「フリア!!本当にありがと〜!!」
「っとと……おつかれユウリ。勝てて本当に良かったよ」
ラテラルスタジアムのロビーにて、あれから進化したばかりのミロカロスとともに最後まで戦い抜いたユウリが、勝利の喜びを全身で表しながら飛び付いてきたのでしっかりと受け止める。
かなり絶望的な状況だったのにそこから仲間が進化して大逆転勝利。
嬉しくないわけがないよね。
戦闘の内容としては、お互いダイマックスしてからオニオンさんがミロカロスの特防を下げるためにダイアークを放ち、能力を確かに下げたものの、ミロカロスに進化したことによって特性がかちきになったミロカロスの火力が大幅上昇。そこから怒涛のダイストリームにより火力で押し切り勝ったという感じだ。自分の何かしらの能力を下げられた瞬間発動したかちきによって、自身の特殊火力を大幅に上げられたミロカロスの連続攻撃は、特殊ならまだ耐えられる方とは言え、それでも耐久に難があるゲンガーには耐えきれなかったみたい。
そのあまりにもドラマチックな展開に、見ていた観客もかなり盛り上がっていたしね。気持ちはよくわかるし、見ていただけでこれだけ興奮したんだから対戦していた本人はそれ以上に嬉しかったと思う。今もそのまま抱き着いてきて離れないのがその証拠かな?
「フリアに言われた通りのことをしてきて本当に良かった!!まさかヒンバスがミロカロスに進化するなんて!!最初こうするようにって言われたときはなんでだろうって思ったんだけど……こういう事なら納得できるもん。本当にすごい!!」
「これでもシロナさんの知り合いだからね。シロナさん本人からあまり広めないでって言われているけど……ユウリ達になら教えてもいいかなって」
「そうだったのか……しかし、結局のところ何が進化のきっかけだったんだ?」
「やっていることはわかってましたが……意味は結局わかりませんでしたね……」
「その辺は聞かんほうがいいと?」
ぴょんぴょん跳ねながらも、ボクにくっつくことをやめないユウリをあやしているボクにホップ、サイトウさん、マリィと声をかけてくる。確かにあまり広めない方がいいとは言われたものの、ボクたちが信用している相手なら信じられるから教えてもいいと━━ジュンに対してだけはすごく難しそうな顔をしていたけど━━言っていたので正直全部教えることもやぶさかではない。ただ今ここで話すにしては人の耳が多すぎる。
「別に教えてもいいんだけど、ちょっと場所を変えよっか。シロナさんが隠していた通り、あまり広めすぎちゃうと研究やら乱獲やらの問題でヒンバスがかわいそうなことになっちゃうしね」
シロナさんがミロカロスとともに大活躍していることはみんなも知っている通りだ。だからこそ、そんなチャンピオンが仲間にしているポケモンを自分も持ちたいと手を伸ばすトレーナーというのは後を絶たない。特に見た目もよく、シロナさんがその進化を知るまでは誰一人としてその進化方法に気づかなかったともなれば、その希少性も相まって欲しがる人は一気に増える。そういう点ではガブリアスも人気なんだけど、ドラゴンタイプというのは総じてなつかせたり育てるのが大変だということもあり、実際に仲間にした時に敷居が高そうという点からもやはり求める声はミロカロスの方が大きくなってしまう。
この点から、ヒンバスのことを考えて公表することをやめたシロナさんの意思はしっかり尊重するべきだ。ボクたちのことを信用して教えてくれているのなら裏切るわけにもいかないからなおさら。そういうことを含めても、たくさんの耳があり、今も聞き耳を立てている人や報道の人がたくさんいるこの場所での回答は控えるべき。そう判断して移動を提案する。
……うん。露骨に舌打ちとか聞こえてきた辺りこの判断は間違ってないと思う。
皆もしっかりと聞こえたのか、そろって苦笑いを浮かべていた。
「行くとするなら……スタジアムから少し外に移動して個室の取れるお店でも行きましょうか?それともホテルの部屋の方がいいでしょうか?」
「他人の視線を気にするならホテルかな」
「着いてきて盗み聞きする人もいるかもしれんしね」
「よし、じゃあ行くぞ!」
これから行く先が決まったのでいざみんなで出発。今日はもう予定もないし、ボクとユウリはめでたく突破することができたので、もし余裕があればボクたちの祝勝会をあげるのもいいかもしれない。……強いて一つだけ問題があるとすれば。
「ということで、行きますよ〜セイボリーさ〜ん」
「……いいのです、どうせワタクシだけが……ワタクシだけが……」
「え、えっと……ドンマイだぞ!俺だって1回で突破できたわけじゃないしな!!」
「むしろ、ここまで来たら1発で突破する方が厳しかと。あんまし気にしても仕方なかとよ」
隅っこで踞るセイボリーさんのことだろう。ボクが声をかけるまで一言も反応無かったし、そのあまりにも漂う哀愁からホップとマリィも苦笑いを浮かべながらフォローをしていた。
この状況からわかる通り、残念ながらセイボリーさんはオニオンさんに敗北してしまい、ジムバッジを獲得することが出来なかった。とは言うものの、試合内容が酷かったのかと言われるとそういうわけでもなく、本当に後一歩の所まで追い詰めていたと思うし、結局今回はユンゲラーから進化させることなく戦いを挑んでいたため、力に溺れないようにとセーブをしていた進化をここで解禁して上手く使いこなすことが出来れば、このジムの突破もそう遠くないように見えた。実際、観客席から見たオニオンさんの表情こそ仮面のせいで読めなかったものの、体から感じる空気は間違いなくセイボリーさんのことを認めているように見えた。雰囲気が良かったとでも言おうかな?
なのでセイボリーさんについてはあまり心配はしてなかったりする。もっとも、今日挑んだボクたち3人の中で、唯一の敗北者というのは少なくないダメージを心に負っちゃうことになるとは思うけどね。こんなことを言っておきながら、ボクがセイボリーさんの立場ならなかなかショックを受けていたかもしれない。
(うん。夕食兼祝勝会をするならセイボリーさんの反省会と復習会も一緒にして、少しでもアドバイスできるようにしておこう)
タイプ統一の人に対してできるアドバイスなんて、マルチタイプ使いのボクにあるかどうかは分からないけど、やらないよりやる方が絶対にいいだろうからしっかりと相談に乗っていこう。
(しかしそう考えると、やっぱりビートって凄いんだなぁ)
同じエスパー統一なのに彼は1発でここを乗り越えている。やっぱり侮れない選手の1人だ。
そんなことを思いながらもしっかりとみんなの足は進んでおり、気分の落ち込みからか若干足の進みが遅いセイボリーさんに合わせるようにしてゆっくりとラテラルスタジアムの外へと向かっていた。やいのやいのと雑談しながらラテラルスタジアムの出口を潜り、さぁホテルへ行こうとするところに立ち塞がる影が1つ。
「みんなお疲れ様。フリアとユウリは無事突破おめでとう」
「ありがとうございますソニアさん」
「私は何とかって所ですけど……勝てて良かったです!!」
正体はソニアさんで、相棒のワンパチを引き連れてボクたちを正面で出迎えてくれた。足元でワンパワンパと吠えるワンパチを軽くなでてあげながら雑談に花を咲かせる。
「私は席の予約取れなかったから現地で見ることは出来なかったけど、リアルタイムでライブは見たからあなた達のバトルもしっかりと見させてもらったわよ。まさかユウリの手持ちがミロカロスになるなんてね……あれって進化方法が秘匿されているんじゃなかったっけ?」
「フリアが教えてくたんです!」
「フリアが……ってあなたそういえばシンオウチャンピオンから推薦されていたんだったわね」
「あはは……できればそのまま忘れていただいてもいいんですよ?」
ミロカロスのことと言い、推薦者のことと言い、注目選手だらけなことと言い、とにかく現在視線を集めまくっているからできれば今すぐここから離れたいという気持ちがどんどん湧いてくる。
「とりあえず移動しましょう。変に視線集めてますしここでは落ち着かないでしょう」
セイボリーさんがその辺の空気をしっかりと感じ取ってくれたため率先して案を出してくれる。その言葉に皆で頷き、今度こそホテルへ……
「ああ、ごめんちょっと待ってくれる?あなたたちにお願いがあって……」
行こうとして今度はその足をソニアさんに止められる。
「わたしがここにきた理由は教えたわよね」
「確かここにも英雄伝説に関する遺跡があるんでしたっけ?」
「そう。正直あまり期待してないけど確かにここにも遺跡があるって話。ちゃんと覚えててくれてたみたいね」
この町に来た時にソニアさんに見せてもらったあの資料。子供の落書きのようにも見えたあの壁画には、どうやらこのガラルの秘密にかかわる需要なものが隠されているらしい。とてもそうとは思えないような代物だし、今まで解明されていないあたり、ガセネタなところが濃厚なのであまり期待値は高くないものの、それでもソニアさんはちゃんと調べたいという意思を表明していたはずだ。
「タペストリーの時もそうだったけど、ここでもぜひともあなたの意見を聞いてみたいと思ってね。頼めるかしら?」
ソニアさんの視線が真っすぐボクの方へ注がれる。まだまだ記憶に新しいボクたちによるナックルシティの宝物庫見学は、ソニアさんにとってどうやらなかなかの刺激だったらしく、その時の経験からボクの目に今回も頼りたいみたいだ。シロナさんという結果を残している考古学者との接点がある点はもちろん、ほかにも他者からの視点もしっかりと大事に考察していきたいという彼女のやり方がよく表れたその考えは、ボクではうまく結果を出してあげることができるのか不安なところはあるものの、手伝えるのであればぜひとも力を貸してあげたいところだ。
「ナックルシティの時と同じ考えで行くってことですね。ボクでよければ手伝いますよ」
「ありがとう。ごめんなさいね、ジム戦終わったばかりで疲れてるでしょ?」
「それくらい大丈夫ですよ」
ジム戦の疲れがかなり残っているので早く休みたいというのは事実ではあるんだけど、それ以上にガラルの歴史が気になるというのは確かにある。せっかく専門家のソニアさんとそう言うところを回れるのなら今回も付き合ってみた方が得は大きそうだ。
「みんなはどうする?」
「俺もついて行くぞ!」
「ミロカロスのこと聞くならフリアいないと意味ないしね」
「わたしも、それくらいなら付き合うと」
「ワタクシも付き合いますよ」
「皆さんが行くのなら、わたしも」
ということで全員そろってその胡散臭い遺跡を調査することに。なんだかちょっとしたピクニックみたいでこれはこれで楽しそうだ。
「みんなつき合わせちゃってごめんね。それじゃあさっそく遺跡にレッツ━━」
ドゴオオォォンッ!!
「「「「「「「!?」」」」」」」
ソニアさんの合図でラテラルスタジアムより北西にあると言われる遺跡に足を向けようとした途端に突如響く巨大な破壊音。地面すら揺らすその衝撃は、間違いなくボクたちがこれから向かおうとしていた遺跡のある方角から聞こえてきていた。あまりにも唐突に起きたその非日常の出来事に、観光しに来たり、掘り出し市を見に来た外の人たちはもちろんのこと、普段からラテラルタウンに住んでいる人やポケモンたちまでもが驚きのあまり飛び跳ねたり悲鳴を上げたりしていた。しかも、かなり離れているはずなのにしっかりと耳まで届いたその大きな音は一回では収まることは無く、何回も何回も響き渡り、そのたびに地面が激しく揺れるせいで小さい子供は泣きだしたり、転んでしまったりしている。
「……皆さん無事ですか……!?いったい何が……」
「オニオンさん!!」
緊急事態により、まだこれからジム戦の予定が詰まっているであろうオニオンさんまでもが外に出てくる。ジムリーダーというのは、ただ挑んでくるトレーナーの壁になるというだけでなく、自分の受け持つ街の治安維持を担っているという側面もある。これはガラルだけというわけではなく、ほかの地方でも一緒で、それこそシンオウ地方だってそうだ。ラテラルタウンの危機かもしれない状況なので大事なジム戦も中断してでもこちらに来たという事だろう。そのことが、今起きていることの異常さをさらに際立たせている結果となっている。
「オニオンさん!!遺跡の方から破壊音が聞こえます!!もしかしたら向こうで何かが起きているのかも!!」
「……遺跡の方……わかりました。……ジムリーダーとしてボクが対処します……皆さんは遺跡周辺の人たちの避難の手伝いを……お願いしていいですか?」
「勿論です!」
「……感謝します……ではすぐ行きましょう!!」
オニオンさんの言葉に皆で頷き、ボクたちはラテラルタウンの壁画がある場所へと駆けていった。
☆
「……もうすぐで遺跡です!」
オニオンさん先導の下、長い階段を駆け上がりながら途中で見かけた観光客に対して迅速に避難指示を出し、何とか怪我人を出さないように、事故を未然に防ぐことに成功しながら遺跡に駆けていくボクたち。どんどん大きくなる破壊音によって、心の中の不安感が募っていき、足が止まりそうになるのを抑えながらとにかく走る。一分一秒が惜しい現状で、止まってなんかいられない。みんながみんな同じ思いでいるため、本来なら体力のあまりないユウリとセイボリーさんでさえしっかりとついてきていた。その事に若干の安心感をボクとサイトウさんで感じながら走り抜け、とうとうボクたちの目の前に遺跡が姿を現した。
遺跡の姿はソニアさんに見せてもらった写真とほぼ同じで、やっぱり誰かが落書きをしたようにしか見えない模様となっており、とてもじゃないけど何か意味があるとは思えない代物だ。これが何もないときに観光しに来ただけならば、『ああ、やっぱり何もわからなかったや』なんて笑いながら過ごすことができたけど、その壁画の中心より下部にある大きな罅がその楽観的思考を許さない。その罅は現在進行形でどんどん進んでおり、いつこの壁画が崩壊してもおかしくはない。そして何よりも目を引くもの。それは……
「ダイオウドウ、『10まんばりき』です」
そんな危うい状況にある遺跡の壁画を壊すことだけを考えて、ひたすらポケモンに攻撃を指示するビートの姿。
「ビート!!」
「……」
なんでこんなことをしているのか。なぜこちらの呼びかけに対して反応してくれないのか。そして何より、
「こっちを見てよ!!ビート!!」
「フリア!!危ないって!!」
大きな声で呼びかけてもこちらのことなんて全く見向きもせずに、ひたすら攻撃の指示をするビートに向かって、いい加減こちらを振り向かせるためにビートにずかずかと歩み寄っていく。後ろからユウリの制止の声が聞こえるけど、今だけはビートを優先するべきだ。ビートの肩をもって無理やり振り向かせ目を合わせようとする。しかし……
「……邪魔です」
「うわぁ!?」
「フリア!?」
思いっきり突き飛ばされてしまい、後ろにこけそうになる。尻もちをついてしまう寸前にホップが飛び込んで支えてくれたため、倒れこそしなかったものの、いきなりのビートの行動に驚いてしまい体が固まってしまう。
「大丈夫か?フリア」
「うん……ありがとう、ホップ。でもビートが」
ボクが離れたことを確認したビートはそのままボクたちを一瞥し、再び壁画への攻撃を再開する。
「……ゲンガー、『シャドーボール』」
そんなビートが操るダイオウドウに向かって飛んでいく紫色のまがまがしい球。いつの間にかオニオンさんから呼び出されたゲンガーは恐ろしいスピードで技を放ち、ダイオウドウの攻撃を中断させることに成功する。
「……ぼくの邪魔をしないでもらえませんか?」
(なんて声……こんなの、ボクの知っているビートの声じゃない……)
驚くほど冷たく、そして氷柱を突き刺されたかのようなその言葉は、慇懃無礼ながらも心の底はしっかりとしており、決して一線を越えることは絶対しない普段の彼からは決して想像できないほどの感情すらこもっていない声。
一言でいえば「らしくない」。
ビートとかかわってきた時間はボク以外の人がそんなにないため、今ここでそれを言ったところで伝わらないだろうけど、ボクにだけはそれがわかってしまっていた。
(何があったの……ビート!!)
「……これはこのラテラルタウンの文化遺跡です……確かに見た目の評判はあまり良くないかもしれませんが……それでもこの町の大事な顔の一つです。……この町を傷つけることは……ボクが許さない」
ジム戦の時よりも深く、そして重い空気。はたから見ても感じるその重さは、間違いなく本気のゲンガーと本気のオニオンさんの証。その迫力に肌がびりびりとしびれてきており、周りのみんなもそうなのか……いや、サイトウさんだけがまだ平気そうな顔をしているけど……それでも今はオニオンさんの気迫に押されてしまい、動こうとしている人は誰もいない。
「ダイオウドウ……『10まんばりき』」
それでもその空気をものともしていないビートから冷たく放たれる攻撃司令。ゲンガーに対して地面技というのは明確な弱点のひとつ。物理耐久の高かくないゲンガーなら尚更致命傷となるその全身を使った強烈な一撃は、しかし
(え……?)
「……!?」
まるででんこうせっかがすり抜けた時と同じような現象に思わずこちらの口が空いてしまい、塞がらない。でんこうせっかはノーマル技なのですり抜けることは理解出来る。しかし10まんばりきはじめんタイプの技だ。すり抜けるなんてことが本来は起きるはずがないのに、今確かに目の前で起きていた。
「……ボクのゲンガー……特性はのろわれボディだけじゃない……ふゆうも……持ってるので当たりません」
「特性が2つ!?」
「そんなポケモン知らないぞ!?」
オニオンさんの言葉に驚きの声を上げるホップとユウリ。確かに2つの特性を持つポケモンなんてそんな珍しいことは、本来ならありえないと一蹴することもできる。ただ1部。その両立を可能にした人物が何人かいるのは知っていたためむしろ納得ができてしまった。なんせ、チャンピオンや四天王クラスとなるとこの辺の両立を平気でしてくるのだから。現にボクもシロナさんが手持ちに2つ以上の特性を併せ持った仲間といる所を見たことがある。つまりオニオンさんも、それクラスの腕前があるということ。ガラルのレベルの高さを改めて思い知らされる。
「『しねんのずつき』」
しかしビートもその事実に決して押されることなく、違う技で弱点を突くためにまた新たな指示を下す。この辺りの冷静な判断と技選択のセンスはやはりビートなんだなと思わせてくれるようなものを感じはする。まだ完全にビート自身の心が消えているわけじゃない。場違いかもしれないけど少しだけ安心感を覚えた。
違う突進技で突っ込んでくるダイオウドウに対して、さすがにこの技を受ける訳には行かないと判断したゲンガーは大きく後ろに下がり、余裕を持って回避。
「……『おにび』!」
お返しと言わんばかりに紫色の炎を放ち、ダイオウドウへ火傷を与えんと操っていく。それに対してダイオウドウは地面に10ばりきを行い砂をまきあげて、これをかき消していく。
お金をとってもおかしくないハイレベルな戦い。惜しむらくべきは、ダイオウドウがはがねタイプという本来のビートの手持ちではないため、彼の本気を見ることが出来ないということだろうか。
(そういえば……なんでダイオウドウ……?綺麗に戦えているけどぎこちないところも少しある。誰かから借りたポケモン……?だとしたらなんで……?)
頭の中で何かが引っかかるものの、答えが出てこない。ローズ委員長からの推薦者ということはその辺から借りてきたのだろうか?しかし、だとするとガラルを愛している委員長か何かしらの指示を受けていることになるはず。ガラルのことを愛している委員長がこんな指示を出すとも思えない。だってこれはガラルへの愛とは真反対の行動。そんなことをしてしまえば委員長失脚である。
1度気になることができてしまうともはや戦闘なんて頭に入ってこず、ずっと頭の中でぐるぐる情報が踊り出す。みんながオニオンさんとビートの戦いに目を奪われている中、1人ずっと考え事をしていた時、ふと腰のホルダーが揺れ始める。
(……ん?)
気になって揺れていたボールに軽く触ると、そこからキルリアが飛び出してきた。いきなり勝手に飛び出してきたキルリアに思わずびっくりしてしまい、変な声を挙げそうになるものの何とか飲み込んでキルリアの方を見る。
「……何かあったの?」
「キル……ッ!」
戦闘の構えを取った訳では無い。しかし、その瞳には明らかに敵意のような何かを宿しており、じっとビートの方を見ていた。
(なんだろう……何かあるのかな……?)
キルリアの視線により、また新たな疑問が浮かび上がりいよいよ整理しきれなくなってきた。一見遺跡を壊すために暴れているだけの事件。しかし、その裏に隠れている事情が絶対ある。キルリアとビートの様子から、ほぼ確信に近いものを感じるものの答えだけはやっぱり出てこない。どうすればいいのか分からず、ウンウン唸っている。すると……
「なるほど、そういう事ですか……」
(え?)
本当に小さく、恐らくたまたま近くにいたボク以外聞こえていないだろうそんな声。その声の主の方に視線を向けると、その先には物凄く悲しそうな、そして悔しそうな顔を浮かべたセイボリーさん。彼もまた、正解にたどり着いたものの1人ということだろうか。
(キルリアとセイボリーさんだけが気づいている……2人の共通点……エスパータイプ……?)
頭の中でどんどん推理が回っていく。いよいよ決着が着きそうなオニオンさんとビートの戦い。
誰しもがその行方を見守るため戦場を見つめる中、やっぱりボクの視線は、怒りと敵意を宿すキルリアの視線と、悲しさと悔しさ、そして何よりも不甲斐なさを宿したセイボリーさんの瞳に固定されてしまい、そらすことが出来なかった。
セイボリー
残念ながら今回は負けているみたいです。
実際問題ガラルのレベルを考えたら、一回突破は難しいのではと。
ダンデさんも、チャンピオンになった後から無敗記録があるとなっているので、流石にチャレンジ中は負けてるのかなと。
もし無敗だったとしても、逆に言えばダンデさんクラスでないと無敗にはならないので、やっぱり一回くらい負けるのは仕方ないことだと思います。
主人公がおかしいんですよ。絶対に。
ミロカロス
実際シロナさんならこうしそうですよね。
オニオンVSビート
やっぱりここはジムリーダーがやるべきでしょう。ということで彼らにぶつかっていただきました。
というか、こんな規模の事件でジムリーダーが仕事しないわけがありませんよね。
ゲンガー
このゲンガーはジムチャレンジ用ではないので本気のゲンガーです。
特製が二つあるというのもそこから。
ちなみに特性を二つ持っているというのは、実は公式……と言っていいのかはわかりませんが、外伝ゲームで実際にあった仕様でもあります。
ポケモンダンジョンがそれに該当しますね。
トップクラスのトレーナーにはやっぱり特別であってほしいなぁという思いから、ポケダンからの設定をお借りして全員を微強化しています。……本当に微なんですかねこれ?
……というか、メガゲンガー没収したなら、ふゆう返してもいいんじゃないですかね?
さて、実機でも記憶に根付いているイベントですが、この小説ではどのようになるでしょうか。