝を着きそうになる。

 

(ノワ……)

(ダメ!!ここで共有化を切ったらみんなを守れないでしょ!!)

 

 それを感じとったヨノワールは、共有化を切ってボクに楽をさせようとするけど、ボク側からこれを拒否。みんなを守る役目を託し、ボクは前を見つめる。

 

「みんな抑えて!!」

「なにかさせる前に倒すんだ!!」

 

 復活を果たしたムゲンダイナたちだが、それでも手負いなことには変わりない。そう判断し、みんなの防御に行ったヨノワールとリザードン以外のメンバーで、総攻撃をするべく突撃を開始。思考が、なにか行動をされる前に再びダウンさせて、もう一度捕獲チャレンジへと持って行く作戦へ自然と到達したボクとダンデさんの行動は、本当に一瞬で動き出していた。

 

 しかしそれ故に、この最速行動が唯一勝てない択を相手が取っていることに気づくのが遅れてしまった。

 

「「ギュゥ……」」

 

 ムゲンダイナの胸にあるコア。そこが、ムゲンダイナが声を上げると同時に今までで1番強い光を解き放つ。

 

(ボールの中にいる間にダイマックスエネルギーを溜め込んで……っ!?)

 

「まずい!!みんな下が━━」

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 背中をかける強烈な嫌な予感と、それを証明するかのように放たれた赤紫色の極太レーザー。

 

 これを口元から解き放ったムゲンダイナは、薙ぎ払うかのように首を振り回しながらやたらめったら光線を飛ばしまくり、自身を狙うポケモン全てにこれを順番にぶつけて行く。

 

 遠くに着弾しても衝撃が伝わる、まさに必殺の一撃。それでも、みんなが協力すれば耐えることは出来た。が、今みんなは1秒でも早く攻撃を当てるために全員が前傾姿勢になっており、とてもじゃないが防御する態勢を取れる状態にない。

 

 結果、ムゲンダイナへと突進していたボクとダンデさんのポケモンほぼ全てが、この光線の餌食となり、屋上に散らかっている瓦礫や床にたたきつけられ、動けなくなってしまう。

 

 数少ない生き残りとして、攻撃する直前にバトルスイッチを発動しようとしていたおかげで、未だにシールドフォルムだったことが幸いし、キングシールドが間に合ったギルガルドと、あの攻撃がドラゴンタイプ故に、そもそもタイプ相性上ダメージを受けないマホイップが残ってくれたのは不幸中の幸いだけど、残った彼女たちも、今の状況についていけておらず、慌てた様子で周りを見渡している。

 

「ノワッ!?」

「あぐっ!?」

 

 そんなこちらのポケモンをほぼ全滅までおいやった凶悪な一撃は、それだけ暴れてなお周りを攻撃し続けており、その攻撃の一部がユウリとビートに流れる。この攻撃から2人を守るために、ヨノワールはユウリとビートを抱えてすぐに移動し、攻撃を回避。が、その動きが少し遅かったみたいで、ヨノワールの身体をかすり、ダメージを与えてくる。

 

 ただのかすり傷。そのはずが、これだけの破壊力を秘めた攻撃なら、かすっただけでもとてつもなく痛い。その証拠に、フィードバックして来たダメージが痛すぎて、身体が一瞬硬直を起こし、その場に膝を着いてしまうほど。

 

(少しは慣れたと思ったけど、やっぱり痛い……っ!!)

 

「フリア!!避けて!!」

「っ!?」

 

 痛みを抑えるために全身に力を入れて、何とかこらえている時に響いてくるのはユウリの悲鳴。

 

 この声を聞いて慌てて視線をムゲンダイナに見ければ、通常色のムゲンダイナの首が今まさに、こちらに向けられようとしているところだった。

 

「まず……っ!?」

 

 首が向けられるということは、あの光線がボクに向かって飛んでくるということ。当然そんなものを受けてしまえば、ボクなんて簡単に消し炭になる。だから急いで攻撃の軌道上から逃げないといけないのだけど、先程受けた痛みのせいで身体が麻痺をしているのか、動き出そうとした身体がまるで言うことを聞いてくれず、前につんのめってしまい、膝だけでなく手まで地面に着いてしまった。

 

(このままだと避けられない!!)

 

「フリア君!!」

 

 もう避けることは出来ない。そう悟ったボクは、無意味とわかっていても、反射的に頭を庇うように腕を回してしまった。

 

 そんなボクを見て走り出したのはダンデさん。

 

 ボクを助けるために、野球選手のヘッドスライディングのように飛び込んできたダンデさんは、そのままボクを抱きしめながら地面を転がり、少しでも光線の軌道から一緒に離れようと努力してくれた。

 

 が、そんな此方の動きすらも向こうは許してくれはしない。

 

「「っ!?」」

 

 ダンデさんがボクを捕まえ、地面へと倒れ込むまではよかった。しかし、ぼくたちが倒れた瞬間、ムゲンダイナの首が更に動き、ビームの軌道がずれ、今しがたボクたちが倒れ込んだ地面間近に着弾。同時にとてつもない衝撃と爆発がボクたちを襲い、勢いよく吹き飛ばされる。

 

(や……ば……っ)

 

 あまりの衝撃にボクとダンデさんの身体は宙へと吹き飛ばされ、受けた痛みのせいで声も出せず、指一本すら動かせないし、気づけばヨノワールとの共有化も切れてしまっていた。

 

 そして何よりも、ここはナックルシティの屋上で、転落防止の壁がムゲンダイナによって壊されている今、ボクとダンデさんの身体を受け止めてくれるものは何もない。

 

 

「フリア!!」

「アニキ!!」

 

 

 吹き飛ばされ、屋上から落下していく浮遊感を感じながら、かろうじて視線を屋上の方へと動かす。

 

 そこには、こちらに向かって必死に声をあげるユウリとホップと、顔をこわばらせているビートとマリィ。そして……

 

「「ギュアアァァァッ!!」」

 

 ボクとダンデさんを飛ばしたことに満足し、そのままユウリたちに矛先を向けようとしているムゲンダイナの姿。

 

「に……にげ……っ」

 

 その事を必死に伝えようと言葉を紡ぐけど、ボクの口からはかすれた声しか出ない。

 

(く……っ……)

 

 そのまま限界を迎えたボクは、空中を自由落下しながら、意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フリア……!!フリアァ……ッ!!」

「アニキィッ!!」

「2人とも落ち着くと!!」

「あの2人ならヨノワールとリザードンが助けに行っている。大丈夫だから、今は前を向きなさい」

 

 視界から消えていくフリアとダンデ姿を見て、必死に声を飛ばす私とホップ。

 

 こんな高さから落ちたら当たり前だけど命なんてない。ただでさえ、ムゲンダイナの攻撃をあんな至近距離で受けて、大きなけがを負っているというのに、そのうえであんな状況にされてしまったら、私たちの感じるものは心配なんて言葉で片づけていいものじゃない。

 

 今だって、早く駆け付けて無事かどうかを確認しなきゃ、心臓が爆発してしまいそうだ。けど……

 

(ムゲンダイナを放ってはおけない……)

 

 視線を前に向ければ、標的を私たちに変更して今にも襲い掛かろうとしているムゲンダイナたち。

 

 先ほどあれだけの攻撃をしただけあって、胸元のコアの光はだいぶ収まって入るけど、必要なエネルギーがこれだけ空気中に充満していれば、使った分の補給はすぐに終わりそうで、実際こうやって話している間にもコアの光がまた溜まり始めている。

 

 ビートの言う通り、この場を無視していくわけにもいかない。

 

 フリアとダンデさんが吹き飛ばされたと同時に、リザードンとヨノワールが慌てて飛び出していったから、彼らを信じて、私たちはムゲンダイナに立ち向かうしかない。

 

「アニキ……アニキの分も、頑張らないと……!!」

「うん……フリアはきっと無事……ヨノワールたちなら、助けてくれるもんね……」

「そうと。だからあたしたちがいまするべきことは、戦えなくなった2人の役目を引き継ぐことと!!」

 

 モンスターボールを構え、前を向く私とホップ、そしてマリィ。

 

 みんな心の隅っこに大きな不安を抱えて入るものの、それでもフリアたちを信じて前を見る。

 

「ったく……本当に……ぼくのことなんて放っておいて、自分の身を守れって話なんですよ……」

 

 そんななか、一歩遅れて横に立ったビートが、不満そうな顔を浮かべ、拳を握り締めながら文句を告げる。

 

(ビートの気持ち……凄く分かる)

 

 私たちに対して、気にせずに前を視ろと言っておきながら、おそらく一番フリアのことを気にしているのはビートと言っても過言ではないかもしれない。

 

 なぜなら、フリアがムゲンダイナの攻撃を避けられず、ダンデさんと一緒に飛ばされた理由の一端が私とビートにあるから。

 

 フリアが狙われる少し前、流れ弾が私たちに飛んできたのをヨノワールがかばったことによって、ダメージがフィードバックしてしまい、フリアが避けることが出来なかった。

 

 きっとフリアは、私たちのせいだなんてこれっぽっちも思っていないだろう、だけど、助けられた側はそうは思わない。そしてそれを、自分が足手まといになることを誰よりも嫌うビートが受けてしまったとなれば、その反抗心はかなり大きいものになる。

 

「帰ってきたら文句を言ってやらないと気が済まない。そのためにも、あんたをさっさと倒す!!」

 

 気付けば誰よりも前に歩き出していたビートが、目にハイライトを灯しながらムゲンダイナをにらみつける。

 

「マホッ!!」

「ドドドッ!!」

 

 そんなビートについて行くように、その両端に立つマホイップとギルガルド。

 

 この場に唯一残っているフリアとダンデさんのポケモンが、主の無事を信じたうえで、私たちの援護のために横に立ってくれた。

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 此方の準備は万端。

 

 対するムゲンダイナ2人は、こちらが準備を整えたと同時にダイマックスエネルギーをチャージし切ったのか、全身を赤く光らせながら空へと飛び立った。

 

「急に飛び出した……?」

「何をしようとしてると……?」

 

 ぐんぐんと高度を上げていく2人のムゲンダイナ。

 

 その動きを見て、声を出すホップとマリィの言葉を聞きながらぎゅっとボールを握る手に力が入る。

 

(いやな予感がする……)

 

 ガラル地方を覆う真っ黒な雲。その中に吸い込まれるように飛んでいく2人のムゲンダイナの姿が、完全に見えなくなった。

 

 それと同時に、私の心の中をよぎる嫌な予感。その予感の答え合わせの時は、すぐに訪れた。

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

「な、なにあれ……」

 

 マリィの言葉を聞き流しながら私たちの視線に入ってきたのは、空を覆う黒い雲を払いのけ、その中心より現れる2つの巨大な手。

 

 濃い紫色の右手と、眩しい赤紫の左手は、その2つでガラル地方全土を鷲掴みできるのではないかと言う程の大きさを誇り、その掌をこちらに向けて、私たちを包み込こまんと広げてきた。

 

「これが……ムゲンダイナのダイマックス……?」

 

 空より向けられる圧倒的圧力。

 

 それは、私たちの勢いを殺すには十分な絶望だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ムゲンダイナ

当然出てきますこの形態。ムゲンダイマックスの姿ですね。2人揃って大変身です。その種族値は、驚異の1125。正真正銘化け物です。




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