【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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ポケモンユナイトでワタシラガでサポートすることの楽しさにとらわれ、ポケモンスナップに追加アプデがあると聞いて狂喜乱舞している作者です。

頼む……お願いだから私の嫁ポケ来て……


36話

 預かり屋さんの燃料の備蓄が厳しくなったということでボクたちを含めた有志の人たちが集まり、みんなで預かり屋近くの洞窟へと歩みを進める一行は、完璧な防寒対策と手に入れた燃料を運ぶための道具一式を持ち、慎重に進んでいた。色々なことに対して危険予知をしながらかなりゆっくり進んではいたんだけど、どうやら採掘スポットはボクが想像しているよりもはるかに近いみたいで、亀のようなスピードでも程なくして到着することが出来た。

 

 おそらくは要因として2つ。

 

 1つ目は道案内してくれた従業員の方がこういって視界の悪い中でも方向感覚を絶対に失わない人で、吹雪の中でもしっかりと先導してくれたということ。

 

 2つ目はこの吹雪があまりにも強すぎるせいで他のポケモンたちもみんな自分の住処に引きこもってしまい、邪魔してくるようなポケモンが存在しなかったこと。

 

 正直採掘よりも移動の方が大変なのでは?と思っていた身としてはなんだか拍子抜けな感じだ。いや、いいことではあるんだけどね?それにあくまで移動は前哨戦に過ぎず、本命ではない。この後のこの洞窟でしっかりと働く必要がある。んだけど……

 

 

「「うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」」

 

 

「これ、ワタクシたち必要でしたか?」

「あ、あはは……」

 

 その本命すらもなんだか何とかなりそうな気配。

 

 物凄い雄叫びを上げながら全力で残像が残る程のスピードでツルハシを振り回す、はたから見たら危ない上に怪しすぎる変態が2人。言わずもがな穴掘り兄弟のサイさんとクツさんである。

 

 ただでさえ暑苦しく元気のありあまっている2人は移動中でさえ吹雪の寒さを消し飛ばさんとする程の元気っぷりを見せつけながら移動していた。中にはそんな空気に当てられて一緒に燃え上がる人が出始めるほど。こちらとしては苦笑いをこぼす以外やることが無い。けどその採掘力は確かで、今も次々と色々なものを掘り出している。しいて問題があるとすれば……

 

「あ、これほしのかけらだ。貰ってもいいのかな……?」

「こっちはすいせいのかけらにほしのすなですか……お宝ではありますが今必要かと言われると……」

「きちょうなほね……かるいし……かたいいし……う〜ん、珍しいアイテムではあるけどことごとく今必要なものじゃないね……」

 

 ポケモン対戦や換金アイテムとしてはどれもなかなかいいアイテムだったりするんだけど……今ボクたちが欲しいのは燃料になるアイテムだ。今この状況においてこれらのアイテムはなんの意味も持たないハズレと一緒になってしまう。

 

「うし、ここら辺で取れるのはこれくらいだな」

「大量だぜアニキ!」

 

 そんなこんなで掘り出されたアイテムを選別しているところにひと仕事終えた穴掘り兄弟がほんのり出ている汗を拭いながらこちらに来る。

 

「どうだ?大量か?」

「ええ、大量ですよ……いらないものが」

 

 若干の非難めいた感情を瞳に乗せて穴掘り兄弟を睨むセイボリーさん。確かに、あれだけ自信満々に言っておきながら今のところ取れている石炭はまだまだ少ない。オーナーさんからとりあえずこれくらいは欲しいかなという目安が書かれた紙を貰ってはいるけど、見るまでもなくマージンに到達はしていない。

 

「おうおう、こんなにも宝があるのに随分つまらなさそうな顔をしているな」

「おれたちの成果で目を輝かせなかったやつなんて居ないんだぞ?」

「確かに宝の数という点では素晴らしいですが今必要なのは宝では無いのですよ」

 

 セイボリーさんの言葉に近くにいた従業員の何人かも首を頷かせている。預かり屋にて自信満々に宣言していたところを見ていた人たちなんだろう。プロがいるから大丈夫だと信じてついてきてみればこの結果。確かに納得いかない人が出てくるのも納得できる。

 

「これならおれたちも全員で取り掛かった方が速いな!」

 

 若干の悪い空気を感じる中ツルハシを取り出して適当な壁に近づく一人の男性。穴掘り兄弟の振り方と比べるとどうしても拙く見えるけど、そこは預かり屋で働いていた経験から身についた体力で難なくこなしていく。けど……

 

「おい、そこはやめておいた方がいいぞ!」

 

 穴掘り兄弟の兄、サイが慌てて止めようとする。しかし先ほどあまり石炭が出てこなかったことから特に気にせず作業を続けようとする。その男性のツルハシが壁に刺さった時に問題は起きた。

 

「危ない!」

 

 サイトウさんが慌てて飛び出し男性を抱えて飛びのく。するとたったいま彼がいた場所に小さいとはいえ落石が発生。サイトウさんが救ったからこそ大事にはいたらかったものの、もしあのまま掘り進めていたら石が頭に当たるか、もっとひどくなればこの洞窟が崩れていたかもしれない。その事実に気づいた先ほどの男性は少し顔を青くする。

 

「ここの洞窟は確かに石炭が取れる。だが数が多いわけじゃない。石炭以外のものが多すぎるんだ」

「だからおれたちの力をもってしてもそんなに多くの燃料を取ることができない」

 

 二人の言葉に改めて耳を傾ける皆。先ほどの落石が予想以上に皆の危機感をあおったみたいで、さっきまで不満そうな顔をしていたセイボリーさんまでもが真面目な顔をしていた。

 

「それに、おれたちはいま木枠を持ってきていない」

「木枠……?」

 

 どこかからそんな疑問の声が聞こえる。サイさんの言葉が理解できない人がみんなそろって首をかしげているなか、それを気にせずサイさんは続きを話していく。

 

「ガラル鉱山をじっくり見てきた記憶のある人はいるか?」

 

 クツさんの言葉にまちまちだけど手を上げている人が数名。ユウリもその中に混じって手を上げているけどやはりまだわからずに首をかしげており、ついぞわからなかったのかボクの方に質問を投げてくる。

 

「ねぇフリア、なんで急にガラル鉱山の話?」

「ユウリはガラル鉱山の洞窟歩ていた時に道の周りに何かあったの覚えていない?」

「歩いてきた洞窟の周り……」

 

 あごに手を当てながらゆっくり考えるユウリ。しばらく考えた後先ほどのサイさんの言葉を思い出してあっと声を上げた。

 

「木枠!!ガラル鉱山の道の途中に等間隔で置いてあったあれ!!」

「うん、そういう事」

「お、君たちは気づいたみたいだな」

 

 ユウリの声が思ったより大きかったためサイさんどころか、ここにいる全員聞こえていたみたいでユウリが恥ずかしそうに少し違う方を向く。なんだかそれが少し面白くて軽く背中をさすってあげながらサイさんの話をゆっくり聞いていく。うーうーうなっているユウリが本当に面白いから話に集中できるか不安だけど……まあたぶん聞き逃しても大方予想通りのお話だから大丈夫じゃないかな?

 

「洞窟を掘る時に一番注意しなきゃいけないことはさっき起きた落石に対する対策だ。本来なら掘っていたところにガラル鉱山の道中のように木枠で支えるようにするんだ。そうすることによって掘ったことによる洞窟のもろさや、落石の可能性をなくしていくんだ」

「生き埋めになる可能性は一番避けたいし、ガラル鉱山のように人が通るようにしたいのならなおさらだな」

「だが今の俺たちにはそれを行うだけの時間も資材もマンパワーも足りない。どうやったって木枠でこの洞窟が崩れないように支えるのは不可能だ」

「それはすなわち、今おれたちができることは確実に安全だと判断で来たところから少しずつ採掘することだけなんだ」

「もしちょっとでもその判断を誤れば……」

 

 そういいながらサイさんがゆっくりと壁際に歩き、壁面に思いっきりあるのが見える石炭を丁寧に掘り進めていく。ほどなくして無事にとることが出来た石炭。しかし、そのあと一秒もせずに先ほど石炭を取っていたところが軽く崩れていく。

 

「こんな感じに簡単に崩れてしまう」

 

 サイさんとクツさんによる息の合った説明に誰しもが口を閉じてしまう。それだけ先ほどの説明とたった今起きた現象が説得力を大きく裏付けてしまっている。

 

「当然この崩落が連続して起こればおれたちはみんな生き埋めだ」

「例えそうならなくても、現状おれたちの光源はでんきタイプのポケモンによるちょっとした発電だけ。崩落によって起きる大きな音はポケモンにストレスを与えてしまうからな。そうなってしまうと発電要因のポケモンの疲れもものすごい勢いでたまってしまう。時間も体力も、マンパワーも少ない今、できる限りそういったことは避けておきたい」

 

 もはや誰も穴掘り兄弟に対して意見や文句、抗議の言葉が出ることは無い。今自分たちがいる状況を改めて思い知らされたのだろう。何人かの表情はものすごく悔やんでいるようなものへと変わっていく。特に先程勝手にツルハシを持って掘ってしまった人は余計にだ。

 

「おれたちがあまり成果を出せずにみんなを焦らせてしまっているのはわかっているつもりだ。だが、みんなの命を預かっている身としてはここら辺のことは慎重に行動させてくれ」

「大丈夫だ!なんてったっておれたち穴掘り兄弟!!これくらいの環境なんぞ何回も経験してるからな。大船に乗ったつもりでいてくれ!!」

 

 そんな少し重くなってしまった空気だけど、2人が笑顔で大声で、みんなに発破をかけるようにドンと言った言葉には不思議と惹かれる何かがあり、もう既にみんな盛り上がって先程の悪い空気は一切ない。

 

(こういう場の空気を一瞬で変えていく力持ってる人って本当にすごいなぁ)

 

 そのままの勢いでどんどん洞窟の奥に歩いて行く集団。ユウリやセイボリーさんも周りの空気の変化に戸惑いながらもなんとか前を行く集団に混じって歩いて行くなか、ボクはその少し後ろからついて行く。

 もっと前に出てもいいんだけどちょっと気になることがあったのでわざとこの位置だ。

 

「サイトウさん、かばったときに怪我とかしてない?」

「これくらいなら鍛えてあるので大丈夫ですよ。お気遣い、感謝します」

 

 ボクが声をかけた相手はサイトウさん。先ほど男性をかばっていたけど落ちてきた石がボク視点だと掠ったように見えたから。けどこの様子だと杞憂だったみたい。よかったよかった。

 

 姿勢よくきれいにお辞儀をするあたりや、最初に出会った時の握手の仕方がやけに様になっているあたり根っからの武闘家なんだなって理解させられる。背筋の伸び方や姿勢の正しさからもすごく伝わってくるし、雰囲気も引き締まったものを感じる。見た目や習っているものから想像できる通りかくとうタイプのエキスパートらしいけど……うん。ものすごく似合っている。

 

「しかし、かくとうタイプのエキスパートっていうとスモモさんを思い出すなぁ……」

「スモモ……その方はシンオウ地方の有名な方ですか?」

「あっと、声が漏れちゃってた……?」

 

 知らずのうちに思い出が口からこぼれていたみたいでサイトウさんが少し興味深そうに聞いてくる。やはりかくとうのエキスパートを目指しているだけあって気になるのかな?

 

「スモモさんはシンオウ地方のかくとうタイプジムリーダーだよ。シンオウでは裸足の天才格闘娘って二つ名で呼ばれるほどすごい才能を持った人で、バトルもものすごく強い人なんだ。身長は……確かサイトウさんよりも全然小さいんだけど、その体の大きさからは想像できないほど力強い技を放ってたり……稽古しているところを見学したこともあったけど格闘家の天才って言われるのも素人目から見ても納得できたなぁって」

「そんなにすごい方がいるのですね……一度手合わせをしてみたいものです」

 

 そういいながら静かに闘気を立ち昇らせていくあたり、この人もかなりの負けず嫌いなようだ。

 

「……それ以上に、あなたと戦ってみたい気持ちの方が大きかったりするんですけどね」

「あはは、その気持ちにはボクも賛成かな。サイトウさんがそう思ってくれていることも握手の時の空気でよく伝わったし、シンオウ地方にいた時はかくとうタイプのポケモンも使ってたから教訓にもなるk━━」

「そのポケモンって何ですか!?」

「うひゃあ!?」

 

 であったばかりなので友好を深める意味でも話題を振りやすいと思い自分の過去の手持ちの話をすると、いきなり迫ってきたサイトウさんに思わず驚いてしまい変な声が出てしまう。みんなが先に行っててよかった……近くにいたら恥ずかしい声を聴かれるところだった。それにしても想像以上の食いつき方である。ジムリーダーや、タイプを統一している人は少なからずそのタイプに特殊な思い入れをしている人が多かったりするものだけど……どうもサイトウさんはその中でもかなりかくとうタイプのことを愛しているようだ。

 

「お、教える!教えるからちょっとおちつこう!?」

「っと……これは失礼しました。わたしもまだまだ修行が足りませんね……」

「いや、修行とかそういう問題では……」

 

 まあこれはこれで心を開いてくれているということかもしれない。

 

(見た目や雰囲気から少し硬そうな雰囲気があったけど……こうして話してみると年も近いせいか割と自然に話せるね)

 

「ともかく、早く聞きたいです!ついでにそのスモモさんという方とのバトルも!」

「わかった!わかったって!!……えっと、まずは手持ちのかくとうタイプの子の話ね。あの子はボクが二番目に出会ったポケモンなんだけど……」

 

 のんびり話しているような状況じゃないのはわかっている。でも少しくらいはこんな感じでガス抜きしないと疲れてしまう。それに、こうやって昔を思い出すのもたまにはいいものだしね。士気が上がってテンションが高い前方の集団の声をBGMにボクとサイトウさんは昔話に花を咲かせていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!」」

 

 

「これとこれとこれと……これもだね。ユウリ、これまだ持てそう?」

「大丈夫だよ。もう少しだけ余裕があるからこっちに回して」

「ふむ、資料を見るにそろそろ目標に達しそうですね……」

「なんとか、無事にことを終えることができそうですね。一応私はまだ余力があるので余剰分は私に回してもらって大丈夫ですよ」

 

 ボクとユウリが選別し、セイボリーさんとサイトウさんが全体の状況を把握していく。どれくらい時間がたっているのかを確認する方法が乏しく、体内時計も狂いやすい場所なのでこの採掘にどれくらいの時間がかかっているかわからないけど、何とか片手で収まる時間には抑えられているんじゃないかなくらいのところでようやくノルマが見えてきた。

 

 これは決してオーナーさんが無茶振りしてきたからではなく、説明があった通り石炭自体が少ないことと、たとえ見つけても落石が起きる可能性のある場所にあるせいで目に見えるのに取れなかったりしたものが多く、簡単に手を出せなかったということに原因がある。預かり屋に避難している人の数からしてもなんとしてでも持って帰る必要があるこの大仕事。それだけあってかなり慎重に行動していたため体の芯にずっしりと疲れがのしかかってくる。けど、その大変な時間もようやく終わりが見えてきた。

 

 今サイさんとクツさんが掘っている場所を取りきったらおそらくノルマを終えるはずだ。その採掘が終わる時間ももう少しでやってくるだろう。なんて予想をしている間にちょうど終わったみたいでサイさんとクツさんが、額にたまった汗をぬぐいながらこちらに歩いてくる。

 

「うし、ここも大量大量!!」

「どうだ?これでノルマは行ってると思うんだが……」

「……ええ、これで頼まれていた量の回収成功ですよ。あとはこれを持って帰るだけですね」

 

 セイボリーチェックを終えノルマ達成の言葉。その報告にここにいる皆から喜びの声。士気が上がっていたとはいえみんなそれなりにつかれている。この終わりの報告は何よりもうれしいものだろう。

 

「ふう、おれたちもさすがに疲れたな。君たちもよく頑張ってくれた!」

「けがもなかったみたいだしな!これでジムチャレンジに影響でもあったら流石に立つ瀬がないぜ」

 

 流石のプロもかなりのお疲れの様子……

 

(ってここまで落石とかに注意を払いながらさらに延々と掘り続けてたもんね……疲れて当たり前か……)

 

 途中、『おれはまだまだ掘れるぜ!!』と叫んだ瞬間ツルハシの振る速度が上がったのはちょっと怖かったけど……

 

「おおそうだ。君たちにおれたちからプレゼントだ!ほれほれ」

 

 そう言いながらテンション高くサイさんがボクたちになにか渡そうとガサゴソしだす。

 

「貰ってくれ!!」

「……あの」

「これは……?」

「……なんですかこれ?」

「……」

 

 渡されたのは両手サイズのそこそこ大きな石の塊。どこからどう見ても石のそれはなんで穴掘りに精通している人が渡してくるのか分からないほど見た目は全くのただの石。ボク、ユウリ、セイボリーさん、サイトウさんの4人で貰ったのだけどその意外すぎるプレゼントに全員がの思考が止まってしまう。

 

「それはなんかの石だ!なんか見ていて妙に惹き付けられたし、採っても大丈夫そうだから採ってきたぞ!」

「もしかしたら貴重な宝かもしれないからプレゼントだ!是非ジムチャレンジに役立ててくれ!」

「そうですね……」

「ありがとうございます〜」

「「お礼を言いながら捨てるのはやめてくれないか!?」」

 

 サイさんとクツさんから経緯を聞いてとりあえず理由はわかったところでお礼を言いながら壁際に石を置いていくセイボリーさんとユウリさん。あ、サイトウさんも後に続いた。

 

「な、何故なんだ!?」

「おれたち目利きには自信が……」

「そこは疑ってないのですよ!!ジムチャレンジ中にこんな重いもの持てないと言っているのです!!あなた方はワタクシたちに苦行を強いるおつもりで!?」

「苦行……なるほど、これは訓練にもなるんですね。やはりこの石は貰って……」

「サイトウさん!!それで納得しちゃダメだよ!?」

 

 サイさんとクツさんの講義に噛み付くセイボリーさんとサイトウさんの行動にツッコミを入れるユウリ。いつものワチャワチャが帰ってきたと思えば微笑ましいのかもだけど場所が場所なだけに苦笑いで返すことしかできない。

 

「と、とりあえず外目指しましょ?ね?」

「なら尚更この石は持って帰ってだね……頼む!!騙されたと思って!!」

「それは騙しているということでは!?」

「……」

「フリア、あの人たちは放っておいて先に行こ?」

 

 止めようとするものの未だに口論を続けるセイボリーさんたちにユウリも呆れてしまいボクの袖を軽く掴んで引っ張る。うん、ここで足止めしてても何も無いからさっさと先に……

 

 

『うわあああああああ!?!?』

 

 

「ユウリ!!サイトウさん!!」

「「はい!!」」

 

 前方から聞こえる大きな声。緩んでいた心が一瞬でひきしまる感覚。貰った石を捨てる暇が全然なくて仕方なくリュックに押し込んで猛ダッシュ。ふと横を見ればユウリも真面目な表情を浮かべているし、サイトウさんもスイッチが入ったのか目からハイライトが消えている。

 

 こちらの戦闘準備は完了。とりあえずは戦闘になっても大丈夫だろう。

 

 ここまで野生のポケモンからの襲撃も特になかったためこの洞窟では初めてのバトルとなる可能性がある。洞窟の崩壊なども注意しないといけないからいつも以上に大変な戦いになりそうだ。

 

 幸い悲鳴が上がったところはそんなに遠くないので程なくして到着。誰かに聞くよりか自分の目で見た方が早そうだったので先頭に躍り出る。するとそこにはたくさんのポケモンたちが……

 

「ハトーボーにオンバット、コロモリ……」

「チェリムにチェリンボ、マラカッチまで……」

「奥にはヒポポタスにゴビット、ヤジロンもいますね」

 

 大きなポケモンや、進化ポケモンこそあんまり居ないものの、かなりの数のポケモンがいた。みんなこちらを威嚇するかのように爪や牙などの自分の武器となり得る体の部分を構えている。

 

「どうするのフリア。ここでみんな倒すことは出来なくはないと思うけど……」

「木枠で支えられていないこの洞窟はかなり脆いうえにとてもせまいです。あまり激しいバトルはできないですよ」

 

 ユウリとサイトウさんの言う通りこの場所で戦うのはあまりよろしくない。けど向こうのポケモンはこの状況を理解していないのか、はたまた勝てそうにないのを本能で理解しているうえで玉砕覚悟で突っ込む準備をしているのか。どちらにせよ戦う気満々である。

 

 正直今のこの状況で一番まずいのがその玉砕覚悟だ。けど野生のポケモンが本来そのような行動をとることはめったにない。どうしてもどこかで生存本能というフィルターがかかってしまうためだ。だけど今目の前にいるポケモンたちからはそれを感じ取れない。

 

(なんでこんなにも死に物狂いなんだ?いったい何が彼らをこんなにも追い詰めて……)

 

 明らかに様子のおかしい野生のポケモンを見て一生懸命頭を回していく。本来なら勝てるはずなのに簡単に手を出せない。そんなふうに迷っている間についに野生のポケモンたちが突撃を始める。

 

「くそっ、とにかく派手な攻撃は抑えてうまくいなすことを考えて!!」

「「了解!!」」

 

 すぐさま三人そろってポケモンを出し、あわてて対応する。

 

 戦場に現れるはキルリア、アブリー、ゴーリキー。

 

 激しい技をつかわず、敵の攻撃も壁にぶつけず、できる限り静かに敵を倒す。

 

 ボクの経験上、最もやりづらい戦いがゆっくりと幕を開けた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




穴掘り兄弟

実際問題どこを掘っているのか……
お父さんの方はちゃんと洞窟が近くにあるんですけどね……

崩壊

ダイアモンドパールの探検セットで化石などを掘っているときに最後に回数制限を超えて崩壊しているところから。
たぶんリアルでも木枠がないと崩れると思いますし、実際にガラル鉱山は木枠でちゃんと補強されています。
第二鉱山は天井高すぎてわかんない……

かくとうタイプ

フリア君の手持ちヒント。
三体目ですね。




ちょっと区切り悪いなぁと思いながら今回は時間ギリギリになってしまったので……
申し訳ないです。
ストック無しの四日制限、8000文字以上目標はやっぱり無謀……?
でも今までちゃんとできてるしプロットもあるのでまだ大丈夫……なはず。
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