「エースバーン!!『でんこうせっか』!!」
「ゴリランダー『10まんばりき』!!」
「ブリムオン『サイコキネシス』!!」
「オーロンゲ『ソウルクラッシュ』!!」
「ウルォーード!!」
「ウルゥーード!!」
「クムンパ!!」
ムゲンダイナの最後の攻撃を阻止するべく、とにかく前に出て攻撃を仕掛けようと奮闘する私たち。
10本の指で行われていたチャージ行動も、残すところ両手の親指2本のみ。もう攻略まで目前のところまで来てはいる。が……
「「ギュアアアァァァッ!!」」
「くっ、相手も意地になってるな……!!」
「近づける気配が全然ない……!!」
こちらの攻撃に対して、自由に動くことの出来る親指以外の指から次々と放たれるかえんほうしゃとヘドロウェーブ。
どちらもダイマックして放っているせいもあってかいちいち火力が高く、ザシアンやザマゼンタ、バドレックスはともかく、エースバーンたちはひとりでどうこうできる問題では無く、ひとつの技に2人以上が対処しないと押し返すことが出来ない。ただ、それをしてしまうと、相手の指が8本なのに対して、こちらのポケモンはバドレックスたちをバラバラにカウントした上で11人しかいないので効率面で非常に心許なくなってしまう。そうなってくると、どうしても回避行動が多めになってしまい、ムゲンダイナへの距離が一向に縮まらない。
今も、迫ってきた指2本分の毒液に対して、片方はギルガルドがキングシールドで受止め、もう片方をバドレックスたちが中和。ここからさらに飛んでくる指2本分のかえんほうしゃを、ザシアンとザマゼンタが切り裂き、受け止めてくれているので、この間に接近して攻撃をしようとかけ出すものの、接近されたことを相当根に持っているのか、残った指4本のうち1本はヘドロウェーブによる無差別攻撃を行い、2本は現状1番近いポケモンに向かってかえんほうしゃを放ち、最後の1本に関しては、かえんほうしゃを渦のように放って、自分たちを守るようにまとい始めていた。ちなみに、この1本と言うのは通常色のムゲンダイナの小指部分だ。
毒と炎のコンビで近づくことが出来ず、例え近付けたとしてもあの火力によってできた鎧が彼らを守っている。
攻防一体のその構えは隙がなく、突破できる未来がまるで見えてこない。
一瞬他のポケモンを呼び出すことも考えたけど、これだけ相手の攻撃が激しすぎると、2人目のポケモンまで思考が回らず、被弾とミスが増えることが簡単に予想出来たためそれは却下。今出ているエースバーンたちだけでどうにかするしかない。
とは言え……
「エースバーン『かえんボール』!!」
「ゴリランダー『ドラムアタック』!!」
飛んでくる毒液の流れ弾に対して、避けるのが間に合わない2人が協力して技を発動して何とか相殺をすることが出来た。
逆に言えば、こうでもしないと流れ弾ですら危ない。
(やっぱり火力差が著しい……どうにか突破口を見つけないと……)
この火力不足というのは目下一番の問題だ。
何度も言うけど引き分けは実質こちらの負け。相手のチャージを止めるだけの火力はないと、どうやったってこっちに勝ち目は無い。
(なにか一撃どかんと強い攻撃……もしくはさっきみたいに、相手の攻撃をある程度の距離まで安全に弾ける何かがあれば……)
「ウルゥーード!!」
「ドド……?」
「マホ?」
この状況を打破できる手札の候補を作り出そうと必死に頭を動かしていく。すると、そんな私の横でザマゼンタがマホイップとギルガルドに声をかけていた。
急に声をかけられた2人は首をかしげ、ザマゼンタの近くによっていく。
「ウルゥド」
「ドド」
「マホマ」
戦闘中故時間をあまり取れないので、素早く声のやり取りして会議を進めていく3人は、程なくしてお互いの意志疎通を完了したみたいで、顔を見合わせて頷き合った後に陣形を組み始める。
「ドドッ!!」
まず先頭に立つのはギルガルド。シールドフォームにて、自慢の盾を前に突き出しながらキングシールドを発動。ハニカムシールドを目の前に展開し、攻撃を受け止める準備を整えた。
「ウルゥーード!!」
その後ろに控えるのはザマゼンタ。
遠吠えをあげながらひかりのかべとリフレクターを同時展開。キングシールドを補強するかのように展開されたその幕は、より守りを強固なものとする。
「マホホッ!!」
そしてそのザマゼンタの上に乗ってクリームを操る最後の番人がマホイップ。今しがたギルガルドとザマゼンタが作り出した三重のシールドをクリームで包み込むことによって、さらに強度を底上げし、甘い香りのする巨大な盾を作り上げた。
防御のエキスパートと援護のエキスパートが協力して作り出した至高の盾。それは、クリームの水分が炎を受け止め、3枚の壁が毒液を弾く完全な守りとなり、ムゲンダイナの攻撃を次々と弾き始める。
「ウルゥード!!」
彼らの作り上げた盾が、ムゲンダイナの攻撃をしっかりと弾けることを確認したザマゼンタは、出来上がった壁に満足げな表情を浮かべるとともに、すぐにこちらに振り返って声をあげる。
私たちが最初にギルガルドを盾に突っ込んだあの作戦。その完全上位互換の作戦をもって、ムゲンダイナを追い詰めようという考えらしい。
本来なら、あのムゲンダイナに同じ手は二度通じはしなかっただろう。が、さっきの作戦にザマゼンタとマホイップが加わることによって、作戦の完成度が二回りも三回りも成長されたことで、同じ手でも通じてしまう程のものとなっていた。
「マホホ~!!」
「ドドドッ!!」
次々と打ち付けられる毒液の津波と火炎の嵐。その悉くを弾くその様に気分を良くしたマホイップとギルガルドが嬉しそうに声をあげながら、ザマゼンタと共に壁を前進させる。
ギルガルドとエースバーンがした時よりもさらに安心感の強い大きな壁は、その後ろにエースバーンやザシアン、バドレックスたちをしっかりと隠し、全員を安全に前へと進めてくれる。
「凄いぞ3人とも!!」
「これなら安全に進軍できるとね!!」
荒れ狂う毒と焔の中を、まるで気にしないかのように順調に進み始めたザマゼンタたちを見て、テンションの上がったホップとマリィから嬉しそうな声が聞こえる。
私とビートも、声を出していないだけで、ここまで安心できる壁を前にすれば、その安心感から表情が大分緩くなる。
「「ギュアアアァァァッ!!」」
しかし、そう簡単に物事は進んではくれない。
巨大な盾ですべてを受け止め、少しずつ進軍していく私たちを確認したムゲンダイナは、自身の身体を包み込む炎を展開している小指1つを除いた7本の指に焔を宿し集中。そしてこれを同時に解き放つことによって、7つのかえんほうしゃが空中で合体し、1つの巨大な炎の槍となってこちらに迫って来る。
それもただ1つに束ねているのではなく、7つの炎全てを回転させながら合体させることで、1つになったかえんほうしゃの塊も同じように回転。真正面から見れば、時計周りにねじれたドリルのような形となって、ザマゼンタたちのシールドを穿ってくる。
「大きなシールドだから一点突破して貫こうって腹ですね」
「相変わらず思考転換が速すぎる……」
此方の行動を見てすぐに対抗策を立てて行動してくる。その速さはまるでトレーナー付きのポケモンと戦っているようで、本当に野生なのかと疑いたくなっており、これにはビートも私も苦言を呈する。
「ウルォード!!」
「ドドッ!!」
「マホッ!!」
シールドにのしかかる重い一撃。それはギャリギャリと言う不協和音を奏でながら、こちらのザマゼンタたちの進軍スピードをぐっと抑え込んだ。しかし、先ほど押し返されてしまったギルガルドだけの時とは違い、気合を入れながら前に進む3人は、これだけの攻撃を受けても尚、進む足を止めることはない。
彼らの作り上げた壁はそれだけ強固だったのか、この火力を前に、決して壊れることなく受け続けることに成功していた。
「ウルォード!!」
「カムンパ!!」
「バシロォース!!」
「バクロォース!!」
決して壊れない最強の盾。これを確認した伝説のポケモンたちは、全員が気合の声をあげると同時に、このシールドの後ろに向かって突進を行い、力の限り押し込み始めた。
どうやら盾の強度を信じて、このまま盾ごと前に押し込んで、遅くさせられた進軍速度を元に戻すつもりらしい。
「考えは伝わったよ!!エースバーン!!」
「オレたちも行くぞゴリランダー!!」
「オーロンゲ!!あたしたちも行くと!!」
「ブリムオン!!あなたも手伝ってください!!」
そうと決まれば私たちも参戦。ザシアンたちと同じように、シールドの後ろから手を添えたエースバーンたちは、そこから力の限り押し込んで前へ前へと突き進む。
これにより、シールドから聞こえて来る不協和音の音はさらに大きくなったものの、それでも進軍速度はさっきと同じ……いや、何ならそれ以上の速さまで上昇。ムゲンダイナと私たちとの距離がぐんぐんと狭まっていく。
「「ギュ……ァァァッ!!」」
どれだけ攻撃をし続けても諦めずに突っ込んでくるエースバーンたちを見て、苛立ったような声をあげながらさらに炎の出力をあげようと頑張るムゲンダイナたち。これによって、確かにかえんほうしゃの火力は上がりはしたものの、それでもこちらの進軍を止めるには至らない。結果はこちらの進軍速度を少し遅めただけで、たいしたマイナスにはなっておらず、むしろ相手が力を引き出してなお進軍できるこの状況に、エースバーンたちの士気は上がっていく一方だ。
このまま進みけば、程なくしてザシアンたちはムゲンダイナの元へ到着できる。そうすれば、ザシアンとバドレックスたちがあの炎の鎧を打ち破り、エーズバーンたちがその隙に突っ込んで指を攻撃が可能になり、晴れてこのチャージを止めることができるようになるだろう。
が、相手はブラックナイトと言う歴史的事件を起こすほどの強力なポケモン。
(絶対に……まだ何かが……ある!!)
相手が相手ゆえに、順調だけど決して気は抜かず、じっとムゲンダイナの動向に注視する。
この考えをしているのは私だけではないらしく、ふと横目で確認してみたら、同じようにじっと前を見るホップ、マリィ、ビートの姿が確認できた。
前で壁を押しているザシアンやバドレックスたちも険しい表情を浮かべているあたり、まだ何かあるというのを考えているのだろう。
そしてそんな私たちのマイナス方面への期待に応えるかのように、相手側の動きに変化が起きる。
「ギュアアアァァァッ!!」
叫び声をあげるムゲンダイナ。しかし、声をあげたのは今までみたいな2人同時ではなく、通常色のムゲンダイナのみ。
そんな声を張り上げた通常色のムゲンダイナは、チャージ供給をしている親指と、自身と色違いを守る炎を維持している小指、そしてこちら攻撃してきている人差し指と薬指の攻撃を維持したまま、中指の攻撃を一時中断。こちらに向けて撃っていた炎を指先に溜めはじめ、ある程度溜めたところで空中に向かって打ち出した。
「……成程、そう来ますか!!」
「そう言えばまだしてなかったとね……!!」
「てっきりできないものだと思ったけど……そういうわけではないんだね」
「ゴリランダー!!気合を入れるんだ!!」
その様を見て、何をしようとしているのか察した私たちはそれぞれ言葉を零し、そんな私たちの言葉を裏付けるかのように、真っ暗な空中に1つの大きな太陽が顔をのぞかせる。
「ギュアアアァァァッ!!」
それはムゲンダイナによって作り出された偽物の太陽。
ダイマックスエネルギーを含んだほのおタイプの技、ダイバーンが、こちらに向かって真っすぐ突き進んできた。
「ウルゥーード!!」
「ドドドッ!!」
「マッホーーッ!!」
ここに来て迫って来る大技を前に、シールドを形成する3人組が気合を入れて立ち向かう。
ズシンと言う、質量のある攻撃がぶつかる大きな音が響く中、拮抗する2つの力が空中でぶつかり合う。
「ウルォーード!!」
「カムンパ!!」
「バシロォース!!」
「バクロォース!!」
最強の盾と最強の火力による押し比べ。それはお互いの意地と意地のぶつかり合い。
「バスッ!!」
「グラァッ!!」
「ローグッ!!」
「リオォッ!!」
ここにいる全員が、この押し合いに勝つべく全力を注ぎこむ。
果たしてその結果は……
「ウルゥーード!!……ウルゥッ!?」
「ドドッ!?」
「マホッ!?」
シールドの破壊と火炎の霧散と言う引き分けと言う結果に終わる。
爆音とともにはじけ飛ぶシールドと火炎球は、あたりに衝撃をまき散らしながら消滅。シールドを作成していたザマゼンタとギルガルド、マホイップは、この衝撃をもろに受けてしまい、大きく後ろに吹き飛ばされ、私たちの近くに墜落。戦闘不能とまではいかないものの、少なくないダメージを負って倒れた。
だが、ザマゼンタだってただ弾かれたわけではなく、この結果を予想していたからこそ、こうなる直前に声をあげてザシアンたち壁押し部隊に合図を出して、壁から離れるように指示。これに従って全員が同時に壁から離れていたおかげで、この爆発に巻き込まれることなく耐えることに成功していた。
故に、ザシアンたちは未だにムゲンダイナから近い位置を保持している。
「ウルォーード!!」
「カムンパ!!」
「「ギュアアアァァァッ!!」」
お互いの攻撃が止み、一瞬だけ産まれる静かな時間。この時間こそ最大のチャンス、或いはピンチと言うことをすぐさま判断した伝説のポケモンたちは、誰よりも早く反応して行動を開始。
この隙にさらにムゲンダイナとの距離を積めようと動き出したザシアンとバドレックスに対して、ムゲンダイナたちはそれぞれ人差し指からかえんほうしゃを発射。
「クラウンパ!!」
「バクロォース!!」
「バシロォース!!」
この炎に対して、ザシアンよりも一歩前に出たバドレックスがアストラルビットとブリザードランスを展開。迫りくる攻撃に対して自身が壁となり、その間にザシアンに前に進んでもらうためにザシアンにアイコンタクト。これを受け取ったザシアンは、この攻撃をバドレックスに任せて前に突き進む。
「私たちもザシアンを援護しよう!!マリィ!!」
「わかってると!!」
その動きを見て、バドレックスとザシアンの考えを悟った私たちも、ザシアンを援護するべく前進することを指示。それと同時に、ムゲンダイナたちの中指と薬指の計4本から同時にかえんほうしゃが発射。それらすべてがザシアンに向けて真っすぐ飛んできたので、マリィに指示を出して、この攻撃を弾く準備を整えてもらう。
エースバーンたちでは単純な力が足りないから、ムゲンダイナの指ひとつ分の攻撃を弾くのに2人以上で攻撃しなくてはならない。しかし、それだと今のザシアンを援護することはできない。なので、ここは工夫をする必要がある。
「オーロンゲ!!『ひかりのかべ』を4枚!!」
「……成程、そういう事ですか」
「みんなでザシアンを守るんだな!!任せろ!!」
ひかりのかべを4つ作ったオーロンゲは、これをエースバーンたちに配布。全員が壁を1枚ずつ持ったところで、ビートとホップも作戦を理解し、エースバーンたちが同時にザシアンとかえんほうしゃの間に張り込んでひかりのかべを構えた。
真っすぐぶつかれば当然力負けをする。そこで私たちが考えた作戦が、ひかりのかべを利用して
構えたひかりのかべを調整することによって、その表面を滑らせ、誰にも当たらない方向へと飛ばしていく。こうすることによって、力が足りなくてもザシアンを守れるようになる。
「バス……ッ!!」
「頑張ってエースバーン!!」
勿論相手は伝説のポケモンの一撃。ただそらすだけでもかなりの力が必要になる。けど、最悪ザシアンを守ることが出来ればそれで十分。そのためにここにいる全員が、意地を見せて踏ん張り続ける。
その結果、ザシアンを狙って放たれた4つのかえんほうしゃは全てあさっての方向へ逸れ、その中心を青色の風が駆け抜ける。
「いけぇ!!ザシアン!!」
「そのまま突っ込むと!!」
「ウルォード!!」
ホップとマリィの声に頷きながらかけるザシアンは、口元に咥えた剣をシアン色に光らせながら飛翔。ムゲンダイナまであと少しという所まで到達した。
「ギュアアアァァァッ!!」
これ以上の接近は許せない。なのでムゲンダイナも必死に抵抗するべく、最後に残った色違いの小指がザシアン目掛けてかえんほうしゃを発射。何がなんでも近づけさせないように放ってきたその一撃は、しかしタイマンでは力の勝るザシアンの敵では無い。
「ウルォーード!!」
掛け声とともに剣を振り抜き、炎を切り裂いたザシアンは勢いを殺すことなく、むしろさらに加速して再び攻撃態勢。ムゲンダイナを守る炎の鎧をも、一太刀にて切り裂いた。
これでもう、ムゲンダイナを守るものは何も無い。
「ギュアアアァァァッ!!」
「切り裂かれることを予知してましたか……っ」
「ザシアン!!気をつけて!!」
かと思われた瞬間、通常ムゲンダイナが吠えた。
動かしているのは炎の鎧を操作していた小指。
ここまでザシアンに近づかれたらもう守りは無意味と悟った彼が、鎧を切り裂かれる少し前に操作を辞め、かえんほうしゃの準備を整えていたらしい。
2連撃を行ったばかりのザシアンは、さすがに3撃目を放つ準備までは出来ていない。
(このままじゃやられちゃう!!ここまで来たのに……え?)
絶対的なピンチを前に声を上げるビートと私。しかし、1番危ない場所にいるザシアンはと言うと、まるで計画通りと言わんばかりに余裕の表情を浮かべていた。
なぜそんな表情を浮かべられるのか。
その答えは、突如私たちの後ろから飛んで行った2つの影が教えてくれた。
その影の片方は、瓦礫を漆黒のオーラで包み込んだもの。そしてもう片方は、大という形になって燃え盛る紅蓮の焔。
「『ポルターガイスト』!!」
「『だいもんじ』!!」
「マホッ!!」
「ドドッ!!」
その影が現れると同時に響き渡る2つの声と、その声を聴いて喜んだもう2つの声が私の耳に入ってくると同時に、今しがた見た技がザシアンの横を通り抜けて通常ムゲンダイナの親指にクリーンヒット。供給源の最後の2本のうちの、片方を撃ち抜いた。
「はぁ……はぁ……間に合った……かな?」
「みたいだな……」
「フリア!!」
「アニキ!!」
後ろを振り向けば、そこにはヨノワールとリザードンに抱えられたフリアとダンデさんの姿。
全員痛々しい姿を見せてはいるものの、それでも無事な姿を見せてくれたことに、私とホップはつい言葉を漏らしてしまう。
「無事を喜ぶのは分かるけど今は前を!!指はあと1つ残ってますよ!!」
「むしろ、最後の1本以外攻撃してくるって考えたらここがいちばん大変と!!」
そんな私たちに対してしっかり現実を見ているビートとマリィは、喜ぶことを後回しにすることを発言。ヨノワールもリザードンもダメージと疲れから全力を出せなかったため、2人でひとつの指を止めるのが精一杯だったみたいで、チャージ中の指はあと1本残っている。そして逆に言えば、残りの9本が自由になったということでもあり、それ即ち、ここからが1番攻撃が激しくなると言うこと。
「「ギュアアアァァァッ!!」」
それを理解しているのはムゲンダイナも一緒で、何がなんでも最後の指を死守しようと、かえんほうしゃとヘドロウェーブを全力で溜め始める。
狙いは1番近いザシアンを遠ざけること。
「みんなザシアンの援護を!!」
今ここでザシアンを遠ざけられたら、また1から接近し直しになる。そうなれば、ムゲンダイナの攻撃を掻い潜るのがさらに難しくなる。
ザシアンが到達するのが先か、それともムゲンダイナが押し返すのが先か。
おそらく、ここで決めきらないとチャージを阻止するタイミングは無い。そんな予感を感じた私たちは、必死にザシアンの援護に走る。
「……大丈夫だよ。もう、間に合ってるから」
そんな緊迫している空間に聞こえてくる優しい声。振り向けばその声の主であるフリアが、安心した表情で別の方向を見ていた。
「大丈夫って……え?」
フリアの見ている方向。そちらに視線を向ければ、そこには先ほどのダイバーンとはまた別の、太陽のように輝く丸い光と、そこから高速で伸びていく一筋の光。
その光は、まっすぐムゲンダイナに向かって突き進み、色違いムゲンダイナの親指を貫く。
これよって、ムゲンダイナビームのチャージが完全に停止させられた。
「あの光は……何と?」
「物凄い力を感じましたが……一体何者ですか……」
急に現れた攻撃に声を上げるマリィとビート。
声に出さないだけで、フリア以外の全員が疑問を持つ中、この疑問に答えるように、今の攻撃の主が私たちに姿を見せてくれた。
「リオーーーッ!!」
それはまるで、太陽を思わせるようなたてがみをした、真っ白で逞しい身体を持つポケモンであり……
「あなたは……」
同時に少し、懐かしい気配を感じた。
太陽の様な光
遂に最後のポケモンが登場ですね。ようやくこの子が来てくれました。