【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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42話

「ジメレオン、『ダイストリーム』!!」

 

 

「ジィィ、メェェェェッ!!!」

 

 

 ダイマックスしたジメレオンから放たれる巨大な水の奔流。ウルガモスに直撃したそれは、周囲の熱を蒸気に変えてどんどん冷やしていく。結果水蒸気は上空へと溜まっていき、一時的な雲へと姿を変え、この巣穴の中に雨を降らせていく。

 

 決して激しい雨ではない。しかしウルガモスを守っていた炎の鎧の機能を潰すのにはこれで充分。

 

 

「フィィッ!?」

 

 

 自分の信頼する盾を失ったことに少なくない困惑を表すウルガモス。先程まで自分のテリトリーだと思っていたはずなのに急にこうなれば戸惑うのも必然。ならばもう一度晴れさせればいいだけなのだが、やはり野生のポケモンも、トレーナーによる能動的なものに比べると長い間ダイマックスできるとはいえ、ダイマックス技を連発するほどの体力とエネルギーは持っていないみたいで、ダイバーンを打つ気配がない。

 

(だったらここでむやみにダイストリーム連打するよりかは、ダイバーンを打たれた時に押し返せるようにジメレオンは保持が最適!!)

 

「今のうちに総攻撃!!」

 

 こちらのポケモン全員が一斉に前に走り出す。ジメレオンで場の有利を維持するのなら火力はゴーリキーやゴロンダといったいわ技を使えるポケモンに任せたい。ヤドラン、ユンゲラーの後衛組と雨下では本気を出しづらいラビフットは少し控えめに、その他の近距離組は全力で走り出し距離を詰めていく。

 

 ウルガモスが危機を感じ取り技を構える。

 

「『ぼうふう』の構え……野生なのに本当に頭が回るねこの子……」

 

 フィールドが雨だとわかった瞬間ぼうふう主体の戦い方に変更するウルガモス。ぼうふうという技は本来は威力が高く、その強風によってもみくちゃにされ、平衡感覚を失うことによってこんらんさせられる可能性のある技だが、大技ゆえ当たりにくく、避けやすいという弱点のある技。しかし雨が降った状態でこの技を使うと雨を巻き込むせいか攻撃範囲がとてつもなく広がってしまいとても避けられるような代物ではなくなってしまう。

 

 ほのお技が半減されるとわかっての采配。敵ながらあっぱれと言うしかない。

 

 襲ってくる暴力的な風。確かに強力だけど晴れ下のねっぷうに比べたら受けられる。しかし向こうも対策を取って先ほどと同じように周りの土砂を巻き込んでいるし、雨が手助けをしていることと、ダイマックスした巨体から放たれているためによけるのはまず不可能。土砂も含めて受けきるしかない。

 

 もはや定番となったキルリアとイーブイによる二重壁コンボを繰り出し、飛んでくる岩はゴロンダとゴーリキーによるかわらわりによって打ち砕いて行く。それでも撃ち落とし切れない岩や小石は存在するものの……

 

「ヤドラン、『みずのはどう』です!!」

「アブリボン、『かふんだんご』!!」

 

 特性、クイックドロウにより素早く攻撃を打ち出すヤドランが正確に撃ち落とし、それでも岩が飛んできて受けたダメージはすべてアブリボンによって回復していく。周りでダメージを負っていたモスノウに対してもしっかりと効果を発揮していきいつの間にか戦場に立つモスノウの数はボクたちが戦場にたどり着いた時と比べてその数を大きく増やしていた。

 

 そして一度ぼうふうを受けきってしまえば……

 

「ヤドラン、『かなしばり』です!!」

 

 ヤドランがその技を縛れる。

 

 先ほどはむしのさざめきを縛ったかなしばりがそろそろ解けている時間帯。解かれたかなしばりを今度はぼうふうに施すことによってしばらくこの大技は飛んでこない。一応このかなしばりと言う技はダイマックス技には効力を発揮しないという注意点こそあるものの、今回においては気にする必要はないだろう。

 

(これだけ聡い野生ポケモンだ。ダイマックス技は天候の書き換えのために取っておくだろうし、もし打たれてもその時はジメレオンのダイウォールで受けてしまえば問題ないはず!!)

 

 普段なら気を付けるべきダイマックス技の方がむしろ警戒しやすくて楽というちょっとおかしな状況だけど……今は置いておこう。

 

 とにもかくにも今がチャンス。雨があるこの間に攻め切る!!

 

 先陣を切るのはラビフット、ユンゲラーの足が比較的速いメンバー。ウルガモスに対して先制攻撃をするべく素早く接近を行う。一方ウルガモスもその動きはしっかりと視界にとらえており、その行動を阻害するべくむしのさざめきを放つ。

 

「キルリア、『マジカルリーフ』!!」

「ヤドランは援護!!」

 

 キルリアがマジカルリーフを放ち、ヤドランがエスパー特有の力で空中にマジカルリーフを固定し足場へ。その足場をしっかりと活用し、縦横無尽に飛び回ってウルガモスを攪乱しながら避けていく。この間にゴーリキーとゴロンダ、ヤドランの鈍足勢も前に走り出し、キルリア、アブリボンも全員をカバーできる位置にとり回復の手は休めない。

 

 モスノウたちもウルガモスを包囲するように展開して徐々に追い詰めていく。心なしか巣穴内の温度も少し下がっている気がする。ウルガモスが押されている証拠だ。

 

 押されているウルガモスに対してふぶきをさらに放って動きを阻害する。負けじとむしのさざめきで応戦するもそこはキルリアがひかりのかべを広げてさらにブロック。ゴーリキーとゴロンダもいわなだれで障害物を作りその陰に隠れながら近づくことで回避していく。

 

 その間に先陣を切る2匹が到達。

 サイコショック、ひのこをそれぞれ放ちダメージを取ろうとするが、翅を器用に使い逸らしていく。太陽の化身と言われるだけあって、この雨の中でも翅に付着している炎の鱗粉がしっかり機能して技を弾いている。さすがにモスノウのこおりのりんぷんまでとはいかないものの、それでも威力を抑えるのには一役になっており、半分くらいは鱗粉からのねっぷうで弾かれてしまっている。これを突破するには大きな水の力が要りそうだ。

 

(やっぱとどめはジメレオンになりそうだね……)

 

 だけど天候を維持しないといけないのも事実。つまりはダイストリームでとどめをさせるぐらいまでは何とかみんなで削らないといけない。

 

 仕返しとばかりにユンゲラー、ラビフットに放たれるむしのさざめき。それに対してユンゲラーがラビフットを抱えてテレポートで即離脱。むしのさざめきはあらぬ方向へ飛んでいく。その隙に後ろから近付いたヤドランが素早くみずのはどうを放つ。後ろからの気配を機敏に感じ取ったウルガモスがさらに空中に上昇することによって回避。そこをモスノウの群れがふぶきで動きを阻害しようとし、その攻撃に対してむしのさざめきで対処。ふぶきとむしのさざめきの衝突により吹き荒れる爆風に対してゴーリキー、ゴロンダがしっかりと耐えながら前進。キルリア、ヤドランによって作られた草の道を駆け上り麓まで飛び込む。

 

「二人とも、『いわなだれ』です!!」

 

 ウルガモスにとって大打撃となる攻撃が準備される。モスノウに対応していたため反応が遅れたウルガモスはそれでも被害を抑えるべくよけるのではなくゴーリキーたちにあえてつっこむように飛んでくる。

 

 技でも何でもないダイマックスという巨体を生かしたただの突撃だけどシンプルゆえに効果てきめんであり、ゴーリキー、ゴロンダともに地面に叩きつけられる。受け身をうまくとっているものの、巨体からの突撃によって少なくないダメージを負ってしまい、二匹をサポートするべく慌ててキルリア、アブリボンが近寄る。一方ウルガモスはいい加減その回復行動を咎めるべくその集団に向かってむしのさざめきを準備する。流石にキルリア一匹では受けきれないその攻撃……だがそんなウルガモスの後ろに回り込む一つの影。

 

「いけ!()()()()!!」

「ヒンッ!!」

 

 その正体は雨が降っていることにより特性、すいすいが発動し、地面を滑るように高速で移動するヒンバス。ウルガモスがその姿に気づき慌てて振り返って迎撃の準備をするものの……

 

 

「フィッ!?」

 

 

 最初にアブリーがまいたしびれごながここで働いてウルガモスの動きが一瞬止まる。

 

「イーブイ、『まねっこ』!!」

「ブイッ!!」

 

 その間にヒンバスの背中に乗っていたイーブイもすでに技の準備ができている状態になっていた。

 

「ブー、イッ!!」

 

 直前に打たれた技、いわなだれをまねっこしてウルガモスに叩きつけるイーブイ。イーブイの攻撃力はそんなに高い方ではないもののそれでもウルガモスにとって致命的なまで弱点になるその技がついに直撃する。

 

 

「フィィ……ッ!!」

 

 

 流石にダメージが大きく、よろめくウルガモス。ここがチャンスとばかりにボクたちの手持ち皆とモスノウの群れが一斉に突撃をする。

 

 むしのさざめきでは抑えられない。かといってねっぷうは雨により威力は下げられている。一番効果のあると思われるぼうふうはかなしばりで縛ることができている。ダイマックス技は同じくダイマックスしているジメレオンが受け止められるし万が一ダイバーンで晴れにされてもダイストリームで雨にできる。

 

(詰められている。大丈夫、行ける!!)

 

 皆の気持ちがイケイケムードとなる。間違いなく流れはこちら。このまま押し切ればこの長い戦いも終わらせられる。けどここにきてウルガモスが最後の粘りを見せる。

 

 

「フイイイィィッ!!」

 

 

「うわぁっ!?」

「な、なに!?」

 

 放たれる大きく、激しく光る真っ赤な光。そして急に巻き起こる大きな風と舞い散る鱗粉に顔を覆ってしまうボクとユウリ。

 

 ウルガモスに近づいていたポケモンたちもその鱗粉と風の壁にはじかれてしまう。幸い攻撃技ではなかったのか大きなダメージこそないものの距離をまた離される。しかしそれ以上に気になるところが……

 

「セイボリーさん、かなしばりの効果時間は?」

「まだ切れていないはずです!なので今の技は()()()()()()()()()()()!!」

「じゃあ今の技は……?」

 

 サイトウさんの問いに対してセイボリーさんが答えている通りまだかなしばりから時間がそんなに経ってはいないはず。現状の謎にユウリが声を上げるものの、混乱しているのはみんな同じで何が起こったのか把握できていない。けど……

 

 ウルガモスの体から最初に撒いたしびれごなによるまひが消えている。

 

 そして先ほどよりも赤く輝く鱗粉。

 

 さらに先ほどよりも素早く空中を駆け回るその姿。

 

 優雅に舞うその姿は……

 

(間違いない!!)

 

「サイトウさん!!ゴロンダって技何使える!?」

「技ですか……えっと、今は『かわらわり、かみくだく、いわなだれ、ちょうはつ』だったかと……何か使ってほしい技でも?」

「今すぐ『ちょうはつ』をして!!」

 

 ボクが声を荒げるころには舞はいったん終わり、赤く光る鱗粉がさらに激しくなる。だがこれで満足していないのかさらに舞を続けようとしている。

 

「あれは『ちょうのまい』だ!!」

「っ!?ゴロンダ!!『ちょうはつ』です!!」

 

 ボクの言葉に今の状態を理解したサイトウさんが慌てて指示を出す。

 

 ちょうのまい。

 

 自身のとくこう、とくぼう、すばやさを強化する変化技。自身の能力を一時的に上昇させる技は数多いと言え、たった一つの行動でここまで能力を強化する技はかなり珍しく、かつ強力な技。その効果の高さはカブさんとの戦いで三回こうそくいどうを行ったジメレオンが圧倒的なスピードでマルヤクデを圧倒したことを思い出してもらえればわかりやすいだろう。

 

 ウルガモスが今やろうとしていることはあれよりもさらに凶悪なこと。なんせカブさんの時にボクが強化したのは素早さだけだ。それであそこまで圧倒できたのだから素早さと同時に火力をも強化できる技を何回もされてはたまったものではない。

 

 ゴロンダがちょうはつすることによって一回舞われるだけで済んだものの、火力はかなり上がったとみていいだろう。

 

「みんな気をつけ……」

 

 

「フイイイィィッ!!」

 

 

 忠告する前に動き出すウルガモス。いや、忠告していたけど速すぎて言い終わる前に既に突撃が終わっている。ただ突っ込むだけの行動。なのにさっきより速くなっているせいでそれだけで威力がとんでもないことになっている。アブリボン、ゴーリキーは何とか避けたもののキルリアとゴロンダが巻き込まれ壁にたたきつけられる。

 

「キルリア!!」

「ゴロンダ!!」

「キ、キルッ!!」

「ゴロゥ……ッ」

「アブリボン!!すぐに『かふんだんご』で癒してあげて!!」

 

 慌てて呼びかけると膝をつきながらも何とか返事を返す2匹は、アブリボンのサポートで何とか体力を回復させている。

 

「なんて速さですか……しびれごなは効いてないのですか!?」

「……まひはもう治ってる」

「な!?」

 

 何がどういう原理なのか、ウルガモスから赤い光が放たれた時点でウルガモス自身から麻痺が消え去っていた。自身のバッドステータスが全部解除されたとみていいのかもしれない。となると最初のローキックの効果もなくなったはず。じゃないといくらなんでもここまで速く感じないはずだ。

 

(ダイマックスエネルギーと思わしきあの光にはもしかしてポケモンの技の効果を打ち消す力でもあったの……?いや、今はそんなことはどうでもいい。とにかく……!!まひを治す手段があったのにすぐにしなかったってことは恐らくダイマックス技と一緒でそう何回も連発出来ない可能性が高い。なら……)

 

「みんな、もう一度しびれさせて動きを止めて!!次に動きを止めたらダイストリームを叩き込む!!」

 

 ボクの言葉に頷くみんな。

 

「ここで落としきります!!ゴロンダ!!ゴーリキー!!」

 

 前に出るかくとうタイプ2匹。高速で飛び回るウルガモスが走ってくるその2匹に向かってちょうのまいで強化されたむしのさざめきを放つ。対するかくとう二匹は目の前にいわなだれを立てて壁にする。が、威力が強すぎて岩ごと吹き飛ばされる。

 

「セイボリーさん!!」

「ユンゲラー!テレポートです!!」

 

 しかし飛ばされたゴロンダとゴーリキーの先にはユンゲラーが控えている。飛ばされたかくとう二匹に手をかざすユンゲラーは二匹が手に触れた瞬間テレポートを発動。ウルガモスの真後ろに転送。飛ばされた勢いをそのまま残しているためウルガモスの後頭部へ飛んでいく。

 

「ゴーリキー、『ローキック』!ゴロンダ、『かみくだく』!」

 

 テレポートから着弾までの距離が短いのでいわなだれは間に合わず、ならばということでローキックによる素早さの低下とかみくだくによる防御力の低下を狙った攻撃。死角からの攻撃に反応できずに直撃し体勢を崩すウルガモスだが、すぐに振り向きむしのさざめき。ゴーリキーとゴロンダが今度こそ叩きつけられ大ダメージ。ゴロンダに至っては、効果を半減できなかったためか戦闘不能へ。

 

 ゴロンダの遺志を受け継ぐべく前へ出るはラビフットとキルリア。ラビフットがでんこうせっかで走り回り、キルリアがマジカルリーフで視界を遮ることでウルガモスを翻弄していく。目の前でちょこまかするその二匹に苛立ちを募らせるウルガモスがねっぷうを放つ。雨で威力が下がっているがちょうのまいのせいで威力を少し取り戻したそれはキルリアのひかりのかべでは受け止めきれずに二匹そろって弾かれる。が、このねっぷうの後隙を狙いすましてヤドランがみずのはどうを一閃。的確に頭を狙ったその一撃はウルガモスの体制を大きく崩す。そこをモスノウの群れが逃さずにふぶきで囲んで動きを縛る。ラビフットたちの攪乱と合わせて大きな隙。そしてウルガモスの目の前にアブリボンとイーブイ。

 

「アブリボン!『しびれごな』!!」

「イーブイ!『まねっこ』!!」

 

 先ほどよりも大量のしびれごなを構える二匹。これが決まれば再びウルガモスの動きを止めることができる。しかし……

 

「っ!?ダメです!今すぐ下がりなさい!!」

 

 セイボリーさんの大声。その切羽詰まった声だけで状況を察してしまう。ウルガモスが翅をせわしなく動かし風を構える。本来使えないはずの技が使えるようになっている。それはすなわち……

 

 

 

 

「かなしばりの時間切れです!!」

 

 

 

 

 しかしすでに技のモーションに入っているイーブイとアブリボンに止めるすべはなし。ぼうふうが直撃してしまいボクたちの近くに叩きつけられてそのまま戦闘不能。慌ててヤドランがかなしばりでぼうふうを再び止めようとするものの、二度目は貰わないとむしのさざめきをすぐにヤドランに放たれてこちらも倒れる。

 

「イーブイ!?」

「アブリボン!!」

「ヤドラン!!くっ……」

 

 急いで倒れた仲間を回収する。ここにきて一気に三匹の戦闘不能。いや、正確にはイーブイたちを狙ったぼうふうに巻き込まれて一部のモスノウたちも再び動けなくなってしまっている。

 

 この状況をチャンスととらえたウルガモスがここでとどめを決めるとばかりに今度はボクたちに向かってぼうふうを構える。

 

「まずい!!みんな逃げて!!」

 

 ボクが言い切る前にすでにみんな反応して慌てて出口に走り出す。しかしどう考えてもウルガモスの攻撃の方が速い。

 

 ものすごい勢いでこちらに向かって飛んでくる風の暴力。ゴーリキーがいわなだれの壁を、キルリアがひかりのかべをそれぞれ張るものの一瞬で壊され、そのままこちらに飛んでくる。

 

(直撃する!!)

 

 皆そう直感し、せめてもの防御行動としてしゃがんで体を小さくし、衝撃に備える。

 

 

 

 

 ……が。

 

 

 

 

「……あれ?」

 

 いつまでたっても風が来ない。

 

 閉じてしまった目をゆっくりと開く。するとそこには……

 

 

 

 

「ヒンッ……!!」

 

 

 

 

 ぼうふうからボクたちを守るべく盾になってすべてを受けきったヒンバスの姿。

 

「ヒンバス……」

 

「ヒィィィィンッ!!」

 

「ッ!?」

 

 よろよろと立ちふさがるヒンバスに声をかけるユウリ。その声に対してヒンバスが目の前に()()()()()()()()()()()吠えて答える。

 

「あの技は……うん。わかったよ。いくよヒンバス!!」

 

 徐々に虹色に光り出すその膜に対して確信を得たユウリは高らかにその技を宣言する。

 

 

「ヒンバス!!『ミラーコート』!!」

 

 

「ヒンッ!!」

 

 

 受けた特殊技の威力を倍にして返すカウンター系の技、ミラーコート。己の自慢の技が倍の威力にされて返ってくる。まさかの反撃にウルガモスは反応しきることが出来ずに直撃。この戦いで何よりも重たいダメージを負ってしまい、とうとう翅の鱗粉の輝きさえ弱くなってしまう。

 

 

「フリアアアァァッ!!」

 

 

 ユウリの叫び声。ユウリとヒンバスからの渾身のパス。決めるなら今しかない!!

 

 

「ジメレオン!!『ダイストリーム』!!」

 

 

「ジィィィ、メェェェェエッ!!」

 

 

 雨の中、全てを飲み込む巨大な水の大砲がウルガモスに直撃し、大きな水しぶきを巻き上げる。まるでゲリラ豪雨のように降り注ぐ大雨。その大雨が少しずつ止んでいき、視界が晴れたその先で……

 

「フィ、フィィ……」

 

 ダイマックスが切れて元の姿に戻った、目を回したウルガモスが倒れていた。

 

「……終わった?」

 

 誰が呟いたか、あまりの展開に聞き分けることは出来なかった。けど、確かに、今ようやく……

 

「「「「「フオオオォォォッ!!」」」」」

 

 天候を分ける大きな戦いの決着が今、モスノウたちの雄叫びと共に終わりが告げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハミュ!!」

「フォゥ!!」

 

 ボクたちを案内してくれたユキハミが親であろうモスノウの元に駆け寄り元気に挨拶をする。その姿を見て微笑ましく思いながら自分たちも手持ちのポケモンを労っていく。

 

「お疲れ様、ジメレオン、キルリア。……イーブイもね?」

「ジメッ!!」

「キルッ!!」

 

 イーブイは戦闘不能なため既にボールの中だけど、小さく揺れてボクに返事を返してくれる。本当にみんなよく頑張ってくれた。

 

「みんなは大丈夫だった?」

「私は大丈夫!アブリボンとヒンバスが疲れて眠っちゃったけど、ちゃんと休ませてあげたら平気だよ」

「わたしの方も大丈夫です。ですが、早く安心できる場所で休ませてあげたいですね」

「同感です。みんな少なくないダメージを受けています。預かり屋に戻るなり、ポケモンセンターに向かうなりした方が良いかと」

「うん、概ね賛成だね」

 

 特に預かり屋へはこの天候の異変を解決したことと、ボクたちの無事を伝えに行かないといけない。みんなを休ませてあげるという点においても最善は1度預かり屋に帰ることだろう。けど……

 

「あのウルガモス、どうしよっか……」

 

 ボクたちの視線の先には先程まで激闘を繰り広げていたウルガモスが、目こそ覚めているものの、ぐったりと地面に横たわりながら、それでもこちらをじっと見つめ、敵意を放っていた。

 

「ゲットしてポケモンセンターに連れて行ってみる?」

「ですが、明らかにレベルの高い個体です。わたしたちの言うことを聞いてくれるでしょうか?」

「あぁ、そっか……」

 

 ユウリの言葉に返すサイトウさん。確かにこのウルガモスはかなり強い個体だし、どうもプライドも高そうに見える。正直ボクたちの言うことを聞いてくれるのは最低でも自分の手持ちにタイマンで余裕で勝てる子がいないとダメだと思われる。

 

「あ、じゃあフリアなら大丈夫なんじゃないかな?」

「ボク?」

 

 言われて確かにと思う。シンオウから連れてきている相棒なら確かにウルガモスと対面しても負けるとはあまり思えない。けど……

 

「なんか脅しているみたいで嫌だなぁ……」

「気持ちは分かりますが、いまは優先するべきことがあるかと」

 

 セイボリーさんの言葉も正論でしかないため反論出来ない。正直この感情はボクのわがままと言ってしまえばそれまでの事だ。

 

「しょうがない。ウルガモスには申し訳ないけど1度ゲットして、それから考えて━━」

「その必要は無いよ」

「え?」

 

 ポケモンセンターに連れていこう。そう言いかけたところでこの巣穴の出口から声がかけられる。いきなり聞こえてきた声にびっくりして慌てて振り返る。するとそこには……

 

「ほのおタイプのポケモンの保護はぼくに任せて欲しいな」

「カブさん!!」

 

 今この状況で1番の適任者、エンジンシティジムリーダーのカブさんがマルヤクデを連れて出口で待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




かなしばり

かなり強力な技ですけどダイマックスが絡むとかなりややこしいんですよね。
実機でもダイマックス技を縛ることは出来ませんが野生のポケモンの通常技ならダイマックスしていてもしばれます。
……例のいてつくはどうで解除されるのかは分からないんですけどね。
どっちなんでしょう……?でもミラータイプ等が解除されないところを見るにされなさそうな気はするんですが……この作品では例の波動でもかなしばりは解けていないという解釈で進めます。有識者がいればありがたいんですけどね……不確定で申し訳ないです。


テレポート

ユンゲラー大活躍。
やっぱりエスパータイプはこういう描写だとチートですね……

赤い光

通称いてつくはどう。
これがあるからNPCの積み技を見る度に心が荒れてしまいます()

ちょうのまい

今見てもぶっ壊れですよねこの技……
今やウルガモスの代名詞。

ミラーコート

まさかのヒンバス大活躍。
ミラーコートといい、どこかの情けない魚と違ってしっかりいい技を覚えるのです。




はい。
というわけで終わらなかったですね()
申し訳ないです。

キャラ予想もそこそこ見させてもらって感謝です。が、一応誰がどこで仲間になるかの予定は全て決めてあります。
そのため、もしかしたら期待に沿うポケモンが仲間にならない可能性も有ります。
そこはご理解の程よろしくお願い致します。




次回でほんとに吹雪変終わりです。




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