366話
「『せいなるつるぎ』!!」
「『ドラゴンクロー』!!」
「エルッ!!」
「カブァッ!!」
光を弾けさせ姿を現した2人のメガシンカポケモンが、吠えながら直進をし、バトルコート中心にてぶつかり合う。
エルレイドは、メガシンカによって胸にあった赤い器官が両腕に移行し、緑の刃から赤色のものに変更、さらに、頭部は兜のようなものに変わり、背中には純白のマントが現れ、さながら姫を守る騎士のような姿に変わっていた。
一方ガブリアスは、全身の筋肉が膨張し、両腕が刃に変更。手足にあった棘が胴体にも生え、より攻撃的な姿に変わっていた。
そんな攻撃的な姿に変わった両者の全力の斬撃がぶつかりあったことによって、辺りに物凄い衝撃が発生する。
いつもならこの衝撃と音を前に、少し耐えるような行動をとっていただろう。けど、来るのが分かり、いい加減慣れて来たボクもコウキも、微動だにせずこの様子をしっかりと見つめる。
中心で行われる鍔迫り合いは、数十秒ほど時間が経ったところで、お互い弾かれるように後ろにバック。
「ガブ……」
「『サイコカッター』!!」
両腕を振り、一旦の仕切り直しをしようとしたガブリアスを見たこちらは、一呼吸の隙を与えることなく攻撃。虹色の斬撃をいくつも飛ばし、先手を狙う。
「『ストーンエッジ』!!」
対するガブリアスは、すぐさま両腕を地面に叩きつけ、岩の林を作成。呼吸の隙を突いたはずなのに、そのラグを感じさせない速度で生まれた岩たちは、その身体を砕かれながらもサイコカッターを受け止め切る。
「『せいなるつるぎ』!!」
けどこうなるのは最初からわかっていたので、この隙に懐まで駆け抜けたエルレイドは、右腕を水平に凪いで攻撃を仕掛ける。
「左腕は『じしん』で右腕は『ドラゴンクロー』!!」
対するガブリアスは、左腕を地面にたたきつけて揺れを起こし、エルレイドがバランスを崩したところで右腕を振り上げてせいなるつるぎを相殺。
「『アイアンヘッド』!!」
「左腕でガード!!」
そこに鈍色に変えた頭を思いっきりぶつけて来たので、弾かれていない左腕を盾替わりにして防御。けど、威力が高すぎて受けきれなかったこちらは、少しダメージを受けながら大きく後ろに後退。
「『ストーンエッジ』!!」
「っ!?ジャンプ!!」
下がったエルレイドを見たガブリアスは、すかさず両腕を地面に叩きつける。すると、弾かれたエルレイドの足元が濃い茶色に変色。これを見て嫌な予感を感じたボクは、すかさず跳ぶことを指示。素早く反応したエルレイドはとにかく高くジャンプをすると、その行動と同時に地面から次々と岩の弾幕がエルレイド目掛けて打ち上がっていく。
「足場にして跳びあがって!!」
岩の生やし方にもバリエーションを持たせられる器用さに感心したボクは、しかしすぐに意識をエルレイドへと向け、地面から浮き上がる岩の弾幕に対して、これを逆に足場にしてどんどん空中へと浮かび上がるように指示を繰り出した。
これを正確に実行したエルレイドは、何とか岩の弾に被弾することなく天井に到達し、そこに足をつけてさかさまに立つ。
「『せいなるつるぎ』!!」
天井に到着したエルレイドは、そこから刃を振るって岩を打ち返し、ガブリアスの方へと飛ばしていく。
「爪で弾きながら飛べ!!」
対するガブリアスは、ドラゴンクローで岩を弾きながら飛翔。エルレイドの目前まで迫り、緑色の爪を叩きつけてきた。
「迎撃!!」
迫って来るガブリアスに対し、エルレイドは反撃のために腕の刃を振り、お互い自慢の武器をぶつけ合う。
再び発生した鍔迫り合いは、しかし今度は長く続かずすぐに弾かれ、さりとてお互いに距離が空くこともなかったため、今度はその場で両者の腕による乱舞のぶつけ合いが始まる。
エルレイドが空を飛べず、かつ逆位置状態なため少し変則的ではあるものの、地面に落ちながらぶつけ合うお互いの攻撃は常に拮抗。どちらが勝ってもおかしくない白熱したものとなり、そのまま決着が着くことなく、あと少しで2人とも地面に落ちて来るというところまでやってきた。
「『ストーンエッジ』!!」
その瞬間、エルレイドから素早く離れたガブリアスが1歩先に地面に到達。同時に両腕を地面に叩きつけ、今度は巨大な1本の柱となって、エルレイドの身体の中心を貫いてくる。
「防御!!」
空中にいる以上回避できないこちらは、両腕をクロスして受け止めるしかない。結果、ダネージを抑えることは出来たものの、地面に着きそうだったエルレイドは再び空中へと打ち上げられ、なんならこのまま岩と天井の間に潰されてしまうという勢いをもって上へと突き進んでいく。
「身体を逸らして!!」
このままつぶされるわけにはいかないエルレイドは、腕をクロスしたまま無理やり腕を下方向に押し、自分の身体を上にずらすことによって、無理やりストーンエッジの軌道からそれ、そのまま柱の側面に足をつけて滑るように落ちていく。
「『サイコカッター』!!」
「『ドラゴンクロー』!!」
地面では無いけど、ようやく安定した足場を得たエルレイドは、岩の側面を滑りながら虹の斬撃を発射。これに対してガブリアスは、この斬撃を弾くために緑の爪を振り回して必死の防御を行っていく。
緑の光によって空中で霧散する虹の光はとても綺麗で、一瞬目を奪われそうになる。が、この光に混じるように、地面に着地したエルレイドがマントをたなびかせながら一気に接近。
「『じしん』!!」
「ジャンプ!!」
この接近を食い止めるべく、両腕を地面にたたきつけて周囲に無差別攻撃を開始するガブリアスだけど、このタイミングにバッチリ合わせて跳んだエルレイドは、揺れる地面を無視して肉薄。
「『せいなるつるぎ』!!」
そのまま右腕を振り上げて、ガブリアスの顎を下からかちあげるように殴り、上に引っ張られるように伸びた状態にガブリアスの身体を持っていく。そしてその無防備な状態にさらに追撃を入れるため、エルレイドはその場で身体を回させ、左腕を凪ぐように振るうことで殴りつけ、2撃目をガブリアスに叩き込んだ。
この高速の連撃を受けたガブリアスは、その身体を大きく後ろに飛ばすこととなる。
「追撃行くよ、『サイコカッター』!!」
その飛ばされたガブリアスめがけて追撃のための弾幕を発射。虹色に輝く斬撃は、寸分たがわず飛んでいくガブリアスに注ぎ込まれた。
「『ドラゴンクロー』!!」
この斬撃を弾くために緑の爪を振り回すガブリアスは、声をあげて自らを鼓舞し、我武者羅に抗っていく。
まさに破壊の嵐ともいうべきその暴れは、次々とこちらの斬撃を吹き飛ばしていく。が、筋肉が膨張したことによって、力は強くなったものの、素早さを犠牲にしてしまっているガブリアスの動きはかなり見やすく、同じくメガシンカしたことによって、感覚が鋭敏に研ぎ澄まされたエルレイドにとって、この大ぶりな攻撃は、隙だらけなそれでしかない。
「『つじぎり』!!」
「エルッ!!」
そんなガブリアスの攻撃の隙間をしっかりと見抜いたエルレイドが、漆黒の刃を携えて一閃。鋭く突き抜けたその攻撃は、ガブリアスの身体をしっかりと貫いた。
「ガブッ!?」
せいなるつるぎ2回に、つじぎり1回の直撃。
メガシンカしたエルレイドによる強力な攻撃をこれだけ受けてしまえば、たとえメガシンカしたポケモンであろうとも、戦闘不能は必至だ。しかし……
「ガブ……ァッ!!」
ガブリアスは、コウキを悲しませまいと耐えた。
「……きちゃったか」
そこにはギリギリのところで持ちこたえるガブリアスの姿。
コウキの手持ちのポケモン全てに見られる、なつきによる耐え。
それはどんな攻撃を受けたとしても何故か心ひとつで耐えてしまうという理不尽な現象。
「エル……」
「惑わされないで!!追撃━━」
「『ストーンエッジ』!!」
自身でも手応えを感じていたのか、まさか耐えて普通に反撃されると思っていなかったエルレイドは、しかしボクの声を聞いてハッとして何とか反応。自身の足元から現れる岩の柱をギリギリ横に飛んで避けたエルレイドは、しかし、無理な態勢で避けたこともあって、すでに目前にまで迫ってきているガブリアスの次の攻撃は避けられない。それを悟ったエルレイドは、自分から後ろにジャンプしながら攻撃を受けて、その威力を抑える準備をする。
「『ドラゴンクロー』!!」
「エルッ!?」
ガブリアスは、コウキに褒めてもらおうと、攻撃を急所に当てた。
「……くっ」
しかし、そんなこちらの必死な行動を嘲笑うかのように、相手に攻撃がエルレイドの急所に直撃。威力を抑えることすら出来ずに、今度はこちらが吹き飛ばされる。
「『じしん』!!」
「地面に『せいなるつるぎ』!!」
地面をころがって何とか受身を取ったエルレイドだが、そこに追撃をするかのように飛んでくるじしん。
これに対してエルレイドは、刃を思いっきり地面にたたきつけて、少しでも威力を落とそうと頑張ってはみるものの、そこはメガガブリアスの圧倒的な破壊力。こちらの苦し紛れの行動なんて踏み潰すかのごとく、圧倒的な力によってエルレイドをさらに吹き飛ばし、さっきエルレイドを天井との間で潰そうとしていた大きな岩の柱に叩きつけられてしまう。
「エル……ッ!!」
「『ドラゴンクロー』でトドメだ!!」
いくらか威力を抑えられたため、かろうじてまだ戦えはするけど、それでもこれまでの攻撃で少なくないダメージを受けているのは変わらない。そんなエルレイドにとどめを刺すべく爆走するガブリアスは、とてもなつき耐えによってかろうじて耐え、現在体力わずかで無理やり攻撃しているポケモンの姿には見えない。
なつき耐えが発動しているということは、瀕死まで1度削られているということで、回復技のないガブリアスはそこから回復出来ていない。つまり、今もまだ体力はギリギリのはずだ。なのに、さっきの的確に急所を狙う動きと言い、いましがた行っている突撃の姿勢と言い、ここまでアグレッシブな動きができるのが本当におかしい。
(けど、そんなことはわかってる!!)
「エルレイド!!後ろに『せいなるつるぎ』!!」
理不尽なんてわかっている。
あっちは世界に愛されている
すぐに切りかえたエルレイドは、自分が今もたれかかっている柱に向かってせいなるつるぎを放ちながら、右側にころがって移動する。すると、切り込みが入ってバランスを崩した岩の柱が、大きな音を立てながら倒れていく。
今まさにこちらに向かってきているガブリアスに向かって。
「っ!?『ドラゴンクロー』!!」
天井間近まで伸びるほど大きな岩の柱は、ただ倒れるという質量攻撃だけで十分なダメージとなる。まさか、エルレイドを追い詰める攻撃がこのような形で返って来ると思っていなかったガブリアスは、慌てて爪を緑色に輝かせてこの岩に突き立てる。
「ガ……ブァッ!!」
自身が呼び出しただけあって、かなり重いその岩の塊は、ガブリアスの力を持っても砕くのに時間がかかる。
歯を食いしばりながら、全力で腕を叩きつけたガブリアスは、ただでさえ限界の体力を更に振り絞って攻撃を放った甲斐もあってか、自身が押しつぶされる前に何とか岩を打ち砕くことに成功。しかし、それだけ全力を出せば当然大きな隙をさらすこととなる。
「『せいなるつるぎ』!!」
その隙を逃す此方ではない。
全力で右腕を振りかぶったエルレイドは、岩を壊したばかりで動けないガブリアスの身体に思いっきり刃を叩き込む。
「エルッ!!」
「ガブッ!?」
誰が見ても完璧なまでのクリーンヒット。
なつき耐えの影響で、体力が僅かしかないガブリアスを倒してしかるべきの致命打。
これで倒れなければ、本気で不正を疑ってしまうレベルの出来事だ。……が。
「ガ……ブァッ!!」
ガブリアスは、コウキを悲しませまいと耐えた。
(また……っ!!)
そんな理不尽を平気で起こすのがこの
「『ドラゴンクロー』!!」
今度こそ絶対に倒せた。そう確信した……いや、確信してしまっていたエルレイドは、まさかの反撃に反応することができない。
「ガブァッ!!」
「エルッ!?」
お腹に叩きこまれた緑の爪は、しっかりとエルレイドのお腹に食い込み、そのまま勢いよく吹き飛ばされる。
その惰力はすさまじく、ボクが瞬きした時にはすでに、エルレイドはボクの目の前まで吹き飛ばされてしまっていた。
「エ……ル……」
そのままメガシンカが解除されたエルレイドは、目を回して動かなくなってしまう。
『エルレイド、戦闘不能』
審判すらいない2人だけの空間に響く機械的な音声。それがボクの鼓膜を打ち、今の戦いの結果を伝えられた。
「ありがとう、エルレイド。……ごめんね?」
この結果を受け、ボクはねぎらいの言葉を発しながらエルレイドにリターンレーザーを当てる。
(……本当に、いつ見ても理不尽だ)
久しぶりに向かい合うコウキのポケモンが起こす理不尽な現象を前に、心の中で苦言を零すボク。
本当に、耐性の無い人が初めてこの現象に出会ったら間違いなく心が折れるだろう。他でもない、ボク自身が完全に折られたのだから。
(けど……諦めない!!)
しかしボクの心はまだ燃え続ける。なぜなら、ガラル地方であることを聞いていたから。
それは、コウキがマサルさんと戦ったという話。
(マサルさんは、3VS3の非公式戦とはいえ、一度コウキを下している。それはつまり、このなつき耐えを乗り越えたうえで勝っているという事。ってことは、間違いなく、このなつき耐えには何かあるんだ)
この理不尽な耐えが永久に続くのであれば、コウキは誰にも負けないどころか、ポケモンをただの1人だって倒されることはない無敵のトレーナーと言うことになる。しかし、現実問題コウキはちゃんとポケモンは倒されているし、負けだって経験している。
と言うことは、このなつき耐えに関しては、何かしらの制約か条件といった『タネ』があるはずだ。
(それを見極めることが出来れば……チャンスはある!!)
少なくとも、エルレイドとガブリアスの純粋なぶつかり合いだけで言えば、勝っているのはこちらだった。エルレイドが倒れるよりも先に、なつき耐えが発動しているのがその何よりもの証拠だ。
(大丈夫……実力だけならちゃんとついていけている……!!なら、諦める理由はない!!)
理不尽を前に、むしろやる気がみなぎってきたボクは、すぐさま2つ目のボールに手を伸ばす。
「いくよゴウカザル!!」
「ガァァゥ!!」
繰り出した2つ目のボールから飛び出してきたのはゴウカザル。
気合の入った叫び声をあげながら頭の炎を強く燃え上がらせる彼は、拳を打ち付けながらメガガブリアスを見つめた。
「2人目はゴウカザルか……」
「見慣れたポケモンだからって甘く見ないでよね……ゴウカザル!!『おにび』!!」
「ガウァッ!!」
ボクが指示を出すと同時に叫んだゴウカザルは、拳を打ち付けあいながら両手に紫色の焔を発火。カブさんの行っていたおにび纏いを発動し、臨戦態勢を整える。
「っ!?その拳はッ!!」
「『マッハパンチ』!!」
この拳を見てコウキの警戒度が上がったのを感じたボクは、何かをされる前にその出鼻をくじく一撃を指示。紫色の焔を宿したゴウカザルの鋭い右ストレートは、吸い込まれるようにしてガブリアスに飛んでいき、その身体の中心に突き刺さった。
「攻撃したらすぐ離脱!!」
拳が当たったのを確認したボクは、どうせこれも耐えられると予想してゴウカザルにバックを指示。攻撃の後隙を狩られないように、丁寧なヒットアンドアウェイを心がけていく。
(先手を取られた以上、こっちは丁寧に動かないとね……少なくとも、あの現象の突破口を見つけないと話には……って、あれ?)
この先の展開についてあれこれ悩みながら前を向いていると、ある違和感が目に入る。
「ガ……ブ……」
それはガブリアスの様子。
ゴウカザルのおにび着きのマッハパンチを受けたガブリアスは、たしかにまだ両足で地面に立ってはいる。が、小さく声をあげるだけで、なにかの行動を起こす訳では無い。
何があったのか気になるボクは、決して警戒を解くことなくガブリアスを見つめる。すると……
「ブ……ァ……」
「え……?」
メガシンカを解きながら、ガブリアスが地面に突っ伏していった。
『ガブリアス、戦闘不能』
全くもって理解できない出来事が、しかし機械音声によってこれが現実だということを鮮明に伝えてきた。
(ガブリアスが倒れた……てっきり今回もなつき耐えすると思っていたのに……)
「よく頑張った。戻ってくれ、ガブリアス」
まるで予想できなかった出来事に、嬉しいはずなのに、先に困惑が来てしまうボクは、呆然とした顔でガブリアスがボールに戻っていくのを見送り、コウキが2人目のボールに手をつけたことでようやくはっとなって、頭を再び回転させる。
(ガブリアスを倒せた……ってことは、あのなつき耐えを突破する条件を何かしら達成したってことだよね?じゃあ今までの戦いがすごく重要だ……)
頭をよぎっていくのは、先程のエルレイド対ガブリアスの一連の流れと、トドメとなったゴウカザルの攻撃。
(候補は多分2つ。ひとつはなつき現象の回数制限……つまり、なつき耐えが出来る絶対数が決まっているということ。そしてもうひとつが、状態異常によるスリップダメージは防げないということ。耐えられるのはあくまで技によるダメージだけで、天候とか状態異常のダメージは抑えきれない……とかかな?)
もし前者が正解であるのなら、ガブリアスは攻撃を耐えられる権利を失っており、そのまま最後の体力を削られたという事になり、もし後者が正解なら、マッハパンチを耐えはしたけど、拳に纏ったおにびによってやけどを負ってしまい、そのダメージで倒れたということになる。
どちらも有り得る現象なだけに、どっちが正解という結論は今は出せない。けど、確かな手がかりは掴んだ。
(できることなら前者が望ましいけど……そこはもうどうこう言ってられないね……とにかく、次のバトルで絶対に見極める!!)
ようやく分かり始めた相手の種に、思わず拳に力が入るボク。
対するコウキは、真剣な表情を浮かべたまま、次のポケモンを繰り出してきた。
「いけ!!フーディン!!」
「フーッ!!」
コウキの2人目はフーディン。
黄色を基調とした体色に、立派な髭を携え、スプーンを構えた彼は、気合いの入った声とともに空に浮かび上がり、構えを取る。
エスパータイプを持つ彼は、かくとうタイプをもつゴウカザルにとっては天敵と言ってもいい。が、ここでどうにかしてあのなつき耐えについての種を見極めないといけないこちらは、タイプ相性ごときでうだうだ言っている暇は無い。
(絶対に説き明かす!!)
「『サイコキネシス』!!」
「岩に『マッハパンチ』!!」
準備が整ったところで、フーディンが行ってきたのはサイコキネシス。不思議な斥力がフーディンを中心に発生し、こちらに向かって波のように襲いかかってくる。
これに対してこちらは、近くに倒れている岩に柱の1部を殴り、フーディンの方へ飛ばしていく。
殴られた岩の塊は拳からおにびを受け取っており、紫の焔を纏って突き進む。
特殊方面は強いものの、物理方面には全くと言っていいほど耐性のないフーディンにとっては、この岩1つすら危ない技だ。
が、その技がフーディンに当たることは無い。
「『テレポート』」
岩が飛んでいる先には既にフーディンはおらず、瞬きをすればいつの間にかゴウカザルの真後ろに姿を現している。
「『サイコキネシス』!!」
その絶対的有利な場所から放たれるのはフーディンの十八番であるサイコキネシス。
こうかばつぐん且つ高火力なその技を受けてしまえば、ゴウカザルも無事では無い。
けど、姿を消すのは何も、相手の専売特許では無い。
「ディッ!?」
ゴウカザルの真後ろを取ったと
「『フレアドライブ』!!」
「ガアアァッ!!」
そして聞こえる爆発音と叫び声。
その発生源は上。
「フーディン!!下がれ!!」
視線を上に向ければ今まさに、全身を紫色の焔に包まれたゴウカザルが突進してきている最中で、足の裏と天井にもしっかりとおにびが見えるあたり、天井に足をつけ、その状態で爆発を起こしてその推進力で突撃してきたのがわかる。
その速度はかなりのもので、先程先程フーディンから離れるために天井に飛んだ時よりも速い。
コウキもこの種に気づき、すぐさま下がるように指示をしたけど、それでも間に合わず、クリーンヒットこそしていないものの、地面に着弾したと同時に起きた爆発にあおられて、コウキの近くまで吹き飛ばされる。
「ディ……ッ!?」
と同時にフーディンの身体に刻まれるやけど。
(これでこっちが有利に……)
「……ディッ!!」
フーディンは心配させまいと、やけどを気合で治した。
(……状態異常も意味なし、か)
が、そのやけどは例のなつき現象によって一瞬で治っていく。
「本当に、強くなってるな……」
「そっちこそ、理不尽に磨きがかかってない?」
お互いの成長を肌で感じる一幕。
勝利の鍵は、この理不尽現象の制約の解明。
(さて……どうやって確認しようか……)
夢のバトルは、まだ始まったばかりだ。
メガシンカ
ガブリアスとエルレイドですが、どちらもこのままではメガシンカの方が弱体化と言われる子たちだったりします。ガブリアスは素早さの関係で言わずもがなですが、エルレイドはきれあじをもらってしまったせいで、きれあじが無くなるメガエルレイドの方が火力が落ちてしまうんだとか。なんだかちょっと寂し、ZAがどうなるのか気になってしまいますね。
と言うわけで終章です。
もう、目前まで迫ってますね。