「リオォォォッ!!」
ムゲンダイナの最後の指を撃ち抜き、私たちの前に着地して吠える太陽のポケモン。
凛々しく、逞しい四肢とたてがみを持つそのポケモンは、ムゲンダイナのチャージ行動が完全に停止していることを確認したら、満足そうに1回頷いた後に、ゆっくりと私の方へと振り返ってきた。
「え、えっと……」
私の方をじっと見つめながら歩いてくる太陽のポケモン。
明らかな圧力を伴って歩いてくるその姿に、どう反応するのが正しいのか分からない私は、思わずどもってた声を零してしまい、半ば助けを求めるような意味も込めて周りに視線をよこす。けど、私以外のみんな……いや、正確にはフリアだけは穏やかな表情を浮かべているけど、少なくともホップたちは私と同じで、どうすればいいのか迷っているように感じた。
「わわっ!?」
なんてあたふたしているうちに、気づけば太陽のポケモンは目の前まで迫ってきており、私の視界いっぱいに立派なたてがみのついた顔が映し出される。
(ち、近い!?ド・近いよ!?)
思わずピオニーさんみたいな感想を零しながら、それでも混乱のせいで全く動けない私は、何をされるのか分からないという恐怖から思わずギュッと目を瞑る。
そうやって来るべき出来事に対して無意識のうちに防衛行動を取っていると、ついに私の身体にアクションを起こしてきた。
「リオ〜」
「え?」
そのアクションというのは頬ずり。
私に対して、まるでじゃれるかのように頬を擦り付け、見た目にそぐわない甘えた声を漏らしながら引っ付いてきたこの子に、思わず困惑の声をあげ……
(あれ……やっぱりどこか……安心する……?)
ここに来て、この子が登場した時に感じた懐かしさのような空気をもう一度感じた私は、目を開けながら無意識のうちに目の前の子のたてがみをそっと撫でた。
太陽のようなポケモンの身体は、その見た目通りの温かさをしており、滑らかなその部位は撫でているだけでこちらも心地よい。
「……あっ!?」
と、ここまでこの子とのスキンシップを重ね、心が落ち着いたところで目を合わせてみれば、ようやくあることに気づいた。
それはこの子の頭部に見られる特徴的な見た目。
たてがみの中心部にあるその部位は、綺麗な青い目と吸い込まれるような星空をした見た目となっており、その構成にとてつもない既視感を覚えた私は、すぐにとあるポケモンが頭をよぎった。
ナックルシティに入る際、私たちに合流してきた夜のポケモン。その子がしていた頭の部分と、この子の頭の部分がとてもよく似ている。そしてその夜のポケモンは、この場にあるポケモンを探しにやってきていた。
とすれば、このポケモンの正体も、自然と頭に浮かんでくる。
「もしかして……ほしぐもちゃん?」
「リオ〜!!」
「わわわっ!?」
その正体の名前を口にした瞬間、私に向かってさらにじゃれてくる太陽のポケモン。
どうやら、私に名前を呼んで貰えたのが……ちゃんと正体に気づいてくれたことが嬉しかったみたいだ。
そうとわかった瞬間私の中に溢れてくるのは、あんなことがあったのに無事でいてくれた事の安心感と、再会できたことによる嬉しさ、そしてはぐれてしまったことによる申し訳なさの3つだった。
「本当に……良かった……!!」
その思いをぶつけるかのように、私からもほしぐもちゃんをぎゅっと抱きしめ、ゆっくり、優しく撫でていく。
「リオ〜……」
手乗りサイズだった頃から随分と大きさが変わってしまい、腕を広げても抱えるなんて無理な大きさで、それに伴って力もすごく強くなっているけど、精神面はまだまだ幼いらしく、私の愛撫に対してほしぐもちゃんは、惚けた声を上げながらさらに甘えてくる。それがとてつもなく癒されて、撫でるが手が止まらない。
「これがほしぐもちゃんと!?」
「中継で見ていたあの小さなポケモンがこんな姿に……にわかには信じられませんが……」
「ユウリにこんなにベッタリなら本物だぞ!!すっごいかっこよくなったな!!」
私たちの様子を見て、同じく正体がほしぐもちゃんであることに気づいたみんなも、嬉しさ、または驚きを含んだ声を上げながら私たちに近づいてくる。
「あれ、ってことはあのポケモンは……」
「ペアッ!!」
「わっ!?」
と、ここまで来てこの子と会いたがっていたもう1人のポケモンのことを思い出し、首を動かそうとしたところでそのポケモンもぬっと横から顔を出し、自身の存在をアピールしてきた。
そのことに少し驚いた私は、しかし嬉しそうな声を上げながらこちらを見る視線に、こちらも思わす表情を緩めてしまう。
「……2人とも、会えて良かったね!!」
「リオッ!!」
「ペアッ!!」
どういう経緯があってほしぐもちゃんがこうなったのかは分からないけど、少なくとも今はこうして、家族との感動の再会を果たすことが出来ている。終わりよければ全てよしという訳では無いけど、この結果は素直に喜んでもいい。そう思えた。
そんな朗らかな空気が流れ始めるこの屋上。だけど、そんな空気を切り裂く声が2つ。
「「ギュアアアァァァッ!!」」
それは空から聞こえてくる大きな叫び声。
この声につられて空を見上げればそこには、こんな状況になっても……いや、こんな状況だからこそ暴れようとするムゲンダイナの姿。
「まだやる気なのか!?」
「いえ、むしろ今だからこそ暴れてやろうという魂胆なのでしょう。現に……『ムゲンダイビーム』用のエネルギーがまだ保持してあります」
「「「っ!?」」」
ホップの言葉に対して冷静に返すビートの説明通り、不完全ながらもある程度の大きさに固まっているムゲンダイビームが、未だにムゲンダイナの両手の中に収まっている。
もうチャージをすることは出来ないみたいで、これ以上の成長をすることはないものの、現在溜められている量だけでも十分な威力は込められている。
少なくとも、このナックルシティを消すくらいの火力は控えているだろう。
「「ギュアアアァァァッ!!」」
そんなエネルギーを、ムゲンダイナは躊躇無くこちらに解き放つ準備を進めてく。
「絶対に止め━━」
「ヨノワール!!『ポルターガイスト』!!」
「リザードン!!『だいもんじ』!!」
その様を見て、何がなんでも止めなくてはと判断した私。けど、そんな私よりも速くその考えにたどり着いていたフリアとダンデさんが、私の声を遮るように指示を出す。
私たちの中で1番ダメージを負っている2人が、苦しそうに、けどそれを見せないように必死に繰り出した指示。これにより、辺りに浮かぶ瓦礫たちや、ゴリランダーが生み出した木の根っこたちが至る所から集まり、1箇所に集中。そして、これらがリザードンの放つだいもんじによって全てが業火に焼かれ、大きな火の玉になる。
「やれやれ、本当に……ブリムオン!!『サイコキネシス』!!」
「カムンパ!!」
「ペピアッ!!」
そして、そんなフリアたちの行動を見て直ぐに何をしたいのか理解したビート、バドレックス、夜のポケモンの3人はサイコキネシスを発動。ただでさえ固まって大きくなっていた炎の塊に、さらにどんどん瓦礫を追加した上で、サイコパワーによって固定。ポルターガイストだけの時よりも、2回りも3回りも大きくなり、圧倒的な存在感を放つ物体となった。
その姿を見て私は、どことなくキョダイマックスエースバーンが蹴る、キョダイカキュウを想起する。
「っ!?………はぁ……はぁ……」
「ノワッ!?」
「フリア!!ヨノワール!!」
ムゲンダイナが溜め込んだエネルギーの球と同じか、もしくはそれ以上の大きさのものが完成。これがあれば、ムゲンダイナの最後の悪あがきにも勝てるかもしれない。が、そんな大事なものが完成すると同時に、フリアとヨノワールが身体を地面に落とし、息を切らせる。
体力もないのに未だに共有化を解かずに、これだけの力を行使している。もう、限界をとっくにすぎているということなのだろう。
そんな2人に駆け寄った私は、フリアの身体を支えようとして、逆に自分の肩を掴まれる。
「フリア……」
「はぁ……はぁ……情けないところ見せちゃったね……」
心配する私の声に対して、安心させたいフリアが一生懸命笑顔を作ろうとするけど、疲れと痛みのせいで浮かべているそれは酷く歪で、安心するどころか益々不安な気持ちが募っていく。が、そんなことお構い無しとばかりにフリアは言葉を続けていく。
「ムゲンダイナは……あとちょっとで止まってくれる。そのための最後の攻撃も……準備した」
言葉を続けるフリアの視線の先には、フリアたちが作り上げた巨大な火球。
轟々と燃え盛るその球は、打ち出される時を今か今かと待ち望んでいるようにも見えた。
「けど……今のボクだとこれを作りあげて……維持するので精一杯だ。だから……」
右手で拳を握り、ゆっくりと私の方に突き出してくるフリアは、この拳に色々な想いを乗せながら言葉を紡ぐ。
「……任せたよ。ユウリ」
「っ!?」
コツンと、私の肩に軽く当てられる。
たったそれだけなのに、とてつもなく思い圧力が私にかかった気がして、一瞬呼吸が止まる。
この攻撃の正否で、ナックルシティの運命が決まると言っても過言では無い大きすぎる役割を託されたことに、プレッシャーと緊張が一気にのしかかる。
絶対に失敗は許されない大役。それを前に私は……
「うん……任せてフリア。……あなたの想い、ちゃんと受けとったから!!」
おそらく、
本来ならフリアが自分の手でしたいけど、出来なから仕方なく誰かに託しているというのはよくわかっている。けど、その相手を他の誰でもない、
ずっと遠くて、追いつけないと思っていたその背中に追いつけたような気がして。
隣に立ってもいいと、本人から認められた気がして。
(相変わらず、ちょっと歪んでて重いなぁ……)
勿論フリアのことだから、きっと最初から私の事は認めてくれているのだろう。けど、こういう場で言われたからこそ実感というのを強く感じる。そもそも、フリア自身がこういうことを積極的に口にする人間じゃないというのも大きい。
こんな応援をされたら、頑張らなきゃいけないに決まっている。
「そっか……ありがと。いってらっしゃい」
「うん。いってきます!!」
私の覚悟を聞いて、安心したような顔を浮かべたフリアは、私の背中を押すように言葉を送ってくれたので、それに返事を返した私は、ちょっとの名残惜しさを感じながら、フリアから離れて火球の方へ歩いていく。
「……ああもう、どれだけ嬉しかったの、私」
その途中、何故か少しだけ瞳に溜まっていた熱い水分を手で拭って、今までで1番冴えた視界を持って、火球を見つめる。
「いくよ……エースバーン!!」
「バスッ!!」
そんな私の気持ちがエースバーンにも伝わっているみたいで、エースバーンも楽しそうな声で返事をする。
「おいおい、オレたちを忘れるなよ!!」
「あたしたちだって、戦うと!!」
「ウルゥーード!!」
「ウルォーード!!」
「リオオォォッ!!」
そして、私たちのやり取りをしっかり見ており、且つこの火球を作るための手伝いをすることが出来なかった、ホップ、マリィ、ザマゼンタ、ザシアンが、ほしぐもちゃんが、私の横立って声を上げる。
「すぅ……はぁ……」
目を閉じ、深呼吸をひとつ。
長いようで短い、けれどやっぱり長いこの夜に終止符を打つために。
「みんな!!」
「おう!!」
「うん!!」
目を開け、最後の攻撃を指示する。
「『かえんボール』!!」
「バースッ!!」
「『ドラムアタック』!!」
「グラァッ!!」
「『ソウルブレイク』!!」
「ロオォグッ!!」
「ウルゥーード!!」
「ウルォーード!!」
「リオオォォッ!!」
もはや叫び声とも取れるほどはっきりした声で紡がれる指示と、それを受けて技を放つものたち。
巨大な火球に対して次々と刺さる技は、この火球をどんどん上へと押し上げていく。
エースバーンの燃え盛る足が、ゴリランダーが呼び出した無数の根っこが、オーロンゲが髪を束ねて作り上げた貫手が、装甲を展開して赤い弾丸となって突き進むザマゼンタの突進が、剣を青く光らせて光の速さで刻み込まれるザシアンの斬撃が、全身を白く光らせたほしぐもちゃんの全力の突撃が、そのエネルギーを全て火球に叩きつけ、やがて少しずつ動いていた火球の動きが一気に加速。まるで大砲で打ち出されたかのごとく、とんでもない勢いと威力を持って、ムゲンダイナへと突き進む。
「「ギュアアアァァァッ!!」」
対するムゲンダイナたちは、未完成ながらもこのエネルギーを解き放つべく、お互いの手のひらの付け根部分をくっつけ、両手で花を作るかのような形に構えた後に、その中心にここまで溜めてきたエネルギーの塊を設置。その状態から掌をこちらに見せつけるように突き出し、それと同時に破壊エネルギーを一気に照射。ダイマックスする前から放っていたあの赤紫のレーザーと色こそは変わらないものの、その何十倍にも膨れ上がった規模と威力を光線状にして解き放ってきた。
天に昇る太陽と、空からうち下ろされる破壊の光線。
この2つは、私たちとムゲンダイナたちのちょうど中間点でぶつかり合い、そこでピタリと動きを止めて拮抗状態となる。
「くっ……!!」
2つの攻撃がぶつかると同時に起きる衝撃波と破壊音は凄まじく、そこそこ離れているはずの私たちでさえ立っているのがやっとで、腕で顔を覆っているおかげで視界は何とか確保できているが、耳は全く使い物にならない。現に、すぐ隣にいるはずのホップの声も耳に入ってこないレベルだ。
「……のぉ!!」
それでも必死に踏ん張って前を見れば、そこには拮抗状態から徐々に押され始める火球の姿が目に入る。
当たり前だ。いくら大砲で打ち出されるレベルの火力と勢いがあるからと言って、こちらは一発撃ちだすだけなのに対してあちらは継続的に勢いが注ぎ込まれている。それに、こちらは上に打ち上げている兼ね合いでどうしても重力と言う切っても切れない自然現象がある。サイコキネシスとポルターガイストでその影響を抑えているとはいえ、ここまでの質量の物を完全に重力の影響から逃すのは難しい。それはフリアも言っていたことだ。
このままではあの火球が押し返されて、むしろこちらを押しつぶす攻撃に変わってしまう。
(押してダメなら……)
しかし一度は拮抗した押し合い。そして向こうのムゲンダイビームだって、完全な状態ではなったせいでガス欠は速い。実際に今もちょっとずつ威力は落ち始めているようには見える。
なら、引く理由なんてどこにもない。
「もっと押して!!エースバーン!!」
「バースッ!!」
ぶつかり合う火球と光線に向かって、私の声を聞いて吠えながら飛び出すエーズバーン。
足場となる瓦礫はすべて火球の素材にされてしまっているため少し飛びにくくあるものの、でんこうせっかの脚力を維持して空に飛び出すことによって、この苦しさを無理やり突破。火球の目の前まで接近した。
「ゴリランダー!!根性見せるぞ!!」
「オーロンゲ!!気張ると!!」
そのエースバーンに続くように伸びていく根っこの塊と、その上を走る黒い影。
エースバーンだけに先を越されるかと、ゴリランダーのドラムアタックと、その上を走ることで衝撃の中を無理やり突っ込んで行くオーロンゲが火球へとぐんぐん接近。
「ウルゥーード!!」
「ウルォーード!!」
「リオオォォッ!!」
そして、この3つの影を追いかけるように伝説のポケモンたちも、全身に力を込めて火球に向かって飛び出していく。
構える技は、全員さっきと同じ。
ただし、この技に込める想いは、さっきよりも強い。
「バースッ!!」
「グラアアァァッ!!」
「ロオオォォグッ!!」
「ウルゥーードッ!!」
「ウルォーードッ!!」
「リオオォォッ!!」
6人の叫び声が重なると同時に、全ての技が同時に火球に叩き込まれ、勢いを失い始めていた火球の力が一気に爆発。拮抗状態から押され始めていた火球が、ムゲンダイビームを押しのけ始め、打ち出したばかりの時以上の速度を持ってムゲンダイナへと迫っていく。
「「ギュッ……ギュアァッ!!」」
さっきまで優勢だったのに一気に不利になったムゲンダイナ。しかし、それでも意地を見せるために、最後の力を振り絞って出力を上げていく。その効果も相まって、ムゲンダイビームは確かに少し太くなり、威力を増した。
だけど、火球はもう止まらない。
太くなったムゲンダイビームすら押しのけて、火球は衰えることなく突き進む。
「「「いっけえええぇぇぇっ!!」」」
叫び声をあげる私とホップとマリィ。
この声を届けるためか、さらに轟々と燃え盛る巨大な火球。
このガラル地方全てを照らすのではないかと思うほど強烈なその輝きは、ついにムゲンダイビームを打ち砕き、ムゲンダイナたちの目前にまで迫る。
「ヨノワール!!」
「ブリムオン!!」
「カムンパ!!」
「ペアァッ!!」
到達した火球を前に、ムゲンダイナが何か行動を起こそうとし、しかしその行動を許す前に響くフリアたちの声。
この言葉を合図に、あの火球を維持するために行われていたポルターガイストとサイコキネシスを解除。内側に込められたありとあらゆるエネルギーが、これによってついにその枷を外していく。
結果、巻き起こるのは巨大な大爆発。
「っ!?」
ここまで沢山込めてきたエネルギーが一気に解き放たれ、ムゲンダイナの目前で大爆発を起こした火球は、私たちの視界と聴力を一気に奪い去ると同時に、身体に強烈な衝撃をたたきつけてくる。
はるか上空で爆発したのに、立つことすら許されないこの威力を前に、私は膝と左手を地面について、右腕は顔を守るように掲げて必死に耐える。
白飛びして見えない世界。
爆音で聞こえない世界。
光から目を守るために瞑って、腕で目を覆いながら耳も気持ち塞いだことで、周りの様子なんてこれっぽちも分からない。そんな時間を過ごすこと数十秒。
しかし、頭の中で、『ムゲンダイナはどうなったんだろう』や、『エースバーンたちは無事なのだろうか』とか、『これで倒せなかったらどうしよう』なんて色々考えていたせいで、体感数十分は待っていたんじゃないかという程の、不安な時を過ごす。
(お願い……これで終わって……!!)
「バスッ!?」
「っ!?」
心の中で強く願いながら、身体を小さくして必死に守っていく。すると、耳に小さくエースバーンの声が聞こえてきた。
この声から、あの火球による爆発が終わったと判断した私は、慌てて腕を払って目を開け、状況を確認しようとする。
「あぅ!?」
が、じっと目を瞑っていた私にとって、この行動はトンネルから急に外に出た時と同じで、一気に光を受けた眩しさから確認ができなかった。
開けた目を再び閉じ、そこからゆっくりと瞳を開けながら光に目を慣らしていく。
それと同時に頭に浮かぶある疑問。
(ブラックナイト中はずっと空が暗かったから、ちょっと目を閉じたくらいだったら大丈夫だと思ったのに……もしかして……!?)
さっきまでガラル地方を包んでいた赤紫の雲は、太陽の光をかなり押さえ込んでいたせいで常に夜みたいな暗さだった。なのに、今目を開けた私は、爆発が収まっているはずはずなのに眩しさを感じた。
期待せずにはいられない。
速く目よ慣れろと、心で強く祈りながらゆっくりと開眼。
数秒かけてようやく光に慣れた私の目は、遂に外の景色を目にする。
「わぁ……」
目に映るのは澄み渡った青空。
空にあるのは、ムゲンダイナのダイバーンも、ほしぐもちゃんのあの攻撃も、フリアが作り出したあの火球すらも霞むほど燦々と輝く太陽。
雲ひとつない、美しい青と光の丸のみで構成された気持ちいい空。
見えなくなって、きっと数時間も経っていないはずなのに、酷く久しぶりに感じる晴天。
「終わった……んだよね?」
心地よい風が吹く中、ついに迎えた夜明け。
私のどこかふわふわした言葉は、そんな綺麗な青空にそっと溶けていった。