【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

359 / 374
359話

「氷のステージ……なるほど、姿を隠させないようにか」

 

 凍っていくバトルフィールドを見ながらそう呟くダンデさんの言葉を証明するかのように、透明化していた2人のインテレオンの姿が、徐々に白色のシルエットとして浮かび上がっていく。これは、ステージが凍ったことによって温度が下がり、インテレオンの表面の水が冷え、霜のようになったことで隠れられなくなった弊害だ。

 

 これによって、インテレオン特有の能力は防がれることとなる。

 

「だが良かったのか?これだとフリア君のインテレオン自身も姿を隠せないが?」

 

 しかしダンデさんの言う通り、これではこちら側も姿をさらし続けることとなる。

 

 相手とこちらのポケモンが同じである以上、受けてしまう弊害も全く同じだ。

 

「インテレオン!!滑って!!」

「レオッ!!」

 

 だけど、その対策まで同じとは限らない。

 

 凍った地面を見て素早く行動を移したインテレオンは、自身の足の裏に氷の破片を滑り込ませ、スケートのようにして乗りこなし、地面を滑っていく。

 

 透明の時にどのように動いていたかは分からないけど、少なくともさっきよりも速く動けるようにはなっているはずだ。

 

 実際、ボクが瞬きをしている間に既にインテレオンは、相手の懐まで潜り込んでいた。

 

「『アクアブレイク』!!」

「跳んで避けろ!!」

 

 高速で近づき、通り抜けざまに右手の手刀を叩き込もうとするこちらに対して、あちらはジャンプすることで回避。そのまま空中で逆さまになったまま、右手を突き出してこちらを狙ってくる。

 

 どうやらスケートによって素早さを得た代わりに、小回りが効かなくなっているところに対して、旋回をする瞬間にねらいうちが当たるようにする意味を持っているのだろう。相変わらず対策の判断が速い。

 

「『ねらいうち』!!」

「『れいとうビーム』を地面へ!!」

 

 しかしそれを予想していたこちらは、振り向きながら地面にれいとうビーム。これによってインテレオンの目の前に1本の氷の柱が現れ、これにねらいうちが弾かれ、あらぬ方向へ飛んでいく。

 

 しかもただ飛んでいくのではなく、壁すらも凍っているこのフィールドはそこまでもが鏡面となっているため、飛んでくる弾を跳ね返す。

 

 結果、柱に弾かれたねらいうちは、壁を経由してダンデさんのインテレオンに返っていく。

 

「レオッ!?」

 

 前に打撃った弾が、色んなところを経由して真後ろから襲いかかってくる。そのことになんとか反応はしたものの、地面が凍っているせいですぐに動けない相手のインテレオンは、腕をクロスして守るのが精一杯。それも、地面への踏ん張りが効かないせいで、腕にぶつかると同時に爆発した水弾の衝撃によって、そのまま後ろに滑っていく。

 

 その先には、既に方向転換を終えて、再び距離を詰めていくこちらのインテレオンの姿。

 

「『アクアブレイク』!!」

 

 腕をクロスしたままの状態で水平移動している相手の後ろから、足払いのような形で右足を放ったこちら側は、相手の態勢を崩しながら高速で下をくぐりぬけていく。

 

 急な攻撃に対応できなかった相手のインテレオンは、これをもろに受け、そのまま後ろに転ぶように倒れていく。

 

「『ねらいうち』で追撃!!」

 

 その姿を確認したこちらは、このチャンスを逃さないためにすぐさま追撃を指示。こちらのインテレオンの指先から放たれた水の弾丸は、あえて色んな方向に打ち出すことによって、壁を跳弾させて全ての弾が全方位から同時にぶつかるように調整。今まさに背中から地面に落ちようとしている相手では、絶対に避けられないよう形で攻撃を行った。

 

「インテレオン、『れいとうビーム』」

 

 これなら決まる。そう心のどこかで思っていたボクだったが、聞こえてきたのはダンデさんの冷静な一言。

 

 この指示を受けた相手のインテレオンは、後ろに倒れる勢いに逆らわずに身体を動かし、そのまま身体を半回転させて左手一本で着地。その状態から、スケートのスピンのように回りながら右手から氷の光線を発射し、全包囲攻撃をすることで自身に迫るすべての水を凍らせた。

 

 もちろん凍るだけでは勢いの落ちないこちらのねらいうちは、そのまま真っ直ぐ相手に向かって突き進むこととなる。が、そんなことをダンデさんが理解していない訳もなく、続けざまに指示。

 

「『アクアブレイク』!!」

「レオッ!!」

 

 全ての水を凍らせた相手は、スピンを維持したまま両足と尻尾に水を纏い、そのままブレイクダンスを踊り出す。

 

 氷上で舞うその踊りはまさに芸術で、一瞬見惚れてしまいそうになるけど、その実、触れたものに多大なダメージを与える武器をまとった状態のそれは、現在進行形で迫ってきている全ての氷弾を弾き飛ばしている。

 

 しかも、ただ弾き飛ばしているのではなく、その全てがまるで逆再生でもしているのではないかというくらいにはぴったし元の軌道をなぞって返っていく。

 

 それはつまり、攻撃をした張本人であるボクのインテレオン自身に全て返ってくるということ。

 

「『れいとうビーム』!!」

「レオッ!!」

 

 このままではむしろこちらが被弾してしまうと悟ったボクは、慌てて地面にれいとうビームを指示。ノータイムで反応してくれたインテレオンの作りだした地面からの氷柱を盾にすることで何とか回避した。

 

「さて、そちらがその戦い方ならこちらも乗ろうか!!」

 

 ボクのインテレオンが攻撃をやり過ごしている間に、ダンデさんもこのフィールドにあった戦い方を指示。相手のインテレオンの足の裏にも氷がセットされることによって、スピードスケート対決へと移っていった。

 

(ここからが本番だね……)

 

 本音を言えばこうなる前に仕留めておきたかった。が、同時にダンデさんなら対応してくるだろうとも思っていた。なので、こうなったのは仕方がないことではある。

 

 つまり、このフィールドの本領はここから発揮されていく。

 

(インテレオンはこのフィールドのせいで透明化はできないし、たとえ何らかの方法で出来たとしても、氷を滑る音は隠せないから音でどこにいるかわかる。つまり、さっきまでと違ってトレーナーのボクとダンデさんもインテレオンの位置を把握できるようになる)

 

 さっきまではお互いインテレオンのスペックに任せていたけど、ここからはトレーナーであるボクたちの力も試される。

 

(インテレオン同士のバトルは互角だった。なら、差をつけるには他の要因を足すしかない!!)

 

 これで決着がつけば、それはそのままダンデさんとの実力差という他ない。

 

 不安はある。けど、やるしかない。

 

「「『アクアブレイク』!!」」

 

 お互いがスケート状態で前に駆け出しながら右手に水を纏い、すれ違いながら一閃。激しい水音を撒き散らしながら相殺した音を横目に、2人のインテレオンは振り向きざまにねらいうちを発射し、これも相殺させてさらに大きな水飛沫をあげた。

 

「駆けろインテレオン!!」

 

 この飛沫を前に、ダンデさんは突っ込むことを選択。

 

 スケート状態は確かに透明化はできなくなっているものの、機動力自体は走る時よりも何倍も速い。そういう点でいえば、そもそも速すぎて視認が出来ない可能性がある。それを狙っての行動だろう。けど、先も言った通り氷の削られる音が聞こえてくるためまだ把握できる。

 

「『れいとうビーム』いっぱい!!」

 

 そこでこちらが行うのは、地面の至る所にれいとうビームを放ち、氷の柱をとにかく沢山錬成すること。

 

 色んな場所に生えてくる氷の山は、まっさらなフィールドの障害物として育っていく。

 

「走りながら『ねらいうち』!!」

 

 そして、ある程度の柱が生まれたところで、迫ってくるダンデさんのインテレオンから逃げるように滑りながらねらいうちを発射。

 

 真っ直ぐ進む水の弾丸は当然ダンデさんのインテレオンに弾かれはするものの、弾かれたものはそのまま氷の柱で反射され、3回目のバウンドとともに再び相手のインテレオンの元へ戻っていく。

 

「レオッ!?」

 

 弾いたと思ったものが後ろから迫ってきたことに驚いたインテレオンは、慌てて後ろに振り向いてねらいうち。弾いてはダメと思ったのか、今度は相殺と言ういう形で処理しようとした。

 

「今!!」

 

 けど、その行為は今追いかけているインテレオンに背中を向けるということ。それは明確な隙となるため、そのチャンスを逃さないためにも、身近な氷の柱に尻尾を引っ掛けてUターンしたこちらのインテレオンは、ねらいうちを適当な方へ打ちながら接近。たった今相殺を終えたばかりの相手の真後ろまで接近し、左腕を水平に薙ぐように振ろうとし……

 

「尻尾だ!!」

「読めてます!!しゃがんで!!」

 

 背中を向けていることをいいことに、尻尾に水をまとって突きで反撃してくる相手。けど、これを読んでいたこちらはしゃがむことで攻撃をかいくぐり、そのまま相手の足元まで滑り込む。

 

「打ち上げて!!」

 

 その状態から右足だけを真上に突き出すことによって、相手を空中に蹴りあげる。

 

 空中に打ち上げられた相手は、すぐさま態勢を整えて次の攻撃に備えようとする。が、相手が準備を整えるよりも先に、蹴り上げる前にこちらが何発か撃っていたねらいうちの中の2発が跳弾して相手の元へ到着。前と後ろからピッタリ同じタイミングで直撃した2つの弾丸は、相手に大きなダメージを叩き込んだ。

 

「追撃行くよ!!『アクアブレイク』!!」

 

 この機を逃さないために、反転して再び近づいたこちらは、アクアブレイクを構えながら相手の真下を陣取り、さらに計算通りに跳弾させたねらいうちが、このタイミングで左右から相手を襲うように飛来していく。

 

 これが当たれば勝利は目前だ。

 

「インテレオン!!左右に手を伸ばして指先だけに『れいとうビーム』!!」

 

 が、向こうもただやられるのを待つなんてことはなく、指先に冷気を集めた相手はそのまま左右に突き出し、飛んでくる水弾に指先をピタリと添えた。すると、触れた弾丸に内包された水はそのままに、表面だけが凍って威力だけをその中に閉じこめ、その氷を相手が握りしめた。

 

「叩きつけろ!!」

 

 そして次にダンデさんの指示によって、これが思いっきりこちらに投げられる。

 

「っ!?後ろに下がって!!」

 

 これを見てまずいと感じたボクは慌てて退避を指示するけど、滑っている状態では小回りが効かないから間に合わない。

 

 こちらに向かって投擲された小さな氷は、表面が凍っているだけなのでなにかに触れればそこが割れ、中身が一気に飛び出してくる。そんな、言ってしまえば即席の小さな爆弾は、回避が間に合わなかったこちらにしっかり命中。表面が割れ、中の水が一気に爆発することによって、こちらはダメージを受けながら大きく吹き飛ばされた。

 

「『ねらいうち』!!」

「避けて━━」

「それは悪手だな!!」

「っ!?」

 

 この間に着地した相手は仕返しとばかりにねらいうちで追撃。攻撃を受け、現在進行形で後ろに滑っているこちらは、これを慌ててしゃがんで回避するものの、真後ろにあった氷柱を逆に利用して跳弾させ、こちらの背中に返ってきて爆発。大ダメージを返されながら、後ろに滑っていたところから反転し、今度は前に滑り出してしまう。

 

 そう、既に右腕に水を纏って構えている、相手のインテレオンの方へ。

 

「まずっ!?」

「『アクアブレイク』!!」

「避けて!!」

 

 右腕を後ろに引き絞り、そのまま抜き手のような形で突き出してくる相手のインテレオン。これに対して、ねらいうちやアクアブレイクでは反撃が間に合わないと判断したボクは、横、ないし上に逃げることを指示。が、攻撃を受けたばかりによるダメージと反動、そして、強制的に氷の上を滑らされているせいで、うまく制御が出来ていないこちらのインテレオンは回避行動が出来ずにいる。

 

 そのまま真っすぐ滑っていくこちらのインテレオンに向かって、ぐんぐん迫って来る相手の貫手。

 

 これが当たったら、ここまでのダメージも合わせて倒されてもおかしくない。

 

(けど、避ける方法が……っ)

 

「貫け!!」

「レオッ!!」

 

 焦って頭が回っていないうちに、とうとうこちらのインテレオンが相手の射程範囲に入ろうとしていた。

 

「……っ!!」

 

 攻撃が当たる。けど目を逸らすわけにはいかない。

 

 ただひたすらじっと見ることしかできない自分を呪いながら、インテレオンが攻撃を受けるのを待つ。

 

「レオ……ッ!?」

「なっ!?」

 

 が、そんな誰もが予想していた展開が訪れることはなかった。

 

 なぜならボクのインテレオンが、自身の尻尾を地面の氷に突き立てて、無理やり自身の動きを止めることに成功していたから。

 

「レオ……ッ!!」

 

 此方のインテレオンの目前で、ギリギリ射程範囲外だったために当たることなく止まった相手の右手が小さく震える。

 

 紙一重。皮一枚。

 

 正しく、間一髪のところで届かなかった相手の攻撃を前に、ボクたちの時が一瞬止まる。

 

「レオッ!!」

「っ!?」

 

 しかし、そんな止まった時を動かす声が、ボクの鼓膜を打つ。

 

 声の発生源はボクのインテレオンから。

 

 この声を聴いてハッとしたボクは、今を逃したらチャンスはないことを察知し、すぐさま頭を動かして行動を指示する。

 

(ダンデさんまでもが驚いて固まっているうちに!!)

 

「腕を掴んで背負い投げ!!」

「っ!?インテレオン!!その腕を戻すんだ!!」

 

 ボクの指示を聞いてようやく意識が帰ってきたダンデさんが慌てて指示を出すものの、ダンデさんのインテレオンが腕を引く前に、突き出された右手首を左手でキャッチ。そのまま身体を反時計回りに回転しながら腕を引っ張り、右手を相手の上腕へ。

 

「レ……オッ!!」

「ッ!?」

 

 腕を引っ張りながら背中に相手を乗せたインテレオンは、そのまま勢いよく右足を振り上げ、相手の身体を持ち上げて背中から氷の地面にたたきつける。

 

 激しい音こそなりはしなかったものの、硬く、冷たい地面に勢い良く叩きつけられた相手は、ふいに投げられたこともあってうまく受け身を取ることが出来ず、肺の中の空気を吐き出すような、音にならない悲鳴をあげる。

 

「インテレオン!!」

 

 が、そんな苦しそうな表情を浮かべるのも一瞬。

 

 ダンデさんの声が聞こえたと同時に、痛みを我慢した相手の表情がキッと引き締まり、背負い投げの際につかまれていた右手に溜まっている水を人差し指に集中していくのが見えた。

 

 その指先にあるのは、こちらのインテレオンの顔面。

 

「インテレオン!!こっちも構えて!!」

 

 それを見たこちらもすぐさま攻撃を指示。相手の手首をつかんでいた左手を離し、人差し指を地面に仰向けで倒れているインテレオンに向け、水を集中。

 

「「『ねらいうち』!!」」

「「レオッ!!」」

 

 お互い水のチャージが完了したと同時に、ボクとダンデさんの指示が重なり、そしてインテレオンたちの声も重なった。

 

 同時に放たれる2つのねらいうち。

 

 それはお互いの中心で綺麗にすれ違い、そのままお互いの眉間に命中し、大きな水飛沫を立てながら爆発する。

 

「「ッ!?」」

 

 この爆発を受け、ボクのインテレオンは後ろに吹き飛び、ダンデさんのインテレオンは更に地面にめり込むように叩きつけられる。

 

 大きなダメージを受けた両者は、ボクのインテレオンが柱の1つに叩きつけられることでその動きを止め、場から音が消えていく。

 

「「……」」

 

 叩きつけられた状態でそのまま地面に座り込むボクのインテレオンと、自身を中心に地面にひび割れを作り、その中心で仰向けに倒れるダンデさんのインテレオン。

 

 ピクリとも動かない両者を見たボクたちは、またもやダブルノックアウトが起きたのかと思い、同時のタイミングでボールを構えた。が……

 

「レ……オ……ッ!!」

「「っ!?」」

 

 静かな空間で突如聞こえてくるインテレオンの声。

 

 2人いるのにひとつしか聞こえてこない以上、今動けるのは、そしてこのバトルの勝者は1人だけ。

 

 そして肝心の、その声をあげているインテレオンは……

 

「レオ……ッ!!」

 

 

「チャンピオンのインテレオン、戦闘不能!!」

 

 

「……ありがとう、インテレオン」

 

 ボクのインテレオンだった。

 

「本当に、よく頑張った」

「レオ……」

 

 何とか両足で立ち上がったインテレオンは、ボクの方を向いて、嬉しそうな表情を浮かべ、ボクの声を聞いて、満足そうな声を出して……

 

「君の勝ちだ。だから……」

「レ……オ……」

 

 そのまま……立ったまま、ピタリと動かなくなる。

 

「ゆっくりお休み」

 

 

「フリア選手のインテレオン、戦闘不能!!」

 

 

 一時期はダブルノックアウトかと思われ、しかしインテレオンの声が聞こえて勝者が出たことに息を飲み、けどやっぱり限界だったらしくて戦えない。そんな目まぐるしく、息を飲むような時間が終わり、ボクとダンデさんは同時にリターンレーザーを放つ。

 

「よく頑張ったな、インテレオン」

「おめでとう、インテレオン」

 

 結果だけを見れば引き分けとなった親子対決。しかし、この引き分けという結果をそのまま受け取る人はこの場にはいないだろう。

 

 間違いなく、ボクのインテレオンはほんの少しだけ、親を超えることが出来た。

 

 本当に指先ひとつ……いや、爪の先だけと言う僅かな差でしかないけど、確かに先に進んでいた。

 

(君の勇姿、ちゃんと見届けたよ)

 

 ボールに戻ったインテレオンを優しくひと撫でしたボクは、それを丁寧に腰に戻して、いよいよ最後のボールを構えた。

 

「すぅ……ふぅ……」

 

 泣いても笑っても、これが最後のバトル。

 

 ここまで何とか引き剥がされずに追い続けることが出来た。

 

「本当に楽しいな、フリア君」

 

 そうやって心を落ち着けているところに声がかかる。

 

 主は勿論ダンデさん。

 

「はい……本当に楽しいです」

 

 目を開け、ダンデさんからの言葉に返事を返しながら、ボクはぎゅっとボールを握る。

 

「親子対決は間違いなくフリア君のインテレオンの勝ちだ。君たちの成長を見られて、俺はすごく満足だぜ!!」

「はい。ボクも、自分のインテレオンがここまで頑張ってくれて、本当に嬉しいです!!」

 

 ボクたち2人とも、さっきの戦いが良すぎて興奮が全然収まらない。……いや、抑える気がない。

 

「あのバトルは完敗だ。まさかあそこでギリギリ止まるとはな。いい執念だ」

「ボク自身も驚きです。本当に、勝ててよかった」

 

 だって、本当に大事なバトルはここからだから。

 

「だが、勝負が終わったわけじゃない。まだまだチャンピオンタイムは終わらない……終わらせない!!」

「インテレオンが見せてくれた……その思いを繋ぐためにも、最後まで駆け抜ける!!」

 

 いつしか会話ではなく、自分の決意表明となったボクたちの言葉は、徐々に声量が上がって、最後の方はお互い叫ぶような形となってバトルフィールドに響き渡る。

 

 同時に、右腕のダイマックスバンドを光らせながら、お互いの宣言とともに大きくなったボールを投げ込む。

 

 

「リザードン、キョダイマックス!!」

「ヨノワール、ダイマックス!!」

 

 

「リザアアアァァァッ!!」

「ノワアアアァァァッ!!」

 

 

 空中で爆ぜ、姿を現すのは2人の大型ポケモン。

 

 片方はもう何度も見たボクの最高のパートナーであるヨノワール。

 

 自慢の大きな手を広げながら叫ぶその姿は、絶対の信頼を置くに足る力強さを感じさせた。

 

 一方でダンデさんのリザードンは、ダイマックスすると同時に、キョダイマックス故の変化を見せていた。

 

 体内に渦巻く焔は格段に強化され、遠くにいるはずのボクの元まで熱気を届け、抑えきれていない炎を口や角、尻尾から常に溢れ出させているその姿からはとてつもなく大きな貫禄と威圧感を感じさせてくれる。また、何よりも特徴的なのが()()()()()()()()()()()ことであり、その代わりに肩周りから吹き出す炎が輝く翼の姿をかたどっており、もはや神々しさすら感じる姿となっていた。

 

「これが……ダンデさんの切り札……」

 

 思わず見とれてしまうほど素晴らしいその姿に、気づけば身体の力が少し抜けていた。

 

 

「ノワッ!!」

 

 

「……うん……そうだね」

 

 が、ヨノワールの言葉で意識が帰ってきたボクは、そっと胸元の首飾りを握り、深呼吸を改めてする。

 

「でも、ボクたちだって……」

 

 確かに、この圧は本当に凄い。

 

「まだ、先に行けるはず……!!」

 

 けど、今のボクたちにだって、これに負けないものがあるはずだ。

 

「行くよヨノワール!!」

 

 

「ノワッ!!」

 

 

 呼吸を合わせ、意識を繋げ、感覚を共有する。

 

 今までダイマックスの時にしたことは無かった。

 

 だって、どうなってしまうのか分からなくて、失敗した時が怖かったから。

 

 けど、今は何故か怖くなんてなくて……

 

 

「『きずなへんげ』!!」

 

 

「ノワアアアァァァッ!!」

 

 失敗するだなんて、これっぽっちも思わなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。