【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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投稿周期は安定させたいですね。
今のところ4日毎23時に固定してますが……うむむ


4話

「おじゃましまーす!」

「失礼します!」

 

 ソニアさん、ダンデさんとの談笑に花を咲かせること数十分。研究所の扉が元気よく開かれる。

 

 現れたのはハロンタウンぶりのホップとユウリ。

 

 2人ともここで図鑑を貰えるのが楽しみなのか既にその顔には期待と興奮が見て取れる。その姿を見て、『分かるわ〜』なんて思いながらボクたちのお話を切り上げてホップたちの方へ向かう。

 

 ちなみにボクたちが話していた内容は主にボクのシンオウ地方での冒険のお話がほとんどで最後の方にダンデさんの手持ちの子たちの話を聞いて図鑑で検索して調べてって感じだ。

 

 ……まさかダンデさんがこのガラル地方のチャンピオンだとは思いもしなかったけど。もっと時間があったらジムとか四天王のお話とか出来たのになぁとちょっと思ってたり。

 

「ソニア!ポケモン図鑑!どこにあるんだ?!」

「ソニアさん!!わたしの図鑑は?」

「はいはい、落ち着きなさい2人とも。ちゃんとデータは持ってきてるから。2人ともスマホロトムはちゃんと持ってきてる?」

 

 そんなソニアさんの言葉に頷きポケットからスマホロトムを取り出す2人。スマホロトムをしっかり受け取ったソニアさんは彼女本人も少し大きめの端末を取り出し、コードを伸ばして2つのスマホロトムに繋げる。端末からデータを送信してる感じだろうか?

 

(ほぇ〜……ということはこっちの地方だとスマホがそのまま図鑑になるんだ……)

 

 自分の常識と違うその文化に軽く衝撃を受けながら観察していく。このガラル地方ではボクのように図鑑とスマホが別々というのが珍しいタイプのようだ。地方ひとつ違うとこういう細かいところでも変わってくるのが少し新鮮で面白い。

 

「よし、これでOKと。はい2人とも。スマホロトムにしっかりとインストールできたわよ」

「ありがとうございますソニアさん!」

「これがポケモン図鑑……なんか熱くなってきたぞ!」

「ちゃんと大切に、それと無くさないようにね。それと使い方に関しては説明するよりも自分で使ってみた方が覚えやすいと思うから試して見なさい」

「おう!」

「はい!」

 

 初めて手にするポケモン図鑑。ボクたちの地方と形は違えどその重要性や持つ意味は変わらない。

 

 冒険の始まり。

 

 始まった時のワクワクや興奮がこっちまで伝わってくるほど喜ぶ2人をどこか懐かしさや微笑ましさを感じながら見ていると2人が腰のホルダーから1つずつモンスターボールを取りだした。

 

「出ておいでヒバニー!!」

「出てこいサルノリ!!」

「おぉ〜…」

 

 2人が最初に博士や他の人から貰う初心者用のポケモンであろう子たちを元気よく呼び出す。きっとポケモン図鑑で早速相棒について調べるのだろうそれを、ボクも初めて見るポケモンにアプデが終わったポケモン図鑑を試して見たくてかざしてみる。

 

『ヒバニー。うさぎポケモン。ほのおタイプ。

 走り回って体温を上げると炎エネルギーが体を巡り、本来の力を発揮出来る』

 

 ユウリが出したポケモンを読み込み、次にホップが出したポケモンへ。

 

『サルノリ。こざるポケモン。くさタイプ。

 スティックの連打で攻撃。すごいスピードで叩くうちに、どんどんテンションが上がるのだ』

 

「ヒバニーにサルノリ……どっちもいいポケモンだなぁ。多分うちで言うヒコザルとナエトルのポジションの子だよね?みずタイプの子も気になるなぁ……」

 

 どちらも長期戦になってノリに乗るほど強くなることだったりするのかな?なんて思いながら新しい図鑑の使用感にも感動したりしてボク自信も2人ほどとは言わないけどワクワクしながら色々試してみる。やっぱり新しいことができるようになるってすごく楽しいしワクワクするよね。

 

「ん?みずタイプのポケモンなら既に出会っているだろう?」

「え?」

 

 そう言いながらダンデさんもひとつのモンスターボールを投げると中から1匹のポケモンが飛び出し……

 

「ぐぇっ」

 

 ボクの視界が水色に染まった。

 

「ぅぐぐっ……ぷはぁっ!?……ってメッソン!?」

「メソー!!」

 

 顔面に引っ付いた何かを何とか剥がして正体を見るとまどろみの森で助けたメッソンが元気よく返事を返してくれた。ポケリフレ不足で震えてたと思ったんだけど大丈夫だったのかななんて思っちゃうんだけど……

 

「あはは、メッソンったら、凄くフリア君のこと気に入ってるのね」

「そ、そうなんですか?ボクはてっきり怖い思いをしたのにケア出来なかったから嫌われてる可能性とかも考えてたんですけど……」

「嫌われるどころか、まどろみの森で親身になって助けてくれた君に凄く懐いているんだよ。だからあの時君の頭から離れなかっただろ?」

「あれってそういうことだったんだ……」

 

 ソニアさんとダンデさんに言われて思い出されるまどろみの森での話。

 

 戻るんだと言ったことに対して全く動かなかったメッソン。リターンレーザーを当てられてようやく戻ったもののその後も震えてたモンスターボール。あれは怖がってたのではなく、ボクから離れたくないという抗議の震えだったって見てもいいのかなって。自惚れじゃなければいいんだけど……

 

「メッソン、ありがとね」

「メソメソ!!」

 

 笑顔を浮かべながら頬ずりしてくるメッソンがとても愛らしく、ついつい撫で続けてしまう。その度にメッソンが嬉しそうに顔を緩めちゃうから撫でる手が止まらない……

 

「ははは、やはり君たちはいいペアになりそうだ。フリア君。まどろみの森でも言おうと思ったんだが君にメッソンを任せたい。是非とも受け取って貰えないだろうか?」

「え、いいんですか?ボクみたいなよそ者がいただいても……」

「よそ者だったはずなのに短時間でここまでの絆を深めることのできた君だからこそ貰って欲しいんだ」

 

 ダンデさんに言われて改めてメッソンとしっかり目を合わせる。大きくつぶらな目は可愛らしく、けど今この瞬間はしっかりと意志を持ってボクを見つめていた。

 

「……メッソン。ボクと、一緒に来てくれる?」

「メソ!!」

 

 意を決してしっかりと、目を見つめ心で伝える。そしてそんなボクのお願いに心から喜んで飛びついてくるメッソン。

 

「ありがと。メッソン!!」

 

 しっかりと抱きしめて新たな繋がりを感じる。

 

 ボクがガラル地方で初めて仲間になったポケモンだ。

 

「フリア君、これがメッソンのボールだ。今この時よりメッソンは君のポケモンだ!」

 

 ダンデさんの言葉に首を縦に降りながらポケモン図鑑をメッソンに向ける。

 

『メッソン。みずとかげポケモン。みずタイプ。

 皮膚の色は濡れると変わる。カモフラージュされたかのように姿が見えなくなるのだ』

 

「一緒に頑張ろうね!!」

「メソメソー!!」

 

 お互いの手のひらを合わせ小気味のいい音を響かせる。それはまるで、このガラル地方でのボクの冒険の開始を告げる合図のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、雑談も休憩も程々に……そろそろ行こうかフリア君」

「ですね。あまりマグノリア博士を待たせる訳にも行きませんし」

 

 あれから雑談とついでに少し遅めの昼食をソニアさんが作ってくれたので頂き、食休みも行ったところでさすがに用事を済ませたほうがいいと判断したボクとダンデさんは席を立つ。

 

「ん?アニキとフリアはマグノリア博士の家に行くのか?」

「うん。マグノリア博士に連絡してもらったら直接家に持ってきてくれた方がありがたいって話になってね」

「それなら私たちもついて行ってもいい?ここまで来たら最後まで付き合いたいなって」

「オレも!!助けてくれたお礼もあるし用事の内容も気になるしな!!」

「わたしも。助手として道案内とかしなきゃだしついて行くわよ」

 

 ボクたちに続いて他のみんなも席を立ってしまう。まぁつまり、次の目的地までもまたみんなで行くってことだよね。旅としては楽しいからいいんだけど……こんな大人数でお家に押しかけてもいいのかな……?

 

「大丈夫よ。おばあさまのお家は凄く大きいし、あなたたちみたいな真っ直ぐな子たちとのお話ならきっと楽しみにしてくれていると思うわ。……私との話はそんなに楽しそうにしてくれないけど

「ほぇ?」

「ううん、なんでもないわ」

 

 何かソニアさんが小声で言っていた気がするけど……まぁ何も無いと言うなら何も無いんだろう。とりあえずボクたち全員でお邪魔しても大丈夫ってことかな?ならお言葉に甘えて……

 

「じゃあみんなで行きましょうか」

「「「「おお〜!!」」」」

 

 みんなで元気よく掛け声を上げ、ボクたちは研究所を出て2番道路の方向へと足を進めて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お日様もそこそこ傾き始めた辺りで研究所を出て2番道路に出たボクたち。1番道路と比べて川や池が見える分少し涼しさや煌びやかさが強く見える。耳を打つ心地の良い水音をBGMに談笑しながら歩いていく。道中でホップがココガラを気に入り、捕まえるためにダンデさんがレクチャーをしたり、ユウリが2番道路にいるトレーナーと戦って経験値を稼いだりとあちこち寄り道しながらゆっくり進んでいく。かくいうボクも……

 

「メッソン、みずでっぽう!!」

「メソーっ!!」

「ああ、サッチムシ!?」

 

 メッソンの放ったみずでっぽうがサッチムシをとらえダウンさせる。

 

「そこまで!勝者、メッソン!!」

「ナイスメッソン!!」

「メソメソっ!!」

 

 審判役のユウリの言葉の後にパチンとハイタッチをして定位置の頭の上に乗るメッソン。ご褒美のオレンのみを渡して愛でながら対戦相手のこの下へ駆けつける。

 

「対戦ありがとうございました」

「こちらこそ。君のメッソン強いね」

「ありがと。君のサッチムシこそ!これ、げんきのかけらとキズぐすり。良かったら使って」

「ありがとう、次戦う時は負けないからな!!」

「こっちこそ!!またやろうね」

 

 握手を交わして別れを告げる。目と目が合えばポケモン勝負。そして戦ったあとはみんな友だち。それがポケモンバトル!

 

「お疲れ様。経験の差なのかな、やっぱり強いねフリアは」

「ありがとユウリ。メッソンが頑張ってくれてるからだよ。ね?」

「メーソー!」

「ほんとに仲良いね。今日出会ったばかりって思えないかも」

「それだったらユウリとヒバニーだってそうじゃん?」

「バニー!」

 

 肩に引っ付いて元気に挨拶してくるヒバニー。傍から見ても仲良く見えるその姿はとても微笑ましく昨日今日出会ったばかりと言われてもにわかには信じられないくらいには親友って感じが伝わってくる。

 

「バトルでも息ぴったりだったし、いつかほんとに大物になりそう」

「そんなこと……でも、うん。なれたらいいなぁ……」

 

 ヒバニーを撫でながらそんなことを呟くユウリ。なにかに焦がれるようなその目はどこか昔のボクたちのようでとても親近感が湧いてくる。

 

「ユウリ!フリア!見てくれ、やっとココガラを捕まえたぞ!!」

「おお、おめでとう!」

「よかったねホップ」

「おう!これでオレの夢への1歩のスタートだな!!」

 

 ホップの周りを元気に飛び回る群青色の小鳥。図鑑によればあのタクシーを運ぶのを担当していたアーマーガアの進化前の姿らしい。まどろみの森で襲ってきたあの凶暴性とか力強さを考えるに間違いなく強い子になりそうだ。今もホップの周りを楽しそうに飛んでいる当たり懐いている様子でもあるしこのコンビも手強くなりそう。

 

「2人はなにか捕まえないのか?」

「う〜ん、私はまだいいかな?」

「ボクもまだいいかな〜」

「そういえばフリアってシンオウ地方回ってたってことは他にも手持ちいるんだよな?どんなのがいるんだ?」

「私も気になるかも」

 

 期待の目で見てくる2人なんだけど……

 

「ごめん、確かにいるんだけどガラル地方の規約でこの地方で確認されてない子は持って来れなくて……いつかみんな紹介するね」

「それなら仕方ないな……」

「残念……でもみんなってわけじゃないんだよね?」

「うん。1匹だけ規約に引っかからなかったから連れてきてるよ。見る?」

「「みたい!!」」

「お、おう……」

 

 あまりの圧と期待のに満ちたキラキラした瞳を向けられて思わずたじろいちゃったけど……この1匹はボクの自慢の子だ。期待されるのは純粋に嬉しいしこの子も気合い入るだろう。早速見せてあげようとホルダーのボールに指を触れて……

 

「おーい3人とも〜そろそろおばあさまのお家に着くから早く〜」

 

「……また次のタイミングね」

「「むぅ……」」

「ごめんって」

 

 腰のボールも不満げに揺れている。

 

(ごめんごめん。ほんと、なんかタイミング悪いね)

 

 勿体ぶるつもりは無いんだけどなんか出すタイミングが絶妙にないよね。まぁ、今度散歩でもなんでもしてあげてストレス発散させよう。

 

 ソニアさんに呼ばれてたどり着いたのはこれまたすごく立派なお家。見ようによっては研究所と同じかそれよりデカく見えるかもしれないレベルだ。バトルコートも併設されてるしいよいよ持って豪邸って感じの家。

 

「ここがおばあさまの家よ。今呼び鈴鳴らすわね」

 

 ピンポーンと景気のいい音を奏で、中にいる人に訪問者を伝える。

 

『はいはい、今出ますね』

 

 中から女性の声が聞こえ扉がゆっくり開く。その中からココガラを成長させたようなポケモンが象られた杖をつき、モノクルを掛けた白衣の女性が現れた。

 

(この人がマグノリア博士……)

 

「あなたがフリア君ですね。お話はナナカマド博士から聞き及んでいます」

「初めまして、フリアです。えっと、ナナカマド博士に頼まれて荷物を届けに来ました」

 

 背負っているリュックから荷物を取り出しそっと渡す。われものかもしれないけど扱いは丁寧にしていたから壊れてはいない……はず……。

 

「……はい、確かに受け取りました。わざわざ遠い地からご苦労様です。疲れたでしょう?」

「いえ、その分いい人たちに案内とかしてもらいましたから」

 

 実際その通りで、確かに旅疲れはあるんだけどホップやユウリ、ダンデさんにソニアさんのお話が面白くて話を聞いたり遊んだり、新天地のポケモンとの出会いが楽しすぎてすっかり疲れは吹き飛んでいる。それほどまでここでの経験は既に濃密で、来てよかったと思えてる。

 

「おばあさま、それは一体……?」

「これはナナカマド博士に頼んでいたとあるものです。ガラル粒子の研究の手伝いになるのではと思いましてね。ホウエンのトクサネからの物の研究がひと段落着いたので次はトバリの方をということでナナカマド博士経由で持ってきてもらったのです。これでダイマックス現象についてさらなる進展があれば良いのですが……」

「ダイマックス現象?」

「ああ、フリア君は知らないのですね。シンオウ地方から来たので無理もありませんが」

 

 聞きなれない言葉に首を傾げるボクだけどボク以外は知っている当たりガラル特有のそれということだろう。

 

「ダイマックス現象というのはポケモンが超巨大化する現象のことで今のところこのガラルでしか発見されていない現象です。そしてその現象を起こすのにはガラル粒子が必要なうえ場所も限られているのですが……これが隕石や流れ星と関わりが深いものなのですよ」

「なるほど、だからトクサネシティとトバリシティだったんですね」

「そういうことです」

「「「「?」」」」

 

 ボクの言葉に今度はボク以外の人がハテナを浮かべる。

 

「ボクは小さい頃ホウエン地方に家族旅行で行ったことがあるんですけどトクサネシティって宇宙センターがあってですね。隕石とかについて調べてるところなんですよ。そしてシンオウ地方のトバリシティは石に囲まれている街で周りに隕石が落ちた後とか凄いんです。そしてガラル粒子って言うのが隕石とか流れ星に関わりがあるのならそこに研究の目を向けるのは自然かなって」

「「「「成程〜……」」」」

 

 しかしガラル粒子にダイマックス……ポケモンの巨大化ってどんな感じなんだろ……?

 

「ダイマックスに関しては実際に見た方が早いでしょう」

 

 そう言ってマグノリア博士が見せてくれたのはひとつのビデオ。どこかのスタジアムのようなところでダンデさんともう1人が戦っていた。ダンデさんと対戦相手の人がそれぞれポケモンを出していたがいきなりお互いがボールにポケモンを戻す。その瞬間バンドが赤く光だし、バンドから出た光がモンスターボールへと吸収されいきなりモンスターボールが肥大化する。

 

 肥大化されたモンスターボールを天高く放り投げる2人。そのモンスターボールが空で口を開けた瞬間、現れるのは頭上に赤黒い雲を浮かべた超巨大なポケモン。片方は翼が炎となって燃え盛るリザードン。片方は天を突かんばかりの巨大なビルのようなポケモン。

 

 そんな巨大化された、まるで怪獣大戦争のようなド迫力の戦いが繰り広げられていく。

 

「すっご……これがダイマックス……」

「このガラル地方ではジム戦や大会にダイマックスを取り入れることによって他の地方とは違った盛り上がりを見せる試合を行っているんだ」

「見た目が派手ってこともあって他の地方からも注目されることも多いのよ?」

「知らなかったや……」

 

 ダンデさんとソニアさんがする説明に耳を傾けながら画面に注目する。

 大技と大技のぶつかり合いは確かに見ているだけでもその熱気が伝わってきて、ボク自身の心にもなにか熱いものが込み上げてくるようだった。

 

「これって誰でも出来たりするんですか?」

「ダイマックスバンドを持っていれば、特定の場所に行けば誰でもできるぞ。バンド自体はジムスタジアムやローズタワー等に行けば貰ったり買えたりできるしな。中には運命に選ばれたりでもしたのか空から降ってくるねがいぼしを直接手に入れた人もいるらしいがな」

「ねがいぼし……?」

「このガラル地方にたまに落ちてくる赤色の流れ星のことよ。本当にごく稀にだけど」

「ほぇ〜……それってあれのことです?」

「「え?」」

 

 ねがいぼしが空から降ると聞いて何となく空に視線を上げてみるといつの間にやら茜色に染っていた空に一筋の赤色の線が走っていた。その線は一直線にボクたちの方へ……

 

「あぶなぁ!?」

 

 というかボク目掛けて飛んできた。

 

 慌てて飛び退いたから当たらなかったけど……いや、なかなかなスピードだし大きさも拳ほどだったし……現に今ボクがいたところに程よい大きさのクレーターが出来てる。

 

(当たったらと思ったらヒヤヒヤものなんですが……)

 

「凄いぞ!これねがいぼしだ!!しかも3つもある!!オレたち3人で分けようぜ!!」

「えっと……フリア、大丈夫?」

「うん、大丈夫……ホップ、逞し過ぎない?」

「あはは……」

 

 この様子だとこの地方では稀と言いながらよくあるのかもしれない。俗に言う『稀によくある』とかいうあれね。まぁ、ボク自身に怪我はないし結果みんな無事だから良しとしよう。ねがいぼしが直接手に入るのって凄くレアっぽいし喜んでいるところに水をさすのは良くないしね。

 

「3つあるのなら私が全員分のダイマックスバンドを作っておきますよ」

「本当か!?」

「良いんですか?」

「作る労力はそんなにないですから大丈夫ですよ」

「では、お言葉に甘えて!!」

 

 ボクとホップの質問に笑顔で了承するマグノリア博士。ユウリも嬉しそうに言っている辺りやっぱりいい体験だったのかな?

 

「アニキから推薦状も貰ったし、ダイマックスバンドもこれで手に入る。これでオレとユウリのジムチャレンジの準備も完璧だな!!」

「おうふ……また知らない単語……」

 

 マグノリア博士の家だけでボクの頭の中の辞書にどんどん単語が追加されていく……まだ覚えやすいことばかりだから何とかなってるけど難しい単語来たらパンクしそう。

 

「ジムチャレンジっていうのはガラル地方で行われる大会みたいな催し物なんだが……そうだな、君たちの地方で言うリーグと言えばわかりやすいかな?」

「えっと、ボクの地方ではジムバッジを8つ集められた人が参加できるリーグがあって、募集期間内にエントリーをします。そのリーグの上位数名に四天王及びチャンピオンへの挑戦権が与えられて、全員に勝つと新しいチャンピオンを襲名って感じなんですけど……どんな違いがあるんですか?」

「こちらではジムバッジを集めるのにそもそも期間が設けられてる。そしてその期間中に8つのバッジを集めたもの同士によるトーナメントを行い、優勝者がジムリーダーとチャンピオンのみが参加するトーナメントに出場し、チャンピオンの座を狙うんだ。四天王はこちらの地方には存在しない」

「ジムリーダーもチャンピオンの襲名に関わるんですね……なんか、他の地方よりストイックというか、ジムリーダーまで競争相手って言うのが凄いですね」

 

 ジムリーダーと言えばどちらかと言うと関門として試す立場ってイメージだからジムリーダーがチャンピオンを目指すって想像が出来ない。

 

「他にもジムリーダーの中にも上位8位をメジャー、それ以下をマイナーと格付けしたり、ジムチャレンジには推薦状がないと参加出来なかったりと他の地方にない要素は沢山あるな」

「成程……え、ってことはジム巡り自体が推薦状ないと出来ないんですか!?」

「そうなるな」

「そんなぁ……」

 

 ガラルでの用事が終わったらジム巡りをしようとしてたのにそもそも推薦状を貰えないと回れないとなるとボクはジムに挑戦すら出来ないことに……

 

「届け物が終わったらジム巡りしようと思ったのに……ユウリとホップはもう貰ってるの?」

「うん。私たちはダンデさんからもう貰ってるんだ」

「アニキ、フリアの分は用意できないのか?」

「うーむ、残念だが1人から出せる推薦状の数に限りがあるし例えなくても推薦状の発行申請しなきゃだからな……ジムチャレンジの開会式は明後日だ。今から申請は間に合わない。フリア君が有名な人と知り合いで推薦状をすぐ書いて貰えるなら話は別なんだが……」

 

 項垂れてるボクにそう告げるダンデさんだが、声色的にも今回は諦めた方がいいという雰囲気を感じる。ボクが知り合ってる有名な人なんてそれこそシロナさんくらいしか……

 

「そういえば……」

 

 ここに来る前にシロナさんに封筒をひとつ貰った記憶が蘇る。リュックの中を漁ってみるとあの時貰った封筒がひとつ。もしかしたらと思いながら開けて中身を見てみる。

 

「……ダンデさん、推薦状って他の地方の人も出せたりするんですか?」

「ん?ああ、他の地方の四天王やチャンピオン、ジムリーダーにフロンティアの人が書くことはあるし出せることにもなっているぞ。あまり出す人は多くはないがな」

「では……これは使えますか?」

「なになに……これは!?……成程、これなら文句はないな。ジムチャレンジに参加できそうだ」

「やった!」

 

 ダンデさんからの許可に思わずガッツポーズ。あの時のシロナさんの言葉はこういうことだったんだなと今になって確信になった。シロナさんはこうなることを予測していたからこうして推薦状を渡してくれたんだろう。

 

「まさかシンオウチャンピオンから推薦状を貰っているとは思わなかったぞ。彼女が書くに値すると判断したということは君も素晴らしいトレーナーなのだろう。君のジムチャレンジも楽しみだ!!」

「シンオウチャンピオンから!?とにかく、良かったなフリア!!これで3人でチャンピオン目指せるぞ!!」

「私たちもチャンピオンからの推薦状だけどフリアもチャンピオンからの推薦状なんだ……もしかして、フリアって実はすごい人?」

「そ、そんなことないよ?」

 

 ダンデさんからの期待とホップの喜びとユウリの少しの疑惑の視線となんか色々な感情を急にぶつけられてちょっとたじたじになってしまう。期待とか喜びとかは単純に嬉しい。けど……

 

(うん。ボクはすごい人なんかじゃないよ)

 

 すごい人なら、きっとコウキのそばに立っていたはずだもの。だからこそ、このジム巡りで今度こそそのそばに立つために成長するんだ。

 

 心の中でグッと拳を握り決意を新たに。

 

「では今日は皆さん家に泊まりなさい。ジムチャレンジに向けてしっかり休憩を取りましょう」

「じゃあ私が晩ご飯も作ってあげるわ。皆はそれまでゆっくりしてて」

 

 その言葉と共にソニアさんとマグノリア博士が家に入っていく。その言葉に口々に感謝の言葉を言いながらボクたちもついて行ってお世話になることに。

 

 さて、ジムチャレンジ。推薦者しか出れないということは参加するだけで強いという意味だ。恐らくシンオウ地方よりも厳しい戦いが多いことだろう。その試練にいつものみんながいない。

 

(少し怖いけど、頑張ろう!)

 

 マグノリア博士の家でソニアさんの作ったカレーを食べながらこの先の戦いに思いを馳せた。その時口にしたカレーはほんの少しだけ、舌をピリピリと刺激した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




メッソン

メッソン可愛いですねメッソン。
というよりユウリにヒバニー、ホップにサルノリが解釈一致なのと「GOTCHA!」とのシンクロのせいか主人公を合わせると御三家の組み合わせが私の中でこうしかなかったという……
ボンズさんの素晴らしい動画に頭が上がらないし「アカシア」も神曲でした。

ねがいぼし

あれ絶対危ないですよね?
普通に考えて隕石なのでは……?クレーターできるのでは……?
そんなことないのかなぁ?

ダイマックス等

どうしても主人公が別地方からなので説明多くなっちゃって文字数増えて申し訳ない……。
ただないと多分不自然。
なら元からこの地方出身にすれば?と思うんですけど元々この作品自体実は「もしアニポケがガラル地方を旅するお話だったなら」の流れでかきたかったのでサトシっぽく他地方出身に。
シンオウの理由は隕石関連の話で紐付け安いかなと思ったのと他にもetc…

招待状

シロナさんに出してもらいました。
他地方の人が出せるのかわからないですけどカブさんはホウエン出身だしジムリーダー、チャンピオン、ローズさんくらいしか作中出せそうな人居ないとなるとさすがに参加者少なすぎないかなと思っての設定。
アニメでもダンデさんの知名度は他地方でも話題になっていたので大丈夫かなと。
しかしこうしてみると設定を見れば歴代最難関リーグですよね。
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