他の地域と比べて明らかに日差しの強いラテラルタウンは、朝早くからその本領を発揮しており、茶色の地面に強く反射する光が直視していないのにも関わらず、自分の目に過剰な光を与えてくるため思わず目を細めてしまう。
建物から明るい外に出た瞬間によく起きるこの現象に少しだけ嫌な気分になりはしたものの、天気自体は快晴。そんな嫌な気分も一瞬で吹き飛ぶくらいには気持ちのいい青空が広がっていた。もっとも、もう夏に入ろうかと言うこの時期。正直段々と気持ちよさよりも暑さが勝ちそうな空気を感じ始めており、この日差しの強い町ではもうじき地面をゆらゆらと揺らす蜃気楼が顔を出しそうだなぁなんて思いながらボク、ユウリ、セイボリーさんの3人はスボミーインに背を向け、ラテラルスタジアムの方へと足を運んでいた。
吹雪、砂嵐、ロッククライム。ここ数日の明らかに険しい旅路を何とか超え、結果疲れてしまった体から疲れをちゃんと取り除いた今、いよいよ予約した通りのジムチャレンジへ挑むこととなる。気分は良し。手持ちのみんなも元気一杯。最高に近いコンディションと言っても差し支えないはずだ。ちなみに、ホップとマリィは先に会場に行って席を確保しているみたいでここにはいない。きっと今頃チャレンジャーがよく見える場所に陣取って朝ごはんやら何やらをつまんでいる頃じゃないだろうかな?
「さて、いよいよだね。ホップとマリィも見てるし頑張らなきゃ」
「初めてのジムチャレンジという訳では無いけど……前半と言われるカブさんを超えてからの初めての挑戦だもんね」
「ここからがいわゆる後半戦……別の緊張がありますね」
三者三様の言葉を発しながら見上げるはラテラルスタジアム。ゴーストを象徴とする紫色を基調とした建物は、それでいてラテラルタウンの景観を損なうことなく、こうして改めて見ると遺跡にいる幽霊の雰囲気があり、想像以上にこの町に似合っているのかもしれないと思わせる。
そんな感想もそこそこに、ジムチャレンジを行うためにスタジアムの自動ドアをくぐり抜けようとして……
「……あれ?」
「むっ……」
「げっ」
「あなた達は……」
その入口に立つ人影……ビートが図鑑を広げながら何かを考えているのか、顎に手を添えている状態でボクたちと見合った。相変わらずユウリは苦手意識があるのか少しムッとした顔をしており、セイボリーさんに至っては天敵にでもあったかのように明らかに嫌悪と怯えの様子を見せている。図らずとも、あの時ガラル鉱山で一部始終を見ていたメンバーが再びここに集まったことになる。もっとも、セイボリーさんだけはボクたちに気づくことなく走り去ってしまったためそのことを知らないとは思うけど。
「今からジムチャレンジですか?バウスタジアムとエンジンスタジアムを超えた日から計算すると随分と遅いように見えますけど……」
「ワイルドエリアの吹雪で足止めしちゃってたからね。ここに着いたのもつい先日なんだよ」
「そういうビート選手もかなり遅くないですか?」
ビートに対して嫌味たらしく言うユウリ。それに対してビートは特に気にした風を見せることも無く、髪を右手で軽くかきあげながらなんでもないように答える。
「これでもエスパータイプのエキスパートなので。ゴーストタイプに対して少し対策をとっていただけですよ。苦手タイプ相手に何の策もなしに突っ込むのは能無しのバカがやることなので。まぁ、ぼくにかかれば不利タイプであろうと余裕で勝てるのは自明の理なので問題はないのですが……しかし万が一にでも不手際があればぼくを推薦してくれた委員長の顔に泥を塗ることになりますからね。99%を100%に詰めていただけですよ」
「ってことは近々ジム戦するの?」
「今日の午後戦う予定ですよ。もし、まだ元気が残っていれば見に来て参考にしても構いませんよ?最も……出来れば、ですが」
ビートの視線がボクからゆっくりとセイボリーさんに向かっていく。最後の一言は間違いなくセイボリーさんに向けて言われたものだろう。同じエスパータイプのエキスパート同士、何か思いがあるのかもしれない。セイボリーさん自身もそれを理解しているけど、それと同時に鉱山でのことを思い出してしまい、やはり視線をそらしてしまう。その行動を見たビートがいよいよセイボリーさんに興味を失ったのか鼻を鳴らしながら同じようにセイボリーさんから視線を外す。
「まぁ、お先にクリアしてまた前を走らせてもらいますよ。後……もし貴方がここのジムを超えてまだ余力があるというのなら……」
そう言いながら少しずつ目を細めながらこちらを睨んでくる。彼が言いたいのはいつかした約束である次会った時は倒すというあれだろう。今まで何回か出会うことはあったものの、毎回タイミングが悪く戦うことが出来なかった。だけど今回は違う。2人ともここを無事に超えることが出来れば、その時はボクたち2人にとってこの上なく都合のいいタイミングとなるだろう。そうなればいよいよ待望のバトルが可能だ。セイボリーさんと、マリィに聞いた限りではあのホップをも簡単に下してしまった彼の実力。ついにこの肌で感じられるとなればその楽しみもひとしおだ。
(なんだろう、ジムもあるのにもうワクワクしてきてる。これは余計に負けられないなぁ)
もちろんこのバトルの前提条件はここのジムを突破することだ。だから今日と明日で失敗していたら意味が無い。そのためにもここは確実に突破しないとね。
「貴方と戦えるのを楽しみにしてますよ」
「同じく……楽しみにしててね」
そう言い残し、ビートは再びロトム図鑑に目を落としながら先へと歩いていく。
「フリア、絶対に勝ってね!」
「う、うん。負けるつもりは無いけど……」
ビートの背中が完全に見えなくなったあたりで物凄い勢いで肩を掴みながらユウリが応援してくる。何故ユウリがこんなにも熱くなるのか……いやまぁ、理由は想像できるんだけどね。
「セイボリーさんも、フリアを応援しようね!!」
「え、えぇ……そうですね。是非とも勝っていただきたいものです」
(……成程)
続けてセイボリーさんにも話を振るユウリの声と顔色はどちらも明るく聞こえた。恐らく彼女なりの元気づけなのだろう。ジムミッションも目の前なのに天敵とでも言っていいような相手との遭遇。少なくともセイボリーさんの精神に少なくない影響は与えたはずだ。そのダメージはもしかしたらこのジムミッションに影響が出てくるかもしれない。そのことを危惧したユウリが少しでもその心をケアするために取った行動。セイボリーさん自身も口には出さないものの、そのことに気づいたらしく、先程まで強ばっていた表情が少し柔らかくなっている気がした。
「そのためにも、まずはこのジムミッションを乗り越えないと行けませんね」
そう言葉を放つ時にはもう怯えた様子は一切なく、いつものセイボリーさんの姿がそこにあった。
これなら大丈夫そうだ。
「さぁ行きますよ。時間もそろそろ迫ってきてますしね」
「「うん!」」
セイボリーさんの言葉に頷きながら、ボクたちはラテラルスタジアムの中へと足を運んで行った。
✩
「ふむ……やはりまずはダブランによるサポートを行い、ポニータによる高速戦闘に持ち込む方が良さそうですね……場合によってはゴチミルの特性も活用して……」
ロトム図鑑に乗っているオニオンさんの手持ちを調べながら頭の中でどのように戦うかのシミュレーションを立てていく。頭の中で戦っている感覚では間違いなく勝てる戦い。確かに相性こそ不利ではあるものの、それを覆す手札はちゃんとあると思っている。
「勝って当然です。なんせ委員長に認められているぼくなんですから……」
右手首につけられているサイズの合わない腕時計をひと撫でする。周りから気味悪がられ、孤立し、荒んでいたぼくの力を見抜いて拾い上げてくれたぼくの恩人。エスパータイプ使い特有の力に悩まされていたあの時に一番最初に手を差し伸べてくれた人。
(そんな委員長に恩を返すためにも……必ずぼくは勝たないといけない……)
そのためにも、このジムチャレンジで勝ち上がり、委員長が求めているねがいぼしを集めなくてはいけない。こんなところで足踏みをしている訳には行かないのだ。
これは義務だ。
楽しむなんて考えはあってはならず、やらなければいけないことなのだ。
……そのはずなのに。
(なぜ、彼との戦いをこんなにも楽しみにしている自分がいるのか……)
はるばるシンオウ地方からやってきたという1人の少年。穏やかな見た目に言動も中性的で、顔のパーツの組み合わせのせいかむしろ女性的にも見えてしまう、けどそのくせして思考だけはどこか男らしさがあり、何より……
委員長と会って以来、2番目に現れたぼくを信じてくれた人。
第二鉱山で彼と共闘した時、何故か感じた安心感と一体感。まるで長年コンビを組んでいたかのようなスムーズな連携。
初めて、誰かと戦うのを楽しいと思ったあの瞬間。
ただ一時だけの都合のいい味方だと思っていた。どうせすぐまたぼくに嫌な顔を向けると思っていた。しかし、戦いが終わっても彼の視線は一切その色を変えることは無かった。
人なんて心の奥では何考えているかわかったものではない。
養護施設にいた時だってろくな奴は一人もいなかった。手を差し伸べる人もいなかった。唯一、エスパータイプのポケモンとだけ仲良くなることはできたものの、もともとぼくにエスパータイプとの適正があったためか、彼らと密に触れ合っている間だけサイコパワーをぼく自身が使えてしまい、その事がさらにぼくを孤独へと突き落とした。
ただでさえ浮いているところにさらに異能の力に目覚めたとなれば気味悪がられるのは当然で、そのころには大人でさえぼくの近くにはいなかった。それは養護施設に入った瞬間は優しかった人たちも含めてみんな。
別にその人たちを信じていたわけではない。けどそのあまりに早い手の平の返し方をみて、ああ、人ってこういうやつらしかいないんだと思うようになった。
けど、彼だけは違った。
決してあいつに対してぼくが何かしているわけではない。むしろあのシルクハットにかなりきついことを言っている現場を見ていたはずだからぼくに対する印象なんてマイナスであってしかるべきだ。現にユウリ選手のぼくへの印象がそうなのだから。なのに出会った頃から彼の視線は変わらず、あまつさえ第二鉱山ではぼくを助ける始末。
だからこそ……
(確かめてみたい。なぜそんな目でぼくを見れるのかを……)
もしかしたら、ぼくのこの考えに何かきっかけを与えてくれるかもしれないから。そうすれば……
(……馬鹿らしい。意外ですよ。ぼくにもこんなことを考えるだけの感情があまだあるなんて)
そこまで考えて思考を打ち切る。今はとにかく委員長の役に立つことが一番だ。
(そのためにも必ず、あなたには勝ちますよ。フリア)
頭を振り、一度すべての考えを振り払い、ぼくはまたロトム図鑑へと視線を落として今日の午後へと備えていった。
☆
『いましたいました。ビート選手』
『過去を調べたが……まさかサイコパワーへの適正もあるとは……』
『これはますますあの出来損ないの代わりにふさわしい!!』
『これはダンナ様も大喜びですね』
『さあ、そうと決まれば作戦の準備をしなくては!!』
『幸いにもあのよそ者とのバトルのためにしばらくここに残る模様……これはチャンス!!』
『そして我々のジムの復興の時が来るのです!!』
『『ふははははは!!』』
☆
「さて、そろそろ時間かな?」
ラテラルスタジアムの控室にて。ボクよりも先にジムミッションを受けることになっているセイボリーさんとユウリはもうここにはおらず、今この部屋にいるのは少なくとも視界にいる範囲の人たちはボクが知らない人だけだ。ターフスタジアムのころと比べるとだいぶ人が少なくなり、ほんの少し寂しさを感じるようになってきたこの控室。
(こうして周りを改めてみるとあの時は緊張も相まって控室が大分狭く感じてたんだなぁ)
3回ものジムミッションを超えてだいぶ心も強くなったのか、今となっては心臓の鼓動も大分おとなしくなっている。
会場に出た時の歓声は未だに慣れないんだけどね。
あれと町を歩く度に声をかけてくるファンとの交流は恐らくいくら年月が経っても慣れることは無いんだろうなぁなんて思いながら自分の出番の準備をするためにベンチから立ち上がり伸びをする。
服装もジムミッション用の白色のユニフォームに928の番号を背負った姿。
この服を着ると自然と気が引き締まるから不思議だ。
(……もしいいならこの上からマフラー巻いてもいいかも)
後でジムトレーナーの人に聞いて大丈夫そうならどこかのタイミングでマフラーをつけたまま出てみてもいいかもしれない。なんだかんだでシンオウ地方を共に歩んだボクの1部みたいなものだからそれなりに思い入れがあったり。まぁ、シンオウ地方が寒冷な場所だったから付けざるをえなかったのが付け始めたきっかけではあるんだけどね。長くつければたとえ義務だったものでも愛着が湧いてきちゃうものだ。むしろここまでのジムミッションとジム戦はどちらもマフラーつけてなかったから逆に首元が寂しかったくらいだ。
「フリア選手、準備をお願いします」
「はい!!」
首元に手を添えていたところにかかる招集。改めて服を正していざジムミッションが待つ挑戦部屋へ……
「ん?……フリア選手、少し待ってください」
「はい?」
行こうとして急にジムトレーナーの人に呼び止められてしまう。何か問題でもあったのだろうか?
「フリア選手。今あなたの体から
「え?」
ジムトレーナーから告げられるのは驚きの発言。だって今のボクの手持ちはジメレオン、キルリア、マホミル、イーブイ、ユキハミ、そして相棒の6匹……
(あ、もしかして……)
と、そこまで自分の手持ちを見直してようやく心当たりが見つかる。
(もしボクの予想が当たっているのならば今いつものポケットの場所にあるはず……)
手を伸ばして探ってみると思った通り、一つのモンスターボールが指先に当たる。確かにこのモンスターボールは登録されているものだから検査には引っかかっちゃうかもしれない。というか今まさに引っかかってる。いつも肌身離さず持っているものだから今回も癖でついつい持ってきてしまっていた。このモンスターボールは使う予定の無い……というか現状全く使えないからジムトレーナーの人に預けてしまおう。
「すいません。たぶんいつもの癖でお守り代わりに持っていたこれが引っかかっているんだと思います。預かってもらってもよろしいでしょうか」
「はい、構いませんよ。フリア選手のジムミッションが終わるまでしっかりと預かっておきま……あれ?」
「ではお願いしますね」
「え、あ……はい。ジムミッション、頑張ってください」
預かったモンスターボールを見てかなり戸惑った反応を見せるジムトレーナーさん。今もちらりと横目に確認するとものすごく不思議そうにモンスターボールを確認している。本当はしっかり説明しておきたかったんだけど……もうジムミッションの時間が来ているのでそんな時間がない。申し訳ないと思いながらも挑戦部屋へと急ぐボク。ただ一つ懸念事項があるとすれば……
(……流石に不正は疑われないよね?いくら
中身のポケモンが常に外へ出てボクの補佐をしているなんて誤解されないかどうかといったところだろうか。なんせ中身の子を教えろって言われてもすぐに紹介なんて絶対できないのだから……。
☆
「うわぁ~お……」
ジムミッションの部屋に入って一番最初にボクの口から発せられた言葉である。いや、誰だってこのギミックを見たらこうなると思うのだけど……
『さあやってまいりましたラテラルスタジアムのジムミッション!!その内容はこちら!!』
ボクの視線の先にあるのは一つの大きなコーヒーカップ。よく遊園地などで見かけるあのコーヒーカップが一つ、そのまま目の前にポツンとあり、まるでチャレンジャーを歓迎するかのようにこちらに扉を向けて待っている。まあそれだけなら問題はない。ここにきて乗りもの系かぁなんて感想で終わるだけだ。
問題はこのコーヒーカップがある場所。
物凄く勾配のある場所の頂点に置いてあり、これに乗って目の前の坂を下って行けと言わんばかりの仕掛けである。別に高所恐怖症というわけではないんだけど……そんなこと関係なしに怖すぎる。もしこのコーヒーカップから投げ出されたらなんてことは考えない方が吉だろう。
『このコーヒーカップに乗って下に降りていくのですが、そのためには正しい道を進んでいく必要があります!!途中コーヒーカップの軌道を横に曲げる必要があるでしょう!そんな時はコーヒーカップの真ん中にある台座を曲がりたい方向に回してくださいませ!!回せば回すほど強く曲ってくれますよ!!』
ナレーションから聞こえる声はおおむね予想通りの説明。だけどこれ……
「曲がるときって自分も一緒に回っちゃうからどこまで曲ってるかわからないよね……?」
曲るたびに自分もぐるぐる回るし、回る場所も斜めだしで方向感覚がおかしくなってしまいそうなんだけど大丈夫だろうか。今ほどボクが乗り物酔いを持っていなくてよかったと感謝したことは無いかもしれない。
「いや、これ乗り物酔いしない人でも酔うんじゃ……?」
よくこんなミッションOKにしたなと別の意味で尊敬してしまう。どうやらボクが思っている以上にガラル地方のポケモンリーグは頭がおかしいらしい。そしてさらに気になるのが……
「あの先に見える手は何?」
少し下を覗いて迷路というか坂の先を見れば、バネの先に深緑色をした異様な雰囲気を放つ怪しい手がついている謎のオブジェクトが見える。
どうみてもろくでもないのは明らかだ。
『ちなみにあの手に触れると勢いよくカップが弾かれます!!中には弾かれないとゴールにたどり着けない地形なんてものもあるので計画的にご利用ください!!』
「あれ近づくの強制なんだ……」
出来ればお近付きになりたくないギミックのてんこ盛りである。今までのなかで個人的には1番乗り気ではないジムミッションかもしれない。
「はぁ……でも仕方ないか……」
しかしイヤイヤ言ってばかりでは先に進めない。運営側がこうだと言っているのならそれに挑むのがボクたちジムチャレンジャーというものだ。もしかしたら意外となんてことは無いのかもしれない。例えばほんの少し回すだけで慣性の力でそこそこ曲がってくれたりとか……ね?
ちゃんと腹を括ってコーヒーカップに乗り込むボク。地面が斜めなためこの時点でかなり座りづらいんだけど我慢して座り、ドアを閉める。同時に先の道も確認。きっとこの先クルクル回っていると先の道なんて確認出来ないだろうからね。じっくり見れる最初でしっかり覚えないと。
『では準備もできたみたいですし張り切って行ってみましょう!!スタート!!』
開始の合図とともにゆっくりとカップが坂を滑り始める。
「お、思ったより速くない!」
もっと素早く坂を滑り降ちることを予想していた身としてはこの緩やかな動きは嬉しい誤算だ。もしかしたらと思い、試しに右に左にと台座を回してみるとこちらも想像よりも横に曲がる上に自分は全然回らない。激しく台座を回せば流石に高速回転しそうな空気はあるけど少し曲がる程度ならそこまで酷いものにはならないと思われる。ただやっぱり自分ごと回ってしまうのがネックであり、たとえゆっくりでも方向感覚を狂わしてくるのに変わりはない。しっかりと先を見据えて動かないと混乱すること間違いなしだ。
「早め早めの見切りを……」
「マミュ?」
「ってマホミル!?」
先の道を警戒しながら進もうとしたところに横から聞こえる鳴き声。慌ててそちらを向けばいつの間にボールから飛び出したのか、未だに飴細工を頭につけたマホミルが台座にくっついて不思議そうな顔を浮かべている。
「あ、今すっごい嫌な予感した……」
「マミュマミュ〜!!」
その予感を現実にせんと、台座のギミックを理解したマホミルが全力で回し始める。そんなことをすれば当然コーヒーカップも未曾有の大回転をするわけで……
「やっぱりこうなったああああああああぁぁぁ!!」
「マミュ〜!!」
そこからはもう酷いもので右も左も訳もわからずもみくちゃ状態に。何とかゴールにはたどり着いていたみたいだけどもはやどうやって移動していたのかてんで覚えていない。それ以上に回転が強すぎて初めて味わった乗り物酔いという感覚に吐くのを我慢するので精一杯だった。
「マ~ホ~ミ~ル~?」
ゴールにたどり着き、あまりの気持ち悪さに倒れたボク。それでも何とか無事だった体を這わせて元凶を掴み、いつものほっぺ伸ばしでオシオキをしようとしたその時……
「マミュ~!!」
「……え?」
マホミルの体が突如光りだす。暫く光り続け、その光が晴れた時、目に入ったのは小さくミルクの波紋のような見た目だった姿から大きく変わり、ホイップクリームのような見た目に変わった元凶の姿。体の色も頭につけていた青色の飴細工に倣って青色へと変化していた。
つまり、たった今この瞬間、マホミルはマホイップへと進化を果たしたのだった。
ちなみにロトム図鑑によるとベリーあめざいく、ミルキィミントと言われる姿らしい。
グロッキー状態からまさかのことが起きてしまい、パンク寸前の脳で正常な判断ができず、どうすればいいのかわからない状態のボクにマホイップが歩いてくる。
そのまま倒れているボクの顔の横に歩いてきたマホイップが……
「マ~ホ!!」
ボクのほっぺにそっと口づけを落とした。
甘い匂いが鼻孔をくすぐる中、いよいよもって処理が追い付かなくなったボクは……
「……もう、好きにしてくれ……」
そっと、考えるのをやめた。
ビート
不穏な影がありますね?
エスパー適性からのビート自身もちょっとしたエスパー使いというのはオリジナルですね。
少しバックストーリーを付け足したかったので。
空のモンスターボール
これまでにもちょくちょく出てきてますね。
これは一体……
マホイップ
ぐるぐるまわ~る進化です。
自然にトレーナーとポケモンが一緒に回転させられる場所って考えると、マホイップの進化場所はここしかないと思ってました。
ちなみに実機でこの色にするには夜に少し長めに反時計回りをする必要があります。
まあこの作品ではご都合ということで……
最後の口づけはマホミルなりの遊んでくれてありがとうという意味ですね。
フリアも一応気づいてはいますが……もう知らないってかんじですねこれ。
ジムミッション
やっぱりこうなりましたよ……
ジムミッションはネタ枠。はっきりわかりますね。
しかし実際問題リアルでこれやるとこうなりそうですよね。
個人的にはガラルのジムミッションの中で1番やりたくないのがここです。
記念の50話ですが……物語的には半分言ってるかどうか怪しいですねこれ……
それでも、今後ともよしなにしていただけたら。
ではでは。