【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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347話

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

 叫び声とともにムゲンダイナたちがチャージ行動を開始。

 

 高度を上げ、10ある指の先全てを赤紫色に光らせ、エネルギーを溜め込んだ彼らは、指先から光線を放ち、2人のムゲンダイナの中心部分に照射。ぶつかり合った10の光線は、そこでひとつの小さな球に塊り初め、徐々にその体積を大きくし始める。

 

「エネルギーを1箇所に集中しているの……?」

「やばいぞ……あの光線1本でもとんでもない火力なのに、それが圧縮されてあんな状態になったら、とんでもないことになるぞ!!」

「下手をすれば、この辺一帯が更地になりそうと……」

 

 この光景を見て、未来予想図を描いた私たちは一気に焦燥にかられる。

 

 あの攻撃が解き放たれたら、今度こそ終わってしまう。

 

「カムゥパ!クラムンパゥ!!」

「……どうやらあれは、『ムゲンダイビーム』という技らしいですね。このバドレックスに致命傷を与えた、ムゲンダイナ最強の技らしい」

「「「っ!?」」」

 

 あのバドレックスを倒し、致命傷を与えた技。

 

 バドレックスの声を翻訳したビートから聞いた言葉に驚きはしたものの、そう聞くと成程と納得してしまうくらいには、目の前の攻撃からは圧力があった。

 

 この攻撃を止められるかどうか。全てはここに掛けられた。

 

「何がなんでも止めるぞ!!ゴリランダー!!」

「行くと!!オーロンゲ!!」

「走って!!エースバーン!!」

 

 何としてでもこれを阻止するべく、まず駆け出したゴリランダーたち。

 

 チャージによって集められたダイマックスエネルギーの副作用なのか、さらに浮かび上がる周りの瓦礫たちを足場に、次々とジャンプをして近づく3人。が、ある程度進んだところで、1箇所に集められたエネルギーが暴れているのか周囲に強力な斥力を発しているらしく、この力に押されたゴリランダーたちは、ダメージこそ受けてはいないものの、この力に押されて屋上まで帰ってきてしまっていた。

 

「くっ、圧力だけでこれかよ!!」

「近づくのも難しいんだね……」

 

 思わず悪態を着くホップと、現状に苦言を零す私。けど、文句を言ったところで状況が好転する訳では無い。

 

「まずはこれを攻略しなきゃとね……」

「あの斥力を乗り越えるには……」

「マホッ!!」

 

 すぐにこの斥力に対する対抗を考えようとしたところで、考える私たちよりも先に動き出した影が現れた。

 

 声を上げながらクリームと飴細工を作り出したマホイップは、その作りあげたものをここにいる全員にデコレーション。攻撃と特攻をぐーんと引きあげ、突破力を強化してくれた。

 

「ウルゥーード!!」

 

 更にここにザマゼンタのとおぼえが重なることによって、みんなの身体にザマゼンタの加護がかかり、攻撃力が上昇すると共に、辺りに濃く漂い始めたダイマックスエネルギーへの対処をより強くかけ直してくれた。

 

 これで、あのエネルギー球から発せられる圧力に対しても、強く出られるようになっただろう。

 

「ウルォーード!!」

「ウルゥーード!!」

 

 こちらの準備が整ったところで、まず最初に駆け出したのはザシアンとザマゼンタ。

 

 空中に浮かんだ瓦礫を足場に、次々と華麗にジャンプをして見せた2人は、ムゲンダイビームの圧力を跳ね返しながら一気に肉薄。バドレックス曰く、『きょじゅうざん』と『きょじゅうだん』と言われる、シアン色の斬撃とマゼンタ色の突撃によって、ムゲンダイビーム用のエネルギーを送っている中指部分を攻撃し、2本分のエネルギー供給を停止させた。

 

 これで残りはあと8本。

 

「ウルォ……」

「ウルゥ……」

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

 この調子で他の指も攻撃し、供給を止めようとしたところで吠え出すのはムゲンダイナ。

 

 先程わかった通り、指がそれぞれ独立で動き、別の技を放つことが可能な彼らは、指からの供給を止められたということは、止められた指は自由に攻撃が可能になるという意味だ。それを象徴するかのように、自由になったムゲンダイナの中指は、通常色はザシアンに、色違いはザマゼンタに向かってかえんほうしゃを放ちだし、ザシアンたちを追い返し始めた。

 

 伝説のポケモンと言うだけあってザシアンたちも簡単に被弾はせず、瓦礫を飛び移ってすぐに回避に移ったものの、相手の火力が高すぎてこれ以上の指の無効化は出来そうにない。

 

「カムンパ!!クムンパ!!クラウンパ!!」

「バクロォース!!」

「バシロォース!!」

 

 空中で拮抗状態に入ったザシアンたちのバトル。そこに横槍を入れるべく突っ込んだのがバドレックス。

 

 レイスポスとブリザポスを呼び寄せ、2人の手綱を同時に握ったバドレックスは、レイスポスたちに力を送り込みながらなにかの指示を出す。すると、レイスポスの身体からはアストラルビットが、ブリザポスの身体からはブリザードランスが発生。バドレックスたちの誇る最高火力の技が、まっすぐムゲンダイナたちに向かって突き進み、今度は両手の人差し指に被弾して爆発。更に2本の指からの供給を止めることに成功した。

 

 残り6本。

 

 指が減ったことによりチャージ効率が低下したのか、ムゲンダイビームの膨張速度が若干遅くなり、タイムリミットへの時間が少し伸びたのが分かった。しかし、チャージ供給が減ったということは、その分相手の手数が増えたということ。

 

 妨害された人差し指は、指先に毒液を集め始め、それを無差別に発射。中指のかえんほうしゃとは違い、とにかく色んな場所を攻撃する目的として、ヘドロウェーブを撒き散らし始めてきた。

 

「カムゥ……ッ!!」

 

 かと言って、適当にばらまいているだけではなく、新たに自身の攻撃を邪魔してきたバドレックスだけは何がなんでも潰すつもりなのか、周囲にばらまいている毒液のうちの1部だけは、バドレックスに集中して放っており、こちらもまた追加で指を攻撃するのが難しくなってしまった。

 

 そんな感じで徐々に荒れ始めていくガラル地方の空中戦。

 

 無差別に撒き散らされている毒液は私たちの方にも向かっており、何もしなければこれを受けて甚大な被害を被ることとなる。

 

「ドドドドドッ!」

 

 この流れ弾から私たちを守るべく、間に割り込んで助けてくれたのがダンデさんのギルガルド。

 

 飛んでくる毒液に対してキングシールドを放ち、ハニカム状のシールドを展開。ギルガルド自身ははがねタイプ故、別にこの技を使わなくても受け止めることはできるけど、こうやって技を発動することで自身の防御範囲を広げ、後ろにいる私たちを正確に守ってくれた。

 

「ドドドッ!!」

「なるほど……ユウリ!!ギルガルドをエースバーンに持たせて進軍を!!」

「っ!?……わかった!!エースバーン!!」

 

 毒液から私たちを守りながらこちらに声をかけるギルガルド。その意図を素早く受けとったビートは、説明を省いて私に指示を出す。

 

 最初こそその意味をしっかり受け取れなかったものの、すぐに答えにたどり着いた私はエースバーンに指示を出して、現在進行形で毒液を受け止めているギルガルドを後ろからしっかり持ってもらい、その状態で前に走ってもらう。

 

 これによって、ギルガルドの強力な守りを維持したまま、エースバーンの機動力で進軍を行うことが出来るようになった。その効果は絶大で、最初突撃した時は衝撃波であっさり追い返されたエースバーンたちは、それが嘘かのように順調に前に走り出せていた。

 

「凄いぞギルガルド!!さすがアニキのポケモンだ!!」

「これほど安心感のある守りはなかなかなかとね」

 

 動きが遅いブリムオンのみは未だに横にいるけど、エースバーンと一緒に進んでいるゴリランダーとオーロンゲのトレーナーであるホップとマリィは嬉しそうな声を上げる。

 

 うちのメンバーはエースバーン以外は全員どくタイプが弱点だ。だからこの無差別攻撃は、かすっただけで致命傷になりかねないほどの強力な攻撃となっている。そんな攻撃の雨の中を、若干効率が悪いとはいえ安全に進めると言うのはやっぱり大きなポイントだ。

 

 ちなみにブリムオンは自身の周りにサイコエネルギーを展開することで、この毒液を防いでいる。

 

 彼女はどくタイプが弱点ではあるものの、同時にどくタイプを中和できるエスパータイプのエキスパートでもある。ミスをすれば手痛いけど、逆に言えばミスさえなければ、ギルガルドに次いで強力などく対策を取れるポケモンだ。トレーナーがビートということも相まって深く心配する必要は無い。

 

(だから今は、前を見る!!)

 

 かえんほうしゃとヘドロウェーブが舞い散る空中にて、炎はザシアンとザマゼンタが切り裂き、弾き、毒液はバドレックスがいなし、流れ弾はギルガルドが防いでくれてくれている間に、ちょとずつ岩を飛び移って距離を近づけるエースバーンたち。

 

 正確に、しかし少しでも速く移動しようと懸命に飛び跳ねて移動する彼らは、かなりの距離を進軍することに成功した。が、ムゲンダイナに近づくということは、ムゲンダイナの標的にされやすいということ。実際、あと少しで懐に入れそうというところで、ついにこちらに気づいたムゲンダイナたちが、行動パターンに変化を入れてくる。

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

 このままではエースバーンたちに侵入を許されることを悟った彼らは、ザシアンとザマゼンタへの対処はそのままに、ヘドロウェーブを無差別にはなっていた人差し指部分の行動を操作。バドレックスに比重を置きながらも、無差別に周囲を攻撃したいた動きを変え、色違いの攻撃はバドレックス専用に変更され、先程よりも濃密な毒液がバドレックスに向かうこととなり、空いた通常色の人差し指は、ギルガルドたちの進行を止めるべく、強力なかえんほうしゃを放出してきた。

 

「カムゥ……ッ!!」

「ドド……ッ!!」

 

 急に自信に襲いかかってくる濃密な攻撃。

 

 伝説のポケモンであり、くさタイプでありながらどくタイプに対して有利を取れるエスパータイプもあるバドレックスは何とかこの攻撃を受け止めてはいるものの、普通のポケモンであり、且つ苦手タイプの技を真正面から受けることとなってしまったギルガルドはかなり辛そうな声をあげている。

 

「ギルガルド!!頑張って!!」

 

 それでも必死に攻撃を受け止めている彼に、思わず応援の声を上げる私。が、それでも力の差は歴然で、攻撃を受け止めてはいるものの、さっきのような進軍はできる気配がなく、こちらの足が完全に止められてしまった。

 

 ムゲンダイビームのチャージがある以上、時間稼ぎは引き分けではなく明確なこちらの敗北だ。だから速くこの状況を覆さないといけない。が、そんな作戦をすぐに思いつかないのも事実。

 

「ドドドッ!!」

 

 そんな中響くギルガルドの声。それにつられ前を見れば、キングシールドを維持したままこちらに視線を向けるギルガルドと目が合った。

 

(……ギルガルド)

 

 そして伝わるギルガルドの意思。

 

 ビートやフリア、カトレアさんみたいに、完全なやり取りが出来なくても伝わった彼の想い。その内容は、『俺を身代わりにして進め』というもの。

 

 私に通じているのだから当然ホップとマリィにも届いており、一瞬だけ辛そうな顔をうかべる。が、ここで躊躇している時間は無い。

 

 ギルガルドの想いを無駄にしない為にも、今は心に鞭を打って出も動き出す。

 

「「ホップ!!」」

「ああ、わかってるぞ!!ゴリランダー!!『ドラムアタック!!』」

「グラアアアァァァ!!」

 

 決断を済ませた私たちはホップに声をかけ、これを聞いたホップはゴリランダーに指示を出す。

 

 指示を受けたゴリランダーは、背中に背負っていた太鼓を前に出し、吠えながら乱打。これにより、自分たちが足場にしている岩場から次々と根っこが生えだし、四方八方へと伸びていき、これによって空中に根っこのレールが沢山引かれることとなる。

 

「『グラスメイカー』からの『グラススライダー』!!」

「グラッ!!」

 

 更に、その根っこの表面に特性の力で草原を生やすことで、自身はその上を滑って高速移動。私とのバトルの時にも使った方法で、ギルガルドの後ろから飛び出して単独でムゲンダイナへと突き進む。

 

「エースバーン!!『でんこうせっか』!!」

「オーロンゲも行って!!」

 

 先陣を切ったゴリランダーに続き、エースバーンとオーロンゲもダッシュ。ゴリランダーが作り出した道を利用しゴリランダーとは別のルートを通って同じように前に走り出す。

 

「ドドッ!?」

 

 それと同時に弾かれるギルガルド。

 

 ダメージこそ受けてはいないものの、それでもひとりであれだけの攻撃を受け続けるのは難しかったらしく、大きく後ろに弾かれてしまっていた。

 

 あのまま背中にいたら、巻き込まれていただろう。

 

(ありがとうギルガルド!!)

 

 心の中でお礼を言いながら、視線はずっと前へ向ける。

 

 ギルガルドへの攻撃が終わったということは、あの人差し指から発せられる攻撃は、次はゴリランダー立ちに向かうこととなる。

 

 掠るだけでおそらくアウトの恐怖のゲーム。嫌がおうにも、拳に力が入る。

 

 

「ギュアアアァァァッ!!」

 

 

「っ!?ゴリランダー!!横に飛び移れ!!」

 

 叫び声と共に放たれたかえんほうしゃ。

 

 さっきも見たけど未だに慣れることは無い規模の火炎に、慌てて横の根っこに飛び移ったゴリランダーは、すぐに逸れて炎のルートから回避。しかし、その分ムゲンダイナからは少し遠のく。

 

「エースバーン!!」

 

 その代わりに近づくのはエースバーン。

 

 でんこうせっかで空中を素早く駆け抜ける彼は、ゴリランダーに意識が向いているうちにぐんぐん距離を詰めていく。

 

 これを見たムゲンダイナは、次にエースバーンを落とすために指先をこちらに向けてきて……

 

「『かえんボール』!!」

「バスッ!!」

 

 攻撃を放たれる前に、近くに浮いている瓦礫を使ってかえんボールを発射。先んじて攻撃を放つことで、相手の意識を少しでもそらす努力をしてみる。

 

 

「ギュアアアァァァッ!!」

 

 

 しかし、そんなものお構い無しとヘドロウェーブを解き放ったムゲンダイナ。これによりかえんボールは一瞬で消化され、むしろ瓦礫と一緒に毒液がエースバーンの方に突っ込んでくる。

 

 正直、攻撃を返されることは想定していたが、一瞬の躊躇いもないとは思わなかったせいで、反応が一瞬だけ遅れてしまう。

 

 こんな極限状態でその一瞬は命とり。現に、エースバーンがでんこうせっかで避ける隙すら存在しない。

 

「避け━━」

「オーロンゲ!!『ひかりのかべ』を投げると!!」

 

 それでも必死に逃げようと指示しかけたところで、飛んでくる毒液の塊とエースバーンに挟まる透明な壁。

 

 いたずらごころによって素早く作り出された透明な防護壁を、オーロンゲのパワーでぶん投げることによって、攻撃が当たるギリギリのところでエースバーンの前に出現。

 

「『ブレイズキック』から『でんこうせっか』!!」

 

 この壁をブレイズキックで前に蹴りだし、飛んでくる毒液にぶつけることで、遅れていた一瞬の時間を作り出すことに成功。でんこうせっかの時間をギリギリ捻出し、素早く脱出。

 

「ありがとうマリィ!!」

 

 私の言葉に頷くだけで返事をしたマリィを横目で確認してすぐ前に意識を向ける。

 

 さっきはこの一瞬の隙をつかれて倒されかけてしまったので、その反省を活かしてもう意識をそらすことはしない。

 

 前を見つめ、常にでんこうせっかを維持したままのエースバーンは、迫り来る毒液の弾幕を前に一切の怯みを見せずに疾走。ここに来て集中力が極限にまで高まったのか、全ての攻撃を紙一重で避けながらぐんぐんと距離を詰めていく。

 

 

「ギュアアアァァァッ!!」

 

 

 さすがにこれ以上の接近を許す訳には行かないと判断したのか、攻撃を一旦停止した人差し指は、自身の身体にどんどん毒液を貯めていく。

 

 どうやらある程度の距離まで近づかれるのを許容した上で、最大チャージの毒液を爆発させ、近づいてくるエースバーンにカウンターとしてぶつけるつもりのようだ。

 

(賢い……これだと簡単に近づけない……)

 

 ムゲンダイナの勝利条件はこちらを倒すことではなく、ムゲンダイビームのチャージ時間を稼ぎ切る事。だから、こんな感じで力を見せびらかせて牽制するだけでも向こうの有利となってしまう。

 

 しかし、だからといってここで真っ直ぐ突き進めば、決して見掛け倒しでは無いあの攻撃によってエースバーンはもちろん、エースバーンが攻撃を引き付けていた間に距離を詰めていたゴリランダーとオーロンゲだってやられかねない。

 

 速く攻めたいのに、攻めれば反撃を貰ってしまう。そんなジレンマを前に私がとった行動。それは……

 

()()()()!!)

 

「バスッ!!」

 

 ここまでの一切の考えを無視した特攻。

 

 明らかにヤバい気配を感じるヘドロウェーブのチャージを前にして、さっきかえんボールを無視したムゲンダイナと同じように、カウンターをされるのをわかった上で、エースバーンは右足に焔を纏いながら爆進。その動きからは後退という文字も回避という文字も存在しない。

 

 

「ギュッ!?……アアアァァァッ!!」

 

 

 この行動にはさすがのムゲンダイナも一瞬驚いた声を上げる。が、先程同じ状況になっていたムゲンダイナと違って、こちらに相手の攻撃を無視する手段は無い。それが分かっているムゲンダイナは、この驚きを直ぐに捨てて攻撃態勢へ。

 

 来るのなら予定通り返り討ちにしてやる。

 

 そんな声さえ聞こえてきそうな叫び声とともに、たった今チャージしきったヘドロウェーブをついに解き放とうとする。

 

 

「ギュアァァァ…………ッ!?」

 

 

 が、その攻撃が放たれることはなく、攻撃をしようとした瞬間の状態で動きがピタリと止まった。

 

 それはまるで時を止められているかのようで、動きたいのに一切言うことの効かない身体に対して、ムゲンダイナはひたすら困惑していた。

 

「やれやれ、信用するのは勝手ですが、無茶のし過ぎです」

「でも、ビートとブリムオンなら出来るって分かってた」

「簡単に言ってくれますね……意識をエースバーンが引いてくれて、尚且つチャージ中という無防備な姿を狙ってようやく指1本が限界だと言うのに……」

「リ……リオ……ッ!!」

 

 その正体は、今もビートの横で必死にサイコキネシスをしているブリムオン。

 

 ビートの言う通り、ムゲンダイナが見せたこの無防備の姿を狙って正確に放たれたサイコパワーは、どくタイプの弱点ということもあって、ムゲンダイナの動きを完全に停止させていた。

 

「言っておくけど長くは持ちません!!今のうちに速く!!」

「言われなくても!!エースバーン!!『かえんボール』!!」

「サンキュービート!!ゴリランダー!!『10まんばりき』!!」

 

 この明確なチャンスを逃さないように、ムゲンダイナの近くまで寄ったエースバーンとゴリランダーはそれぞれ小指と薬指に向かって技を放ち、この2つのエネルギー供給を遮断することに成功。ここでブリムオンのサイコキネシスは解かれてしまったけど、しっかりと仕事は果たすことは出来た。

 

 

「ギュアアアァァァッ!!」

 

 

「やっぱりそう来ると思ったと!!『ソウルクラッシュ』!!」

「こっちもついでにやらせてもらいますよ。もう一度『サイコキネシス』!!」

 

 通常色が技を中断させられたことで、その援護をしようと意識が逸れた色違いのムゲンダイナ。その隙を見逃さないマリィは、すかさずオーロンゲで色違いの小指を攻撃し、こちらのチャージも妨害。更に、通常色へのサイコキネシスが切れたために、また自由に技を打てるようになったブリムオンが、小指のチャージを止められて怯み、さらに大きな隙を晒した色違いムゲンダイナの薬指に攻撃することで、また1本のチャージを妨害した。

 

 これで残りは、親指の2本だけ。

 

 

「「ギュアアアァァァッ!!」」

 

 

「っ、下がってエースバーン!!」

「ゴリランダーも戻れ!!」

「オーロンゲ!!バック!!」

 

 しかし、チャージの指が減るということは攻撃の手が強まるということ。そんな攻撃の嵐の中、これ以上前に居続けるのはさすがにきついので、1度下がって態勢を立て直すことを考える。

 

 実際、エースバーンたちが下がると同時に、自由に動けるようになった8本の指が、炎やら毒液やらをあちこちにばら撒き始めた。

 

 さすがにこれだけの火力を前にしたら、ザシアンたちも攻めあぐねてしまうようで、同じように私たちの元まで下がってきていた。

 

「数字だけ見ればあと2つなのに……」

「その2つがとてつもなく遠く見えるぞ……」

「幸い、制限時間は伸びてくれてはいるけど……」

「これは、最後数本をまとめてやった方が良かったかもしれませんね」

 

 私、ホップ、マリィ、ビートと続く、目の前の状況に対する感想。

 

 あらゆる物事は、8割を超えてからが本番。

 

 ふと、どこかで聞いたそんな言葉が、私の頭の中を過ぎって行った。

 

(でも、あと少しなんだ……頑張らなきゃ……!!)

 

 夜明けはもう目の前。

 

 私たちの手は、もう半分届いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今日はポケモンデイです。このお話が出ていると同時に、情報が公開されていると思います。

どんな内容が展開されるのか、とても楽しみですね。




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