【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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ワクチンの副作用、まだ1回目なせいか軽いですね。
暫くは定期更新できそうです。


ラテラルタウン編
47話


「ほむ……なるほどねー。こっちの島にいるはずのウルガモスがカブちんのいるところの近くに……確かに謎だねー」

『ええ。なのでそちらで変わったことがないか聞きたいのですが……』

「うーん……」

 

 ここはガラル本島から東にあるとある孤島。

 

 基本的に寒冷寄りであるガラル地方の中ではかなり気温が高い方で、すぐそばにある海は太陽の光を反射して煌びやかにその存在を示していた。遠くに見える巨大なホエルオーは大きく潮を吹き、その上にこの島によく似合う大きな虹を作り上げていた。常夏という言葉が使えてしまいそうなほど爽やかなその島で、猫背の体に緑色のジャージを着た、見た目的にも、声色的にも、物凄く物腰の柔らかい雰囲気を漂わせている老人が、スマホロトムを片手にエンジンシティのジムリーダー、カブと連絡を取っていた。

 

 内容は先日、ワイルドエリアの一角に起きた謎の吹雪事件。その真相は本来いるはずのないウルガモスがモスノウの住処を荒らしたことにより発生した出来事だった。

 

 ではなぜウルガモスは本来の住処である孤島から移動をしたのか。その原因を探るべく、孤島について詳しいであろう老人に意見を求めたく、カブは連絡を取っていた。

 

「とは言うものの、今のところ問題は起こってないんだよねー。ワシちゃんがまだ気づけていないだけかもしれないけどー」

『そうですか……』

 

 一方で老人の方も心当たりがあるわけでは無いのでカブの求めるような答えは返すことが出来ない。孤島に詳しい老人と言えども、流石にまだ起きていない出来事に対して詳しくはないのは当然といえば当然の事。実際、その孤島において問題というのはまだ目立った形では起きていないのだ。たとえ起きていたとしても、現状怪しいと思われるのはウルガモスが1匹移動したというだけ。確証と言うには弱く、他の問題が表面化していない以上、たまたまウルガモスがそんな気分だったと言われてしまえば反論は出来ない。ポケモンというのは未だに謎が多い生き物なのだから。

 

「まぁ、カブちんは今はジムチャレンジで忙しいんだから、このことについてはワシちゃんに任せてねー。何か分かれば連絡するよー」

『ありがとうございます。ぼくの方でも手が空いたら合間合間で調べてみま……お、おいウルガモス、今大事な話をしているんだから……こら、遊ぶのはちょっと待ってくれ!』

「んふふー、カブちんも隅に置けないねー」

 

 プライドが高いウルガモスが電話越しに分かるくらい楽しそうにじゃれているあたりさすがはガラル最強のほのおタイプ使いと言ったところか。傍から聞いてもその相性の良さはよく分かり、きっとこのまま行けばウルガモスは野生に返されることなくカブの手持ちの1匹となるだろう。そうなればカブが表にたって守ってくれるためウルガモスがこの先何らかの処罰などを受けることも無い。その事に老人は微笑み、電話相手には伝わらないであろう頷きを数回繰り返す。

 

『す、すいません。ウルガモスの事やジムのことでまだまだやることが多いので、こちらから連絡をしておきながら恐縮なんですがこの辺りで……』

「ん、べつにだいじょーぶよん。カブちんも、適度に手を抜きながらがんばってねー」

『ありがとうございます。ではまた。失礼します』

 

 プツン。

 

 スマホロトムから通話が切れる音がしたのを確認してそっと耳を離し、孤島にある丘の上に建つ五重の塔の頂上から改めてこの孤島全体をじっくり見渡す。そこまで登った方法は恐らくすぐそばに控える黒色の人型のポケモンが関係していると思われる。

 

「あのウルガモスが追い立てられるほどの問題……」

 

 猫背で柔らかい雰囲気を放つ老人。その背中がゆっくりと伸びていき、猫背の老人と言われたら絶対に嘘だと言ってしまうほどピシッと正しい姿勢を取り戻す。

 

「もしかしたら、久しぶりにワシらも前に出るやもしれんな」

「グゥッ!」

 

 老人は見据える。この先にきっと大きな戦いが起きることを。

 

 先はポケモンの気分の可能性を考えておきながらすぐさまその選択肢を否定する。これは既に何かが起きているぞと、長年の経験から来る勘が反応している。

 

 大空を雄々しく飛ぶ、赤黒く揺らめく大きな影を視界におさめながら、老人はゆっくりと猫背に戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「暑い……」

「吹雪で寒い思いをしてこれは……寒暖差激しすぎてやばいかも……」

「これは……昨日休んで……正解、でしたね……」

「とても懐かしいですね。こんな場所でした」

 

 ナックルシティでの観光もひとまず終え次の日、ナックルシティから西に伸びている橋を渡り、6番道路へと足を運んでいた。

 

 6番道路

 

 ナックルシティとラテラルタウンを繋ぐ岩場道で、高低差がかなり激しく、ロッククライミングが出来そうな崖ばかりが連なっており、所々にジムチャレンジャーや一般の人でも通れるように梯子が立てかけられてあるんだけど……命綱もないし、岩場だから当然地面は硬いしで正直言って危険なんてものじゃない。また、この地域の特色なのか、雲が一切なく、ガラル地方の中でも一番の晴天率を誇っており、それもあってか平均気温がものすごく高い。

 

 吹雪の時のような寒さは体の動きを縛っていくため動きづらく、凍った体のせいか怪我をしやすいというのがあるけど、こっちは暑さのせいで体の水分が奪われてとにかく体力が削れる。ユウリの言う通り最近まで寒い中にいたこともあり体温調節が狂いかけているせいか、いつも以上に暑さを感じる。

 

 サイトウさんだけはここが地元に近いのか、はたまた鍛えているせいか、特に苦しいといった表情を見せることなく普通に歩いて行きながら軽快に梯子を上っていく。ユウリとセイボリーさんはもちろんだけど流石にここまで険しい道だと旅慣れしているボクでもかなり疲れが……

 

(っていうか梯子っていうのが嫌だよねこれ……上に登るにはこうしかするしかないのはわかるんだけど、長い梯子の上り下りってそれをしている間が一番虚無だし疲れるんだよね……)

 

 階段なら一段飛ばしをしたり、なんて簡略化しづらいのもめんどくささを感じる要因だ。

 

 また、強い日差しのせいで梯子そのものの熱が上がっているのもいただけない。

 一通り日差しの強いこの場所にずっと置かれている梯子が熱を持たないわけもなく、火傷するとまではいかなくてもずっと握っていると暑さで勝手に手を放してしまいそうになるほどだ。吹雪を乗り越えた事からもうしばらくは使うことはないと思い、しまい込んだ手袋をまた取り出すことになるとは思わなかった。正直こんな梯子を素手で何回も持つなんて御免こうむりたい。

 

 そんなこんなで何回も梯子の上り下りを繰り返していたため流石にみんなの体力が限界に近いということもあり一度休憩。こんな崖だらけの場所でも水源があるらしく、まるで砂漠のオアシスのように存在するその池の近くで座り込んで、各々疲れを癒していく。座り込んで、各々疲れを癒していく。

 

「う~、熱すぎる……これでまだ夏じゃないって本当に言っているの?」

「ここの気温はまだまだ上がりますよ。たぶん、わたしたちがこの前まで吹雪の中にいたせいでより強く暑さを感じているだけですね。これくらいならまだまだかわいい方ですよ」

「これで可愛い方ですか……」

 

 水筒から水を摂取しながら愚痴るユウリに対して説明するサイトウさん。やっぱりこのあたりの地形や性質に詳しいのか、淡々と説明してくれるサイトウさんの声は相変わらず息ひとつ乱れていない。この基礎体力の差は何とも言い難いなと思ってしまう。セイボリーさんなんか今の言葉聞いて軽く絶望してるし……

 

「ジムチャレンジの始まりが春でよかったですね」

「まったくですよ……」

 

 喉を鳴らしながら水を大量に飲み込むセイボリーさんに思わず苦笑いを浮かべながら改めて周りを見渡す。岩肌ばかりで南を向けば絶景でこそあるものの、少し歩けば崖の下へ真っ逆さまとなる途切れた大地。反対を向けば自分の身長をはるかに超えるとてつもなく高い岩壁。ラテラルタウンに行くためには、これをまだまだ登らないとたどり着けないと考えると気が遠くなってしまいそうだ。今見える範囲にもボクたちと同じようにこの先を目指しているジムチャレンジャーが何とも言えない表情を浮かべているのがよく見える。

 

 気持ちがよくわかってしまうのでお互いにがんばろうと心の中で応援はしておこう。

 

「しっかし日当たりがいいだけでもこうはならない気がするんだけど……」

 

 崖以外のところを見ても草や木といった自然なんてほとんど見ることは無く、荒れ果てた地面が広がるばかりで、どことなく荒野といった雰囲気を感じてしまう。数少ない見かけた草でさえ緑のものはなく、そのすべてが枯草色となっており、今にもタンブルウィードが転がってきそうにも見える。日がよくあたるという場所にしたって自然が少なすぎるというか、基本寒冷よりのこの地方ならむしろ日当たりがいい場所では山の側面のように緑が生い茂っていてもおかしくないのでは?と思ってしまう。そんなボクの疑問に対して答えてくれたのはやっぱりサイトウさんだった。

 

「ここが日当たりのいい場所だから気温が高いというのはそうなんですが、もう一つ大きな理由があるんですよ。その理由が……あ、いましたよ」

 

 そういいながらある草むらを指さすサイトウさん。指の先を視線で追うとある一匹のポケモンが目に入る。

 

「あれ……コータス?」

「成程、だから……」

 

 ユウリが見つけたのは草むらの中から顔を出しているせきたんポケモンのコータス。次いでボクもその姿を確認し、サイトウさんの言いたいことを理解する。

 

「この6番道路はコータスがたくさん住んでいる場所でもあるんです。そしてコータスの特性は『ひでり』。彼らがここに存在するだけでこの辺りの日差しが強くなり、自然と温度も上がっていきます。そんなひでりの特性を持ったポケモンが沢山住んでいるとなれば、このあたりが猛暑地帯となり、荒野化してしまうのもある種の自然現象と言っても差し支えないでしょう」

「確かに、不自然に雲がないと思ったんだけど、こういう事だったんだね……納得」

「そういう事でしたら説明がつきますね……ただ、ポケモンが環境に適した姿に変わるだとか、自分が住みやすい環境に移動するという話はよく聞きますが、ポケモンが環境そのものを変えてしまうというのはあまり聞かない話ですね……」

 

 サイトウさんの話にユウリとセイボリーさんも納得の声を上げる。それにしたって天候を一時的に変えてしまうポケモンは数いれど、ここまでたくさん固まって地域一帯晴れさせる例というのは数少ないだろう。

 

 つい最近吹雪を能動的に起こしていた存在と出会ったばかりだからボクたちが言うのはあまり信憑性がないかもしれないけど……

 

 ただ、今のサイトウさんの話を総合すれば、もしかしたら昔はこのあたりも緑が生い茂る自然豊かな場所だったのかもしれないね。そういうことを考えながら、改めて周りを見渡してみると成程、なかなかどうしてこの暑いとしか思わなかった荒野地帯もどこか趣があるように感じる。

 

(このあたりの地層を調べたり、採掘したら化石とかが見つかったりして……なんちゃって)

 

 なんてすこしロマンあふれることを考えている間にそこそこの時間がたっていたらしく、水分補給もちゃんと終わった今、みんなの体力も十分に回復したみたいだ。ボクもこんな暑い中でも唯一外さなかった自慢のマフラーを改めて結びなおして気合を入れる。

 

「さて、だいぶ休めたみたいですしそろそろ行きましょうか」

 

 サイトウさんの声を聴いてみんなで頷きながら立ち上がる。ラテラルタウンへの道はまだまだ半分行くかどうかといったあたりだ。焦りは禁物だけどこんな暑い所に長時間いるのはあまり精神的にしたくないので可能ならば早く抜けてしまいたい。

 

 座っていたことによって凝り固まった体を軽く伸ばしてほぐし、再び先に進むために次の梯子に手をかけようとして……

 

「スビビ?」

「あれ?」

 

 通り道にこちらを見て首をかしげる一匹のポケモンがいた。白色のくねくねした体に、首と思われる部分が丸く膨らんでおり、その部分は薄い茶色のような色をしていて、目は少しけだるげな感じで、ちろちろと舌を出す姿は見た目も近いせいか、アーボに少し似ている気がする。一番のチャームポイントは少し大きく開いている鼻の孔だろうか。ちょっと穴から砂が漏れ出ているあたりあの穴から砂をまき散らしたりするのかな?なんて想像してみる。

 

「スナヘビですね。お散歩でもしているのでしょうか?」

「スナヘビっていうんだ」

 

 ロトム図鑑をかざしてデータを検索する。

 

 スナヘビ。すなへびポケモン。じめんタイプ。穴を掘りながら食べた砂を首の袋にためている。8キロもの砂をためることができる。

 

「へ~、こんな子もいるんだ」

「コータスの話とこの日照りで忘れがちかもしれませんけど、この道路そのものはじめんタイプのポケモンの割合が一番多いんですよ」

「目新しいのはわかりますけど速く先に行きましょう。ワタクシたちはここで道草をイートしている場合ではないのですよ」

 

 そういうセイボリーさんは先に上にあがるために先頭を歩こうとする。ユウリがスカートなのでどっちにしろ男性陣は先に進むことになるんだけど、それを込みにしても本当に速くこの場所から出たいという思いがにじみ出てくるその行動に思わず苦笑い。

 

 こちらを見つめているスナヘビにごめんねと一言謝って先に進もうと、梯子を上ろうとするセイボリーさんに視線を向けて……

 

「セイボリーさん、足元!!」

「ん?」

 

 ユウリが何かに気づき、慌てて声をかけるものの間に合わずセイボリーさんが何かを踏みつけてしまう。皆の視線がセイボリーさんの足元へ向けられ、踏みつけられた物体を探してみると、そこには先ほどとは別の個体のスナヘビがいた。

 

「おっと、急いでいるとはいえこれは失礼。大丈夫ですか?」

 

 先に進みたいとは言え、流石にひどいことをしてまでどけるつもりはなく、自分のせいで怪我をしていないかの心配をするセイボリーさん。そっと自分の目の前まで持ちあげる。

 

(こう見るとスナヘビってかなり全長長いんだね……)

 

 図鑑にも長さが書いてあったけど確か2.2mだった気がする……。セイボリーさんよりも普通に身長が長くてびっくりだ。その証明じゃないんだけど、セイボリーさんが目の前まで持ち上げているのに体の部分は一部地面に残っているし……

 

「セイボリーさん!速くスナヘビを離してください!!」

「え?」

 

 ボクがのんきに観察をして、セイボリーさんがスナヘビの容態を確認しているところに飛んでくるサイトウさんからの焦ったような声。焦った声質から何か危ないことが起こるんだろうけど、肝心の内容が一切想像できていないため、どうすればいいのかわからずフリーズしてしまう。

 

「スナヘビには特性『すなはき』というのがって、スナヘビに衝撃を与えると……」

「ヘッビシュッ!!」

「ボヒャッ!?」

「遅かったですか……」

 

 スナヘビの鼻の穴から勢いよく噴出される砂を思いっきり頭にぶつけらたセイボリーさんが、とても人の口から出たものとは思えない、とんでもない声を上げながら体をのけぞらせる。

 

「凄い砂の量。セイボリーさんの顔が一瞬消えたように見えた……」

「8キロも収納してるもんね。そうなるのも納得だ」

「あ、あにゃたたち!にょんきに感想言ってびゃいで……ぺっ!!く、くちにすにゃがっ!!」

「「……ふふっ」」

「わ、わらうんじゃありましぇん!!」

 

 顔面砂まみれになりながら反論をするも、口の中の砂が滑舌を阻害しているため変な言語しか聞こえない。そのことが面白くてボクとユウリで笑ってしまう。がんばって顔と口についた砂をはがすために四苦八苦しているところが滑稽でさらに笑ってしまう。

 

「お……面白いのはわかりますが……ふふふっ、は、早く先を急ぎましょう」

「あにゃたも笑ってましゅよね!?」

「……なんのことだか」

 

 何とか顔を変えずにしゃべっているけどボクにはわかる。ここからの視点だと、サイトウさんが太ももの裏をつねって頑張って耐えようとしている姿が。いや、声漏れてたけどね?ただ、面白いことには確かに笑っているけど、それでもどこか焦っているように思えるサイトウさん。そこが少し気になったためお遊びもそこそこに、サイトウさんの言葉に耳を傾ける。

 

「特性、『すなはき』は砂を吐くだけではなく、天候をすなあらしに替えてしまう効果があってですね……」

 

 サイトウさんの言葉が終わった直後に周りの景色が茶色に塗りつぶされていく。あれだけ燦々と輝いていた太陽はなりを潜め、いきなり起きた強風と砂を顔面に叩きつけられてしまう。これが目に沢山入ってものすごく痛い。

 

「……こうなってしまうので早くスナヘビから離れようと言おうと思ってました……」

「「「……」」」

 

 あれだけ笑っていた空気から一変。一気に最悪の天候に変わったことによってみんなのテンションはダダ下がり。特にユウリは朝から頑張ってセットしていたらしい髪に砂が絡まってしまい、顔が無になりかけている。髪が命と言われている女性陣に取って、この天候は最悪と言ってもいいだろう。かく言うボクも大切なマフラーに砂が絡まって気分は最悪だ。

 

「「「……はぁ、またセイボリーさんのせいで……」」」

「うがあああ!!今回は明確にワタクシが悪いから反論できないぃぃぃっ!!」

「「「うるさいです」」」

「けど少しくらいは優しさ見せてくれませんかね!?本当にワタクシの心がサイコショックしますよ!?」

「「「勝手にどうぞ~」」」

「うう……」

 

 土下座状態になっているセイボリーさんは放っておいてさっさと梯子を上ってしまおう。ぱっと見この付近がすなあらしになっているだけで、少し動けばすぐに晴れに戻りそうだ。

 

 そんなこんなで、自分の身だしなみに少しでもダメージを減らすべく、ボクたちは未だに落ち込んでいるセイボリーさんを放置してラテラルタウンへの道を改めて進むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラテラルタウン。

 

 ガラル地方の西側に存在する山岳地帯の中心にある町で、町の景色としては6番道路と同じく岩場が多いため、印象としては無骨な感じといったところか。近くに遺跡やら壁画やら像などがあるため、そういったものが好きな人や専門家の人にとっては歴史的な町ととらえる人も多いかもしれない。露店もほかの街と比べると特徴的で、近くにある採掘場で取れた珍しいものを専門に取り扱っているほりだしもの市や、きちょうなほねや、ほしのすななどと言った一部の人にとっては価値のあるものを買い取ったりするおたから買収店などがあり、ナックルシティ、エンジンシティといった都市部の市場とはまた違った盛り上がりを見せている。

 

 おたから買収店に物を渡すことによって生計を立てている人も少なくないらしく、今までボクたちが出会った人たちで言えば穴掘り兄弟の二人が定期的にこのお店にほりだしものを持ってきているらしい。

 

 そんな商魂たくましい町であるラテラルタウンの奥には、ジムチャレンジャーにとって避けては通れない大きな壁であるラテラルスタジアムが存在する。

 

 無論、それは同じ理由で旅しているボクたち4人にとっても言えることであり、ラテラルタウンに到着してすぐにお風呂に入りたいのを我慢してジムミッションの受付をしに行ったボクたちは、やけに盛り上がっているスタジアムの空気感に興味をそそられてジムチャレンジ参加者用の観客席に向かっていた。

 

 午後を過ぎている今、行われているのはおそらくジム戦の方で、注目選手のうちだれかが闘っているんだと予想される。

 

「あ、ねぇ!!あれって!!」

 

 観客席にあがってすぐ視界に入ってきたのはボクとユウリにとってはよく知る人物のバトルだった。歓声降りしきるバトルコートの中心で戦うのはラテラルタウンジムリーダーのオニオンさんとユウリの幼馴染であるホップの姿。バトルは既に佳境も佳境に差し掛かっているようで、場に出ているバチンキーもゲンガーもどちらも戦闘不能一歩手前といったところだった。

 

 そんな中で特性、しんりょくによって強化されたバチンキーの攻撃が見事ヒットして倒れるゲンガー。

 

 決着の瞬間に湧き上がる観客と一緒にボクとユウリも友人の勝利に喜んで声を上げる。

 

「ホップが勝ってる!!」

「先に行ってるのは知ってたけどジムも突破しちゃたか~。これは結構離されちゃったかな?」

「あ、二人とも。追い付いてきたんね?」

 

 そんなときに横から聞こえる聞き覚えのある声に視線を向けると、そこには同じくボクたちの友達であり、ホップと一緒に先に進んでいたマリィがいた。

 

「ようやく追いついたよ!!久しぶり、マリィ!!」

「あの時は心配かけてごめんね?」

「久しぶり、ユウリ。ううん。適度に連絡貰ってたし、無事なのはわかっとったから……でも、ちゃんと治ってよかった。お帰り、フリア」

 

 久しぶりの再会に少しテンションが上がるボクとユウリ。雑談に花を咲かせたいところだけど、今はホップのお祝いの方が優先だ。けどどこかホップの様子がおかしくて……

 

「なんかホップ、勝ってるのに嬉しそうじゃないね?」

「それはそうと」

「「え?」」

 

 ユウリと同じ疑問を抱いているところにマリィの言葉が入る。

 

「だってホップ……これ、5回目の挑戦なんよ」

「5回目!?」

 

 別に複数回ジムリーダーに挑むことは悪いことではない。それ以上に負ける人だっているだろうし、そもそも何回負けたら失格なんてルールも存在しない。けど、バチンキーのレベルを見るにこのジムで苦戦こそすれ、決して突破できないわけではないと感じてはいた。そのことからこれが初挑戦、ないしは負けても2回目の挑戦だと思っていた。けど実際はかなり負けが込んでいたみたいで……

 

 そんな時にふと頭を横切るのはソニアさんのあの言葉。

 

 ホップのスランプ。

 

(これは……思ったよりも重症なのかも)

 

 今も無理やり浮かべた笑顔で、少ししんどそうに笑う彼を見ながら、ボクはそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




老人

勿論登場してもらいます。
そして何気に二羽目もちらっと……

6番道路

実際問題、ここでの事故率はとんでもなく高そうですよね。
落石とか沢山ありそう……
実機でも常に晴れの場所ですが、それをコータスのせいにしているのはここでの自己解釈です。

スナヘビ

セイボリーさんにぶっかけたいなと思ってました……(誤解を生む発言)
それにしても2.2mってでかすぎませんか……?

ラテラルスタジアム

ソニアさんに続き久しぶりの再会ですね。
ワイルドエリアで足止めされていた期間を考えたら実は何回も負けてないとここで再開はできなかったり……




ラテラルタウンは書きたいことが多いので少し長くなるかもしれませんね。
まったりとお付き合いくださいませ。
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